釣糸ガイド及びその製造方法
【課題】軽量化、及び強度の向上が図れると共に、外観形状が良好な繊維強化樹脂製の釣糸ガイドの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る釣糸ガイド1は、リング保持部17と、釣竿に装着される固定部15とを具備し、繊維強化プリプレグによって構成されるフレーム12を有しており、その製造方法は、繊維強化プリプレグを積層した積層材からフレームの外形状を形成する一次加工処理と、前記積層材を加熱して、フレーム細部に形状変化を施して所定形状にする二次加工処理と、を有し、積層材からフレーム12の切り出しを、二次加工処理の前、又は後に実行することを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る釣糸ガイド1は、リング保持部17と、釣竿に装着される固定部15とを具備し、繊維強化プリプレグによって構成されるフレーム12を有しており、その製造方法は、繊維強化プリプレグを積層した積層材からフレームの外形状を形成する一次加工処理と、前記積層材を加熱して、フレーム細部に形状変化を施して所定形状にする二次加工処理と、を有し、積層材からフレーム12の切り出しを、二次加工処理の前、又は後に実行することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に装着されて釣糸を案内する釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した釣糸ガイドは、釣竿の外周面に装着されるフレームと、フレームに止着され、実際に釣糸が挿通されるガイドリングとを備えた構成となっている。前記フレームは、例えば、特許文献1に記載されているように、ステンレスやチタン等の金属製の板材料をプレス加工することで一体形成するのが一般的となっており、フレームには、釣糸を挿通させるガイドリングを保持するためのリング保持部と、釣竿の外表面に装着するための固定部が一体形成されている。
【0003】
また、本発明者は、先の出願(特許文献2)において、釣糸ガイドを繊維強化樹脂によって形成することを提案している。この先行技術では、繊維強化プリプレグを屈曲状態にして金型に設置し、その後、加熱硬化することで釣糸ガイドの形状に対応する屈曲した板状体を形成し、この板状体からフレーム部分を切り出すことで釣糸ガイドのフレーム部分を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−340661号
【特許文献2】特願2009−83178号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示されている釣糸ガイドでは、フレームが金属材料で形成されているため、重量が重くなると共に撓み性も悪く、釣竿の性能の向上を図る上でネックとなっている。例えば、より軽量化が要求される釣竿では、上記したような釣糸ガイドを軸長方向に沿って多数装着すると、所望の性能が発揮できなくなってしまう。そこで、上記した特許文献2で提案した釣糸ガイドによれば、釣糸ガイドのフレームが繊維強化樹脂(例えば、FRP又はFRTP)によって形成されるため、そのような問題点を解決することが可能となる。
【0006】
ところで、特許文献2の実施例1で提案されている釣糸ガイドでは、板状体から釣糸ガイドのフレームを形成することから、その表面が平面状となってしまい、外観の面において更に改良する余地がある。すなわち、特許文献1に開示されているフレームと同様、屈曲形成されてはいるものの、それぞれの表面の延出方向を考慮すると、全て平面状部となっており、更に、切り出して形成されるフレームの縁部については、その平面状部に対して垂直方向に切り出されることから、フレーム表面における方向性が乏しく、外観形状を考慮すると改良する余地がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、軽量化、及び強度の向上が図れると共に、外観形状が良好な繊維強化樹脂製の釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、リング保持部と、釣竿に装着される固定部とを具備し、繊維強化プリプレグによって構成されるフレームを有する釣糸ガイドを製造する方法であって、繊維強化プリプレグを積層した積層材から前記フレームの外形状を形成する一次加工処理と、前記積層材を加熱して、フレーム細部に形状変化を施して所定形状にする二次加工処理と、を有し、前記積層材からフレームの切り出しを、前記二次加工処理の前、又は後に実行することを特徴とする。
【0009】
上記した構成の釣糸ガイドの製造方法によれば、一次加工処理において、フレームの外形状を特定し、その後、さらに積層材を加熱して二次加工処理を施すことにより、フレームの部分的な形状や、細部の形状調整を精度良く行うことが可能となり、これにより、軽量化、及び強度の向上が図れると共に、質感の向上した釣糸ガイドが得られる。なお、積層材からのフレームの切り出しは、一次加工処理時に行い、切り出された状態のフレームに対して二次加工処理を実施しても良いし、一次加工処理に引き続いて二次加工処理を行い、その後、フレームの切り出し処理を行うようにしても良い。また、前記繊維強化プリプレグは、強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸したもの、或いは、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸したものであっても良い。
【0010】
また、上記した目的を達成するために、本発明は、リング保持部と、釣竿に装着される固定部とを具備し、板状体に形成された繊維強化プリプレグの積層材から切り出されたフレームを有する釣糸ガイドであって、前記フレームは、板状体の表面となる平面状部を有すると共に、いずれかの部位に加工処理面を有しており、前記加工処理面の表面の延出方向は、前記平面状部を含む延出方向に対して交差していることを特徴とする。
【0011】
上記した構成の釣糸ガイドでは、釣糸ガイドのフレーム部分が、繊維強化プリプレグによって構成されるため、軽量で高強度の釣糸ガイドが得られる。また、フレームには、例えば、板状体を切り出した際に形成される平面状部に加え、所望の位置に、その平面状部を含む延出方向に対して交差する方向となる加工処理面が形成されるため、フレーム全体の外観が向上した釣糸ガイドとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軽量化、及び強度の向上が図れると共に、外観形状が良好な繊維強化樹脂製の釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る釣糸ガイドが装着される釣竿の一例を示す図。
【図2】釣糸ガイドの第1の実施形態を示す斜視図。
【図3】図2に示す釣糸ガイドの正面図。
【図4】図2に示す釣糸ガイドの縦断面図。
【図5】図3のA−A線に沿った断面図。
【図6】図3のB−B線に沿った断面図。
【図7】図3のC−C線に沿った断面図。
【図8】(a)及び(b)は、それぞれ図6に示した支脚部の変形例を示す断面図。
【図9】リング保持部におけるガイドリングを装着する部分の拡大断面図。
【図10】フレームを形成するプリプレグの積層構造を示す図。
【図11】一次加工処理で形成されるフレームを形成する板状体を示す斜視図。
【図12】図11に示す板状体を形成する金型の概略構成を示す図。
【図13】板状体からフレーム部分を切り出す状態を説明する図。
【図14】二次加工処理で用いられる金型の概略構成を示す図。
【図15】支脚部の左右脚に対して二次加工処理を行うことを説明する図。
【図16】支脚部に対して二次加工処理を行うことを説明する図。
【図17】本発明に係る釣糸ガイドの第2の実施形態を示す側面図。
【図18】本発明に係る釣糸ガイドの第3の実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る釣糸ガイド、及びその製造方法の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る釣糸ガイドが装着される釣竿の一例を示す図である。釣竿1は、複数の竿杆2を継合することで構成されており、基端側に図示しない魚釣用リールが装着されるリールシート5が設けられ、各竿杆には、所定間隔をおいて、魚釣用リールから繰り出される釣糸を案内する釣糸ガイド10が装着されている。この場合、釣糸ガイド10は、後述する釣糸固定部を竿杆表面に載置し、糸巻き、接着などによって装着される。なお、釣糸ガイドについては、竿杆に対して固定される、いわゆる固定ガイドとして構成されていても良いし、竿杆に沿って摺動可能な遊動ガイドとして構成されていても良い。また、釣竿については、1本竿、並継竿、振り出し竿など、その構成については、特に限定されることはなく、さらに、本実施形態の釣糸ガイドは、中通式の釣竿の導入ガイド部分、トップガイド部分についても適用することが可能である。
【0016】
次に、図2から図9を参照して、図1に示した釣竿に装着される釣糸ガイドの構成について説明する。なお、これらの図において、図2は、釣糸ガイドの第1の実施形態を示す斜視図、図3は、図2に示す釣糸ガイドの正面図、図4は、図2に示す釣糸ガイドの縦断面図、図5は、図3のA−A線に沿った断面図、図6は、図3のB−B線に沿った断面図、図7は、図3のC−C線に沿った断面図、図8(a)及び(b)は、それぞれ図6に示した支脚部の変形例を示す断面図、そして、図9は、リング保持部におけるガイドリングを装着する部分の拡大断面図である。また、図4において、D1方向が前方側(穂先側)、D2方向が後方側(元竿側)となる。
【0017】
釣糸ガイド10は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグ(以下、プリプレグと称する)によって形成されたフレーム12を備えている(プリプレグの構成、及びフレームの詳細な製造方法については後述する)。このフレーム12は、図1に示す釣竿(竿杆2)の外表面に装着される固定部15と、釣糸が挿通されるガイドリング40が取り付けられるリング保持部17と、リング保持部17と固定部15との間を連結する支脚部18とを具備している。なお、プリプレグを構成する合成樹脂は、後述するように、熱可塑性(FRTP)のものであっても良いし、熱硬化性(FRP)のものであっても良い。
【0018】
前記固定部15は、フレームの下端において、釣竿の表面に固定される部位(足部とも称される)であり、本実施形態では軸長方向に延び、その裏側の当接面15aが釣竿の表面に載置した状態で、糸止め、接着等によって固定される板状片で形成されている。
【0019】
前記リング保持部17は、釣竿の表面から離間した状態で釣糸を案内させるべく、ガイドリング40を止着させる部位である。リング保持部17には、ガイドリング40を嵌入、固定させるための開口17aが形成されており、全体として略円形の外形状を備えている。この場合、開口17aに嵌入されるガイドリング40は、リング状に構成され、その内周面である釣糸案内面40a部分での摺動抵抗が小さい部材、例えば、チタン、アルミ、SUS、セラミックス等によって形成されている。このガイドリング40は、フレーム12が前記プリプレグによって一体形成された後、リング保持部17の開口17aに対して嵌入、固定される。なお、「リング保持部」とは、上記したガイドリング40を装着して釣糸を案内する他、ガイドリングを装着することなく、開口17aで直接、釣糸を案内する構成も含む。
【0020】
また、前記支脚部18は、リング保持部17(ガイドリング40)を釣竿の表面から離間させるように、固定部15とリング保持部17とを連結する部位である。この場合、釣糸ガイドの構成によっては、支脚部を形成することなく、リング保持部の部分に、そのまま固定部15を形成した構成であっても良い。また、本実施形態の支脚部18は、上方に移行するに従って次第に幅広となっており、前記された略円形のリング保持部17に一体的に連結される。この場合、図に示すように、支脚部18には、軽量化を図るために、開口(肉抜き)18aを形成しておいても良い。
【0021】
本実施形態のフレーム12は、後述するように、板状体を切り出すことで形成される。フレーム12は、遊動ガイドに適用できるように、単なる平板状に形成されていても良いし、図に示すように、固定部15とリング保持部17との間に支脚部を形成することで屈曲部を有する構造としても良い。フレームに屈曲部を形成するのであれば、後述するように、予め、平板状の板状体に対して、対応する領域を屈曲させて屈曲部を形成しておけば良く、本実施形態では、固定部15と支脚部18との間の境界部分に第1屈曲部19が形成されており、支脚部18のリング保持部17側に、第1屈曲部よりも緩やかに屈曲した第2屈曲部20が形成されている。
【0022】
フレーム12に、上記したような屈曲部を形成する場合、特に、支脚部18に第2屈曲部20を形成しておくことで、フレーム全体として、屈曲させることによる曲げ角度を段階的に設定することが可能となり、応力集中を分散させて強度を向上することが可能となる。
【0023】
前記フレーム12は、後述するように、板状体に形成されたプリプレグの積層材から切り出しすることで形成されるため、そのフレームは、板状体の表面となる平面状部を有することとなる。この平面状部とは、後述する二次加工処理によって形成される加工処理面を除く平面形状の部分を意味しており、本実施形態では、板状体の表面によって形成される部位である。このため、上記した固定部15、リング保持部17、及びそれらの間に支脚部18を形成すべく板状体を屈曲させても、各部位の表面は、そのまま平面状となっており、この部分は「平面状部」となる。
【0024】
本発明では、プリプレグに対してフレームの外形状を形成する一次加工を施した後に、更に、所望の平面状部位に対して二次加工処理(加熱して形状変化させる加工処理)を施して、その平面状部位の延出方向に対して交差する加工処理面を形成することに特徴がある。すなわち、このような二次加工処理を施すことで、フレームには、例えば、平面状部が所定角度傾斜したり、断面形状が山形又は弧状で長さ方向に沿って延びる平面状部が形成されたり、平面な部分を残した状態で部分的に凹部や凸部が形成されるようになる。このような二次加工処理によって形成される加工処理面は、適所にテーパを形成したり、絞りを形成したり、面取りを形成する等、平面状部に対して屈曲した屈曲面(平面状、湾曲状、これらの複合面を含む)を形成し、これにより、フレーム全体としてみた場合、平坦的な外観ではなく、立体的な外観とすることが可能となる。
【0025】
ここで、本実施形態のフレーム12において、二次加工処理によって形成される加工処理面について具体的に説明する。
【0026】
図5は、図3のA−A線に沿った断面図である。上記したように、リング保持部17には、ガイドリング40を固定する開口17aが形成されており、図5において、軸Xを含む面が平面状部となる。すなわち、リング保持部17の穂先側及び元竿側の表面部は、一次加工処理によって形成される平面状部であり、切り出し加工によって開口17aが形成される。この場合、ガイドリング40が装着される内面部分については、二次加工処理によって絞り加工処理面が形成されていても良い(図9参照)。
【0027】
図6は、図3のB−B線に沿った断面図である。上記したように支脚部18には開口18aが形成されることから、支脚部18は、左脚18bと右脚18cとで構成される。この場合、左脚と右脚の形状は、内側の開口側が前方(穂先側)D1に突出するように形成される。すなわち、図6において、軸Xを含む面が平面状部となるが、このような平面状部に対して、左脚18b,右脚18cは、傾斜角θで内側の開口側が前方に突出するような平面状の傾斜面を有するように二次加工処理される。
【0028】
図7は、図3のC−C線に沿った断面図である。上記したように、支脚部18には、開口18aが形成されるものの、その下方側は、左脚18bと右脚18cが一体化される部分となる。この一体化される部分いついては、中心側が前方D1に突出するように、断面V字形状に形成される。すなわち、図7においても、軸Xを含む面が平面状部となるが、このような平面状部に対して、平面状の複合面18d,18eを有するように二次加工処理される。
【0029】
なお、上記した加工処理面は、一例を示したものであり、種々変形することが可能である。例えば、左脚18b,18cについては、図8(a)に示すように、軸X上に曲率半径の中心を存在させて湾曲させたり、図8(b)に示すように、各脚をV字型に屈曲させるなど、適宜変形することが可能である。なお、この場合、湾曲をきつくしたり、V字の屈曲角度を大きくし過ぎると、二次加工処理後に強化繊維が蛇行するなど、強度低下する可能性もあるため、加工処理面については、大きく湾曲させたり、大きく屈曲させない方が好ましい。具体的には、湾曲面の場合、強化繊維の直径の5倍以上、好ましくは10倍以上の半径で強化繊維が折り曲がり、方向変化するように形成することが好ましい。また、屈曲面にするのであれば、屈曲させる角度が90°以下(好ましくは、図8(b)で示す角度αが60°以下(ただし5°以上とする))の範囲で二次加工することが好ましい。さらに、折り曲げ部分を形成するのであれば、平面状(二次加工前の平面と繊維方向および積層状態を維持した状態の平面状)の面をサイドに形成することが好ましい。
【0030】
また、表面層については、上記した二次加工処理をしても、一次加工処理時と同じ積層状態となっており、例えば、平織り、朱子折り、三軸織りの外観を備えている。具体的には、図9に示すように、リング保持部17の穂先側及び元竿側の表面部は、上記したように、一次加工処理によって平面状部が形成され、かつ切り出し加工によって開口17aが形成されるが、ガイドリング40が装着される内面部分については、二次加工処理によって、平面状部から釣糸挿通方向に沿って屈曲される加工処理面17dが形成されていても良い。この場合、リング保持部17の積層状態と加工処理面17dにおける積層状態は、同じとなるように二次加工処理を施すことが好ましい。
【0031】
また、折り曲げ部(図2及び図3において符号Pで示す位置)等、強化繊維が急角度で変化する部分については、破損などが生じ易いことから、長さ方向に沿うように形成しないことが好ましい。仮に形成せざるを得ない場合は、その部分の肉厚又は断面積を、例えば、補強層を配置する等して、その前後の部分よりも1.3倍以上、好ましくは1.5倍以上大きくするのが良い(ただし、3倍以上にする必要はない)。
【0032】
次に、上記したような形態のフレーム12を形成する方法について説明する。最初に、図10から図13を参照して一次加工処理の全体的な工程について説明し、次に、二次加工処理の工程、及びプリプレグの積層状態や強化繊維の配列状態について説明する。
【0033】
上記したように、フレーム12は、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグによって形成される。この場合、プリプレグは、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの強化繊維が所定の方向に引き揃えられた状態、或いは編成されたシート状に構成されており、熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリフェニルサルファイド、熱可塑ポリウレタン)や、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂)をマトリックス樹脂として含浸した構成となっている。前記マトリックス樹脂は、常温で、未硬化状態、半硬化状態、硬化状態のいずれの状態であっても良い。なお、二次加工処理を施すに際しては、熱可塑性樹脂の場合と、熱硬化性樹脂の場合とでは、その処理工程が異なる。
【0034】
最初に熱可塑性樹脂のプリプレグによる積層材について説明する。
まず、上記したようなプリプレグを所定形状に裁断し、これを複数層となるように重ね合わせて積層材を形成する。図10は、7枚のプリプレグを積層した板状の積層材30を示している(プリプレグを積層して形成される繊維強化樹脂層が、それぞれ符号30a〜30dで示されている;同一のプリプレグについては同一の参照符号が付されている)。この場合、重ね合わせるプリプレグの枚数(層数)や、個々のプリプレグの構成については特に限定されることはないが、上記したように、フレーム12に屈曲部19,20を形成すること、使用時においてフレーム12には負荷が加わること、装着される釣竿の特性や装着部分、更には、二次加工処理によって形成する加工処理面の形状等を考慮し、プリプレグの種類や重ねる条件が任意に調整される。
【0035】
なお、前記積層材30については、板状(単純な平板形状の他、例えば、T字状、Y字状、H字状の形状であっても良い)や、管状(中空の円筒形や楕円形等)など、切り出した後のフレームの狙いの形状によって任意の形状にすることが可能である。
【0036】
上記のように積層されるプリプレグに対して一次加工処理が施される。この一次加工処理では、まず、図12に示すような金型50にセットされる。本実施形態の金型50は、上下に型割りされる上型51と下型52によって構成されており、積層されたプリプレグ(積層材30)は、下型52の所定位置にセットされる。上型51と下型52との間には、積層材30がセットされる位置に応じて空洞部50aが形成されており、その表面領域には、離型剤がコーティングされている。
【0037】
上記金型50を構成する上型51は凹状、下型52は凸状に構成されており、両者を押圧した際に、上記した固定部15、リング保持部17、及び支脚部18を有するフレーム12が形成されるように、両者の間に前記空洞部(この空洞部については、フレーム12の肉厚に対応している)50aが形成されている。そして、下型52には、前記積層材30を載置した際、上記した屈曲部19,20に対応する位置に、屈曲形成凸部52a,52bが形成され、上型51には、屈曲形成凸部52a,52bに対応して屈曲形成凹部51a,51bが形成されている。
【0038】
なお、前記積層材30は、一度に全体を重ね合わせた状態で下型にセットしても良いし、1枚ずつセットする等、複数回に分けて積層しても良い。このように複数回に分けることにより、強化繊維の動きを少なくして、精度良く下型52の所定位置にセットすることもできる。本実施形態では、上記のように、金型50を上下割りにしているため、積層材30は下型52に載置して、金型の形状に合わせて所定形状に保持する。もちろん、金型については、一例を示したに過ぎず、型割りの方向については、左右方向としたり、傾斜方向にする等、任意の形態にすることが可能である。
【0039】
そして、積層材30を下型52にセットした後、載置材30を加圧し固定する。この加圧、固定時では、マトリックス樹脂の可塑温度(材料に依存するが摂氏140℃〜600℃)に加熱する。加圧、固定については、上型51によって締め付けしても良いし、手や押圧具で押し付けても良い。この段階で、前記屈曲部を含め、成形後のフレーム形状に相当する形が保持される。
【0040】
なお、上記した屈曲部を金型50で押えて加熱するときに、その屈曲部は、その前後の領域よりも相対的に強く加圧することが好ましい。このように、屈曲部の領域を強く加圧することで、成形されたフレームの屈曲部(19,20)のボイドを防止することができ、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。また、これに伴い、成形されたフレーム12の屈曲部19,20は、その前後の領域(固定部や支脚部)よりも繊維比率を高くすることができるので、破損等しやすい屈曲部を強化することが可能となる。
【0041】
図11は、プリプレグを積層した平板状の板状体(積層材30)が、上記した一次加工処理によって加圧、加熱処理された後、常温で硬化させた状態(フレーム12の外形状を構成する板状体30A)を示している。この場合、前記フレーム12については、形成された板状体30Aから複数個、切り出されることとなるが、この切り出し処理については、以下の二次加工処理の前の段階で行っても良いし、二次加工処理が終わった段階で行っても良い。
【0042】
ここで、形成された板状体30Aから、個々のフレームを切り出す処理について説明する。
上記したように、積層材30を金型で加熱処理した後、取り出すと屈曲部19,20が形成された板状体30Aとなっている。この板状体30Aに対し、プレス加工による切り出し、液体(ウォータージェット等)による切り出し、或いは刃具(エンドミル等)による切り出し等、任意の方法を採用することで、図13に示すように、1枚の板状体30Aから複数のフレーム12を切り出すことが可能となり、軽量で高強度の釣糸ガイドを効率良く製造することが可能となる。
【0043】
なお、この切り出し処理時において、フレーム12の基本的な外形状、すなわち、開口17aを有するリング保持部17、開口18aを有する支脚部18等を同時に形成することが好ましいが、これらを別々の工程で形成しても良い。また、前記板状体30Aを形成するための積層材30に関しては、一枚の単純な平面形状に限らず、積層厚さを位置によって変化させたり、板状部分が複数方向に延びる形状(T字形状や逆Y字形状等)としたり、曲面形状を含んでいたり、更には、複数の板状の部分が組み合わされていても良い。
【0044】
上記したように、切り出された個々のフレーム12、或いは切り出し処理が成される前の板状体30Aに対して、上述した加工処理面を形成すべく、二次加工処理が施される。以下、図14から図16を参照して、図6及び図7に示した加工処理面を形成する工程について説明する。なお、板状体30Aに対して二次加工処理を施しても良いが、以下においては、一次加工が終了し、板状体30Aから切り出された1つのフレーム12に対して二次加工処理を行うものとして説明する。
【0045】
二次加工処理では、フレーム12(板状体30A)が、図14に示すような金型60にセットされる。この金型60は、上記した金型50と同様、上下に型割りされる上型61と下型62によって構成されており、所定の位置に加工処理面が形成されるように、凹凸が形成されている。具体的には、上型61と下型62との間には、フレーム12がセットされる空洞部60aが形成されている。また、支脚部18の開口に合わせて、下型62には凸部62aが形成されると共に、凸部62aの両サイドには、左右脚18b,18cを図6に示したように傾斜させるための傾斜面62b,62cが形成されている(図15参照)。また、下型62には、支脚部18を、図7に示したようにV字形状に形成するための山状の凸部62dが形成されている(図16参照)。そして、これらの凸部62a,62dに合わせて、上型61にも凹部61a,61dがそれぞれ形成されている。
【0046】
これにより、切り出されたフレーム12を、下型62の所定位置にセットし、その後、樹脂が可塑状態となるまで加熱し、樹脂が屈曲可能な状態となった時点で金型に圧力を加え、その加圧状態を保持することで加工処理面が形成される。そして、その後、常温に冷却することにより、安定した状態の加工処理面が形成される。なお、上型61と下型62の表面領域には、離型剤がコーティングされている。
【0047】
上記した二次加工処理が終了した後は、細部加工処理が施される。この細部加工処理は二次加工処理が終了したフレーム12に対して施すこととなるが、フレームを切り出し処理していないのであれば、二次加工処理が終了した時点での板状体30A、或いは、板状体30Aから切り出し処理がされたフレーム12に対して施される。この細部加工は、例えば、角部にRを付けたり、固定部15の形状を釣竿に載置し易いように曲面状に形成したり、糸巻き・糸止めし易いように、固定部の端部を研削・研磨等することが該当する。
【0048】
次に、個々のフレーム12に対して表面処理を施す。例えば、バレル加工を施すことで、表面のバリを除去すると共に、表面の光沢が得られる程度に仕上げ研磨を施す。この研磨の程度については、釣糸ガイドのサイズや形状、材質特性などによって研磨剤や研磨時間などを任意に調整することが可能である。このようなバレル加工を施すことにより、強化繊維を切断することなく、フレームを研磨することが可能となり、強度の安定化が図れると共に、外観の優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。
【0049】
なお、このような研磨工程を施すに際しては、フレームの表面に強化繊維が一部露出しマトリックス樹脂が一部残るように研磨することが好ましい。こうすることで、研磨表面の光沢をより一層向上することが可能となる。
【0050】
次に、必要に応じて、フレームの全体又は一部分に被膜を形成する。例えば、外観向上やフレーム本体の保護のために塗装を行なうことや、金属やセラミックスを蒸着等することも可能である。
【0051】
そして、上記したように形成されたフレームの開口17aの部分にガイドリング40を取り付ける。ガイドリングの取り付け方法は、圧入や接着、カーリング、その他、任意の固定方法を採用することが可能である。
【0052】
次に、熱硬化性樹脂を用いたプリプレグによる積層材である場合について説明する。
最初、上記した熱可塑性樹脂の場合と同様、プリプレグを所定形状に裁断し、これを複数層となるように重ね合わせて積層材30を形成し、一次加工処理を行う。
【0053】
一次加工処理では、熱可塑性樹脂の場合と同様、積層材30を、図12に示すような金型50にセットし、積層材30を加圧、固定する。この加圧、固定については、上型51によって締め付けしても良いし、手や押圧具で押し付けても良い。また、このとき、プリプレグが硬化する温度よりも低い温度で加熱処理を行い、積層材30が半硬化状態(仮キュア)となるように加工処理を行う。この段階で、前記屈曲部を含め、成形後のフレーム形状に相当する形が保持され、これにより、半硬化状態の板状体30Aが得られる(図11参照)。なお、ここでの積層材30の半硬化状態とは、未硬化状態で、形状変形が可能等、機械成形が可能な状態を意味する。
【0054】
次に、半硬化状態の板状体30Aに対し、二次加工処理を行う。この二次加工処理を行うに際しては、その前段階で、半硬化状態の板状体30Aからフレーム12の切り出し処理をしても良いし、その後で切り出し処理を行っても良い。
【0055】
二次加工処理では、フレーム12(板状体30A)が、図14から図16に示したような金型にセットされる。すなわち、フレーム12(板状体30A)を、下型の所定位置にセットして、その後、金型に圧力を加え、その加圧状態を保持して半硬化状態のフレーム12(板状体30A)が硬化する温度に加熱処理を施して加工処理面を形成する。
【0056】
加工処理面が形成されたフレーム12(板状体30A)は、その後、上記した熱可塑性樹脂の場合と同様、細部加工処理、表面処理が施され、これにより外観が向上したフレームが得られる。このように、プリプレグのマトリックス樹脂が熱硬化性のものであれば、一次加工処理においては、硬化温度より低い温度でマトリックス樹脂を半硬化状態(未硬化状態)でフレームの外形状を形成しておき、その状態で、更に所望の加工処理面が形成されるように、硬化温度以上に加熱処理しながら、最終的なフレーム形態を得るようにしている。
【0057】
そして、上記した熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を用いたプリプレグによる積層材に対する二次加工処理においては、マトリックス樹脂の材料、加工処理面を形成するための変形量、強化繊維の配置等によって、加圧力、加圧時間、加熱温度などが調整されるが、これらは、二次加工処理が終了した後の所定形状に形成したフレーム12の繊維強化プリプレグの積層構造に関し、平面状部における強化繊維の方向と積層した層の配置が、一次加工処理時の積層材における強化繊維の方向と積層した層の配置と同じになるように調整しておくことが好ましい。すなわち、一次加工処理後の強化繊維の配置や方向を固定化した上で、二次加工処理を行うようにするのが良い。ここで、同じとは、二次加工処理によって元の形状が変わっていても、強化繊維の方向や層の配置状態が、表面部を基準にして相対的に同じ配置状態を維持していることを意味する。
【0058】
このようにすることで、二次加工処理による形状変化する平面状部の強化繊維の方向や積層配置を安定化することができ、強度の向上、安定化が図れるようになる。また、フレームの形状を任意にできると共に、繊維方向などを加工前の状態と同じにすることで、積層や繊維方向が二次加工を加えた部分と加えない部分の外観を同じ状態に維持することができ、違和感の発生を防止して、優れた外観にすることが可能となる。
【0059】
次に、上記したようなプリプレグによってフレーム12を形成するに際して、そのプリプレグの好ましい配置態様等について説明する。
【0060】
本実施形態の積層材30は、図10に示したように、釣竿の軸長方向に沿って強化繊維を引き揃えた軸長方向繊維樹脂層30aと、釣竿の軸長方向に対して所定の角度を有する交差方向に強化繊維を引き揃えた斜向繊維樹脂層30b,30cと、強化繊維を編成した織布層30dと、を有している。
【0061】
具体的には、本実施形態では、フレームの厚さの中間位置となる中立軸エリア(図10において、中立軸をX1で示す)に、強化繊維を軸長方向に引き揃えたプリプレグによって軸長方向繊維樹脂層30aが配設され、その外側(両側)に、軸長方向に対して所定の角度(傾斜角度は任意であるが15〜75度が好ましく、より好ましくは30〜60度)に強化繊維を引き揃えたプリプレグによって斜向繊維樹脂層30b,30cが配設され、さらに、最外層(両側の全面となっているが部分的に最外となる領域でも良い)に強化繊維を編成したプリプレグによって織布層30dが配設されている。なお、前記軸長方向繊維樹脂層30aは、複数層(1層〜4層)あっても良い。また、前記斜向繊維樹脂層30b,30cについては、夫々の層における強化繊維の指向方向は異なっていても良い。
【0062】
このように、繊維強化樹脂製の釣糸ガイドを形成するに際しては、フレーム自体を平面視した際、少なくとも三方向に強化繊維が指向した状態となるようなプリプレグを選択し、積層することが好ましい。すなわち、強化繊維の指向方向を三方向以上とすることで、効率良く、軽量で強度的に優れた釣糸ガイドを形成することが可能となる。
【0063】
また、上記したプリプレグの配置構成のように、フレーム12の最外層には、織布層30dを配設することが好ましい。これは、フレーム12の表面は、他物が当たり易く、剥離などし易い部分であること、及び、実釣時において、釣糸の張力によってフレームが撓む等、フレーム端部から強化繊維が剥離したり、破損する可能性があることから、この表面領域に強化繊維が編成された織布層を配設しておくことで、強化繊維の裂けや剥離が効果的に防止でき、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。また、屈曲部19,20についても相対的に強化することができ、軽量で強度バランスに優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。
【0064】
また、上記した構成のように、フレーム12の中間層領域には、軸長方向繊維樹脂層30aを配設することが好ましい。これにより、フレーム12に対し、軸長方向に沿って釣糸の張力等によって撓み力が作用しても、その方向の比剛性を、軽量化を図りながら効率良く高めておくことが可能となる。
【0065】
また、屈曲部19,20については、その前後の領域よりも繊維比率を高くしておくことが好ましい。例えば、上記した一次加工処理工程で説明したように、加熱成形時に屈曲部の領域の押圧力を高くすることで、樹脂が流出して屈曲部の繊維比率を高くすることが可能であり、このように構成することで、負荷が作用してフレームが撓んでも破損し難い釣糸ガイドにすることが可能となる。
【0066】
上記したような製造方法によって形成される釣糸ガイドによれば、金属製のものと比較して、重量が軽くなり、更には、比強度、比剛性、及び撓み性に優れた構成とすることが可能となる。このため、そのような釣糸ガイドを多数個装着しても釣竿全体が重量化することはなく、釣竿の性能が向上する。特に、穂先竿のような部分では、より軽量化が図れることから、繊細な当たりを感知し易くなり、より釣竿の性能の向上を図ることが可能となる。
【0067】
また、繊維強化プリプレグを積層形成し、これを切り出した後のフレーム12(或いは板状体30A)を、再び加熱加工処理(二次加工処理)することで、フレームの部分的な形状や角度の調整などを精度良く形成することが可能となる。また、積層形成して強化繊維の配置や方向を固定化した上で、二次的に形状を調整することにより、強化繊維の移動や合成樹脂の流動を防止することが可能となり、強度の向上、安定化が図れると共に、複雑な形状のフレームを形成することが可能となる。
【0068】
例えば、図17に示す釣糸ガイド10Aのフレーム12Aのように、リング保持部17Aから、穂先側及び元竿側に向けて支脚部18Aを形成し、各支脚部の端部に、前後方向に突出する固定部15Aを有する構造にすることも可能である。或いは、図18に示す釣糸ガイド10Bのフレーム12Bのように、リング保持部17Bから、穂先側に向けて支脚部18Bを形成し、その端部に前方に突出する固定部15Bを形成すると共に、リング保持部17Bの上端部から元竿側に向けて傾斜する一対の支脚部18Cを有する構造にすることも可能である。この場合、一対の支脚部18Cを、図6及び図8に示したような加工処理面に加工することが可能であり、これにより、外観の優れた釣糸ガイドとすることが可能である。なお、図18に示した釣糸ガイドは、中通釣竿の釣糸導入ガイド部分に適用することも可能である。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した構成に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0070】
本発明は、釣糸ガイドを構成するフレーム部分を、繊維強化プリプレグで構成すると共に、一次加工処理で、フレームの外形状を形成し、更に、二次加工処理(再び加熱処理して形状変化させる)を施すことで、フレームの所望の位置に、平面状部に対して交差するような加工処理面を形成することに特徴がある。このため、上記したフレームを構成するプリプレグについては、強化繊維の種類や弾性率、樹脂含浸量、肉厚などの構成、及び積層状態等については、上述した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0071】
また、フレームの全体形状についても、釣竿に挿通されて釣竿に対して摺動可能に外嵌される遊動ガイドとして構成されていても良い。このような遊動ガイドであれば、上記したフレーム12に屈曲部を形成しなくても良く、また、積層材30を、管状の部材として構成することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 釣竿
10,10A,10B 釣糸ガイド
12,12A,12B フレーム
15,15A,15B 固定部
17,17A,17B リング保持部
18,18A,18B,18C 支脚部
30 積層材
30A 板状体
40 ガイドリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に装着されて釣糸を案内する釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した釣糸ガイドは、釣竿の外周面に装着されるフレームと、フレームに止着され、実際に釣糸が挿通されるガイドリングとを備えた構成となっている。前記フレームは、例えば、特許文献1に記載されているように、ステンレスやチタン等の金属製の板材料をプレス加工することで一体形成するのが一般的となっており、フレームには、釣糸を挿通させるガイドリングを保持するためのリング保持部と、釣竿の外表面に装着するための固定部が一体形成されている。
【0003】
また、本発明者は、先の出願(特許文献2)において、釣糸ガイドを繊維強化樹脂によって形成することを提案している。この先行技術では、繊維強化プリプレグを屈曲状態にして金型に設置し、その後、加熱硬化することで釣糸ガイドの形状に対応する屈曲した板状体を形成し、この板状体からフレーム部分を切り出すことで釣糸ガイドのフレーム部分を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−340661号
【特許文献2】特願2009−83178号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示されている釣糸ガイドでは、フレームが金属材料で形成されているため、重量が重くなると共に撓み性も悪く、釣竿の性能の向上を図る上でネックとなっている。例えば、より軽量化が要求される釣竿では、上記したような釣糸ガイドを軸長方向に沿って多数装着すると、所望の性能が発揮できなくなってしまう。そこで、上記した特許文献2で提案した釣糸ガイドによれば、釣糸ガイドのフレームが繊維強化樹脂(例えば、FRP又はFRTP)によって形成されるため、そのような問題点を解決することが可能となる。
【0006】
ところで、特許文献2の実施例1で提案されている釣糸ガイドでは、板状体から釣糸ガイドのフレームを形成することから、その表面が平面状となってしまい、外観の面において更に改良する余地がある。すなわち、特許文献1に開示されているフレームと同様、屈曲形成されてはいるものの、それぞれの表面の延出方向を考慮すると、全て平面状部となっており、更に、切り出して形成されるフレームの縁部については、その平面状部に対して垂直方向に切り出されることから、フレーム表面における方向性が乏しく、外観形状を考慮すると改良する余地がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、軽量化、及び強度の向上が図れると共に、外観形状が良好な繊維強化樹脂製の釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、リング保持部と、釣竿に装着される固定部とを具備し、繊維強化プリプレグによって構成されるフレームを有する釣糸ガイドを製造する方法であって、繊維強化プリプレグを積層した積層材から前記フレームの外形状を形成する一次加工処理と、前記積層材を加熱して、フレーム細部に形状変化を施して所定形状にする二次加工処理と、を有し、前記積層材からフレームの切り出しを、前記二次加工処理の前、又は後に実行することを特徴とする。
【0009】
上記した構成の釣糸ガイドの製造方法によれば、一次加工処理において、フレームの外形状を特定し、その後、さらに積層材を加熱して二次加工処理を施すことにより、フレームの部分的な形状や、細部の形状調整を精度良く行うことが可能となり、これにより、軽量化、及び強度の向上が図れると共に、質感の向上した釣糸ガイドが得られる。なお、積層材からのフレームの切り出しは、一次加工処理時に行い、切り出された状態のフレームに対して二次加工処理を実施しても良いし、一次加工処理に引き続いて二次加工処理を行い、その後、フレームの切り出し処理を行うようにしても良い。また、前記繊維強化プリプレグは、強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸したもの、或いは、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸したものであっても良い。
【0010】
また、上記した目的を達成するために、本発明は、リング保持部と、釣竿に装着される固定部とを具備し、板状体に形成された繊維強化プリプレグの積層材から切り出されたフレームを有する釣糸ガイドであって、前記フレームは、板状体の表面となる平面状部を有すると共に、いずれかの部位に加工処理面を有しており、前記加工処理面の表面の延出方向は、前記平面状部を含む延出方向に対して交差していることを特徴とする。
【0011】
上記した構成の釣糸ガイドでは、釣糸ガイドのフレーム部分が、繊維強化プリプレグによって構成されるため、軽量で高強度の釣糸ガイドが得られる。また、フレームには、例えば、板状体を切り出した際に形成される平面状部に加え、所望の位置に、その平面状部を含む延出方向に対して交差する方向となる加工処理面が形成されるため、フレーム全体の外観が向上した釣糸ガイドとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軽量化、及び強度の向上が図れると共に、外観形状が良好な繊維強化樹脂製の釣糸ガイド、及びそのような釣糸ガイドの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る釣糸ガイドが装着される釣竿の一例を示す図。
【図2】釣糸ガイドの第1の実施形態を示す斜視図。
【図3】図2に示す釣糸ガイドの正面図。
【図4】図2に示す釣糸ガイドの縦断面図。
【図5】図3のA−A線に沿った断面図。
【図6】図3のB−B線に沿った断面図。
【図7】図3のC−C線に沿った断面図。
【図8】(a)及び(b)は、それぞれ図6に示した支脚部の変形例を示す断面図。
【図9】リング保持部におけるガイドリングを装着する部分の拡大断面図。
【図10】フレームを形成するプリプレグの積層構造を示す図。
【図11】一次加工処理で形成されるフレームを形成する板状体を示す斜視図。
【図12】図11に示す板状体を形成する金型の概略構成を示す図。
【図13】板状体からフレーム部分を切り出す状態を説明する図。
【図14】二次加工処理で用いられる金型の概略構成を示す図。
【図15】支脚部の左右脚に対して二次加工処理を行うことを説明する図。
【図16】支脚部に対して二次加工処理を行うことを説明する図。
【図17】本発明に係る釣糸ガイドの第2の実施形態を示す側面図。
【図18】本発明に係る釣糸ガイドの第3の実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る釣糸ガイド、及びその製造方法の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る釣糸ガイドが装着される釣竿の一例を示す図である。釣竿1は、複数の竿杆2を継合することで構成されており、基端側に図示しない魚釣用リールが装着されるリールシート5が設けられ、各竿杆には、所定間隔をおいて、魚釣用リールから繰り出される釣糸を案内する釣糸ガイド10が装着されている。この場合、釣糸ガイド10は、後述する釣糸固定部を竿杆表面に載置し、糸巻き、接着などによって装着される。なお、釣糸ガイドについては、竿杆に対して固定される、いわゆる固定ガイドとして構成されていても良いし、竿杆に沿って摺動可能な遊動ガイドとして構成されていても良い。また、釣竿については、1本竿、並継竿、振り出し竿など、その構成については、特に限定されることはなく、さらに、本実施形態の釣糸ガイドは、中通式の釣竿の導入ガイド部分、トップガイド部分についても適用することが可能である。
【0016】
次に、図2から図9を参照して、図1に示した釣竿に装着される釣糸ガイドの構成について説明する。なお、これらの図において、図2は、釣糸ガイドの第1の実施形態を示す斜視図、図3は、図2に示す釣糸ガイドの正面図、図4は、図2に示す釣糸ガイドの縦断面図、図5は、図3のA−A線に沿った断面図、図6は、図3のB−B線に沿った断面図、図7は、図3のC−C線に沿った断面図、図8(a)及び(b)は、それぞれ図6に示した支脚部の変形例を示す断面図、そして、図9は、リング保持部におけるガイドリングを装着する部分の拡大断面図である。また、図4において、D1方向が前方側(穂先側)、D2方向が後方側(元竿側)となる。
【0017】
釣糸ガイド10は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグ(以下、プリプレグと称する)によって形成されたフレーム12を備えている(プリプレグの構成、及びフレームの詳細な製造方法については後述する)。このフレーム12は、図1に示す釣竿(竿杆2)の外表面に装着される固定部15と、釣糸が挿通されるガイドリング40が取り付けられるリング保持部17と、リング保持部17と固定部15との間を連結する支脚部18とを具備している。なお、プリプレグを構成する合成樹脂は、後述するように、熱可塑性(FRTP)のものであっても良いし、熱硬化性(FRP)のものであっても良い。
【0018】
前記固定部15は、フレームの下端において、釣竿の表面に固定される部位(足部とも称される)であり、本実施形態では軸長方向に延び、その裏側の当接面15aが釣竿の表面に載置した状態で、糸止め、接着等によって固定される板状片で形成されている。
【0019】
前記リング保持部17は、釣竿の表面から離間した状態で釣糸を案内させるべく、ガイドリング40を止着させる部位である。リング保持部17には、ガイドリング40を嵌入、固定させるための開口17aが形成されており、全体として略円形の外形状を備えている。この場合、開口17aに嵌入されるガイドリング40は、リング状に構成され、その内周面である釣糸案内面40a部分での摺動抵抗が小さい部材、例えば、チタン、アルミ、SUS、セラミックス等によって形成されている。このガイドリング40は、フレーム12が前記プリプレグによって一体形成された後、リング保持部17の開口17aに対して嵌入、固定される。なお、「リング保持部」とは、上記したガイドリング40を装着して釣糸を案内する他、ガイドリングを装着することなく、開口17aで直接、釣糸を案内する構成も含む。
【0020】
また、前記支脚部18は、リング保持部17(ガイドリング40)を釣竿の表面から離間させるように、固定部15とリング保持部17とを連結する部位である。この場合、釣糸ガイドの構成によっては、支脚部を形成することなく、リング保持部の部分に、そのまま固定部15を形成した構成であっても良い。また、本実施形態の支脚部18は、上方に移行するに従って次第に幅広となっており、前記された略円形のリング保持部17に一体的に連結される。この場合、図に示すように、支脚部18には、軽量化を図るために、開口(肉抜き)18aを形成しておいても良い。
【0021】
本実施形態のフレーム12は、後述するように、板状体を切り出すことで形成される。フレーム12は、遊動ガイドに適用できるように、単なる平板状に形成されていても良いし、図に示すように、固定部15とリング保持部17との間に支脚部を形成することで屈曲部を有する構造としても良い。フレームに屈曲部を形成するのであれば、後述するように、予め、平板状の板状体に対して、対応する領域を屈曲させて屈曲部を形成しておけば良く、本実施形態では、固定部15と支脚部18との間の境界部分に第1屈曲部19が形成されており、支脚部18のリング保持部17側に、第1屈曲部よりも緩やかに屈曲した第2屈曲部20が形成されている。
【0022】
フレーム12に、上記したような屈曲部を形成する場合、特に、支脚部18に第2屈曲部20を形成しておくことで、フレーム全体として、屈曲させることによる曲げ角度を段階的に設定することが可能となり、応力集中を分散させて強度を向上することが可能となる。
【0023】
前記フレーム12は、後述するように、板状体に形成されたプリプレグの積層材から切り出しすることで形成されるため、そのフレームは、板状体の表面となる平面状部を有することとなる。この平面状部とは、後述する二次加工処理によって形成される加工処理面を除く平面形状の部分を意味しており、本実施形態では、板状体の表面によって形成される部位である。このため、上記した固定部15、リング保持部17、及びそれらの間に支脚部18を形成すべく板状体を屈曲させても、各部位の表面は、そのまま平面状となっており、この部分は「平面状部」となる。
【0024】
本発明では、プリプレグに対してフレームの外形状を形成する一次加工を施した後に、更に、所望の平面状部位に対して二次加工処理(加熱して形状変化させる加工処理)を施して、その平面状部位の延出方向に対して交差する加工処理面を形成することに特徴がある。すなわち、このような二次加工処理を施すことで、フレームには、例えば、平面状部が所定角度傾斜したり、断面形状が山形又は弧状で長さ方向に沿って延びる平面状部が形成されたり、平面な部分を残した状態で部分的に凹部や凸部が形成されるようになる。このような二次加工処理によって形成される加工処理面は、適所にテーパを形成したり、絞りを形成したり、面取りを形成する等、平面状部に対して屈曲した屈曲面(平面状、湾曲状、これらの複合面を含む)を形成し、これにより、フレーム全体としてみた場合、平坦的な外観ではなく、立体的な外観とすることが可能となる。
【0025】
ここで、本実施形態のフレーム12において、二次加工処理によって形成される加工処理面について具体的に説明する。
【0026】
図5は、図3のA−A線に沿った断面図である。上記したように、リング保持部17には、ガイドリング40を固定する開口17aが形成されており、図5において、軸Xを含む面が平面状部となる。すなわち、リング保持部17の穂先側及び元竿側の表面部は、一次加工処理によって形成される平面状部であり、切り出し加工によって開口17aが形成される。この場合、ガイドリング40が装着される内面部分については、二次加工処理によって絞り加工処理面が形成されていても良い(図9参照)。
【0027】
図6は、図3のB−B線に沿った断面図である。上記したように支脚部18には開口18aが形成されることから、支脚部18は、左脚18bと右脚18cとで構成される。この場合、左脚と右脚の形状は、内側の開口側が前方(穂先側)D1に突出するように形成される。すなわち、図6において、軸Xを含む面が平面状部となるが、このような平面状部に対して、左脚18b,右脚18cは、傾斜角θで内側の開口側が前方に突出するような平面状の傾斜面を有するように二次加工処理される。
【0028】
図7は、図3のC−C線に沿った断面図である。上記したように、支脚部18には、開口18aが形成されるものの、その下方側は、左脚18bと右脚18cが一体化される部分となる。この一体化される部分いついては、中心側が前方D1に突出するように、断面V字形状に形成される。すなわち、図7においても、軸Xを含む面が平面状部となるが、このような平面状部に対して、平面状の複合面18d,18eを有するように二次加工処理される。
【0029】
なお、上記した加工処理面は、一例を示したものであり、種々変形することが可能である。例えば、左脚18b,18cについては、図8(a)に示すように、軸X上に曲率半径の中心を存在させて湾曲させたり、図8(b)に示すように、各脚をV字型に屈曲させるなど、適宜変形することが可能である。なお、この場合、湾曲をきつくしたり、V字の屈曲角度を大きくし過ぎると、二次加工処理後に強化繊維が蛇行するなど、強度低下する可能性もあるため、加工処理面については、大きく湾曲させたり、大きく屈曲させない方が好ましい。具体的には、湾曲面の場合、強化繊維の直径の5倍以上、好ましくは10倍以上の半径で強化繊維が折り曲がり、方向変化するように形成することが好ましい。また、屈曲面にするのであれば、屈曲させる角度が90°以下(好ましくは、図8(b)で示す角度αが60°以下(ただし5°以上とする))の範囲で二次加工することが好ましい。さらに、折り曲げ部分を形成するのであれば、平面状(二次加工前の平面と繊維方向および積層状態を維持した状態の平面状)の面をサイドに形成することが好ましい。
【0030】
また、表面層については、上記した二次加工処理をしても、一次加工処理時と同じ積層状態となっており、例えば、平織り、朱子折り、三軸織りの外観を備えている。具体的には、図9に示すように、リング保持部17の穂先側及び元竿側の表面部は、上記したように、一次加工処理によって平面状部が形成され、かつ切り出し加工によって開口17aが形成されるが、ガイドリング40が装着される内面部分については、二次加工処理によって、平面状部から釣糸挿通方向に沿って屈曲される加工処理面17dが形成されていても良い。この場合、リング保持部17の積層状態と加工処理面17dにおける積層状態は、同じとなるように二次加工処理を施すことが好ましい。
【0031】
また、折り曲げ部(図2及び図3において符号Pで示す位置)等、強化繊維が急角度で変化する部分については、破損などが生じ易いことから、長さ方向に沿うように形成しないことが好ましい。仮に形成せざるを得ない場合は、その部分の肉厚又は断面積を、例えば、補強層を配置する等して、その前後の部分よりも1.3倍以上、好ましくは1.5倍以上大きくするのが良い(ただし、3倍以上にする必要はない)。
【0032】
次に、上記したような形態のフレーム12を形成する方法について説明する。最初に、図10から図13を参照して一次加工処理の全体的な工程について説明し、次に、二次加工処理の工程、及びプリプレグの積層状態や強化繊維の配列状態について説明する。
【0033】
上記したように、フレーム12は、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグによって形成される。この場合、プリプレグは、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの強化繊維が所定の方向に引き揃えられた状態、或いは編成されたシート状に構成されており、熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリフェニルサルファイド、熱可塑ポリウレタン)や、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂)をマトリックス樹脂として含浸した構成となっている。前記マトリックス樹脂は、常温で、未硬化状態、半硬化状態、硬化状態のいずれの状態であっても良い。なお、二次加工処理を施すに際しては、熱可塑性樹脂の場合と、熱硬化性樹脂の場合とでは、その処理工程が異なる。
【0034】
最初に熱可塑性樹脂のプリプレグによる積層材について説明する。
まず、上記したようなプリプレグを所定形状に裁断し、これを複数層となるように重ね合わせて積層材を形成する。図10は、7枚のプリプレグを積層した板状の積層材30を示している(プリプレグを積層して形成される繊維強化樹脂層が、それぞれ符号30a〜30dで示されている;同一のプリプレグについては同一の参照符号が付されている)。この場合、重ね合わせるプリプレグの枚数(層数)や、個々のプリプレグの構成については特に限定されることはないが、上記したように、フレーム12に屈曲部19,20を形成すること、使用時においてフレーム12には負荷が加わること、装着される釣竿の特性や装着部分、更には、二次加工処理によって形成する加工処理面の形状等を考慮し、プリプレグの種類や重ねる条件が任意に調整される。
【0035】
なお、前記積層材30については、板状(単純な平板形状の他、例えば、T字状、Y字状、H字状の形状であっても良い)や、管状(中空の円筒形や楕円形等)など、切り出した後のフレームの狙いの形状によって任意の形状にすることが可能である。
【0036】
上記のように積層されるプリプレグに対して一次加工処理が施される。この一次加工処理では、まず、図12に示すような金型50にセットされる。本実施形態の金型50は、上下に型割りされる上型51と下型52によって構成されており、積層されたプリプレグ(積層材30)は、下型52の所定位置にセットされる。上型51と下型52との間には、積層材30がセットされる位置に応じて空洞部50aが形成されており、その表面領域には、離型剤がコーティングされている。
【0037】
上記金型50を構成する上型51は凹状、下型52は凸状に構成されており、両者を押圧した際に、上記した固定部15、リング保持部17、及び支脚部18を有するフレーム12が形成されるように、両者の間に前記空洞部(この空洞部については、フレーム12の肉厚に対応している)50aが形成されている。そして、下型52には、前記積層材30を載置した際、上記した屈曲部19,20に対応する位置に、屈曲形成凸部52a,52bが形成され、上型51には、屈曲形成凸部52a,52bに対応して屈曲形成凹部51a,51bが形成されている。
【0038】
なお、前記積層材30は、一度に全体を重ね合わせた状態で下型にセットしても良いし、1枚ずつセットする等、複数回に分けて積層しても良い。このように複数回に分けることにより、強化繊維の動きを少なくして、精度良く下型52の所定位置にセットすることもできる。本実施形態では、上記のように、金型50を上下割りにしているため、積層材30は下型52に載置して、金型の形状に合わせて所定形状に保持する。もちろん、金型については、一例を示したに過ぎず、型割りの方向については、左右方向としたり、傾斜方向にする等、任意の形態にすることが可能である。
【0039】
そして、積層材30を下型52にセットした後、載置材30を加圧し固定する。この加圧、固定時では、マトリックス樹脂の可塑温度(材料に依存するが摂氏140℃〜600℃)に加熱する。加圧、固定については、上型51によって締め付けしても良いし、手や押圧具で押し付けても良い。この段階で、前記屈曲部を含め、成形後のフレーム形状に相当する形が保持される。
【0040】
なお、上記した屈曲部を金型50で押えて加熱するときに、その屈曲部は、その前後の領域よりも相対的に強く加圧することが好ましい。このように、屈曲部の領域を強く加圧することで、成形されたフレームの屈曲部(19,20)のボイドを防止することができ、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。また、これに伴い、成形されたフレーム12の屈曲部19,20は、その前後の領域(固定部や支脚部)よりも繊維比率を高くすることができるので、破損等しやすい屈曲部を強化することが可能となる。
【0041】
図11は、プリプレグを積層した平板状の板状体(積層材30)が、上記した一次加工処理によって加圧、加熱処理された後、常温で硬化させた状態(フレーム12の外形状を構成する板状体30A)を示している。この場合、前記フレーム12については、形成された板状体30Aから複数個、切り出されることとなるが、この切り出し処理については、以下の二次加工処理の前の段階で行っても良いし、二次加工処理が終わった段階で行っても良い。
【0042】
ここで、形成された板状体30Aから、個々のフレームを切り出す処理について説明する。
上記したように、積層材30を金型で加熱処理した後、取り出すと屈曲部19,20が形成された板状体30Aとなっている。この板状体30Aに対し、プレス加工による切り出し、液体(ウォータージェット等)による切り出し、或いは刃具(エンドミル等)による切り出し等、任意の方法を採用することで、図13に示すように、1枚の板状体30Aから複数のフレーム12を切り出すことが可能となり、軽量で高強度の釣糸ガイドを効率良く製造することが可能となる。
【0043】
なお、この切り出し処理時において、フレーム12の基本的な外形状、すなわち、開口17aを有するリング保持部17、開口18aを有する支脚部18等を同時に形成することが好ましいが、これらを別々の工程で形成しても良い。また、前記板状体30Aを形成するための積層材30に関しては、一枚の単純な平面形状に限らず、積層厚さを位置によって変化させたり、板状部分が複数方向に延びる形状(T字形状や逆Y字形状等)としたり、曲面形状を含んでいたり、更には、複数の板状の部分が組み合わされていても良い。
【0044】
上記したように、切り出された個々のフレーム12、或いは切り出し処理が成される前の板状体30Aに対して、上述した加工処理面を形成すべく、二次加工処理が施される。以下、図14から図16を参照して、図6及び図7に示した加工処理面を形成する工程について説明する。なお、板状体30Aに対して二次加工処理を施しても良いが、以下においては、一次加工が終了し、板状体30Aから切り出された1つのフレーム12に対して二次加工処理を行うものとして説明する。
【0045】
二次加工処理では、フレーム12(板状体30A)が、図14に示すような金型60にセットされる。この金型60は、上記した金型50と同様、上下に型割りされる上型61と下型62によって構成されており、所定の位置に加工処理面が形成されるように、凹凸が形成されている。具体的には、上型61と下型62との間には、フレーム12がセットされる空洞部60aが形成されている。また、支脚部18の開口に合わせて、下型62には凸部62aが形成されると共に、凸部62aの両サイドには、左右脚18b,18cを図6に示したように傾斜させるための傾斜面62b,62cが形成されている(図15参照)。また、下型62には、支脚部18を、図7に示したようにV字形状に形成するための山状の凸部62dが形成されている(図16参照)。そして、これらの凸部62a,62dに合わせて、上型61にも凹部61a,61dがそれぞれ形成されている。
【0046】
これにより、切り出されたフレーム12を、下型62の所定位置にセットし、その後、樹脂が可塑状態となるまで加熱し、樹脂が屈曲可能な状態となった時点で金型に圧力を加え、その加圧状態を保持することで加工処理面が形成される。そして、その後、常温に冷却することにより、安定した状態の加工処理面が形成される。なお、上型61と下型62の表面領域には、離型剤がコーティングされている。
【0047】
上記した二次加工処理が終了した後は、細部加工処理が施される。この細部加工処理は二次加工処理が終了したフレーム12に対して施すこととなるが、フレームを切り出し処理していないのであれば、二次加工処理が終了した時点での板状体30A、或いは、板状体30Aから切り出し処理がされたフレーム12に対して施される。この細部加工は、例えば、角部にRを付けたり、固定部15の形状を釣竿に載置し易いように曲面状に形成したり、糸巻き・糸止めし易いように、固定部の端部を研削・研磨等することが該当する。
【0048】
次に、個々のフレーム12に対して表面処理を施す。例えば、バレル加工を施すことで、表面のバリを除去すると共に、表面の光沢が得られる程度に仕上げ研磨を施す。この研磨の程度については、釣糸ガイドのサイズや形状、材質特性などによって研磨剤や研磨時間などを任意に調整することが可能である。このようなバレル加工を施すことにより、強化繊維を切断することなく、フレームを研磨することが可能となり、強度の安定化が図れると共に、外観の優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。
【0049】
なお、このような研磨工程を施すに際しては、フレームの表面に強化繊維が一部露出しマトリックス樹脂が一部残るように研磨することが好ましい。こうすることで、研磨表面の光沢をより一層向上することが可能となる。
【0050】
次に、必要に応じて、フレームの全体又は一部分に被膜を形成する。例えば、外観向上やフレーム本体の保護のために塗装を行なうことや、金属やセラミックスを蒸着等することも可能である。
【0051】
そして、上記したように形成されたフレームの開口17aの部分にガイドリング40を取り付ける。ガイドリングの取り付け方法は、圧入や接着、カーリング、その他、任意の固定方法を採用することが可能である。
【0052】
次に、熱硬化性樹脂を用いたプリプレグによる積層材である場合について説明する。
最初、上記した熱可塑性樹脂の場合と同様、プリプレグを所定形状に裁断し、これを複数層となるように重ね合わせて積層材30を形成し、一次加工処理を行う。
【0053】
一次加工処理では、熱可塑性樹脂の場合と同様、積層材30を、図12に示すような金型50にセットし、積層材30を加圧、固定する。この加圧、固定については、上型51によって締め付けしても良いし、手や押圧具で押し付けても良い。また、このとき、プリプレグが硬化する温度よりも低い温度で加熱処理を行い、積層材30が半硬化状態(仮キュア)となるように加工処理を行う。この段階で、前記屈曲部を含め、成形後のフレーム形状に相当する形が保持され、これにより、半硬化状態の板状体30Aが得られる(図11参照)。なお、ここでの積層材30の半硬化状態とは、未硬化状態で、形状変形が可能等、機械成形が可能な状態を意味する。
【0054】
次に、半硬化状態の板状体30Aに対し、二次加工処理を行う。この二次加工処理を行うに際しては、その前段階で、半硬化状態の板状体30Aからフレーム12の切り出し処理をしても良いし、その後で切り出し処理を行っても良い。
【0055】
二次加工処理では、フレーム12(板状体30A)が、図14から図16に示したような金型にセットされる。すなわち、フレーム12(板状体30A)を、下型の所定位置にセットして、その後、金型に圧力を加え、その加圧状態を保持して半硬化状態のフレーム12(板状体30A)が硬化する温度に加熱処理を施して加工処理面を形成する。
【0056】
加工処理面が形成されたフレーム12(板状体30A)は、その後、上記した熱可塑性樹脂の場合と同様、細部加工処理、表面処理が施され、これにより外観が向上したフレームが得られる。このように、プリプレグのマトリックス樹脂が熱硬化性のものであれば、一次加工処理においては、硬化温度より低い温度でマトリックス樹脂を半硬化状態(未硬化状態)でフレームの外形状を形成しておき、その状態で、更に所望の加工処理面が形成されるように、硬化温度以上に加熱処理しながら、最終的なフレーム形態を得るようにしている。
【0057】
そして、上記した熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を用いたプリプレグによる積層材に対する二次加工処理においては、マトリックス樹脂の材料、加工処理面を形成するための変形量、強化繊維の配置等によって、加圧力、加圧時間、加熱温度などが調整されるが、これらは、二次加工処理が終了した後の所定形状に形成したフレーム12の繊維強化プリプレグの積層構造に関し、平面状部における強化繊維の方向と積層した層の配置が、一次加工処理時の積層材における強化繊維の方向と積層した層の配置と同じになるように調整しておくことが好ましい。すなわち、一次加工処理後の強化繊維の配置や方向を固定化した上で、二次加工処理を行うようにするのが良い。ここで、同じとは、二次加工処理によって元の形状が変わっていても、強化繊維の方向や層の配置状態が、表面部を基準にして相対的に同じ配置状態を維持していることを意味する。
【0058】
このようにすることで、二次加工処理による形状変化する平面状部の強化繊維の方向や積層配置を安定化することができ、強度の向上、安定化が図れるようになる。また、フレームの形状を任意にできると共に、繊維方向などを加工前の状態と同じにすることで、積層や繊維方向が二次加工を加えた部分と加えない部分の外観を同じ状態に維持することができ、違和感の発生を防止して、優れた外観にすることが可能となる。
【0059】
次に、上記したようなプリプレグによってフレーム12を形成するに際して、そのプリプレグの好ましい配置態様等について説明する。
【0060】
本実施形態の積層材30は、図10に示したように、釣竿の軸長方向に沿って強化繊維を引き揃えた軸長方向繊維樹脂層30aと、釣竿の軸長方向に対して所定の角度を有する交差方向に強化繊維を引き揃えた斜向繊維樹脂層30b,30cと、強化繊維を編成した織布層30dと、を有している。
【0061】
具体的には、本実施形態では、フレームの厚さの中間位置となる中立軸エリア(図10において、中立軸をX1で示す)に、強化繊維を軸長方向に引き揃えたプリプレグによって軸長方向繊維樹脂層30aが配設され、その外側(両側)に、軸長方向に対して所定の角度(傾斜角度は任意であるが15〜75度が好ましく、より好ましくは30〜60度)に強化繊維を引き揃えたプリプレグによって斜向繊維樹脂層30b,30cが配設され、さらに、最外層(両側の全面となっているが部分的に最外となる領域でも良い)に強化繊維を編成したプリプレグによって織布層30dが配設されている。なお、前記軸長方向繊維樹脂層30aは、複数層(1層〜4層)あっても良い。また、前記斜向繊維樹脂層30b,30cについては、夫々の層における強化繊維の指向方向は異なっていても良い。
【0062】
このように、繊維強化樹脂製の釣糸ガイドを形成するに際しては、フレーム自体を平面視した際、少なくとも三方向に強化繊維が指向した状態となるようなプリプレグを選択し、積層することが好ましい。すなわち、強化繊維の指向方向を三方向以上とすることで、効率良く、軽量で強度的に優れた釣糸ガイドを形成することが可能となる。
【0063】
また、上記したプリプレグの配置構成のように、フレーム12の最外層には、織布層30dを配設することが好ましい。これは、フレーム12の表面は、他物が当たり易く、剥離などし易い部分であること、及び、実釣時において、釣糸の張力によってフレームが撓む等、フレーム端部から強化繊維が剥離したり、破損する可能性があることから、この表面領域に強化繊維が編成された織布層を配設しておくことで、強化繊維の裂けや剥離が効果的に防止でき、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。また、屈曲部19,20についても相対的に強化することができ、軽量で強度バランスに優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。
【0064】
また、上記した構成のように、フレーム12の中間層領域には、軸長方向繊維樹脂層30aを配設することが好ましい。これにより、フレーム12に対し、軸長方向に沿って釣糸の張力等によって撓み力が作用しても、その方向の比剛性を、軽量化を図りながら効率良く高めておくことが可能となる。
【0065】
また、屈曲部19,20については、その前後の領域よりも繊維比率を高くしておくことが好ましい。例えば、上記した一次加工処理工程で説明したように、加熱成形時に屈曲部の領域の押圧力を高くすることで、樹脂が流出して屈曲部の繊維比率を高くすることが可能であり、このように構成することで、負荷が作用してフレームが撓んでも破損し難い釣糸ガイドにすることが可能となる。
【0066】
上記したような製造方法によって形成される釣糸ガイドによれば、金属製のものと比較して、重量が軽くなり、更には、比強度、比剛性、及び撓み性に優れた構成とすることが可能となる。このため、そのような釣糸ガイドを多数個装着しても釣竿全体が重量化することはなく、釣竿の性能が向上する。特に、穂先竿のような部分では、より軽量化が図れることから、繊細な当たりを感知し易くなり、より釣竿の性能の向上を図ることが可能となる。
【0067】
また、繊維強化プリプレグを積層形成し、これを切り出した後のフレーム12(或いは板状体30A)を、再び加熱加工処理(二次加工処理)することで、フレームの部分的な形状や角度の調整などを精度良く形成することが可能となる。また、積層形成して強化繊維の配置や方向を固定化した上で、二次的に形状を調整することにより、強化繊維の移動や合成樹脂の流動を防止することが可能となり、強度の向上、安定化が図れると共に、複雑な形状のフレームを形成することが可能となる。
【0068】
例えば、図17に示す釣糸ガイド10Aのフレーム12Aのように、リング保持部17Aから、穂先側及び元竿側に向けて支脚部18Aを形成し、各支脚部の端部に、前後方向に突出する固定部15Aを有する構造にすることも可能である。或いは、図18に示す釣糸ガイド10Bのフレーム12Bのように、リング保持部17Bから、穂先側に向けて支脚部18Bを形成し、その端部に前方に突出する固定部15Bを形成すると共に、リング保持部17Bの上端部から元竿側に向けて傾斜する一対の支脚部18Cを有する構造にすることも可能である。この場合、一対の支脚部18Cを、図6及び図8に示したような加工処理面に加工することが可能であり、これにより、外観の優れた釣糸ガイドとすることが可能である。なお、図18に示した釣糸ガイドは、中通釣竿の釣糸導入ガイド部分に適用することも可能である。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した構成に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0070】
本発明は、釣糸ガイドを構成するフレーム部分を、繊維強化プリプレグで構成すると共に、一次加工処理で、フレームの外形状を形成し、更に、二次加工処理(再び加熱処理して形状変化させる)を施すことで、フレームの所望の位置に、平面状部に対して交差するような加工処理面を形成することに特徴がある。このため、上記したフレームを構成するプリプレグについては、強化繊維の種類や弾性率、樹脂含浸量、肉厚などの構成、及び積層状態等については、上述した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0071】
また、フレームの全体形状についても、釣竿に挿通されて釣竿に対して摺動可能に外嵌される遊動ガイドとして構成されていても良い。このような遊動ガイドであれば、上記したフレーム12に屈曲部を形成しなくても良く、また、積層材30を、管状の部材として構成することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 釣竿
10,10A,10B 釣糸ガイド
12,12A,12B フレーム
15,15A,15B 固定部
17,17A,17B リング保持部
18,18A,18B,18C 支脚部
30 積層材
30A 板状体
40 ガイドリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング保持部と、釣竿に装着される固定部とを具備し、繊維強化プリプレグによって構成されるフレームを有する釣糸ガイドを製造する方法であって、
繊維強化プリプレグを積層した積層材から前記フレームの外形状を形成する一次加工処理と、
前記積層材を加熱して、フレーム細部に形状変化を施して所定形状にする二次加工処理と、
を有し、
前記積層材からフレームの切り出しを、前記二次加工処理の前、又は後に実行することを特徴とする釣糸ガイドの製造方法。
【請求項2】
前記繊維強化プリプレグに使用するマトリックス樹脂は熱可塑性樹脂からなり、
前記二次加工処理では、前記マトリックス樹脂が可塑状態となる温度で加熱、加圧して所定形状にした後、常温で硬化させることを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項3】
前記繊維強化プリプレグに使用するマトリックス樹脂は熱硬化性樹脂からなり、
前記一次加工処理では、未硬化状態となるように加熱し、
前記二次加工処理では、前記未硬化状態の加熱温度以上の高い温度で加熱、加圧して所定形状となるように完全硬化させることを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項4】
前記二次加工処理が終了した後の所定形状に形成したフレームの繊維強化プリプレグの積層構造は、平面状部における強化繊維の方向と積層した層の配置が、一次加工処理時の積層材における強化繊維の方向と積層した層の配置と同じとなるように、前記二次加工処理を施すことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項5】
リング保持部と、釣竿に装着される固定部とを具備し、板状体に形成された繊維強化プリプレグの積層材から切り出されたフレームを有する釣糸ガイドであって、前記フレームは、板状体の表面となる平面状部を有すると共に、いずれかの部位に加工処理面を有しており、前記加工処理面の表面の延出方向は、前記平面状部を含む延出方向に対して交差していることを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項6】
前記加工処理面は、平面、屈曲面、湾曲面のいずれかの形状特徴を一つ以上備えていることを特徴とする請求項5に記載の釣糸ガイド。
【請求項1】
リング保持部と、釣竿に装着される固定部とを具備し、繊維強化プリプレグによって構成されるフレームを有する釣糸ガイドを製造する方法であって、
繊維強化プリプレグを積層した積層材から前記フレームの外形状を形成する一次加工処理と、
前記積層材を加熱して、フレーム細部に形状変化を施して所定形状にする二次加工処理と、
を有し、
前記積層材からフレームの切り出しを、前記二次加工処理の前、又は後に実行することを特徴とする釣糸ガイドの製造方法。
【請求項2】
前記繊維強化プリプレグに使用するマトリックス樹脂は熱可塑性樹脂からなり、
前記二次加工処理では、前記マトリックス樹脂が可塑状態となる温度で加熱、加圧して所定形状にした後、常温で硬化させることを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項3】
前記繊維強化プリプレグに使用するマトリックス樹脂は熱硬化性樹脂からなり、
前記一次加工処理では、未硬化状態となるように加熱し、
前記二次加工処理では、前記未硬化状態の加熱温度以上の高い温度で加熱、加圧して所定形状となるように完全硬化させることを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項4】
前記二次加工処理が終了した後の所定形状に形成したフレームの繊維強化プリプレグの積層構造は、平面状部における強化繊維の方向と積層した層の配置が、一次加工処理時の積層材における強化繊維の方向と積層した層の配置と同じとなるように、前記二次加工処理を施すことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の釣糸ガイドの製造方法。
【請求項5】
リング保持部と、釣竿に装着される固定部とを具備し、板状体に形成された繊維強化プリプレグの積層材から切り出されたフレームを有する釣糸ガイドであって、前記フレームは、板状体の表面となる平面状部を有すると共に、いずれかの部位に加工処理面を有しており、前記加工処理面の表面の延出方向は、前記平面状部を含む延出方向に対して交差していることを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項6】
前記加工処理面は、平面、屈曲面、湾曲面のいずれかの形状特徴を一つ以上備えていることを特徴とする請求項5に記載の釣糸ガイド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−223920(P2011−223920A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96369(P2010−96369)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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