釣糸ガイド
【課題】重量が軽く、比強度、比剛性及び撓み性に優れた釣糸ガイドを提供する。
【解決手段】本発明に係る釣糸ガイド1は、フレーム3に釣糸が挿通されるガイドリング6が取り付けられる。フレーム3は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材20からなり、積層材20の中央Cに対して一方側と他方側に、フレーム3の長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層(20c,20f)を設けたことを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る釣糸ガイド1は、フレーム3に釣糸が挿通されるガイドリング6が取り付けられる。フレーム3は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材20からなり、積層材20の中央Cに対して一方側と他方側に、フレーム3の長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層(20c,20f)を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に装着されて釣糸を案内する釣糸ガイドに関し、詳細には、釣糸が挿通されるガイドリングを保持するフレーム部分に特徴を有する釣糸ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した釣糸ガイドは、釣竿の外周面に装着されるフレームと、フレームに止着され、実際に釣糸が挿通されるガイドリングとを備えた構成となっている。前記フレームは、例えば、特許文献1に記載されているように、ステンレスやチタン等の金属製の板材料をプレス加工することで一体形成するのが一般的となっており、フレームには、釣糸を挿通させるガイドリングを保持するためのリング保持部と、釣竿の外表面に装着するための固定部が一体形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340661号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した公知技術では、フレームが金属材料で構成されているため、重量が重く、比強度、比剛性、撓み性等の性能が悪く、釣竿の性能の向上を図る上でネックとなっている。例えば、より軽量化が要求される釣竿では、上記したような釣糸ガイドを軸長方向に沿って多数装着すると、所望の性能が発揮できなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、重量が軽く、比強度、比剛性及び撓み性に優れた釣糸ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、フレームに釣糸が挿通されるガイドリングが取り付けられる釣糸ガイドであって、前記フレームは、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材からなり、前記積層材の中央に対して一方側と他方側に、前記フレームの長手軸に対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記した構成の釣糸ガイドは、そのフレーム部分が、繊維強化プリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材から構成されるため、軽量化が図れるようになる。また、積層材の中央に対して一方側と他方側には、フレームの長手軸に対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を設けていることから、キャスティング時や魚が掛かったときに、釣糸ガイドのフレームに負荷が掛かり、前後に曲がるような応力が作用したり、捩れが生じるような応力が作用しても、撓り方向の片寄りが抑制され、比強度、比剛性及び撓み性が向上する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、重量が軽く、比強度、比剛性及び撓み性に優れた釣糸ガイドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る釣糸ガイドの一構成例を示す縦断面図。
【図2】図1を矢印A方向から見た図。
【図3】釣糸ガイドを釣竿(竿管)に装着した状態を示す図。
【図4】釣糸ガイドを構成するフレームを成形する金型の構成例を示す図。
【図5】金型で成形された板状体からフレームを切り出す状態を示す図。
【図6】フレーム部分の第1の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図。
【図7】フレーム部分の最外層を模式的に示す図。
【図8】フレーム部分の第2の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図。
【図9】フレーム部分の第3の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図。
【図10】フレーム部分の第4の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図。
【図11】フレームの固定部領域を拡大した断面図。
【図12】釣糸ガイドの別の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る釣糸ガイドの実施形態について説明する。
【0011】
最初に、図1から図3を参照して、本発明に係る釣糸ガイドの一構成例について説明する。これらの図において、図1は、釣糸ガイドの縦断面図であり、図2は、図1を矢印A方向から見た図、そして、図3は、釣糸ガイドを釣竿(竿管)に装着した状態を示す図である。なお、図1において、矢印A方向は、釣糸ガイドが釣竿に装着された際、釣竿の軸長方向と一致しており、図3は、元竿側から穂先竿側を見た図となっている。また、釣糸ガイドは、リング保持部が穂先側で、固定部が元竿側となるように取り付けられており、以下において、前側とは穂先側を意味し、後側は基端側(元竿側)を意味する。
【0012】
釣糸ガイド1は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグ(以下、プリプレグと称する)を積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材によって形成されたフレーム3を備えている(プリプレグの構成、積層態様、及びフレームの詳細な製造方法については後述する)。
【0013】
前記フレーム3は、釣竿(竿管)40の外表面に装着される固定部5と、釣糸が挿通されるガイドリング6が取り付けられるリング保持部7と、リング保持部7と固定部5との間を連結する支脚部8とを具備しており、前記リング保持部7の軸線方向(図1の矢印A方向;前後方向)における厚みよりも左右方向の幅が大きい板状に形成されている。
【0014】
前記固定部5は、フレームの下端において、釣竿の表面に固定される部位(足部とも称される)であり、本実施形態では軸長方向に延び、その裏側の当接面5aが釣竿の表面に載置した状態で、糸止め、接着等によって固定される。なお、固定部5は1本足や2本足など、様々な形状をとることができる。
【0015】
前記リング保持部7は、釣竿の表面から離間した状態で釣糸を案内させるべく、ガイドリング6を止着させる部位である。リング保持部7には、ガイドリング6を嵌入、固定させるための開口7aが形成されており、全体として略円形の外形状を備えている。なお、開口7aに嵌入されるガイドリング6は、リング状に構成され、その内周面である釣糸案内面6a部分での摺動抵抗が小さい部材、例えば、チタン、アルミ、SUS、セラミックス等によって形成されている。このガイドリング6は、フレーム3が前記プリプレグによって一体形成された後、リング保持部7の開口7aに対して嵌入、固定される。
【0016】
また、前記支脚部8は、ガイドリング6を釣竿の表面から離間させるように、固定部5とリング保持部7とを連結する部位である。この支脚部8は、後述するように、釣糸ガイドを正面(釣竿の軸長方向)から見た際の鉛直方向(フレームの長手軸Xと定義する)に沿うように形成しても良いし、図に示すように、鉛直方向に対して傾斜するように形成しても良い。
【0017】
前記フレーム3には、少なくとも1つ以上の屈曲部が形成されている。本実施形態では、固定部5と支脚部8との間の境界部分に第1屈曲部10aが形成されており、さらに、支脚部8のリング保持部7側に、第1屈曲部よりも緩やかに屈曲した第2屈曲部10bが形成されている。この場合、前記境界部分は、実際に釣竿の外表面に対して固定状態となる固定部5の端部から、リング保持部7に向けて立ち上がる領域が該当する。
【0018】
フレーム3に上記したような屈曲部を形成する場合、特に、支脚部8に第2屈曲部10bを形成しておくことで、フレーム全体として、屈曲させることによる曲げ角度を段階的に設定することが可能となり、応力集中を分散させて強度を向上することが可能となる。また、上記のようにフレーム3に複数の屈曲部10a,10bを形成するのであれば、固定部5と支脚部8との間の境界部分、又はその近傍に形成される屈曲部(図において、第1屈曲部10aが対応する)よりも、支脚部8に形成される屈曲部(図において、第2屈曲部10bが対応する)の屈曲角度を小さく設定することが好ましい。具体的には、固定部5と支脚部8との間の境界部分、又はその近傍に形成される屈曲部の屈曲角度θ1は、30〜90度の範囲とし、支脚部8に形成される屈曲部の屈曲角度θ2は、それよりも小さい角度(θ1>θ2)で0〜45度の範囲とし、両角度を合わせたときに30度以上、100度以下にすることが好ましい。
【0019】
なお、図1に示すように、屈曲角度は、屈曲した部分の前後において、接線同士が交差する角度によって定義される。上記したように、フレームに2つの屈曲部10a,10bを形成した場合、その角度の関係は、上記のように設定されることが好ましい。また、固定部5とリング保持部7との間の屈曲角度(固定部5の下面接線とリング保持部7との交差する角度)θ3については、30〜100度の範囲で設定されることが好ましい。さらに、上記した支脚部8については、2つの屈曲部10a,10b間は直線状に形成されていたが、2つの屈曲部10a,10b間を、所定の曲面を有する湾曲状に形成しても良いし、支脚部全体を湾曲面で構成しても良い。
【0020】
このような角度関係となるように屈曲部を形成しておくことで、特定屈曲部への応力集中を防止でき、強度の安定化が図れる。
【0021】
また、上記したようなフレームに形成される屈曲部10a,10bは、応力集中して破損等し易い領域となっているが、後述するような製造方法、及びプリプレグの構成を用いることで、比強度、及び比剛性の向上が図られている。
【0022】
前記フレーム3は、後述するように、予め上記したような構成の屈曲部を形成した状態のプリプレグ(加熱成形後は板状体となっている)から、プレス加工等によって形成されるが、この際、所定の外形を有するように形成される。本実施形態では、図2に示すように、固定部5の端部から第1屈曲部10aを介して立ち上がる支脚部8は、上方に移行するに従って次第に幅広となっており、ガイドリング6が取着される開口7aが形成された略円形のリング保持部7に一体的に連結される。この場合、図に示すように、支脚部8には、軽量化を図るために、開口(肉抜き)8aを形成しておいても良い。
【0023】
次に、上記したような形態のフレーム3を形成する方法について、図4から図6を参照しながら説明する。なお、最初に、図4及び図5を参照して全体的な製造工程について説明し、次に、フレームを構成する複数のプリプレグの積層状態、及び積層されるプリプレグの強化繊維の配列状態について説明する。
【0024】
上記したように、フレーム3は、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグによって形成される。この場合、プリプレグは、例えば、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維が所定の方向に引き揃えられた状態、或いは編成されたシート状に構成されており、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン)をマトリックス樹脂として含浸した構成となっている。
【0025】
最初、上記したようなプリプレグを所定形状に裁断し、これを複数層となるように重ね合わせる。重ね合わせるプリプレグの枚数(層数)や、個々のプリプレグの構成については特に限定されることはないが、上記したように、フレーム3に屈曲部10a,10bを形成すること、使用時においてフレーム3には負荷が加わること、装着される釣竿の特性や装着部分等を考慮し、プリプレグの種類や重ねる条件が任意に調整される。
【0026】
このように積層されるプリプレグは、図4に示すような金型50にセットされる。本実施形態の金型50は、上下に型割りされる上型51と下型52によって構成されており、積層されたプリプレグ(積層材20)は、下型52の所定位置にセットされる。上型51と下型52との間には、積層材20がセットされる位置に応じて空洞部50aが形成されており、その表面領域には、離型剤がコーティングされている。
【0027】
上記金型50を構成する上型51は凹状、下型52は凸状に構成されており、両者を押圧した際にフレーム3が形成されるように、両者の間に前記空洞部(この空洞部については、フレーム3の肉厚に対応している)50aが形成されている。そして、下型52には、前記積層材20を載置した際、上記した屈曲部10a,10bに対応する位置に、屈曲形成凸部52a,52bが形成され、上型51には、屈曲形成凸部52a,52bに対応して屈曲形成凹部51a,51bが形成されている。
【0028】
なお、前記積層材20は、一度に全体を重ね合わせた状態で下型にセットしても良いし、1枚づつセットする等、複数回に分けて積層しても良い。このように複数回に分けることにより、強化繊維の動きを少なくして、精度良く下型52の所定位置にセットすることもできる。本実施形態では、上記のように、金型50を上下割りにしているため、積層材20は下型52に載置して、金型の形状に合わせて所定形状に保持する。もちろん、金型については、一例を示したに過ぎず、型割りの方向については、左右方向としたり、傾斜方向にする等、任意の形態にすることが可能である。
【0029】
そして、積層材20を下型52にセットした後、積層材20を加圧し固定する。この加圧、固定については、上型51によって締め付けしても良いし、手や押圧具で押し付けても良い。この段階で、前記屈曲部を含め、成形後のフレーム形状に相当する形が保持され、これにより、成形後の内部残留応力の発生を防止でき、強度の向上、及び安定化が図れるようになる(この段階では、各プリプレグは未硬化状態(仮キュア後を含む)であり、屈曲部は加熱硬化前に形成されることとなる)。
【0030】
その後、加熱工程を施し、マトリックス樹脂を硬化して成形した後、成形品(屈曲部を有する板状体30となっている)を金型50から取り出す。
【0031】
なお、上記した屈曲部を金型50で押えて加熱硬化するときに、その屈曲部は、その前後の領域よりも相対的に強く加圧することが好ましい。このように、屈曲部の領域を強く加圧することで、成形されたフレームの屈曲部(10a,10b)のボイドを防止することができ、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。また、これに伴い、成形されたフレーム3の屈曲部10a,10bは、その前後の領域(固定部や支脚部)よりも繊維比率を高くすることができるので、破損等しやすい屈曲部を強化することが可能となる。
【0032】
次に、板状体30から所定の形状となるようにフレームを切り出す。上記したように、プリプレグは、加熱硬化処理後に屈曲部が形成された板状体となっているため、プレス加工による切り出し、液体(ウォータージェット等)による切り出し、或いは刃具(エンドミル等)による切り出し等、任意の方法を採用することで、図5に示すように、1枚の板状体30から複数のフレーム3を切り出すことが可能となり、軽量で高強度の釣糸ガイドを効率良く製造することが可能となる。
【0033】
なお、この加工時において、フレーム3の基本的な外形状、すなわち、開口7aを有するリング保持部7、開口8aを有する支脚部8等を同時に形成することが好ましいが、これらを別々の工程で形成しても良い。また、前記板状体30に関しては、一枚の単純な平面形状に限らず、積層厚さを位置によって変化させたり、板状部分が複数方向に延びる形状(T字形状や逆Y字形状等)としたり、曲面形状を含んでいたり、更には、複数の板状の部分が組み合わされていても良い。
【0034】
次に、必要に応じて細部加工を施す。この細部加工は、例えば、固定部5の形状を釣竿に載置し易いように曲面状に形成したり、糸巻き・糸止めし易いように、固定部の端部を研磨等することが該当する。
【0035】
次に、フレームの表面処理を施す。例えば、バレル加工を施すことで、表面のバリを除去すると共に、表面の光沢が得られる程度に仕上げ研磨を施す。この研磨の程度については、釣糸ガイドのサイズや形状、材質特性などによって研磨剤や研磨時間などを任意に調整することが可能である。このようなバレル加工を施すことにより、強化繊維を切断することなく、フレームを研磨することが可能となり、強度の安定化が図れると共に、外観の優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。
【0036】
なお、このような研磨工程を施すに際しては、フレームの表面に強化繊維が一部露出しマトリックス樹脂が一部残るように研磨することが好ましい。こうすることで、研磨表面の光沢をより一層向上することが可能となる。
【0037】
次に、必要に応じて、フレームの全体又は一部分に被膜を形成する。例えば、外観向上やフレーム本体の保護のために塗装を行なうことや、金属やセラミックスを蒸着等することも可能である。
【0038】
そして、上記したように形成されたフレームの開口7aの部分にガイドリング6を取り付ける。ガイドリングの取り付け方法は、圧入や接着、カーリング、その他、任意の固定方法を採用することが可能である。
【0039】
上記したような製造方法によって形成される釣糸ガイドによれば、金属製のものと比較して、重量が軽くなり、更には、比強度、比剛性、及び撓み性に優れた構成とすることが可能となる。このため、そのような釣糸ガイドを多数個装着しても釣竿全体が重量化することはなく、釣竿の性能が向上する。特に、穂先竿のような部分では、より軽量化が図れることから、繊細な当たりを感知し易くなり、より釣竿の性能の向上を図ることが可能となる。
【0040】
次に、上記したようなプリプレグによってフレーム3を形成するに際して、そのプリプレグの好ましい配置態様等について、図6を参照しながら説明する。図6の釣糸ガイドは、リング保持部7が前側(穂先側)、固定部5が後側(元竿側)になるような向きで釣竿40に取り付けられている。なお、図6は、フレーム3を前側(穂先側)から見た図である。
【0041】
上記したように、フレーム3は、その前後方向に強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材20によって構成されており、本実施形態では、全体で8層のプリプレグが用いられている。ここでは、便宜上、積層材20を、前方側(穂先側)から後方側(元竿側)に移行するに連れて、順に、第1層20a、第2層20b、第3層20c、第4層20d、第5層20e、第6層20f、第7層20g、第8層20hとして定義する(このような積層構造では、積層側の中央にあたる第4層20dと第5層20eの間が積層材20の中央Cとなる)。また、図6において、釣糸ガイドを正面(釣竿の軸長方向)から見た際の鉛直方向をフレームの長手軸Xとして定義し、各層における繊維方向については、斜線又は格子線で示してある。
【0042】
積層材20の最外層となる前後面(第1層20a及び第8層20h)は、織布の繊維強化樹脂層によって構成されている。この場合、織布を構成する強化繊維は、図6に示されているように、前記長手軸Xに沿った方向と、これに直交する方向(水平方向)となるように設定されていることが望ましい。
【0043】
前記第1層20aと第8層20hの内層側(第2層20b及び第7層20g)は、長手軸Xに沿った方向(正確に一致しなくても良い)の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0044】
また、その内層側(第3層20c及び第6層20f)は、前方から見たときに強化繊維が長手軸Xに対して右方向(+で定義する)に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されている。この場合、長手軸Xに対し右方向に傾斜していれば良いが、長手軸Xに対する傾斜角度は、10°〜60°の範囲が好ましく、また、両層の強化繊維の斜向角度は、正確に一致しなくても良い。
【0045】
さらに、その内層側(第4層20d及び第5層20e)は、前方から見たときに強化繊維が長手軸Xに対して左方向(−で定義する)に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されている。この場合、長手軸Xに対し左方向に傾斜していれば良いが、長手軸Xに対する傾斜角度は、−10°〜−60°の範囲が好ましく、また、両層の強化繊維の斜向角度は、正確に一致しなくても良い。
【0046】
したがって、積層材20における中央Cの前後の層が、共に強化繊維が左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層(第4層20d及び第5層20e)となっており、その外側は、共に強化繊維が右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層(第3層20c及び第6層20f)となっている。すなわち、積層材20の中央Cに対して一方側と他方側に、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている(第4層20dと第6層20f、及び第3層20cと第5層20e)。
【0047】
また、本実施形態の態様では、積層材20の中央Cに対して一方側と他方側に、フレームの長手軸Xに対して互いに同じ方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている(第4層20dと第5層20e、及び第3層20cと第6層20f)。
【0048】
以上のような積層材20の構成によれば、フレーム自体の軽量化が図れると共に、比強度、比剛性及び撓み性に優れた釣糸ガイドを構築することが可能となる。特に、積層材20の中央Cに対して一方側と他方側に、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を配設したことで、キャスティングや魚が掛かったとき等、釣糸ガイドのフレーム3に負荷が掛かって前後に曲がったり、捩じれが生じても撓り方向が片寄らないため、破損等を効果的に抑制することが可能となる。また、フレーム3の撓りによってガイドリングへの釣糸の当たり場所が集中し難いことから、釣糸の磨耗を防止することが可能となる。
【0049】
また、上記した構成では、積層材20の中央Cに対してその前後の一方側と他方側に、それぞれ中央Cから積層順で離れる方向にフレームの長手軸Xに対して互いに同じ方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を同じ順序に配設しているため、釣糸ガイド1のフレームの前後で、曲げ剛性とねじれ剛性が同じにすることができ、負荷に対してフレームが一定の方向に片寄って歪むことを防止することとなる。
【0050】
また、上記した構成の積層材20は、長手軸Xに沿った方向の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層(第2層20b及び第7層20g)を備えているため、これにより長手軸方向の曲げ剛性が高められるようになる。
【0051】
さらに、上記した構成の積層材20は、最外層となる前後面(第1層20a及び第8層20h)に織布の繊維強化樹脂層を備えているため、釣糸が接触しても強化繊維の裂けや剥離などが生じ難く、強度の向上、及び安定化が図れると共に、内側の繊維強化樹脂層を効果的に保護することが可能となる。
【0052】
なお、このような織布の繊維強化樹脂層20a,20hについては、図7に示すように、強化繊維を編成した主たる繊維の網目の幅w(通常、強化繊維は、多数本が束ねられた状態で繊維束を構成しており、この繊維束が編成されて織布状に構成されるため、網目は繊維束の幅で特定される)が、フレーム3の支脚部8の幅W(ここでの幅は最小となる部位の幅が該当する)よりも小さくなるものを用いることが好ましい。
【0053】
このような織布の繊維強化樹脂層20a,20hを配設することで、より確実に強化繊維が剥離、破損することを防止でき、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。また、上述した屈曲部10a,10bについても相対的に強化することができ、軽量で強度バランスに優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。もちろん、上記した織布の繊維強化樹脂層20a,20hの網目の幅については、固定部5やリング保持部7の領域においても、同様にそれらの部分での最小幅よりも小さくすることが好ましい。
【0054】
なお、図7に示した配置態様では、織布に関し、その編目の方向を、フレームの長手軸Xに沿わせているが、これを長手軸Xに対して所定角度、傾斜させることが好ましい。このように傾斜させることで、強化繊維を、上記したように構成される支脚部8の延出方向に沿った方向、及びそれに直交する方向に指向させることができ、強化繊維の破断や剥離を効果的に防止することができる。
【0055】
また、上記した構成では、中央Cに対してその前後の一方側と他方側にそれぞれ設けられている、互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層(第4層20dと第6層20f、及び第3層20cと第5層20e)については、互いに繊維量が同じプリプレグを用いることが好ましい。
【0056】
このようなプリプレグを用いることで、フレームの前後の剛性を容易に同じにでき、前後で剛性バランスが取れたフレームとなる。なお、左右一対の支脚部8は、同じプリプレグを同じ積層順で重ねて形成した同じ積層材20で形成され、剛性などのバランスを取っている。
【0057】
図8は、フレーム部分の第2の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図である。
【0058】
本実施形態の積層材22は、全体で4層のプリプレグが用いられている。上記した実施形態と同様、積層材22を、前方側(穂先側)から後方側(元竿側)に移行するに連れて、順に、第1層22a、第2層22b、第3層22c、第4層22dとして定義する(このような積層構造では、第2層22bと第3層22cの間が積層順における積層材22の中央Cとなる)。
【0059】
積層材22の最外層となる前後面(第1層22a及び第4層22d)は、織布の繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0060】
また、前記第1層22aの内層側(第2層22b)は、強化繊維が右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層となっており、前記第4層22dの内層側(第3層22c)は、強化繊維が左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層となっている。すなわち、積層材22の中央Cに対して一方側と他方側に、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている。
【0061】
このような構成のフレームによれば、上記した実施形態と同様、釣糸ガイドのフレーム3に負荷が掛かって前後に曲がったり、捩じれが生じても撓り方向が片寄らないため、破損等を効果的に抑制することが可能となる。また、フレーム3の撓りによってガイドリングへの釣糸の当たり場所が集中し難いことから、釣糸の磨耗を防止することが可能となる。さらに、本実施形態では、層数を削減したことにより、軽量化が図れることから、釣竿の穂先側の釣糸ガイドに適した構成となる。
【0062】
図9は、フレーム部分の第3の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図である。
【0063】
本実施形態の積層材24は、全体で9層のプリプレグが用いられている。上記した実施形態と同様、積層材24を、前方側(穂先側)から後方側(元竿側)に移行するに連れて、順に、第1層24a、第2層24b、第3層24c、第4層24d、第5層24e、第6層24f、第7層24g、第8層24h、第9層24iとして定義する。このような奇数の積層数では、第5層24eが積層順における中央Cとなる芯材層を構成する。
【0064】
積層材24の最外層となる前後面(第1層24a及び第9層24i)は、織布の繊維強化樹脂層によって構成され、その内層側(第2層24b及び第8層24h)は、長手軸Xに沿った方向の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0065】
また、その内層側(第3層24c及び第7層24g)は、それぞれ長手軸Xに対して右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層、および左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されており、その内層側(第4層24d及び第6層24f)は、それぞれ長手軸Xに対して左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層、および右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0066】
また、中央Cとなる芯材層24eは、長手軸Xに沿った方向の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0067】
したがって、積層材24における中央C(芯材層24e)の前後の層が、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっており(第4層24d及び第6層24f)、その外側の層も互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている(第3層24c及び第7層24g)。
【0068】
更に、積層材24は、中央C(芯材層24e)に対する両側の繊維強化樹脂層が、外層に向かって繊維方向が互いに対称方向となるように積層された状態となっている。
【0069】
このような構成のフレームによれば、上記した実施形態と同様、釣糸ガイドのフレーム3に負荷が掛かって前後に曲がったり、捩じれが生じても撓り方向が片寄らないため、破損等を効果的に抑制することが可能となる。また、フレーム3の撓りによってガイドリングへの釣糸の当たり場所が集中し難いことから、釣糸の磨耗を防止することが可能となる。さらに、本実施形態では、中央に軸方向繊維強化樹脂層となる芯材層24eを配設したことで、フレーム3に対し、軸長方向に沿って釣糸の張力等によって撓み力が作用しても、その方向の比剛性を、軽量化を図りながら効率良く高めておくことが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、中央C(芯材層24e)に対する両側の繊維強化樹脂層が、外層に向かって繊維方向が互いに対称方向となるように積層された状態となっているため、フレームを捩る力が作用した際、左右いずれの方向の捩れに対しても比強度の向上を図ることが可能となる。
【0071】
図10は、フレーム部分の第4の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図である。
【0072】
本実施形態では、固定部5とリング保持部7とを連結する支脚部8Aを、上記した実施形態のような中央の窓部(開口8a)を形成することなく、1枚のプレート状に形成している。このように、支脚部8Aの形状については、例えば、釣竿の種類、釣糸ガイドが装着される竿杆などに応じて適宜変形することが可能であり、図に示したようなプレート状に形成された支脚部についても、中間部分を折曲げたり、面取りを施すなど、適宜変形することが可能である。そして、本実施形態の積層材26は、全体で10層のプリプレグが用いられており、上記した実施形態と同様、積層材26を、前方側(穂先側)から後方側(元竿側)に移行するに連れて、順に、第1層26a、第2層26b、第3層26c、第4層26d、第5層26e、第6層26f、第7層26g、第8層26h、第9層26i、第10層26jとして定義する(このような偶数の積層数では、第5層26eと第6層26fの間が積層材26の中央Cとなる)。
【0073】
積層材26の最外層となる前後面(第1層26a及び第10層26j)は、織布の繊維強化樹脂層によって構成され、その内層側(第2層26b及び第9層26i)は、長手軸Xに沿った方向の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0074】
また、その内層側(第3層26c及び第8層26h)は、ともに長手軸Xに対して右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されており、その内層側(第4層26d及び第7層26g)は、それぞれ長手軸Xに対して右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層、および左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0075】
また、積層材26の中央Cに対する両側の層(第5層26e及び第6層26f)は、長手軸Xに対して互いに反対方向(第5層26eは左方向、第6層26fは右方向)に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている。
【0076】
したがって、積層材26における中央Cの前後の層が、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっており(第5層26e及び第6層26f)、その外側の層も互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている(第4層26d及び第7層26g)。
【0077】
このような構成のフレームにおいても、上記した実施形態と同様、釣糸ガイドのフレーム3に負荷が掛かって前後に曲がったり、捩じれが生じても撓り方向が片寄らないため、破損等を効果的に抑制することが可能となる。また、フレーム3の撓りによってガイドリングへの釣糸の当たり場所が集中し難いことから、釣糸の磨耗を防止することが可能となる。特に、本実施形態においても、前記第3の実施形態と同様、中央C(第5層26e及び第6層26fの間)に対して、両側の繊維強化樹脂層が、外層に向かって繊維方向が互いに対称方向となるように積層された状態となっているため、フレームを捩る力が作用した際、左右いずれの方向の捩れに対しても比強度の向上を図ることが可能となる。
【0078】
上述した図6、図8、図9及び図10に示した構成においては、フレーム3を構成する積層材20,22,24,26は、固定部5からリング保持部7へと向かう軸方向繊維樹脂層の強化繊維の量よりも、斜向繊維樹脂層の強化繊維の量を多く配設して成ることが好ましい。これによれば、釣糸ガイド1が大撓みして図1の矢印方向の大きな負荷によってフレーム3が撓んでも破損し難い釣糸ガイドにすることが可能となる。
【0079】
また、上述した構成において、屈曲部10a,10bについては、その前後の領域よりも繊維比率を高くしておくことが好ましい。例えば、上記した製造工程で説明したように、加熱成形時に屈曲部の領域の押圧力を高くすることで、樹脂が流出して屈曲部の繊維比率を高くすることが可能であり、このように構成することで、負荷が作用してフレームが撓んでも破損し難い釣糸ガイドにすることが可能となる。
【0080】
なお、屈曲部の繊維比率を高くすることに代えて、図11に示すように、屈曲部における肉厚Tを、固定部5における肉厚T1や支脚部8(支脚部8A)の肉厚T2よりも厚く形成しても良い。このように、屈曲部を、他の領域よりも厚肉化しておくことで、屈曲部での破損を効果的に防止することが可能となる。もちろん、肉厚を厚くすると共に、上述したように繊維比率を高くすることが好ましい。
【0081】
また、屈曲部については、厚さ方向の中立軸部位の合成樹脂含浸量よりも、屈曲部の内側の外層部位(図11において、屈曲部10aの符号Pで示す側)の合成樹脂含浸量を多くしておくことが好ましい。
【0082】
上記したように、フレーム部分には、釣糸による張力が作用した際、図11の矢印方向に大きな負荷が作用することが多いため、屈曲部の内側の外層部位(Pで示す側)から破損等が生じ易い。このため、そのような領域側の樹脂含浸量を多くしておくことで、負荷によってフレームが撓んでも破損し難い釣糸ガイドにすることが可能となる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した構成に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
本発明は、釣糸ガイドを構成するフレーム部分を、繊維強化プリプレグで構成すると共に、比強度、比剛性等を高め、特に、屈曲部の領域で破損等が生じないように、上述したようなプリプレグの配置態様を用いたことに特徴がある。上記したフレームを構成するプリプレグについては、強化繊維の種類、弾性率、指向方向(傾斜角度)、樹脂含浸量、肉厚などの構成、及び積層状態等については、実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0084】
また、釣糸ガイドは、釣竿に対して糸止め等によって固定される構成を説明したが、例えば、釣竿に対して摺動可能に外嵌される遊動ガイドとして構成されていても良い。このような遊動ガイドであれば、上記したフレーム3に屈曲部を形成しない構成であっても良い。すなわち、図12に示すように、フレーム3Aは平板状に構成されており、一端側に、固定部5Aとして、開口5dが形成され(開口5dが固定部5Aに設けられている)、他端側に、リング保持部7Aとして、ガイドリングが固定できる開口7cが形成されている。また、固定部5Aとリング保持部7Aとを連結する支脚部8Bには、必要に応じて肉抜き8cが形成される。そして、開口5dには摺動固定リング5cが装着され、摺動固定リング5cが装着された開口5dに図示しない筒状体を固定することにより、この筒状体の内側面に形成される凹凸条の部分と釣竿の竿杆とが係合される。
このように、釣竿の装着位置に応じて、フレームには屈曲部を形成しない構成であっても良く、このような釣糸ガイドを構成するフレームに用いられるプリプレグについては、織布層の単層構造にしても良い。もちろん、上述したような積層構造としても良く、別途、屈曲部を形成しても良い。或いは、摺動固定リング5cが装着される部分(符号5Dで示す領域)については、リング保持部7Aよりも厚く形成しているが、全体として同じ肉厚にしても良く、厚さや形状については任意に設定することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 釣糸ガイド
3 フレーム
5 固定部
6 ガイドリング
7,7A リング保持部
8,8A,8B 支脚部
10a,10b 屈曲部
20,22,24,26 積層材
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に装着されて釣糸を案内する釣糸ガイドに関し、詳細には、釣糸が挿通されるガイドリングを保持するフレーム部分に特徴を有する釣糸ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した釣糸ガイドは、釣竿の外周面に装着されるフレームと、フレームに止着され、実際に釣糸が挿通されるガイドリングとを備えた構成となっている。前記フレームは、例えば、特許文献1に記載されているように、ステンレスやチタン等の金属製の板材料をプレス加工することで一体形成するのが一般的となっており、フレームには、釣糸を挿通させるガイドリングを保持するためのリング保持部と、釣竿の外表面に装着するための固定部が一体形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340661号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した公知技術では、フレームが金属材料で構成されているため、重量が重く、比強度、比剛性、撓み性等の性能が悪く、釣竿の性能の向上を図る上でネックとなっている。例えば、より軽量化が要求される釣竿では、上記したような釣糸ガイドを軸長方向に沿って多数装着すると、所望の性能が発揮できなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、重量が軽く、比強度、比剛性及び撓み性に優れた釣糸ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、フレームに釣糸が挿通されるガイドリングが取り付けられる釣糸ガイドであって、前記フレームは、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材からなり、前記積層材の中央に対して一方側と他方側に、前記フレームの長手軸に対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記した構成の釣糸ガイドは、そのフレーム部分が、繊維強化プリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材から構成されるため、軽量化が図れるようになる。また、積層材の中央に対して一方側と他方側には、フレームの長手軸に対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を設けていることから、キャスティング時や魚が掛かったときに、釣糸ガイドのフレームに負荷が掛かり、前後に曲がるような応力が作用したり、捩れが生じるような応力が作用しても、撓り方向の片寄りが抑制され、比強度、比剛性及び撓み性が向上する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、重量が軽く、比強度、比剛性及び撓み性に優れた釣糸ガイドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る釣糸ガイドの一構成例を示す縦断面図。
【図2】図1を矢印A方向から見た図。
【図3】釣糸ガイドを釣竿(竿管)に装着した状態を示す図。
【図4】釣糸ガイドを構成するフレームを成形する金型の構成例を示す図。
【図5】金型で成形された板状体からフレームを切り出す状態を示す図。
【図6】フレーム部分の第1の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図。
【図7】フレーム部分の最外層を模式的に示す図。
【図8】フレーム部分の第2の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図。
【図9】フレーム部分の第3の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図。
【図10】フレーム部分の第4の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図。
【図11】フレームの固定部領域を拡大した断面図。
【図12】釣糸ガイドの別の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る釣糸ガイドの実施形態について説明する。
【0011】
最初に、図1から図3を参照して、本発明に係る釣糸ガイドの一構成例について説明する。これらの図において、図1は、釣糸ガイドの縦断面図であり、図2は、図1を矢印A方向から見た図、そして、図3は、釣糸ガイドを釣竿(竿管)に装着した状態を示す図である。なお、図1において、矢印A方向は、釣糸ガイドが釣竿に装着された際、釣竿の軸長方向と一致しており、図3は、元竿側から穂先竿側を見た図となっている。また、釣糸ガイドは、リング保持部が穂先側で、固定部が元竿側となるように取り付けられており、以下において、前側とは穂先側を意味し、後側は基端側(元竿側)を意味する。
【0012】
釣糸ガイド1は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグ(以下、プリプレグと称する)を積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材によって形成されたフレーム3を備えている(プリプレグの構成、積層態様、及びフレームの詳細な製造方法については後述する)。
【0013】
前記フレーム3は、釣竿(竿管)40の外表面に装着される固定部5と、釣糸が挿通されるガイドリング6が取り付けられるリング保持部7と、リング保持部7と固定部5との間を連結する支脚部8とを具備しており、前記リング保持部7の軸線方向(図1の矢印A方向;前後方向)における厚みよりも左右方向の幅が大きい板状に形成されている。
【0014】
前記固定部5は、フレームの下端において、釣竿の表面に固定される部位(足部とも称される)であり、本実施形態では軸長方向に延び、その裏側の当接面5aが釣竿の表面に載置した状態で、糸止め、接着等によって固定される。なお、固定部5は1本足や2本足など、様々な形状をとることができる。
【0015】
前記リング保持部7は、釣竿の表面から離間した状態で釣糸を案内させるべく、ガイドリング6を止着させる部位である。リング保持部7には、ガイドリング6を嵌入、固定させるための開口7aが形成されており、全体として略円形の外形状を備えている。なお、開口7aに嵌入されるガイドリング6は、リング状に構成され、その内周面である釣糸案内面6a部分での摺動抵抗が小さい部材、例えば、チタン、アルミ、SUS、セラミックス等によって形成されている。このガイドリング6は、フレーム3が前記プリプレグによって一体形成された後、リング保持部7の開口7aに対して嵌入、固定される。
【0016】
また、前記支脚部8は、ガイドリング6を釣竿の表面から離間させるように、固定部5とリング保持部7とを連結する部位である。この支脚部8は、後述するように、釣糸ガイドを正面(釣竿の軸長方向)から見た際の鉛直方向(フレームの長手軸Xと定義する)に沿うように形成しても良いし、図に示すように、鉛直方向に対して傾斜するように形成しても良い。
【0017】
前記フレーム3には、少なくとも1つ以上の屈曲部が形成されている。本実施形態では、固定部5と支脚部8との間の境界部分に第1屈曲部10aが形成されており、さらに、支脚部8のリング保持部7側に、第1屈曲部よりも緩やかに屈曲した第2屈曲部10bが形成されている。この場合、前記境界部分は、実際に釣竿の外表面に対して固定状態となる固定部5の端部から、リング保持部7に向けて立ち上がる領域が該当する。
【0018】
フレーム3に上記したような屈曲部を形成する場合、特に、支脚部8に第2屈曲部10bを形成しておくことで、フレーム全体として、屈曲させることによる曲げ角度を段階的に設定することが可能となり、応力集中を分散させて強度を向上することが可能となる。また、上記のようにフレーム3に複数の屈曲部10a,10bを形成するのであれば、固定部5と支脚部8との間の境界部分、又はその近傍に形成される屈曲部(図において、第1屈曲部10aが対応する)よりも、支脚部8に形成される屈曲部(図において、第2屈曲部10bが対応する)の屈曲角度を小さく設定することが好ましい。具体的には、固定部5と支脚部8との間の境界部分、又はその近傍に形成される屈曲部の屈曲角度θ1は、30〜90度の範囲とし、支脚部8に形成される屈曲部の屈曲角度θ2は、それよりも小さい角度(θ1>θ2)で0〜45度の範囲とし、両角度を合わせたときに30度以上、100度以下にすることが好ましい。
【0019】
なお、図1に示すように、屈曲角度は、屈曲した部分の前後において、接線同士が交差する角度によって定義される。上記したように、フレームに2つの屈曲部10a,10bを形成した場合、その角度の関係は、上記のように設定されることが好ましい。また、固定部5とリング保持部7との間の屈曲角度(固定部5の下面接線とリング保持部7との交差する角度)θ3については、30〜100度の範囲で設定されることが好ましい。さらに、上記した支脚部8については、2つの屈曲部10a,10b間は直線状に形成されていたが、2つの屈曲部10a,10b間を、所定の曲面を有する湾曲状に形成しても良いし、支脚部全体を湾曲面で構成しても良い。
【0020】
このような角度関係となるように屈曲部を形成しておくことで、特定屈曲部への応力集中を防止でき、強度の安定化が図れる。
【0021】
また、上記したようなフレームに形成される屈曲部10a,10bは、応力集中して破損等し易い領域となっているが、後述するような製造方法、及びプリプレグの構成を用いることで、比強度、及び比剛性の向上が図られている。
【0022】
前記フレーム3は、後述するように、予め上記したような構成の屈曲部を形成した状態のプリプレグ(加熱成形後は板状体となっている)から、プレス加工等によって形成されるが、この際、所定の外形を有するように形成される。本実施形態では、図2に示すように、固定部5の端部から第1屈曲部10aを介して立ち上がる支脚部8は、上方に移行するに従って次第に幅広となっており、ガイドリング6が取着される開口7aが形成された略円形のリング保持部7に一体的に連結される。この場合、図に示すように、支脚部8には、軽量化を図るために、開口(肉抜き)8aを形成しておいても良い。
【0023】
次に、上記したような形態のフレーム3を形成する方法について、図4から図6を参照しながら説明する。なお、最初に、図4及び図5を参照して全体的な製造工程について説明し、次に、フレームを構成する複数のプリプレグの積層状態、及び積層されるプリプレグの強化繊維の配列状態について説明する。
【0024】
上記したように、フレーム3は、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグによって形成される。この場合、プリプレグは、例えば、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維が所定の方向に引き揃えられた状態、或いは編成されたシート状に構成されており、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン)をマトリックス樹脂として含浸した構成となっている。
【0025】
最初、上記したようなプリプレグを所定形状に裁断し、これを複数層となるように重ね合わせる。重ね合わせるプリプレグの枚数(層数)や、個々のプリプレグの構成については特に限定されることはないが、上記したように、フレーム3に屈曲部10a,10bを形成すること、使用時においてフレーム3には負荷が加わること、装着される釣竿の特性や装着部分等を考慮し、プリプレグの種類や重ねる条件が任意に調整される。
【0026】
このように積層されるプリプレグは、図4に示すような金型50にセットされる。本実施形態の金型50は、上下に型割りされる上型51と下型52によって構成されており、積層されたプリプレグ(積層材20)は、下型52の所定位置にセットされる。上型51と下型52との間には、積層材20がセットされる位置に応じて空洞部50aが形成されており、その表面領域には、離型剤がコーティングされている。
【0027】
上記金型50を構成する上型51は凹状、下型52は凸状に構成されており、両者を押圧した際にフレーム3が形成されるように、両者の間に前記空洞部(この空洞部については、フレーム3の肉厚に対応している)50aが形成されている。そして、下型52には、前記積層材20を載置した際、上記した屈曲部10a,10bに対応する位置に、屈曲形成凸部52a,52bが形成され、上型51には、屈曲形成凸部52a,52bに対応して屈曲形成凹部51a,51bが形成されている。
【0028】
なお、前記積層材20は、一度に全体を重ね合わせた状態で下型にセットしても良いし、1枚づつセットする等、複数回に分けて積層しても良い。このように複数回に分けることにより、強化繊維の動きを少なくして、精度良く下型52の所定位置にセットすることもできる。本実施形態では、上記のように、金型50を上下割りにしているため、積層材20は下型52に載置して、金型の形状に合わせて所定形状に保持する。もちろん、金型については、一例を示したに過ぎず、型割りの方向については、左右方向としたり、傾斜方向にする等、任意の形態にすることが可能である。
【0029】
そして、積層材20を下型52にセットした後、積層材20を加圧し固定する。この加圧、固定については、上型51によって締め付けしても良いし、手や押圧具で押し付けても良い。この段階で、前記屈曲部を含め、成形後のフレーム形状に相当する形が保持され、これにより、成形後の内部残留応力の発生を防止でき、強度の向上、及び安定化が図れるようになる(この段階では、各プリプレグは未硬化状態(仮キュア後を含む)であり、屈曲部は加熱硬化前に形成されることとなる)。
【0030】
その後、加熱工程を施し、マトリックス樹脂を硬化して成形した後、成形品(屈曲部を有する板状体30となっている)を金型50から取り出す。
【0031】
なお、上記した屈曲部を金型50で押えて加熱硬化するときに、その屈曲部は、その前後の領域よりも相対的に強く加圧することが好ましい。このように、屈曲部の領域を強く加圧することで、成形されたフレームの屈曲部(10a,10b)のボイドを防止することができ、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。また、これに伴い、成形されたフレーム3の屈曲部10a,10bは、その前後の領域(固定部や支脚部)よりも繊維比率を高くすることができるので、破損等しやすい屈曲部を強化することが可能となる。
【0032】
次に、板状体30から所定の形状となるようにフレームを切り出す。上記したように、プリプレグは、加熱硬化処理後に屈曲部が形成された板状体となっているため、プレス加工による切り出し、液体(ウォータージェット等)による切り出し、或いは刃具(エンドミル等)による切り出し等、任意の方法を採用することで、図5に示すように、1枚の板状体30から複数のフレーム3を切り出すことが可能となり、軽量で高強度の釣糸ガイドを効率良く製造することが可能となる。
【0033】
なお、この加工時において、フレーム3の基本的な外形状、すなわち、開口7aを有するリング保持部7、開口8aを有する支脚部8等を同時に形成することが好ましいが、これらを別々の工程で形成しても良い。また、前記板状体30に関しては、一枚の単純な平面形状に限らず、積層厚さを位置によって変化させたり、板状部分が複数方向に延びる形状(T字形状や逆Y字形状等)としたり、曲面形状を含んでいたり、更には、複数の板状の部分が組み合わされていても良い。
【0034】
次に、必要に応じて細部加工を施す。この細部加工は、例えば、固定部5の形状を釣竿に載置し易いように曲面状に形成したり、糸巻き・糸止めし易いように、固定部の端部を研磨等することが該当する。
【0035】
次に、フレームの表面処理を施す。例えば、バレル加工を施すことで、表面のバリを除去すると共に、表面の光沢が得られる程度に仕上げ研磨を施す。この研磨の程度については、釣糸ガイドのサイズや形状、材質特性などによって研磨剤や研磨時間などを任意に調整することが可能である。このようなバレル加工を施すことにより、強化繊維を切断することなく、フレームを研磨することが可能となり、強度の安定化が図れると共に、外観の優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。
【0036】
なお、このような研磨工程を施すに際しては、フレームの表面に強化繊維が一部露出しマトリックス樹脂が一部残るように研磨することが好ましい。こうすることで、研磨表面の光沢をより一層向上することが可能となる。
【0037】
次に、必要に応じて、フレームの全体又は一部分に被膜を形成する。例えば、外観向上やフレーム本体の保護のために塗装を行なうことや、金属やセラミックスを蒸着等することも可能である。
【0038】
そして、上記したように形成されたフレームの開口7aの部分にガイドリング6を取り付ける。ガイドリングの取り付け方法は、圧入や接着、カーリング、その他、任意の固定方法を採用することが可能である。
【0039】
上記したような製造方法によって形成される釣糸ガイドによれば、金属製のものと比較して、重量が軽くなり、更には、比強度、比剛性、及び撓み性に優れた構成とすることが可能となる。このため、そのような釣糸ガイドを多数個装着しても釣竿全体が重量化することはなく、釣竿の性能が向上する。特に、穂先竿のような部分では、より軽量化が図れることから、繊細な当たりを感知し易くなり、より釣竿の性能の向上を図ることが可能となる。
【0040】
次に、上記したようなプリプレグによってフレーム3を形成するに際して、そのプリプレグの好ましい配置態様等について、図6を参照しながら説明する。図6の釣糸ガイドは、リング保持部7が前側(穂先側)、固定部5が後側(元竿側)になるような向きで釣竿40に取り付けられている。なお、図6は、フレーム3を前側(穂先側)から見た図である。
【0041】
上記したように、フレーム3は、その前後方向に強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材20によって構成されており、本実施形態では、全体で8層のプリプレグが用いられている。ここでは、便宜上、積層材20を、前方側(穂先側)から後方側(元竿側)に移行するに連れて、順に、第1層20a、第2層20b、第3層20c、第4層20d、第5層20e、第6層20f、第7層20g、第8層20hとして定義する(このような積層構造では、積層側の中央にあたる第4層20dと第5層20eの間が積層材20の中央Cとなる)。また、図6において、釣糸ガイドを正面(釣竿の軸長方向)から見た際の鉛直方向をフレームの長手軸Xとして定義し、各層における繊維方向については、斜線又は格子線で示してある。
【0042】
積層材20の最外層となる前後面(第1層20a及び第8層20h)は、織布の繊維強化樹脂層によって構成されている。この場合、織布を構成する強化繊維は、図6に示されているように、前記長手軸Xに沿った方向と、これに直交する方向(水平方向)となるように設定されていることが望ましい。
【0043】
前記第1層20aと第8層20hの内層側(第2層20b及び第7層20g)は、長手軸Xに沿った方向(正確に一致しなくても良い)の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0044】
また、その内層側(第3層20c及び第6層20f)は、前方から見たときに強化繊維が長手軸Xに対して右方向(+で定義する)に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されている。この場合、長手軸Xに対し右方向に傾斜していれば良いが、長手軸Xに対する傾斜角度は、10°〜60°の範囲が好ましく、また、両層の強化繊維の斜向角度は、正確に一致しなくても良い。
【0045】
さらに、その内層側(第4層20d及び第5層20e)は、前方から見たときに強化繊維が長手軸Xに対して左方向(−で定義する)に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されている。この場合、長手軸Xに対し左方向に傾斜していれば良いが、長手軸Xに対する傾斜角度は、−10°〜−60°の範囲が好ましく、また、両層の強化繊維の斜向角度は、正確に一致しなくても良い。
【0046】
したがって、積層材20における中央Cの前後の層が、共に強化繊維が左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層(第4層20d及び第5層20e)となっており、その外側は、共に強化繊維が右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層(第3層20c及び第6層20f)となっている。すなわち、積層材20の中央Cに対して一方側と他方側に、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている(第4層20dと第6層20f、及び第3層20cと第5層20e)。
【0047】
また、本実施形態の態様では、積層材20の中央Cに対して一方側と他方側に、フレームの長手軸Xに対して互いに同じ方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている(第4層20dと第5層20e、及び第3層20cと第6層20f)。
【0048】
以上のような積層材20の構成によれば、フレーム自体の軽量化が図れると共に、比強度、比剛性及び撓み性に優れた釣糸ガイドを構築することが可能となる。特に、積層材20の中央Cに対して一方側と他方側に、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を配設したことで、キャスティングや魚が掛かったとき等、釣糸ガイドのフレーム3に負荷が掛かって前後に曲がったり、捩じれが生じても撓り方向が片寄らないため、破損等を効果的に抑制することが可能となる。また、フレーム3の撓りによってガイドリングへの釣糸の当たり場所が集中し難いことから、釣糸の磨耗を防止することが可能となる。
【0049】
また、上記した構成では、積層材20の中央Cに対してその前後の一方側と他方側に、それぞれ中央Cから積層順で離れる方向にフレームの長手軸Xに対して互いに同じ方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を同じ順序に配設しているため、釣糸ガイド1のフレームの前後で、曲げ剛性とねじれ剛性が同じにすることができ、負荷に対してフレームが一定の方向に片寄って歪むことを防止することとなる。
【0050】
また、上記した構成の積層材20は、長手軸Xに沿った方向の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層(第2層20b及び第7層20g)を備えているため、これにより長手軸方向の曲げ剛性が高められるようになる。
【0051】
さらに、上記した構成の積層材20は、最外層となる前後面(第1層20a及び第8層20h)に織布の繊維強化樹脂層を備えているため、釣糸が接触しても強化繊維の裂けや剥離などが生じ難く、強度の向上、及び安定化が図れると共に、内側の繊維強化樹脂層を効果的に保護することが可能となる。
【0052】
なお、このような織布の繊維強化樹脂層20a,20hについては、図7に示すように、強化繊維を編成した主たる繊維の網目の幅w(通常、強化繊維は、多数本が束ねられた状態で繊維束を構成しており、この繊維束が編成されて織布状に構成されるため、網目は繊維束の幅で特定される)が、フレーム3の支脚部8の幅W(ここでの幅は最小となる部位の幅が該当する)よりも小さくなるものを用いることが好ましい。
【0053】
このような織布の繊維強化樹脂層20a,20hを配設することで、より確実に強化繊維が剥離、破損することを防止でき、強度の向上、及び安定化が図れるようになる。また、上述した屈曲部10a,10bについても相対的に強化することができ、軽量で強度バランスに優れた釣糸ガイドとすることが可能となる。もちろん、上記した織布の繊維強化樹脂層20a,20hの網目の幅については、固定部5やリング保持部7の領域においても、同様にそれらの部分での最小幅よりも小さくすることが好ましい。
【0054】
なお、図7に示した配置態様では、織布に関し、その編目の方向を、フレームの長手軸Xに沿わせているが、これを長手軸Xに対して所定角度、傾斜させることが好ましい。このように傾斜させることで、強化繊維を、上記したように構成される支脚部8の延出方向に沿った方向、及びそれに直交する方向に指向させることができ、強化繊維の破断や剥離を効果的に防止することができる。
【0055】
また、上記した構成では、中央Cに対してその前後の一方側と他方側にそれぞれ設けられている、互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層(第4層20dと第6層20f、及び第3層20cと第5層20e)については、互いに繊維量が同じプリプレグを用いることが好ましい。
【0056】
このようなプリプレグを用いることで、フレームの前後の剛性を容易に同じにでき、前後で剛性バランスが取れたフレームとなる。なお、左右一対の支脚部8は、同じプリプレグを同じ積層順で重ねて形成した同じ積層材20で形成され、剛性などのバランスを取っている。
【0057】
図8は、フレーム部分の第2の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図である。
【0058】
本実施形態の積層材22は、全体で4層のプリプレグが用いられている。上記した実施形態と同様、積層材22を、前方側(穂先側)から後方側(元竿側)に移行するに連れて、順に、第1層22a、第2層22b、第3層22c、第4層22dとして定義する(このような積層構造では、第2層22bと第3層22cの間が積層順における積層材22の中央Cとなる)。
【0059】
積層材22の最外層となる前後面(第1層22a及び第4層22d)は、織布の繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0060】
また、前記第1層22aの内層側(第2層22b)は、強化繊維が右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層となっており、前記第4層22dの内層側(第3層22c)は、強化繊維が左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層となっている。すなわち、積層材22の中央Cに対して一方側と他方側に、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている。
【0061】
このような構成のフレームによれば、上記した実施形態と同様、釣糸ガイドのフレーム3に負荷が掛かって前後に曲がったり、捩じれが生じても撓り方向が片寄らないため、破損等を効果的に抑制することが可能となる。また、フレーム3の撓りによってガイドリングへの釣糸の当たり場所が集中し難いことから、釣糸の磨耗を防止することが可能となる。さらに、本実施形態では、層数を削減したことにより、軽量化が図れることから、釣竿の穂先側の釣糸ガイドに適した構成となる。
【0062】
図9は、フレーム部分の第3の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図である。
【0063】
本実施形態の積層材24は、全体で9層のプリプレグが用いられている。上記した実施形態と同様、積層材24を、前方側(穂先側)から後方側(元竿側)に移行するに連れて、順に、第1層24a、第2層24b、第3層24c、第4層24d、第5層24e、第6層24f、第7層24g、第8層24h、第9層24iとして定義する。このような奇数の積層数では、第5層24eが積層順における中央Cとなる芯材層を構成する。
【0064】
積層材24の最外層となる前後面(第1層24a及び第9層24i)は、織布の繊維強化樹脂層によって構成され、その内層側(第2層24b及び第8層24h)は、長手軸Xに沿った方向の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0065】
また、その内層側(第3層24c及び第7層24g)は、それぞれ長手軸Xに対して右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層、および左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されており、その内層側(第4層24d及び第6層24f)は、それぞれ長手軸Xに対して左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層、および右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0066】
また、中央Cとなる芯材層24eは、長手軸Xに沿った方向の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0067】
したがって、積層材24における中央C(芯材層24e)の前後の層が、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっており(第4層24d及び第6層24f)、その外側の層も互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている(第3層24c及び第7層24g)。
【0068】
更に、積層材24は、中央C(芯材層24e)に対する両側の繊維強化樹脂層が、外層に向かって繊維方向が互いに対称方向となるように積層された状態となっている。
【0069】
このような構成のフレームによれば、上記した実施形態と同様、釣糸ガイドのフレーム3に負荷が掛かって前後に曲がったり、捩じれが生じても撓り方向が片寄らないため、破損等を効果的に抑制することが可能となる。また、フレーム3の撓りによってガイドリングへの釣糸の当たり場所が集中し難いことから、釣糸の磨耗を防止することが可能となる。さらに、本実施形態では、中央に軸方向繊維強化樹脂層となる芯材層24eを配設したことで、フレーム3に対し、軸長方向に沿って釣糸の張力等によって撓み力が作用しても、その方向の比剛性を、軽量化を図りながら効率良く高めておくことが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、中央C(芯材層24e)に対する両側の繊維強化樹脂層が、外層に向かって繊維方向が互いに対称方向となるように積層された状態となっているため、フレームを捩る力が作用した際、左右いずれの方向の捩れに対しても比強度の向上を図ることが可能となる。
【0071】
図10は、フレーム部分の第4の実施形態を示す図であり、フレームを構成するプリプレグの積層構造を拡大して示す図である。
【0072】
本実施形態では、固定部5とリング保持部7とを連結する支脚部8Aを、上記した実施形態のような中央の窓部(開口8a)を形成することなく、1枚のプレート状に形成している。このように、支脚部8Aの形状については、例えば、釣竿の種類、釣糸ガイドが装着される竿杆などに応じて適宜変形することが可能であり、図に示したようなプレート状に形成された支脚部についても、中間部分を折曲げたり、面取りを施すなど、適宜変形することが可能である。そして、本実施形態の積層材26は、全体で10層のプリプレグが用いられており、上記した実施形態と同様、積層材26を、前方側(穂先側)から後方側(元竿側)に移行するに連れて、順に、第1層26a、第2層26b、第3層26c、第4層26d、第5層26e、第6層26f、第7層26g、第8層26h、第9層26i、第10層26jとして定義する(このような偶数の積層数では、第5層26eと第6層26fの間が積層材26の中央Cとなる)。
【0073】
積層材26の最外層となる前後面(第1層26a及び第10層26j)は、織布の繊維強化樹脂層によって構成され、その内層側(第2層26b及び第9層26i)は、長手軸Xに沿った方向の一方向に引き揃えられた強化繊維からなる軸方向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0074】
また、その内層側(第3層26c及び第8層26h)は、ともに長手軸Xに対して右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されており、その内層側(第4層26d及び第7層26g)は、それぞれ長手軸Xに対して右方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層、および左方向に斜向した斜向繊維強化樹脂層によって構成されている。
【0075】
また、積層材26の中央Cに対する両側の層(第5層26e及び第6層26f)は、長手軸Xに対して互いに反対方向(第5層26eは左方向、第6層26fは右方向)に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている。
【0076】
したがって、積層材26における中央Cの前後の層が、フレームの長手軸Xに対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっており(第5層26e及び第6層26f)、その外側の層も互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層が配設された状態となっている(第4層26d及び第7層26g)。
【0077】
このような構成のフレームにおいても、上記した実施形態と同様、釣糸ガイドのフレーム3に負荷が掛かって前後に曲がったり、捩じれが生じても撓り方向が片寄らないため、破損等を効果的に抑制することが可能となる。また、フレーム3の撓りによってガイドリングへの釣糸の当たり場所が集中し難いことから、釣糸の磨耗を防止することが可能となる。特に、本実施形態においても、前記第3の実施形態と同様、中央C(第5層26e及び第6層26fの間)に対して、両側の繊維強化樹脂層が、外層に向かって繊維方向が互いに対称方向となるように積層された状態となっているため、フレームを捩る力が作用した際、左右いずれの方向の捩れに対しても比強度の向上を図ることが可能となる。
【0078】
上述した図6、図8、図9及び図10に示した構成においては、フレーム3を構成する積層材20,22,24,26は、固定部5からリング保持部7へと向かう軸方向繊維樹脂層の強化繊維の量よりも、斜向繊維樹脂層の強化繊維の量を多く配設して成ることが好ましい。これによれば、釣糸ガイド1が大撓みして図1の矢印方向の大きな負荷によってフレーム3が撓んでも破損し難い釣糸ガイドにすることが可能となる。
【0079】
また、上述した構成において、屈曲部10a,10bについては、その前後の領域よりも繊維比率を高くしておくことが好ましい。例えば、上記した製造工程で説明したように、加熱成形時に屈曲部の領域の押圧力を高くすることで、樹脂が流出して屈曲部の繊維比率を高くすることが可能であり、このように構成することで、負荷が作用してフレームが撓んでも破損し難い釣糸ガイドにすることが可能となる。
【0080】
なお、屈曲部の繊維比率を高くすることに代えて、図11に示すように、屈曲部における肉厚Tを、固定部5における肉厚T1や支脚部8(支脚部8A)の肉厚T2よりも厚く形成しても良い。このように、屈曲部を、他の領域よりも厚肉化しておくことで、屈曲部での破損を効果的に防止することが可能となる。もちろん、肉厚を厚くすると共に、上述したように繊維比率を高くすることが好ましい。
【0081】
また、屈曲部については、厚さ方向の中立軸部位の合成樹脂含浸量よりも、屈曲部の内側の外層部位(図11において、屈曲部10aの符号Pで示す側)の合成樹脂含浸量を多くしておくことが好ましい。
【0082】
上記したように、フレーム部分には、釣糸による張力が作用した際、図11の矢印方向に大きな負荷が作用することが多いため、屈曲部の内側の外層部位(Pで示す側)から破損等が生じ易い。このため、そのような領域側の樹脂含浸量を多くしておくことで、負荷によってフレームが撓んでも破損し難い釣糸ガイドにすることが可能となる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した構成に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
本発明は、釣糸ガイドを構成するフレーム部分を、繊維強化プリプレグで構成すると共に、比強度、比剛性等を高め、特に、屈曲部の領域で破損等が生じないように、上述したようなプリプレグの配置態様を用いたことに特徴がある。上記したフレームを構成するプリプレグについては、強化繊維の種類、弾性率、指向方向(傾斜角度)、樹脂含浸量、肉厚などの構成、及び積層状態等については、実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0084】
また、釣糸ガイドは、釣竿に対して糸止め等によって固定される構成を説明したが、例えば、釣竿に対して摺動可能に外嵌される遊動ガイドとして構成されていても良い。このような遊動ガイドであれば、上記したフレーム3に屈曲部を形成しない構成であっても良い。すなわち、図12に示すように、フレーム3Aは平板状に構成されており、一端側に、固定部5Aとして、開口5dが形成され(開口5dが固定部5Aに設けられている)、他端側に、リング保持部7Aとして、ガイドリングが固定できる開口7cが形成されている。また、固定部5Aとリング保持部7Aとを連結する支脚部8Bには、必要に応じて肉抜き8cが形成される。そして、開口5dには摺動固定リング5cが装着され、摺動固定リング5cが装着された開口5dに図示しない筒状体を固定することにより、この筒状体の内側面に形成される凹凸条の部分と釣竿の竿杆とが係合される。
このように、釣竿の装着位置に応じて、フレームには屈曲部を形成しない構成であっても良く、このような釣糸ガイドを構成するフレームに用いられるプリプレグについては、織布層の単層構造にしても良い。もちろん、上述したような積層構造としても良く、別途、屈曲部を形成しても良い。或いは、摺動固定リング5cが装着される部分(符号5Dで示す領域)については、リング保持部7Aよりも厚く形成しているが、全体として同じ肉厚にしても良く、厚さや形状については任意に設定することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 釣糸ガイド
3 フレーム
5 固定部
6 ガイドリング
7,7A リング保持部
8,8A,8B 支脚部
10a,10b 屈曲部
20,22,24,26 積層材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに釣糸が挿通されるガイドリングが取り付けられる釣糸ガイドであって、
前記フレームは、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材からなり、
前記積層材の中央に対して一方側と他方側に、前記フレームの長手軸に対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を設けたことを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項2】
前記積層材の中央に対する両側の最外層には、織布の繊維強化樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項3】
前記積層材の中央に対して一方側と他方側にそれぞれ設けられ、フレームの長手軸に対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層は、繊維量が同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣糸ガイド。
【請求項4】
前記積層材の中央に芯材層を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項5】
前記積層材は、中央に対する両側の繊維強化樹脂層が、外層に向かって繊維方向が互いに対称方向となるように積層されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項1】
フレームに釣糸が挿通されるガイドリングが取り付けられる釣糸ガイドであって、
前記フレームは、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを積層した複数の繊維強化樹脂層を有する積層材からなり、
前記積層材の中央に対して一方側と他方側に、前記フレームの長手軸に対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層を設けたことを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項2】
前記積層材の中央に対する両側の最外層には、織布の繊維強化樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項3】
前記積層材の中央に対して一方側と他方側にそれぞれ設けられ、フレームの長手軸に対して互いに反対方向に強化繊維が傾斜した斜向繊維強化樹脂層は、繊維量が同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣糸ガイド。
【請求項4】
前記積層材の中央に芯材層を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項5】
前記積層材は、中央に対する両側の繊維強化樹脂層が、外層に向かって繊維方向が互いに対称方向となるように積層されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−130759(P2011−130759A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16496(P2010−16496)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]