説明

釣針外しマット

【課題】獲物を横たえた際に獲物の暴れを可及的に防止して釣針を容易に外すことに使用可能な釣針外しマットを提供する。
【解決手段】気体を収納する袋体12と、少なくとも該袋体の上面側を覆う外装体20とを有する釣針外しマットであって、前記袋体に気体を収納した使用状態で、前記釣針外しマットの中央部10Aが周辺部10Bと比べて窪んでいるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣った獲物を横たえ、その状態の獲物から釣針を外す作業を行うために使用可能な釣針外しマットに関する。
【背景技術】
【0002】
釣りにおいて掛った獲物から釣針を外す際、獲物が大きければ暴れられて釣針を外し難い。こうした釣針外しのために、獲物掴み用の工夫物が下記特許文献1,2に開示されている。また、大物の獲物に対しては、釣り現場の地面にビニールシートを敷き、その上に獲物を横たえて釣針を外す場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−49383号公報
【特許文献2】実用新案登録第3083878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、上記各特許文献の考案のように、獲物が小型であれば掴むことは可能であるが、大型になれば掴むことが不可能となり、釣針外しが容易ではなくなる。従って、本願は獲物を掴む方式ではなくて横たえて釣針を外す方式とする。また、単に地面にビニールシートを敷いただけでは、地面に岩の凹凸や小石の存在による凹凸がある場合は、獲物が不愉快に感じるのであろうが、暴れることが多いことに気付いた。従って、必ずしも釣針外しは容易ではない。
依って本発明は、獲物を横たえた際に獲物の暴れを可及的に防止して釣針を容易に外すことに使用可能な釣針外しマットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて本願第1の発明は、気体を収納する袋体と、少なくとも該袋体の上面側を覆う外装体とを有する釣針外しマットであって、前記袋体に気体を収納した使用状態で、前記釣針外しマットの中央部が周辺部と比べて窪んでいることを特徴とする釣針外しマットを提供する。
【0006】
第2の発明では、第1の発明の前記外装体の、少なくとも釣針外しマットの上面に位置する部分が前記袋体の形成材の厚さよりも大きな厚みを有する。
第3の発明では、第1又は第2の発明の前記外装体の、少なくとも釣針外しマットの上面に位置する部分が布で形成されている。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明では、気体収納の袋体が存在するため、地面上に載置した本願マットに釣った獲物を横たえた場合に、例え地面に岩の凹凸や小石の存在による凹凸が有っても、それらの凹凸をこの袋体の気体層によって吸収でき、マット上面に載置された獲物にその影響が及ぶことを防止できるため、横たえた獲物がその凹凸を嫌がって暴れることを防止できる。従って、釣針外しが容易になる。また、小さな獲物の場合は、それを中央部に横たえることができるため、高い周辺部の存在でマット外に飛び出ることが防止できる。更に、大型獲物の場合は、獲物の中央部がマットの中央部に沈み、安定することになり、この状態では獲物が暴れ難く、釣針を外し易い。また、袋体に浮力を付与することで、地面のみならず、水面上に浮かべた状態でマットを使用することも可能となる。
【0008】
第2の発明では、マットの上面に位置する部分が前記袋体の形成材料の厚さよりも大きな厚みを有するので、袋体に釣針が刺さることを防御し易い。
第3の発明では、マット上面は獲物を直接に載せる部位であり、ここが布であるため、予め水分を吸収させて含ませることができ、獲物を横たえた際に、獲物が安心して動きを防止し易い。また、横たえた獲物が滑り難い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る釣針外しマットの模式的使用状態を示す斜視図である。
【図2】図1の矢視線B−Bによる横断面図である。
【図3】図2に対応する第2実施形態例を示す横断面図である。
【図4】図3の拡大部の変形形態例である第3実施形態例を示す拡大断面図である。
【図5】図2に対応する第4実施形態例を示す横断面図である。
【図6】図5の変形形態例である第5実施形態例を示す横断面図である。
【図7】釣針外しマットの第6実施形態例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面を用いて更に詳細に説明する。図1の本発明に係る第1実施形態例の釣針外しマット10は、内部に空気や窒素ガス等の気体を出し入れ可能な袋体12と、これを取り囲んでいる外装体20とを有している。外装体20は袋体12の上面側を覆う上面部20Aと、下面側を覆う下面部20Bとを有している。下面部20Bは、地面の凹凸により、袋体12が裂けることを防止する役目をするため、厚めが良く、少なくとも袋体の形成材よりも厚い。また、上面部20Aは、例え、獲物の魚SKが暴れてもその棘等によって袋体12を破かない保護の役目の他、魚から釣針HRを外す作業中に誤ってこの上面部20Aにその釣針が刺さっても、袋体12を保護できる厚さを有することが好ましい。その意味で、少なくとも袋体の形成材よりも厚い。
【0011】
この実施形態例では、閉鎖可能な口部12Aから空気を入れた袋体12は図2に図示するように偏平であり、その上面部と下面部とが平行である。一方、外装体20の上面部20Aは、その周辺部が高く、その周辺部に囲まれた中央部が低く形成されている。その結果、マット10上面の周辺部10Bが高く、中央部10Aに向かって下りの傾斜面が形成されて中央部10Aが窪んでいる。中央部10Aに比較して高い周辺部10Bは、第1実施形態例のように周囲全周に亘って設けられていてもよいが、図7に示すように一部分が欠けた形態であってもよい。なお、中央部10Aの窪みは中央に平面状部分が形成されているが、中心側が徐々に深くなるすり鉢状にしてもよく、その形状、大きさは釣り目的の魚種に応じて形成すればよい。
【0012】
このような形態の釣針外しマット10に魚SKを載せると、魚の中央部が落ち込み、場合によっては頭部や尾部が周辺部10Bに乗り上がる。魚SKの体の側面形態は、魚の前後方向又は背と腹の方向に中央が突出する湾曲形状である。このため、マット10上面の中央部10Aが窪んでいると、魚が寝かせられた場合には、この中に上記形態の魚SKの体が入り込むため収まりが良くなったり、また、周囲を高い周辺部10Bで囲まれるため、魚の動きが規制され、比較的落ち着く傾向があり、釣針外しに好都合である。こうした釣針外しマットの形態、大きさの1例は、平面視が概ね矩形状であって、その長辺が1m前後の大きさであるが、釣り目的の魚種に応じて種々の大きさに形成することができる。
【0013】
前記外装体20は、その形成材の厚さ方向にクッション性を有しており、その形成材の材料としては、発泡性樹脂材、天然や人工のコルク材、ゴム材等が適するが、こうした材料を一つだけ使用して外装材20を形成するのではなく、図3の例で説明するが、織布等、他素材を併用してもよい。また、図4の例で説明するが、合成樹脂材を特殊形態に形成してもよい。また、この例では開閉可能な口部12Aを設けているが、空気を入れた状態の袋体がそのままの形態で保持されるように口部12Aが閉じられて、開口不可能な形態としてもよい。また、福炉体は気体が密閉状態で収納されていなくてもよく、例えば、口部12A等の孔が開口していても、袋体を形成する部材の弾性によって空室Kが維持されて、気体が収納された状態で、袋体12の上下壁12C,12D間に間隙が形成されていれば、地面の凹凸がマットの上面にまで影響することが防止され、また、マットの下方部に口部12A等の開口が無ければ、水に浮かべることも可能である。外装材20を発泡性樹脂材で形成した場合、そこに予め水分を吸収させておくことができ、この場合、マットに魚を載置して横たえた際に魚が安心し、落ち着き易い。
【0014】
図3は袋体12に関しては第1実施形態例と同じであるが、外装体20が異なる。この例での外装体20は3層構造であり、袋体12側の内層18、袋体から遠い側の外層14と、該内層と外層との間のクッション層16の3層である。この例の内層と外層は織布や不織布、即ち布であり、クッション層16は、前記した第1実施形態例の外装材20の形成材として説明した各種材料の何れかで形成し、内部まで材料が詰まった球状体を多数有している。球状体は内外層間において移動可能に収納されているため、魚SKを載せると球状体が動いて、外装体20の上面が魚SKに合わせて僅かに変形する。
【0015】
一方、マット10の周辺部10Bは、袋体12の周りに配設した3層構造の外装体20を寄せてその根元を縫合したりして高く形成している。周辺部10Bは壁状に形成されており、図2の例のように中央部に向かって徐々に深くなるのではなく、周辺部10Bの中央部10A寄りの側が急に窪んでいる。この場合も中央部10Aは周辺部10Bに比較して窪んでいる。
この例の内層18と外層14は布であるが、特に、マットの上面に位置する部位の外層14が布であれば、そこに予め水分を吸収させておくことができ、魚を横たえた際に、短時間は魚が安心してその動きを防止し易い。また、魚が滑り難い。
【0016】
図4は、図3の実施形態例のクッション層16を形成する球状体に代わり、一般の合成樹脂材を、内部を空洞とした球殻体にしたものや、円筒体でクッション層16を形成した実施形態例である。また、この他、おがくず状のものでクッション層を形成してもよい。
【0017】
図5の実施形態例は、これまでの実施形態例とは異なり、袋体12に空気を入れた状態で、その上面部と下面部とが中央部を除いて平行ではなく、上面部の周辺部12Bが中央部に比べて高くなっている。この袋体12の外側を、3層14,16,18の構造の外装体20が取り囲んでおり、袋体12に空気を充填した通常時、外装体20は袋体12の外形に概ね沿っており、マットの上面は外装体20の中央部10Aが僅かに窪んだ程度に張った状態に形成しており、魚を載せることで外装体20が袋体12の上面部に沿うように中央側が窪むが、このように形成しても、マットの中央部10Aが周辺部10Bに比べて窪んでいるため、魚の動きが規制される。外装体20の外層14が水分を吸収する布であれば、魚を横たえた際に、魚が安心してその動きを防止し易いことや、誤って釣針が刺さっても、外装体20の厚さによって袋体12を保護できること等は他の例と同様である。
【0018】
図6の実施形態例が図5の例と異なるのは、外装体20が発泡材等の材料から成る1層で形成されていることである。魚を載せると発泡材の柔軟性で中央部10Aが窪むようになっており、発泡材故、水分を吸収でき、魚を横たえさせた際に、魚が安心してその動きを防止し易いことや、誤って釣針が刺さっても、外装体20の厚さによって袋体12を保護できること等は他の例と同様である。
【0019】
図7の釣針外しマット10では、その周辺部10Bに、所々、溝M1、M2が設けられている。即ち、周辺部は完全な環状である必要はない。この例では、矩形を長辺方向と短辺方向とにおいて夫々2分する溝M1,M2が形成されている。中央部10Aの高さと同じ程度の高さを有する溝M2が存在すると、釣糸外しマットの中央部10Aに水が溜まることを防止できる。また、この例での4箇所の溝は互いに90度間隔に離隔しているため、仕舞時に、折り畳み易くて便利である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、釣った獲物を横たえ、その状態の獲物から釣針を外す作業を行うために使用可能な釣針外しマットとして利用できる。
【符号の説明】
【0021】
10 釣針外しマット
10A 中央部
10B 周辺部
12 袋体
20 外装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を収納する袋体と、少なくとも該袋体の上面側を覆う外装体とを有する釣針外しマットであって、前記袋体に気体を収納した使用状態で、前記釣針外しマットの中央部が周辺部と比べて窪んでいることを特徴とする釣針外しマット。
【請求項2】
前記外装体の、少なくとも釣針外しマットの上面に位置する部分が前記袋体の形成材の厚さよりも大きな厚みを有する請求項1記載の釣針外しマット。
【請求項3】
前記外装体の、少なくとも釣針外しマットの上面に位置する部分が布で形成されている請求項1又は2記載の釣針外しマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−175913(P2012−175913A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40100(P2011−40100)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)