説明

鈍感化爆薬組成物およびその製造方法

【課題】硝酸法RDXを再結晶化したRDX(シクロトリメチレントリニトラミン)を用いることを可能とした鈍感化した爆薬組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化して成る1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを有する爆薬組成物。硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化して成る1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと1.800g/cc未満の再結晶RDXとを有し、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXが50重量%以上、1.800g/cc未満の再結晶RDXが50重量%未満である爆薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鈍感化爆薬組成物およびその製造方法に関し、詳しくは爆薬組成物の主成分である爆発性物質〔化合火薬類:シクロトリメチレントリニトラミン(以下、RDXと称する)〕を再結晶化処理することにより高密度化し、再結晶化RDXの粒度密度範囲を定量化することにより、化合火薬類自身の衝撃感度を和らげた鈍感化爆薬組成物およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
爆薬組成物の主成分となる化合火薬類には、例えば、TNT、RDX、HMX、CL−20等がある(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
20世紀半ばまでは、TNT系またはTNT/RDX系の爆薬が弾薬類に填薬されてきたが、品質的な問題が起こった。
近年は、石油化学の進歩により多種のプラスチックが出現し、プラスチックを爆薬組成物の添加剤として使用することにより、品質面および安全面を考慮した爆薬組成物の開発が行われている。
【0003】
現在、安全面を考慮しプラスチックを添加剤として添加し、爆薬組成物を鈍感化する手段としてPlastic Bonded Explosive(以下、PBXと称する)が開発されおり、PBXに使用される爆薬はコスト、性能面からHMX、RDXが殆どである。
【特許文献1】米国特許第6881283号明細書
【非特許文献1】「火器弾薬技術ハンドブック」、改訂版、財団法人防衛技術協会、2003年5月、P308、P383、P387、P395
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RDXの製造方法は、硝酸法と酢酸法に大別できるが、通常、硝酸法RDXをPBX成分に用いた場合、鋭感な衝撃感度結果が得られる。原因としては、RDX結晶中に気泡(ないし不純物)が含まれ、RDX結晶の粒子密度が低いことが原因と考えられる。
硝酸法RDXを再結晶した場合、粒子密度範囲に幅がある。その理由は、自然析出による再結晶の場合、粒子密度範囲に幅をもつためである。
【0005】
従って、硝酸法RDXを再結晶化したRDXをそのまま用いても鈍感化した爆薬組成物を得ることはできない。
本発明は、斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、硝酸法RDXを再結晶化したRDXを用いることを可能とした鈍感化した爆薬組成物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
通常、硝酸法RDXを爆薬組成物に用いた場合、鋭感な衝撃感度結果が得られる。
これはRDX結晶(粒子)の中に気泡または不純物が含まれ、爆薬結晶の密度が低くなっていることが原因と考えられている。
一般的に、衝撃を受けた爆薬が爆発する理由は、衝撃によって爆薬内部に高温が発生し、それが発火につながると考えられている。
【0007】
高温発生の理由としては、固体粒子間の摩擦による発熱の衝撃により粉砕された粒子が隣接する粒子に衝突する時に生じる発熱、または固体粒子間に存在する気体または膠体や液体の内部に介在する小気泡が断熱的に、または衝撃的に圧縮を受けたときに生じる発熱が考えられている。これらの高温発生原因を避けるためには、爆薬組成物内に小気泡が存在しない状態、すなわち高密度化した状態を作り上げることが重要である。
【0008】
高密度化する方法としては、硝酸法RDXを有機溶剤に投入し、徐々に加温しながら完全溶解させ、溶解液を冷却し、RDXを再析出(再結晶)させることにより、高密度のRDXを得ることが可能となる。
そこで、本発明者は、再結晶RDXにより製造した高密度RDXも、ある程度の密度範囲を持っており、鈍感化された爆薬組成物として使用するためには、再結晶RDXの粒子密度範囲を、下記のように、一定密度以上に調整して使用することにより、鈍感化した爆薬組成物を得ることが可能になることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
請求項1に係る発明は、硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化して成る1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを有することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化して成る1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと1.800g/cc以下の再結晶RDXとを有し、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXが50重量%以上、1.800g/cc以下の再結晶RDXが50重量%以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化する工程と、再結晶化したRDXの粒子密度を重液法により評価・分離を行い、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを得る工程と、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを用いて鈍感化爆薬を製造する工程とを有することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化する工程と、再結晶化したRDXの粒子密度を重液法により評価・分離を行い、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと1.800g/cc以下の再結晶RDXとを得る工程と、50重量%以上の1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと50重量%以下の1.800g/cc以下の再結晶RDXとを用いて鈍感化爆薬を製造する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
PBX成分(爆薬組成物)に用いるRDXを再結晶化することにより粒子密度を高密度化し、さらに粒子密度範囲を定量化することにより、衝撃感度が緩和される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、硝酸法RDXを用いた衝撃感度評価の概略図である。
先ず、本試験試料に係る爆薬組成物における製造について説明する。
HTPB(末端水酸基ポロブタジエン:主剤)7.68重量%を圧力50Pa下温度60℃で30分混和し、次にアルミニウム(平均粒子径:20μm)20重量%を加え、圧力50Pa下温度60℃で20分混和し、次に、硝酸法RDXを64重量%(平均粒子径:200μm)を加え、次にDOA(ジオクチルアジペート:可塑剤)を7.68重量%加え、圧力50Pa下温度60℃で40分混和し、次にIPDI(イソホロンジイソシアネート:硬化剤)を0.64重量%加え、圧力50Pa下温度60℃で20分混和した。
【0013】
次に、混合物を58℃に暖められた注型用ホッパーに移し、注型槽を圧力50Pa温度60℃にして鋼管内に注型を行った。なお、その際、注型終了後、同圧力下同温度で30分間放置し、十分脱泡を行った。この後、注型容器すなわち鋼管をキュアリング槽に移し、60℃で7日間の条件下で硬化させ、鋼管の端面処理すなわち爆薬の盛り上がり箇所を修正し、試験試料爆薬とした。
【0014】
なお、本実施形態において、添加剤は以下の3種類である。
HTPB(末端水酸基ポロブタジエン:主剤)。これは、硬化後に、ゴム状で弾性のある爆薬となる(ゴム状なので衝撃を吸収して感度を下げる効果がある)。
DOA(ジオクチルアジペート:可塑剤)。これは、DOA添加量の大小により硬化前状態の粘度(ゆるさ)を調整する(脱泡(空気抜き)作業、注型作業が容易になる)。
【0015】
IPDI(イソホロンジイソシアネート:硬化剤)。これは、添加後、加温することにより硬化し、弾性をもった爆薬(PBX)となる。
次に、上述した試験試料製造で作成した各爆薬組成物(PBX)を励爆させるための標準爆薬(ペントライト)の製造について説明する。
トリニトロトルエン(TNT)50重量%を蒸気釜に投入後、蒸気釜に蒸気を通し、攪拌しながら完全に溶融させ、次に、ペンスリット(PETN)50重量%を蒸気釜に投入して、溶融したTNTと混ざり合うように攪拌し、次いで、注型容器すなわち塩化ビニールパイプに少量ずつ塩化ビニールパイプ内を攪拌しながら注型を行う。この後、自然冷却により硬化後、端面処理すなわちペントライトの盛り上がり箇所を修正して励爆薬とした。
【0016】
次に、上述した試験試料および励爆薬を使用し、衝撃感度を評価するカードギャップ試験方法について説明する。
図1は、カードギャップ試験に用いる装置である。
カードギャップ試験は、塩化ビニールパイプ7内で硬化させた標準爆薬(励爆薬)8の爆轟により、鋼管10内で硬化させた試料爆薬11がある距離を隔てて爆轟するかどうかを調べる殉爆試験の一種である。カードギャップ試験は、標準爆薬8を電気雷管5により起爆し、標準爆薬8の爆轟による衝撃波ギャップ(PMMA樹脂板)9を介して試料爆薬11に伝え、試料爆薬11が爆轟するかどうかを証拠板13の爆痕で判定するものであり、衝撃波のみによる起爆感度を測定する方法である。一定の標準爆薬、一定の材質のギャップを用いることで、試料爆薬11が爆轟するための最低衝撃波圧力を計算することが可能であり、再現性がよく、理論的考察の有効な試験方法である。
【0017】
カードギャップ試験は、MIL-STD-1751A、Method1041 Explosive Shock Sensitivity Test(NOL Large Scale Gap Test(LSGT) Method)を参考に、ラングリエ法によるラージスケールギャップテスト(LSGT)で衝撃感度(1/2爆点)を求めた。
カードギャップ試験試料の構成(組み立て手順)を以下に記す。
標準爆薬8上面にテープ6で電気雷管5を固定後、標準爆薬8の反対面に衝撃波ギャップ(PMMA樹脂板)9をテープ6にて固定する。
【0018】
次に、固定した衝撃波ギャップ(PMMA樹脂板)9の反対面に試料爆薬11の入った鋼管10をテープ6にて固定する。
次に、固定した鋼管10の反対側を塩ビパイプ15に差し込んだ後、鋼管10と塩ビパイプ15の取付部分(円周上)に接着剤14を塗布し、鋼管10と塩ビパイプ15を固定する。
【0019】
次に、固定した塩ビパイプ15の反対面と証拠板13をテープ6にて固定することにより、エアーギャップ12(鋼管11と証拠板13の空間を作る)を設ける。
次に、硝酸法RDXの密度について説明する。
硝酸法RDXの粒子密度を調査するために、粒子密度範囲の調査を行った。
図2は、密度測定装置の概要図を示す。
【0020】
分液ロート2に蒸留水、臭化亜鉛を投入しガラス棒にて攪拌し、臭化亜鉛を溶解させ、およそ500mlの臭化亜鉛水溶液を作る。完全に溶解後、恒温槽に投入し、恒温槽内温度を一定温度(15℃)に保ち、密度計により臭化亜鉛水溶液、すなわち重液3の密度を測定する。ここで狙い値(例えば、1.800g/cc)になるまで臭化亜鉛を加えるか、または蒸留水を加えることにより、恒温槽内で重液3を調整する。
【0021】
狙い値を、1.800g/ccに調整した重液3に乾燥済み硝酸法RDXを分液ロート2上口から投入し、ガラス棒にて攪拌後、分液ロート2上口に栓1をして重液3をおよそ一昼夜恒温槽内に存置する。ここでの、恒温槽内温度は重液3調整時(例えば、15℃)と同じ温度とする。存置後、分液ロート2下部のコック4を徐々に開として沈降した硝酸法RDXを採取する。その後、分液ロート2中に残ったままの浮遊分RDXを分液ロート2上口より採取する。採取後の沈降および浮遊RDXをアルコールで洗浄し乾燥後、沈降した硝酸法RDXを1.800g/cc沈降物とし、浮遊した硝酸法RDXを1.800g/cc浮遊物とした。ただし、硝酸法RDXの場合、重液1.800g/ccでの沈降物はなかった。
【0022】
次に、狙い値を、1.798g/ccに調整した重液3に乾燥済み硝酸法RDX1.800g/cc浮遊物を分液ロート2上口から投入し、上述した方法にて密度分離し、1.798g/cc沈降物(粒子密度範囲:1.798g/cc<硝酸法RDX<1.800g/cc)とした。
引き続き、狙い値を1.796g/ccに調整した重液3、狙い値を1.794g/ccに調整した重液3毎に試験し、総投入量に対して、各重液3毎に密度分離して採取した硝酸法RDXの重量%の結果を図3に示す。
【0023】
試験の結果、硝酸RDXの粒子密度は、RDXの理論密度1.806g/ccより低密度(1.794g/cc<硝酸法RDX<1.800g/cc)であり、1.800g/ccより低い粒子密度分布であることが確認できた。すなわち、硝酸RDXの粒子密度は、1.794g/ccが0重量%、1.796g/ccが47重量%、1.798g/ccが53重量%、1.800g/ccが0重量%であった。
【0024】
次に、RDXの再結晶法について説明する。
粒子密度を向上させる方法としては、再結晶法がある。この方法は、粗結晶を溶媒に溶かし、溶媒の蒸発、温度差や溶媒の混合比の変化による溶解度の差などを利用して結晶を析出させる。
先ず、粗結晶を溶媒に加温をしながら完全に溶解させた後ろ過して、不純物を除去する。再度ろ液を加温し、すみやかに冷却し再結晶化する。常温程度まで液温が下がったら再度ろ過し、再結晶化した結晶をろ過する。本手法で不純物を取り除いた結晶が得られる。
【0025】
図4、図5は、RDX再結晶装置の概要図を示す。
セパラブルフラスコ(下)24に硝酸法RDX(乾燥品:200g)と良溶媒としてジメチルスルホキシド(以下DMSO)200mlとを投入後、セパラブルフラスコ(上)(下)23、24をクランプ等で密閉し、良溶媒中に熱電対22が浸るようにセパラブルフラスコ(上)23に固定させ、攪拌機21を稼動することにより、セパラブルフラスコ(下)24内の攪拌翼26を攪拌させる。
【0026】
その後、ジャッキ28を上昇させ、セパラブルフラスコ(下)24をオイルバス27に浸してセパラブルフラスコ(下)24内のRDX/DMSO混合液を100℃まで上昇させ、RDX溶解液25とする。
完全溶解後、ジャッキ28を下降させオイルバス27とセパラブルフラスコ(下)24を下げ、攪拌機21を止め、クランプを外し、セパラブルフラスコ(下)24を下降後、セパラブルフラスコ(下)24内の溶解液をフィルター30を取り付けたろ過器29に溶解液を注ぎ込み、溶解液中の不純物を取り除く。ろ過後にビーカー32中の溶解液33を再度セパラブルフラスコ(下)24内に投入し、セパラブルフラスコ(上)(下)23、24をクランプ等で密閉し、攪拌機21を再稼動させ、攪拌翼26を攪拌させる。
【0027】
その後、ジャッキ28を上昇させ、セパラブルフラスコ(下)24をオイルバス27に浸してセパラブルフラスコ内(下)24内の溶解液を再度100℃まで上昇させる。100℃まで溶解液25を加温したら、ジャッキ28を下降させ、空気を抱き込まない程度に攪拌しながらRDX溶解液25が常温に下がるまで自然冷却または水浴させる。常温まで下がる間にRDXが再析出し、このRDX/DMSO混合液を上述と同様に操作(ろ過)することにより、再結晶RDXが得られる。
【0028】
次に、再結晶RDXの密度について説明する。
再結晶RDXの粒子密度を調査するために、図2に示した粒子密度測定・分離装置を用いて粒子密度範囲の調査を行った。
図3に示した硝酸法RDXの密度と再結晶RDXの密度調査結果を図6に示す。
再結晶RDXの密度は、1.796g/cc〜1.802g/ccであり、最頻度は1.798g/ccであった。
【0029】
次に、硝酸法RDXと比較するため、カードギャップ試験方法を行った。試料製造方法および試験方法については、上述の通りである。
試験結果を、表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
表1では、硝酸法RDXの1/2爆点は18.8kBar(1.88GPa)であった。また、再結晶RDXの1/2爆点は40.1kBar(4.01GPa)であり、再結晶RDXの爆発感度が鈍くなっていることがわかる。硝酸法RDXが再結晶RDXに比べて感度が鋭感な理由は硝酸法RDX結晶内の中に気泡または不純物が含まれ、爆薬結晶密度が低くなっていることによる。
【0032】
次に、再結晶RDXを用いた鈍感化について説明する。
再結晶RDXが衝撃感度の鈍感化に少なからず影響することを確認した。
また、粒子密度の測定および分離試験にて、硝酸法RDXは1.800g/ccより低い粒子密度分布であることが(1.794g/cc<硝酸法RDX<1.800g/cc)確認できた。
【0033】
また、再結晶RDXは硝酸法RDXより高密度で粒子密度が分布している(1.796g/cc<再結晶RDX<1.802g/cc)ことを確認した。
よって、再結晶RDXを硝酸法RDXでは存在しない粒子密度値、すなわち1.800g/ccを基準値として密度分離を行い、1.796g/cc<再結晶RDX<1.800g/ccおよび 1.800g/cc≦再結晶RDX<1.802g/ccの2種類の配合組成を変更して、上述した試験試料製造およびカードギャップ試験を行い、衝撃感度に及ぼす影響を調査した。
【0034】
結果を表2にまとめる。
結果から、鈍感化爆薬組成物は、主成分である化合火薬類が再結晶化したRDXの粒子密度(1.800g/cc≦再結晶RDX<1.802g/cc)の配合比率が、50重量%以上含むと、カードギャップ試験結果が50kBar(5.00GPa)以上となり、再結晶RDXのカードギャップ試験結果40.1kBar(4.01GPa)よりも衝撃感度を鈍感化することが可能となり、衝撃感度を鈍感化するのに好適であることが確認できた。
【0035】
【表2】

【0036】
以上から、硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化して成る1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを有する爆薬組成物は、硝酸法RDXを用いた爆薬組成物より爆薬感度を鈍感化することが確認できた。
また、硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化して成る1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと1.800g/cc以下の再結晶RDXとを有し、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXが50重量%以上、1.800g/cc以下の再結晶RDXが50重量%以下である爆薬組成物も又、硝酸法RDXを用いた爆薬組成物より爆薬感度を鈍感化することが確認できた。
【0037】
さらに、硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化する工程と、再結晶化したRDXの粒子密度を重液法により評価・分離を行い、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを得る工程と、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを用いて鈍感化爆薬を製造する工程とを有する爆薬組成物は、硝酸法RDXを用いた爆薬組成物より爆薬感度を鈍感化することが確認できた。
【0038】
さらにまた、硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化する工程と、再結晶化したRDXの粒子密度を重液法により評価・分離を行い、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと1.800g/cc以下の再結晶RDXとを得る工程と、50重量%以上の1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと50重量%以下の1.800g/cc以下の再結晶RDXとを用いて鈍感化爆薬を製造する工程とを有する爆薬組成物は、硝酸法RDXを用いた爆薬組成物より爆薬感度を鈍感化することが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】硝酸法RDXを用いた衝撃感度評価の概略図である。
【図2】密度測定装置の概要図である。
【図3】硝酸法RDXの粒子密度分布結果を示すグラフである。
【図4】RDX再結晶装置の概要図である。
【図5】RDX再結晶装置の概要図である。
【図6】再結晶RDXと硝酸法RDXの粒子密度分布結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化して成る1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを有する
ことを特徴とする鈍感化爆薬組成物。
【請求項2】
硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化して成る1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと1.800g/cc未満の再結晶RDXとを有し、
1.800g/ccより高密度の再結晶RDXが50重量%以上、1.800g/cc未満の再結晶RDXが50重量%以下である
ことを特徴とする鈍感化爆薬組成物。
【請求項3】
硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化する工程と、
再結晶化したRDXの粒子密度を重液法により評価・分離を行い、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを得る工程と、
1.800g/ccより高密度の再結晶RDXを用いて鈍感化爆薬を製造する工程と
を有することを特徴とする鈍感化爆薬組成物の製造方法。
【請求項4】
硝酸法RDXを有機溶剤で溶解して再結晶化する工程と、
再結晶化したRDXの粒子密度を重液法により評価・分離を行い、1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと1.800g/cc未満の再結晶RDXとを得る工程と、
50重量%以上の1.800g/ccより高密度の再結晶RDXと50重量%以下の1.800g/cc未満の再結晶RDXとを用いて鈍感化爆薬を製造する工程と
を有することを特徴とする鈍感化爆薬組成物の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−189515(P2008−189515A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25365(P2007−25365)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(390037224)日本工機株式会社 (43)