説明

鉄棒運動用補助具

【課題】簡単な構成で、持ち運びが容易であると共に、使用も容易な鉄棒運動用補助具を提供する。
【解決手段】一本の平帯状のベルト2の一端側にベルト2をループ状にして鉄棒に巻掛け可能なループ形成部材4を設ける。ループ形成部材4は、ベルト2の一端に取り付けられ、ベルト2を通すことが可能な金具6である。また、ベルト2の他端側に互いに貼り合わせ可能な一対の面ファスナー部材14,16をベルト2をループ状にして鉄棒に巻掛け可能に設けると共に、一対の面ファスナー部材14,16はベルト2の長手方向の長さが異なる。これにより、使用者の背面側に当てられて、使用者を鉄棒に支持する際に、貼り合わせ位置を調整することにより、長さを調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆上がりなどの鉄棒運動の際に、使用者を鉄棒に支持して運動の補助をする鉄棒運動用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄棒運動の際に、使用者を補助する鉄棒運動用補助具として、特許文献1にあるように、使用者の身体に巻き付けて固定するベルトと、ベルトにバンドで取り付けられるリング状弾性バンドと、リング状弾性バンドを鉄棒に着脱自在に固定する鉄棒連結用のベルトとを有するものが提案されている。
【特許文献1】特開2005−348913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こうした従来のものでは、ベルト、リング状弾性バンド、鉄棒連結用のベルト等の多数の部材を必要とし、製造が煩雑であると共に、形が大きく持ち運びに不便である。また、使用に当たっては、ベルトを身体に巻き付けて固定すると共に、リング状弾性バンドをベルトにバンドを介して取り付け、リング状弾性バンドを鉄棒に鉄棒連結用のベルトによって取り付けなければならず、装着が煩雑であり、使用者が小学生等の子供である場合、使用者一人では装着が難しいという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、簡単な構成で、持ち運びが容易であると共に、使用も容易な鉄棒運動用補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
使用者の背面側に当てられて、使用者を鉄棒に支持する鉄棒運動用補助具において、
一本の平帯状のベルトの一端側に該ベルトをループ状にして前記鉄棒に巻掛け可能なループ形成部材を設け、かつ、前記ベルトの他端側に互いに貼り合わせ可能な一対の面ファスナー部材を前記ベルトをループ状にして前記鉄棒に巻掛け可能に設けると共に、前記一対の面ファスナー部材は前記ベルトの長手方向の長さが異なることを特徴とする鉄棒練習用補助具がそれである。
【0006】
前記ループ形成部材は、前記ベルトの一端に取り付けられ、前記ベルトを通すことが可能な金具であってもよい。また、前記ループ形成部材は、互いに着脱可能に連結される一対の連結具を備え、前記連結具の一方を前記ベルトの一端に取り付けると共に、前記連結具の他方を前記ベルトの途中に取り付けた構成でもよい。更に、前記ループ形成部材は、互いに貼り合わせ可能な一対の面ファスナー部材を前記ベルトの一端側に貼り合わせにより前記ベルトをループ状に形成可能に設けた構成でもよい。あるいは、前記ベルトの他端側の一対の前記面ファスナー部材は、前記ベルトの長手方向に間隔を開けて設けてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の鉄棒運動用補助具は、ベルトの両端にループを形成できるので、簡単な構成で、持ち運びが容易であると共に、使用も容易であるという効果を奏する。ループ形成部材として金具を用いることにより、簡単な構成で、製造も容易である。また、ループ形成部材として一対の連結具を用いることにより、使用がより容易になり、小学生でも一人で使用できる。更に、ループ形成部材として一対の面状ファスナー部材を用いると、より軽量化でき、持ち運びにも便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1は鉄棒運動用補助具で、鉄棒運動用補助具1は一本の平帯状のベルト2を備えている。ベルト2は合成繊維または天然繊維の糸を編んだ丈夫な織物で形成されており、ベルト2の幅や長さは使用者の体重や身長等の体格に応じて決定すればよく、使用者の体格が小さいときには、ベルト2の幅を小さく、長さも短くてよく、使用者の体格が大きいときには、ベルト2の幅を大きく、長さも長くすればよい。
【0009】
ベルト2の一端側にはループ形成部材4が設けられている。本実施形態では、ループ形成部材4には、金具6が用いられており、金具6にはベルト2の幅と厚さよりも少し大きい略長方形状の2つの挿通孔8,10が設けられている。
【0010】
一方の挿通孔8にベルト2の一端側が通された後、折り返されてベルト2に重ね合わされ、ベルト2の一端がベルト2に縫い合わされ、あるいは、ファスナーや接着剤等により固定されて、金具6がベルト2の一端に取り付けられている。
【0011】
ベルト2の他端側には、互いに貼り合わせ可能な一対の面ファスナー部材14,16が設けられている。本実施形態では、一対の面ファスナー部材14,16は、一方がフック型あるいはマッシュルーム型の係合素子を多数有する雄側面ファスナー部材14で、他方が多数のループが形成された雌側面ファスナー部材16で構成されており、係合素子がループに係合することにより係合力を発揮して貼り合わせができる周知のものである。
【0012】
雄側面ファスナー部材14はベルト2の他端に縫い合わされ、あるいは、接着剤等により固定されている。雄側面ファスナー部材14は、本実施形態では、ベルト2の幅とほぼ同じ幅に形成されて、ベルト2に取り付けられており、ベルト2の長手方向の長さは、雌側面ファスナー部材16と貼り合わせた際の係合力が使用者の体重を支持するのに十分な強さとなるように決定されている。
【0013】
雌側面ファスナー部材16は、雄側面ファスナー部材14と同じ面側のベルト2に、雄側面ファスナー部材14と並べて縫い合わされ、あるいは、接着剤等により固定されている。
【0014】
また、雌側面ファスナー部材16は雄側面ファスナー部材14と間隔aをあけて取り付けられている。間隔aは、本実施形態では、後述する鉄棒20の周長よりも長くあけられている。更に、雌側面ファスナー部材16のベルト2の長手方向の長さは、雄側面ファスナー部材14のベルト2の長手方向の長さよりも長く形成されている。その長さは、雄側面ファスナー部材14を貼り合わせる位置を調整できるように、例えば、雄側面ファスナー部材14の長さの2倍〜5倍程度にするのが好ましい。尚、前述したとは逆に、雌側面ファスナー部材16をベルト2の先端側に取り付け、雄側面ファスナー部材14を間隔aをあけて内側(金具6側)に取り付けてもよい。
【0015】
次に、本実施形態の鉄棒運動用補助具1の作動を使用方法と共に説明する。
まず、図2(イ)に示すように、鉄棒20に鉄棒運動用補助具1を巻掛け、金具6の他方の挿通孔10にベルト2の他端側を通して、ループを形成する。そして、図2(ロ)に示すように、ベルト2の他端側を引いて、ループを小さくし、ベルト2を鉄棒20に巻掛けた状態で密着させる。
【0016】
そして、ベルト2の他端側を鉄棒20に巻掛けてループを形成する。次に、ループ状に鉄棒20に巻掛けたベルト2の他端側の雄側面ファスナー部材14を雌側面ファスナー部材16に貼り合わせる。その際、図3に示すように、ベルト2が使用者の背面側、特に臀部に当てられた状態で、鉄棒20に巻掛けられるようにするとよい。
【0017】
雌側面ファスナー部材16は雄側面ファスナー部材14よりも長さが長いので、雄側面ファスナー部材14を貼り合わせる位置を調整できる。よって、図3に示すように、使用者が腹部側を鉄棒20に密着させた状態で、ベルト2が背面側、特に臀部に当てられるようにベルト2の他端側を引いて、その状態で、雄側面ファスナー部材14を雌側面ファスナー部材16に貼り合わせるとよい。
【0018】
一旦、長さを調整すると、同じ位置で雄側面ファスナー部材14を雌側面ファスナー部材16に貼り合わせることにより、同じ状態を再現できる。使用者が一人で鉄棒20に鉄棒運動用補助具1を取り付けた後、鉄棒運動用補助具1と鉄棒20との間を使用者が潜って、ベルト2が背面側、特に臀部に当てられるようにしてもよい。よって、使用者が小学生等の幼児であっても、簡単に鉄棒運動用補助具1を使用できる。
【0019】
これにより、使用者の背面側に鉄棒運動用補助具1が当てられて、鉄棒運動用補助具1により鉄棒20に支持される。落下等する恐怖感から解放されるので、使用者が逆上がりの練習をする際には、使用者の腹部側が鉄棒20に密着された状態が維持され、安心して頭や足を振って反動をつけることができ、逆上がりのこつをつかみやすくなる。
【0020】
また、鉄棒運動用補助具1はベルト2の一端側に金具6が取り付けられ、他端側には一対の面ファスナー部材14,16が取り付けられた構造であるので、持ち運びが容易であり、製造も簡単であり、低価格で製造できる。
【0021】
次に、前述した実施形態の鉄棒運動用補助具1と異なる第2実施形態の鉄棒運動用補助具について、図4、図5によって説明する。尚、前述した実施形態と同じ部材については同一番号を付して詳細な説明を省略する。以下同様。
【0022】
本第2実施形態の鉄棒運動用補助具21は、ベルト2の一端側に設けられたループ形成部材22として、一対の連結具24,26を備えている。一方の雄側の連結具24にはベルト2を通すことができる挿通孔28が形成されており、挿通孔28にベルト2の一端側を通した後、折り返されてベルト2に重ね合わされ、ベルト2の一端がベルト2に縫い合わされ、あるいは、接着剤等により固定されて、雄側の連結具24がベルト2の一端に取り付けられている。
【0023】
他方の雌側の連結具26は、ベルト2の一端側で、雄側の連結具24から他端側に離れた位置のベルト2の途中に、図示しないファスナーや縫い合わせ、あるいは接着剤等により固定されている。
【0024】
雄側の連結具24と雌側の連結具26とは、互いに着脱可能に連結することができるもので、本実施形態では、雄側の連結具24の矢印状突部24aを弾性変形させながら雌側の連結具26の挿入孔26aに挿入することにより、矢印状突部24aが挿入孔26a内で元の形状に戻り、両連結具24,26が連結される。また、矢印状突部24aを指等で弾性変形させると、矢印状突部24aを挿入孔26aから引き抜くことができる。
【0025】
雄側の連結具24と雌側の連結具26との間のベルト2の長さは、雄側の連結具24と雌側の連結具26との間のベルト2を鉄棒20に巻掛けた状態で、両連結具24,26の着脱可能を容易に行うことができる長さにされている。ベルト2の他端側には、前述した実施形態と同様に、一対の面ファスナー部材14,16が設けられている。
【0026】
本第2実施形態の鉄棒運動用補助具21では、雄側の連結具24を雌側の連結具26に挿入することにより、ベルト2をループ状にすることができ、使用する際には、雄側の連結具24と雌側の連結具26との間のベルト2を鉄棒20に巻掛けた状態で、雄側の連結具24を雌側の連結具26に挿入する。
【0027】
これにより、前述した実施形態の図2に示す状態と同じように、ベルト2の一端側をループ状にして鉄棒20に巻掛けることができる。しかも、前述した実施形態の鉄棒運動用補助具1よりも簡単に鉄棒20にループ状にして巻掛けて止めることができる。
【0028】
続いて、第3実施形態の鉄棒運動用補助具について、図6によって説明する。
本第3実施形態の鉄棒運動用補助具31は、ベルト2の一端側に設けられたループ形成部材32として、互いに貼り合わせ可能な一対の面ファスナー部材34,36を備えている。この一対の面ファスナー部材34,36は、ベルト2の他端側の一対の面ファスナー部材14,16と同様、一方が雄側面ファスナー部材34で他方が雌側面ファスナー部材36であり、互いに貼り合わせ可能である。
【0029】
本実施形態では、雄側面ファスナー部材34がベルト2の一端側に取り付けられており、間隔aをあけて雌側面ファスナー部材36が取り付けられている。雄側面ファスナー部材34を雌側面ファスナー部材36に貼り合わせることにより、ベルト2をループ状にすることができ、使用する際には、雄側面ファスナー部材34と雌側面ファスナー部材36との間の隙間aのベルト2を鉄棒20に巻掛けた状態で、貼り合わせる。
【0030】
これにより、前述した実施形態の図2に示す状態と同じように、ベルト2の一端側をループ状にして鉄棒20に巻掛けることができる。しかも、ベルト2の両端側にそれぞれ一対の面ファスナー部材14,16,34,36を取り付けるだけで構成できるので、より容易に製作でき、また、軽量化できるので持ち運びもより容易になる。雄側面ファスナー部材34の長さと、雌側面ファスナー部材36の長さは、同じに形成してもよく、あるいは、、雌側面ファスナー部材36の長さを長く形成して、貼り合わせ位置を調整できるようにしてもよい。
【0031】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態としての鉄棒運動用補助具の正面図である。
【図2】本実施形態の鉄棒運動用補助具の使用手順を示す説明図である。
【図3】本実施形態の鉄棒運動用補助具の使用状態の説明図である。
【図4】第2実施形態としての鉄棒運動用補助具の正面図である。
【図5】図4のAA断面図である。
【図6】第3実施形態としての鉄棒運動用補助具の正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1,21,31…鉄棒運動用補助具 2…ベルト
4,22,32…ループ形成部材 6…金具
14,34…雄側面ファスナー部材 16,36…雌側面ファスナー部材
20…鉄棒 24,26…連結具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の背面側に当てられて、使用者を鉄棒に支持する鉄棒運動用補助具において、
一本の平帯状のベルトの一端側に該ベルトをループ状にして前記鉄棒に巻掛け可能なループ形成部材を設け、かつ、前記ベルトの他端側に互いに貼り合わせ可能な一対の面ファスナー部材を前記ベルトをループ状にして前記鉄棒に巻掛け可能に設けると共に、前記一対の面ファスナー部材は前記ベルトの長手方向の長さが異なることを特徴とする鉄棒練習用補助具。
【請求項2】
前記ループ形成部材は、前記ベルトの一端に取り付けられ、前記ベルトを通すことが可能な金具であることを特徴とする請求項1に記載の鉄棒運動用補助具。
【請求項3】
前記ループ形成部材は、互いに着脱可能に連結される一対の連結具を備え、前記連結具の一方を前記ベルトの一端に取り付けると共に、前記連結具の他方を前記ベルトの途中に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の鉄棒運動用補助具。
【請求項4】
前記ループ形成部材は、互いに貼り合わせ可能な一対の面ファスナー部材を前記ベルトの一端側に貼り合わせにより前記ベルトをループ状に形成可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の鉄棒運動用補助具。
【請求項5】
前記ベルトの他端側の一対の前記面ファスナー部材は、前記ベルトの長手方向に間隔を開けて設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の鉄棒運動用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−167932(P2008−167932A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3824(P2007−3824)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)