説明

鉄筋コンクリートの寿命評価方法及び装置

【課題】ひび割れ発生時の腐食量を簡易に求めることができ、形状や構造が異なる鉄筋コンクリートであっても、ひび割れ発生時の腐食量を容易に求めることが可能な鉄筋コンクリートの寿命評価方法及び装置を提供する。
【解決手段】鉄筋コンクリートのFEM解析を実施すると共に、鉄筋コンクリートの鉄筋に鉄筋の腐食を模した仮想の温度を与えて、鉄筋を仮想的に膨張させたときの鉄筋コンクリートのFEM解析を実施して、鉄筋コンクリートのコンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度を求めると共に、求めた仮想の温度を基にひび割れ発生時の腐食量を演算し、得られたひび割れ発生時の腐食量と、鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度、およびコンクリート表面にひび割れが発生するときの鉄筋の腐食量であるひび割れ発生時の腐食量を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する鉄筋コンクリートの寿命評価方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートの塩害による劣化のメカニズムは、表面より侵入した塩化物イオンが鉄筋表面に到達し、鉄筋腐食が発生した後、コンクリートの表面にひび割れが発生し、コンクリートの剥離などが発生するものであると考えられている。
【0003】
このような劣化のメカニズムは、図10に示すように、時間と腐食量の劣化曲線で整理することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図10に示す劣化曲線は、塩化物イオンがコンクリートに徐々浸透して鉄筋に到達し、鉄筋に腐食が発生する時期を示す鉄筋の腐食開始時期と、鉄筋に腐食が発生した後の腐食量の増加の割合を示す腐食発生後の腐食速度の両者を求めることで得ることができる。
【0005】
鉄筋の腐食開始時期については、Fickの拡散式、自然電位法、分極抵抗法、コンクリート抵抗法などを用いて求めることができる。他方、腐食発生後の腐食速度については、分極抵抗法を用いて求めることができる。
【0006】
図10の劣化曲線を用いることにより、鉄筋がある腐食量に達する時間(時期)を予測することが可能となる。よって、コンクリート表面にひび割れが発生するときの鉄筋の腐食量(以下、ひび割れ発生時の腐食量という)を求めれば、鉄筋がこのひび割れ発生時の腐食量に達する時間、すなわち鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期(鉄筋コンクリートの寿命)を予測することが可能となる。
【0007】
従来、ひび割れ発生時の腐食量は、鉄筋コンクリートの圧縮強度やかぶり(コンクリート表面から鉄筋までの距離)に関わらず、10mg/cm2で一定であると規定されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−82749号公報
【特許文献2】特開2002−90230号公報
【特許文献3】特開2007−264840号公報
【特許文献4】特開平9−165839号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】社団法人土木学会、コンクリート標準示方書[維持管理編]、2007年、p.95
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ひび割れ発生時の腐食量について、本発明者が実際に実験を行って検討したところ、ひび割れ発生時の腐食量は、鉄筋コンクリートの圧縮強度やかぶりの大小により大きく変化していることが分かった。したがって、上述のようにひび割れ発生時の腐食量を10mg/cm2で一定とした場合、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を正確に予測することはできない。
【0011】
つまり、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を正確に予測するためには、評価対象となる鉄筋コンクリートのひび割れ発生時の腐食量を正確に求めることが必要となる。
【0012】
ひび割れ発生時の腐食量を求める方法としては、鉄筋コンクリートの試験体を作製して鉄筋を強制的に腐食させ、実際にコンクリート表面にひび割れが入ったときの腐食量を測定する方法が考えられる。
【0013】
しかし、この方法では、実際に実験を行ってひび割れ発生時の腐食量を測定する必要があるため、非常に時間がかかってしまうという問題がある。特に、コンクリートのかぶりが大きい場合などは、数年にわたって実験を行わなければコンクリート表面にひび割れが生じない場合もあり、現実的ではない。
【0014】
また、実験的にひび割れ発生時の腐食量を求める方法では、形状や構造の異なる鉄筋コンクリートのひび割れ発生時の腐食量を求めるためには、鉄筋コンクリートの形状や構造ごとに実験を行わなければならず、コストや時間がかかってしまうという問題もある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ひび割れ発生時の腐食量を簡易に求めることができ、形状や構造が異なる鉄筋コンクリートであっても、ひび割れ発生時の腐食量を容易に求めることが可能な鉄筋コンクリートの寿命評価方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度、およびコンクリート表面にひび割れが発生するときの鉄筋の腐食量であるひび割れ発生時の腐食量を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する鉄筋コンクリートの寿命評価方法であって、前記鉄筋コンクリートのFEM解析を実施すると共に、前記鉄筋コンクリートの鉄筋に該鉄筋の腐食を模した仮想の温度を与えて、前記鉄筋を仮想的に膨張させたときの前記鉄筋コンクリートのFEM解析を実施して、前記鉄筋コンクリートのコンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度を求め、求めた仮想の温度を基に前記ひび割れ発生時の腐食量を演算し、得られたひび割れ発生時の腐食量と、前記鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度を基に、前記鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する鉄筋コンクリートの寿命評価方法である。
【0017】
前記ひび割れ発生時の腐食量の演算は、前記コンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度Δtと、前記鉄筋の腐食前の半径rと、前記鉄筋の線膨張係数aとに基づき、下式(1)
d=a×r×Δt+r ・・・(1)
により、仮想的に膨張させた鉄筋の半径rdを求めると共に、下式(2)
β=(πrd2−πr2)/πr2×100 ・・・(2)
により、鉄筋膨張率βを求め、得られた鉄筋膨張率βと、予め設定した体積膨張率αとに基づき、下式(3)
Δx={(1+β/100)1/2−1}/(α1/3−1) ・・・(3)
により、腐食深さΔxを求め、かつ、得られた腐食深さΔxと、前記鉄筋の密度ρとに基づき、下式(4)
cr=Δx×ρ ・・・(4)
により、ひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めることにより行われてもよい。
【0018】
前記鉄筋の全表面積に対する腐食部分の面積の比である腐食面積率を予め設定しておき、前記腐食面積率に対応した前記鉄筋の一部のみを仮想的に膨張させて、前記FEM解析を実施するようにしてもよい。
【0019】
前記腐食後の腐食速度は、分極抵抗法により求められるとよい。
【0020】
また、本発明は、鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度、およびコンクリート表面にひび割れが発生するときの鉄筋の腐食量であるひび割れ発生時の腐食量を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する鉄筋コンクリートの寿命評価装置であって、前記鉄筋コンクリートのFEM解析を実施すると共に、前記鉄筋コンクリートの鉄筋に該鉄筋の腐食を模した仮想の温度を与えて、前記鉄筋を仮想的に膨張させたときの前記鉄筋コンクリートのFEM解析を実施して、前記鉄筋コンクリートのコンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度を求め、求めた仮想の温度を基に前記ひび割れ発生時の腐食量を演算する解析部と、該解析部で得られたひび割れ発生時の腐食量と、前記鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度を基に、前記鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する寿命予測部とを備えた鉄筋コンクリートの寿命評価装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ひび割れ発生時の腐食量を簡易に求めることができ、形状や構造が異なる鉄筋コンクリートであっても、ひび割れ発生時の腐食量を容易に求めることが可能な鉄筋コンクリートの寿命評価方法及び装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法の原理を説明する説明図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明において、腐食面積率を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法のフローチャートである。
【図5】本発明において、無垢の鉄筋コンクリートのひび割れ発生時の腐食量によるひび割れ発生時期の予測を行う際のフローチャートである。
【図6】本発明において、補修鉄筋コンクリートにてコンクリートと補修材の界面でひび割れが発生することを説明する説明図である。
【図7】本発明において、補修鉄筋コンクリートのひび割れ発生時の腐食量によるひび割れ発生時期の予測を行う際のフローチャートである。
【図8】本発明において、電気泳動法を説明する説明図である。
【図9】本発明において、電気泳動法にて腐食させた鉄筋を取り出したときの鉄筋の展開図である。
【図10】時間と腐食量の劣化曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0024】
まず、本実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法に用いる鉄筋コンクリートの寿命評価装置について説明する。
【0025】
図1に示すように、鉄筋コンクリートの寿命評価装置1は、評価対象となる鉄筋コンクリートの物性値(圧縮強度、引張強度、弾性係数)、かぶりの大きさ、および予め設定した腐食面積率(鉄筋の全表面積に対する腐食部分の面積の比;詳細は後述する)を入力するための鉄筋コンクリート特性入力部2と、鉄筋コンクリート特性入力部2で入力された入力値を基にひび割れ発生時の腐食量を演算する解析部3と、解析部3での解析結果を記憶する記憶部4と、鉄筋コンクリートの鉄筋の腐食開始時期、および腐食発生後の腐食速度を入力する腐食特性入力部5と、解析部3で求めたひび割れ発生時の腐食量、腐食特性入力部5で入力された鉄筋の腐食開始時期、および腐食発生後の腐食速度を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する寿命予測部6と、寿命予測部6で予測した鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期をディスプレイなどの表示器に出力する出力部7とを備えている。
【0026】
これら鉄筋コンクリート特性入力部2、解析部3、記憶部4、腐食特性入力部5、寿命予測部6、出力部7は、インターフェイス、メモリ、CPU、ソフトウェアなどを適宜組み合わせて実現される。
【0027】
解析部3は、鉄筋コンクリート特性入力部2で入力された入力値を基に鉄筋コンクリートのFEM(Finite Element Method;有限要素法)解析を実施すると共に、鉄筋コンクリートの鉄筋に鉄筋の腐食を模した仮想の温度を与えて、鉄筋を仮想的に膨張させたときの鉄筋コンクリートのFEM解析を実施して、鉄筋コンクリートのコンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度を求めると共に、求めた仮想の温度を基にひび割れ発生時の腐食量を演算するようにされる。
【0028】
また、寿命予測部6は、解析部3で得られたひび割れ発生時の腐食量と、腐食特性入力部5で入力された鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測するようにされる。
【0029】
次に、本実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法を説明する。
【0030】
まず、本実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法の原理を図2を用いて説明する。
【0031】
図2に示すように、鉄筋が腐食すると、腐食生成物を含む鉄筋(腐食後の鉄筋)は、腐食前の鉄筋と比較して膨張する。つまり、腐食生成物を含む鉄筋の半径rdは、腐食前の鉄筋の半径rよりも大きくなる。
【0032】
また、鉄筋が腐食すると、腐食前の鉄筋と比較して、腐食後の健全な鉄筋は小さくなる。腐食前の鉄筋の半径rから腐食後の健全な鉄筋の半径を引いたものを腐食深さΔxという。
【0033】
本実施の形態では、このような腐食による鉄筋の膨張を、鉄筋に仮想の温度を与えた際の膨張で模擬している。つまり、鉄筋コンクリートの鉄筋に鉄筋の腐食を模した仮想の温度を与えて、鉄筋を仮想的に膨張させ、その膨張による影響をFEMで解析することにより、コンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度を求めるようにしている。コンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度を求めることにより、これに対応した鉄筋の腐食量、すなわち、ひび割れ発生時の腐食量を得ることができる。
【0034】
より具体的には、鉄筋に与える仮想の温度を0〜300℃程度まで徐々に上昇させつつFEM解析を行い、ひび割れが発生するときの仮想の温度Δtを求める。仮想の温度を徐々に上昇させることで、仮想的に腐食が進んだことを模擬できる。なお、ここでいう仮想の温度とは、絶対温度ではなく、環境温度に対する相対的な温度である。
【0035】
ひび割れが発生するときの仮想の温度Δtを与えたときの鉄筋の半径は、ひび割れが発生するときの腐食生成物を含む鉄筋の半径rdと等価であり、鉄筋の線膨張係数をaとすると、下式(1)
d=a×r×Δt+r ・・・(1)
で表すことができる。本実施の形態では、鉄筋の線膨張係数をa=1.2×10-5に設定した。
【0036】
他方、鉄筋膨張率βは、腐食前後での鉄筋断面積の変化量と腐食前の鉄筋断面積との比で表されることから、下式(2)
β=(πrd2−πr2)/πr2×100 ・・・(2)
で表される。式(1)で求めた、腐食生成物を含む鉄筋の半径rdを式(2)に代入することで、ひび割れ発生時における鉄筋膨張率βが得られる。
【0037】
また、JCI(Japan Concrete Institute;日本コンクリート工学協会)により提案されている下式(3)
Δx={(1+β/100)1/2−1}/(α1/3−1) ・・・(3)
に、式(2)で求めた鉄筋膨張率βを代入することにより、ひび割れ発生時における腐食深さΔxを求めることができる。式(3)において、αは体積膨張率(=腐食生成物の体積/鉄筋の腐食によって失われた体積)であり、本実施の形態では体積膨張率をα=3.2に仮定した。
【0038】
さらに、式(3)で得られた腐食深さΔxを下式(4)
cr=Δx×ρ ・・・(4)
に代入することにより、ひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めることができる。なお、式(4)におけるρは鉄筋の密度であり、ここでは、鉄筋の密度として鉄の密度(ρ=7.86g/cm3)を用いた。
【0039】
このように、腐食による鉄筋の膨張を、鉄筋に仮想の温度を与えたときの膨張で模擬することにより、FEM解析によってひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めることが可能となる。
【0040】
次に、腐食面積率について説明する。
【0041】
本実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法では、鉄筋の全表面積に対する腐食部分の面積の比である腐食面積率を予め設定しておき、設定した腐食面積率に対応した鉄筋の一部のみを仮想的に膨張させて、FEM解析を実施するようにしている。
【0042】
図3(a)に示すように、腐食面積率100%では鉄筋31が全方位に膨張し、図3(b)に示すように、腐食面積率50%では、鉄筋31の半分(かぶりが小さい側の半分)のみが膨張することになる。同様に、図3(c)に示すように、腐食面積率33%では、鉄筋31の1/3(かぶりが小さい側の1/3)のみが膨張することになる。このように、腐食面積率を適宜設定することにより、鉄筋31の周囲のコンクリート32に与える影響を任意に設定できる。
【0043】
鉄筋の一部のみを仮想的に膨張させるようにした理由としては、実際の鉄筋の腐食において、鉄筋の全表面が腐食することはほとんどなく、鉄筋の表面の一部のみ、すなわち鉄筋のかぶりが小さい側のみが腐食する場合がほとんどであるためである。本発明者が実験を行った結果、実際の腐食面積率は、40〜50%程度であることが多い。よって、本実施の形態では、腐食面積率を40〜50%程度に設定するようにした。
【0044】
次に、本実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法の手順を図4,5を用いて詳細に説明する。
【0045】
ここでは、評価対象となる鉄筋コンクリートが、補修が行われていない、いわゆる無垢の鉄筋コンクリートである場合について説明する。
【0046】
図4に示すように、本実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法では、まず、自然電位法または分極抵抗法などを用いて、評価対象となる鉄筋コンクリートの電気化学的測定を行い(ステップS1)、鉄筋コンクリートの鉄筋に腐食が発生しているか否かを判定する(ステップS2)。自然電位法や分極抵抗法については、従来技術に属するため、説明を省略する。
【0047】
ステップS2において、腐食ありと判定された場合、鉄筋コンクリートのコンクリート表面における塩分濃度(表面塩分)を測定し(ステップS3)、得られた表面塩分を基に、Fickの拡散式を用いて鉄筋の腐食開始時期を予測する(ステップS4)。ここでは、既に鉄筋に腐食が発生しているため、ステップS4では、計測時より何年前に腐食が発生していたかを推定することとなる。
【0048】
その後、分極抵抗法により、鉄筋の腐食発生後の腐食速度を測定する(ステップS5)。鉄筋の腐食速度を測定する方法については、従来技術に属するため、ここでは説明を省略する。
【0049】
鉄筋の腐食開始時期、および腐食発生後の腐食速度を求めた後、図1の鉄筋コンクリートの寿命評価装置1を用いて、ひび割れ発生時の腐食量Wcrによるひび割れ発生時期の予測を行う(ステップS6)。ステップS6における手順を図5に詳細に示す。
【0050】
図5に示すように、ひび割れ発生時の腐食量Wcrによるひび割れ発生時期の予測を行う際には、まず、鉄筋コンクリートの寿命評価装置1のコンクリート特性入力部2に、コンクリートの物性値(圧縮強度、引張強度、弾性係数)を入力する(ステップS11)と共に、かぶりの大きさ、および予め設定した腐食面積率を入力する(ステップS12,S13)。ステップS11〜S13でそれぞれの値を入力した後、評価対象となる鉄筋コンクリートのFEM解析モデルを作成する(ステップS14)。
【0051】
その後、ステップS11〜S13でコンクリート特性入力部2に入力された入力値、およびステップS14で設定したFEM解析モデルに基づき、解析部3にてFEM解析を実行する(ステップS15)。解析部3は、鉄筋に与える仮想の温度を徐々に変化させつつFEM解析を行い、ひび割れ発生時の仮想の温度Δtを求めると共に、上述の式(1)〜(4)を用いてひび割れ発生時の腐食量Wcrを算出する(ステップS16)。なお、解析部3における解析結果は、記憶部4に記憶される。
【0052】
その後、腐食特性入力部5に、ステップS4で求めた鉄筋の腐食開始時期と、ステップS5で求めた鉄筋の腐食発生後の腐食速度を入力する(ステップS17)。
【0053】
寿命予測部6は、ステップS16で求めたひび割れ発生時の腐食量Wcr、およびステップS17で入力された鉄筋の腐食開始時期、および腐食発生後の腐食速度を基に、鉄筋のひび割れ発生時期を求める(ステップS18)。寿命予測部6は、求めた鉄筋のひび割れ発生時期を出力部7を介して表示器等に出力する。
【0054】
図4に戻り、ステップS2にて腐食なしと判定された場合、鉄筋コンクリートのコンクリート表面における塩分濃度(表面塩分)を測定し(ステップS7)、得られた表面塩分を基に、Fickの拡散式を用いて鉄筋の腐食開始時期を予測する(ステップS8)。ここでは、鉄筋に腐食が発生していないため、ステップS8では、計測時より何年後に腐食が発生するかを推定することとなる。
【0055】
鉄筋に腐食が発生していない場合、評価対象の鉄筋コンクリートから鉄筋の腐食発生後の腐食速度を測定することはできないが、例えば、評価対象の鉄筋コンクリートと同じ形状・構造を有する試験体を作成することで、その試験体を用いて鉄筋の腐食発生後の腐食速度を測定することができる。鉄筋の腐食発生後の腐食速度が得られれば、図5と同様の手順で鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態に係る鉄筋コンクリートの寿命評価方法では、鉄筋コンクリートの鉄筋に鉄筋の腐食を模した仮想の温度を与えて、鉄筋を仮想的に膨張させたときの鉄筋コンクリートのFEM解析を実施して、鉄筋コンクリートのコンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度Δtを求めると共に、求めた仮想の温度Δtを基にひび割れ発生時の腐食量Wcrを演算し、得られたひび割れ発生時の腐食量Wcrと、鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測している。
【0057】
これにより、FEM解析にてひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めることが可能となり、実験を行わずとも、シミュレーションのみでひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めることが可能となる。よって、ひび割れ発生時の腐食量Wcrを簡易に、かつ短時間で求めることが可能となり、実験にかかるコストを削減できる。
【0058】
また、本実施の形態では、FEM解析によりひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めるため、形状や構造が異なる鉄筋コンクリートであっても、FEM解析モデルを変更するだけで、ひび割れ発生時の腐食量Wcrを容易に求めることが可能となる。
【0059】
さらに、本実施の形態では、FEM解析によりひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めるため、例えば、コンクリートのかぶりが大きい場合など、数年にわたって実験を行わなければコンクリート表面にひび割れが生じない場合であっても、ひび割れ発生時の腐食量Wcrを容易に求めることができる。
【0060】
さらにまた、本実施の形態では、腐食面積率を予め設定しておき、腐食面積率に対応した鉄筋の一部のみを仮想的に膨張させて、FEM解析を実施するようにしているため、より正確にひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めることができる。
【0061】
上記実施の形態では、評価対象となる鉄筋コンクリートとして、補修が行われていない無垢の鉄筋コンクリートを用いる場合を説明したが、本発明は、補修材を用いて補修を行った鉄筋コンクリート(以下、補修鉄筋コンクリートという)についても適用可能である。
【0062】
図6に示すように、補修鉄筋コンクリート71では、腐食により鉄筋72が膨張すると、コンクリート73と補修材74との界面75に剥離が発生し、その剥離が補修鉄筋コンクリート71の表面まで達したときにひび割れが発生する。
【0063】
したがって、コンクリート73の物性値はもちろん、補修材74の物性値(圧縮強度、引張強度、弾性係数)や、補修条件(界面75の長さd、補修材74の厚さ、付着強度)も考慮してFEM解析を行う必要がある。
【0064】
よって、図7に示すように、補修鉄筋コンクリート71のひび割れ発生時の腐食量Wcrを求める際の手順は、図5で説明した無垢のコンクリートでひび割れ発生時の腐食量Wcrを求める際の手順において、コンクリート73の物性値を入力するステップS11と、かぶりの大きさを入力するステップS12との間に、補修材の物性値(圧縮強度、引張強度、弾性係数)を入力するステップS21と、補修条件(界面75の長さd、補修材74の厚さ、付着強度)を入力するステップS22が加わる。ステップS21,S22で入力した入力値を加味してFEM解析を行うことで、補修鉄筋コンクリート71のひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めることが可能となる。
【0065】
なお、ステップS13にて入力する腐食面積率については、補修材74で覆った部分の鉄筋72には腐食が発生しにくいことを考慮して決定するとよい。具体的には、例えば、補修材74が鉄筋72の表面積の半分以上を覆っている場合、補修材74から露出している部分の鉄筋72の表面積の割合を、腐食面積率とすればよい。また、補修材74が鉄筋72全体を覆っている場合(あるいは鉄筋72のほぼ全体を覆っている場合)の腐食面積率については、例えば、15〜20%程度とすればよい。
【0066】
上記実施の形態では、Fickの拡散式を用いて鉄筋の腐食開始時期を予測したが、鉄筋の腐食開始時期を予測する方法はこれに限定されず、例えば、自然電位法、分極抵抗法、コンクリート抵抗法など、任意の方法を用いて求めてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、分極抵抗法により鉄筋の腐食発生後の腐食速度を測定したが、鉄筋の腐食発生後の腐食速度を測定する方法はこれに限定されない。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0069】
コンクリートに使用した材料の一覧を表1に示す。また、コンクリートの配合を表2に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
表2の配合のコンクリートを用い、200mm×200mm×100mmの鉄筋コンクリート試験体を作成した。鉄筋コンクリート試験体は、鉄筋(みがき棒鋼φ16mm、高炉品)の本数を1,2本(2本の場合については鉄筋ピッチ50mmと100mm)とし、かぶりを30mmとして作成した。
【0073】
作成した鉄筋コンクリート試験体の物性値は以下の通りであった。
圧縮強度:24.05N/mm2(材齢7日)、32.55N/mm2(材齢28日)静弾性係数:26.46kN/mm2(材齢28日)
【0074】
また、表3に示す物性を有する補修材を用いて、補修鉄筋コンクリート試験体を作成した。
【0075】
【表3】

【0076】
表3において、プライマーとは、コンクリートと補修材との間に塗布される接着剤のことである。補修鉄筋コンクリート試験体は、鉄筋の本数を1本とし、かぶりを30mm、コンクリートと補修材の界面長さを20,40mm、補修材厚を鉄筋の中央まで、あるいは鉄筋の上部まで、プライマー有りとして、各条件で作成した。補修鉄筋コンクリート試験体の大きさは、界面長さ20mmのものは100mm×70mm×56mm、界面長さ40mmのものは100mm×70mm×96mmとした。
【0077】
作成した補修鉄筋コンクリート試験体の物性値は以下の通りであった。
圧縮強度:21.25N/mm2(材齢7日)、31.24N/mm2(材齢28日)静弾性係数:27.71kN/mm2(材齢28日)
【0078】
作成した各試験体の塩化物を浸透させる面を除いた5面を、水道用無溶剤形エポキシ樹脂塗料規準(JWWAK157日本水道協会基準)を満足するエポキシ樹脂塗装で被覆し、電気泳動法による腐食促進を行った。なお、補修鉄筋コンクリート試験体については、コンクリートの表面を塩化物を浸透させる面とした。
【0079】
電気泳動法では、図8に示すように、濃度3%の塩化物イオン水溶液Sを満たした水槽91内に、試験体(ここでは鉄筋コンクリート試験体)92を収容する。試験体92は、塩化物を浸透させる面(エポキシ樹脂塗装で被覆していない面)を下側として、水槽91の底面に設置された設置台93上に配置される。
【0080】
設置台93には、陰極となるチタンメッシュ94が設けられており、また、試験体92の鉄筋95近傍(塩化物を浸透させる面と反対側)には、陽極となるチタンメッシュ96が設けられる。このチタンメッシュ96は、試験体作成時に予め設けておいたものであり、チタンメッシュ96と鉄筋95とが接触しないように、これらの間にプラスチックメッシュ(図示せず)を配置して、両者の短絡を防ぐようにしている。
【0081】
両チタンメッシュ94,96は直流電源97に接続されている。ここでは、直流電源97により18Vの電圧を印加し、両チタンメッシュ94,96間に0.07〜0.1Aの電流を流すことで、コンクリート98表面から塩化物イオン(Cl-)を侵入させて、内部の鉄筋を腐食させた。
【0082】
すると、電気泳動開始14日程度で鉄筋に沿ったひび割れが発生した。ひび割れ発生後、試験体92から鉄筋95を取出し、エッチング処理した外観を図9に示す。図9に示すように、腐食は、鉄筋95の塩化物を浸透させる面側のみで発生していることが確認された。
【0083】
取り出した鉄筋95の腐食の評価は、重量変化の腐食率(以下、腐食率という)、腐食量(単位鉄筋面積あたり)、腐食面積率で評価した。なお、腐食面積率に関しては、図9のように腐食部分と腐食していない部分とを黒と白に分け、画像解析により数値を算出した。鉄筋コンクリート試験体における評価結果を表4に、補修鉄筋コンクリート試験体における評価結果を表5に示す。
【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【0086】
補修鉄筋コンクリート試験体では、無垢の鉄筋コンクリート(鉄筋コンクリート試験体)と異なり、塩化物を浸透させる面にはひび割れが発生せず、試験体の側面であるエポキシ樹脂塗装表面にひび割れが発生した。これは、コンクリート側で発生した膨張圧がコンクリートと補修材との間に界面剥離を引き起こし、エポキシ樹脂塗装表面にひび割れが発生したためであると考えられる。
【0087】
ひび割れ発生後に補修鉄筋コンクリート試験体を割ったところ、界面に鉄筋腐食による錆が見られ、腐食が著しく発生していることが確認された。また、鉄筋表面の腐食位置を確認したところ、補修材側では腐食発生が見られず、コンクリート側のみで腐食が発生していることが確認された。つまり、今回の試験でコンクリート側から塩化物イオンが侵入して鉄筋を腐食させる鉄筋コンクリートの再劣化を模擬することができた。
【0088】
他方、作成した試験体の物性値を入力してFEM解析を実施し、ひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めた。このとき、鉄筋コンクリート試験体、および補修材厚を鉄筋の中央までとした補修鉄筋コンクリート試験体については、腐食面積率を50%とし、補修材厚を鉄筋の上部までとした補修鉄筋コンクリート試験体については、腐食面積率を16.7%とした。
【0089】
また、補修鉄筋コンクリート試験体のFEM解析を実施するに際して、ひび割れが発生した側面に設けたエポキシ樹脂塗装の物性を考慮して解析を行った。エポキシ樹脂塗装の物性は、以下のように設定した。
静弾性係数E:4.0kN/mm2
引張強度ft:10N/mm2
被覆厚:1.0mm
【0090】
さらに、コンクリートと補修材の界面の物性は、圧縮強度、引張強度の2つのモール円から求めた。得られたコンクリートと補修材の界面の物性を以下に示す。
粘性係数C:4.52N/mm2
摩擦係数tanφ:1.67
【0091】
FEM解析により得られた解析値を表4,5に併せて示す。
【0092】
表4に示すように、鉄筋コンクリート試験体における解析値は、実験値とよく一致しており、従来用いられている数値(10mg/cm2)よりも実測値に近いことが分かった。また、鉄筋ピッチの影響を調べたところ、共に解析値の腐食量は22.3mg/cm2であり、鉄筋ピッチが50mm程度では腐食量に影響を与えないことがわかった。よって、FEM解析を用いてひび割れ発生時の腐食量を求めることで、ひび割れ発生時の腐食量の予測精度が向上したことを確認できた。
【0093】
他方、表5に示すように、補修鉄筋コンクリート試験体では、界面長さ20mmで補修材厚を鉄筋の中央までとした試験体については、実験値と解析値が比較的よい一致を示したが、界面長さ20mmで補修材厚を鉄筋の上部までとした試験体については、腐食率および腐食量が解析値の方が2倍程度大きくなった。この原因は、実験では腐食面積率が大きくなり広範囲で腐食が発生し、腐食による膨張圧が広く分散されたためであると考えられる。よって、FEM解析を実施する際に腐食面積率を実際の現象に合わせて高く設定すれば、実験値と解析値は近い値になると考えられる。
【0094】
また、界面長さ40mmで補修材厚を鉄筋の中央までとした試験体については、腐食率および腐食量が実験値の方が4倍程度大きくなった。この原因は、コンクリートと補修材の間に剥離が生じ、腐食生成物がその間に流出したためと考えられる。また、今回の実験では、試験体の側面にエポキシ樹脂塗装を被覆しており、エポキシ樹脂塗装の静弾性係数はコンクリートよりも低く、引張強度はコンクリートよりも高いたため、このエポキシ樹脂塗装の影響により、エポキシ樹脂塗装の表面にひび割れが生じるまでの腐食量が大きくなっていると考えられる。実際には、FEMによる解析結果から、コンクリートと補修材間の剥離は、腐食量が比較的小さくても生じることが分かる。
【0095】
以上の結果から、FEM解析によりひび割れ発生時の腐食量を予測する本発明によれば、従来用いられている数値(10mg/cm2)よりも実際の数値に近いひび割れ発生時の腐食量を求めることができ、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を精度よく予測可能となることが分かる。
【符号の説明】
【0096】
1 鉄筋コンクリートの寿命評価装置
2 鉄筋コンクリート特性入力部
3 解析部
4 記憶部
5 腐食特性入力部
6 寿命予測部
7 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度、およびコンクリート表面にひび割れが発生するときの鉄筋の腐食量であるひび割れ発生時の腐食量を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する鉄筋コンクリートの寿命評価方法であって、
前記鉄筋コンクリートのFEM解析を実施すると共に、前記鉄筋コンクリートの鉄筋に該鉄筋の腐食を模した仮想の温度を与えて、前記鉄筋を仮想的に膨張させたときの前記鉄筋コンクリートのFEM解析を実施して、前記鉄筋コンクリートのコンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度を求めると共に、求めた仮想の温度を基に前記ひび割れ発生時の腐食量を演算し、
得られたひび割れ発生時の腐食量と、前記鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度を基に、前記鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測することを特徴とする鉄筋コンクリートの寿命評価方法。
【請求項2】
前記ひび割れ発生時の腐食量の演算は、
前記コンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度Δtと、前記鉄筋の腐食前の半径rと、前記鉄筋の線膨張係数aとに基づき、下式(1)
d=a×r×Δt+r ・・・(1)
により、仮想的に膨張させた鉄筋の半径rdを求めると共に、下式(2)
β=(πrd2−πr2)/πr2×100 ・・・(2)
により、鉄筋膨張率βを求め、得られた鉄筋膨張率βと、予め設定した体積膨張率αとに基づき、下式(3)
Δx={(1+β/100)1/2−1}/(α1/3−1) ・・・(3)
により、腐食深さΔxを求め、かつ、得られた腐食深さΔxと、前記鉄筋の密度ρとに基づき、下式(4)
cr=Δx×ρ ・・・(4)
により、ひび割れ発生時の腐食量Wcrを求めることにより行われる請求項1記載の鉄筋コンクリートの寿命評価方法。
【請求項3】
前記鉄筋の全表面積に対する腐食部分の面積の比である腐食面積率を予め設定しておき、前記腐食面積率に対応した前記鉄筋の一部のみを仮想的に膨張させて、前記FEM解析を実施するようにした請求項1または2記載の鉄筋コンクリートの寿命評価方法。
【請求項4】
前記腐食後の腐食速度は、分極抵抗法により求められる請求項1〜3いずれかに記載の鉄筋コンクリートの寿命評価方法。
【請求項5】
鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度、およびコンクリート表面にひび割れが発生するときの鉄筋の腐食量であるひび割れ発生時の腐食量を基に、鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する鉄筋コンクリートの寿命評価装置であって、
前記鉄筋コンクリートのFEM解析を実施すると共に、前記鉄筋コンクリートの鉄筋に該鉄筋の腐食を模した仮想の温度を与えて、前記鉄筋を仮想的に膨張させたときの前記鉄筋コンクリートのFEM解析を実施して、前記鉄筋コンクリートのコンクリート表面にひび割れが発生するときの仮想の温度を求めると共に、求めた仮想の温度を基に前記ひび割れ発生時の腐食量を演算する解析部と、
該解析部で得られたひび割れ発生時の腐食量と、前記鉄筋の腐食開始時期、腐食発生後の腐食速度を基に、前記鉄筋コンクリートのひび割れ発生時期を予測する寿命予測部とを備えたことを特徴とする鉄筋コンクリートの寿命評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−43352(P2011−43352A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190150(P2009−190150)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】