説明

鉄道車両の内装構造

【課題】 化粧板、荷物棚及び荷棚受金とをユニット化し、構体側の受金廃止及び部品取付工数の低減を図る。
【解決手段】 本発明の鉄道車両用内装構造は、サンドイッチパネル22と、取り付け座23、荷物棚受金24、荷物棚26とからなり、これらの部品をユニット化として内装材20を構成している。内装部材21と荷物棚受金24がユニット化されており、別部品の荷物棚受金を構体に取付る必要がないため、構体側の受金を廃止することが出来る。また、荷物棚受金24は、剛性のある部品としているため、ボルト固定本数を低減することができ、部品取付工数の低減を図ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の内装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両においては高性能化、快適化のほかに低コスト化が強く求められている。低コスト車体を実現するためには、抜本的な構造改革と製作方法の改善が必要となる。鉄道車両は、強度を確保するための車体と、乗客に快適な空間を提供するための車体内の艤装品で構成されている。
【0003】
艤装品には、空調ダクト、照明器具、荷物棚、腰掛、化粧板とがある。これら各種の艤装品は、一般的に車体内にそれぞれ取付けており、艤装品取付工数に時間を費やし、高価な車両となっている。
【0004】
艤装品については、下記特許文献1、特許文献2では、天井板と照明器具をユニット化し、下記特許文献3では、荷物棚と内装板とをユニット化しており、鉄道車両の艤装品をユニット化することにより、艤装品の組み立て作業効率の向上を図っている。
【特許文献1】実公昭60−9096号公報
【特許文献2】特開平04−334654号公報
【特許文献3】特開2003−260574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のユニット化は、空調ダクトや照明器具あるいは、化粧板や荷物棚(荷棚)を一つにするものであり、化粧板や荷物棚及び荷物棚受金とをユニット化するものはない。構体側の受金廃止及び部品取り付け工数の低減について、全く考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、車体側面の窓の上部と天井部とを覆う内装板と、荷物棚を備えた車両において、前記内装板の下端部に前記荷物棚を備え、前記内装板には、前記荷物棚を受ける受金を備えており、前記荷物棚と内装板及び荷物棚受金を一体に締結すること、により達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施例を図1〜図4により説明する。
天井部材15は、車体10の幅方向中央部の天井部を覆う中央の天井部材であって、空調ダクト等を内蔵している。内装材20は、天井部材10と窓16の上部との間の内装材である。
【0008】
内装材20は、窓16の上部から天井の中央付近までに沿って設けた内装部材21と、荷物棚26及び荷物棚受金24とからなる。内装部材21の一端は車体10の屋根構体11に締結具のボルト・ナット31で固定してある。内装部材21の他端の下端は車体10の側構体12に締結具のボルト・ナット32で固定している。
【0009】
内装部材21はサンドイッチパネル22と、その両端に設置した取り付け座23、荷物棚受金24とからなる。サンドイッチパネル22は、アルミニウム製の2枚の面板と、両者の間に配置され両者に接着された芯材とからなる。面板にはアルミニウムを用いており、軽量で所要の強度を有するものにできる。芯材には発泡断熱材を使用しているので、断熱と遮音を達成できるものである。芯材は軽量にするために、非金属性としている。取り付け座23、荷物棚受金24はアルミニウムの押し出し形材であり、取り付け座23は、その凹部にサンドイッチパネル22の端部を挿入して固定し、前記挿入部を接着剤およびリベットで取り付け座23に固定している。
【0010】
荷物棚受金24については荷物棚ブラケット25にて見付上表面が隠れる範囲を利用し、内装部材21とネジ33で固定している。荷物棚受金24には、カ−テン装置50の受金及びカ−テンキセ51のネジ座等をあらかじめ仕込んでいることから、部品取付工数の低減を図っている。荷物棚ブラケット25が取付られる範囲には、内装部材21が沈まないよう、2枚の面板の間にライナ−40を設けておく。ライナ−40は非金属製でも良い。
【0011】
荷物棚26は、荷物棚ブラケット25、荷棚棒27及び荷棚前棒28とからなる。荷物棚26は、車体10に取り付ける前に内装部材21とネジ34にて固定し、一体にしておく。上記はパイプ方式であるが、網方式の場合にも適用する。
【0012】
車体10への内装材20の取り付け作業を説明する。この取り付け作業は車体10を構成した後、行われる。図1、図2のように、車体10を使用状態にした状態で内装材20を取り付ける。内装材20を車体10に取り付けるにあたって、まず、車体10の屋根構体11を下方にし床を上方にしておく。(つまり、車体10を反転させた状態)この反転状態において、車体10レール内に内装材20の固定用のボルト31,32を設置しておき、内装材20を固定する。ボルト固定部の穴は長円穴としており、内装材20を設置したあとに調整できる構造としている。上記により、内装部材21と荷物棚受金24がユニット化されていることから、別部品の荷物棚受金を構体に取付ることなく、構体側の受金廃止及び部品取付工数の低減を図ることが出来る。
【0013】
この実施例において、荷物棚26に負荷が生じた場合、荷物棚受金24にモーメント荷重が作用することになるが、このモーメント荷重は、荷物棚受金24に負荷されるため、内装部材21(サンドイッチパネル22を主体にしたもの)の強度が比較的小さい構造のもので良いことになる。すなわち、内装部材21の主目的は化粧用であり、必要により断熱と遮音を加えたものであるので、その強度はそれほど大きくする必要がない。このため、内装部材21の構成が比較的容易なものとすることができ、コスト低減を図れるという効果がある。
【0014】
荷物棚受金24は、剛性のある部品としているため、ボルト固定本数を低減することができ、部品取付工数の低減を図っている。また、本部品はアルミニウムの押し出し形材で成形された構造としているが、板金物を溶接組み立てした構造でも成り立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例の鉄道車両用内装構造の要部の縦断面図。
【図2】図1を備えた鉄道車両の縦断面図。
【図3】図2のIII−III断面図。
【図4】図1を備えた鉄道車両の縦断面図。
【符号の説明】
【0016】
10:車体、11:屋根構体、12:側構体、15:天井部材、16:窓、20:内装材、21:内装部材、22:サンドイッチパネル、23:取り付け座、24:荷物棚受金、25:荷物棚ブラケット、26:荷物棚、27:荷棚棒、28:荷棚前棒、31,32:ボルト・ナット、33:ネジ、34:ネジ40:ライナ−、50:カ−テン装置、51:カ−テンキセ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の車体側面の窓の上部と車体の天井部とを覆う内装板と、前記内装板の下端部に取付けられる荷物棚を備え、
前記内装板の前記荷物棚が取付けられる面の反端側の面に配設される荷物棚受金を備え、内装板と荷物棚と荷物棚受金が一体に締結される鉄道車両の内装構造。
【請求項2】
前記内装板は、鉄道車両の屋根構体の内側に取り付け座を介して締結具により締結され、前記荷物棚受金は鉄道車両の側構体に締結具により締結される請求項1記載の鉄道車両の内装構造。
【請求項3】
前記取り付け座と荷物棚受金は、アルミニウムの押し出し形材で形成される請求項2記載の鉄道車両の内装構造。
【請求項4】
前記荷物棚受金は、カーテン装置の受金とカーテンキセのネジ座を備える請求項3記載の鉄道車両の内装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−182241(P2006−182241A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379388(P2004−379388)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390010973)日立笠戸メカニクス株式会社 (20)