鉄道車両用保守システム
【課題】メンテナンスの影響による異常予兆誤判定を確実に防止し、より確実な状態ベース保全を実現し、不要な非常停止指令等による鉄道運行への影響を防止する。
【解決手段】鉄道車両のセンサデータ若しくは制御指令値を収集・分析し、鉄道車両の異常予兆を判定する異常予兆判定装置を備えた鉄道車両用保守システムにおいて、鉄道車両の位置データあるいは予め定められたメンテナンス計画時刻の到来に基づいて、メンテナンス判定装置が、鉄道車両がメンテナンス中であることを確実に判定する。そして、鉄道車両がメンテナンス実行中と判定されたときに、異常予兆判定抑制手段が、異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更して、メンテナンスの影響による異常予兆誤判定を確実に防止する。
【解決手段】鉄道車両のセンサデータ若しくは制御指令値を収集・分析し、鉄道車両の異常予兆を判定する異常予兆判定装置を備えた鉄道車両用保守システムにおいて、鉄道車両の位置データあるいは予め定められたメンテナンス計画時刻の到来に基づいて、メンテナンス判定装置が、鉄道車両がメンテナンス中であることを確実に判定する。そして、鉄道車両がメンテナンス実行中と判定されたときに、異常予兆判定抑制手段が、異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更して、メンテナンスの影響による異常予兆誤判定を確実に防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定された車両状態に基づいて異常予知を行う鉄道車両用の保守システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の保守効率改善のため、車両データ(センサ値、制御指令値)から車両状態を推定し、推定された車両状態に基づいて異常予知を行い、保守点検を行う状態ベース保全システムの導入が進んでいる。下記特許文献1には、この状態ベース保全システムにおいて、複数の車両データを組み合わせて自動的に異常予兆を検知する異常予兆検知が提案されている。
【0003】
また、自動車の整備に関わるものであるが、下記特許文献2には、車載機器の動作に影響を与える整備作業を行っている際に、異常診断を行う診断条件をより厳しい条件とすることにより新たな故障要因や潜在的な故障要因を早期に発見することが、そして、下記特許文献3には、部品交換作業時等に伴う異常診断通報を防止することがそれぞれ示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−160153号公報
【特許文献2】特開2010−269635号公報
【特許文献3】国際公表WO2009/038028
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように単純に収集データに基づいて異常予兆判定を行うと、保守点検等のメンテナンス時に行われる注油や調整、分解整備、部品交換等が原因で、車両状態や各種検出パラメータの関係等が、メンテナンス以前の状態から大きく変化することがあるため、メンテナンス後の車両状態からみれば正常であるにもかかわらず、異常予兆ありと誤判定を行う可能性がある。
また、特許文献2、3は、自動車の整備作業に伴い、故障要因を早期に発見することや、部品交換作業に伴う誤った異常診断通報を防止することを開示するもので、上述の鉄道車両用異常予兆検知システムには適用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記の課題を解決するため、本発明では、鉄道車両においては、メンテナンスが車両基地(デポ)で行われること、定期的なメンテナンス計画が策定されていることに着目し、鉄道車両がメンテナンス中であることを確実に判定するメンテナンス判定装置を備え、このメンテナンス判定装置において、メンテナンス実行中と判定されたときに異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を予兆検知されにくい値に変更する。
【0007】
より具体的には、本発明の鉄道車両用保守システムにおいては、次のような技術的手段を講じた。すなわち、
(1)鉄道車両のセンサデータ若しくは制御指令値を前記鉄道車両から収集・分析し、前記鉄道車両の異常予兆を判定する異常予兆判定装置を備えた鉄道車両用保守システムにおいて、前記鉄道車両の位置データあるいは予め定められたメンテナンス計画時刻の到来に基づいて、該鉄道車両がメンテナンス中であることを判定するメンテナンス判定装置を備え、該メンテナンス判定装置によりメンテナンス実行中と判定されたときに、前記異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更する異常予兆判定抑制手段を備えた。
【0008】
(2)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、前記メンテナンスに部品交換・調整が含まれ、かつ該メンテナンス後に前記異常予兆判定装置の判定指標の変化量が所定値よりも大きい時に、前記異常予兆判定抑制手段が正常モデルを再学習し、この正常モデルを基準として、異常予兆を行うためのしきい値をリセットするようにした。
【0009】
(3)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、前記メンテナンス判定装置は、前記鉄道車両から送信された位置情報及び時刻情報と、予め定められたダイヤグラムあるいはメンテナンス計画とに基づいて、メンテナンス中であるか否かを判定するようにした。
【0010】
(4)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、メンテナンス計画時刻に前記鉄道車両が車両基地内にいることにより、メンテナンス実行開始を判定するようにした。
【0011】
(5)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、車両基地内で前記鉄道車両から、異常判定予兆を行うためのデータダウンロードが開始されたことにより、メンテナンス実行開始を判定するようにした。
【0012】
(6)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、前記鉄道車両の速度が所定値より大きいか、前記鉄道車両がデポから所定距離より離れていることにより、メンテナンス実行終了を判定するようにした。
【0013】
(7)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、前記メンテンナンス判定装置においてメンテナンス中であると判定されたことを表示する表示装置を備えるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、鉄道車両の位置データあるいは予め定められたメンテナンス計画時刻の到来に基づいて、その鉄道車両がメンテナンス中であることを確実に判定し、メンテナンス実行中と判定されたときに、異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更するから、メンテナンスの影響による異常予兆誤判定を確実に防止し、状態ベース保全がより確実に実施可能とするとともに、不要な非常停止指令等による鉄道運行への影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】異常予兆判定装置の一例を示す図。
【図2】(a)は異常予兆判定を行う際の診断指標の関係、(b)はメンテナンス中の診断指標の変化を示す図。
【図3】本発明の診断ブロック図の一例を示す図。
【図4】本発明の診断フローチャートの一例を示す図。
【図5】メンテナンス判定装置のフローチャートの一例を示す図。
【図6】実施例1のタイムチャートの一例を示す図。
【図7】メンテナンス判定装置のフローチャートの別の例を示す図。
【図8】実施例2の診断タイムチャートの一例を示す図。
【図9】実施例3の診断フローチャートの一例を示す図。
【図10】異常予兆判定処理の一例を示す図。
【図11】正常モデルリセット時のタイムチャートを示す図。
【図12】本発明のシステム構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、ドアを対象とした異常判定装置の一例を示す。一般的には、車両のドアは、清掃、注油、調整、障害物センサのチェック、分解整備、消耗部品等の交換等がそれぞれ一定期間毎に定められ、こうした保守点検整備を行う日時を定めたメンテナンス計画が車両毎に策定されている。
車両に搭載された異常判定装置には、予め正常時における開閉に要するドア動作時間、ドアを駆動する駆動空気圧(ドア駆動圧)、外気温の関係を、例えば、ベクトル量子化クラスタリングを用いて正常モデルとして学習する。
【0018】
そしてドアの異常予兆を診断する際には、車両からドア動作時間、ドア駆動圧、外気温等のドアデータ検出結果を、異常予兆判定装置が設置された地上側センタにダウンロードし、ダウンロードされたドアデータと、正常モデルとのベクトル空間における距離(マハラノビス距離)を算出する。
この距離は現在の状態が正常状態から離れるほど大きくなるため、この距離を診断指標として異常予兆を判定し、異常予兆の判定結果を表示装置に表示する。
具体的にはこの表示装置は診断指標のトレンドを示し、診断指標が予め決められた所定値を超えた場合には警告を表示する。
【0019】
図2を用いて異常予兆判定装置の課題を説明する。
図1で説明した異常予兆判定装置から算出される診断指標は、図2(a)に示すように正常状態から離れるに従って値が大きくなり、その大きさに基づいて予兆や異常を判定できる。
しかし図2(b)に示すように、車両のメンテナンス中には、注油、調整、部品交換、分解整備などが行われることにより、車両運行時とは違う状況、すなわち正常モデルとして学習したパラメータ同士の相関とは異なる相関関係をとるため、メンテンナンス中には、例えば、ドア動作時間とドア駆動圧の相関関係が大きく変化する場合がある。
【0020】
このような場合、図2(b)に示すように、車両側から送信される診断指標が予兆領域に突入し、ドア装置自体は正常であるにもかかわらず、当該鉄道車両において異常発生の予兆があると誤診断を行い、これを検知した地上側センタが、万一の事故発生を防止するため、当該鉄道車両に非常停止指令を送出する事態に陥り、車両運行に影響を及ぼす可能性がある。
【0021】
そこで本発明では、異常判定装置に、当該鉄道車両がメンテナンス中であることを自動通知することにより、メンテナンス中の誤診断を防止する。すなわち、本発明を適用すると、鉄道車両がメンテナンス中であるか否かに応じて、異常予兆判定抑制手段により、異常予兆判定装置から出力される判定結果が、同じ診断指標値に対しても異なるようにすることができ、こうした誤判定を確実に防止することが可能となる。
【0022】
図3は本発明の診断ブロック図の一例を示す。車両(301)からセンサ・制御データ及びタイムスタンプが、異常予兆判定装置(304)に送られ、異常予兆に基づく診断判定が実施される。
この際に、メンテナンス判定装置(303)が車両(301)から送信される時刻及び位置情報と地上データベースから得られるダイヤグラム(車両の運行情報)あるいはメンテナンス計画と比較し、センサ、制御データに付随したタイムスタンプの時刻にメンテを実行しているか否かを判定する。異常予兆判定装置の異常判定結果やメンテナンス判定装置によるメンテ実行中の検知フラグ(メンテ実行中フラグ)は表示装置(305)に送られ、異常判定のための診断指標及びメンテナンス実行中フラグが時系列で表示される。
【0023】
なお図12に示すようにメンテナンス判定装置(1204)、異常予兆判定装置(1203)及び表示装置(1206)は地上側センタに設置するのが一般的であるが、安全性に関する異常予兆判定においては、これら装置の一部あるいは全部を車上に搭載し、車上側からこれらの装置から信号を地上側センタに送信するようにしてもよい。
【0024】
(実施例1)
図4から図6を用いて本発明の実施例1について説明する。
図4は、本実施例により異常予兆判定を禁止するためのフローチャートの一例である。
ステップS401ではメンテ判定処理を実施する。このメンテ判定処理については図5を用いて後で説明する。
【0025】
ステップS402ではメンテナンス中であるか否かを判定し、メンテナンス中と判定された場合はステップS403に進み、異常判定を禁止する処理を行う。本処理中は図6で詳述するように、診断指標がしきい値より大きくなっても異常判定を行わない。
一方ステップS402でメンテナンス中でないと判断された場合にはステップS404に進み、図1で説明したような予兆判定を実施する。このようにメンテナンス中に異常予兆診断を禁止することでメンテナンス作業による誤診断を防止し、異常予兆診断の精度を向上させることができる。
【0026】
図5はメンテ判定処理フローチャートの一例である。
ステップS501では車両が車両基地(デポ)にいるか否かを判定する。具体的にはダイヤグラムと時刻で車両位置を推定するか、あるいは車載されたGPS装置からの位置情報を用いても車両位置を測定し、車両がデポにいるか否かを判定する。
【0027】
ステップS501で車両基地内に車両がいると判定された場合には、ステップS502に進み、そうでない場合はステップS505に進む。ステップS502では車両の速度が所定値以下であるか否かを判定し、車両速度が所定値以下の場合はステップS503に進み、そうでない場合はステップS505に進む。
【0028】
ステップS503では、車両から送信されたセンサあるいは制御データのタイムスタンプが、データベースから得たメンテ計画時刻内であるかを判断し、時刻内であればステップS504に進み、ステップS504でメンテナンスフラグ実行中フラグを1にする。このフラグは車両位置がデポから離れるか(ステップS501)、車両速度が所定速度以上になったか(ステップS502)で0に解除される(ステップS505)。
すなわち本発明により、メンテナンス計画どおり車両がデポ内に入構していることにより、メンテナンス中であると自動的かつ確実に判断し、メンテナンス中の誤診断を防止する。
【0029】
図6は、図4、図5のフローチャートを実施したときのタイムチャートの一例である。
車両から送信される速度が所定速度以下になり、かつあらかじめ定められたダイヤグラムあるいはメンテナンス計画に基づいて、メンテナンス計画時刻を抽出したメンテナンス計画時刻フラグが1であるときに、メンテナンス実行中フラグが1にセットされる。この結果、メンテナンス実行中でフラグが1の間は、たとえ診断指標が予兆判定しきい値を超えても、予兆判定フラグは1にならず、異常予兆と判定せず、異常予兆の判定が抑制される。本実施例においては、このようにメンテ実行中に予兆判定を禁止することによりメンテ作業による誤診断を防止できる。
【0030】
(実施例2)
運行中のトラブルにより、事前のメンテナンス計画どおりにメンテが行われない場合も考えられる。そのような場合にも有用なメンテナンス実行判定方法について、図7と図8を用いて説明する。すなわち、本実施例では、車両がデポに入構すると、メンテナンスのため、走行中車両に蓄積された各種センサ情報や制御情報等の車両情報がデポ内のコンピュータにダウンロードされることを利用する。
【0031】
図7はメンテ判定フローチャートの別の例である。ステップS701とステップS702は図5で説明したステップS501とステップS502と同じなので説明を省略する。ステップS701よびステップS702でYESと判定された場合は、ステップS703に進む。ステップS703では車両データのダウンロードが開始されたか否かを判定する。ステップS703でYESと判定された場合はメンテナンス実行中と判定し、ステップS704に進みメンテナンス実行中フラグを1にする。
【0032】
このように、本実施例では、車両に蓄積されたデータをデポで一括してダウンロードすることを利用している。
なお、運行中にも携帯無線通信網を利用して、一部のデータは随時ダウンロードされるが、予兆診断を実施するためには車上に蓄積されたデータを大量ダウンロードする必要があり、デポに戻りWifi無線によるデータの大量ダウンロードが実施される。特に車両故障時において、車両情報のダウンロードは異常分析を行うために必ず行われる作業であるため、本方法により確実にメンテナンス中であることを判定できる。
【0033】
図8はダウンロードをトリガとして予兆判定を禁止する場合のタイムチャートの一例である。車両データのダウンロードをトリガとしてメンテ実行中フラグが1となり、診断指標が予兆判定しきい値よりも大きくなっても予兆判定がなされないことが確認できる。
【0034】
(実施例3)
メンテナンス中の部品交換や調整により正常であるときのパラメータ相関が大きく変わった場合は正常モデルのリセット(再学習)が必要である。そのような場合に対応する実施例を図9〜11を用いて説明する。
【0035】
図9は異常予兆判定をリセットするためのフローチャートを示す。ステップS901からステップS904は図4のステップS401からステップS404と同じであるので説明を割愛する。本実施例において新たに加わったのはステップS905である。ステップS905では図10に示す処理を行い。正常モデルの再学習を行う。
【0036】
図10は異常予兆判定リセット処理のフローチャートの一例である。ステップS1001はメンテナンスが終了したか否かをメンテナンス中フラグが1から0に変化したかで判定する。ステップS1001でYESの場合はステップS1002にすすむ。ステップS1002ではメンテナンス計画に部品交換・調整があるか否かを判定する。あるいは本処理をメンテナンス終了後にバッチで行うのであれば、メンテナンス記録情報を参照し、部品の交換・調整が行われたかを確認してもよい。
【0037】
ここで部品交換・調整が行われたと判断された場合はステップS1003に進む。ステップS1003では部品交換・調整後に診断指標が所定値よりも大きく変化したか否かを判定する。
この変化量が所定値よりも大きいと判定された場合は、ステップS1004に進み、予兆診断正常モデル再学習フラグを1にし、正常モデルの再学習を実施する。
このように、本実施例では部品の交換・調整が行われ、その結果、診断指標が大きく変化した場合にのみ、正常モデルのリセットを自動で行って正常モデルの再学習するため、この再学習値により、正常モデルを基準とした予兆、異常を判断するしきい値が正しくリセットされて、異常予兆の判定が抑制され、部品交換・調整時の誤診断を防止できる。
【0038】
図11は正常モデルをリセットした時のタイムチャートの一例である。交換・調整フラグはメンテナンス中に交換・調整が行われたことを示しており、この状態でメンテナンス実行中フラグが1から0に変わってメンテナンスが終了した際に、診断指標が予兆判定しきい値が大きくなったことをトリガとして、正常モデル再学習フラグが1とする。そして正常モデルを再学習し、診断指標が正しく算出されるようになったところで、正常モデル再学習フラグと交換・調整フラグを0にリセットする。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、鉄道車両がメンテナンス中であることを確実に判定し、メンテナンス実行中と判定されたときに、異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更するから、メンテナンスの影響による異常予兆誤判定を確実に防止し、より確実な状態ベース保全を実現し、不要な非常停止指令等による鉄道運行への影響を防止可能とする鉄道車両用保守システムとして開く採用されることが期待できる。
【符号の説明】
【0040】
301 鉄道車両
302 地上データベース
303 メンテナンス判定装置
304 異常予兆判定装置
305 表示装置
1201 鉄道車両
1202 保守センタ(地上)
1203 異常予兆判定装置
1204 メンテナンス判定装置
1205 地上データベース
1206 表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定された車両状態に基づいて異常予知を行う鉄道車両用の保守システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の保守効率改善のため、車両データ(センサ値、制御指令値)から車両状態を推定し、推定された車両状態に基づいて異常予知を行い、保守点検を行う状態ベース保全システムの導入が進んでいる。下記特許文献1には、この状態ベース保全システムにおいて、複数の車両データを組み合わせて自動的に異常予兆を検知する異常予兆検知が提案されている。
【0003】
また、自動車の整備に関わるものであるが、下記特許文献2には、車載機器の動作に影響を与える整備作業を行っている際に、異常診断を行う診断条件をより厳しい条件とすることにより新たな故障要因や潜在的な故障要因を早期に発見することが、そして、下記特許文献3には、部品交換作業時等に伴う異常診断通報を防止することがそれぞれ示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−160153号公報
【特許文献2】特開2010−269635号公報
【特許文献3】国際公表WO2009/038028
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように単純に収集データに基づいて異常予兆判定を行うと、保守点検等のメンテナンス時に行われる注油や調整、分解整備、部品交換等が原因で、車両状態や各種検出パラメータの関係等が、メンテナンス以前の状態から大きく変化することがあるため、メンテナンス後の車両状態からみれば正常であるにもかかわらず、異常予兆ありと誤判定を行う可能性がある。
また、特許文献2、3は、自動車の整備作業に伴い、故障要因を早期に発見することや、部品交換作業に伴う誤った異常診断通報を防止することを開示するもので、上述の鉄道車両用異常予兆検知システムには適用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記の課題を解決するため、本発明では、鉄道車両においては、メンテナンスが車両基地(デポ)で行われること、定期的なメンテナンス計画が策定されていることに着目し、鉄道車両がメンテナンス中であることを確実に判定するメンテナンス判定装置を備え、このメンテナンス判定装置において、メンテナンス実行中と判定されたときに異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を予兆検知されにくい値に変更する。
【0007】
より具体的には、本発明の鉄道車両用保守システムにおいては、次のような技術的手段を講じた。すなわち、
(1)鉄道車両のセンサデータ若しくは制御指令値を前記鉄道車両から収集・分析し、前記鉄道車両の異常予兆を判定する異常予兆判定装置を備えた鉄道車両用保守システムにおいて、前記鉄道車両の位置データあるいは予め定められたメンテナンス計画時刻の到来に基づいて、該鉄道車両がメンテナンス中であることを判定するメンテナンス判定装置を備え、該メンテナンス判定装置によりメンテナンス実行中と判定されたときに、前記異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更する異常予兆判定抑制手段を備えた。
【0008】
(2)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、前記メンテナンスに部品交換・調整が含まれ、かつ該メンテナンス後に前記異常予兆判定装置の判定指標の変化量が所定値よりも大きい時に、前記異常予兆判定抑制手段が正常モデルを再学習し、この正常モデルを基準として、異常予兆を行うためのしきい値をリセットするようにした。
【0009】
(3)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、前記メンテナンス判定装置は、前記鉄道車両から送信された位置情報及び時刻情報と、予め定められたダイヤグラムあるいはメンテナンス計画とに基づいて、メンテナンス中であるか否かを判定するようにした。
【0010】
(4)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、メンテナンス計画時刻に前記鉄道車両が車両基地内にいることにより、メンテナンス実行開始を判定するようにした。
【0011】
(5)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、車両基地内で前記鉄道車両から、異常判定予兆を行うためのデータダウンロードが開始されたことにより、メンテナンス実行開始を判定するようにした。
【0012】
(6)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、前記鉄道車両の速度が所定値より大きいか、前記鉄道車両がデポから所定距離より離れていることにより、メンテナンス実行終了を判定するようにした。
【0013】
(7)上記の鉄道車両用保守システムにおいて、前記メンテンナンス判定装置においてメンテナンス中であると判定されたことを表示する表示装置を備えるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、鉄道車両の位置データあるいは予め定められたメンテナンス計画時刻の到来に基づいて、その鉄道車両がメンテナンス中であることを確実に判定し、メンテナンス実行中と判定されたときに、異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更するから、メンテナンスの影響による異常予兆誤判定を確実に防止し、状態ベース保全がより確実に実施可能とするとともに、不要な非常停止指令等による鉄道運行への影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】異常予兆判定装置の一例を示す図。
【図2】(a)は異常予兆判定を行う際の診断指標の関係、(b)はメンテナンス中の診断指標の変化を示す図。
【図3】本発明の診断ブロック図の一例を示す図。
【図4】本発明の診断フローチャートの一例を示す図。
【図5】メンテナンス判定装置のフローチャートの一例を示す図。
【図6】実施例1のタイムチャートの一例を示す図。
【図7】メンテナンス判定装置のフローチャートの別の例を示す図。
【図8】実施例2の診断タイムチャートの一例を示す図。
【図9】実施例3の診断フローチャートの一例を示す図。
【図10】異常予兆判定処理の一例を示す図。
【図11】正常モデルリセット時のタイムチャートを示す図。
【図12】本発明のシステム構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、ドアを対象とした異常判定装置の一例を示す。一般的には、車両のドアは、清掃、注油、調整、障害物センサのチェック、分解整備、消耗部品等の交換等がそれぞれ一定期間毎に定められ、こうした保守点検整備を行う日時を定めたメンテナンス計画が車両毎に策定されている。
車両に搭載された異常判定装置には、予め正常時における開閉に要するドア動作時間、ドアを駆動する駆動空気圧(ドア駆動圧)、外気温の関係を、例えば、ベクトル量子化クラスタリングを用いて正常モデルとして学習する。
【0018】
そしてドアの異常予兆を診断する際には、車両からドア動作時間、ドア駆動圧、外気温等のドアデータ検出結果を、異常予兆判定装置が設置された地上側センタにダウンロードし、ダウンロードされたドアデータと、正常モデルとのベクトル空間における距離(マハラノビス距離)を算出する。
この距離は現在の状態が正常状態から離れるほど大きくなるため、この距離を診断指標として異常予兆を判定し、異常予兆の判定結果を表示装置に表示する。
具体的にはこの表示装置は診断指標のトレンドを示し、診断指標が予め決められた所定値を超えた場合には警告を表示する。
【0019】
図2を用いて異常予兆判定装置の課題を説明する。
図1で説明した異常予兆判定装置から算出される診断指標は、図2(a)に示すように正常状態から離れるに従って値が大きくなり、その大きさに基づいて予兆や異常を判定できる。
しかし図2(b)に示すように、車両のメンテナンス中には、注油、調整、部品交換、分解整備などが行われることにより、車両運行時とは違う状況、すなわち正常モデルとして学習したパラメータ同士の相関とは異なる相関関係をとるため、メンテンナンス中には、例えば、ドア動作時間とドア駆動圧の相関関係が大きく変化する場合がある。
【0020】
このような場合、図2(b)に示すように、車両側から送信される診断指標が予兆領域に突入し、ドア装置自体は正常であるにもかかわらず、当該鉄道車両において異常発生の予兆があると誤診断を行い、これを検知した地上側センタが、万一の事故発生を防止するため、当該鉄道車両に非常停止指令を送出する事態に陥り、車両運行に影響を及ぼす可能性がある。
【0021】
そこで本発明では、異常判定装置に、当該鉄道車両がメンテナンス中であることを自動通知することにより、メンテナンス中の誤診断を防止する。すなわち、本発明を適用すると、鉄道車両がメンテナンス中であるか否かに応じて、異常予兆判定抑制手段により、異常予兆判定装置から出力される判定結果が、同じ診断指標値に対しても異なるようにすることができ、こうした誤判定を確実に防止することが可能となる。
【0022】
図3は本発明の診断ブロック図の一例を示す。車両(301)からセンサ・制御データ及びタイムスタンプが、異常予兆判定装置(304)に送られ、異常予兆に基づく診断判定が実施される。
この際に、メンテナンス判定装置(303)が車両(301)から送信される時刻及び位置情報と地上データベースから得られるダイヤグラム(車両の運行情報)あるいはメンテナンス計画と比較し、センサ、制御データに付随したタイムスタンプの時刻にメンテを実行しているか否かを判定する。異常予兆判定装置の異常判定結果やメンテナンス判定装置によるメンテ実行中の検知フラグ(メンテ実行中フラグ)は表示装置(305)に送られ、異常判定のための診断指標及びメンテナンス実行中フラグが時系列で表示される。
【0023】
なお図12に示すようにメンテナンス判定装置(1204)、異常予兆判定装置(1203)及び表示装置(1206)は地上側センタに設置するのが一般的であるが、安全性に関する異常予兆判定においては、これら装置の一部あるいは全部を車上に搭載し、車上側からこれらの装置から信号を地上側センタに送信するようにしてもよい。
【0024】
(実施例1)
図4から図6を用いて本発明の実施例1について説明する。
図4は、本実施例により異常予兆判定を禁止するためのフローチャートの一例である。
ステップS401ではメンテ判定処理を実施する。このメンテ判定処理については図5を用いて後で説明する。
【0025】
ステップS402ではメンテナンス中であるか否かを判定し、メンテナンス中と判定された場合はステップS403に進み、異常判定を禁止する処理を行う。本処理中は図6で詳述するように、診断指標がしきい値より大きくなっても異常判定を行わない。
一方ステップS402でメンテナンス中でないと判断された場合にはステップS404に進み、図1で説明したような予兆判定を実施する。このようにメンテナンス中に異常予兆診断を禁止することでメンテナンス作業による誤診断を防止し、異常予兆診断の精度を向上させることができる。
【0026】
図5はメンテ判定処理フローチャートの一例である。
ステップS501では車両が車両基地(デポ)にいるか否かを判定する。具体的にはダイヤグラムと時刻で車両位置を推定するか、あるいは車載されたGPS装置からの位置情報を用いても車両位置を測定し、車両がデポにいるか否かを判定する。
【0027】
ステップS501で車両基地内に車両がいると判定された場合には、ステップS502に進み、そうでない場合はステップS505に進む。ステップS502では車両の速度が所定値以下であるか否かを判定し、車両速度が所定値以下の場合はステップS503に進み、そうでない場合はステップS505に進む。
【0028】
ステップS503では、車両から送信されたセンサあるいは制御データのタイムスタンプが、データベースから得たメンテ計画時刻内であるかを判断し、時刻内であればステップS504に進み、ステップS504でメンテナンスフラグ実行中フラグを1にする。このフラグは車両位置がデポから離れるか(ステップS501)、車両速度が所定速度以上になったか(ステップS502)で0に解除される(ステップS505)。
すなわち本発明により、メンテナンス計画どおり車両がデポ内に入構していることにより、メンテナンス中であると自動的かつ確実に判断し、メンテナンス中の誤診断を防止する。
【0029】
図6は、図4、図5のフローチャートを実施したときのタイムチャートの一例である。
車両から送信される速度が所定速度以下になり、かつあらかじめ定められたダイヤグラムあるいはメンテナンス計画に基づいて、メンテナンス計画時刻を抽出したメンテナンス計画時刻フラグが1であるときに、メンテナンス実行中フラグが1にセットされる。この結果、メンテナンス実行中でフラグが1の間は、たとえ診断指標が予兆判定しきい値を超えても、予兆判定フラグは1にならず、異常予兆と判定せず、異常予兆の判定が抑制される。本実施例においては、このようにメンテ実行中に予兆判定を禁止することによりメンテ作業による誤診断を防止できる。
【0030】
(実施例2)
運行中のトラブルにより、事前のメンテナンス計画どおりにメンテが行われない場合も考えられる。そのような場合にも有用なメンテナンス実行判定方法について、図7と図8を用いて説明する。すなわち、本実施例では、車両がデポに入構すると、メンテナンスのため、走行中車両に蓄積された各種センサ情報や制御情報等の車両情報がデポ内のコンピュータにダウンロードされることを利用する。
【0031】
図7はメンテ判定フローチャートの別の例である。ステップS701とステップS702は図5で説明したステップS501とステップS502と同じなので説明を省略する。ステップS701よびステップS702でYESと判定された場合は、ステップS703に進む。ステップS703では車両データのダウンロードが開始されたか否かを判定する。ステップS703でYESと判定された場合はメンテナンス実行中と判定し、ステップS704に進みメンテナンス実行中フラグを1にする。
【0032】
このように、本実施例では、車両に蓄積されたデータをデポで一括してダウンロードすることを利用している。
なお、運行中にも携帯無線通信網を利用して、一部のデータは随時ダウンロードされるが、予兆診断を実施するためには車上に蓄積されたデータを大量ダウンロードする必要があり、デポに戻りWifi無線によるデータの大量ダウンロードが実施される。特に車両故障時において、車両情報のダウンロードは異常分析を行うために必ず行われる作業であるため、本方法により確実にメンテナンス中であることを判定できる。
【0033】
図8はダウンロードをトリガとして予兆判定を禁止する場合のタイムチャートの一例である。車両データのダウンロードをトリガとしてメンテ実行中フラグが1となり、診断指標が予兆判定しきい値よりも大きくなっても予兆判定がなされないことが確認できる。
【0034】
(実施例3)
メンテナンス中の部品交換や調整により正常であるときのパラメータ相関が大きく変わった場合は正常モデルのリセット(再学習)が必要である。そのような場合に対応する実施例を図9〜11を用いて説明する。
【0035】
図9は異常予兆判定をリセットするためのフローチャートを示す。ステップS901からステップS904は図4のステップS401からステップS404と同じであるので説明を割愛する。本実施例において新たに加わったのはステップS905である。ステップS905では図10に示す処理を行い。正常モデルの再学習を行う。
【0036】
図10は異常予兆判定リセット処理のフローチャートの一例である。ステップS1001はメンテナンスが終了したか否かをメンテナンス中フラグが1から0に変化したかで判定する。ステップS1001でYESの場合はステップS1002にすすむ。ステップS1002ではメンテナンス計画に部品交換・調整があるか否かを判定する。あるいは本処理をメンテナンス終了後にバッチで行うのであれば、メンテナンス記録情報を参照し、部品の交換・調整が行われたかを確認してもよい。
【0037】
ここで部品交換・調整が行われたと判断された場合はステップS1003に進む。ステップS1003では部品交換・調整後に診断指標が所定値よりも大きく変化したか否かを判定する。
この変化量が所定値よりも大きいと判定された場合は、ステップS1004に進み、予兆診断正常モデル再学習フラグを1にし、正常モデルの再学習を実施する。
このように、本実施例では部品の交換・調整が行われ、その結果、診断指標が大きく変化した場合にのみ、正常モデルのリセットを自動で行って正常モデルの再学習するため、この再学習値により、正常モデルを基準とした予兆、異常を判断するしきい値が正しくリセットされて、異常予兆の判定が抑制され、部品交換・調整時の誤診断を防止できる。
【0038】
図11は正常モデルをリセットした時のタイムチャートの一例である。交換・調整フラグはメンテナンス中に交換・調整が行われたことを示しており、この状態でメンテナンス実行中フラグが1から0に変わってメンテナンスが終了した際に、診断指標が予兆判定しきい値が大きくなったことをトリガとして、正常モデル再学習フラグが1とする。そして正常モデルを再学習し、診断指標が正しく算出されるようになったところで、正常モデル再学習フラグと交換・調整フラグを0にリセットする。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、鉄道車両がメンテナンス中であることを確実に判定し、メンテナンス実行中と判定されたときに、異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更するから、メンテナンスの影響による異常予兆誤判定を確実に防止し、より確実な状態ベース保全を実現し、不要な非常停止指令等による鉄道運行への影響を防止可能とする鉄道車両用保守システムとして開く採用されることが期待できる。
【符号の説明】
【0040】
301 鉄道車両
302 地上データベース
303 メンテナンス判定装置
304 異常予兆判定装置
305 表示装置
1201 鉄道車両
1202 保守センタ(地上)
1203 異常予兆判定装置
1204 メンテナンス判定装置
1205 地上データベース
1206 表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両のセンサデータ若しくは制御指令値を前記鉄道車両から収集・分析し、前記鉄道車両の異常予兆を判定する異常予兆判定装置を備えた鉄道車両用保守システムにおいて、
前記鉄道車両の位置データあるいは予め定められたメンテナンス計画時刻の到来に基づいて、該鉄道車両がメンテナンス中であることを判定するメンテナンス判定装置を備え、該メンテナンス判定装置によりメンテナンス実行中と判定されたときに、前記異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更する異常予兆判定抑制手段を備えたことを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項2】
請求項1において、前記メンテナンスに部品交換・調整が含まれ、かつ該メンテナンス後に前記異常予兆判定装置の判定指標の変化量が所定値よりも大きい時に、前記異常予兆判定抑制手段が正常モデルを再学習し、この正常モデルを基準として、異常予兆を行うためのしきい値をリセットすることを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記メンテナンス判定装置は、前記鉄道車両から送信された位置情報及び時刻情報と、予め定められたダイヤグラムあるいはメンテナンス計画とに基づいて、メンテナンス中であるか否かを判定することを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項4】
請求項3において、メンテナンス計画時刻に前記鉄道車両が車両基地内にいることにより、メンテナンス実行開始を判定することを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項5】
請求項1または2において、車両基地内で前記鉄道車両から、異常判定予兆を行うためのデータダウンロードが開始されたことにより、メンテナンス実行開始を判定することを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項6】
請求項1から5において、前記鉄道車両の速度が所定値より大きいか、前記鉄道車両がデポから所定距離より離れていることにより、メンテナンス実行終了を判定することを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項7】
請求項1から6において、前記メンテンナンス判定装置においてメンテナンス中であると判定されたことを表示する表示装置を備えることを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項1】
鉄道車両のセンサデータ若しくは制御指令値を前記鉄道車両から収集・分析し、前記鉄道車両の異常予兆を判定する異常予兆判定装置を備えた鉄道車両用保守システムにおいて、
前記鉄道車両の位置データあるいは予め定められたメンテナンス計画時刻の到来に基づいて、該鉄道車両がメンテナンス中であることを判定するメンテナンス判定装置を備え、該メンテナンス判定装置によりメンテナンス実行中と判定されたときに、前記異常予兆判定装置による判定を禁止、あるいはしきい値を、異常予兆検知されにくい値に変更する異常予兆判定抑制手段を備えたことを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項2】
請求項1において、前記メンテナンスに部品交換・調整が含まれ、かつ該メンテナンス後に前記異常予兆判定装置の判定指標の変化量が所定値よりも大きい時に、前記異常予兆判定抑制手段が正常モデルを再学習し、この正常モデルを基準として、異常予兆を行うためのしきい値をリセットすることを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記メンテナンス判定装置は、前記鉄道車両から送信された位置情報及び時刻情報と、予め定められたダイヤグラムあるいはメンテナンス計画とに基づいて、メンテナンス中であるか否かを判定することを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項4】
請求項3において、メンテナンス計画時刻に前記鉄道車両が車両基地内にいることにより、メンテナンス実行開始を判定することを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項5】
請求項1または2において、車両基地内で前記鉄道車両から、異常判定予兆を行うためのデータダウンロードが開始されたことにより、メンテナンス実行開始を判定することを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項6】
請求項1から5において、前記鉄道車両の速度が所定値より大きいか、前記鉄道車両がデポから所定距離より離れていることにより、メンテナンス実行終了を判定することを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【請求項7】
請求項1から6において、前記メンテンナンス判定装置においてメンテナンス中であると判定されたことを表示する表示装置を備えることを特徴とする鉄道車両用保守システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−107417(P2013−107417A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251668(P2011−251668)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
[ Back to top ]