説明

鉢植え植物の花の着色方法、および着色された花を有する鉢植え植物

【課題】 鉢植え植物の花を着色する方法および鉢植え植物を提供する。
【解決手段】 本発明の方法は、ピペット8の先端7の外径に相当する直径を有する穴6を、花3の茎部2に作り、ピペットの先端7をその穴6に挿入し、ピペット8を茎部2に固定する。ピペット8には、鉢植え植物に対して非毒性である着色液9を充填しておく。着色液9が鉢植え植物1に吸収された後、ピペット8を取り除く。すなわち、本発明の鉢植え植物1は、花3の茎部2を介して着色液9が導入されて着色されている花3を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉢植え植物の花を着色する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
染料を溶かした水に切り枝を入れるか、又は塗料物質を花に噴霧することによって切り花を着色することは公知である。
【0003】
さらに、染料を水に溶かして、それを植物の根の周囲の土壌に注ぎ、根に吸収させることによって鉢植え植物の花を着色することも公知である。
【0004】
これらの公知の方法は、物流上の理由から望ましくなかったり(切り枝を染料溶液に入れる場合)、審美的に満足のいかない結果を生じたり(塗料物質を噴霧する場合)、または効率が低い(根の周囲に染料溶液を投与する場合)という欠点を有する。
【0005】
農薬、殺菌剤、栄養素、水、着香剤、匂い物質、着色剤またはそのような物質の適切な溶液などの液体を植物に導入する方法が、国際公開第93/02546号パンフレットに開示されている。この公知の方法を実施するため、液体リザーバと、連結管を介して液体リザーバに接続された複数のスパイクとを備えた装置が記載されている。このスパイクは、各々がT字形の通路を有し、T字形通路の横走部分が、植物の茎または木の幹に押し込まれ、植物または木の木部(xylem)にまで入り込むようになっている。このようにスパイクを植物の茎または木の幹に配置した後、装置を植物または木に取り付け、各スパイクの通路を介して液体をリザーバから植物の木部へと流す。
【0006】
公知の装置は比較的重く、複雑な構造を有し、この複雑さの結果として、生産には費用がかかり、これらの理由から鉢植え植物の花を着色するための使用には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第93/02546号パンフレット
【発明の概要】
【0008】
比較的簡単に実施することができ、染料が高い効率で投与され、複雑な装置を使用せずに比較的低コストで実施できる鉢植え植物の花を着色する方法を提供することが本発明の目的である。
【0009】
この目的は、本発明によれば、(i)ピペットを準備するステップと、(ii)ピペットの先端の外径に相当する直径を有する穴を花の茎部に作るステップと、(iii)ピペットの先端を穴に挿入し、ピペットを茎部に固定するステップと、(iv)前記ステップ(i)、(ii)または(iii)のいずれか1つの後に、鉢植え植物に対して非毒性の着色液をピペットに充填するステップと、(v)着色液が鉢植え植物に吸収された後、ピペットを取り除くステップとを含む方法によって達成される。また、本発明により、他の利点も得られる。
【0010】
したがって、本発明に係る鉢植え植物の花を着色する方法は、従来の鉢植え植物の花を着色するために開発された複雑な装置の代わりに市販のピペットを用いて実施するという点で、従来の方法に比べて有利である。
【0011】
さらに、ステップ(iii)に従ってピペットを茎部に固定するには、実際の状況では、ピペットの先端で、茎部の穴に挿入すれば十分であることがわかった。穴の直径はピペットの先端の外径に相当し、花の茎部は十分な深さと強度を提供するので、先端が穴に挿入されたピペットは、この目的にために付加的な手段を必要とせずにその位置にとどまる。
【0012】
茎部に穴を作るステップ(ii)は、植物に水を与えた後に実施することが好ましい。
【0013】
着色液は、花の茎部内を上昇する樹液の流れによって自然に花に取り込まれる。花が所望の色を帯びるだけの量の着色液を花に吸収させるには、少なくとも8時間、好ましくは約12時間で十分である。
【0014】
鉢植え植物に対して非毒性であり、水溶性であれば、いかなる染料も原則として適用できる。
【0015】
本発明に係る方法の一実施の形態では、着色液は有機染料を含む。
【0016】
有機染料は、例えばトリフェニルメタン染料を含む。
【0017】
本発明の方法は、原則として数多くの鉢植え植物に適用することができるが、コチョウラン、アンスリウムおよびスパティフィラムを含む植物属の群から選択される鉢植え植物の花を着色するのに特に適している。
【0018】
また、本発明は、少なくとも1つの花を有する鉢植え植物であって、この花は、その花の茎部を介して着色液を導入して着色されており、鉢植え植物は、例えばコチョウラン、アンスリウムおよびスパティフィラムを含む植物属の群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】花およびその茎を有する白色コチョウランの鉢の斜視図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を、図面を参照しながら、例示的な実施形態に基づいて説明する。
【0021】
図面において、図1は、花3およびその花の茎部2を有する白色コチョウランの鉢1の斜視図である。粘着テープ4を使用して、茎部2を、鉢に設置した支柱5に2か所で固定する。植物に十分な水を与え、水が植物に吸い上げられた後、茎部2の下部にドリルで穴6を開け(図2に詳細に示す)、青色トリフェニルメタン染料を含む着色液9を充填したピペット8の先端7を、その中に挿入する。ピペット8は支柱5に固定していないが、その先端7を茎部2内に全く自由にさしておくことができ、着色液が吸収された後、回して抜く動作によって簡単に取り外すことができる。約12時間経過後、着色液が吸収され、花3は中心部と縁に沿った部分とで青色の外観を帯びたことを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢植え植物(1)の花(3)を着色する方法であって、
(i)ピペット(8)を準備するステップと、
(ii)前記ピペット(8)の先端(7)の外径に相当する直径を有する穴(6)を、前記花(3)の茎部(2)に作るステップと、
(iii)前記ピペット(8)の先端(7)を前記穴(6)に挿入し、前記茎部(2)に前記ピペット(8)を固定するステップと、
(iv)前記ステップ(i)、(ii)または(iii)のいずれか1つの後に、前記鉢植え植物(1)に対して非毒性の着色液(9)を、前記ピペット(8)内に充填するステップと、
(v)前記着色液(9)が鉢植え植物(1)に吸収された後、前記ピペット(8)を取り除くステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記穴を作るステップ(ii)を、前記鉢植え植物に水を与えた後に実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取り除くステップ(v)を、前記着色液が充填されたピペットの先端を前記穴に挿入してから少なくとも8時間の期間の経過後に実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記期間が約12時間であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記着色液(9)が有機染料を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機染料がトリフェニルメタン染料を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トリフェニルメタン染料が青色染料である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記鉢植え植物(1)が、コチョウラン、アンスリウムおよびスパティフィラムを含む植物属の群から選択される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの花(3)を有する鉢植え植物(1)であって、前記花(3)が、前記花(3)の茎部(2)を介して着色液(9)が導入されて着色されている鉢植え植物。
【請求項10】
前記鉢植え植物(1)が、コチョウラン、アンスリウムおよびスパティフィラムを含む植物属の群から選択される請求項9に記載の鉢植え植物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−97935(P2011−97935A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−229498(P2010−229498)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(510271093)ロジコ・ベスローテン・フェンノートシャップ (1)
【出願人】(510271107)アール・シー・ジー・デ・コーニング・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ (1)
【Fターム(参考)】