説明

鋳型の型落ち検出装置

【目的】 鋳型造型機から連続的に送り出されて来る鋳枠付き鋳型の型落ちの有無を検出する装置であって、光学的センサを用いることなく、任意の位置の鋳型落ちを確実かつ容易に検出できるようにする。
【構成】 鋳型表面の高さを測定する測長センサ14と、測長センサ14を昇降させる昇降手段12と、昇降手段12等を前後方向へ移動させる前後移動手段8と、前後移動手段8、昇降手段12等を左右方向へ移動させる左右移動手段4と、鋳型表面の所定位置の所定レベルを記憶するレベルデータ記憶手段15と、レベルデータ記憶手段15のレベルデータと、測長センサ14の測定結果とを比較して型落ちの有無を判別する型落ち判別手段16と、を具備する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、鋳型造型機から連続的に送り出されて来る鋳枠付き鋳型における型落ちの有無を検出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳型造型機から連続的に送りだされて来る鋳枠付き鋳型の欠陥部分すなわち型落ちの検出は、中子を鋳型にセットする場所で、作業者が目視により行なっていたが、特に鋳型の流れの速い鋳型造型ラインの場合には、20〜30秒に1回の割合で、型落ちの検出を行なわなければならず、作業者にとって大きな負担となるうえに、確実に検出することができなかった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
そのため、従来は、鋳型表面をいわゆる画像処理による方法を用いて鋳型落ちの検出を行なうことも試みられているが、この方法では、鋳型が黒色であるために所要の製品用キャビティ部と型落ち部とを判別することが難しく、加えて、鋳物工場内には大量の埃や蒸気等が浮遊しているため、その光学式センサの使用は適さないなどの問題があった。
本考案は上記の事情に鑑みてなされたもので、画像処理法よることなく、任意の位置の鋳型落ちを確実かつ容易に検出することができる装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本考案における鋳型の型落ち検出装置は、鋳型造型機から連続的に送り出されて来る鋳枠付き鋳型の型落ちの有無を検出する装置であって、鋳型表面の高さを検出する測長センサと、この測長センサを昇降させる昇降手段と、この昇降手段および前記測長センサを前後方向へ移動させる前後移動手段と、この前後移動手段、前記昇降手段および前記測長センサを左右方向へ移動させる左右移動手段と、前記鋳型表面の所定位置の所定レベルデータを記憶するレベルデータ記憶手段と、このレベルデータ記憶手段からのレベルデータと、前記測長センサの測定結果とを比較して型落ちの有無を判別する型落ち判別手段と、を具備したことを特徴とする。
【0005】
【作用】
このように構成した装置は、鋳型造型機から鋳枠付き鋳型が送り出されてくると、前後移動手段および左右移動手段をもって測長センサが型落ちを検出すべき位置に移動され、続いて、測長センサは昇降手段をもって所定高さまで下降される。次いで、測長センサにより鋳型表面の高さが測定され、この測定結果が型落ち判別手段に送信されるとともに、レベルデータ記憶手段から所定のレベルデータが読み出され、測長センサの測定結果とレベルデータ記憶手段からのレベルデータとが比較されて型落ちの有無が判別されることとなる。
【0006】
【実施例】
本考案の一実施例について概略斜視図である図1に基づき詳細に説明する。図示するように、図示しない鋳型造型機から送り出された鋳枠1付き鋳型2の直上方位置に配設した門型フレーム3には、左右移動手段4が装着してあり、左右移動手段4においては、門型フレーム3上に敷設したレール5上に走行台6が走行可能に装架してあり、走行台6には、門型フレーム3に装着した第1サーボモータ式シリンダ7のピストンロッドの先端が連結してあって、第1サーボモータ式シリンダ7の伸縮作動により、走行台6は門型フレーム3の長手方向へ往復移動するようになっている。
【0007】
また、前記左右移動手段4の走行台6上には前後移動手段8が装着してあり、前後移動手段8においては、走行台6の移動方向と直交する方向へ延ばして走行台6に装着したリニアガイド機構9に、走行フレーム10が、走行可能に装着してあり、走行フレーム10には第2サーボモータ式シリンダ11のピストンロッドの先端が連結してあって、第2サーボモータ式シリンダ11の伸縮作動により、走行フレーム10は前記走行台6の走行方向と直交する方向へ往復移動するようになっている。
【0008】
また、前記走行フレーム10には昇降手段12としての第3サーボモータ式シリンダ13が装着してあり、第3サーボモータ式シリンダ13のピストンロッドの下端には測長センサとしてのレーザ測長器14が装着してある。また、レーザ測長器14には、前記鋳型2の表面の所定位置の所定レベルデータを記憶するレベルデータ記憶手段15と、このレベルデータ記憶手段15のレベルデータと、前記レーザ測長器14からの検出結果とを比較して型落ちの有無を判別する型落ち判定手段16とを含む型落ち検出器17が電気的に接続してある。また、前記第1〜第3サーボモータ式シリンダ7、11、13のサーボモータ7a、11a、13aには制御盤18が電気的に接続してあり、この制御盤18は前記型落ち検出器17に電気的に接続されている。
【0009】
このように構成した装置は、制御盤18を介して稼動を始めると、左右移動手段4および前後移動手段8の第1・第2サーボモータ式シリンダ7、11が適宜伸縮作動されて、昇降手段12の第3サーボモータ式シリンダ13およびレーザ測長器14が、図示しない鋳型造型機から送り出された鋳枠1付き鋳型2における型落ちを検出すべき位置の直上方に移動され、続いて、第3サーボモータ式シリンダ13が伸長作動されてレーザ測長器14が所定高さまで下降される。次いで、レーザ測長器14測長器により鋳型2表面の高さが測定され、この測定結果が型落ち検出器17の型落ち判定手段16に送り込まれるとともに、型落ち検出判定器17のレベルデータ記憶手段15から所定のレベルデータが読み出され、続いて、レーザ測長器14からの測定結果とレベルデータ記憶手段15からのレベルデータとが比較される。そして、それらの間に差異が生じた場合には型落ちが起きたことになる。
【0010】
【考案の効果】
以上の説明から明らかなように本考案は、鋳型表面の高さを測定する測長センサと、この測長センサを昇降させる昇降手段と、この昇降手段を前後方向へ移動させる前後移動手段と、この前後移動手段および前記昇降手段を左右方向へ移動させる左右移動手段と、前記鋳型表面の所定位置の所定レベルデータを記憶するレベルデータ記憶手段と、このレベルデータ記憶手段のレベルデータと、前記測長センサの測定結果とを比較して型落ちの有無を判別する型落ち判別手段と、を具備したから、鋳型造型機から送り出された鋳枠付き鋳型における型落ちを検出すべき位置の直上方に、測長センサが、前後移動手段および左右移動手段をもって移動された後、昇降手段をもって所定高さまで下降され、その後、この測長センサにより鋳型表面の高さが測定され、この測定結果が型落ち判定手段に送信されるとともに、レベルデータ記憶手段からのレベルデータとが比較される。この結果、光学式センサを用いることなく、鋳型の任意の位置における型落ちの有無を確実かつ容易に判別することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
4 左右移動手段
8 前後移動手段
12 昇降手段
14 測長センサ
15 レベルデータ記憶手段
16 型落ち判別手段

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 鋳型造型機から連続的に送り出されて来る鋳枠付き鋳型の型落ちの有無を検出する装置であって、鋳型表面の高さを測定する測長センサ14と、この測長センサ14を昇降させる昇降手段12と、この昇降手段12および前記測長センサ14を前後方向へ移動させる前後移動手段8と、この前後移動手段8、前記昇降手段12および前記測長センサ14を左右方向へ移動させる左右移動手段4と、前記鋳型表面の所定位置の所定レベルデータを記憶するレベルデータ記憶手段15と、このレベルデータ記憶手段15からのレベルデータと、前記測長センサ14の測定結果とを比較して型落ちの有無を判別する型落ち判別手段16と、を具備したことを特徴とする鋳型の型落ち検出装置。

【図1】
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【公開番号】実開平7−21237
【公開日】平成7年(1995)4月18日
【考案の名称】鋳型の型落ち検出装置
【国際特許分類】
【出願番号】実願平5−52887
【出願日】平成5年(1993)9月3日
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)