説明

鋼板搬送システムおよび製造方法

【課題】加速時の張力変動を抑制しつつ後工程の第二の設備側における操業の安定化を達成する。
【解決手段】中央設備10のライン速度VCENより移動側ルーパー42の最大移動量Lを制御部50においてオンラインにて算出し、移動側ルーパー42の位置、つまりルーパー装置40におけるワーク100の貯留量に応じ、速度指令の速度上昇特性のモードを自動的に切り換える。そして、貯留量が少ない場合には出側設備20におけるワーク100の送り速度を緩やかに加速させることでワーク100の張力変動を抑制する。また、貯留量が多い場合には、出側設備20におけるワーク100の送り速度を急峻に加速させることで、ルーパー装置40におけるワーク100の貯留量が過多となるのを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯等の帯状のワークを連続的に処理するプロセスラインにおいて、被加工物(以下ワークという)を連続的に供給する第一の設備と、第一の設備の出口側に設けられた第二の設備との間に、ワークを一時的に貯留するルーパー装置を備えた鋼板搬送システムおよび帯状のワークの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼帯等のワークを連続的に処理するプロセスラインにおいて、例えば、連続焼鈍設備等の処理設備では、連続処理をするために鋼帯を接続する際、或いは調質圧延機のロールを組替える際などに、処理ラインを一時停止しなければならない。この一時停止に伴って処理設備中にワークが滞留することになれば、連続的に鋼帯を処理することができず、生産効率の低下や材質劣化等を招く。この場合に備えて、第一の設備と、第一の設備の後工程側に設けられた第二の設備との間にルーパー装置を備えてワークを予め貯留し、前記一時停止中に、第一の設備または第二の設備でのワークの滞留や不足が起きないように、即ち、ワークの連続走行が可能となるようルーパー装置に貯留しているワークを放出するようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中央セクション以降に2台のルーパー装置(中間ルーパー、出側ルーパー)を備え、ルーパー装置の速度制御に工夫を加えることで、調質圧延機が設置されているセクションで速度停止が生じる機会を極力少なくし、調質圧延機停止時の疵発生を回避する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、電動機の実速度の追従性を向上させることを目的として、速度設定部にS字カーブ特性を実装する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−119495号公報
【特許文献2】特開2007−330079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなルーパー装置を備えたプロセスラインにおいては、必要が生じたときに、ルーパー装置に貯留したワークを放出する。ルーパー装置でワークを放出し始めるための加速開始時は、ワークに張力変動が特に発生しやすい。鋼板品質を保証する上で重要な設備(調質圧延機やトリマーなど)が後工程の第二の設備として存在する場合、第二の設備にてワークの張力変動が大きくなると、重大な品質・操業トラブルが発生する可能性が高くなる。
【0007】
これを解決する方法の一つに、加速時の速度指令を緩やかに変化させる、つまり加速レートが最大に至るまでの時間を長く設定することが挙げられる。しかし加速時間を長く設定し過ぎてしまうと、操業上のハンドリング時間が増大し、ルーパー装置からのワークの放出量が不足するとともに、貯留量が過多となってしまう。
よって、加速時の張力変動を抑制しつつ後工程の第二の設備側における操業の安定化を達成するためには、速度指令の変化を緩やかにするのに加え、ハンドリング時間を十分考慮する必要がある。
【0008】
この点において、特許文献1に記載の技術においては、中央セクション以降に2台のルーパー装置を設置することが絶対条件となり、ルーパー装置が1台のみの構成には適用できない。また調質圧延機が設置されているセクションの停止を完全に無くすことは不可であり、ワークが停止した状態から加速するときの張力変動抑制を確実に施す必要がある。
【0009】
一方、特許文献2に記載の技術においては、S字カーブ特性を任意に変更することまで踏み込んでおらず、上記の問題をなんら解決することはできない。
そこでなされた本発明の目的は、加速時の張力変動を抑制しつつ後工程の第二の設備側における操業の安定化を達成することのできる鋼板搬送システムおよび製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、帯状に連続するワークを送り出す第一の設備と、第一の設備から送り出されるワークを受け入れるとともに、受け入れたワークの走行経路長が可変とされた貯留部と、貯留部から送り出されたワークに所定の加工処理を施す第二の設備と、第二の設備におけるワークの送り速度を制御する制御部と、を備え、制御部は、貯留部に貯留されたワークの量に応じて、第二の設備における送り速度の制御パターンを変更することを特徴とする。また本発明は、第一の設備と第二の設備との間でワークの走行経路長を伸縮させることにより前記第一、第二の設備の間でワークの貯留量を変更する製造方法において、前記ワークの走行経路長の長さに応じて前記第二の設備におけるワークの送り速度の制御パターンを変更することを特徴とする。
【0011】
制御部は、貯留部に貯留されたワークの量が大きいほど、第二の設備におけるワークの送り速度の上昇あるいは下降度合いが急峻となる制御を行うことができる。このようにして、貯留部におけるワークの貯留量が少ない場合には、ワークの送り速度を緩やかに加速あるいは減速させることで加速時の張力変動を抑制することができる。また、ワークの貯留量が多い場合には、ワークの送り速度を急峻に加速あるいは減速させることで、貯留部からのワークの放出を速やかに行い、ワークの貯留量の過多を招くような事態を回避する。
また、送り速度の制御パターンは、送り速度が0の状態から2次曲線的に送り速度を上昇あるいは下降させていく非線形区間と、非線形区間の後、送り速度を一定の加速度で上昇あるいは下降させていく線形区間と、を備え、制御部は、全体の加速時間中における線形区間の割合を異ならせることによって、送り速度の制御パターンを変更することができる。
さらに、制御部には、予め設定された複数種の送り速度の制御パターンが記憶され、制御部は、複数種の送り速度の制御パターンから一つの制御パターンを選択することができる。ここで、制御部は、送り速度の上昇あるいは下降度合いが急峻な第一の制御パターンと、送り速度の上昇あるいは下降度合いが第一の制御パターンよりも緩やかな第二の制御パターンと、を少なくとも備えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、貯留装置におけるワークの貯留量に応じてワークの送り速度の速度上昇あるいは下降特性を変化させるため、ワークの貯留量が少ない場合には、ワークの送り速度を緩やかに加速させることで加速時の張力変動を抑制することができ、出側操業の安定化を図ることができる。また、ワークの貯留量が多い場合には、ワークの送り速度を急峻に加速あるいは減速させることで、加速あるいは減速を緩やかにしたがために貯留部におけるワークの貯留量の過多を招くような事態を回避する。このようにして、常に、加速時の張力変動を抑制しつつ後工程の第二の設備側における操業の安定化を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態における鋼板の搬送・製造システムの概略構成を示す図である。
【図2】速度上昇特性の複数のモードの例を示す図である。
【図3】移動側ルーパーの移動量を示す図である。
【図4】出側設備(第二の設備)におけるワークの送り速度が中央設備(第一の設備)におけるライン速度を超えるタイミングと、ワークの速度上昇特性が非線形から線形に移行するタイミングとの関係を示す図である。
【図5】速度上昇特性のモードによる移動側ルーパーの位置(移動量)の違いを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明による鋼板搬送システムを実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
図1は、薄板系の鋼帯等の帯状のワークを連続的に処理する連続圧延プロセスライン(搬送システム)の中央設備(第一の設備)10以降の構成を示す図である。
図1に示すように、連続焼鈍機等の中央設備10の後工程側には、調質圧延機20A、トリマー20B等の出側設備(第二の設備)20が設けられており、中央設備10から送り出される帯状のワーク100は、これら出側設備20で所定の処理を施された後、ロール30に巻き取られる。ここで、出側設備20としては、前記したもの以外のものを備えることもできる。
【0015】
中央設備10と出側設備20との間には、中央設備10から送り出された帯状のワーク100を貯留するルーパー装置(貯留部)40が備えられている。
ルーパー装置40は、固定側ルーパー41に対し、移動側ルーパー42が接近・離間するよう設けられている。そして、中央設備10から送り出される帯状のワーク100は、固定側ルーパー41と移動側ルーパー42との間をジグザグ状に通り、出側設備20へと送られている。ルーパー装置40においては、固定側ルーパー41に対し移動側ルーパー42を接近・離間させることによりワーク100の走行経路長を可変とし、ルーパー装置40に貯留するワーク100の量(長さ)を調整できるようになっている。
【0016】
さて、このような連続圧延プロセスラインには、出側設備20におけるワーク100の送り速度を制御する制御部50が備えられている。
以下、制御部50における制御内容について説明する。
制御部50は、ルーパー装置40に貯留されたワーク100の量に応じて、出側設備20におけるワーク100の送り速度を制御する。
より詳しくは、出側設備20がロール替え等の何らかの要因により停止した状態から、ワーク100を流し始めるとき、ルーパー装置40に貯留されたワーク100の量が多いときには、ワーク100の速度の上昇を急峻とするよう、制御する。また、ルーパー装置40に貯留されたワーク100の量が少ないときには、ワークの送り速度を緩やかに加速させるよう制御する。ワーク100の貯留量は、移動側ルーパー42の位置、つまりルーパー装置40に貯留されたワーク100の長さによって把握することができる。
ワーク100の加速度は、貯留されたワーク100の量に応じて、リニアに変化させても良いが、制御の簡素化のために、2段階、3段階といった複数段階に切り替えるのが好ましい。
【0017】
上記のような制御を行うため、制御部50においては、予め、複数種のプロファイルを有する速度上昇特性を設定し、記憶している。図2は、このような速度上昇特性の一例を示すものであり、ワーク100の速度上昇を急峻とするモード(以下、このモードを急峻モードと称する)m1、ワーク100の速度上昇を急峻モードm1に比較してなだらかとしたモード(以下、このモードを緩モードと称する)m2の速度上昇特性の例である。
これらの速度上昇特性においては、停止状態(経過時間t=0)から速度上昇を開始して初期の段階においては、加速レートα(t)を、
α(t)=amin・t (m/s
(ただし、aminは速度上昇特性係数(m/s)、tは経過時間(s))
として、速度を二次曲線的に非線形に上昇させる(経過時間t=0〜t)。それ以降は、一定の加速レート
α(t)=αmax (m/s
で速度を線形に上昇させていく(経過時間t=t〜t)。
【0018】
ここで、出側設備20におけるワーク100の送り速度を決める速度指令の関数VDELは、いかなるようにして設定しても良いが、ここで、例えば、以下のように設定したケースで検討する。ここで、Tsはサンプリング時間(例えば0.05(s))である。
【0019】
【数1】

【0020】
【数2】

【0021】
制御部50では、全体の加速時間(経過時間t=0〜t)におけるワーク100の速度上昇特性が線形となるまでの時間(経過時間t=0〜t)の割合を異ならせることで、速度上昇特性のモードを異ならせて制御を行う。そして、速度上昇特性のモードの切替は、ルーパー装置40の移動側ルーパー42の位置に応じて行う。
【0022】
これにはまず、速度上昇特性のモードを、急峻モードm1と緩モードm2とで切り替えるための移動側ルーパー42の位置(これを閾値ルーパー位置と称する)PMAXを設定する。
なお、通板ワークの重量によって変化する移動側ルーパー42の慣性を考慮するため、閾値ルーパー位置PMAXを可変とすることもできる。つまり、ワーク100の種類によって通板ワークの重量が大きい場合、移動側ルーパー42全体の慣性も大きいことから閾値ルーパー位置PMAXを小さく取ることで貯留量に余裕を持たせ、一方通板ワークの重量が小さい場合、移動側ルーパー42全体の慣性も小さいことから閾値ルーパー位置PMAXを大きく取る。
【0023】
そして、図3に示すように、出側設備20の停止時に緩モードの速度上昇特性でワーク100の送り速度を加速した場合の移動側ルーパー42の最大移動量Lを、中央設備10から送り出されるワークの送り速度であるライン速度VCENを用いて計算する。ここで中央設備10のライン速度VCENは、基本的にほぼ一定であり、速度上昇特性をaminとする。
このとき、出側設備20におけるワーク100の送り速度VDELが中央設備10におけるライン速度VCENを超える時刻をtとしたとき、ワーク100の速度を二時曲線的に非線形に上昇させるのが完了し、速度を線形に上昇させていくのに切り替わる経過時間tとの関係が、図4(a)に示すように、
(A)t<t
である場合と、図4(b)に示すように、
(B)t>t
とで、場合分けを行い、(A)、(B)それぞれの場合で移動側ルーパー42の最大移動量Lを求める必要がある。なお、ルーパーの段数をNとする。図3の例ではN=8である。
【0024】
まず、(A)のt<tのとき、0<t≦tでの移動側ルーパー42の移動量をL、t <tでの移動側ルーパー42の移動量をLとすると、最大移動量Lは、
L=L+L
となる。まず移動量Lを求めると、次式(3)から、式(4)のようになる。
【0025】
【数3】

【0026】
【数4】

【0027】
この式(4)に、t=αmax/aminを代入すると、次式のようになる。
【0028】
【数5】

【0029】
次にt<tでの移動側ルーパー42の移動量Lを求めると、式(6)より式(7)のようになる。
【0030】
【数6】

【0031】
【数7】

【0032】
ここでtを求める。VDEL(t)=VCENのとき、式(2)より、次式のようになる。
【0033】
【数8】

【0034】
したがって、tは、次式のようになる。
【0035】
【数9】

【0036】
よって、t=αmax/aminおよび式(9)を式(7)に代入し整理すると、次式(10)のようになる。
【0037】
【数10】

【0038】
したがって、移動側ルーパー42の最大移動量Lは式(5)、式(10)より、次式(11)のようになる。
【0039】
【数11】

【0040】
一方、(B)のt>tのときは、以下のように移動側ルーパー42の最大移動量Lを求める。
まずtを求める。VDEL(t)=VCENおよび式(1)より、ライン速度VCENは、次式のようになる。
【0041】
【数12】

【0042】
この式(10)を、tについて解くと、次式のようになる。
【0043】
【数13】

【0044】
よって移動側ルーパー42の最大移動量Lは、式(4)においてtをtにして、次式のようになる。
【0045】
【数14】

【0046】
制御部50では、上記のように設定した移動側ルーパー42の最大移動量Lを用い、加速開始時における移動側ルーパー42の位置PDLCが、
DLC≦PMAX−L
のときは速度上昇特性を緩モードm2とさせ、
DLC>PMAX−L
のときは、速度上昇特性を急峻モードm1とするのである。
【0047】
ここで、図5の例においては、ワーク100が経過時間tまたはtから緩モードm2で加速しても移動側ルーパー42の位置PDLCが閾値ルーパー位置PMAXに達しない。すると、ワーク100の送り速度が緩やかに加速するため、加速開始時の中央設備10の出側におけるワーク100の張力変動が小さくなる。ただし、ルーパー装置40におけるワーク100の貯留量が増大しやすい。このように、緩モードm2を選択した場合には、ワーク100の張力変動を抑制させることを優先させる。
【0048】
一方、経過時間tから速度上昇特性を緩モードm2として加速すると、移動側ルーパー42の位置PDLCが閾値ルーパー位置PMAXを超過してしまうため、速度上昇特性を急峻モードm1に切り換える。すると、ワーク100は急な加速となるため、加速開始時において、中央設備10の出側におけるワーク100の張力変動が発生しやすくなるが、ルーパー装置40におけるワーク100の貯留量が過多となることは無い。このように、急峻モードm1を選択した場合には、ルーパー装置40におけるワーク100の貯留量が増大しないことを優先させる。
【0049】
上述したようにして、中央設備10のライン速度VCENより移動側ルーパー42の最大移動量Lを制御部50においてオンラインにて算出し、移動側ルーパー42の位置、つまりルーパー装置40におけるワーク100の貯留量に応じ、速度指令の速度上昇特性のモードを自動的に切り換えることができる。これにより、ルーパー装置40におけるワーク100の貯留量が少ない場合にはワーク100の送り速度を緩やかに加速させることで加速時におけるワーク100の張力変動を抑制することができ、出側設備20における操業の安定化を図ることができる。また、貯留量が多い場合には、ワーク100の送り速度を急峻に加速させることで、ルーパー装置40におけるワーク100の貯留量が過多となるのを防ぐことができる。このようにして、移動側ルーパー42の位置に応じて速度上昇特性を緩モードm2から急峻モードm1に変化させるため、加速を緩やかにしたがためにルーパー装置40におけるワーク100の貯留量の過多を招くような事態を回避することもできる。
【0050】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、速度上昇特性を、急峻モードと緩モードの2種類としたが、これを3種類以上とすることや、速度下降特性を速度上昇特性と同様な複数モードに制御することもできる。また、速度上昇特性のモード切替の閾値となる閾値ルーパー位置PMAXをはじめとする各種の値は、上記した以外の式で設定しても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 中央設備(第一の設備)
20 出側設備(第二の設備)
20A 調質圧延機
20B トリマー
40 ルーパー装置(貯留部)
41 固定側ルーパー
42 移動側ルーパー
50 制御部
100 ワーク



【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に連続するワークを送り出す第一の設備と、
前記第一の設備から送り出される前記ワークを受け入れるとともに、受け入れた前記ワークの走行経路長が可変とされた貯留部と、
前記貯留部から送り出された前記ワークに所定の加工処理を施す第二の設備と、
前記第二の設備における前記ワークの送り速度を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記貯留部に貯留された前記ワークの量に応じて、前記第二の設備における前記送り速度の制御パターンを変更することを特徴とする鋼板搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記貯留部に貯留された前記ワークの量が大きいほど、前記第二の設備における前記ワークの送り速度の上昇あるいは下降度合いが急峻となる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の鋼板搬送システム。
【請求項3】
前記送り速度の制御パターンは、送り速度が0の状態から2次曲線的に前記送り速度を上昇させていく非線形区間と、前記非線形区間の後、前記送り速度を一定の加速度で上昇あるいは下降させていく線形区間と、を備え、
前記制御部は、全体の加速時間中における前記線形区間の割合を異ならせることによって、前記送り速度の前記制御パターンを変更することを特徴とする請求項2の鋼板搬送システム。
【請求項4】
前記制御部には、予め設定された複数種の前記送り速度の制御パターンが記憶され、
前記制御部は、複数種の前記送り速度の制御パターンから一つの前記制御パターンを選択することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼板搬送システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記送り速度の上昇度合いが急峻な第一の制御パターンと、前記送り速度の上昇度合いが前記第一の制御パターンよりも緩やかな第二の制御パターンと、を少なくとも備えることを特徴とする請求項4に記載の鋼板搬送システム。
【請求項6】
帯状に連続するワークを送り出す第一の設備とこの第一の設備から送り出される前記ワークを受け入れる第二の設備との間で、前記ワークの走行経路長を伸縮させることにより前記第一、第二の設備の間でワークの貯留量を変更する製造方法において、前記ワークの走行経路長の長さに応じて前記第二の設備におけるワークの送り速度の制御パターンを変更することを特徴とする製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−245501(P2011−245501A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119427(P2010−119427)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】