説明

鋼板製の陳列棚

【課題】 棚段に配した鋼板製陳列棚の手前側となる辺を極薄くし、しかも、対荷重強度を従来品と比べて遜色のないものとしようとするものである。
【解決課題】 陳列棚の手前側となる鋼板の辺の所定の巾を、所定の隙間を保持して折り返して折り返し片となし、該折り返し片との間に出来た該隙間に水平板の中間に該水平板の両側辺に沿って凹部を形成した鋼板製リブの一方側の水平板を嵌入して一体にスポット熔接を施す。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、鋼板製の陳列棚に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼板製の陳列棚は、対荷重強度を確保するため、陳列棚を形成する鋼板の対応側辺を所望の巾に同じ方向或いは反対の方向に折り曲げて、その折り曲げ巾の面を壁板、或いは前垂板或いは後垂板として形成し、この所望巾の折り曲げ面を鋼板の対応側辺に作ることが鋼板の対荷重強度を増す構造となるとし、この前提の下に陳列棚の裏面となる鋼板面に、両側を水平板とし中間に水平板の側辺方向に沿った凹部を形成した鋼板製リブ板の水平板面を当接してスポット熔接を施すと言う構成から成っていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上記の構成とした従来型の陳列棚を折り曲げ面が前垂面として、棚段手前側に位置する構成としたときは、これを棚段に配段して、それぞれの陳列棚に商品を並べた場合、陳列棚の前垂板の面の巾が必然的に厚くなる。ところで陳列棚の前垂板の面の巾が厚いと、その厚みが陳列棚に載せられた商品を観察するのに目障りとなり、前垂板が厚いのと薄いのとでは、その巾が薄ければ薄いほど商品自体の価値をひきたたせることがわかった。
【0004】
また、陳列棚の前垂板の面の巾を薄くすることによって、棚段に配段した陳列棚と陳列棚との手前側に間にゆとりができるのは当然で、そのゆとりによって、それだけ多くの商品を陳列できたり、或いは反対に配段する数を増すこともできると言う利点がある。
【0005】
本考案は、これらの点に着目し、従来の鋼板製の陳列棚を改良して、陳列棚の対荷重強度を減殺することなく棚段に配段された陳列棚の手前側に位置する垂下板の面を極力薄くしようとする考え方を基本として試験研究を重ねてその結果開発できたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は、鋼板の側辺を折り曲げ、裏面に鋼板製リブ板をスポット熔接して構成する鋼板製の陳列棚において、陳列棚の手前側となる鋼板の辺に所定の巾を、所定の隙間を保持して折り返して折り返し片を形成し、該折り返し片との間に出来た該隙間に水平板の中間に該水平板の両側辺に平行な凹部を形成した鋼板製リブの一方側の水平板を嵌入して一体にスポット熔接を施し、手前側を極薄の側辺とする鋼板製の陳列棚として構成した。
【0007】
【作用】
本考案にかかる陳列棚は、上記の如く構成されているので、陳列棚を棚段に配段したとき陳列棚の手前側の対荷重強度を従来の構造の陳列棚と遜色のない陳列棚とすることができる。
【0008】
【実施例】
本考案の構造について以下図示実施例によって説明する。
一定の巾、一定の長さを有する鋼板を陳列棚の奥行きとなる側は従来例どうりに長手方向に沿って所望の巾の後立板或いは後垂板として折り曲げる。また、奥行きに向かった両側辺は従来例にならって必要に応じて折り曲げ、或いは折り返すことができる。
【0009】
上記のように加工した鋼板の陳列棚となる裏面に、従来例にならって、水平板の両側辺に沿った凹部を中間に形成した鋼板製リブ部材の水平板を当接してスポット熔接を施す。
【0010】
本考案は、考案が解決しようとする課題の項で説明した如く、棚段に配段した陳列棚の対荷重強度を従来の陳列棚と比較して減殺することなく手前側をできるだけ薄く構成しようとするものであるので、その課題を解決するための手段として図1に示すように上記鋼板1を、奥行きとなる側は従来通りに構成し、棚段に配段した陳列棚の手前となる側の辺を所望の隙間2を保って所望巾の折り返し片3とする。
【0011】
従って、上記鋼板1の折り返し片3の側の鋼板面には、上記したように構成した鋼板製リブ部材4を従来例に従ってスポット熔接をするのでなく、前記リブ部材4の一方側の水平板5を、鋼板1を折り返して形成した隙間にきっちりと嵌入してスポット熔接を施す。
【0012】
上記のように構成することによって、鋼板1の折り返し側は、鋼板の一定巾を折り返すことによって形成される鋼板1の折り曲げ部と、折り返されて形成された折り返し片3の折り曲げ部が一連の折り曲げ面となって対荷重強度を相乗的に増する。しかも、鋼板1の折り返し辺3側は鋼板1面とその折り返し片3との隙間2に前記リブ部材4の水平板5を嵌入してこれを一体にスポット熔接を施しているので、鋼板の折り返し側は三重構造となり対荷重強度を増加する構造となる。
【0013】
更に、鋼板1の折り返しは、図2に示すように陳列棚の手前となる側の片に沿って突起脈状リブ6を鍛圧形成し、突起脈状リブ6の外側裾を上記したように鋼板1の裏面と隙間2をあけて折り返し片3とし、その隙間2に上記したようにリブ部材4の水平板5を嵌入してこれを一体にスポット熔接することによりその対荷重性を一層強くすることができる。
【0014】
前記リブ部材4の所望個所に柵の取付足を挿入する切欠き穴4Aを設けることにより、別に造った柵7を図3、図4に示すように柵の足8を差し込んで着脱自在とすることができる。
【0015】
【考案の効果】
上記のように構成した陳列棚は強度的にも従来型の陳列棚と遜色なく、この陳列棚を棚段に複数段にわたって配段したときは、棚段に配段した陳列棚のそれぞれは手前側の厚みは当然極薄となる。従って、従来型の陳列棚の面に陳列された商品は、陳列棚の前垂板が商品購入者にとって目障りとなり商品そのものの価値を素直に商品購入者に訴えるのに支障を来していたと言う不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の陳列棚の要部を示す断面図である。
【図2】本考案の陳列棚の他の実施例の要部を示す断面図である。
【図3】本考案の陳列棚の手前側に棚を取付けた状態を示す断面図である。
【図4】本考案の陳列棚の要部を示す一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 隙間
3 折り返し片
4 リブ部材
5 水平板
6 突起脈状リブ
7 柵
8 柵の足

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 鋼板の側辺を折り曲げ、裏面に鋼板製リブ板をスポット熔接して構成する鋼板製の陳列棚において、陳列棚の手前側となる鋼板の辺に所定の巾を、所定の隙間を保持して折り返して折り返し片を形成し、該折り返し片との間に出来た該隙間に水平板の中間に該水平板の両側辺に平行な凹部を形成した鋼板製リブの一方側の水平板を嵌入して一体にスポット熔接を施し、手前側を極薄の側辺としたことを特徴とする鋼板製の陳列棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3033692号
【登録日】平成8年(1996)11月6日
【発行日】平成9年(1997)1月28日
【考案の名称】鋼板製の陳列棚
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−7817
【出願日】平成8年(1996)7月18日
【出願人】(596112044)トーメックス株式会社 (1)