説明

錠前装置およびその装置を使った保管システム

【課題】ゴルフ場のバッグ管理場所のラックを使用したゴルフバッグ保管において、ラックに対するゴルフバッグの出し入れ等の作業を効率良く行えるようにし、人件費の削減と省力化を図ることができる錠前装置およびその装置を使った保管システムを提供する。
【解決手段】預かり品QをラックRに載せて保管する錠前装置であって、該装置本体1は、キー孔K1付きの錠前2と、キーK引き抜き用のセットバーSと、錠前2施錠用のロックバーLと、錠前2に挿入したキーKの回転操作によって前記ロックバーLの施錠および解錠を行うラッチ錠3と、前記両バーを挿入するバー挿入口4aを備えた錠ケース4と、前記ロックバーLに設けた預かり品Q固定用の固定具5とを備えて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ゴルフ場におけるゴルフバッグの保管に使用される錠前装置およびその装置を使った保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフ場におけるゴルフバックの出し入れのためのラックを使用した一般的な保管作業は次のようにして行われている。
すなわち、客は、早朝時間帯にゴルフ場に着くと、先ずゴルフバッグをゴルフ場の関係者であるバッグ管理人に預ける。
この管理人はバッグ管理場所に設置されているラック上にゴルフバッグを載置する。
担当するキャディは客の名前を確認した上、ラック上にある当該名前に該当した名札付きのゴルフバッグをカートに移し替える。
そして、ゴルフバッグは自動または手動カートによってゴルフプレー場に搬送され、客はゴルフプレーを行う。
【0003】
ゴルフプレーの終了後には、キャディは客にゴルフバッグ内のゴルフクラブの本数および自己のものであることを確認させた後、客にナンバープレートを渡す。
キャディは客に渡したナンバープレートと同じナンバーのナンバープレートをゴルフバッグに結着して、バッグ管理場所に設置されているラック上に載置する。
そして、客は他の用事(例えば、着替えとかプレイ費の清算)を足す。
【0004】
ゴルフ場から帰る際には、客は預かったナンバープレートをバッグ管理人に渡す。
バッグ管理人は、受け取ったナンバープレートと同じナンバーのナンバープレートが結着されているゴルフバッグをラック上から取り出し客に返却する。
このとき、バッグに結着されているナンバープレートはゴルフバッグから外されバッグ管理人が保管する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ゴルフ場におけるラックを使用した一般的な保管作業において、従来のようなナンバープレートの受け渡しによるゴルフバッグの出し入れ作業は、非常に面倒な手作業が伴い、且つ作業に多くの時間を要してしまうものである。しかも、これによってゴルフ場での人件費も嵩むことから、プレイ費アップの要因ともなるという問題点を有している。
【0007】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、例えば、ゴルフ場のバッグ管理場所に設置されているラックを使用したゴルフバッグ保管において、当該ラックに対するゴルフバッグの出し入れ等の作業を効率良く行えるようにし、人件費の削減および省力化を図ることができる錠前装置およびその装置を使った保管システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、預かり品QをラックRに載せて保管する錠前装置であって、該装置本体1は、キー孔K1付きの錠前2と、キーK引き抜き用のセットバーSと、錠前2施錠用のロックバーLと、錠前2に挿入されたキーKの回転操作によって前記ロックバーLの施錠および解錠を行うラッチ錠3と、前記両バーS、Lが挿入されるバー挿入口4aを備えた錠ケース4と、前記ロックバーLに設けられた預かり品Q固定用の固定具5とを備えて成ることを特徴とする。
【0009】
固定具5は、固定されたチェーン取付板5aと、チェーン取付板5aに一端が連結され、他端が前記ロックバーLに連結されて成るチェーン5bとによって構成され、当該チェーン5bを預かり品Qに掛けるようにしてロックバーLを錠前2のバー挿入口4aに挿入されるよう形成されている。
【0010】
ラッチ錠3は、挿入されているキーKの回動操作に伴って揺動可能としたカム6と、バネ7によって施錠方向に突出付勢され、前記カム6に突設された操作突起6aを係合させる切欠部8aを有し、操作突起6aを介して施錠方向または解錠方向にスライド可能としたラッチ8と、該ラッチ8を覆うように取り付けられ、当該ラッチ8のスライドをガイドさせる押さえ板9と、該押さえ板9に被せられた可撓性を有する押圧規制板10と、前記カム6の切欠部8a内に係合される係止突起11a、およびラッチ8を施錠方向に突出させる開口部11bそれぞれを有し、前記押圧規制板10によって当該係止突起11aを切欠部8a内側に押圧付勢させて成るカムストッパー11とを備えて成るものである。
【0011】
前記セットバーSは、施錠位置にあるラッチ8に干渉されずにカムストッパー11のみを押圧するよう先端中央に形成されたラッチ8通過用の逃げ溝S1を介して両端にカムストッパー11押圧用の押圧突起S2が形成されて成り、セットバーSのバー挿入口4aへの挿入によって、押圧規制板10による押圧付勢力に抗してカムストッパー11がセットバーSによって押圧され、当該カムストッパー11の係止突起11aを切欠部8a内から解除させることでラッチ8が前記バネ7によって施錠方向に付勢移動されて錠前2のキー孔K1からのキーKの引き抜きを許容するよう成されている。
【0012】
前記ロックバーLは、施錠位置にあるラッチ8と共にカムストッパー11を押圧するよう先端中央にロック孔L1が形成されて成り、錠前2のキー孔K1からキーKを引き抜いた後に、ロックバーLのバー挿入口4aへの挿入によって、ロックバーLの先端でラッチ8をいったん解錠方向に退避移動させ、再びラッチ8が前記バネ7によって施錠方向に付勢移動されてロック孔L1に係合されることでバー挿入口4aからのロックバーLの引き抜きを阻止するよう形成されている。
【0013】
前記錠前2のキーKは、バー挿入口4aへ挿入されているロックバーLの引き抜きが阻止されている状態において、当該ロックバーLは押圧規制板10による押圧付勢力に抗してカムストッパー11を押圧し、カムストッパー11の係止突起11aが切欠部8a内から解除された位置で、当該キーKを錠前2のキー孔K1に差し込んでカム6を回動させることにより、バネ7に抗してラッチ8を解錠方向にスライド退避させ、カムストッパー11の押圧規制板10による押圧付勢力によってロックバーLを飛出させて解錠させるよう形成されている。
【0014】
前記錠前装置を使って預かり品Qとしてのゴルフバッグの保管を可能とした保管システムとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、ゴルフ場のバッグ管理場所に設置されているラックを使用したゴルフバッグ保管において、当該ラックに対するゴルフバッグの出し入れ等の作業を効率良く行えるようにし、人件費の削減および省力化を図ることができる。
【0016】
すなわち、預かり品をラックに載せて保管する錠前装置であって、該装置本体は、キー孔付きの錠前と、キー引き抜き用のセットバーと、錠前施錠用のロックバーと、錠前に挿入されたキーの回転操作によって前記ロックバーの施錠および解錠を行うラッチ錠と、前記両バーが挿入されるバー挿入口を備えた錠ケースと、前記ロックバーに設けられた預かり品固定用の固定具とを備えて成るので、ラックに対する預かり品(例えばゴルフバッグ等)の出し入れ作業が効率良く行えるものとなり、人件費の削減および省力化を図ることができる。
【0017】
固定具は、固定されたチェーン取付板と、チェーン取付板に一端が連結され、他端が前記ロックバーに連結されて成るチェーンよって構成され、当該チェーンを預かり品に掛けるようにしてロックバーを錠前のバー挿入口に挿入されるので、ラックに対する預かり品(例えばゴルフバッグ等)の出し入れ作業がチェーンの掛け外しによって効率良く行える。
【0018】
ラッチ錠は、挿入されているキーの回動操作に伴って揺動可能としたカムと、バネによって施錠方向に突出付勢され、前記カムに突設された操作突起を係合させる切欠部を有し、操作突起を介して施錠方向または解錠方向にスライド可能としたラッチと、該ラッチを覆うように取り付けられ、当該ラッチのスライドをガイドさせる押さえ板と、該押さえ板に被せられた可撓性を有する押圧規制板と、前記カムの切欠部内に係合される係止突起およびラッチを施錠方向に突出させる開口部それぞれを有し、前記押圧規制板によって当該係止突起を切欠部内側に押圧付勢させて成るカムストッパーとを備えて成るので、預かり品をラックに載せて保管しておくための錠前装置を、僅かな部品を使って簡易に且つ低コストに作製することができる。
【0019】
前記セットバーは、施錠位置にあるラッチに干渉されずにカムストッパーのみを押圧するよう先端中央に形成されたラッチ通過用の逃げ溝を介して両端にカムストッパー押圧用の押圧突起が形成されて成り、セットバーのバー挿入口への挿入によって、押圧規制板による押圧付勢力に抗してカムストッパーがセットバーによって押圧され、当該カムストッパーの係止突起を切欠部内から解除させることでラッチが前記バネによって施錠方向に付勢移動されて錠前のキー孔からのキーの引き抜きを許容するよう形成したので、錠前のキー孔に挿入されて引き抜き阻止状態にあるキーを引き抜き許容位置(左回転方向)まで容易に回転させることができ、キーの抜き取り作業が効率化される。
【0020】
前記ロックバーは、施錠位置にあるラッチと共にカムストッパーを押圧するよう先端中央にロック孔が形成されて成り、錠前のキー孔からキーを引き抜いた後に、ロックバーのバー挿入口への挿入によって、ロックバーの先端でラッチをいったん解錠方向に退避移動させ、再びラッチが前記バネによって施錠方向に付勢移動されてロック孔に係合されることでバー挿入口からのロックバーの引き抜きを阻止するよう形成したので、ラックに対する預かり品(例えばゴルフバッグ等)のチェーンによる固定作業が効率良く行える。
【0021】
前記錠前のキーは、バー挿入口へ挿入されているロックバーの引き抜きが阻止されている状態において、当該ロックバーは押圧規制板による押圧付勢力に抗してカムストッパーを押圧し、カムストッパーの係止突起が切欠部内から解除された位置で、当該キー錠前2のキー孔に差し込んでカムを回動させることにより、バネに抗してラッチを解錠方向にスライド退避させ、カムストッパーの押圧規制板による押圧付勢力によってロックバーを飛出させて解錠させるよう形成したので、ラックに対する預かり品(例えばゴルフバッグ等)のチェーンによる取り外し作業が効率良く行える。
【0022】
前記錠前装置を使って預かり品としてのゴルフバッグの保管を可能とした保管システムとしたので、ラックに対するゴルフバッグの出し入れの作業が効率良く行えるものとなり、人件費の削減および省力化を図ることができるゴルフバッグ保管システムを容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施するための一形態を示すラックの斜視図である。
【図2】錠前装置の装置本体の分解斜視図である。
【図3】同じく錠ケースを外した状態の側面図である。
【図4】同じく底面図である。
【図5】同じく錠前装置の正面図である。
【図6】同じく図5のX−X断面図である。
【図7】同じく錠前装置の装置本体と固定具との構成使用例を示す説明図である。
【図8】図中(a)はセットバーの側面図、(b)はロックバーの側面図、(c)は錠前のキー孔にキーを差し込む状態の側面図である。
【図9】同じく錠前装置の装置本体の動作を説明するもので、(a)は解錠位置にある状態の説明図、(b)は解錠後キー引き抜き不可位置にある状態の説明図、(c)は施錠後キー引き抜き位置にある状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を詳細に説明すると、本発明に係る錠前装置は、預かり品Qとしてのゴルフバッグの出し入れを可能としたゴルフ場のバッグ管理場所における保管システムに使用される。
【0025】
すなわち、図1に示すように、例えば4人のゴルフプレイ客の各ゴルフバッグを個別に収容載置するための4連棚型のラックRがゴルフ場のバッグ管理場所に設置され、このラックRの各棚の天板上に各ゴルフバッグを固定するための本発明に係る錠前装置を構成する装置本体1が設けられている(図示例では4個)。
【0026】
装置本体1は、ラックRの各棚における天板上の片側にL字片状の取付金具4bによって取り付けられ、天板上の他側には預かり品Qとしてのゴルフバッグを固定するための固定具5が取り付けられている(図6および図7参照)。
尚、この装置本体1の取付部位は上記した天板に限られるものではない。例えば、ラックRの各棚における仕切板側面に取り付けることもできる。
【0027】
そして、装置本体1は、図2、図6、図8(c)に示すように、矩形筐体状の錠ケース4の中央面側に形成された開口部4cに、中央にキー孔K1を有する内筒と、内筒を回転可能に保持する外筒とから成るシリンダー錠等の錠前2が当該キー孔K1を前面に露出させた状態で取り付けられており、錠ケース4の前面側サイドには、後述するキーK引き抜き用のセットバーSおよび錠前2施錠用のロックバーLを挿入させるための縦向きスリット状のバー挿入口4aを備えている。
【0028】
一方、固定具5は、図7に示すように、L字片状のチェーン取付板5aの一端片側が、他方の仕切側面にネジ止め固定され、該チェーン取付板5aの他端片側にブラインドリベットVを介して、可撓性を有する保護用のスパイラルチューブ5cに挿入されたチェーン5bの一端が連結されている。そして、チェーン5bの他端側には、これまたブラインドリベットVを介してロックバーLが連結されている。
尚、チェーン5bの替わりにベルトや紐等であっても良い。
【0029】
錠ケース4の内側において、図2、図6および図7に示すように、錠前2の後端部側には矩形ケーシング状のベース部12を設け、該ベース部12内には、当該錠前2のキー孔K1に挿入されたキーKの回転操作によって前記ロックバーLの施錠および解錠を行うためのラッチ錠3が設けられている。
【0030】
すなわち、このラッチ錠3は、図2に示すように、ベース部12内において、錠前2の内筒後端面に突設された矩形状の突起に、略楕円形状のカム6の中央に穿設された矩形状の孔が嵌合され、キー孔K1に挿入されているキーKの回動操作に伴って当該カム6が一体となって回動可能となるようにしてある。
また、カム6の後面端部には円柱状の操作突起6aを突設してある。
【0031】
このベース部12の内側には係止用の仕切部を設け、カム6を角度が約45°の規制範囲内で回動されるようにしてあり、図5に示すように、キー孔K1に挿入されたキーKが垂直のキーK引き抜き可能位置(図9(c)参照)から右方向に角度15°まで回転されることで解錠後のキーK引き抜き不可位置(図9(b)参照)とし、さらに角度30°まで回転されることで解錠位置(図9(a)参照)としている。
【0032】
そして、カム6の上側には、矩形板状のプラスチック製のラッチ8が配され、図3に示すように、ラッチ8の一端部には、先端部分が片側に傾斜面部となっている狭幅な側面視略三角形状のラッチ先端部が突設されている。そして、図7に示すように、このラッチ先端部の傾斜面部側が、セットバーSおよびロックバーLを挿入させるバー挿入口4aに対向されている。
【0033】
また、図2、図7、図9に示すように、ラッチ8の片側にはカム6に突設された操作突起6aを係合させるための長溝状の切欠部8aを形成し、この操作突起6aを介してラッチ8を左右方向(施錠方向または解錠方向)にスライド可能となるようにしてある。このラッチ8自体は、図2に示すように、ベース部12の一端側に配したバネ取付用突起部12aに取り付けられている弦巻状のバネ7によって錠ケース4から施錠方向に常時突出付勢されるようにしてある。
【0034】
そして、図2乃至図5に示すように、ベース部12の裏側には肉厚のある押さえ板9がラッチ8を覆うようにして取り付けられている。このときラッチ8の左右スライドをガイドさせるために、当該ラッチ8の平面部端側に突設された突起8bを、押さえ板9の略中央に形成した横長円形状のガイド溝9aに係合させてある。
【0035】
さらに、図2に示すように、押さえ板9の上には可撓性を有する薄型の押圧規制板10が被せられ、前記押さえ板9と共にベース部12にネジ止め固定されている。この押圧規制板10の一端側には、左右対称な溝部10a、10aを介して中央に舌片状となった突出部10bを設けてあり、この突出部10bに、略L字片状のカムストッパー11が取り付けられている。
【0036】
すなわち、このカムストッパー11は、L字一端側における片側に、前記カム6の切欠部8a内に係合される係止突起11aが下方に向って突設されており、またL字他端側における中央には、ラッチ8を施錠方向に突出させるための略四角形状の開口部11bを設けてある。
【0037】
さらに、L字一端側において、前記開口部11bと係止突起11aとが位置する中間に若干の段差部11dを設け、この段差部11dに前記押圧規制板10の突出部10bが挿入される略四角形状の挿入孔11cが形成されており、この突出部10bの挿入孔11c内への挿入によってカムストッパー11の係止突起11aを切欠部8a内側に常時押圧付勢させている。このとき、前記した錠ケース4のバー挿入口4aは、カムストッパー11の段差部11dの近傍に対向するように配置されている。
尚、図2、図6、図9に示す符号11eは、カムストッパー11の開口部11b側をベース部12の側壁に係止させるための湾曲片状の係止部である。
【0038】
装置本体1の使用前においては、錠前2のキー孔K1には番号付きのキーKのみが予め挿入されており、また、バー挿入口4aへはロックバーLが挿入されておらず、チェーン5bは外されてラックRの棚が開放された状態となるようにしてある。このとき、上記したカムストッパー11の係止突起11aはラッチ8の切欠部8a内に係合していて、該切欠部8a内でのカム6の操作突起6aの動きが規制され、キーK自体は引き抜き不可位置である角度15°まで右回転した状態にある。
これによって、キーKの回転およびラッチ8自体のスライドが阻止されている。
【0039】
前記セットバーSは、図8(a)に示すように、施錠位置にあるラッチ8に干渉されずにカムストッパー11のみを押圧するよう先端中央に形成されたラッチ8通過用の逃げ溝S1を介して両端にカムストッパー11押圧用の押圧突起S2が対向状態に形成されて成る。
【0040】
そして、セットバーSを錠前2のバー挿入口4aへ挿入することによって、押圧規制板10による押圧付勢力に抗してカムストッパー11を離間させる方向に押圧し、当該カムストッパー11の係止突起11aを切欠部8a内から解除させることでラッチ8が前記バネ7によって施錠方向に付勢移動されて錠前2のキー孔K1からのキーKの引き抜きを許容するものとしてある(図5、図9(c)参照)。
【0041】
また、前記ロックバーLは、図8(b)に示すように、施錠位置にあるラッチ8と共にカムストッパー11を押圧するよう先端中央にロック孔L1が形成されて成る。
【0042】
そして、錠前2のキー孔K1からキーKを引き抜いた後に、ロックバーLを錠前2のバー挿入口4aへ挿入することによって、ロックバーLの先端でラッチ8先端の傾斜面部を押しながらラッチ8をいったん解錠方向に退避移動させ、再びラッチ8が前記バネ7によって施錠方向に付勢移動されてロック孔L1に係合され、錠前2のバー挿入口4aからのロックバーLの引き抜きを阻止するものとしてある。
【0043】
このとき、ロックバーLの先端で押圧規制板10による押圧付勢力に抗してカムストッパー11を離間させる方向に押圧していることから、カムストッパー11の係止突起11aは切欠部8a内から解放された状態となる(図5、図9(b)参照)。
【0044】
さらに、錠前2のバー挿入口4aへ挿入されているロックバーLの引き抜きが阻止されている状態においては、当該ロックバーLは押圧規制板10による押圧付勢力に抗してカムストッパー11を離間させる方向に押圧され、且つカムストッパー11の係止突起11aは切欠部8a内から解放された位置にあることから、キーKを錠前2のキー孔K1に差し込んでカム6を回動させることにより、バネ7に抗してラッチ8を解錠方向にスライド退避させ、カムストッパー11の押圧規制板10による押圧付勢力によってロックバーLを飛出させて解錠させるものとしてある(図5、図9(a)参照)。
【0045】
次に、以上のように構成された形態についての使用の一例について説明する。
尚、使用前においては、錠前2のキー孔K1には番号付きのキーKのみが予め挿入されており、また、バー挿入口4aへはロックバーLが挿入されておらず、チェーン5bは外されてラックRの棚が開放されている。
【0046】
このとき、キーKの紛失を防ぐため、当該キーK自体は引き抜き不可位置である角度15°まで右回転した状態にある。また、カムストッパー11の係止突起11aはラッチ8の切欠部8a内に係合し、該切欠部8a内でのカム6の操作突起6aの動きを規制しており、これによって、キーKの回転およびラッチ8自体のスライドを阻止している。
【0047】
先ず最初に、セットバーSを錠前2のバー挿入口4aへ差し込むことで、錠前2のキー孔K1に挿入されて引き抜き阻止状態にある番号付きのキーKを引き抜き許容位置である垂直位置まで回転移動させる。
【0048】
すなわち、セットバーSを錠前2のバー挿入口4aへ挿入することによって、可撓性を有する押圧規制板10による押圧付勢力に抗してカムストッパー11を押圧し、当該カムストッパー11の係止突起11aを切欠部8a内から解放させることでラッチ8が前記バネ7によって施錠方向(突出方向)に付勢移動され、キーKは垂直位置まで左回転される。これにより、錠前2のキー孔K1からのキーKの引き抜きが可能となる。このときの作業は客またはゴルフ場関係者のどちらでも良い。そして、錠前2のキー孔K1からキーKを引き抜き、担当のキャディに渡す。
【0049】
ゴルフプレイの終了後、キャディは預かり品Qとしてのゴルフバッグに入っているクラブの本数や自己のものであること等を確認してから、プレー客に番号付きのキーKを渡す。また、キャディは預かり品Qとしてのゴルフバッグを、前記番号付きのキーKと同じキーK番号の付いたラックRへ置き、チェーン5bを掛け錠前2のバー挿入口4aへチェーン5b一端に取り付けられたロックバーLを差し込む。
【0050】
すなわち、ロックバーLを錠前2のバー挿入口4aへ挿入することによって、ロックバーLの先端でラッチ8の傾斜面部を押しながらラッチ8をいったん解錠方向に退避移動させ再びラッチ8が前記バネ7によって施錠方向に付勢移動されてロック孔L1に係合されることで錠前2のバー挿入口4aからのロックバーLの引き抜きが阻止される(図9(c)参照)。
【0051】
このとき、ロックバーLの先端で押圧規制板10による押圧付勢力に抗してカムストッパー11を離間させる方向に押圧していることから、カムストッパー11の係止突起11aは切欠部8a内から解放された状態となっている。
これによって、錠前2は施錠され、預かり品QとしてのゴルフバッグはラックRに固定され保管される。
【0052】
プレー客は、プレイ代金の精算後、預かっている番号付きのキーKを指定の番号の錠前2のキー孔K1に差し込んで、引き抜き不可位置である右15°の角度位置からさらに解錠位置である右30°の角度位置まで手動により回転させる(図5参照)。
【0053】
すなわち、錠前2のバー挿入口4aへ挿入されているロックバーLの引き抜きが阻止されている状態においては、当該ロックバーLは押圧規制板10による押圧付勢力に抗してカムストッパー11をカム6から離間させる方向に押圧しており、カムストッパー11の係止突起11aは切欠部8a内から解放された位置にある(図9(b)参照)。
【0054】
そして、この状態において当該キーKを錠前2のキー孔K1に差し込んでカム6を角度30°まで右回動させることにより、バネ7に抗してラッチ8を解錠方向にスライド退避させ、カムストッパー11の押圧規制板10による押圧付勢力によってロックバーLがバー挿入口4aから飛出して解錠される(図9(a)参照)。これによってチェーン5bが外れて預かり品Qとしてのゴルフバッグの取り出しが可能となる。このとき、番号付きのキーKは再び引き抜き阻止位置で保持される。
尚、本例においては、ラックRへ保管される預かり品Qとしてゴルフバッグを採用しているが、この他、バッグ以外の種々の物品を保管するものであっても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
Q 預かり品
R ラック
K キー
K1 キー孔
L ロックバー
L1 ロック孔
S セットバー
S1 逃げ溝
S2 押圧突起
V ブラインドリベット
1 装置本体
2 錠前
3 ラッチ錠
4 錠ケース
4a バー挿入口
4b 取付金具
4c 開口部
5 固定具
5a チェーン取付板
5b チェーン
5c スパイラルチューブ
6 カム
6a 操作突起
7 バネ
8 ラッチ
8a 切欠部
8b 突起
9 押さえ板
9a ガイド溝
10 押圧規制板
10a 溝部
10b 突出部
11 カムストッパー
11a 係止突起
11b 開口部
11c 挿入孔
11d 段差部
11e 係止部
12 ベース部
12a バネ取付用突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
預かり品をラックに載せて保管する錠前装置であって、該装置本体は、キー孔付きの錠前と、キー引き抜き用のセットバーと、錠前施錠用のロックバーと、錠前に挿入されたキーの回転操作によって前記ロックバーの施錠および解錠を行うラッチ錠と、前記両バーが挿入されるバー挿入口を備えた錠ケースと、前記ロックバーに設けられた預かり品固定用の固定具とを備えて成ることを特徴とする錠前装置。
【請求項2】
固定具は、固定されたチェーン取付板と、チェーン取付板に一端が連結され、他端が前記ロックバーに連結されて成るチェーンとによって構成され、当該チェーンを預かり品に掛けるようにしてロックバーを錠前のバー挿入口に挿入されるよう形成されている請求項1記載の錠前装置。
【請求項3】
ラッチ錠は、挿入されているキーの回動操作に伴って揺動可能としたカムと、バネによって施錠方向に突出付勢され、前記カムに突設された操作突起を係合させる切欠部を有し、操作突起を介して施錠方向または解錠方向にスライド可能としたラッチと、該ラッチを覆うように取り付けられ、当該ラッチのスライドをガイドさせる押さえ板と、該押さえ板に被せられた可撓性を有する押圧規制板と、前記カムの切欠部内に係合される係止突起およびラッチを施錠方向に突出させる開口部それぞれを有し、前記押圧規制板によって当該係止突起を切欠部内側に押圧付勢させて成るカムストッパーとを備えて成る請求項1または2記載の錠前装置。
【請求項4】
前記セットバーは、施錠位置にあるラッチに干渉されずにカムストッパーのみを押圧するよう先端中央に形成されたラッチ通過用の逃げ溝を介して両端にカムストッパー押圧用の押圧突起が形成されて成り、セットバーのバー挿入口への挿入によって、押圧規制板による押圧付勢力に抗してカムストッパーがセットバーによって押圧され、当該カムストッパーの係止突起を切欠部内から解除させることでラッチが前記バネによって施錠方向に付勢移動されて錠前のキー孔からのキーの引き抜きを許容するよう形成されている請求項3記載の錠前装置。
【請求項5】
前記ロックバーは、施錠位置にあるラッチと共にカムストッパーを押圧するよう先端中央にロック孔が形成されて成り、錠前のキー孔からキーを引き抜いた後に、ロックバーのバー挿入口への挿入によって、ロックバーの先端でラッチをいったん解錠方向に退避移動させ、再びラッチが前記バネによって施錠方向に付勢移動されてロック孔に係合されることでバー挿入口からのロックバーの引き抜きを阻止するよう形成されている請求項3記載の錠前装置。
【請求項6】
前記錠前のキーは、バー挿入口へ挿入されているロックバーの引き抜きが阻止されている状態において、当該ロックバーは押圧規制板による押圧付勢力に抗してカムストッパーを押圧し、カムストッパーの係止突起が切欠部内から解除された位置で、当該キーを錠前のキー孔に差し込んでカムを回動させることにより、バネに抗してラッチを解錠方向にスライド退避させ、カムストッパーの押圧規制板による押圧付勢力によってロックバーを飛出させて解錠させるよう形成されている請求項3記載の錠前装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の錠前装置を使って預かり品としてのゴルフバッグの保管を可能としたことを特徴とする保管システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−261191(P2010−261191A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111937(P2009−111937)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(591225109)ジーエスケー販売株式会社 (14)