説明

錠剤切断器

【課題】 本発明は、錠剤が欠けたり割れたりすることなく確実に所望の位置にて切断することができ、切断した錠剤がこぼれ出ることがなく、使用者が安定して保持できる錠剤切断器を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明に係わる錠剤切断器は、上体2と、錠剤保持具3と、切断刃4と、下体5とからなり、前記上体2は錠剤投入口2aを有し第1の位置から第2の位置まで回動可能に第1の支点6aで下体5に支承され、前記錠剤保持具3は前記切断刃4が貫通し得る溝3aを有し、しかも、上体2が第1の位置にあるとき錠剤投入口2aに接続し錠剤20が投入され錠剤20を保持し且つ上体2が第2の位置にあるとき下体5側に回動し切断刃4が錠剤保持具3及び錠剤20を貫通して錠剤20を切断し、切断された錠剤を下体5側に排出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、錠剤切断器に関する。
【0002】
【従来の技術】患者に薬を服用させるに際して、子ども等に服用させる場合、大人の一回分の量に対して半分以下であることが多く、大人の場合でもいわゆる容態やその心身の状態によって一回分の量を適宜に分割することがあり、薬が錠剤であると、その錠剤を所定の大きさ、即ち半分以下に分割して与えなければならない。このような場合、例えば、実公平6−41546号公報記載の錠剤カッターが提案されており、このような錠剤カッターを用いて錠剤を分割している。
【0003】同公報記載の錠剤カッターは、図9に示したように、支持台113上に錠剤収納部112が設けられており、押台114上に錠剤切断刃111を設けて、支持台113と押台114を連結部115で連結して形成されている。
【0004】しかしながら、前記公報記載の錠剤カッターを用いると、切断刃が錠剤に当接した際、錠剤が滑ったりして錠剤の一部が崩れて粉末状になったり、錠剤の一部が欠けたりして、所望の位置で分割することができないという問題がある。
【0005】そこで、本出願人によって、未公知であるが、図10に示したような錠剤切断器が提案されている。図示した錠剤切断器は、上板202と下板204の一端にそれぞれ上刃203と下刃205の2枚の刃が対向するように設けられ、この上刃203と下刃205により錠剤を切断する切断器本体と、上板202及び下板204の何れかを押圧して上刃203と下刃205の間隔を縮める押し圧手段206と、上刃203と下刃205間に錠剤を保持する保持手段とを具備している。このような錠剤切断器は、錠剤が欠けたり割れたりすることなく確実に所望の位置にて切断することができる効果を奏する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図10に示したような錠剤切断器は、不使用時に保持台207を切断器本体201内に収容でき、コンパクトであるが、使用中は保持台207が切断器本体201にほぼ直角の向きに設定される構成であるので、使用者が切断器本体201を保持する角度によっては、切断した錠剤がこぼれ出たり、また、上板202側の安定がやや保ちにくかったりすることがある。
【0007】本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、錠剤が欠けたり割れたりすることなく確実に所望の位置にて切断することができ、切断した錠剤がこぼれ出ることがなく、使用者が安定して保持できる錠剤切断器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決すべく、本発明の請求項1に係わる錠剤切断器は、上体2と、錠剤保持具3と、切断刃4と、下体5とからなり、錠剤保持具3が錠剤20を保持し切断刃4が錠剤20を切断し得る錠剤切断器において、前記上体2は錠剤投入口2aを有し且つ第1の位置から第2の位置まで回動可能に第1の支点6aで下体5に支承され、前記錠剤保持具3は前記切断刃4の少なくとも刃先が錠剤20を切込み得るように溝3aを有し、しかも、上体2が第1の位置にあるとき錠剤投入口2aに接続し錠剤20が投入され錠剤20を保持し且つ上体2が第2の位置にあるとき下体5側に回動し少なくとも前記刃先が錠剤20を切込んで錠剤20を切断し、切断された錠剤を下体5上に排出し得るべく第2の支点6bで支承されるとともに上体2側に付勢されてなることを特徴とする。
【0009】前述した構成によれば、前記錠剤切断器は、投入された錠剤20を所望の位置にて切断し切断された錠剤が下体5上に排出されこぼれ出ない。
【0010】本発明の請求項2に係わる錠剤切断器においては、前記上体2が、上下逆のほぼバスタブ状に形成され且つ下体5がほぼバスタブ状に形成されているので、錠剤保持具3や切断刃4を内部に収納させやすく、また、切断された錠剤がこぼれ出ない。
【0011】本発明の請求項3に係わる錠剤切断器においては、支承板6が前記下体5に設けられ、前記第1の支点6a及び第2の支点6bが該支承板6に設けられので、上体2を操作しやすい位置を支点とでき、しかも上体2が第1の位置から第2の位置まで回動可能で錠剤保持具3が上体2に連れて動くように支承できる。
【0012】本発明の請求項4に係わる錠剤切断器においては、支承板6が前記上体2に設けられ、前記第1の支点6a及び第2の支点6bが該支承板6に設けられるので、上体2を操作しやすい位置を支点とでき、しかも上体2が第1の位置から第2の位置まで回動可能で錠剤保持具3が上体2に連れて動くように支承できる。
【0013】本発明の請求項5に係わる錠剤切断器においては、前記支承板6の上辺が前記第1の位置を規定するので、簡単な構成により第1の位置を規定できる。
【0014】本発明の請求項6に係わる錠剤切断器においては、前記切断刃4が前記下体5に設けられるので、錠剤保持具3を下体5側に押込んで錠剤20を切断する押込み量をかせぎやすい。
【0015】本発明の請求項7に係わる錠剤切断器によれば、斜辺板12が前記下体5に設けられるとともに押込み部材9が前記上体2に設けられ、上体2が第2の位置にあるとき、該押込み部材9が前記錠剤保持具3を、該斜辺板12の斜辺が規定する位置まで下体5側に押し込み、切断された錠剤を下体5上に排出し得るので、簡単な構成により錠剤保持具3の押込み位置を規定できる。
【0016】本発明の請求項8に係わる錠剤切断器においては、弾性板7と、該弾性板7が取付けられる弾性板取付け部材8とが下体5に設けられ、該弾性板7によって前記錠剤保持具3が上体2側に付勢され、錠剤保持具3が上体2を押し上げるので、弾性板7という簡単な構成により錠剤保持具3を上体2に付勢する。
【0017】本発明の請求項9に係わる錠剤切断器においては、前記上体2に上係止部11aが設けられるとともに下体5に下係止部11bが設けられ、前記錠剤保持具3が上体2側に付勢されることによって錠剤保持具3とともに上体2が押し上げられ、上体2の上係止部11aが下係止部11bによって係止されて第1の位置が規定されるので、簡単な構成により上体2を第1の位置に規定できる。
【0018】本発明の請求項10に係わる錠剤切断器においては、錠剤収容室13が前記下体5に設けられ、切断された錠剤が該錠剤収容室13に貯留され得るので、切断された錠剤を所望の数量貯留できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】実施の形態1図1は、本発明の実施の形態に係わる錠剤切断器の外観を示す側面説明図であり、図2及び図4は、その側面断面説明図であり、図3は、上面説明図である。
【0021】本実施の形態に係わる錠剤切断器1は、上体2と、錠剤保持具3と、切断刃4と、下体5とを主要構成要素とし、錠剤保持具3が錠剤20を保持し、上体2を下体5に押し込むとき切断刃4が錠剤20を切断し得るように構成される。まず、これらの主要構成要素ごとに、それぞれに付随する構成要素をあわせて説明する。
【0022】図2は、上体2が「第1の位置」にあるときの錠剤切断器1の断面構造を示しており、図4は、上体2が「第2の位置」まで下体5に押込まれた状態の錠剤切断器1の断面構造を示している。
【0023】まず、上体2及び下体5の形状は、錠剤保持具3や切断刃4を収容しやすい内部空間を有するよう側部が覆われて構成されることが好ましい。そして、本実施の形態においては、上体2は、図2に断面図で示したように、底面がやや傾斜した細長い概略バスタブ形状(洋式)の容器を逆さまにして前記底面に錠剤投入のための錠剤投入口2aを設けた形状である。他方、下体5は底面がほぼ平坦で外径が上体2よりも少し小さい細長い概略バスタブ形状(洋式)の容器である。
【0024】そして、前記上体2は、下体5を基準にしてみたとき、第1の位置から第2の位置まで回動可能に第1の支点6aで下体5に支承されており、上体2が下体5を抱き込むようにして第2の位置まで下体5に嵌合して押し込むことができる構造である。前記第1の位置は係止部11によって規定され、第2の位置は支承板6上辺によって規定される。
【0025】前記係止部11は、上係止部11aが上体2に設けられ、対応する下係止部11bが下体5に設けられ、両者によって第1の位置が規定される。上係止部11a及び下係止部11bは、それぞれが互いに引っ掛かるようにそれぞれの本体に対して凸状片が形成されている。
【0026】そして、後述する弾性板7により上体2が上方に押し上げられる強さに対応して上係止部11aと下係止部11bの厚さTや幅W等が設定される。このように、係止部11は簡単な構成により第1の位置を規定でき、上体2や下体5と同一材料で安価に形成できる。支承板6については、後述する。
【0027】前記錠剤投入口2aは、図3の上面図に示されるように、「バスタブ」の底面において、その一部分の3辺に切込みをいれて該底面を下体5側に押込んで滑り台状にして形成し、錠剤20を投入できるようにした開口部とされている。前記第1の支点6aは、支承板6を下体5に設けて該支承板6に穿設して設ける。
【0028】次に、錠剤保持具3は、第2の支点6bで上体2に支承されている。即ち、錠剤保持具3は、上体2が第1の位置にあるとき錠剤投入口2aに接続しており、錠剤20が投入されたとき図示した位置で錠剤20を保持し得る。そして、錠剤保持具3は、上体2が第2の位置まで押し込まれたとき、上体2とともに下体5側に回動しさらに押込み部材9が作用して上体2の第2の位置から、より下体5側の位置A(後述する斜辺板12の規定する位置)まで回動し切断刃4が、少なくともその刃先が錠剤20を切込んでいって錠剤20を切断し得るように切断刃20の刃先が錠剤20に達し得るように構成される。
【0029】前記押込み部材9は上体2の底面に、上体2が第2の位置まで押込まれたとき錠剤保持具3に押圧作用して錠剤保持具3をさらに下体5側に押込むことのできる大きさ及び位置に形成されている。押込み部材9及び錠剤保持具3は、押込み部材9の錠剤保持具3への押圧作用の繰り返しに対する耐久性を有することが好ましい。
【0030】さらに、錠剤保持具3は、上体2を下体5に押し込んで錠剤20を分割するとき以外は上体2の動きに従うようにするため、後述する弾性板7が設けられてこの弾性板7によって上体2側に付勢されている。そして、錠剤保持具3には切断刃4の刃先が錠剤20に達し得るように幅D及び長さLの溝3aが設けられている。尚、溝3aは、刃先が錠剤保持具3に入り込んで来る位置を含むように設ければよい。また、錠剤保持具3は錠剤20を保持しやすいように、図5に示すように手すり状に壁3bが設けられ、さらに、錠剤保持具3の壁3bにおいて、錠剤20の当接する部分には錠剤20に対する滑り止め機構を設けることができる。
【0031】また、錠剤保持具3を上体2に支承する前記第2の支点6bも支承板6上に設ける。第2の支点6bは、第1の支点6aよりは内側に設けられている。
【0032】前記支承板6について説明する。支承板6は下体5に設けられている。即ち、支承板6の面方向が、下体5の長さ方向の中心軸に沿う方向に平行に下体5本体の両側の縁にそれぞれ隣接し下体5の底面に垂直となるように立設されている。しかも、支承板6の上辺が、上体2の前記第2の位置を規定する形状に形成されており、押込み強度等に応じた厚さ、長さの構造とすることができ、簡単な構成により第1の位置を規定できる。そして、前記第1の支点6a及び第2の支点6bが該支承板6に設けられている。
【0033】このように、支承板6を下体5に設け、第1の支点6a及び第2の支点6bが支承板6に設けられるので、上体2を操作しやすい位置を支点とすることができ、錠剤保持具3が上体2に連れて動くことができるので、上体2の押込み動作により錠剤20を能率良く切断できる。また、斜辺の形状を含め、上体2の押込み強度に応じた厚さや長さ等の構造に支承板6を構成できる。
【0034】このようにして、第1の支点6aで上体2と下体5とが支承され、第2の支点6bで錠剤保持具3と下体5とが支承される。このために、上体2及び下体5並びに錠剤保持具3には、それぞれ支点孔が穿設され、該支点孔に対応した回転軸が第1の支点6a及び第2の支点6bにそれぞれ貫挿されている。該支点孔及び回転軸は、人手による上体2の押込み動作の繰り返し等に対する耐久性を有することが好ましい。
【0035】次に、切断刃4について説明する。切断刃4も下体5に設けられている。即ち、切断刃4は、その面方向が下体5の中心軸に沿って下体5の底面に垂直となるように該底面の幅方向のほぼ中央に立設されている。そして、錠剤保持具3が前記位置Aまで押込まれたとき、錠剤保持具3に保持された錠剤20は切断されるが、切断刃4の先端が錠剤保持具3の上面や上体2に到達してしまうことのない寸法に構成されている。
【0036】このように切断刃4を下体5に設けると、錠剤保持具3を下体5側に押込んで錠剤20を切断する際の押込み量をかせぎやすいので、構造の自由度を大きくできる。尚、切断刃4は下体5に対して緩い斜辺となるように刃先を形成して、切断時に切断位置にせん断力を集中できる。
【0037】また、切断刃4は、錠剤20を切断する一方で破砕したりしてしまうことのないように鋭利且つ繰り返し使用による刃毀れ等の生じることのない、しかも錆等により医薬に好ましくない影響を与えることのないもの(例えば、工具鋼等)が好ましい。この切断刃4を取り替え式に構成することも勿論可能である。
【0038】最後に、下体5について説明する。下体5は、前述したように上体2に支承されるとともに、支承板6及び切断刃4が立設されている。さらに、下体5には錠剤収容室13と、弾性板取付け部材8と、下係止部11bと、斜辺板12とが設けられている。
【0039】即ち、錠剤収容室13は、上体2が第2の位置まで押込まれ、錠剤保持具3が押込み部材9に作用されて錠剤20が切断されたとき、錠剤保持具3は、かなり傾斜した状態になっていて切断された錠剤20が転動して下体5上に落下するので、切断された錠剤を収容して所定数量の錠剤を貯留できるように錠剤保持具3に接続し得る位置が仕切られて形成されることが好ましい。
【0040】前記錠剤収容室13の大きさは、錠剤切断器の主たる用途(病院医院用又は家庭用等)等に応じて、所望の数量の錠剤を貯留できるように設定すればよい。このように錠剤収容室13を設けることにより、切断された錠剤が不用意にこぼれ出たりすることなく該錠剤を安全且つ清潔に貯留できる。そして、錠剤切断器1は、切断された錠剤を取り出ししやすいように、錠剤収容室13の任意の位置に錠剤取出口を設けたり、又は、錠剤収容室13の部分自体を引出式やカセット式にしたりして構成することもできる。
【0041】前記弾性板取付け部材8は支承板6に隣接した位置に円柱状に立設され、その先端に前記弾性板7が取り付けられる構成である。図2又は図4においては弾性板取付け部材8は、支承板6の手前側に位置しているが、支承板6の向こう側であってもよい。後述するように、弾性板7は錠剤保持具3及び上体2を付勢するので大きな機械的強度を有しており、かかる弾性板7を支持する必要があるので、弾性板取付け部材8は堅牢に構成されることが好ましい。
【0042】前記弾性板7は、錠剤保持具3を上体2に付勢して上体2をも押し上げるとともに、押込み部材9が作用して錠剤保持具3が下体5側に押込まれたとき錠剤保持具3を支持する機械的強度を有することが好ましい。しかも、錠剤保持具3の動きの繰り返しに対する耐久性を有することが好ましい。従って、例えば、硬鋼等の炭素鋼を用いたようなばね鋼等が用いられることが好ましく、安価な材料を用いて実現できる。
【0043】そして、弾性板7は、例えば、ネジにより締結される等して弾性板取付け部材8に取り付けられている。また、弾性板7は、錠剤保持具3底面に当接する部分は、図示したように湾曲形状とされ、当接する際の機械的抵抗が少なくされ得る。錠剤保持具3を上体2に付勢する手段は弾性板7に限定されず、錠剤保持具3を上体2に付勢できれば、コイルバネ等を用いてもよい。
【0044】前記斜辺板12は、錠剤保持具3が前記押込み部材9の作用を受けて下体5側に押込まれたとき、錠剤保持具3が最も下体5側に押込まれる位置Aを規定するものであり、切断刃4の位置を避けた位置に下体5底面に垂直に立設されている。図においては、切断刃4の向こう側のもののみ図示されている。斜辺板12は、簡単な構成により錠剤保持具3の押込み位置を規定でき、押込み強度等に応じた厚さや長さ等の構造とすることができる。
【0045】以上説明した各構成要素の材質等に関し、切断刃4及び弾性板7については個々に説明したので、その他の構成要素について説明する。他の構成要素は、錠剤が主に医薬品を対象とするという観点からは、切断された錠剤に対して好ましくない影響を与える材料以外の材料であって、消毒や滅菌上の問題のない材料が好ましい。また、帯電防止材を用いることもでき、防塵等の観点から好ましい。さらに、医薬品以外、例えば食品の錠剤であっても、同様の要件を考慮して材料が選定され得る。
【0046】また、錠剤切断器1を手軽に、即ち、少々手荒にも用いるという観点からは、構造的強度が優れているとともに、支承板6や弾性板取付け部材8を下体と一体に形成したり、錠剤収容室13を仕切って形成したりし得る材料が好ましい。従って、例えば、合成樹脂を成形型に従って一体成形する手法が好ましい。
【0047】以上、本実施の形態に係る錠剤切断器1の構成について説明した。この錠剤切断器1の使用方法は、以上の説明から明らかであるが、簡略に述べる。
【0048】図6は、錠剤切断器1の上体2及び錠剤保持具3の動きを概念的に示した側面断面図である。使用者は、錠剤20を錠剤投入口2aから1個ずつ投入する。投入された錠剤20は錠剤保持具3の最も奥の位置で保持される。上体2を下体5側に押込むと、錠剤保持具3が下体5側に押込まれ、錠剤20は切断刃4によって切断される。使用者は、所望の数量の錠剤20を投入して切断したのち、錠剤収容室13から切断された錠剤を取り出す。
【0049】以上説明した構成により、本実施の形態に係る錠剤切断器1は、錠剤20が欠けたり割れたりすることなく確実に所望の位置にて切断することができ、切断した錠剤がこぼれ出ることがなく、従って、操作性がよく、しかも使用者が安定して保持できるという効果を奏する。また、コンパクトな形状であるので、安全で携帯性もよく、小型にすると手におさめて用いるのに好都合である。
【0050】以下、本発明の他の実施の形態について説明するが、以下は、実施の形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0051】実施の形態2前記実施の形態1においては、第1の支点6a及び第2の支点6bを、下体5に設けた支承板6に設けたが、上体2と下体5とに第1の支点6aを設けて両者を支承してもよい。また、第2の支点6bを上体2側又は支承板6以外の下体5側に設けて錠剤保持具3を支承してもよい。さらに、前記実施の形態1においては、切断刃4を下体5に設けたが、上体2に設けてもよい。
【0052】実施の形態3実施の形態1においては、錠剤20を2等分に分割する構成であったが、錠剤保持具3の溝3aを幅広に形成しておき、切断刃4の位置を、下体5の長さ方向に直交する方向に変位させて設定し、等分でなく分割するようにできる。
【0053】図7は、切断刃4の設定位置を変更して錠剤切断器を構成し、錠剤21を切断したときの錠剤の形状を示す図である。この変位させた位置で錠剤を切断することにより、図示したように、円の中心を通らない直線で円弧を切り取った形状21aと、その残り21bという分割形状を得ることができる。本実施の形態によれば、簡単な設計変更で分割形態を変更できる。
【0054】実施の形態4実施の形態1〜3においては、錠剤を2分割したが、錠剤保持具に設ける溝の形態及び切断刃の形態を図8に示したように変更して錠剤保持具33及び切断刃34を設け、錠剤を3分割して22a、22b及び22cとすることができる。本実施の形態によれば、簡単な設計変更で分割形態を3分割に変更できる。
【0055】
【発明の効果】本発明に係わる錠剤切断器は、錠剤保持具が、上体が第1の位置にあるとき錠剤投入口に接続し錠剤が投入され錠剤を保持し且つ上体が第2の位置にあるとき下体側に回動し切断刃の刃先が錠剤を切込んで錠剤を切断し切断された錠剤を下体上に排出し得るので、切断された錠剤を錠剤切断器内に排出する。従って、操作性がよく、しかも使用者が安定して保持できる。そして、全体を操作性のよいコンパクトな形状とでき、切断された錠剤が不用意にこぼれ出ることなく、安全且つ清潔に所望数量の錠剤を貯留できる携帯性のよい錠剤切断器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる錠剤切断器の外観を示す側面説明図。
【図2】本発明の一実施の形態に係わる錠剤切断器の構造を示す側面断面説明図。
【図3】本発明の一実施の形態に係わる錠剤切断器の上面説明図。
【図4】本発明の一実施の形態に係わる錠剤切断器の構造を示す側面断面説明図。
【図5】本発明の一実施の形態に係わる錠剤保持具の主要部を示し、(a)はその側面図、(b)はその平面図。
【図6】本発明の一実施の形態に係わる錠剤切断器の上体及び錠剤保持具の動きを概念的に示した側面断面図。
【図7】本発明の他の実施の形態に係わる錠剤切断器において切断刃の設定位置を変更して切断された錠剤を示し、(a)はその平面図、(b)はその側面図。
【図8】本発明の他の実施の形態に係わる錠剤切断器において(a)は3分割に切断した錠剤の平面図、(b)は錠剤保持具及び切断刃を示す上面図。
【図9】従来の錠剤切断器の例を示す斜視説明図。
【図10】従来の錠剤切断器の例を示す斜視説明図。
【符号の説明】
1…錠剤切断器、2…上体、3…錠剤保持具、4…切断刃、5…下体、6…支承板、7…弾性板、9…押込み部材、20…錠剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上体(2)と、錠剤保持具(3)と、切断刃(4)と、下体(5)とからなり、錠剤保持具(3)が錠剤(20)を保持し切断刃(4)が錠剤(20)を切断し得る錠剤切断器において、前記上体(2)は錠剤投入口(2a)を有し且つ第1の位置から第2の位置まで回動可能に第1の支点(6a)で下体(5)に支承され、前記錠剤保持具(3)は前記切断刃(4)の少なくとも刃先が前記錠剤(20)を切込み得るように溝(3a)を有し、しかも、上体(2)が第1の位置にあるとき錠剤投入口(2a)に接続し錠剤(20)が投入され錠剤(20)を保持し且つ上体(2)が第2の位置にあるとき下体(5)側に回動し少なくとも前記刃先が錠剤(20)を切込んで錠剤(20)を切断し、切断された錠剤を下体(5)上に排出し得るべく第2の支点(6b)で支承されるとともに上体(2)側に付勢されてなることを特徴とする錠剤切断器。
【請求項2】 前記上体(2)が、上下逆のほぼバスタブ状に形成され且つ下体(5)がほぼバスタブ状に形成されてなる請求項1記載の錠剤切断器。
【請求項3】 支承板(6)が前記下体(5)に設けられ、前記第1の支点(6a)及び第2の支点(6b)が該支承板(6)に設けられてなる請求項1記載の錠剤切断器。
【請求項4】 支承板(6)が前記上体(2)に設けられ、前記第1の支点(6a)及び第2の支点(6b)が該支承板(6)に設けられてなる請求項1記載の錠剤切断器。
【請求項5】 前記支承板(6)の上辺が前記第1の位置を規定する請求項3記載の錠剤切断器。
【請求項6】 前記切断刃(4)が前記下体(5)に設けられてなる請求項1記載の錠剤切断器。
【請求項7】 斜辺板(12)が前記下体(5)に設けられるとともに押込み部材(9)が前記上体(2)に設けられ、上体(2)が第2の位置にあるとき、該押込み部材(9)が前記錠剤保持具(3)を、該斜辺板(12)の斜辺が規定する位置まで下体(5)側に押し込み、切断された錠剤を下体(5)上に排出し得る請求項6記載の錠剤切断器。
【請求項8】 弾性板(7)と、該弾性板(7)が取付けられる弾性板取付け部材(8)とが下体(5)に設けられ、該弾性板(7)によって前記錠剤保持具(3)が上体(2)側に付勢され、錠剤保持具(3)が上体(2)を押し上げる請求項1記載の錠剤切断器。
【請求項9】 前記上体(2)に上係止部(11a)が設けられるとともに下体(5)に下係止部(11b)が設けられ、前記錠剤保持具(3)が上体(2)側に付勢されることによって錠剤保持具(3)とともに上体(2)が押し上げられ、上体(2)の上係止部(11a)が下係止部(11b)によって係止されて第1の位置が規定される請求項8記載の錠剤切断器。
【請求項10】 錠剤収容室(13)が前記下体(5)に設けられ、切断された錠剤が該錠剤収容室(13)に貯留され得る請求項1記載の錠剤切断器。

【図2】
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【図7】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2000−271192(P2000−271192A)
【公開日】平成12年10月3日(2000.10.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−77744
【出願日】平成11年3月23日(1999.3.23)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)