説明

錠装置

【課題】手動捻りツマミによる施錠・解錠操作と無線または有線のリモコンスイッチおよびリードスイッチによる施錠・解錠操作で使うことができる、新規のドア等用の錠装置を提供する。
【解決手段】施錠位置検出用スイッチ、解錠位置検出用スイッチおよび中点位置検出用スイッチを用いて作動位置を特定して施錠作動・解錠作動を制御する形式の自動・手動両用型の錠装置に関する。例えば、自動による解錠指示により、モータが作動し、第1駆動補助板及び第2駆動補助板が解錠方向に回転し、解錠位置検出用スイッチがオン動作すると第1駆動補助板及び第2駆動補助板が解錠方向の回転とは逆に回転し、中点位置検出スイッチがオン動作するまで回転し、中点位置検出スイッチがオン動作すると、手動操作が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動捻りツマミによる施錠・解錠操作と無線または有線のリモコンスイッチによる施錠・解錠操作で使うことができるドア等用の錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内蔵の位置(もしくは回転角)検出スイッチによりコントロールされるモータの動作で施錠・解錠のできる電動形式のものは既に知られているが、この種形式のものは、内蔵の位置検出スイッチが無電力状態ではないのでDC時の電池寿命に悪い影響があり、且つ無接触状態ではないので耐久性に劣るというような問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記問題点を解決するための工夫を施した新規の錠装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明に係る錠装置は、施錠位置検出用スイッチ、解錠位置検出用スイッチおよび中点位置検出用スイッチを用いて作動位置を特定して施錠作動・解錠作動を制御する形式の自動・手動両用型の錠装置に関し、施錠位置検出用スイッチ、解錠位置検出用スイッチおよび中点位置検出用スイッチとしてリードスイッチを用いたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る錠装置は、上記のような構成であるので、リモコンで行う手動の施錠・解錠操作と、電動による施錠・解錠操作とをそれぞれ独立して行うことができる著効を有するは勿論であるが、特に本発明は、施錠位置検出用スイッチ、解錠位置検出用スイッチおよび中点位置検出用スイッチを用いて作動位置を特定して施錠作動・解錠作動を制御する形式の自動・手動両用型の錠装置に関し、施錠位置検出用スイッチ、解錠位置検出用スイッチおよび中点位置検出用スイッチとしてリードスイッチを用いたので、施錠・解錠操作のとき以外は内蔵の位置検出スイッチを無電力状態として置ける構成で電池寿命が顕著に長く、無接触で耐久性に優れている完成品を比較的簡単且つ容易に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施例を示す要部の斜視図である。
【図2】図1A-A線に沿う断面図である。
【図3】同じく分解斜視図である。
【図4】同じく別の方向から見た分解斜視図である。
【図5】同じく一部省略正面図である。
【図6】同じく側面図である。
【図7】施解指示を受けて第1駆動補助板が施錠方向に回転を始めた状態を示す説明図である。
【図8】施解錠位置検出板兼駆動主板が施錠位置検出用リードスイッチまで回転させられた状態を示す説明図である。
【図9】第1駆動補助板が中点位置検出用リードスイッチをオンにした位置にあるニュートラル状態を示す説明図である。
【図10】スリップクラッチがスリップしている状態を示す側面図である。
【図11】スリップクラッチの凹部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図に示す実施例は、錠前(図示せず)の施錠状態およびその解錠状態を確保する主軸1と、この主軸1に当該主軸1と一体に動く状態で設けた施解錠位置検出板を兼ねる駆動主板2と、この施解錠位置検出板兼駆動主板2を施錠方向・解錠方向に動かす第1駆動補助板3と、これ等施解錠位置検出板兼駆動主板2、第1駆動補助板3の間に当該第1駆動補助板3の回転力をニュートラル位置から施錠位置間での範囲およびニュートラル位置から解錠位置までの範囲において伝達する構成で設けた伝達装置と、この第1駆動補助板3を動かす第2駆動補助板6と、この第2駆動補助板6をギヤ装置5を介して動かすモータ4と、これ等第1駆動補助板3、第2駆動補助板6の間に設けたモータロック防止のためのスリップクラッチ7を備えているものである。
【0008】
主軸1は、家屋の中側になる内端側を角軸部11とし、中間部を丸軸部12とし、外端をスプライン軸13としてあり、このスプライン軸13には錠前のデッドボルト(図示せず)を施錠状態および解錠状態とするアーム(図示せず)の基端を回転不能に取付け、そして、家屋のドアに装備する機器ケース10に取付けてある。すなわち、機器ケースの壁に手動捻りツマミ14を軸受部15を介して支承し、この手動捻りツマミ14の内端面に軸孔16を穿設して当該軸孔16に上記主軸1を止着することによって主軸1を家屋のドアに機器ケースを介して取付ける。
【0009】
このようにしてドアに取付けた主軸1における角軸部11の基端個所周囲には、補助リング部材18を嵌め配して当該補助リング部材18を上記機器ケースの中に固定されてある絶縁材料製の配線基盤17に固着すると共にこの補助リング部材18の内側面に角軸部11を中心とする扇型を呈する回転角規制用切欠19を設けてある。
【0010】
また、施解錠位置検出板兼駆動主板2は、内周が角型孔で外周が丸型の軸承部21と円盤部22から構成してあって、軸承部21の角型孔を上記角軸部11に嵌着して主軸1と一体に動くようにし且つ同軸承部21を補助リング部材18の内径孔に回転自在に嵌着して主軸1をブレないように支持すると共に円盤部22の一方面に上記回転角規制用切欠19の両端縁に突当って回転範囲を約90度に、具体的には上記手動捻りツマミ14を施錠位置から解錠位置まで動かせる範囲に規制する回転角規制用突起23を突設し、また同円盤部22の他方面の周辺に1対の案内突起24、25を突設し、更に同円盤部22の周縁に突出部26を設けてこれに施解錠位置検出用永久磁石27を取付けてある。
【0011】
第1駆動補助板3は、主軸1の丸軸部12に筒状補助軸29を遊転自在に被着してこれに回転可能および摺動可能に支承してあり、そしてその外周縁には上記案内突起24、25と作動の途中から係合して施解錠位置検出板兼駆動主板2を施錠方向に回転させたり若しくは反対に解錠方向にさせたりする一対の係合突起30,31を設け、またこれ等係合突起30,31の中の一つに突出部33を設けてこれに中点位置検出用永久磁石34を取付けてある。すなわち上記案内突起24、25と係合突起30,31は、施解錠位置検出板兼駆動主板2と第1駆動補助板3の間で、当該第1駆動補助板3の回転力をニュートラル位置から施錠位置間での範囲およびニュートラル位置から解錠位置までの範囲において伝達機能を果たす伝達装置を形成しているものである。
【0012】
第2駆動補助板6は、上記第1駆動補助板3に重ねた状態で同じように筒状補助軸29に回転可能および摺動可能に支承し、これ等第1駆動補助板3、第2駆動補助板6を筒状補助軸29の一端に一体に設けた鍔部35と他端に取付けたE型止め輪36により抜け外れ不能とすると共に筒状補助軸29におけるE型止め輪36と第2駆動補助板6の間の個所に圧縮コイルバネ37を捲装して第2駆動補助板6と第1駆動補助板3を相互に押付けの状態としてあり、そしてこれ等両方の押付け面における円線上個所に半球状の凸部38および半球状の凹部39を可及的多数個まで等間隔の車座配置で設けることで両板3、6間にスリップクラッチ部7を設けてある。
【0013】
しかし乍ら、このスリップクラッチ部7は、多数回に亘る試作中に、第2駆動補助板6が施錠の方向に回転するときの所謂動き出し状態と解錠の方向に回転するときの動き出し状態とでは、圧縮コイルバネ37の捲き方向あるいはモータ4の回転中心の位置やギヤ装置5の軸の位置が原因してなのかは確認ができていないが必ず決まった一方が動き出し難いというアンバランスな状態が生じることが判明した。
【0014】
そこで、本発明は、上記のアンバランスな状態を解消する解決策として図11で示す断面図および底面図のように、凹部39の壁面において凸部38が動き出し難いときに接する面42を削って容易に外れる形としてある。
【0015】
この場合、第1駆動補助板3と第2駆動補助板6の重なり側面に半球状の凸部38および半球状の凹部39を設けたので、(1)これ等凸部38、凹部39の設け位置の半径を大きくして個数を多くすることができ、(2)個数を多くしたことでスリップトルクの負荷を効率よく分散でき、(3)個数を多くしたことで圧縮コイルバネ37による押付け力を小さくすることができ、(4)E型止め輪36と第2駆動補助板6の間のスペースに入る圧縮コイルバネ37の種類(応力範囲の異なっている)を広くすなわちスリップトルクの調整巾を広くでき、(5)凹部39の壁面において動き出し難いときに凸部38の接する面42の削り取りによって動き出しのアンバランスを解消して動きをスムーズにすることができる。
【0016】
上記のモータ4およびギヤ装置5は、これ等を配線基盤17上に装備して第2駆動補助板6の外周縁に刻設したギヤ部44にモータ4の回転力を伝達するようにしたものであり、モータ4は後述するリモコン(図示せず)から発信する固有の信号およびリードスイッチ47、48、49のオン動作により5個のギヤ50・・・から成るギヤ装置5およびギヤ部44を介して第2駆動補助板6を正転または逆転する。
【0017】
更に、配線基盤17における補助リング部材18の周囲に施錠位置検出用リードスイッチ47、解錠位置検出用リードスイッチ48および中点位置検出用リードスイッチ49を配装してある。そして、施錠位置検出用リードスイッチ47は施解錠位置検出用永久磁石27の接近でオンとなったときにモータ4を作動してニュートラル状態に戻し、また解錠位置検出用リードスイッチ48は解錠位置検出用永久磁石27の接近でオンとなったときにモータ4を上記とは逆の向きに作動してニュートラルの状態に戻し、更に中点位置検出用リーッドスイッチ49は上記施錠位置検出用リードスイッチ47のオン動作でニュートラルの位置となったとき、および上記解錠位置検出用リードスイッチ48のオン動作でニュートラルの位置となったときに中点位置検出用永久磁石34の接近でオンの状態となってモータ4を停止し、よって上記手動捻りツマミ14による手動操作の可能な状態を実現する。
【0018】
この実現は、詳細には説明しないが、上記モータの制御を含む電気回路でなすようにしてあり、そして、この電気回路は暗唱番号等の指定・削除・変更等をなす制御部を有している。これ等はケース10に組み込んでユニット化し、そしてドアに取付けられて使用される。
【0019】
上記の実施例の動きを説明する。先ず、施錠された状態において、リモコンで解錠を指令すると、モータ4がギヤ装置5を介して第2駆動補助板6および第1駆動補助板3ならびに主軸1を解錠方向に回転してデッドボルトを解錠状態とすると共にこの解錠方向回転に伴って施解錠位置検出用永久磁石27も回転移動して解錠位置検出用リードスイッチ49に接近し、当該解錠位置検出用リードスイッチ48をオンの状態として解錠状態を感知し、当該感知信号を制御部に送ってモータ4を一瞬停止させたのちに逆の方向に回転して第2駆動補助板6および第1駆動補助板3を逆回転状態とし、この逆回転に伴って中点位置検出用永久磁石34も逆回転移動して中点位置検出用リードスイッチ49に接近し、当該中点位置検出用リードスイッチ49をオンの状態としてニュートラル状態を感知し、当該感知信号を制御部に送ってモータ4を停止させ、よって電動による解錠状態において手動捻りツマミ14による手動の施錠・解錠操作を自由に行うことのできるニュートラル状態を形成する。
【0020】
また、解錠された状態において、リモコンで施錠を指令すると、モータ4がギヤ装置5を介して第2駆動補助板6および第1駆動補助板3ならびに主軸1を施錠方向に回転してデッドボルトを施錠状態とすると共にこの施錠方向回転に伴って施解錠位置検出用永久磁石27も回転移動して施錠位置検出用リードスイッチ47に接近し、当該施錠位置検出用リードスイッチ47をオンの状態として施錠状態を感知し、当該感知信号を制御部に送ってモータ4を一瞬停止させたのちに逆の方向に回転して第2駆動補助板6および第1駆動補助板3を逆回転状態とし、この逆回転に伴って中点位置検出用永久磁石34も逆回転移動して中点位置検出用リードスイッチ49に接近し、当該中点位置検出用リードスイッチ49をオンの状態としてニュートラル状態を感知し、当該感知信号を制御部に送ってモータ4を停止させ、よって電動による施錠状態において手動捻りツマミ14による手動の施錠・解錠操作を自由に行うことのできるニュートラル状態を形成する。
【0021】
上記したように電動によって施錠状態となったときでも解錠状態となっているときでも手動による施錠・解錠が任意に行うことが可能なニュートラル状態を呈するものであり、この手動による施錠・解錠の場合には、主軸1および駆動主板2側のみが回転して当該回転が第1駆動補助板3及び第2駆動補助板6には伝わらずフリーの状態となっているものであり、また、手動によって施錠状態となっているときでも解錠状態となっているときでも電動による施錠・解錠が任意に行うことが可能なニュートラル状態を呈するものであり、この電動による施錠・解錠の場合には、主軸1および駆動主板2側のみが回転して当該回転が第1駆動補助板3及び第2駆動補助板6には伝わらずフリーの状態となっているものである。
【0022】
更に、不測にして、電動による施錠操作または解錠操作の途中でたとえばドアが所謂半開きの状態等によるデッドボルトとストライクとの位置不一致やデッドボルト、ストライクの変形等の原因で上記の施錠操作または解錠操作がスムーズに行われないというような異常事態が生じた場合には、スリップクラッチ部7が機能して当該異常事態を回避する。
【符号の説明】
【0023】
1 主軸
2 施解錠位置検出板兼駆動主板
3 第1駆動補助板
4 モータ
5 ギヤ装置
6 第2駆動補助板
7 スリップクラッチ
10 機器ケース
11 角軸部
12 丸軸部
13 スプライン軸
14 手動捻りツマミ
15 軸受部
16 角型軸孔
17 配線基盤
18 補助リング部材
19 回転角規制用切欠
21 軸承部
22 円盤部
23 回転角規制用突起
24 案内突起
25 案内突起
26 突出部
27 施解錠位置検出用永久磁石
29 筒状補助軸
30 係合突起
31 係合突起
33 突出部
34 中点位置検出用永久磁石
35 鍔部
36 E型止め輪
37 圧縮コイルバネ
38 凸部
39 凹部
42 接する面
44 ギヤ部
45 裏蓋
47 施錠位置検出用リードスイッチ
48 解錠位置検出用リードスイッチ
49 中点位置検出用リードスイッチ
50 ギヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠位置検出用スイッチ、解錠位置検出用スイッチおよび中点位置検出用スイッチを用いて、錠前の施錠状態およびその解錠状態を確保する主軸の作動位置を特定して施錠作動・解錠作動を制御する錠装置であって、
上記主軸に駆動力を供給するモータと、
上記主軸に主軸と一体に回転動する状態で設けられ、施解錠位置検出板を兼ねる駆動主板と、
上記施解錠位置検出板兼駆動主板を施錠方向・解錠方向に回転動させ、中点位置検出板を兼ねる第1駆動補助板と、
上記施解錠位置検出板兼駆動主板及び第1駆動補助板の間に設けられ、当該第1駆動補助板の回転力を伝達する伝達部と、
上記第1駆動補助板を回転動させる第2駆動補助板と、を備え、
自動による解錠指示により、前記モータが作動し、前記第1駆動補助板及び前記第2駆動補助板が解錠方向に回転し、前記解錠位置検出用スイッチがオン動作すると前記第1駆動補助板及び前記第2駆動補助板が解錠方向の回転とは逆に回転し、前記中点位置検出スイッチがオン動作するまで回転し、前記中点位置検出スイッチがオン動作すると、手動操作が可能となり、前記主軸及び前記駆動主板側に当該回転の伝達力が伝わり、前記第1駆動補助板及び前記第2駆動補助板には当該回転の伝達力が伝わらず、
自動による施錠指示により、前記モータが作動し、前記第1駆動補助板及び前記第2駆動補助板が施錠方向に回転し、前記施錠位置検出用スイッチがオン動作すると前記第1駆動補助板及び前記第2駆動補助板が施錠方向の回転とは逆に回転し、前記中点位置検出スイッチがオン動作するまで回転し、前記中点位置検出スイッチがオン動作すると、手動操作が可能となり、前記主軸及び前記駆動主板側に当該回転の伝達力が伝わり、前記第1駆動補助板及び前記第2駆動補助板には当該回転の伝達力が伝わらないことを特徴とする自動・手動両用型の錠装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記主軸と係合する手動捻りツマミを含み、
前記主軸は、前記駆動主板と係合していることを特徴とする自動・手動両用型の錠装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−293376(P2009−293376A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219720(P2009−219720)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2001−266190(P2001−266190)の分割
【原出願日】平成13年9月3日(2001.9.3)
【出願人】(594121408)オクト産業株式会社 (7)