説明

長形コンクリ−ト成形品を迅速に成形する方法に関する改良

【発明の詳細な説明】
本発明は、コンクリート管及びコンクリート柱、特に鉄筋コンクリート管及び鉄筋コンクリート柱の製造方法に関する。
本発明者による先のオーストラリア特許出願第27199/84号において、高スランプコンクリートから長形コンクリート成形品を成形する方法及び装置であって、成形品の外周を多孔膜がとりまいており、この膜で型中のコンクリートを圧縮して余分の液体をこの膜を通してとり除き、その後部分的に乾いたコンクリートの表面から該膜を剥離し、出来上がったコンクリート成形品を著しく損うことなく成形品を型からとり出すことを特徴とする方法及び装置が開示されている。この方法及び装置によれば、型を間をおかずに繰り返し使用することができる。
この方法の欠点の一つは、コンクリート成形品の外周が、見た目にはいたんでなくても平滑にはならないということにある。更に、該特許出願に開示された方法は、膜を成形品の内周にあてる場合は用いることができない。
本発明の目的は、この問題を解決すること、更に高スランプコンクリートから出来たコンクリート成形品を迅速に乾燥させる方法であって、特に街路柱に適する満足できる外表面の仕上がりを与える方法を提供することである。本発明の方法によれば、柱または管のいずれでも製造可能であることは当然理解されるであろう。
本発明によれば、長手方向にのびる中空部を有する長形中空成形品をコンクリートから成形する方法があって、成形すべき中空成形品の中空部の内側表面を規定するための外向型表面を有する内側型部と、該中空成形品の外側表面を規定するための内向型表面を有する外側型部とよりなり、且つ、該内側型部の少なくとも該外向型表面が、該内側型部の半径方向に、該外側型部に対して移動可能に配設されてなる型を形成し;該内側型部と該外側型部との間に形成されるキャビティにコンクリートを充填し;該内側型部の少なくとも該外向型表面を、該内側型部の半径方向に、該外側型部へ向けて移動することによって該コンクリートを圧縮して該コンクリートから余分の液体をとり除き、それにより該コンクリートを少なくとも部分的に硬化させ;該圧縮を維持しながら該コンクリートの外側表面全体に内側方向の圧力を加えて該コンクリート外側表面から余分な液体をとり除き;上記の外側表面にかゝる圧力を解除し、そして、該内側型部を該外側型部から遠ざけて中空成形品を型から離型し、該中空成形品から該型をとりはずすことを包含することを特徴とする方法が提供される。
都合の良いことに、該型の内側型部と外側型部が、その間に、長形環状型キャビティを形成し、この型キャビティで管または柱が成形されるようになっている。この場合、内側型部は、少なくともその外向型表面が、該外側型部に対して放射状に、即ち、該内側型部の半径方向に、近接したり離れたりするようになっている。
成形品の外側表面から余分の湿気をとり除くにあたり、実際的な問題が生じる場合があるかもしれない。過剰な湿気がとり除かれない場合、型を成形品からはがす操作を注意深く行ったとしても成形品の外側の仕上がりが平滑になるようにすることが困難になる可能性がある。この事実に顧み、型の外側型部と組み合わせて、成形品の外側表面から過剰な湿気をとり除く手段を設けることがとりわけ好ましい。都合の良いことに、この湿気除去は、少なくとも工程の一部において、成形品の内側表面と外側表面の両方に圧力を加え、残留水分を成形品の内側及び外側表面から移動させることによって達成できる。上記操作の代りに、もしくは上記操作に付け加えられて、外側型部に吸収材層を設け、これによって、型を成形品からとりはずすのに先立って成形品から表面水を吸収させるようにすることもできる。
本発明の方法を実施するために、次のような装置を使うことができる。即ち、コンクリートから環状長形成品を製造する装置であり、この装置で形成される成形品の外側表面を成形する内向型表面を規定するところの外側構造と、該外側型構造の内側に位置し、この装置で成形される成形品の内側表面を成形する外向型表面を規定するところの内側型構造とを含む装置であって、該内側及び外側型構造が長形環状型キャビティを形成し、該内側型構造が更に、該外向型表面を放射状に、即ち該長形環状キャビティの半径方向に、該外側構造に対して移動させる手段及び該外向型表面と組み合わせられており、該キャビティ内のコンクリートが該外向及び内向型表面間の相対的な動きによって圧縮される時に装置内で成形される成形品の内側表面に生じる湿気を該内側表面からとり除く湿気移動手段を含み、更に該装置が該コンクリートを該型キャビティ内に導入する手段を含む成形装置である。
外側型構造は、等分された二つの部分より成り、それぞれの半分が、成形品の外側表面が平滑になるように、弾性を有する膜で被われていることが好ましい。弾性を有する膜は、表面のいたみを最小限に止めるために、表面からはがし取ることができるように造ることができる。
添付の図面に示す好ましい実施態様を参照しながら本発明を更に詳しく説明する。
第1図は一般的な型アッセンブリの概略断面図である。部品のうちいくつかは省略した。
第2図及び第3図は第1図の型の縦断面図及び横断面図である。
第4図は第1図の外向内側型表面の下部の部分拡大断面図である。
第5図は第1図のV−V線で切った内側及び外側型構造の概略横断面図である。
第6図は第7図のVI−VI線で切った、第1〜5図に示す実施様態とは別に実施様態の部分縦断面図である。
第7図は第6図のVII−VII線で切った部分縦断面図である。
第8(a)〜8(d)図は第1〜5図及び第6〜7図に示す実施様態に適用できる概略工程図である。
第1図及び第5図において、外側型構造10は内側型構造3をとり囲む2つの2等分シリンダ60,61より成る。2等分外側型部材60,61は、フランジ4を含む。フランジ4はもう一方の2等分外側型部材のフランジにボルトで締めるか、好ましくは油圧式締めつけジャッキ(図には示していない)により、開放が可能であるように固定することができる。
2つの型構造3、10の間に形成される環状空間の中に、この環状空間と同心的に公知の構造の補強骨組がある。
下側型閉鎖体63はコンクリート供給入口12を備えている。一方コンクリート供給入口12は、ポンプで供給されたコンクリートを受け取り、受け取ったコンクリートを環状型キャビティに送り込むための室6と通じている。排水延長部材7は液体が型アッセンブリから排出されるのを可能にし、また内側の型3を設置するのに役立つ。使用するコンクリートは好ましくは粘稠度については高スランプ(あるいは高湿潤)であり、ポンプ輸送圧力はコンクリートを型キャビティ13の下から上にまで押し上げることができる圧力である。もちろん、コンクリートの導入は別の方法によっても行うことができることは理解されるであろう。たとえば、適当な形のトレミー(tremie)を型キャビティ13の一端からその他端近くまで導き入れ、その後キャビティに高スランプコンクリートを導入しながら徐々に引き抜くという方法もある。
第2図及び第3図は内側及び外側型構造3,10の部分断面図である。外側型構造10は、実質的に硬質な支持外殻65及び内側ライナー構造64を含む。第2及び3図に示すように、ライナー構造64は弾性ゴムまたは弾性プラスチック材の内側不浸透性膜11と外殻65の間に位置する多孔あるいは透湿膜26とからなるのが好ましい。膜11は、外側型表面を規定する平滑な内向表面を有していることが好ましく、2等分外側型部材60,61の内側表面にわたり連続的に配置することができる。
内画型構造3は下記の理由で本来的により複雑である。すなわち、内側型構造は型キャビティ13内にある湿潤コンクリートの内側表面を圧縮するようになっており、また内側の型を挿入及び除去する際、他の型アッセンブリ部品あるいは成形品自体とぶつからないだけの間隙を与えるようになっているのである。内側型構造は、実質的に硬質な支持内側形成体17,及び型キャビティ13内のコンクリートに接触する外向内側型表面を有する内側可動壁構造体66を含む。壁構造体66は型アッセンブリの全長にわたる膨脹性縦管14,金属性さや15及び弾性材料で出来た少なくとも1つの円周偏倚帯を含む。内側浸透性膜18は型の上から下まで取り付けられており、この内側膜18のまわりに一定の間隔で縦長フィルタ19及び排湿通路20がある。
第1〜3図に示すように、型外殻65の全体にわたって一連の開口9が設けられており、圧縮空気源あるいは真空源に接続している。これによってライナー構造64に圧力をかけ、ライナー構造を内側に押し出したり外殻65の内側輪郭に押し付けたりするのである。この機能の存在理由には後に述べる。このライナー構造の動きは、ライナー構造の長手方向の縁方向の縁及び上端と円周部分が、2等分外殻60,61にほぼ気密に接着あるいはその他の方法で固定されていることにより可能となる。同様に、縦長管14の内部及び内側不浸透性膜18と内側成形体17の間の空間がありかつ管14の外側にある空間とのそれぞれ圧縮空気あるいは真空と接続する手段が設けられている(図には示していない)。このことは第1図において矢84及び開口85により図式的に示した。この機能の存在理由もまた後に述べる。
第1及び4図に最も良く示されていうように、コンクリートを型キャビティに導入した後コンクリートから出る液体はフィルタ19を通って排水通路20に入り、型アッセンブリの底へ下降したそこで環状排水室21に貯められる(第4図)。第4図は内側型構造の下端の部分断面図である。型アッセンブリの中心線を番号42で示したが、図に示されていない型の半分は第4図に示す部分と左右対称である。縦管14の下端28は環状くさび部材71と排水延長部材7上の迫台72とではさまれ、閉鎖される(あるいはつぶされる)。Oシリングシール部材30は、管14あるいは管をとり囲む管状空間から圧力が大きくもれることを防ぐ。くさび部材71は、ナットとねじの連接29を締めることにより上方に押し出され、管の端部28に押し付けられる。環状排水集積室21は、部材7をとり囲む環状部材73より成る。ナット74は部外7にねじ込まれ、部材73の上ひろがり自由端を膜部品18,19及び20に押し付ける。このように部材73と部材7の間に集積室21が形成され、この集積室の中まで排水通路20の下端が延びることになる。このようにして、過剰な液体は通路20から室21を経由し、出口8を通って型アッセンブリの外に排出される。
以下第8図を参照しながら、この型アッセンブリの操作方法を簡単に説明する。成形工程の開始時には、内側型構造3は外側型構造10の上部のひき上げ位置あるいは上昇位置にあり、2つの2等分外側型部材60,61は互いに離れている。次に内側型構造3を下降させ、適当に配置された公知のデザインの補強用骨組の中に、この骨組と同心的に設置する。コンクリート型のキャビティへの導入にトレミーを用いる場合は、内側型構造3の設置と同時にあるいはこれに先立ってトレミーを降ろすのが好ましい。続いて2等分外側型部材60,61を骨組2の回りに設置する。次に、底部63及び型の諸領域を圧縮空気あるいは真空と接続するための上側部材(図8には示していない)を移動させて型アッセンブリの上端及び下端を閉鎖する。軟質隔膜11が確実に型壁65の内側の形状に一致するように、適当な時期に型壁65の穴9から部分真空を導入してもよい。2等分外側型部材60,61を閉鎖して隣接する縦フランジ4の接合部からコンクリートがもれない状態にし、かつ底部63を2等分外側型部材の下端に適当な方法で取り付けた時点で、第3図に示すようにコラプシブルチューブ14の内側を空気(あるいはその他のガス)で加圧して鋼製滑動形成体15を膨脹させる。このようにして、管14により形成体15が膨脹することによって一定の直径を持つ硬い形成体ができる。管内の圧力は、コンクリートをキャビティ13内に注入する圧力に耐えるだけの圧力でなければならず、100psi以上でもよい。次に高スランプ(高湿潤)コンクリートを底部63のコンクリート供給入口12及び室6を通して型キャビティ13内に注入し、型キャビティを満たす。型キャビティ内の空気は、上部型構造10にある穴を通して抜くことができる。トレミーを用いる場合はコンクリートを型キャビティ内へ注入する圧力は相当低くてもよく、重力にまかせてコンクリートを落とすだけでもよい。コンクリートを型キャビティ内へ導入する間、管14内の圧力を保持して、膜18の外側表面が望ましい一定の直径の位置に保持されるようにする。型キャビティ13が満たされ、型アッセンブリが閉鎖されたら、縦長管14相互の間の空間83に圧力をかけることによって膨脹性の膜18に圧力をかけ,この膜をキャビティ13内のコンクリートに押しつける。膜18には、その回りの所々に一定の間隔をおいて、■過膜19が取りつけられ、排水通路20をおおっている。これらの■過膜19もまたコンクリートに押しつけられ、これによって配合物中の過剰な水分が膜19を通って■過膜19とゴム膜18の間の排水通路20に流れ込む。膜19及び排水通路20は締付けストリップ31により膜18の回りに留められる。水分はそれぞれの通路20を下降して環状空間21(第4図に最も良く示されている)に入り、排水心棒7中の穴8を通って大気中に出る。所望により、外側型構造10に振動を与えて水分の除去とコンクリートの圧縮を助けてもよい。
本明細書で既に述べたように、本発明を実施する際生じるかもしれない問題の一つに、成形品の外側表面の湿気のレベルが過剰になるかもしれないということがある。
万一この問題が起ったときにこれを解決するため、本発明の好ましい実施態様においては、本発明の方法を次のように修正する。すなわち、コンクリートの圧縮荷重が内側の型から加えられる圧力の最大値もしくはそれに近い値になったときに外側不浸透性膜11に圧力をかけて、ほとんどすべての過剰表面水をコンクリートの外側表面から内側表面に移動させることによって、コンクリートの外側表面をほぼ乾いた状態にするのである。この内向圧力をコンクリートの外側表面にかけるためには、内側の型3によってコンクリートの内側表面に圧力がかけられている間に、開口9を通して膜11に圧力をかければよい。
本発明の更に好ましい実施態様においては、不浸透性膜11の替りに圧縮性吸水材の積層物を使うことができる。こうすることによって、コンクリートを圧縮する間に湿気がコンクリートからとり除かれ、圧縮力の除去にともなって過剰な水分が該吸水材に吸収される。
上記の吸水材に関する修正に関し、膜11(第1〜3図)に、例えば厚さ1mmの、セーム革あるいは合成セーム革などの圧縮性吸水クロスの薄層をはり付けることができる。また、透湿フィルタ層19と同様の透湿ナイロン材等の層を積層その他の方法で該クロスにはり付けることができる。両者の層とも透水性であり、下記のようなはたらきをする。
ナイロン層は成形コンクリートのライナーの役目をし、水分はこの層を自由に通過して圧縮性吸水クロス層に入ることができる。型がコンクリートで満たされ、上記したように膜18によって圧力がかけられると、クロス層は圧縮されてたいして水分を吸収しなくなるので、水分がコンクリート内に追い返されて、上記したように膜19を通って外へ出る。コンクリートから型をはずすことができる状態になると、外側の型10が放射状に外側に移動し、クロス層は膨脹してコンクリートの表面の過剰な湿気を吸収することができるようになる。この方法はコンクリートの表面からすべての過剰な水分を除去するのに効果的であるが、セメントの微粒子がナイロン及び給水クロスに付着し、このため終にはクロスが水和され、目づまりを起こして役に立たなくなるという欠点がある。従って積層物からセメントの微粒子を注意深く頻繁に洗い出す必要がある。
もちろん、所望により上記の二つの修正を同時にとり入れてもよいが、それは必須ではない。
コンクリート成形品の内側及び外側両方の表面から過剰な水分がとり除かれたら、空洞83及び膜11にかかっていた圧力を解除する。圧力の開放は、空洞83と膜11とにおいてほぼ同時に行うことが一般的に重要である。管14の内部にかけられていた圧力もまた解放する。この管14内から圧力を解放する操作を膜18が膨脹した直後に行えば、管14を減圧する必要が少なくなる。空洞83内の圧力が低下すると、膜18の弾性によって金属形成体15に放射状の内向の力が加わり、この形成体によって更にコラプシブルチューブ14が変形し、偏平になる。この作用はもちろん弾性リング23によっても助長される。管14が偏平になるのを助けるために、所望ならば管14の内部を真空と接続してもよい。こうしてゴム膜18とコンクリート成形品80の内側表面の間に間隙ができる。
次に、第8(d)図に示すようにコンクリート成形品を内側の型3から引き出す。2等分外側型部材60,61を相互に固定している締めつけ手段25を解放し、少なくともひとつの穴9を通して軟質隔膜11と外殻65の間の空間に低い空気圧を加える。透湿膜26によりこの圧力は軟質隔膜11の全体にわたって均等に配分される。透湿膜26はナイロン織物等である。この空気圧により2等分外側型部材60,61の殻65が徐々に押しやられ、膜11をはぎとる作用を生む。膜11はほとんどコンクリートにはりついたままになっている可能性がある。この場合は、後で穴9を通して減圧し、膜11を放射状に外側に引っぱるとよい。これにより、コンクリート成形品80の素地をいためずに膜をコンクリートからはぎ取ることができる。少なくとも膜11の内側表面では比較的平滑なので、コンクリート表面の仕上も比較的平滑である。
成形されたコンクリートは、成形コンクリートの上部に延びる補強骨組2に支えられて型から取り出される。この種のコンクリート成形品を成形する際、上記の補強骨組に加えて、あるいはこれに代えて、プレストレスドワイヤ(prestressed wire)またはプレストレスドロッド(prestressed rod)を用いることももちろん可能である。これらを用いる場合には、プレストレスドワイヤまたはプレストレスドロッドの突出部分を握って成形品を移動させることが好ましい。
次に、添付の図面の第6図及び第7図に示すもうひとつの好ましい実施態様を説明する。第1〜5図及び第6及び7図において、本質的に同じ特徴には同じ番号を付けた。
第6及び7図に示す外側型構造10は第1〜5図に示すものと本質的に同じであり、縦長隣接フランジ4を持つ2等分部材60、61、円周硬質殻壁65及び可撓性ライナー11を含む。26と同様の透湿膜をライナー11と壁65の間に置くこともできる。
しがしながら、内側型構造3は第1〜3図に示す構造とはやや異なり簡単である。内側型構造3は、一般的に可撓性の環状不浸透性膜18を含み、この膜の周囲には一定の間隔をおいて、前記した実施態様と同様の排水通路20,フィルタ19及び保持ストリップ31が設けられている。膜18の上下円周端は内側型構造の端部フランジに取り付けられている。第6図に上端部のフランジのみ示した。上記の膜18の端部を外側に引っぱり、膜の残りの部分が自らの弾性によって内側に押されるようにすることが好ましい。
内側型構造3の内側形成体は、ケブラー織物(マイラーを塗布したポリエステル布)より成る管状部材91で形成される。ケブラー及びマイラーは長鎖ポリエステル材料の商品名である。この材料自体は非常に丈夫であり弾性は最小限かもしくは全くないが、可撓性は比較的硬い布と同様である。管状部材91は、開口93から空洞92に導入された一定の圧力の下で膨脹した時に所望の形状のほぼ硬質な形成体ができるように、正確に造る必要がある。先細柱の製造法を示した実施例においては、管状部材91の膨張時の形状は倒立円錐台である。
所望の形状を形成するため、管状部材91の円周に一定の間隔をおいて案内装置が取り付けられている。案内装置は、それぞれ2個1組のL形鉄部材94を含むことが好ましい。L形鉄部材94は内側の型3の上端と下端のフランジに接続され、型構造の全長にわたって延びる。L形鉄部材94の間に規定される空間が案内スロット95である。管状部材91の外側及び内側表面には縦長金属支持ストリップ96,97が取り付けられている。内側のストリップ97は案内部材あるいは案内板98を有する。案内板98は一定の間隔をおいてストリップ97に固定されており、L形鉄部材94の間のスロット95を通って放射状に内側に延びている。板98上の横ストリップ部材99は板98の外向の放射状の動きを制限し、従って部材91と同様の動きを制限する。上記の装置により、内部空間92から圧力が除去された時、管状部材91はこの壁をたわませることにより内側に折りたたむことができる。しかしながら空間92に圧力がかけられると、管状部材91により所望の形状の硬質内側形成体が形成される。この時の位置を第6図に示す。この状態で高スランプな粘度のコンクリートをキャビティ13に導入する。導入方法は前記したトレミーを使う方法が好ましい。別法として、ポンプを使ってコンクリートをキャビティ13に注入してもよい。キャビティが満たされると、圧縮ガスを開口100を通じて空洞83に導入することにより内側壁膜18を外側に押し出すことができる。第6図は圧力導入前の状態の概略図であり、第7図R>図は圧力導入後の概略図である。
この形成装置の操作手順は、前記した第1〜5図の実施態様の操作手順と本質的に同じである。第6及び7図において、型キャビティ内にプレストレスドワイヤまたはロッド101が示されているが、プレストレスドワイヤまたはロッドに加えて、またはこれらの替りに補強骨組を用いてもよいことは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】長手方向にのびる中空部を有する長形中空成形品をコンクリートから成形する方法があって、成形すべき中空成形品の中空部の内側表面を規定するための外向型表面を有する内側型部(3)と、該中空成形品の外側表面を規定するための内向型表面を有する外側型部(10)とよりなり、且つ、該内側型部(3)の少なくとも該外向型表面が、該内側型部(3)の半径方向に、該外側型部(10)に対して移動可能に配設されてなる型を形成し;該内側型部(3)と該外側型部(10)との間に形成されるキャビティ(13)にコンクリートを充填し;該内側型部(3)の少なくとも該外向型表面を、該内側型部(3)の半径方向に、該外側型部(10)へ向けて移動することによって該コンクリートを圧縮して該コンクリートから余分の液体をとり除き、それにより該コンクリートを少なくとも部分的に硬化させ;該圧縮を維持しながら該コンクリートの外側表面全体に内側方向の圧力を加えて該コンクリート外側表面から余分な液体をとり除き;上記の外側表面にかゝる圧力を解除し、そして、該内側型部(3)を該外側型部(10)から遠ざけて中空成形品を型から離型し、該中空成形品から該型をとりはずすことを包含することを特徴とする方法。
【請求項2】該コンクリートを該型の一端から該キャビティ(13)に加圧下に充填すること、及び該型の該内側型部(3)を充填に先立って該型の該外側型部(10)の方向に押圧することによって該充填の圧力に対抗させることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
【請求項3】該コンクリートの該キャビティ(13)への充填を、該型の全長にわたるようにしたトレミーを用いて行うことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
【請求項4】該コンクリートの該キャビティ(13)への充填後、該内側型部(3)を更に外向きに押圧して該キャビティ(13)内のコンクリートに押しつけることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
【請求項5】該型の該内側型部(3)が、該余分の液体ををコンクリートから排出するための液体移動手段を含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
【請求項6】該内側型部(3)が、実質的に硬質な支持内側形成体(17)と、支持内側形成体(17)の外側に配置され且つ該外向型表面を有する内側可動壁構造体(66)とからなることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。

【第1図】
image rotate


【第4図】
image rotate


【第5図】
image rotate


【第2図】
image rotate


【第3図】
image rotate


【第6図】
image rotate


【第7図】
image rotate


【第8図】
image rotate


【特許番号】第2584623号
【登録日】平成8年(1996)11月21日
【発行日】平成9年(1997)2月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭61−503659
【出願日】昭和61年(1986)6月18日
【公表番号】特表昭62−503089
【公表日】昭和62年(1987)12月10日
【国際出願番号】PCT/AU86/00175
【国際公開番号】WO86/07559
【国際公開日】昭和61年(1986)12月31日
【出願人】(999999999)
【参考文献】
【文献】特公 昭47−3354(JP,B1)
【文献】特公 昭53−24450(JP,B2)