説明

門扉用の蝶番

【目的】 本考案は、門扉を構成するパネルの重量に関係することなくスムーズに門扉を開閉することのでき、且つ磨耗等による蝶番の取替のない門扉用の蝶番を提供することを目的とする。
【構成】 本考案は、門扉用の蝶番において、継手部4内には一対の取付板2,2の夫々を門扉を構成する各被取付体に取り付けて該門扉を開閉した際、継手部4を形成する連結用筒状体3…の夫々が離反する方向に位置ズレするのを防止するための位置ズレ防止手段が設けられてなることにある。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、門扉用の蝶番に関し、さらに詳しくは主として工事現場等に使用され、且つ比較的重い重量を有した仮設用門扉を構成するパネル枠体の夫々を連結するのに使用する門扉用の蝶番に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種仮設用門扉を構成する被取付体としてパネル16a, 16aを具備したパネル枠体16,16 の夫々を連結するのに使用される蝶番は図7(イ)に示すように、一対の略矩形で板状の取付板30, 30と、該取付板30, 30を回動自在に軸着するための支軸34が挿通され、且つ交互に組み合わされることで略円筒状の継手部31を形成する連結用筒状体32…と、前記両取付板30, 30の夫々を重合させる方向に付勢すべく該継手部31内に設けられたコイル状のバネ体33とから構成されてなる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成からなる蝶番35は支軸34を支点として取付板30, 30を回動する際、パネル枠体16, 16の重量により同図(ロ)に示すように、前記取付板30, 30が左右方向に引っ張られ、夫々の連結用筒状体32…に位置ズレが生じ各連結用筒状体32…の一端が押圧されてスムーズな門扉の開閉ができないという問題点があった。
【0004】
しかも、前記各連結用筒状体32…が押圧された状態で門扉が開閉されると該連結用筒状体32…の押圧部分が磨耗するために、頻繁に蝶番35…を取り替えなければならずコストが係るという欠点があった。
【0005】
それ故に、本考案は上記従来の問題点に鑑みて考案されたもので、門扉を構成するパネルの重量に関係することなくスムーズに門扉を開閉することができ、しかも磨耗等による蝶番の取替のない門扉用の蝶番を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の門扉用の蝶番は、上記課題を解決するために、一対の取付板と、該取付板の夫々に一体的に設けられ、且つ両取付板を回動自在に軸着するための軸が挿通されて継手部を形成する連結用筒状体と、前記両取付板の夫々を重合させる方向に付勢すべく前記継手部内に設けられた弾発体又は弾性体とからなる門扉用の蝶番において、該継手部4内には前記一対の取付板2,2の夫々を門扉の各被取付体に取り付けて該門扉を開閉した際、継手部4を形成する連結用筒状体3…の夫々が離反する方向に位置ズレするのを防止するための位置ズレ防止手段が設けられてなることにある。
【0007】
また、請求項2記載のように、位置ズレ防止手段が、継手部4の内径と略同径で,且つ該継手部4の長尺方向と略同寸に形成され、且つ長尺方向に沿って切欠14a の形成された内筒体14であることにある。
【0008】
さらに、請求項3記載のように、内筒体14が円筒状に形成されてなることにある。
【0009】
また、請求項4記載のように、位置ズレ防止手段が、断面視略円弧状で、且つ前記継手部4の長尺方向と略同寸に形成された少なくとも2以上の板状体14b …であることにある。
【0010】
【作用】
上記請求項1記載の門扉用の蝶番を被取付体に取り付けて門扉等を構成する場合は、先ず夫々の取付板2,2を略水平の方向まで回動して被取付体に取り付け、その後継手部4内に設けられた弾発体又は弾性体を調整して前記取付板2,2を夫々重合させる方向に付勢することで門扉を構成する。
この際、前記継手部4内には位置ズレ防止手段が設けられてなるために、被取付体の重量により継手部4を形成する連結用筒状体3…に位置ズレが生じることがないので常にスムーズに門扉を開閉することができる。
【0011】
また、請求項2記載のように、位置ズレ防止手段を継手部4の内径と略同径で,且つ該継手部4の長尺方向と略同寸に形成された内筒体14で構成することにより、継手部4を形成する連結用筒状体3…を一体的に維持して位置ズレを内側より防止することができる。
【0012】
しかも、前記内筒体14の長尺方向には切欠14が形成されてなるために、継手部4内に設けられた弾発体又は弾性体の拡縮に対応して径を変化させて、弾発体又は弾性体に密接し確実に位置ズレを防止することができる。
【0013】
さらに、請求項3記載のように、内筒体14を略円筒状に形成することにより、360度の全方向に沿って拡縮できるので、位置ズレの防止より確実に行うことができる。
【0014】
また、請求項4記載のように、位置ズレ防止手段を、断面視略円弧状で、且つ前記継手部4の長尺方向と略同寸に形成された少なくとも2以上の板状体14b …であるために、該継手部4内に容易に挿入して継手部4を形成する連結用筒状体3…の位置ズレを防止することができる。
【0015】
【実施例】
以下本考案の門扉用の蝶番の一実施例を図面に従って説明する。
【0016】
図1〜3において、1,1は略長方形の取付板2と、該取付板2の長尺方向の一側辺を4等分し、間隔を開けた2か所に固定された円筒状の連結用筒状体3,3とからなる一対の蝶番片で、該蝶番片1,1の連結用筒状体3,3を係合することで継手部4が形成されてなる。5は前記一方の取付板2の外側の連結用筒状体3に穿設されたピン係止用孔を示す。2a…は前記取付板2に上下方向で2個づつ穿設された取付孔を示す。
【0017】
6は一方の蝶番片1の外側の連結用筒状体3に挿入された先端部6aと、該連結用筒状体3の外周と略同形に形成された後端部6bとからなる固定係止体で、該固定係止体6の先端部6aの平面6c略中央部には溝の形成された支軸用孔7が穿設され、縁部側にはバネ係止用孔8が穿設されてなる。
【0018】
9は前記継手部4に挿通され、一端側を前記固定係止体6の支軸用孔7に螺合された支軸を示し、10は前記支軸9に移動自在に挿通され前記連結用筒状体3に挿入される円筒部分10a と、該連結用管3への挿入を阻止する略円形の阻止部分10b とからなる移動係止体を示す。11a, 11aは前記円筒部分10a の外周に穿設された2個のピン用孔を示し、11b は前記円筒部分10a の底面に穿設されたバネ係止用孔を示し、11c は前記阻止部分10b の外周に穿設された回動用孔を示す。
【0019】
12は前記継手部4に挿入されたコイルバネ体で、該コイルバネ体12の一端側の突出部分12a は前記係止孔8に挿入され、他端側の突出部分12b を前記係止孔11b に挿入されることで、前記移動係止体9を一方に回動して前記一対の取付板2,2を近接する方向に付勢すべく構成されてなる。尚、前記孔5及び孔11a にピン体13を挿入することで、前記取付板2,2を付勢された状態で維持することができる。
【0020】
14は前記コイルバネ体12に外嵌され、前記継手部4の内周面に密接すべく挿入された略円筒状の内筒体で、該内筒体14の長尺方向に沿って直線状の切欠14a が形成され、該内筒体14を前記継手部4に挿入することで、前記取付板2,2を被取付体に取り付けた際、被取付体の重量に関係することなく継手部4を形成する連結用筒状体3…に位置ズレが起きることなく被取付体を連結することができる。
【0021】
次に、上記のように構成された蝶番15をパネル16aを具備したパネル枠体16…に取り付けて工事用に使用する架設用の門扉17を構成する場合について説明する。
【0022】
先ず、図4(イ)に示すように取付板2,2を略水平方向に回動せしめ、その後一対のパネル枠体16, 16にそれぞれの取付板2,2を載置し該取付板2,2の孔2a…にネジを螺合することで取付板2,2をパネル枠体16, 16に取り付ける。
【0023】
その後、同図(ロ)に示すように、前記パネル枠体16, 16を移動用レールに沿って折り畳んだ後、コイルバネ体12を付勢すべく移動係止体10を回動して所定の強さのところでピン用孔11a と連結用筒状体3に穿設されたピン係止用孔5とにピン体13を挿入して前記取付板2,2を夫々重合させる方向に付勢する。
これにより、前記各パネル枠体16…は, 蝶番15…により折り畳んだ状態となり、架設用の門扉17を構成することができることとなる。
この際、前記蝶番15…の継手部4には内筒体14が挿通されてなるために、該コイルバネ体12の拡縮に対応して該内筒体14が拡縮するために、前記パネル枠体16…の重量により左右の取付板2,2に働く下方への力により連結用筒状体3…に位置ズレが生じることなく前記継手部4の支軸9を支点として回動することができることとなる。
【0024】
しかも、前記内筒体14を継手部4内に挿通するのみで構成することができるので、従来の蝶番の継手部4に挿入するだけで上記と同様な効果を得ることができることとなる。
【0025】
尚、上記実施例では、位置ズレ防止手段を継手部4に挿入すべく略円筒状に形成し、且つ長手方向に切欠14a の形成された内筒体14で構成したが、本考案の位置ズレ防止手段はこれに限定されるものでなく、例えば、図5(イ),(ロ)に示すように、断面視円弧状の一対の板体14b, 14bで構成してもよく、またはコイグバネ体12の長手方向に沿って複数に分割した板体で構成してもよく、さらに前記内筒体14の形状を略三角状、又は略矩形状に形成してもよい。要は、取付体間の位置のズレを防止することができるならその位置ズレ防止手段の構成は問うものでない。
【0026】
又、上記実施例では、工事用の門扉におけるパネル用として使用したが、本考案の蝶番の使用用途はこれに限定されるものでなく、例えば重量のある家庭用門扉に使用することも可能である。
【0027】
更に、上記実施例では、取付板を略長方形状に形成したが、本考案の取付板の形状はこれに限定されるものでなく、例えば略円弧状であってもよく、また略三角状であってもよい。
【0028】
又、上記実施例では、継手部4を交互に取り付けられた連結用筒状体3…で構成したが、本考案の継手部4の構成はこれに限定されるものでなく、例えば図6に示すように一方の取付体2の上下と他方の取付体2の中間部にそれぞれ連結用筒状体3,3を設けることで継手部4を形成してもよい。
【0029】
【考案の効果】
叙上のように、請求項1記載の門扉用の蝶番は、取付板を門扉を形成する被取付板に取り付けた際、該被取付板の重量により継手部を形成する連結用筒状体が位置ズレするのを防止するための位置ズレ防止手段が継手部内に設けられてなるために、従来のように継手部がパネル等の被取付体の重量により左右に広がって位置がズレたりすることなく常に被取付体を水平状態に維持することができるので、蝶番を取り付けた後の門扉等の開閉をスムーズに行うことができその取扱が容易に行えるという顕著な効果がある。
【0030】
また、被取付体に取付板を取り付けた後の各連結用筒状体が位置ズレすることがないので蝶番の取付作業が容易に行えるという利点がある。
【0031】
さらに、請求項2記載のように位置ズレ防止手段を、継手部の内径と略同径で,且つ該継手部の長尺方向と略同寸に形成され、且つ長手方向に切欠の形成された内筒体で構成することにより、簡易な構成で、かつ低いコストでズレ防止手段を構成することかできるという利点がある。
【0032】
また、請求項3記載のように内筒体を略円筒状に形成することにより、継手部内に設けられた弾発体又は弾性体の拡縮に応じて360度の全方向に拡縮して位置ズレの防止をすることができるという利点がある。
【0033】
さらに、請求項4記載のように、位置ズレ防止手段を、断面視略円弧状で、且つ前記継手部の長尺方向と略同寸に形成された少なくとも2以上の板状体で構成することにより、簡易な構成で、且つ容易に継手部に挿入することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の門扉用の蝶番の一実施例を示す一部断面平面図。
【図2】固定係止体を示す斜視図。
【図3】蝶番の分解斜視図。
【図4】蝶番の使用例を示し、(イ)は平面図,(ロ)は斜視図。
【図5】位置ズレ防止手段の他実施例を示し、(イ)は平面図、(ロ)は正面図。
【図6】継手部の他実施例を示す平面図。
【図7】従来例を示し(イ)は斜視図、(ロ)は平面図を示す。
【符号の説明】
2…取付板
3…連結用筒状体
4…継手部
14…内筒体
14a …切欠
14b …板体

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 一対の取付板と、該取付板の夫々に一体的に設けられ、且つ両取付板を回動自在に軸着するための軸が挿通されて継手部を形成する連結用筒状体と、前記両取付板の夫々を重合させる方向に付勢すべく前記継手部内に設けられた弾発体又は弾性体とからなる門扉用の蝶番において、該継手部(4) 内には前記一対の取付板(2), (2)の夫々を門扉を構成する各被取付体に取り付けて該門扉を開閉した際、継手部(4) を形成する連結用筒状体(3) …の夫々が離反する方向に位置ズレするのを防止するための位置ズレ防止手段が設けられてなることを特徴とする門扉用の蝶番。
【請求項2】 前記位置ズレ防止手段が、前記継手部(4) の長尺方向と略同寸に形成され、且つ長尺方向に沿って切欠部(14a) の形成された内筒体(14)である請求項1記載の門扉用の蝶番。
【請求項3】 前記内筒体(14)が、略円筒状に形成されてなる請求項2記載の門扉用の蝶番。
【請求項4】 前記位置ズレ防止手段が、断面視略円弧状で、且つ前記継手部(4) の長尺方向と略同寸に形成された少なくとも2以上の板状体(14b) …である請求項1記載の門扉用の蝶番。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【登録番号】第3007303号
【登録日】平成6年(1994)11月24日
【発行日】平成7年(1995)2月14日
【考案の名称】門扉用の蝶番
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−9260
【出願日】平成6年(1994)7月29日
【出願人】(000108959)ダイシンフレーム株式会社 (2)