説明

門扉

【課題】アルミニウム型材からなる縦框と横框から構成される門扉において、簡単且つ正確に戸幅調節を可能とし、堅固な門扉を提供する。
【解決手段】縦框2の内側上下端部に形成した横框受部22に横框3を挿嵌し、縦框2の横框取付壁21に穿設したネジ挿通孔26から挿入する固定ネジ5を横框3のタッピングホール31に螺入して縦框2と横框3を連結し、中央部に切欠71を設けたスペーサーブロック7を縦框2の上下端部から挿入し、スペーサーブロック7の切欠71に固定ネジ5の中間部51が嵌合し、スペーサーブロック7を縦框2の横框取付壁21と横框3の側端面の間に介在させた。

【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
 この考案は門扉に関するものであり、特にアルミニウム製型材からなる縦框と横框を枠組みして構成される門扉において、その戸幅を調節可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
 住宅の玄関等に門扉が設置されているが、最近ではアパート、マンション等の集合住宅の玄関に設置されるものが増えている。
 例えば図6に示したように、集合住宅の玄関に設置する場合、玄関ドアに通じる通路の幅Sに合わせて門扉が設置されているけれども、建物に応じて通路幅Sは個々に異なるため、汎用の蝶番を用いてこれを調節することにより、門扉を通路幅Sに合わせることは至難であり、通路幅Sに合わせた戸幅を有する門扉を夫々用意する必要があった。
【0003】
 このような問題を解決する手段として、特許文献1乃至特許文献4には、扉体を構成する横桟を分割し、扉体の幅方向にスライドさせて、所定の位置でネジ止めしたものが提案されている。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2544328号公報
【特許文献2】実公昭63−34077号公報
【特許文献3】実公昭63−16480号公報
【特許文献4】実公昭63−16479号公報
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
【0005】
 しかしながら、従来のネジ止めによる戸幅調節によれば、長期の使用によってネジに緩みが発生し、扉体にガタツキが生じるものであった。また、通常は施工現場において戸幅調節を行うため、ネジ締め位置のバラツキによって、門扉の上下部における戸幅が一致しない等の不具合が生じるものであった。
【0006】
 本考案は、この種門扉本体を堅固な状態として、その戸幅調節が容易に行い得る門扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
 本考案者らは、このような事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、内部に横框取付壁を形成したアルミニウム型材により縦框を形成し、内部に長手方向にわたってタッピングホールを形成したアルミニウム型材により横框を形成し、縦框の内側上下端部に形成した横框受部に横框の側端部を挿嵌し、縦框の横框取付壁に穿設したネジ挿通孔を挿通する固定ネジを横框のタッピングホールに螺合して縦框と横框を枠組みし、切欠を設けたスペーサーブロックを縦框の上下端部から挿入し、スペーサーブロックの切欠を前記固定ネジに嵌合し、前記スペーサーブロックを縦框の横框取付壁と横框の側端面との間に1個あるいは複数個介在させたことにより、所期の目的を達成しうることを認め本考案を完成するに至った。
【考案の効果】
【0008】
 この考案によれば、所定の厚みのスペーサーブロックに切欠を形成し、この切欠に縦框と横框を連結する固定ネジの中間部を嵌合し、スペーサーブロックを縦框の横框取付壁と横框の側端面との間に介在させることにより、門扉の戸幅をスペーサーブロックの単位幅に応じて正確に調節することが可能となり、これらの作業は、縦框と横框を枠組した後にスペーサーブロックを縦框の上下端部から挿入するだけで簡単に行うことができ、縦框と横框を連結する固定ネジは横框のタッピングホールに強固に螺合させることによって堅固な扉体が得られる。
【考案を実施するための最良の形態】
【0009】
 本考案の実施に当って使用するスペーサーブロックの厚さは、2〜10mmの範囲であり、その材質としては金属、樹脂等のある程度の硬さを有するものであれば、何れでも使用できるが、コスト、重量、熱膨張等の観点からアルミニウム製の板材を加工したものが好ましい。
【0010】
 縦框の横框取付壁は内部に形成した隔壁とすべきであり、隔壁によって縦框自体の剛性を高め、スペーサーブロックを介して取付けられる横框を安定して支持することができ、戸幅調節における寸法安定性が改善される。
【実施例1】
【0011】
 以下、本考案を実施例に基づき具体的に説明する。
 図中1は本考案の一例を示す門扉であり、縦框2と横框3により枠組みされており、上下の横框3、3の間には装飾パネル4が配設されている。
 縦框2は断面が略方形状のアルミニウム製の型材からなるもので、中空状内部には隔壁状となった横框取付壁21が一体的に形成されている。縦框2の内側上下端部には横框受部22、22が形成され、横框受部22、22は縦框2の上下端開口部23、23に連続して縦框2の内側壁24に形成されている。さらに、横框受部22、22が形成された位置に対応して、ネジ挿通用孔26が横框取付壁21と外側壁25に穿設されている。また、戸当り側の縦框2には錠装置27が設けられている。
【0012】
 横框3は断面が略方形状のアルミニウム製の型材からなるもので、横框3の中空状内部にはタッピングホール31が長手方向にわたって一体的に形成されている。タッピングホール31が形成される位置は、横框3の端部が縦框2の横框受部22に挿入された際に、縦框2のネジ挿通用孔26の位置に対応するよう形成されている。
【0013】
 このように縦框2と横框3は、横框受部22、22に上下の横框3、3の側端部を挿嵌し、縦框2の外側から固定ネジ5をネジ挿通用孔26を挿通して、横框3のタッピングホール31に固定ネジ5を螺入することにより、門扉1の四隅において縦框2と横框3が連結される。なお、図中6は補強プレートであり、横框取付壁21の変形を防止している。
【0014】
 図中7はスペーサブロックであり、厚み5mmのアルミニウム製の板材を加工して造られている。スペーサブロック7の中央部には切欠71が形成されており、スペーサブロック7は二股状となった形態を呈している。
 スペーサブロック7は予め縦框2と横框3を固定ネジ5により枠組した状態において、縦框2の上端開口部23と下端開口部23から、切欠71に固定ネジ5の中間部51が嵌合するよう挿入する。スペーサーブロック7を上下端開口部23、23から挿入した後、開口部23と嵌合するキャップ8により、開口部23、23が塞がれる。
【0015】
 なお、門扉1の一側における縦框2の上下に設けられるスペーサブロック7の数は同じであり、図1に示されるように上側に3個のスペーサーブロック7をセットした場合、下側にも3個のスペーサーブロック7がセットされ、門扉1の上下部における戸幅調節量は同じとなる。門扉1の戸幅調節範囲は、スペーサーブロック7が外部に露出して見栄えを悪化させることのないよう、横框取付壁21と縦框2の内側壁24の範囲に止めるべきである。
【0016】
 上記構成からなる本考案門扉によれば、図4に示したスペーサーブロック7を設けていない戸幅Lの門扉1を図5に示した戸幅L1の門扉に変更する場合、戸幅の調整量(L1−L)に相当する厚み分のスペーサーブロック7を、予め固定ネジ5により枠組した縦框2の上端開口部23と下端開口部23から挿入し、固定ネジ5が回らなくなる位置まで締付けることによって、門扉1の戸幅調節が完了する。
 本考案の門扉1は、スペーサーブロック7の個数若しくは厚みを変更することにより戸幅調節を行い得るので、ネジ締め量に関係なく、簡単にしかも正確な調節が可能となる。
【0017】
 本実施例においてスペーサーブロック7の厚みは、同じものを揃えたが、厚みの異なるスペーサーブロック7を用意し、これらを組み合わせて使用することも可能である。また、縦框2の横框受部22は、横框3の断面形状に対応した形状としたが、縦框2の内側壁24を全て切除した構成とすることも可能である。さらに、横框取付壁21は縦框2の隔壁を利用したが、隔壁を設けず、外側壁25を横框取付壁とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
 この考案は、門扉の戸幅調節を簡単に行い得ると共に、耐久性に富んだ門扉を提供し得るので、アパート、マンション等の通路幅の異なった場所における門扉の施工において顕著な効果が認められる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本考案門扉の要部を示す分解斜視図
【図2】本考案門扉の要部を示す縦断面図
【図3】本考案門扉の要部を示す横断面図
【図4】本考案門扉のスペーサーブロックを装着しない状態を示す正面図
【図5】本考案門扉のスペーサーブロックを装着した状態を示す正面図
【図6】本考案門扉の全体図
【符号の説明】
【0020】
 1  門扉
 2  縦框
 3  横框
 5  固定ネジ
 7  スペーサーブロック
 8  キャップ
21 横框取付壁
22 横框受部
23 開口部
26 ネジ挿通孔
31 タッピングホール
71 切欠

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
 内部に横框取付壁を形成したアルミニウム型材により縦框を形成し、内部に長手方向にわたってタッピングホールを形成したアルミニウム型材により横框を形成し、縦框の内側上下端部に形成した横框受部に横框の側端部を挿嵌し、縦框の横框取付壁に穿設したネジ挿通孔を挿通する固定ネジを横框のタッピングホールに螺合して縦框と横框を枠組みし、切欠を設けたスペーサーブロックを縦框の上下端部から挿入し、スペーサーブロックの切欠を前記固定ネジに嵌合し、前記スペーサーブロックを縦框の横框取付壁と横框の側端面との間に1個あるいは複数個介在させたことを特徴とする門扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】実用新案登録第3099634号(U3099634)
【登録日】平成15年11月19日(2003.11.19)
【発行日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【考案の名称】門扉
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2003−270352(U2003−270352)
【出願日】平成15年8月1日(2003.8.1)
【出願変更の表示】特願平10−265989の変更
【原出願日】平成10年9月21日(1998.9.21)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)