説明

開放型トンネル掘削機

【課題】開放型トンネル掘削機の切羽側開口を閉鎖する扉に膨張袋体からかかる圧力を壁部に伝達することができる。
【解決手段】開放型トンネル掘削機の切羽側開口部に扉板21を押さえる複数のストッパー27が所定の間隔をあけて設けられている。閉鎖時の扉4をストッパー27で押さえる場合には、ジャッキ32を伸張、回転させて、押さえ部31を回転させ、ジャッキ32および押さえ部31を壁部17から突出させる。そして、押さえ部31の直線部31aを扉板21の後面21b接触させ、ジャッキの32が収縮しないようにロックして扉4を押さえる。また、ストッパー27を解除するには、ジャッキ32を収縮、回転させて、押さえ部31を回転させ、押さえ部31およびジャッキ32を壁部17に沿った状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路トンネルやアンダーパス、共同溝といった主に矩形断面などのトンネルを掘削するための開放型トンネル掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市域に設けられる道路や共同溝などのトンネルは、一般的に矩形断面である。しかし、円形断面のシールド掘削機を使用して掘削する場合には、必要以上の断面を掘削することになり、特に、周囲に埋設物が多い市街地の浅い深度においては、円形断面のシールド掘削機の使用ができない場合もあった。
そこで、矩形断面のトンネルを掘削できるシールド掘削機が使用されているが、矩形断面のシールド掘削機は高価で、特に矩形断面の密閉型シールド掘削機はカッター機構が複雑でより高価であった。また、矩形断面の密閉型シールド掘削機に比べて矩形断面の開放型のシールド掘削機ではコストを下げることができるが、地表面の沈下が矩形断面の密閉型シールド掘削機に比べて2〜3倍ほど大きくなるという問題があった。
【0003】
そこで、複数の小断面掘削区画に分割された矩形断面の開放型シールド掘削機が提案されている。この掘削機では、例えば上下方向に2段、左右方向に2列の小断面掘削区画に分割され、各小断面掘削区画には開閉可能な扉と掘削機とを備えている。そして、この扉の切羽側には、所定の圧力で膨張可能な膨張袋体が備えられており、掘削を行う小断面掘削区画以外は扉を閉めて膨張袋体によって切羽を押圧し、切羽の崩落や地表面沈下を抑制している。
また、特許文献1によれば、切羽に対し膨張状態で接触するエアバッグを背面から押さえて、切羽に対し開閉可能な押さえ部材を備えた掘削用エレメントが提案されている。この掘削用エレメントによれば、掘削休止時などにおいてエアバッグが切羽を抑えることによって切羽崩落を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−163602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の掘削機では以下のような問題があった。
複数の小断面掘削区画に分割された矩形断面の開放型シールド掘削機に備える扉は、扉が閉められて膨張袋体が膨張して切羽を押圧する状態において膨張袋体からの圧力を受ける。そして、蝶番が扉の上端にあって扉の下端を掘削機側へ引き上げて開く構造の扉では、小断面掘削区画の開口を閉鎖する際に、扉の両側下端部と、扉の両側下端部に対向する壁部とに備えられた部材で構成されるかんぬきによって固定されている。しかし、膨張袋体から扉へかかる圧力が、かんぬきの部材へ集中し、かんぬきの部材が変形してかんぬきが抜けなくなり、扉の開閉にも支障が生じるという問題があった。
また、特許文献1による掘削用エレメントに備える押さえ部材(本発明の扉に相当する)においても、掘削用エレメントの底部に設けられて、押さえ部材に設けられた被固定部をキャッチする固定部材は揺動式のため、被固定部材や固定部材が故障した場合には押さえ部材を支持できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、扉が閉められて切羽を押さえた状態において、扉を確実かつ容易に支持できる開放型トンネル掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る開放型トンネル掘削機は、切羽側開口部に、開閉移動する扉を有する開放型トンネル掘削機であって、開放型トンネル掘削機の壁部に、閉鎖時の扉後面を押さえる進退可能なストッパーを備えることを特徴とする。
本発明では、壁部に閉鎖時の扉を押さえる進退可能なストッパーを備えているので、ストッパーが閉鎖時の扉を支持できると共に、切羽側から扉にかかる圧力をストッパーを介して開放型トンネル掘削機の壁部に伝達させることを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明に係る開放型トンネル掘削機では、ストッパーは、開放型トンネル掘削機の壁部に壁部の壁面とほぼ直交する面内で回転可能に保持されて閉鎖時の前記扉を押さえる押さえ部と、壁部に壁部の壁面とほぼ直交する面内で回転可能に保持されると共に押さえ部と回転可能に連結されてなる、長さ方向に伸縮するジャッキと、からなることを特徴とする。
本発明では、開放型トンネル掘削機の壁部にジャッキ構造のストッパーを設けることにより、閉鎖時の扉を強固に支持することができる。また、ジャッキ構造のストッパーなのでストッパーの設置と解除の切り替えが容易にできる。
【0009】
また、本発明に係る開放型トンネル掘削機では、扉は開放型トンネル掘削機の壁部に設けられたガイドに沿って移動する構造であって、切羽側開口部を開閉する扉板と、扉板の上部側に設けられた第一の車輪と、扉板の下部側に設けられた第二の車輪と、を備えて、開放型トンネル掘削機の壁部には、扉の閉鎖時の第一の車輪の位置から開放型トンネル掘削機の後方に伸びる第一のガイドと、扉の閉鎖時の第二の車輪の位置から上方に伸びる曲がる第二のガイドと、が設けられて扉は第一の車輪が第一のガイドに沿って移動し、第二の車輪が第二のガイドに沿って移動することで開閉可能としてもよい。
本発明では、第一の車輪が第一のレール上を移動し、第二の車輪が第二のレール上を移動することで、切羽側開口部を閉鎖する扉は扉の下側が上下方向に移動し、扉の上側が前後方向に移動するので、上下方向に回転して切羽側開口部を開閉することができる。そして、切羽側開口部を閉鎖する扉の切羽側に設けられて、流体が充填された膨張状態で切羽を押圧し、扉の開放時および開閉作業時には収縮させる膨張袋体が扉に備えられている場合に、扉の開閉時に収縮した膨張袋体が開放型トンネル掘削機の床部と接触し摩擦を生じることがなく、扉の開閉を円滑に行えると共に膨張袋体の損傷を防ぐことができる。
また、第一のガイドおよび第二のガイドの位置を調整することによって、扉が移動する動線や、扉の収容位置を自由に設定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、切羽側開口部を閉鎖し切羽を押さえる扉の後面は開放型トンネル掘削機の壁部に設けられた進退可能なストッパーによって支持されるので、確実かつ容易に扉を支持して扉の故障を防げる開放型トンネル掘削機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態による開放型トンネル掘削機の概要を示す図である。
【図2】図1に示す開放型トンネル掘削機の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態による開放型トンネル掘削機の扉が開口部を閉鎖している状態を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態による開放型トンネル掘削機の扉が開口部を開放している状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態による開放型トンネル掘削機の扉の斜視図である。
【図6】図5に示す扉を押さえるストッパーが扉を押さえているときの状態を示す上面図である。
【図7】図5に示す扉を押さえるストッパーが解除されているときの状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態による開放型トンネル掘削機について、図1乃至図7に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による開放型トンネル掘削機1は、例えば道路トンネルやアンダーパス、共同溝といった用途で構築される矩形断面のトンネルを掘削するため開放型のトンネル掘削機であって、比較的地盤中の水が少なく且つ浅い深度のトンネルに採用されている。
そして、基本的には周知のシールド掘削機と同様に、1サイクル分の地山を掘削しつつ適宜な搬送手段によって掘削土砂を坑外に搬出し、開放型トンネル掘削機1の後方で例えばコンクリート、スチール等のセグメントS(覆工体)を組み立て、そのセグメントSから反力を取って推進するものである。1サイクルの掘進距離とは、1リング分のセグメントSを設置することが可能な距離とされる。
なお、本実施の形態では、トンネルの掘削方向を「前方」、「前端」とし、その反対方向を「後方」、「後端」として以下説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、開放型トンネル掘削機1は、矩形断面形状のトンネル断面を上下方向に2段で左右方向に2列の4つの小断面掘削区画2A、2B、2C、2Dに分割させた外殻体3と、各小断面掘削区画2A〜2Dの切羽側の開口を開閉する扉4と、扉4の切羽側に設けられたエアバッグ5(押圧機構)と、各小断面掘削区画2A〜2Dに設置された小断面掘削機6と、小断面掘削機6によって掘削された土砂を後方に搬出させる移送コンベヤ7とから概略構成される。
【0014】
外殻体3は、外周に位置していて矩形状をなすスキンプレート11と、スキンプレート11内の前部位置で小断面掘削区画2A〜2Dを仕切るために上下方向及び左右方向に配置された仕切り板12と、スキンプレート11内の後部側内面の周方向に沿って矩形状に枠組みされた支持枠部13とからなる。
外殻体3の前端部は、上部が下部より切羽側に突出するように所定の傾斜角度で傾斜しており、上段の小断面掘削区画2A、2Cにおける掘削面(切羽)の位置は、下段の小断面掘削区画2B、2Dより開放型トンネル掘削機1の前進方向で前方側に位置している。
【0015】
支持枠部13の後端部の外周には、複数の推進ジャッキ14が設けられており、これらの推進ジャッキ14は、その後端部をセグメントSに押し付けることにより、開放型トンネル掘削機1を前進させる構成となっている。スキンプレート11の内側で上段の小断面掘削区画2A、2Cの上方には、切羽側に向けて突出可能なスライドフード15が設けられている。スライドフード15は、掘削時において上方の地山崩壊を防止するために切羽の地山内に突出させるものである。
【0016】
図3に示すように、扉4は、各小断面掘削区画2A〜2Dの開口を閉鎖する時(以下、単に「閉鎖時」とする)には、扉4の面板の扉板21がトンネルの軸方向(開放型トンネル掘削機1の掘削方向)に対して直交する状態で配設される。そして、図4に示すように、各小断面掘削区画2A〜2Dの開口を扉4が開放する時(以下、単に「開放時」とする)には、扉4は扉板21が各小断面掘削区画2A〜2D上方のスキンプレート11または仕切り板12で形成される天井部16の下側に天井部16と平行または平行に近い状態で配設される。このとき、扉4はエアバッグ5が設置されている面が上側となる。
なお、本実施の形態では、閉鎖時の扉4の扉板21において、切羽に対向する面を前面21aとし、反対側を後面21bとする。
【0017】
図3乃至図5に示すように、扉4は、扉板21と、扉板21の両側面21cに設けられた上側車輪22および下側車輪23とから構成されている。
そして、図3および図4に示すように、各小断面掘削区画2A〜2D内の側方のスキンプレート11または仕切り板12で形成される壁部17には、上側車輪22が滑走する上側車輪用レール(第一のガイド)25と下側車輪23が滑走する下側車輪用レール26(第二のガイド)と、閉鎖時に扉板21を押さえる複数のストッパー27とが設けられている。
【0018】
扉板21は、スキンプレート11と仕切り板12とで囲まれた各小断面掘削区画2A〜2Dの開口を閉塞できる大きさの平板形状に形成されている。
上側車輪22は閉鎖時の扉板21の上部側に、下側車輪23は扉板21の下部側に、扉板21の側面から突出して設けられている。そして、上側車輪22は下側車輪23よりも扉板21の後面21b側に位置するように配設されている。
【0019】
図3および図4に示すように、上側車輪用レール25は、閉鎖時の上側車輪22の位置から開放型トンネル掘削機1の後方に上向きの勾配で伸びる直線のレールである。
下側車輪用レール26は、閉鎖時の下側車輪23の位置から上方に鉛直に伸びて、閉鎖時の上側車輪22よりも高い位置から開放型トンネル掘削機1の後方に曲がり、上向きの勾配で伸びる略L字型形状のレールである。
【0020】
このような扉4は、上側車輪用レール25に沿って上側車輪22が滑走し、下側車輪用レール26に沿って下側車輪23が滑走することで、開放型トンネル掘削機1の切羽側開口部を開閉する。
閉鎖状態の扉4を開放状態とするには、上側車輪22および下側車輪23を移動させて、扉板21の下端部21dを上方へ移動させると共に扉板21の上端部21eを後方へ移動させる。そして、扉4を天井部16の下側に収容することで、切羽側開口部は開放状態となる。このとき、開放状態の扉4を押さえるストッパーやフックなどは適宜設置される。そして、開放状態の扉4を閉鎖状態とするには、上述した閉鎖状態の扉4を開放状態とする手順の逆を行えば閉鎖状態となる。
【0021】
図6および図7に示すように、ストッパー27は、扉4の閉鎖時に扉板21の後面21bを押さえる押さえ部31と、押さえ部31と回転可能に連結するジャッキ32と、押さえ部31を壁部17に直交する水平面内で回転可能に保持し壁部17に固定される第一の固定部33と、ジャッキ32を壁部17に直交する水平面内で回転可能に保持し壁部17に固定される第二の固定部34と、から構成されている。
【0022】
押さえ部31は、長円形状の部材で、長円形の直線部31aが扉板21を押さえる。そして、押さえ部31は、一方の端部31bが第一の固定部33に回転可能に保持されて、他方の端部31cがジャッキ32と連結し、後述するジャッキ32の伸縮および回転によって図中の矢印A1の方向に回転する。
【0023】
ジャッキ32は、たとえば油圧式のジャッキなどで長さ方向(図中の矢印A2の方向)に伸縮する。そして、ジャッキ32は、一方の端部32bが第二の固定部34に図中の矢印A3の方向に回転可能に保持され、他方の端部32cが押さえ部31の端部31cと連結している。
ジャッキ32の端部32bは、壁部17に固定された第二の固定部34に保持されているので、ジャッキ32が伸縮すると他方の端部32cの位置が移動する。そして、このジャッキ32の端部32cは押さえ部31の端部31cと連結しているので、押さえ部31の端部31cと共に図中の矢印A1の方向に移動する。そして、ジャッキ32が伸縮すると共に端部32cが図中の矢印A1の方向に移動すると、ジャッキ32は端部32bを支点として図中の矢印A3の方向に回転する。
第一および第二の固定部33、34は、水平方向に所定の間隔をあけて壁部17に固定されている。
【0024】
上述したように、ストッパー27は、ジャッキ32が伸縮、回転すると、ジャッキ32の端部32cが押さえ部31を回転させる構成である。
そして、閉鎖時の扉4をストッパー27で押さえる場合には、図6示すように、ジャッキ32を伸張、回転させて、押さえ部31を回転させ、ジャッキ32および押さえ部31を壁部17から突出させる。そして、押さえ部31の直線部31aを扉板21の後面21b接触させ、ジャッキ32が収縮しないようにロックして扉4を押さえる。
また、ストッパー27を解除するには、図7に示すように、ジャッキ32を収縮、回転させて、押さえ部31を回転させ、押さえ部31およびジャッキ32を壁部17に沿った状態にする。このとき、ストッパー27は扉4の開閉の弊害とならないように、ストッパー27の壁部17からの出幅37は、壁部17と扉板21の側面21cとの隙間よりも小さい寸法とする。
【0025】
図2に示すように、エアバッグ5は、膨張可能な膨張袋体で、小断面掘削区画2A〜2Dの各扉4の扉板21の切羽側に上下方向に3段で、左右方向に3列の9つ設けられている。エアバッグ5はエアバッグ5の内部に扉板21内に配設された配管を介して空気が流入されて、所定の圧力で膨張する構造となっている。
このようなエアバッグ5は、各小断面掘削区画2A〜2Dにおいて切羽を掘削した後の扉4が閉じた状態で空気が流入されて膨張し、掘削部分の土水圧に対応できる圧力で切羽を押圧して押さえる。このとき、扉4はエアバッグ5の圧力を受けるが、扉板21およびストッパー27はこの圧力に耐えられる強度を有するものとする。
また、図4に示すように、扉4の開閉作業時および開放時には、エアバッグ5は収縮状態とする。
【0026】
次に、上述した開放型トンネル掘削機の作用について図面を用いて説明する。
本実施の形態による開放型トンネル掘削機1では、扉4はその前面に設けられた膨張状態のエアバッグ5を介して切羽を押圧するものであるが、壁部17に固定されたジャッキ構造のストッパー27は、切羽圧力を受ける扉4をその扉板21の後面21bで確実に支持して切羽圧力を壁部17に伝達できる。
また、ストッパー27はジャッキ構造なので、ストッパー27の設置および解除の切り替えを容易に行うことができる。
【0027】
本実施の形態による開放型トンネル掘削機では、ストッパー27が確実に扉4を支持すると共に、扉4が受ける圧力を壁部17に伝達できるので、扉4が故障することを防ぐことができる効果を奏する。
【0028】
また、扉4は、上側車輪22および下側車輪23が上側車輪用レール25および下側車輪用レール26上を移動して、扉4が上下方向に回転して開閉するので、従来の側方に蝶番のある扉のように、収縮したエアバッグ5が各小断面掘削区画2A〜2Dの床部18に引きずられることがない。そして、エアバッグ5と床部18との間に摩擦が生じることがないので、扉4の開閉を円滑に行うことができると共にエアバッグ5の損傷を防ぐことができる。
また、上側車輪22および下側車輪23はそれぞれ上側車輪用レール25および下側車輪用レール26を滑走するので、上側車輪用レール25および下側車輪用レール26の位置を調整することで、移動する扉4の動線や開放時の扉4が収容される位置を自由に設定することができる。また、壁部17に設けられたストッパー27が上側車輪用レール25および下側車輪用レール26と干渉しないように、上側車輪用レール25および下側車輪用レール26の位置を設定することができる。
【0029】
以上、本発明による開放型トンネル掘削機の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、開放型トンネル掘削機1は4つの小断面掘削区画2A〜2Dに分割させた外殻体3を備えて、小断面掘削区画2A〜2Dの切羽側の開口部に扉4を設けているが、トンネル断面の大きさに対して上下または左右に2区画以上に設置してもよい。あるいは小断面掘削区画に分割されていない外殻体の切羽側の開口に扉4を設けてもよい。
また、上記の実施の形態では、ストッパー27の押さえ部31およびジャッキ32は、第一および第二の固体部33、34に壁部17に直交する水平面内で回転可能に保持されているが、完全に直交せずに、壁部17にほぼ直交する面内で回転可能に保持されていてもよく、また、水平面内でなくてもよい。
また、上記の実施の形態では、扉4には切羽側にエアバッグ5が設けられているが、エアバッグ5を設けずに切羽を押さえる扉4を本実施の形態によるトンネル掘削機の扉の構造としてもよい。また、エアバッグ5に代わって、液体が封入されて膨張状態となる膨張袋体を扉4に設置してもよい。
例えば、上述した実施の形態では、上側車輪用レール25に上側車輪22を滑走させて、下側車輪用レール26に下側車輪23を滑走させて扉4を開閉しているが、例えば、壁部17にL字型の一対のレールを設けて、上側車輪および下側車輪を同じレール上に滑走させて扉4を開閉してもよい。
また、上述した実施の形態では、下側車輪用レール26は、閉鎖時の下側車輪23の位置から上方に鉛直に伸びて、閉鎖時の上側車輪22よりも高い位置から開放型トンネル掘削機1の後方に曲がり、上向きの勾配で伸びる略L字型形状のレールであるが、閉鎖時の下側車輪23の位置から上方に伸びるレールで、開放型トンネル掘削機1の後方へ曲がらない形状としてもよい。
要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
【符号の説明】
【0030】
1 開放型トンネル掘削機
4 扉
17 壁部
21 扉板
22 上側車輪(第一の車輪)
23 下側車輪(第二の車輪)
25 上側車輪用レール(第一のガイド)
26 下側車輪用レール(第二のガイド)
27 ストッパー
31 押さえ部
32 ジャッキ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放型トンネル掘削機の切羽側開口部に、開閉移動する扉を有する開放型トンネル掘削機であって、
前記開放型トンネル掘削機の壁部に、閉鎖時の前記扉後面を押さえる進退可能なストッパーを備えることを特徴とする開放型トンネル掘削機。
【請求項2】
前記ストッパーは、前記開放型トンネル掘削機の壁部に前記壁部の壁面とほぼ直交する面内で回転可能に保持されて閉鎖時の前記扉を押さえる押さえ部と、
前記壁部に前記壁部の壁面とほぼ直交する面内で回転可能に保持されると共に前記押さえ部と回転可能に連結されてなる、長さ方向に伸縮するジャッキと、からなることを特徴とする請求項1に記載の開放型トンネル掘削機。
【請求項3】
前記扉は前記開放型トンネル掘削機の壁部に設けられたガイドに沿って移動する構造であって、
前記切羽側開口部を開閉する扉板と、
前記扉板の上部側に設けられた第一の車輪と、
前記扉板の下部側に設けられた第二の車輪と、を備えて、前記開放型トンネル掘削機の壁部には、前記扉の閉鎖時の前記第一の車輪の位置から前記開放型トンネル掘削機の後方に伸びる第一のガイドと、
前記扉の閉鎖時の前記第二の車輪の位置から上方に伸びる第二のガイドと、が設けられて
前記扉は前記第一の車輪が前記第一のガイドに沿って移動し、前記第二の車輪が前記第二のガイドに沿って移動することで開閉可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の開放型トンネル掘削機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−189996(P2010−189996A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37901(P2009−37901)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】