説明

開閉式噴出ヘッド

【課題】省パーツ化及び組み立て作業効率の向上の図られた、内容液を噴出させた後の液切れが良く、液垂れや詰まりの生じ難い開閉式噴出ヘッドを提供する。
【解決手段】本発明は、容器20内に通じる噴射口A1を有しポンプPに繋がるステムSを上下動させるヘッド本体1と、ヘッド本体1を上下動可能に保持しステムSに連結するジョイント5と、ヘッド本体1内に前後進可能に横向き配置され噴射口A1を開閉可能なピン部材3と、ピン部材3とヘッド本体1との間に配置されピン部材3を噴射口A1側に付勢することで噴射口A1を封止する弾性部材4とを有する開閉式噴出ヘッドである。ジョイント5の後側には支持壁6が設けられ、この支持壁6の先端にはピン部材3の上下動を許容する切り欠きCが形成され、切り欠きCを形作る2つの先端部位6aにはそれぞれ、ピン部材3が切り欠きCに沿って下降するとき、ピン部材3の後端3bを後方に向かって滑落させる傾斜面Fが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容液を噴出させた後の液切れが良く、液垂れや詰まりの生じ難い開閉式噴出ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
開閉式噴出ヘッドには、容器内に通じる噴射口を有し容器の内側に配置したポンプを駆動させるヘッド本体と、当該ヘッド本体を上下動可能に保持し当該ヘッド本体をポンプに連結するジョイントと、ヘッド本体内に前後進可能に横向き配置され噴射口を開閉可能なピン部材と、当該ピン部材とヘッド本体との間に配置されピン部材を噴射口側に付勢することで当該噴射口を封止する弾性部材とを有するものが存在する(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3942957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の開閉式噴出ヘッドは、ジョイントとヘッド本体との間に、ヘッド本体の上下動に伴うピン部材の前後進を生起させるための機構を介在させている。この機構は、ヘッド本体に対して組み付けられる取付板と、この取付板に回動可能に組み付けられるL字断面の梃部材となる。このため、従来の開閉式噴出ヘッドには、部品点数の削減という点で改善の余地がある。
【0005】
また、上記機構は、梃部材を取付板に組み付けると共に、この取付板をヘッド本体に組み付けることに加え、梃部材の一方の端部をピン部材の後端を組み付ける必要があるため、組み立て作業効率という点においても改善の余地がある。
【0006】
本発明の解決すべき課題は、省パーツ化及び組み立て作業効率の向上の図られた、内容液を噴出させた後の液切れが良く、液垂れや詰まりの生じ難い開閉式噴出ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明である、開閉式噴出ヘッドは、容器内に通じる噴射口を有し容器の内側に配置したステムを上下動させるヘッド本体と、当該ヘッド本体を上下動可能に保持し当該ヘッド本体をステムに連結するジョイントと、ヘッド本体内に前後進可能に横向き配置され噴射口を開閉可能なピン部材と、当該ピン部材とヘッド本体との間に配置されピン部材を噴射口側に付勢することで当該噴射口を封止する弾性部材とを有する開閉式噴出ヘッドであって、ジョイントの後側に当該ジョイントから起立する支持壁を設け、当該支持壁の先端にピン部材の上下動を許容する切り欠きを形成し、当該切り欠きを形作る2つの先端部位にそれぞれ、ピン部材が切り欠きに沿って下降するとき、当該ピン部材の後端を後方に向かって滑落させる傾斜面を形成してなることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、支持壁は、ジョイントと一体に構成されたものとすることができる。また、本発明によれば、支持壁は、ジョイントと別体に構成されたものとすることもできる。
【0009】
加えて、本発明によれば、支持壁の前面に、ジョイントに対するヘッド本体の下動により、ヘッド本体内にピン部材の配置空間を形成する隔壁のうち、当該ピン部材の後端が貫通する隔壁と接触可能な突出部を設けることができる。また、ヘッド本体には、ピン部材の配置空間を形成する隔壁のうち、当該ピン部材の後端が貫通する隔壁に、ジョイントに対するヘッド本体の下動により支持壁における先端部位の前面と接触可能な突出部を設けることができる。
【0010】
更に、本発明によれば、ヘッド本体は、このヘッド本体の押し下げに伴い当該支持壁に形成された切り欠きに挿入可能な突条部を設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヘッド本体を押し下げることでジョイントに対して下降させると、ヘッド本体内に配置されたピン部材は、ジョイントから起立する支持壁に形成した切り欠きに沿って下降しながら、その後端が傾斜面に沿って滑落することで後進する。これにより、ヘッド本体が、その押し下げによりジョイントに対して押し下げられるのと同時に、ヘッド本体の噴射口は、ピン部材が弾性部材の付勢力に抗して後進することで開放される。
【0012】
また、本発明によれば、ヘッド本体の押し下げが解除されると、ピン部材は、その後端が弾性部材からの付勢力によって支持壁に形成した傾斜面に沿って滑り上がりながら、切り欠きに沿って上昇する。これにより、ヘッド本体が、その押し下げが解除されることによりジョイントに対して押し上げられて初期の位置に復帰するのと同時に、ヘッド本体の噴射口は、ピン部材が弾性部材の付勢力により当該噴射口に付勢されることで封止される。
【0013】
これにより、本発明によれば、従来と同様、内容液を噴出させた後の液切れが良く、液垂れや詰まりの生じ難い開閉式噴出ヘッドを提供することができる。
【0014】
また、本発明によれば、ヘッド本体内に配置したピン部材を支持壁に形成された切り欠きに挿入するだけで、ピン部材がヘッド本体の上下動に伴い前後進するように組み付けることができる。即ち、本発明によれば、従来、ヘッド本体とジョイントとの間に介在させていた機構が不要となる。また、こうした機構が不要になることで、当該機構を組み付けるための煩雑な工程を経ることなく、組み付け工程の簡素化が可能となる。
【0015】
従って、本発明によれば、従来に比べて、部品点数が削減されると共に、組み立て作業効率も向上する。また、省パーツ化と組み立て作業効率の向上によって、生産コストと製造コストも併せて抑制される。
【0016】
即ち、本発明によれば、省パーツ化及び組み立て作業効率の向上が図られ、しかもコスト面に優れ、内容液を噴出させた後の液切れが良く、液垂れや詰まりの生じ難い開閉式噴出ヘッドを提供することができる。
【0017】
また、本発明において、支持壁をジョイントと一体に構成すれば、省パーツ化及び組み立て作業効率の向上に更に有効である。これに対し、支持壁をジョイントと別体に構成すれば、例えば、ヘッド本体との間でのシール性を考慮し、ヘッド本体との連結部分に比較的に柔軟性のある材質を使用する一方で、ピン部材を介した弾性部材からの付勢力を考慮して支持壁の材質として比較的剛性(強度)の高いものを使用しようとする場合など、ジョイントと支持壁とで互いに反する効果を得ようとする場合に有効である。
【0018】
また、支持壁は、その前面に、ジョイントに対するヘッド本体の下動により、ヘッド本体内にピン部材の配置空間を形成する隔壁のうち、当該ピン部材の後端が貫通する隔壁と接触可能な突出部を設ければ、ピン部材の後進に伴い圧縮された弾性部材からの引っ張り力に起因して支持壁が前向きに傾くことで、ピン部材が後退しないことで噴射口が開放されなかったり、ピン部材の後退が十分でないために所望量の注出が得られない等という現象を防止することができる。これにより、ピン部材による噴射口の開閉を確実に行うことができる。
【0019】
上記構成と共に、又は、単独で、ヘッド本体に、ピン部材の配置空間を形成する隔壁のうち、当該ピン部材の後端が貫通する隔壁に、ジョイントに対するヘッド本体の下動により支持壁における先端部位の前面と接触可能な突出部を設ければ、ピン部材の後進に伴い圧縮された弾性部材からの引っ張り力に起因して支持壁が前向きに傾くことで、ピン部材が後退しないことで噴射口が開放されない等の現象を防止することができる。これにより、ピン部材による噴射口の開閉を確実に行うことができる。
【0020】
加えて、ヘッド本体に、このヘッド本体の押し下げに伴い当該支持壁に形成された切り欠きに挿入可能な突条部を設ければ、ピン部材の下降に際して、ピン部材が上下方向で不安定になることを防止することができる。これにより、ピン部材の後退が円滑に達成され、噴射口の開閉を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の第1の形態である開閉式噴出ヘッドを採用した容器の初期状態を側面から模式的に示す断面図、その要部正面図及び、そのX−X断面図である。
【図2】同形態の開閉式噴出ヘッドが初期状態にあるときから、当該開閉式噴出ヘッドを押し下げることで、容器内のポンプを駆動させることなく噴射口のみを開放させた状態を側面から模式的に示す断面図、その要部正面図及び、そのX−X断面図である。
【図3】同形態の開閉式噴出ヘッドの噴射口を開放させた状態から、当該開閉式噴出ヘッドを更に押し下げることで、容器内のポンプを駆動させた状態を側面から模式的に示す断面図である。
【図4】同形態の開閉式噴出ヘッドが初期状態にあるときのY−Y断面図である。
【図5】本発明の第2の形態である開閉式噴出ヘッドを採用した容器の初期状態を側面から模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0023】
符号1は、容器20内に通じる噴射口A1を有し容器20の内側に配置したポンプPを駆動させるヘッド本体である。ヘッド本体1は、その外観形状が、使用者が押し下げの際に使用する天壁1aと、この天壁1aの外縁から筒状に垂下する外周壁1bとで形作られている。
【0024】
また、ヘッド本体1は、その内側に、天壁1aから垂下する隔壁1cと、この隔壁1cから前方に向かって延在し外周壁1bに繋がる隔壁1dとを有し、これら隔壁1c,1dで取り囲まれた領域内に、ヘッド本体1の前方に開口する筒状の凹部をなす流路空間1eが形成されている。
【0025】
また、隔壁1cは、外周壁1bとの間に、後述の支持壁6の配置空間たる副室1fを形成する。副室1fは、隔壁1cに形成された貫通孔1gを通して流路空間1eに通じる。
【0026】
また、ヘッド本体1は、隔壁1dから垂下する下筒部1hを有し、この下筒部1hの内側には、流路空間1eに通じる通路が形成されている。また、下筒部1hの内側には、上述のジョイント5の上筒部5aを摺動可能に嵌合させることができる。
【0027】
符号2は、流路空間1e内に横向きに配置されるノズル(注出筒)である。ノズル2は、周壁2aを有し、その内側に貫通孔としてなる注出路2bを形作る。周壁2aには、その軸線OX周りに間隔を空けて複数の開孔2cが形成されている。これにより、ノズル2の内側に形成された注出路2bは、開孔2cを通して流路空間1eに通じる。なお、開孔1cは、必ずしも複数形成する必要はなく、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0028】
符号3は、ノズル2の内側に形成された注出路2b内に横向きに配置され、ノズル2の噴射口A1を開閉可能なノズルピン(ピン部材)である。ノズルピン3は、環状のピストン3aを一体に有し、このピストン3aを介して注出路2b内に前後進可能に保持されている。
【0029】
符号4は、隔壁1cとピストン3aとの間に配置されるスプリング(弾性部材)である。スプリング4は通常、図1に示すように、ノズルピン3を噴射口A1側に付勢することで当該噴射口A1を封止する。
【0030】
符号5は、ヘッド本体1をポンプPに連結するジョイントである。ジョイント5は、軸線OYに沿って起立する上筒部5aを有し、ヘッド本体1の下筒部1hを上下動可能に保持する。これにより、ヘッド本体1は、その下筒部1hとジョイント5の上筒部5aとの間の密閉状態を維持しつつ、ジョイント5に対して軸線OYに沿って上下方向に摺動させることができる。
【0031】
またジョイント5の内側には、ポンプPのステムSに通じる通路が形成され、ヘッド本体1の下筒部1hを通して注出路2b内に通じさせる。なお、ポンプPは、容器20の内側に配置される既存のポンプ機構であり、ステムSの押し下げ及び復帰の繰り返しにより、容器20の内容物を圧送する。また、ポンプPは、容器20の口部21にリングキャップ30を介して固定されている。
【0032】
ジョイント5の後側には、このジョイント5から起立する支持壁6が一体に設けられている。支持壁6の先端は、2つの先端部位6aが起立する二股形状をしてなる。これにより、2つの先端部位6aの間には、ノズルピン3を後述のように係合させる切り欠きCが形作られている。
【0033】
ノズルピン3を切り欠きCに係合させるのに際し、本形態では、ノズルピン3の後端3bを膨出部として構成している。具体例としては、図示のとおり、ノズルピン3の軸線周りに周溝3cを形成することで、ノズルピン3の後端3bを膨出部として形作る。ノズルピン3の周溝3cに係る外径は切り欠きCの幅寸法以下とする。これにより、ノズルピン3の周溝3cを切り欠きCに挿入すれば、ヘッド本体1がジョイント5に対して上下動するのに追従してノズルピン3も切り欠きCに沿って上下動する。
【0034】
加えて、先端部位6aにはそれぞれ、図1(a),(c)等に示すように、ノズルピン3が切り欠きCに沿って下降するのに伴い当該ノズルピン3の後端3bが滑落する傾斜面Fが形成されている。傾斜面Fは、同図に示すように、下方に向かうに従って後方に向かって傾斜することで、ノズルピン3が切り欠きCに沿って下降することに連動して、スプリング4の付勢力に抗してスプリング4を圧縮させつつ当該ノズルピン3の後進を生起させる。
【0035】
これにより、図1から図2の時系列的な変化に示すように、ヘッド本体1が、その押し下げによりジョイント5に対して押し下げられるのと同時に、ヘッド本体1の噴射口A1は、ノズルピン3がスプリング4の付勢力に抗して後進することで開放される。
【0036】
これに対し、ヘッド本体1の押し下げが解除されると、ノズルピン3は、圧縮状態にあったスプリング4の付勢力(復元力)によって前進しようとすることで、その後端3bが支持壁6に形成した傾斜面Fに沿って滑り上がりながら、切り欠きCに沿って上昇する。これにより、図2から図1の時系列的な変化に示すように、ヘッド本体1が、その押し下げが解除されることによりジョイント5に対して押し上げられて図1に示す初期の位置に復帰するのと同時に、ヘッド本体1の噴射口A1は、ノズルピン3がスプリング4の付勢力(復元力)により当該噴射口A1に付勢されることで封止される。
【0037】
ところで、支持壁6に連結されるノズルピン3は、ヘッド本体1に対してスプリング4によって前進するように付勢されている。このため、ノズルピン3が傾斜面Fに沿って滑落することで後進すると、ヘッド本体1との間で圧縮されたスプリング4からの反力が、ノズルピン3の後端3bを介して支持壁6に対する前方への引っ張り力を生じさせる。こうした引っ張り力は、支持壁6を前向きに傾ける力を生じさせることも考慮される。
【0038】
このため、支持壁6の前面には、図1(a),(b)等に示すように、ノズルピン3の後進に伴い圧縮されたスプリング4からの引っ張り力に起因して支持壁6が前向きに傾くときヘッド本体1に接触する第1の突出部6bが一体に設けられている。第1の突出部6bは、ノズルピン3の後進に伴い圧縮されたスプリング4からの引っ張り力に起因して支持壁6が前向きに傾こうとするとき、ヘッド本体1の内側に設けられた隔壁1cに接触することで、その傾きを防止する2つの縦リブからなる。
【0039】
加えて、ヘッド本体1の隔壁1cには、図1(b),(c)等に示すように、副室1f内における支持壁6の先端部位6aに向かって突出する第2の突出部G1が一体に設けられている。第2の突出部G1は、ノズルピン3の後進に伴い圧縮されたスプリング4からの引っ張り力に起因して支持壁6が前向きに傾こうとするとき、当該支持壁6の先端部位6aと接触することで、その傾きを防止する2つの縦リブからなる。
【0040】
また、ヘッド本体1には、このヘッド本体1の押し下げに伴い切り欠きCに挿入可能な突条部G2が設けられている。突条部G2は、外周壁1bと隔壁2cとの間に掛け渡されて副室1fを左右に仕切る隔壁としてなる。突条部G2は、ヘッド本体1の押し下げに伴い、図2(b)に示すように、切り欠きCに挿入される。
【0041】
本形態の開閉式噴出ヘッドは、ヘッド本体1、ノズル2、ノズルピン3、スプリング4、ジョイント5及び支持壁6からなる。かかる開閉式噴出ヘッドをステムSに装着すれば、当該開閉式噴出ヘッドを上下動させることにより、容器20内のポンプPを駆動させることができる。
【0042】
即ち、本形態によれば、図1に示すように初期位置にあるヘッド本体1を押し下げることでジョイント5に対して下降させると、図2に示すように、ヘッド本体1内に配置されたノズルピン3は、ジョイント5から起立する支持壁6に形成した切り欠きCに沿って下降しながら、その後端3bが傾斜面Fに沿って滑落することで後進する。これにより、ヘッド本体1が、その押し下げによりジョイント5に対して押し下げられるのと同時に、ヘッド本体1の噴射口A1は、ノズルピン3がスプリング4の付勢力に抗して後進することで開放される。
【0043】
その後、更に、ヘッド本体1を押し下げると、ヘッド本体1は、図3に示すように、ジョイント5と一体化した開閉式噴出ヘッドとしてステムSを押し下げることでポンプPの駆動を生起させる。
【0044】
また、本形態によれば、図3の状態からヘッド本体1の押し下げが解除されると、ノズルピン3は、図2に示すように、その後端3bがスプリング4からの付勢力によって支持壁6に形成した傾斜面Fに沿って滑り上がりながら、切り欠きCに沿って上昇する。これにより、図1に示すように、ヘッド本体1が、その押し下げが解除されることによりジョイント5に対して押し上げられて初期の位置に復帰するのと同時に、ヘッド本体1の噴射口A1は、ノズルピン3がスプリング4の付勢力により当該噴射口A1に付勢されることで封止される。
【0045】
これにより、本形態によれば、従来と同様、内容液を噴出させた後の液切れが良く、液垂れや詰まりの生じ難い。
【0046】
また、本形態によれば、ヘッド本体1内に配置したノズルピン3をジョイント5から起立する支持壁6に形成された切り欠きCに通すだけで、ノズルピン3がヘッド本体1の上下動に伴い前後進するように組み付けることができる。即ち、本形態によれば、従来、ヘッド本体1とジョイント5との間に介在させていた、取付板や梃子部材を備える機構が不要となる。また、こうした機構が不要になることで、当該機構を組み付けるための煩雑な工程を経ることなく、組み付け工程の簡素化が可能となる。
【0047】
従って、本形態によれば、従来に比べて、部品点数が削減されると共に、組み立て作業効率も向上する。また、省パーツ化と組み立て作業効率の向上によって、生産コストと製造コストも併せて抑制される。
【0048】
即ち、本形態によれば、省パーツ化及び組み立て作業効率の向上が図られ、しかもコスト面に優れ、内容液を噴出させた後の液切れが良く、液垂れや詰まりの生じ難い開閉式噴出ヘッドを提供することができる。
【0049】
また、本形態の如く、支持壁6をジョイント5と一体に構成すれば、省パーツ化及び組み立て作業効率の向上に有効である。
【0050】
また、本形態の如く、支持壁6に、ノズルピン3の後進に伴い圧縮されたスプリング4からの引っ張り力に起因して、当該支持壁6が前向きに傾くときノズル本体1の隔壁1cと接触する第1の突出部6b、及び/又は、ヘッド本体1に、ノズルピン3の後進に伴い圧縮されたスプリング4からの引っ張り力に起因して支持壁6が前向きに傾くときに接触する第2の突出部G1を設ければ、ノズルピン3の後進に伴い圧縮されたスプリング4からの引っ張り力に起因して支持壁6が前向きに傾くことで、ノズルピン3が後退せず、噴射口が開放されなかったり、ピン部材の後退が十分でないために所望量の注出が得られない等の現象を防止することができる。これにより、ノズルピン3による噴射口A1の開閉を確実に行うことができる。
【0051】
なお、本形態では、図4に示すように、ジョイント5の外周面には一対のガイド壁5cが上方に向かって立設され、このガイド壁5cの外面には軸線OYに沿って延在する2つの縦溝5bが、ノズルピン3が延在する方向と直交する方向において対向するように1対形成されている一方、ヘッド本体1の外周壁1bの内面には、ガイド壁5cに形成された縦溝5bと対応するように内向きに突出する突起1pが一体に設けられている。突起1pはそれぞれ、図4に示すように、ジョイント5に形成された縦溝5bに挿入されることで、縦溝5bと共に、ヘッド本体1が軸線OYに沿ってジョイント5に対して上下動する際の案内として機能する。
【0052】
こうした突起1pと縦溝5bとの関係は、結果的に、ヘッド本体1に対するジョイント5の不正変位を抑制することに通じる。
【0053】
加えて、本形態の如く、ヘッド本体1に、このヘッド本体1から垂下して当該ヘッド本体1の押し下げに伴い当該支持壁6に形成された切り欠きCに挿入可能な突条部G2を設ければ、ノズルピン3の下降に際して、ノズルピン3が上下方向で不安定になることを防止することができる。これにより、ノズルピン3の後退が円滑に達成され、噴射口A1の開閉を確実に行うことができる。
【0054】
また、本発明に従えば、ジョイント5と支持壁6は、図5に例示する第2の形態のように別体のものを組みつけて一体化させることも可能である。
【0055】
本形態の如く、支持壁6をジョイント5と別体に構成すれば、例えば、ヘッド本体1の下筒部1hとの間でのシール性を考慮し、ヘッド本体1との連結部分である上筒部5aに比較的に柔軟性のある材質を使用する一方で、ノズルピン3を介したスプリング4からの付勢力を考慮して支持壁6の材質として比較的剛性(強度)の高いものを使用しようとする場合など、ジョイント5と支持壁6とで互いに反する効果を得ようとする場合に有効である。
【0056】
上述したところは、本発明の好適な形態を示したものであるが、用途に応じて様々に設計変更することができる。例えば、本発明である開閉式噴出ヘッドは、本形態のような手動式ポンプを備えた容器に限らず、エアゾール容器にも適用することができる。加えて、各形態に採用された各構成はそれぞれ、互いに適宜組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、シャンプーやリンス、液体石鹸、化粧料等の内容物を入れる容器は勿論のこと、内容物を入れた様々な容器に適用させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ヘッド本体
2 ノズル
3 ノズルピン(ピン部材)
4 スプリング(弾性部材)
5 ジョイント
6 支持壁
6a 支持壁先端部位
6b 第1の突出部
C 切り欠き
6 先端部位の突端
F 傾斜面
1 第2の突出部
2 突条部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に通じる噴射口を有し容器の内側に配置したステムを上下動させるヘッド本体と、当該ヘッド本体を上下動可能に保持し当該ヘッド本体をステムに連結するジョイントと、ヘッド本体内に前後進可能に横向き配置され噴射口を開閉可能なピン部材と、当該ピン部材とヘッド本体との間に配置されピン部材を噴射口側に付勢することで当該噴射口を封止する弾性部材とを有する開閉式噴出ヘッドであって、
ジョイントの後側に当該ジョイントから起立する支持壁を設け、
当該支持壁の先端にピン部材の上下動を許容する切り欠きを形成し、
当該切り欠きを形作る2つの先端部位にそれぞれ、ピン部材が切り欠きに沿って下降するとき、当該ピン部材の後端を後方に向かって滑落させる傾斜面を形成してなることを特徴とする開閉式噴出ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、支持壁は、ジョイントと一体に構成されたものであることを特徴とする開閉式噴出ヘッド。
【請求項3】
請求項1において、支持壁は、ジョイントと別体に構成されたものであることを特徴とする開閉式噴出ヘッド。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、支持壁は、その前面に、ジョイントに対するヘッド本体の下動により、ヘッド本体内にピン部材の配置空間を形成する隔壁のうち、当該ピン部材の後端が貫通する隔壁と接触可能な突出部を備えることを特徴とする開閉式噴出ヘッド。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、ヘッド本体は、ピン部材の配置空間を形成する隔壁のうち、当該ピン部材の後端が貫通する隔壁に、ジョイントに対するヘッド本体の下動により支持壁における先端部位の前面と接触可能な突出部を備えることを特徴とする開閉式噴出ヘッド。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、ヘッド本体は、このヘッド本体の押し下げに伴い当該支持壁に形成された切り欠きに挿入可能な突条部を備えることを特徴とする開閉式噴出ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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