説明

間仕切り壁用壁パネルセット

【課題】 住戸内に間仕切り壁を形成するに当り、施工する対象の住戸を確認しながら当該住戸のどの位置に壁パネルを施工したらよいかが一目で確認できて施工工期、施工品質を安定化する。
【解決手段】 あらかじめ工場で形成され現場に搬送して目的とする住戸1の間仕切り壁2を形成するための複数の壁パネル3よりなる壁パネルセットである。壁パネルセットを構成する全ての壁パネル3に、それぞれ施工される対象住戸1を表示するための住戸表示4と、対象住戸1内に間仕切り壁2を形成するに当っての該対象住戸1内における各壁パネル3の施工位置を特定して表示するための位置表示5とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらかじめ工場で形成され現場に搬送して目的とする住戸の間仕切り壁を形成するための複数の壁パネルよりなる壁パネルセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンションにおける各住戸の間仕切り壁は、オフィースビルなどの間仕切り壁に比べて間仕切りが複雑で且つ多様な間仕切りがなされるという特徴があり、このため、従来からマンションを建築する際に各住戸の間仕切り壁を形成するには、各住戸毎に現場で間仕切り壁下地を現場施工で形成し、この間仕切り壁下地に石膏ボードのような面板を現場で貼着することで形成していた。このため、現場施工工期が長くなり、また、職人の熟練度の違いにより工期が安定せず、更に施工品質にばらつきがあり、また、間仕切り壁下地を現場施工する際に建具枠も同時に施工する必要があり、建具枠が傷つきやすく、更に、現場施工に伴って廃棄物が多量に発生してこれを処分する手間が必要となり、更にまた、間仕切り壁下地を大工が現場施工する際に、同時に電気工事作業者による間仕切り壁下地内への配線工事が必要となり、工事の錯綜が生じるという諸問題があった。
【0003】
また、プレハブ住宅においては、従来から外壁を複数の壁パネルにより構成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、プレハブ住宅においては、外壁を構成するための複数種類の壁パネルにそれぞれ種類毎に品番が付けてあるが、同じ種類の壁パネルには同じ品番が付いており、同一現場で同じ品番の壁パネルが複数存在している。このように、壁パネルの種類を他の壁パネルと区別するため表示として品番が付いているのみで、全ての壁パネルにそれぞれの壁パネルの施工位置を特定する表示はついていない。また、プレハブ住宅においては、戸建てであるため、各パネルにそれぞれ住戸を特定する住戸表示はついていない。更に、プレハブ住宅においても間仕切りは通常現場で間仕切り壁下地を現場施工で形成し、この間仕切り壁下地に石膏ボードのような面板を現場で貼着することで形成しており、間仕切り壁の形成に当っては上記したような問題点がある。
【特許文献1】特開平10−280586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、住戸内に間仕切り壁を形成するに当り、施工する対象の住戸を確認しながら当該住戸のどの位置に壁パネルを施工したらよいかが一目で確認できて施工工期が短くなると共に、施工工期及び施工品質の安定化が図れ、現場での廃棄物の発生が少なく、また、建具枠を後付けすることが可能となって建具枠の傷付きを防止でき、また、大工工事と電気工事との錯綜を防止することも可能となり、更に、壁パネルの施工に当って、壁パネルのどの面を間仕切りする2つの部屋のどの部屋側に位置させるかということを誤り無くでき、簡単且つ正確に施工できる間仕切り壁用壁パネルセットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る間仕切り壁用壁パネルセットは、あらかじめ工場で形成され現場に搬送して目的とする住戸1の間仕切り壁2を形成するための複数の壁パネル3よりなる壁パネルセットであって、該壁パネルセットを構成する全ての壁パネル3に、それぞれ施工される対象住戸1を表示するための住戸表示4と、対象住戸1内に間仕切り壁2を形成するに当っての該対象住戸1内における各壁パネル3の施工位置を特定して表示するための位置表示5とを設けて成ることを特徴とするものである。
【0007】
このような構成とすることで、住戸1内に間仕切り壁2を形成するに当っては、各壁パネル3の施工毎に、各壁パネル3に設けた住戸表示4と位置表示5とを目で確認しながら、当該壁パネル3を施工する対象の住戸1を確認し且つ当該住戸1のどの位置に当該壁パネル3を施工したらよいかを確認しながら、当該壁パネル3を目的とする対象住戸1の割り付けられた設計通りの位置に施工ができる。したがって、サイズが同じで且つ外観が似ている壁パネル3が複数存在しても、各壁パネル3を正確且つ迅速に割り付けられた設計通りの所定の位置に施工できる。このようにあらかじめ工業化された複数の壁パネル3で間仕切り壁2を形成できるので、施工工期が短縮化され、また、職人の熟練度の差による施工工期のばらつきや施工品質の不安定化を無くすことが可能となり、また、パネル化することで、現場での廃棄物の発生が現場施工による在来工法に比べて少なくなって廃棄物の処理に要する手間も少なくなる。また、工業化パネルとすることで、品質精度が向上するため、建具枠を後付けすることが可能となり、後付けした場合には建具枠の傷付きを防止できることになる。更に、配線器具を取付ける開口や配線用の孔をあらかじめ工場で形成しておくことで、大工工事と電気工事との錯綜を防止することが可能となる。
【0008】
また、各壁パネル3に上記住戸表示4、位置表示5に加え、壁パネル3の一面又は両面が間仕切りする2部屋のうちどちらの部屋側に位置するかを表示する部屋表示6を設けることが好ましい。
【0009】
このような構成とすることで、壁パネル3を、当該壁パネル3に設けられた住戸表示4と位置表示5とに基づいて、対象となる住戸1の決められた位置に施工するに当り、当該壁パネル3の両面のうちどの面をどちらの部屋側に位置させるかが判り、より簡単且つ正確に各壁パネル3を設計通りに施工することができる。
【0010】
また、各壁パネル3に上記住戸表示4、位置表示5に加え、壁パネル3の一面又は両面が間仕切りする2部屋のうちどちらの部屋側に位置するかを表示する部屋表示6を設け、少なくとも部屋表示6が壁パネル3の側端面に設けることが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、壁パネル3を、当該壁パネル3に設けられた住戸表示4と位置表示5とに基づいて、対象となる住戸1の決められた位置に施工するに当り、当該壁パネル3の両面のうちどの面をどちらの部屋側に位置させるかが判り、より簡単且つ正確に一つ一つの壁パネル3を設計通りに施工することができ、しかも、壁パネル3の側端面に部屋表示6が設けてあるので、壁パネル3を施工する際、壁パネル3の両面をそれぞれ確認することなく、壁パネル3の側端面を見るだけで、壁パネル3の両面の向きが一目で確認でき、施工性がよりいっそう向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、壁パネルセットを構成する全ての壁パネルに、それぞれ施工される対象住戸を表示するための住戸表示と、対象住戸内に間仕切り壁を形成するに当っての該対象住戸内における各壁パネルの施工位置を特定して表示するための位置表示とを設けてあるので、各壁パネルの施工毎に、当該壁パネルを施工する対象の住戸及び当該住戸のどの位置に当該壁パネルを施工したらよいかを確認しながら施工ができ、短い施工工期で施工品質の優れた間仕切り壁を施工することができ、また、パネル化するので、現場における廃棄物の処理に要する手間が少なくなり、また、建具枠を後付けすることが可能となって建具枠の傷付きを防止することが可能となり、更に、大工工事と電気工事との錯綜を防止することも可能となり、いっそう施工工期の短縮及び施工品質の向上が図れる。
【0013】
また、部屋表示を設けることで、壁パネルのどの面を間仕切りする2つの部屋のどの部屋側に位置させるかということを誤り無く簡単且つ正確に施工でき、施工位置は正確であるが壁パネルの両側面の向きが逆に施工されるといったトラブルを解消できる。
【0014】
また、部屋表示を壁パネルの側端面に設けることで、壁パネルを施工する際、壁パネルの両面をそれぞれ確認することなく、壁パネルの側端面を見るだけで、壁パネルの両面の向きが一目で確認でき、より簡単且つ確実に設計通りの施工できて壁パネルの両側面の向きが逆に施工されるといったトラブルを解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。本発明においては、住戸1の間仕切り壁2を複数の壁パネル3により形成してある。この住戸1の間仕切り壁を形成するための複数の壁パネル3は工業化パネルであって、あらかじめ工場で形成されるものであり、一つの特定の住戸1につき当該住戸1内の間仕切り壁2を形成するための全ての壁パネル3により当該住戸1用の一組の壁パネルセットが構成してある。
【0016】
図3には多数の住戸1が集合したマンションにおけるある住戸1の平面図(間仕切り壁2を壁パネル3で割り付ける前の平面図)が示してあり、この平面図は、住戸1内を間仕切り壁2により複数の部屋(キッチン、リビング、個室、ベッドルーム、玄関、廊下、トイレ・洗面所・風呂等のサニタリー空間等)に間仕切りする設計図の一例である。
【0017】
このような平面図に基づいて、当該住戸1の間仕切り壁2が形成されるのであるが、本発明においてはこの当該住戸1の間仕切り壁2を形成するための複数の壁パネル3よりなる一組のパネルセットを工場で形成するため、工業化に適するように壁パネル3を割り付ける必要がある。
【0018】
図4は図3の平面図に基づいて間仕切り壁2を形成するための複数の壁パネル3の割り付け図の一例が示してあり、一住戸1毎に当該住戸1の間仕切り壁2を形成するために割り付けられたすべての壁パネル3に対して、間仕切り壁2のどの位置に各壁パネル3が位置するか(つまりどの位置に割り付けられるか)を特定し且つ他の壁パネル3と区別するために割り付けられた各壁パネル3毎に図面上において割り付け位置を表示する割り付け位置表示記号7が記載してある。
【0019】
図4において割り付け位置表示記号7として、割り付けられた各壁パネル3にそれぞれ異なる丸付数字を付けて記載してある。すなわち、図4においては丸付数字1から丸付数字37までの37枚の壁パネル3を割り付けて該当する住戸1の間仕切り壁2を形成するようになっている。
【0020】
上記図4の割り付け図のように割り付けられる当該住戸1の間仕切り壁2を形成するための全ての壁パネル3(図4においては37枚)は工場で形成し、形成された全ての壁パネル3を一組の壁パネルセットとして現場に出荷して、該当する住戸1において後述のようにして施工することで間仕切り壁2を形成するようになっている。工場で形成される壁パネル3はパネル枠10の両面に石膏ボードのような面板11を取着したもので、壁パネル3を工場で形成する際に、必要に応じて面板11のある位置(後述の割り付けによって決定された位置)にコンセント、スイッチ等の配線器具を取付けるための配線器具取付け用開口部8を形成したり、パネル枠10には配線を通すための通線用の孔12を形成したり、あるいは必要に応じて面板11の裏側に補強板13を積層して取付けたりするものである。
【0021】
ここで、壁パネル3の割り付けに当っては、例えば次のようにして割り付けする。
【0022】
以下、図3における複数の間仕切り壁2のうちXで囲んだ部分で示す間仕切り壁2を例にとって説明する。Xで囲んだ部分で示す間仕切り壁2は、長さL=3330mmで、間仕切り壁2の一端(図3でPで示す)から600mm離れた位置の部屋A側の面、1950mm離れた位置の部屋B側の面、2880mm離れた位置の部屋B側の面、3215mm離れた位置の部屋A側の面にそれぞれ配線器具を設け、更に、図3において複数の間仕切り壁2のうちXで囲んだ部分で示す間仕切り壁2の右端部分にエアコン下地としての補強板13を設ける設計となっており、このため、図3は説明の都合上、Xで囲んだ部分で示す間仕切り壁2についてのみ配線器具表示記号9を記載し、上記Pからの寸法を記載し、更にエアコン下地の位置を表示しているが、実際の図面では他の間仕切り壁2にも同様の配線器具表示記号9や寸法やエアコン下地の位置等が記載される。
【0023】
また、工場で壁パネル3を形成するため、できるだけ、間仕切り壁2を形成するための複数の壁パネル3として標準サイズの壁パネル3aを使用し、割り付けた際に標準サイズの壁パネル3aのみでは収まらない場合、標準サイズの壁パネル3aよりも横長さ寸法が短い寸法調整用の壁パネル3bを使用するように割り付けるようにし、また、上記条件を満たしながら生産性、施工性を考慮して、割り付ける壁パネル3の数を少なくするという条件下で割り付けを行う。
【0024】
ここで、標準サイズの壁パネル3aの横長さ寸法をM、寸法調整用の壁パネル3bの横長さ寸法をNとした場合、L=n×M+Nとなる(n:整数、M>N)。そして、図3、図4の例では標準サイズの壁パネル3aの横長さ寸法M=910mmであるため、N=600mmとなり、nは3となる。つまり、Xで囲んだ部分で示す間仕切り壁2は、横長さ寸法が910mmの標準サイズの壁パネル3aを3枚と、横長さ寸法が600mmの寸法調整用壁パネル3bを1枚使用して形成されることになる。そして、上記横長さ寸法が910mmの3枚の標準サイズの壁パネル3aと、横長さ寸法が600mmの1枚の寸法調整用壁パネル3bとをどのように配置して割り付けるかであるが、間仕切り壁2の一端でPから600mm離れた位置の部屋A側の面に配線器具を設ける設計となっているため、図4のXで囲んだ部分で示す間仕切り壁2の図面上最も左端に横長さ寸法が600mmの寸法調整用壁パネル3bが位置するような割り付けを行うと、Pから600mm離れた位置にパネル枠10の端面が位置することになり、Pから600mm離れた位置の部屋A側の面に配線器具取付け用開口部8を設けることができなくなる。したがって、図4に示すように、Xで囲んだ部分で示す間仕切り壁2において図面上最も左端には横長さ寸法M=910mmの標準サイズの壁パネル3aを配置するという割り付けになる。また、標準サイズの壁パネル3aを連続させ、寸法調整用の壁パネル3bを端に位置させるのが施工上及び収まり上、好ましいので、Xで囲んだ部分で示す間仕切り壁2において図面上最も右端には横長さ寸法が600mmの寸法調整用壁パネル3bを配置するという割り付けになり、更に、中間には横長さ寸法M=910mmの標準サイズの壁パネル3aを2枚配置するという割り付けになる。
【0025】
上記のようにして、図3、4のXで囲んだ部分で示す間仕切り壁2において図面上、左から右にかけて順番に割り付けた4枚の壁パネル3に図4のように丸付数字1〜丸付数字4として割り付け位置表示記号7を施すのであるが、ここで、丸付数字1〜丸付数字4で特定される壁パネル3は、それぞれ、図3の設計図に示される位置に配線器具を取付けることができるように設計図に対応した面の設計図に対応した位置の面板11に配線器具取付け用開口部8を工場で形成し、また、これに対応してパネル枠10に通線用の孔12を工場で形成したり、あるいは、エアコン等の下地となる補強板13を工場で取付けたりする。なお、図4において丸付数字2で示す標準サイズの壁パネル3aには配線器具取付け用開口部8や通線用の孔12や補強板13を設けない設計となっている。このようにして図4のように割り付けられた複数の壁パネル3は工場で形成され、現場に搬送して現場で各壁パネル3を施工することで間仕切り壁2を形成するのであるが、図5には工場で形成された丸付数字1〜丸付数字4で特定される4枚の壁パネル3を横に並べた図面が示してある。
【0026】
上記の説明では図3、4でXで囲んだ部分で示す間仕切り壁2を形成するにあたって複数の壁パネル3を割り付けする例を説明したが、図3、4において住戸1には上記Xで囲んだ部分で示す間仕切り壁2以外にも複数の間仕切り壁2があり、これら他の間仕切り壁2の上記と同様にしてそれぞれ壁パネル3を割り付けする。このようにして割り付けられた壁パネル3にそれぞれ割り付け位置を特定して表示するための割り付け位置表示記号7として図面に丸付数字1から丸付数字37を記載して割り付けられた各壁パネル3をそれぞれ特定するようになっている。これにより、どの壁パネル3がどの割り付け位置に配置されるかが判るようになっている。
【0027】
上記のようにして割り付けられた丸付数字1から丸付数字37に対応した37枚の壁パネル3を工場で作成するのであるが、工場では更に作成された丸付数字1から丸付数字37に対応する37枚の壁パネル3にはそれぞれ施工される対象住戸1を表示するための住戸表示4と、対象住戸1内に間仕切り壁2を形成するに当っての該対象住戸1内における各壁パネル3の施工位置を特定して表示するための位置表示5が設けられる。例えば、多数の住戸1が集合したマンションの場合、住戸表示4としては住戸番号を表示し、戸建て住戸1の場合は○○邸といった住戸名称を表示をする。また、対象住戸1内における各壁パネル3の施工位置を特定して表示するための位置表示5は、複数の壁パネル3により間仕切り壁2を形成するに当っての各壁パネル3の割り付け位置により施工位置の特定ができるので、前述の割り付けにより各壁パネル3の割り付け位置を特定するための丸付数字1から丸付数字37に対応して、パネル番号として1〜37を表示する。ここで、パネル番号1、2、3……37はそれぞれ割り付け番号である丸付数字1、2……37に対応する。
【0028】
また、各壁パネル3には上記住戸表示4、位置表示5に加え、壁パネル3の一面又は両面が間仕切りする2部屋のうちどちらの部屋側に位置するかを表示する部屋表示6が設けられる。
【0029】
図1、図2に示す実施形態では、各壁パネル3の側端面に表示シール15を貼り付けてあり、この表示シール15に上記住戸表示4、位置表示5、部屋表示6が表示してある。すなわち、図1においては、図4の壁パネルの割り付け図におけるパネル割り付け番号である丸付数字3に対応するパネル番号3の壁パネル3が例示してあり、該パネル番号3の壁パネル3の側端面に貼り付けた表示シール15の上部には2103−3と記載してあり、これは、2103(21階の3号室)という住戸番号(住戸表示4)と、3番というパネル番号(位置表示5)を表示している例であり、また、表示シール15の下部の左側に部屋名A、右側に部屋名Bと記載してあるが、これば当該壁パネル3の表示シール15を貼った端面に向かって左側に部屋Aが位置し、右側に部屋Bが位置することを表示している。
【0030】
更に、図2においては、図4の壁パネルの割り付け図におけるパネル割り付け番号である丸付数字4に対応するパネル番号4の壁パネル3が例示してあり、該パネル番号4の壁パネル3の側端面に貼り付けた表示シール15の上部には2103−4と記載してあり、これは、2103(21階の3号室)という住戸番号(住戸表示4)と、4番というパネル番号(位置表示5)を表示している例であり、また、表示シール15の下部の左側に部屋名A、右側に部屋名Bと記載してあるが、これは当該壁パネル3の表示シール15を貼った端面に向かって左側に部屋Aが位置し、右側に部屋Bが位置することを表示している。
【0031】
したがって、工場で形成した住戸表示4、位置表示5、部屋表示6が付けられた対象となる住戸1の間仕切り壁2を形成するための全ての壁パネル3が一組のパネルセットとなって、現場に搬送され、該一組のパネルセットを用いて対象住戸1において間仕切り壁2を施工するものである。この場合、各壁パネル3毎に住戸表示4、位置表示5、部屋表示6が付けてあるので、各壁パネル3の施工毎に、当該壁パネル3を施工する対象の住戸1を確認し且つ当該住戸1のどの位置に当該壁パネル3を施工したらよいかを確認しながら、当該壁パネル3を目的とする対象住戸1の設計通りの割り付け位置に施工ができる。
【0032】
これによりサイズが同じで且つ外観が似ている壁パネル3が複数存在しても、配線器具取付け用開口部8の有無、その位置、あるいは、補強板13の有無、その位置等の様々に異なる各壁パネル3を図4の割り付け図の通り正確な位置に建て込むことができる。また、部屋表示6を見ることで、当該壁パネル3の両面のうちどの面をどちらの部屋側に位置させるかが判るので、壁パネル3の両面の向きを誤りなく正確に設計通りに施工することができる。この場合、図1、図2のように壁パネル3の両面が間仕切りする2部屋のうちそれぞれどちらの部屋側に位置するかを表示する部屋表示6を壁パネル3の側端面に設けることで、壁パネル3を施工する際、壁パネル3の両面をそれぞれ目で確認することなく、壁パネル3の側端面を見るだけで、壁パネル3の両面の向きが一目で確認でき、施工性がよりいっそう向上することになる。
【0033】
上記例では多数の住戸1が集合したマンションにおける1つの住戸1について間仕切り壁2を形成するためのパネルセットの例を示したが、マンションにおいて他の住戸1においても、上記と同様にして当該別の住戸1に対応した間仕切り壁2を形成するために壁パネル3の割り付けを行い、当該別の住戸1に対応した割り付けに基づいたパネルセットを工場で形成し、該パネルセットを構成する各壁パネル3毎に上記と同様にして住戸表示4、位置表示5、部屋表示6を付け、これを現場に運んで、対象となる他の住戸1の間仕切り壁2を形成する。このようにすることで、マンションのように多数の住戸1が集合した建物において、住戸1毎に平面プランが異なる場合であっても、各住戸1毎に異なる間仕切り壁2を工業化した壁パネル3を用いて形成するに当って、各住戸1毎に間違うことなく間仕切り壁2を形成することができる。
【0034】
また、多数の住戸1が集合したマンションにおいては、壁パネル3を搬送する際に、住戸番号の異なる複数の住戸1の壁パネル3又はパネルセットを工場からトラックに混載して現場に搬送し、場合によっては現場に混載状態で一時的に保管し、工事の進捗状況に応じて各住戸1空間に運んで施工する場合がある。このような場合でも本発明においては、各壁パネル3毎に住戸表示4が設けてあるので、混載しあっても、各壁パネル3をそれぞれ住戸表示4で特定される住戸番号の住戸1に誤りなく運んで施工することができ、この結果、多数の住戸1が集合したマンションにおいて、各住戸1毎に異なる間仕切り壁2を形成するような場合であっても、工業化した複数の壁パネル3よりなるパネルセットを用いて簡単に各住戸1の間仕切り壁2を形成できることになる。
【0035】
上記間仕切り壁2を形成するためのパネルセットを構成する複数の壁パネル3は、例えば下記のような施工順序により施工される。
【0036】
まず当該住戸1に床下地20、天井下地21の順に先行して施工する。床下地20としては例えば2重床下地であり、スラブのような床基部22上にアジャスター脚23を立設して該アジャスター脚23により床下地材20aを支持することで2重床下地を形成する。また、上階のスラブから吊り具などを介して天井下地21を吊設することで天井下地21を形成する。
【0037】
このようにして床下地20、天井下地21を先行施工した後、壁パネル3を施工する。壁パネル3の施工に当っては、図7に示すように床下地20上の設計により特定される位置に床ランナ24を固着し、該床ランナ24に壁パネル3の下端部を嵌め込んで立設し、壁パネル3を床ランナ24と天井下地21とにそれぞれ固着する。隣接する壁パネル3同士は雇い実25を介して接合する。このようにして複数の壁パネル3を施工して間仕切り壁3を形成する。
【0038】
上記のように、床下地20、天井下地21を先行した後、壁パネル3を建て込んで間仕切り壁2を形成すると以下のような効果が得られる。すなわち、床下地20、天井下地21を先行して施工することで、床高さ、天井高さを精度良く施工できて、工業化壁パネル3をアジャスター機構なしで取付けることができ、壁パネル3形状の単純化が図れる。また、後からのリフォーム性、設計変更にも容易に対応できる。また、天井下地21施工時に床下地20を施工してあるので、安全に天井下地21の施工ができる。更に、広い空間での天井下地21の施工は部材の振り回しが楽で施工効率が上がり、間仕切り壁2で仕切る前に広く空間のときにキッチンなどの大きな部材を搬入することができて、搬入が容易となり、搬入時の傷付きを削減できる。更にまた、床下の配管設置後に2重床下地を形成して覆うことで、その後の天井下地21施工や間仕切り壁2の施工工程で配管を踏んだりして傷付けることがない。
【0039】
もちろん、本発明の間仕切り壁2を形成するためのパネルセットを構成する複数の壁パネル3の施工は、上記のような施工順序で施工されるものにのみ限定されず、他の施工順序により施工してもよい。例えば、壁パネル3を先行施工した後、床下地20、天井下地21を施工したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の壁パネルセットを構成する複数の壁パネルのうちの一つの壁パネルを示す斜視図である。
【図2】同上の他の壁パネルを示す斜視図である。
【図3】同上の壁パネルを割り付ける前の住戸の平面図である。
【図4】同上の壁パネルを割り付けた状態の平面図である。
【図5】同上の図5のXで囲んだ部分に割り付けられる4枚の壁パネルを横一列に並べた状態の正面図である。
【図6】同上の補強板を設けた壁パネルの例を示す断面図である。
【図7】同上の壁パネルの施工例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 住戸
2 間仕切り壁
3 壁パネル
4 住戸表示
5 位置表示
6 部屋表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ工場で形成され現場に搬送して目的とする住戸の間仕切り壁を形成するための複数の壁パネルよりなる壁パネルセットであって、該壁パネルセットを構成する全ての壁パネルに、それぞれ施工される対象住戸を表示するための住戸表示と、対象住戸内に間仕切り壁を形成するに当っての該対象住戸内における各壁パネルの施工位置を特定して表示するための位置表示とを設けて成ることを特徴とする間仕切り壁用壁パネルセット。
【請求項2】
各壁パネルに上記住戸表示、位置表示に加え、壁パネルの一面又は両面が間仕切りする2部屋のうちどちらの部屋側に位置するかを表示する部屋表示を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の間仕切り壁用壁パネルセット。
【請求項3】
各壁パネルに上記住戸表示、位置表示に加え、壁パネルの一面又は両面が間仕切りする2部屋のうちどちらの部屋側に位置するかを表示する部屋表示を設け、少なくとも部屋表示が壁パネルの側端面に設けてあることを特徴とする請求項1記載の間仕切り壁用壁パネルセット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate