説明

間仕切り壁等の遮音性能を表現する装置

【課題】周囲が静かでない環境下においても、一般の人に間仕切り壁の遮音性能を容易に理解し納得してもらうことができる、間仕切り壁の遮音性能を表現する装置を提供する。
【解決手段】第1室8と第2室9とが一般の間仕切り壁4で仕切られると共に、前記第1室8と第3室10とが一般の間仕切り壁4とは遮音性能を異にする千鳥式間仕切り壁5で仕切られ、第1室8に音源としての鐘8が吊られると共に、第2室9と第3室10とにそれぞれ水11,11が水面11a,11aを見せるように収容され、第1室8内の鐘12の発する音の振動が、一般の間仕切り壁4を通じて第2室9の水11に伝えられると共に、千鳥式間仕切り壁5を通じて第3室10の水11に伝えられるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切り壁の遮音性能を表現する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅用等の建物の屋内などで用いられる間仕切り壁の遮音性能を一般の人に理解してもらう方法として、間仕切り壁を挟む一方の側に音源を設置すると共に、もう一方の側に人に立ってもらい、音源から発する音を間仕切り壁を挟んで聞いてもらう方法がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、周囲が静かでないところでは、人の聴覚能力が発揮されにくく、上記のような方法を実施するためには、音に関する高度の環境整備をしておかなければならず、コストが高くつくという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、周囲が静かでない環境下においても、一般の人に間仕切り壁等の遮音性能を容易に理解し納得してもらうことができる、間仕切り壁等の遮音性能を表現する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、第1室と第2室とが間仕切り壁で仕切られ、第2室に水が水面を見せるように収容され、第1室で発せられる振動が間仕切り壁を通じて第2室の水に伝えられるようになされていることを特徴とする間仕切り壁の遮音性能を表現する装置によって解決される。
【0006】
この装置では、第1室で振動が発せられると、その振動によって第2室の水の水面に波立ちを生じる。この波立ちの大きさを目で観察することによって、間仕切り壁の遮音性能の把握が可能であり、周囲が静かでない環境下においても、間仕切り壁の遮音性能を容易に把握することができる。
【0007】
また、上記の課題は、第1室と第2室とが第1間仕切り壁で仕切られると共に、前記第1室と第3室とが第1間仕切り壁とは遮音性能を異にする第2間仕切り壁で仕切られ、
第2室と第3室とにそれぞれ水が水面を見せるように収容され、第1室で発せられる振動が、第1間仕切り壁を通じて第2室の水に伝えられると共に、第2間仕切り壁を通じて第3室の水に伝えられるようになされていることを特徴とする間仕切り壁の遮音性能を比較して表現する装置によっても同様に解決される。
【0008】
特にこの装置では、遮音性能の互いに異なる第1,第2の間仕切り壁の遮音性能を、第2室に収容された水の水面の波立ちと、第3室に収容された水の水面の波立ちの違いを見比べならがら比較することができ、各間仕切り壁の遮音性能の違いを容易に理解することができる。
【0009】
また、第1、第2の間仕切り壁が、それら遮音構造の違いを外から目視できるように備えられている場合は、遮音構造の違いによる遮音性能の違いを目で見てリアルに詳しく理解することができる。
【0010】
更に、上記の課題は、第1室と第2室とが間仕切りで仕切られ、第2室に水が水面を見せるように収容され、第1室で発せられる振動が間仕切りを通じて第2室の水に伝えられるようになされていることを特徴とする間仕切りの遮音性能を表現する装置によって解決される。
【0011】
即ち、本装置では、間仕切りは、壁に限らず、階上の室と階下の室との間を仕切る床であってもよいし、屋内と屋外との間を仕切る外壁であってもよいし、その他の間仕切りであってもよく、第2室の水の水面に波立ちの大きさを目で観察することによって、周囲が静かでない環境下においても、そのような各種間仕切りの遮音性能の把握が可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のとおりのものであるから、周囲が静かでない環境下においても、一般の人に間仕切り壁等の遮音性能を容易に理解し納得してもらうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示す表現装置1は、第1間仕切り壁としての一般の間仕切り壁4の遮音性能と、第2間仕切り壁としての千鳥式間仕切り壁5の遮音性能を比較して表現するものである。
【0015】
いずれの間仕切り壁4,5も、面材7,7間に横桟6…が入れられたものであるが、一般の間仕切り壁4は、一方の面材7の側の横桟6…ともう一方の面材7の側の横桟6…とが重なるように備えられているのに対し、千鳥式間仕切り壁5は、一方の面材7の側の横桟6…ともう一方の面材7の側の横桟6…とが重なることなく千鳥状に備えられて遮音性能が高められており、横桟6…の入れ方の違いによって遮音性能が異ならされている。
【0016】
表現装置1は、基台2の上に、内部を透視できる密閉された横長の容器3が設置され、該容器3内が上記の二つの間仕切り壁4,5によって、中央の第1室8と、左右の第2室9、第3室10の3室に仕切られ、その状態で、両間仕切り壁4,5の遮音構造の違い、即ち、横桟6…の配列の違いを外から目視できるようになされている。
【0017】
そして、第1室8に音源としての鐘12が吊られ、第2室9と第3室10とにそれぞれ水11,11が水面11a,11aを見せるように収容されている。更に、第1室8の正面側の容器壁には孔13が明けられ、そこに鐘12を突く鐘突き棒14が設置され、該鐘突き棒14は、手前側に引いて離すという操作を行うことで、図示しないバネの付勢力により内方に進出し、鐘12が鳴るようになされて、鐘12の発する音の振動が、一般の間仕切り壁4を通じて第2室9の水11に伝えられると共に、千鳥式間仕切り壁5を通じて第3室の水11に伝えられるようになされている。また、第2室9と第3室10の各水面11a,11aには、水面11a,11aの波立ち具合をわかりやすくする表現するミニチュアヨット15,15などの浮きが浮かばされている。
【0018】
上記の装置1は、例えば、住宅等の建築物体験施設等に展示され、図2(イ)に示すように、人16が鐘突き棒14を手前に引っ張り、図2(ロ)に示すように、鐘突き棒14を離すと、鐘12が鳴り、鐘12の音の振動が、両間仕切り壁4,5を通して第2室9と第3室10の各水11,11に伝えられ、一般の間仕切り壁4が面する第2室9の水11の水面11aは大きく波立ち、千鳥式間仕切り壁5が面する第3室10の水11の水面11aはわずかに波立つという現象を生じる。この波立ちの違いを目で見ることにより、各間仕切り壁4,5の遮音性能の違い、即ち千鳥式間仕切り壁5が高い遮音性能を持っていることを、一般の人であっても容易に理解することができ、しかも、この理解を得るために周囲が静かである必要もない。また、それを各間仕切り壁4,5の遮音構造を目で確認しながら行うことができ、遮音性能のリアルで詳しい理解を得ることができる。
【0019】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、遮音性能の異なる2つの間仕切り壁で室を3つに仕切って各間仕切り壁の遮音性能を比較できるようになされている場合を示したが、特定の遮音性能を備えた1つの間仕切り壁で室を2つに仕切った装置に構成してもよく、その場合であっても、静かでない環境下において、その間仕切り壁の遮音性能を目で見て把握することができる。また、使用する間仕切り壁は、上記のような一般の間仕切り壁4や千鳥式間仕切り壁5に限られるものではなく、その他の間仕切り壁であってもよい。また、上記の表現装置において、第4室を備えさせ、第4室と第1室とを第3の間仕切り壁で仕切る構造となされていてもよく、間仕切り壁や室の数に制限はない。また、間仕切り壁のほか、床や外壁等の間仕切りの遮音性能表現装置として構成してもよい。また、音源は、上記のような鐘に限らず、スピーカー等であってもよいし、そのような音源装置に限らず、第1室で間仕切り等をハンマー等で叩くことにより、振動を発するようになされたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態の表現装置を示す斜視図である。
【図2】図(イ)及び図(ロ)は装置の使用方法を順次に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1…表現装置
4…一般の間仕切り壁(第1間仕切り壁、間仕切り)
5…千鳥式間仕切り壁(第2間仕切り壁、間仕切り)
8…第1室
9…第2室
10…第3室
11…水
11a…水面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1室と第2室とが間仕切り壁で仕切られ、第2室に水が水面を見せるように収容され、第1室で発せられる振動が間仕切り壁を通じて第2室の水に伝えられるようになされていることを特徴とする間仕切り壁の遮音性能を表現する装置。
【請求項2】
第1室と第2室とが第1間仕切り壁で仕切られると共に、前記第1室と第3室とが第1間仕切り壁とは遮音性能を異にする第2間仕切り壁で仕切られ、
第2室と第3室とにそれぞれ水が水面を見せるように収容され、第1室で発せられる振動が、第1間仕切り壁を通じて第2室の水に伝えられると共に、第2間仕切り壁を通じて第3室の水に伝えられるようになされていることを特徴とする間仕切り壁の遮音性能を比較して表現する装置。
【請求項3】
第1、第2の間仕切り壁が、それら遮音構造の違いを外から目視できるように備えられている請求項2に記載の間仕切り壁の遮音性能を比較して表現する装置。
【請求項4】
第1室と第2室とが間仕切りで仕切られ、第2室に水が水面を見せるように収容され、第1室で発せられる振動が間仕切りを通じて第2室の水に伝えられるようになされていることを特徴とする間仕切りの遮音性能を表現する装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−47436(P2006−47436A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224946(P2004−224946)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】