説明

間仕切壁

【課題】端部から一方向にしか壁パネルを解体することのできない間仕切壁では、壁パネルの解体や接続作業が煩雑であることから、一旦、壁パネルを組み上げると、空間レイアウトの変更が困難であった。
【解決手段】一方向へ壁パネル12を接続し、それとは逆の一方向へ壁パネル12を解体する接続形式の壁パネル12・12・・・を接続して成る間仕切壁Wおいて、該間仕切壁Wの連続する略同一平面のそれぞれに少なくとも一つの開口部7を設けた。そして、前記開口部7の周縁に、少なくとも一つの開口横枠と、壁パネルの側面に着脱可能に固定した二つの開口縦枠とから成る開口枠を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切壁の構成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内空間を家具や壁パネルにて形成した間仕切壁にて、可変且つ自在に間仕切ることが知られている。室内空間を生活様式の変化に応じてそれぞれの配置を組み替えることが可能であるという利点を有する。例えば、特許文献1に記載の技術のように、間仕切壁を形成する壁パネルや家具等を特定寸法(モジュール)に基づいて構成して、これらの要素を自在に組み替えることにより、室内空間のレイアウトを可変としている。
【0003】
上述のように、広い室内空間を可変に間仕切る間仕切壁は、複数の壁パネルを接続して形成される。壁パネルの接続形態は該壁パネルの構造によって様々である。
例えば、特許文献2に記載の技術のように、既設の壁パネルに対して接続する壁パネルを上下方向に移動させる動作によって嵌合する形態の嵌合部材を用いて、壁パネル同士を接続し、間仕切壁を形成するものが知られている。
このように上下方向に接続しようとする壁パネルを移動させる動作にて壁パネル同士を接続する形態の壁パネルの場合、間仕切壁を解体する際には、壁パネルの解体方向は一方向となる。つまり、図10に示すように、例えば、平面視L字状に間仕切壁Wを立設施工する際に、L字の一側端部の壁パネル12Aから他側端部の壁パネル12Zに向かって順番に間仕切壁Wの構成要素である壁パネル12・12・・・を接続し、また、この間仕切壁Wを解体する際には、最後に接続した前記他側端部の壁パネル12Zから、前記一側端部の壁パネル12Aに向かって順番に解体するのである。
【特許文献1】特開平2−49859号公報
【特許文献2】特開2000−129827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献2に記載のように壁パネルを接続する場合、間仕切壁の端部側から一方向にしか間仕切壁を解体することができず、例えば、図10に示すように、間仕切壁Wの中央に配置された壁パネル12Xのみを取り外そうとする場合には、最後に組み付けた間仕切壁Wの端部にある壁パネル12Zから目的とする壁パネル12Xまでの全ての壁パネル12・12・・・を解体する必要がある。
間仕切壁の構成壁パネル枚数が少ない場合には解体する壁パネルの数が少なくて済み、問題はさほど生じないが、上記特許文献2に示すように、室内を大空間としてこれを間仕切壁で自在に間仕切る場合には、間仕切壁を構成する壁パネルの数は膨大になり、また、その接続形態もL字状・十字状・T字状というように複雑になる。このような場合には、端部から一方向にしか解体することのできない間仕切壁は、空間レイアウトの変更作業が煩雑となり、空間を自在に変化させて空間を有効利用しようとする住人の意志を低下させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、一方向へ壁パネルを接続し、それとは逆の一方向へ壁パネルを解体する接続形式の壁パネルを接続して成る間仕切壁おいて、該間仕切壁の連続する略同一平面のそれぞれに少なくとも一つの開口部を設けたものである。
【0007】
請求項2においては、前記開口部の周縁に、立設された壁パネル間に該壁パネルと異なる部材に支持固定された少なくとも一つの開口横枠と、立設された壁パネルの側面に着脱可能に固定した二つの開口縦枠とから成る開口枠を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、間仕切壁の各連続する略同一平面に該間仕切壁の解体と接続の起点を形成することができ、解体又は接続する壁パネルの数を抑えて室内空間のレイアウトの変更を行うことができる。
【0010】
請求項2においては、開口枠の構成部材は、間仕切壁を構成する全ての壁パネルの接続施工後に取り付けることができ、且つ、間仕切壁を構成する全ての壁パネルから最初に取り外すことができるので、開口部の間仕切壁の解体又は組立の起点となる機能を維持しながら、開口部を装飾することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例に係る間仕切壁の構成を示した平面図、図2は間仕切壁を構成する壁パネルの接続手順を説明する図、図3は間仕切壁を備えた室内空間の様子を示す図である。
図4は上下レールを敷設した間仕切壁施工の様子を示す図、図5は壁パネルを立設した間仕切壁施工の様子を示す図、図6は開口枠を取り付けた間仕切壁施工の様子を示す図、図7は開口部への開口枠の取り付け手順を説明する図、図8は巾木を取り付けた間仕切壁施工の様子を示す図、図9は戸を取り付けた間仕切壁施工の様子を示す図である。
図10は従来の間仕切壁の構成の一例を示した平面図である。
【0012】
本発明に係る間仕切壁構造では、図1に示すように、壁パネル12を上下方向に移動させることによって壁パネル12・12同士を接続して成る間仕切壁Wの少なくとも一部に、開口部7を形成するとともに、該開口部7に開口枠を備えることを特徴としている。
【0013】
例えば、壁パネル12・12同士を接続する際には、図2(a)に示すように、既に立設された壁パネル12(12A)の側面に接続部材30・30を設け、該壁パネル12(12A)の側方に接続する壁パネル12(12B)を仮立てしたのち、接続する壁パネル12(12B)を略水平方向に移動してその側面に形成された接続用溝(図示せず)に接続部材30・30を嵌入し、図2(b)に示すように、接続する壁パネル12(12B)を相対的に下方から上方へ上下方向に移動させることによって、壁パネル12・12を緊結した状態とする。
また、間仕切壁Wを解体する際には、接続するときとは逆に、隣接する壁パネルのうち後に接続した方の壁パネルを、上方から下方へ上下方向に移動させることによって、接続を解除して解体する。
【0014】
従って、上述のように接続・解体する壁パネルは、接続方向と解体方向が一義的に定められるので、図1に示すように、間仕切壁Wを構成する壁パネルは、基本的に間仕切壁Wの一側端にある壁パネル12A(接続方向上流側)から、間仕切壁Wの他側端にある壁パネル12Z(接続方向下流側)へ向かう方向へ壁パネル12・12・・・を接続し、これとは逆方向へ壁パネル12・12・・・を解体することとなる。そして、後述するように、間仕切壁Wに開口部7・7・・・を形成することにて、該開口部7の接続方向上流側の壁パネル12Z’・12Z’・・・を解体の起点とすることができ、また、該開口部7の接続方向下流側の壁パネル12A’・12A’・・・を接続の起点とすることができる。
【0015】
なお、本発明は、一方向へ壁パネルを接続し、それとは逆の一方向へ壁パネルを解体する接続形式の壁パネルを採用する間仕切壁に適用させることができ、接続部材の形状等の接続形態や、壁パネルの形態等には限定されない。
【0016】
図3に示すように、据え付けられた間仕切壁が存在しない室内空間を、複数の壁パネルを接続して成る間仕切壁W・・・にて間仕切る場合には、間仕切壁Wの連続する略同一平面のそれぞれに少なくとも一つの開口部7を設けるようにする。これにより、間仕切壁Wの各連続する略同一平面に該間仕切壁の解体と接続の起点を形成することができ、解体又は接続する壁パネルの数を抑えて室内空間のレイアウトの変更を行うことができる。
【0017】
ここで、室内空間に平面視略L字状に間仕切壁Wを組み立てる施工例について説明する。
図4に示すように、まず、天井9に上レール10、床8に下レール11を、接着剤やビス等を用いて固定する。上レール10と下レール11とは、上下に略平行に配置され、これらのレールにて間仕切壁Wの立設位置がほぼ定められる。
なお、間仕切壁Wのうち、開口部7を形成する部分には、下レール11を設けない。
【0018】
続いて、図5に示すように、壁パネル12を上レール10と下レール11との間に立設し、上述の手順で、隣接する壁パネル12・12同士を接続する。
間仕切壁Wの端面には端面処理部材13・13・・・が嵌設され、間仕切壁Wの曲折部や、据え付けの壁との接続面等の美感を向上させる処理が為される。
【0019】
そして、図7(a)に示すように、開口部7には、開口縁に、二本の開口縦枠14・14と、一本の開口横枠15が取り付けられる。
開口横枠15は、上レール10に嵌設可能な形状とされ、上レール10に着脱可能に嵌設される。開口横枠15は、開口部7の周囲に立設された壁パネル12・12間に配置され、該壁パネル12・12と異なる部材である上レール10に支持固定される。本実施例では開口横枠15は上レール10に支持固定されるが、開口横枠15は壁パネル12・12と独立した部材に支持固定されれば足り、例えば、天井9に上レール10とは異なる固定部材を設けて、該固定部材にて開口上枠15を天井面に支持固定させることもできる。
なお、開口横枠15は、開口部7に備える建具に応じて建具の通る溝やレールを形成した鴨居とすることもできる。
【0020】
また、開口縦枠14には、壁パネル12の側面に形成された接続用溝(図示せず)と嵌合する嵌合部材31・31が設けられ、壁パネル12の側面に開口縦枠14が着脱可能に嵌設される。すなわち、開口縦枠14は、立設された壁パネル12の側面に着脱可能に固定される。
なお、本実施例においては、開口縦枠14に設けられた嵌合部材31を壁パネル12の接続用溝に挿入したのち、開口縦枠14を壁パネル12に対して下方から上方へ移動させることによって嵌合部材31を接続用溝に嵌合し、図7(b)に示すように、壁パネル12に開口縦枠14を嵌設する構成としている。開口縦枠14の下部には伸縮部14aが設けられ、開口縦枠14は上下方向に伸縮可能とされている。
【0021】
続いて、図8に示すように、壁パネル12の下部に巾木17・17・・・が取り付けられ、間仕切壁Wの壁部分が完成する。
そして、図9に示すように、開口部7の上部の上レール10や開口横枠15に戸レール34が固定され、該戸レール34に戸33が嵌め込まれて、開口部7を開閉可能に戸33が備えられる。
【0022】
上述のように組み立て施工された間仕切壁Wでは、開口部7に開口横枠15及び開口縦枠14・14から成る開口枠が該開口部7の三方に設けられ、且つ、開口枠の構成部材は、間仕切壁Wを構成する全ての壁パネル12・12・・・の接続施工後に取り付けることができる。また、開口枠の構成部材は、間仕切壁Wを構成する全ての壁パネル12・12・・・から最初に取り外すことができる。従って、開口部7の間仕切壁Wの解体又は組立の起点となる機能を維持しながら、開口部7を装飾することができる。
【0023】
上述のように、間仕切壁に開口部を設け、該開口部に開口枠を備えることによって、間仕切壁に、一側面若しくは両側面が他の壁パネルに接続されない壁パネルを、複数備えることができる。一側面が他の壁パネルと接続されない壁パネルのうち、他の壁パネルに後から接続された壁パネル(開口部の接続方向上流側の壁パネル)は、間仕切壁の解体の起点となることができる。また、一側面が他の壁パネルと接続されない壁パネルのうち、他の壁パネルよりに先に立設された壁パネル(開口部の接続方向下流側の壁パネル)は、間仕切壁の接続の起点となることができる。そして、両側面が他の壁パネルに接続されない壁パネルは、該壁パネル自体を独立して解体することができる。
これにより、間仕切壁を解体する際に、まず、開口枠を取り外して開口部に隣接するパネルから解体することができ、開口部を解体の起点又は接続の起点とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例に係る間仕切壁の構成を示した平面図。
【図2】間仕切壁を構成する壁パネルの接続手順を説明する図。
【図3】間仕切壁を備えた室内空間の様子を示す図。
【図4】上下レールを敷設した間仕切壁施工の様子を示す図。
【図5】壁パネルを立設した間仕切壁施工の様子を示す図。
【図6】開口枠を取り付けた間仕切壁施工の様子を示す図。
【図7】開口部への開口枠の取り付け手順を説明する図。
【図8】巾木を取り付けた間仕切壁施工の様子を示す図。
【図9】戸を取り付けた間仕切壁施工の様子を示す図。
【図10】従来の間仕切壁の構成の一例を示した平面図。
【符号の説明】
【0025】
W 間仕切壁
7 開口部
12 壁パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向へ壁パネルを接続し、それとは逆の一方向へ壁パネルを解体する接続形式の壁パネルを接続して成る間仕切壁おいて、該間仕切壁の連続する略同一平面のそれぞれに少なくとも一つの開口部を設けたことを特徴とする間仕切壁。
【請求項2】
前記開口部の周縁に、立設された壁パネル間に該壁パネルと異なる部材に支持固定された少なくとも一つの開口横枠と、立設された壁パネルの側面に着脱可能に固定した二つの開口縦枠とから成る開口枠を備えた、
請求項1に記載の間仕切壁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−241817(P2006−241817A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58451(P2005−58451)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(593121634)双葉実業株式会社 (12)