説明

間仕切構造

【課題】可動式の建具としても使用可能な仕切部材を用いて間仕切壁を構成するにあたり、仕切部材の嵌め込みや取り外しを格段に容易にする。
【解決手段】上下枠体1a・1b及び左右枠体2a・2bにより包囲される開口部3に複数枚の仕切部材10を隣接配置した状態で収容することで開口部3を閉鎖可能な間仕切構造である。横枠体1a・1bに、一方の縦枠体2aから他方の縦枠体2bまで延在するレール部を形成する。各仕切部材10は、レール部に係合してスライドするスライド係合部を上下に備える。複数枚の仕切部材10は、その幅寸法の総和が開口部3の幅寸法以上に設定され、互いに隣接した状態で順次枠体間に収容されることにより開口部3を塞ぐ間仕切壁を形成する。間仕切り壁を形成するために最後に枠体内に収容される仕切部材10の少なくとも一方の面に、仕切部材10を持ち上げるための把持部17を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在においては、複数の隣接する子供部屋の境界に可動式の仕切部材を設け、普段は仕切部材を開放し、必要な場合に仕切部材で部屋を仕切ることを可能とする住宅の間取りが提案されている。一方、子供の成長や部屋の用途変更等に応じて、可動性のない仕切りによって各部屋を確実に分離することによりプライバシーを確保したい、という要望もある。
【0003】
このため、近年においては、可動式の建具としても使用可能な仕切部材の少なくとも一方の側縁端部に合いじゃくり形状の縦枠を設けておき、隣接する仕切部材の縦枠同士をオーバーラップさせつつ複数の仕切部材を1本のレール部に嵌め込むことにより間仕切壁を構成する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。このような技術を採用すると、従来の可動式の建具に若干の加工を施すだけで間仕切壁を構成することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−262745号公報
【特許文献2】特開2006−89966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した特許文献1及び2に記載されたような従来の技術は、建物内の上下の横枠体と左右の縦枠体とから形成される開口部を複数枚の仕切部材で閉鎖することにより間仕切壁を構成するものであり、隣接する仕切部材同士を隙間なくぴったりと隣接させた状態で設置するものである。このような間仕切構造においては、複数の仕切部材を枠体のレール部に順次嵌め込んで開口部を徐々に塞ぐこととなるが、最後の1枚となる仕切部材を嵌め込む場合には、開口部の残部の幅寸法と最後の1枚の仕切部材の幅寸法とが一致するため、仕切部材の両側部を把持して仕切部材を嵌め込むことができず、仕切部材の嵌め込みが著しく困難であるという問題があった。仕切部材の取り外しについても同様の問題がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、可動式の建具としても使用可能な仕切部材を用いて間仕切壁を構成するにあたり、仕切部材の嵌め込みや取り外しを格段に容易にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る間仕切構造は、上下の横枠体及び左右の縦枠体により包囲される開口部に複数枚の仕切部材を隣接配置した状態で収容することで開口部を閉鎖可能な間仕切構造であって、横枠体には、一方の縦枠体から他方の縦枠体まで延在するレール部が形成されており、各仕切部材は、レール部に係合してスライドするスライド係合部を上下に備えており、複数枚の仕切部材は、その幅寸法の総和が開口部の幅寸法以上に設定されるとともに、互いに隣接した状態で順次枠体間に収容されることにより開口部を塞ぐ間仕切壁を形成するものであり、間仕切り壁を形成するために最後に枠体内に収容される仕切部材の少なくとも一方の面には、仕切部材を持ち上げるための把持部が設けられているものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、複数枚の仕切部材で間仕切壁を形成する際に、使用者は、最後に枠体内に収容される仕切部材の少なくとも一方の面に設けられた把持部を利用して仕切部材を持ち上げることができるので、最後の仕切部材をスムーズにレール部に押し入れることができる。また、使用者は、間仕切壁を取り外す際においても、この把持部を利用して仕切部材をスムーズにレール部から取り外すことができる。さらに、把持部を引き手として使用することもできるので、別途引き手を設けることなく仕切部材を引き戸として使用することが可能となる。
【0009】
本発明に係る間仕切構造において、仕切部材の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って水平状に設けられた把持部を採用することができる。
【0010】
かかる構成を採用すると、使用者は、仕切部材の両側縁端部間に水平状に設けられた把持部の把持し易い位置を選んで把持することができるので、使用者にとって最も楽な姿勢で仕切部材を持ち上げることができる。
【0011】
また、本発明に係る間仕切構造において、仕切部材の少なくとも一方の面に凹設された把持部を採用することができる。
【0012】
かかる構成を採用すると、把持部が仕切部材の少なくとも一方の面に(例えば溝状に)凹設されており外側に突出していないため、把持部が歩行等の障害になることがない。また、嵩張らずに複数枚の仕切部材を重ねることができる。
【0013】
また、本発明に係る間仕切構造において、仕切部材の少なくとも一方の面の表面側から奥側に向かうに従って上方空間が漸次広がるように形成された把持部を採用することが好ましい。
【0014】
かかる構成を採用すると、仕切部材の少なくとも一方の面に凹設された把持部の奥側の上方空間が表面側よりも広がっているため、使用者は、把持部の奥側の上方空間に手指を差し込んで把持部に手指をしっかり掛けることができ、より容易に仕切部材を持ち上げることができる。
【0015】
また、本発明に係る間仕切構造において、仕切部材の少なくとも一方の面の上下中央部よりも少なくとも下方となる位置に設けられた把持部を採用することができる。これにより、使用者の腰位置付近に腕乃至手指を構えて、該手指を把持部に掛けることができ、仕切部材を持ち上げる力を楽な姿勢で仕切部材に伝達することができ、仕切部材の移動を容易に行うことができるものとなる。かかる場合において、仕切部材の面の上下中央部よりも上方となる位置に補助把持部を別途設けることができる。
【0016】
かかる構成を採用すると、使用者は、仕切部材の少なくとも一方の面の下方位置に設けられた把持部とともに、その面の上方位置に設けられた補助把持部を利用して、仕切部材を持ち上げることができる。従って、仕切部材を持ち上げる際の姿勢の選択肢が増えることとなるため、使用者は、レール部に対する仕切部材の脱着作業をより楽に行うことができる。
【0017】
また、本発明に係る間仕切構造において、仕切部材の少なくとも一方の面に凹設された補助把持部を採用することができる。この際、仕切部材の少なくとも一方の面の表面側から奥側に向かうに従って下方空間が漸次広がるように形成された補助把持部を採用することが好ましい。
【0018】
かかる構成を採用すると、仕切部材の少なくとも一方の面に凹設された補助把持部の奥側の下方空間が表面側よりも広がっているため、使用者は、補助把持部の奥側の下方空間に手指を差し込んで補助把持部に手指をしっかり掛けることができ、より容易に仕切部材を持ち上げることができる。また、補助把持部に洗濯物等を掛けることができ、間仕切壁を形成する場合以外でも仕切部材を有効利用することができる。
【0019】
また、本発明に係る間仕切構造において、上下の横枠体にレール部を仕切部材の枚数分だけ形成することができる。また、各仕切部材の少なくとも一方の側縁端部にその高さ方向全長に亘って連設される他の仕切部材の側縁端部よりも幅方向内側にオーバーラップし得る嵌合部を設けることができる。そして、複数枚の仕切部材の幅寸法の総和を開口部の幅寸法よりも大きく設定し、全ての仕切部材のスライド係合部を一のレール部に係合して連設した際に隣接する一方の仕切部材の嵌合部を他方の仕切部材の側縁端部よりも幅方向内側にオーバーラップさせることにより連設状態の仕切部材の総幅員を開口部の幅寸法と略同一とするように構成することができる。
【0020】
かかる構成を採用すると、全ての仕切部材のスライド係合部を一のレール部に係合して連設し連設状態の仕切部材の総幅員を開口部の幅寸法と略同一として間仕切壁を構成する際に、隣接する一方の仕切部材の嵌合部を他方の仕切部材の側縁端部よりも幅方向内側にオーバーラップさせることができる。従って、仕切部材の接合部からの光漏れや音漏れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、可動式の建具としても使用可能な仕切部材を用いて間仕切壁を構成するにあたり、仕切部材の嵌め込みや取り外しを格段に容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一実施形態に係る間仕切構造に適用される3枚の仕切部材を1本のレール部に嵌め込んで間仕切壁を構成した状態を示す正面図である。
【図2】(A)は図1の間仕切壁のII-II部分の断面図であり、(B)は3枚の仕切部材を可動式の引き違い建具として3本の異なるレール部に嵌め込んだ状態を示す断面図であり、(C)は仕切部材の嵌合部近傍部分の拡大断面図である。
【図3】(A)は図1のIII-III部分(把持部から補助把持部までの部分)の断面図であり、
【図4】(A)は3枚の仕切部材を可動式の引き違い建具として3本のレール部に嵌め込んだ状態を示す側面図であり、(B)は仕切部材の上桟及び鴨居の構成を変形した場合の側面図である。
【図5】(A)は図4(A)のVA部分の拡大図であり、(B)は図4(B)のVB部分の拡大図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る間仕切構造に適用される仕切部材の把持部及び補助把持部の断面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る間仕切構造に適用される仕切部材の把持部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る間仕切構造について説明する。なお、本実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0024】
<第一実施形態>
まず、図1〜図5を用いて、本発明の第一実施形態に係る間仕切構造について説明する。本実施形態に係る間仕切構造は、図1及び図4に示すように、建物の内部空間に設けられた上下の横枠体1a・1b及び左右の縦枠体2a・2bにより包囲される開口部3に、複数枚(本実施形態においては3枚)の仕切部材10を隣接配置した状態で収容することで開口部3を閉鎖するものである。
【0025】
上下の横枠体1a・1bには、一方の縦枠体2aから他方の縦枠体2bまで延在するレール部が仕切部材10の枚数分(本実施形態においては3枚分)だけ形成されている。レール部の形態は、各仕切部材10のスライド係合部を係合させスライドさせるように機能するものであれば特に限定されるものではない。例えば、上の横枠体(鴨居)1aに設けられるレール部としては、図4(A)及び図5(A)に示すような断面コ字状の比較的幅広の線状溝3aや、図4(B)及び図5(B)に示すようなスリット状の線状溝3bを採用することができる。下の横枠体(敷居)1bに設けられるレール部としては、図4(A)及び(B)に示すような断面三角形状の線状溝4を採用することができる。
【0026】
3枚の仕切部材10は、図2(A)に示すように互いに隣接した状態で順次枠体1a・1b・2a・2b間に収容されることにより開口部3を塞ぐ間仕切壁を形成するものである。また、各仕切部材10は、図2(B)に示すように、開口部3に設置される可動式の引き違い建具(引き戸)としても機能する。
【0027】
各仕切部材10は、図1〜図5に示すように、正面視で縦長の長方形状を呈し所定厚さを有する薄型の直方体状部材であり、左右両側縁部に配置された堅框(上下方向に延在する柱部材)11と、上下方向に所定間隔をおいて配置された桟(左右方向に延在する梁部材)12と、から形成されるフレームを備えるとともに、このフレームの両面に貼り付けられる板部材13を備えている。すなわち、各仕切部材10はフラッシュ構造を有しており、姿が一枚の面に見えるため、複数枚連続して設置した場合でも連続感を損なわないという利点を有する。
【0028】
各仕切部材10は、上下の横枠体1a・1bのレール部に係合してスライドするスライド係合部を上下に備えている。スライド係合部の形態は、レール部に係合してスライドするものであれば特に限定されるものではない。例えば、各仕切部材10の上縁端部に設けられるスライド係合部としては、図4(A)及び図5(A)に示すように断面コ字状に形成された突条を有する上桟14aや、図4(B)及び図5(B)に示すような断面T字状の摺り桟14bを採用することができる。後者を採用した場合、摺り桟14bの平坦部上部にモヘア等を接着して、上の横枠体(鴨居)1aと仕切部材10との隙間を塞いで光漏れや音漏れを抑制することが好ましい。また、各仕切部材10の下縁端部に設けられるスライド係合部としては、図4(A)及び(B)に示すように断面三角形状に形成された突条を有する下桟15を採用することができる。仕切部材10を持ち上げて下のスライド係合部を下のレール部から脱離させ、上のスライド係合部を上のレール部から脱離させることにより、仕切部材10を上下のレール部から取り外すことができる。
【0029】
各仕切部材10の側縁端部には、図2(A)及び(B)に示すように、その高さ方向全長に亘って、連設される他の仕切部材10の側縁端部よりも幅方向内側にオーバーラップし得る嵌合部16が設けられている。本実施形態においては、図2(B)に示すように、3枚の仕切部材10の幅寸法の総和(W1+W2+W3)を開口部3の幅寸法(W0)よりも大きく設定している。そして、図2(A)に示すように、全ての仕切部材10のスライド係合部を一のレール部(線状溝4)に係合して連設した際に隣接する一方の仕切部材10の嵌合部16を、他方の仕切部材10の側縁端部よりも幅方向内側にオーバーラップさせることにより、連設状態の仕切部材10の総幅員(W4)を開口部3の幅寸法(W0)と略同一とするように構成している。
【0030】
嵌合部16の形態は、前記した連設状態(W1+W2+W3>W0=W4)を実現させるものであれば特に限定されるものではない。本実施形態においては、一方の仕切部材10の嵌合部16に対して他方の仕切部材10の嵌合部16を幅方向にスライドさせることなく厚さ方向から当接させることができるような形状を有する嵌合部16を採用している。
【0031】
具体的には、仕切部材10の右側縁端部に設けられる嵌合部16は、図2(C)に示すように、仕切部材10の一方の面側の部分が他方の面側の部分よりも幅方向外側に膨出するように形成されている。そして、一方の面側に形成された膨出部の縁端部16aと他方の面側の非膨出部の縁端部16bは、膨出部側から非膨出部側になるに従って漸次幅方向内側に向かう傾斜縁端部16cによって接続されている。これに対し、仕切部材10の左側縁端部に設けられる嵌合部16は、図2(C)に示すように、その膨出部が右側縁端部の嵌合部16と反対面側に位置するように形成されている。このような嵌合部16を採用した仕切部材10は、その面方向に取り外しが容易となる。なお、嵌合部16の膨出部の縁端部16aの高さ方向全長に亘ってクッション材を貼着することにより、仕切部材10が縦枠体2a・2bや他の仕切部材10に当たるときの衝撃を和らげたり、仕切部材10の接合部からの音漏れ・光漏れ・風漏れを抑制したりすることができる。
【0032】
また、本実施形態においては、図1及び図3に示すように、各仕切部材10のうち間仕切壁を形成するために最後に枠体間に収容される仕切部材(図1において最も右側に位置する仕切部材)10の両面に、仕切部材10を持ち上げるための把持部17が設けられている。把持部17は、図1に示すように、仕切部材10の面の上下中央部よりも下方となる位置に配置され、仕切部材10の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って水平状に延在し、断面コ字状に凹設されている。さらに、本実施形態においては、図1及び図3に示すように、最後に枠体に収容される仕切部材10の面の上下中央部よりも上方となる位置に、補助把持部18を別途設けている。補助把持部18は、仕切部材10の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って水平状に延在し、断面コ字状に凹設されている。把持部17及び補助把持部18の深さ寸法(仕切部材の面側から奥側に向かう寸法)は、使用者の手指の第1関節を掛けることができる程度の寸法(具体的には10〜15mm程度)に設定することができる。
【0033】
本実施形態においては、仕切部材10の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って延在する断面I字状の梁部材17a・18aを桟12の間に挟み込んで固定することにより、把持部17及び補助把持部18を形成している。このため、仕切部材10を構成する板部材13は、梁部材17a・18aの部分で分割されることとなる。断面I字状の梁部材17a・18aの上下に配置された桟12の外側面12aには、板部材13の内側面13aが当接・貼着されている。そして、図3に示すように、断面I字状の梁部材17a・18aの上下フランジの外側面17b・18bと、板部材13の外側面13bと、は面一(同一平面状)になるように配置されている。
【0034】
なお、本実施形態においては、梁部材17a・18aの上下フランジの厚さ寸法を桟12の厚さ寸法よりも若干大きくし、桟12の厚さ寸法と2枚の板部材13の厚さ寸法との和を、梁部材17a・18aの上下フランジの厚さ寸法と同一に設定することにより、梁部材17a・18aの上下フランジの外側面17b・18bと板部材13の外側面13bとを面一にした例を示したが、梁部材の上下フランジの厚さ寸法を桟の厚さ寸法と同等に設定し、梁部材の上下フランジの外側面と、桟の外側面と、を面一にしてもよい。かかる場合には、梁部材の上下フランジの外側面と、桟の外側面と、の双方を板部材で覆うようにする。
【0035】
仕切部材10を構成する各部材(堅框11、桟12・14a・14b・15、板部材13、嵌合部16、梁部材17a・18a等)の材料は特に限定されるものではなく、例えば、各種金属材料、各種合成樹脂材料、各種木材等を採用することができる。
【0036】
以上説明した実施形態に係る間仕切構造においては、複数枚の仕切部材10で間仕切壁を形成する際に、使用者は最後に枠体内に収容される仕切部材10の面に設けられた把持部17を利用して仕切部材10を持ち上げることができるので、最後の仕切部材10をスムーズにレール部に押し入れることができる。また、使用者は、間仕切壁を取り外す際においても、この把持部17を利用して仕切部材10をスムーズにレール部から取り外すことができる。さらに、把持部17を引き手として使用することもできるので、別途引き手を設けることなく仕切部材10を引き戸として使用することが可能となる。
【0037】
また、以上説明した実施形態に係る間仕切構造においては、使用者は仕切部材10の両側縁端部間に水平状に設けられた把持部17の把持し易い位置を選んで把持することができるので、使用者にとって最も楽な姿勢で仕切部材10を持ち上げることができる。また、把持部17が仕切部材10の面に凹設されており外側に突出していないため、把持部17が歩行等の障害になることがなく、嵩張らずに複数枚の仕切部材10を重ねることができる。
【0038】
また、以上説明した実施形態に係る間仕切構造においては、使用者は仕切部材10の面の下方位置に設けられた把持部17とともに、仕切部材10の面の上方位置に設けられた補助把持部18を利用して、仕切部材10を持ち上げることができる。従って、仕切部材10を持ち上げる際の姿勢の選択肢が増えることとなるため、使用者は、レール部に対する仕切部材10の脱着作業をより楽に行うことができる。
【0039】
また、以上説明した実施形態に係る間仕切構造においては、全ての仕切部材10のスライド係合部を一のレール部に係合して連設し連設状態の仕切部材10の総幅員(W4)を開口部3の幅寸法(W0)と同一として間仕切壁を構成する際に、隣接する一方の仕切部材10の嵌合部16を他方の仕切部材10の側縁端部よりも幅方向内側にオーバーラップさせることができる。従って、仕切部材10の接合部からの光漏れや音漏れを抑制することができる。
【0040】
<第二実施形態>
次に、図6を用いて、本発明の第二実施形態について説明する。本実施形態に係る間仕切構造に適用される仕切部材は、第一実施形態に係る仕切部材の把持部及び補助把持部の構成のみを変更したものであり、その他の構成については実質的に第一実施形態と共通である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については詳細な説明を省略することとする。
【0041】
本実施形態における仕切部材のうち、間仕切壁を形成するために最後に枠体間に収容される仕切部材の両面には、仕切部材を持ち上げるための把持部17A及び補助把持部18Aが凹設されている。把持部17Aは、仕切部材の面の上下中央部よりも下方となる位置に配置され、仕切部材の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って水平状に延在している。また、補助把持部18Aは、仕切部材の面の上下中央部よりも上方となる位置に配置され、仕切部材の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って水平状に延在している。
【0042】
把持部17Aを形成する上壁部17Aaは、図6に示すように、仕切部材の面側から奥側になるに従って漸次上方に向かうように傾斜しており、これにより、把持部17Aは仕切部材の面側から奥側になるに従って上方空間が漸次広がるように形成されている。また、補助把持部18Aを形成する下壁部18Aは、図6に示すように、仕切部材の面側から奥側になるに従って漸次下方に向かうように傾斜しており、これにより、補助把持部18Aは仕切部材の面側から奥側になるに従って下方空間が漸次広がるように形成されている。本実施形態においても、仕切部材の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って延在する特定断面形状の梁部材を桟の間に挟み込んで固定することにより、把持部17A及び補助把持部18Aを形成することができる。
【0043】
以上説明した実施形態に係る間仕切構造においても、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
また、以上説明した実施形態に係る間仕切構造においては、仕切部材の面に凹設された把持部17Aの奥側の上方空間が面側よりも広がっているため、使用者は、図6において二点鎖線で示すように、把持部17Aの奥側の上方空間に手指Fを差し込んで把持部17Aに手指Fをしっかり掛けることができ、より容易に仕切部材を持ち上げることができる。
【0045】
さらに、以上説明した実施形態に係る間仕切構造においては、仕切部材の面に凹設された補助把持部18Aの奥側の下方空間が面側よりも広がっているため、使用者は、補助把持部18Aの奥側の下方空間に手指を差し込んで補助把持部18Aに手指をしっかり掛けることができ、より容易に仕切部材を持ち上げることができる。また、補助把持部18Aに洗濯物の室内乾燥や外出着の一時掛け等を行う際のハンガーの引掛部として機能させることができ、間仕切壁を形成する場合以外でも仕切部材を有効利用することができる。
【0046】
<第三実施形態>
次に、図7を用いて、本発明の第三実施形態について説明する。本実施形態に係る間仕切構造に適用される仕切部材は、第一実施形態に係る仕切部材の把持部及び補助把持部の構成のみを変更したものであり、その他の構成については実質的に第一実施形態と共通である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については詳細な説明を省略することとする。
【0047】
本実施形態における仕切部材のうち、間仕切壁を形成するために最後に枠体間に収容される仕切部材の両面には、仕切部材を持ち上げるための把持部17B及び(図示されていない)補助把持部が凹設されている。把持部17Bは、仕切部材の面の上下中央部よりも下方となる位置に配置され、仕切部材の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って水平状に延在している。また、補助把持部は、仕切部材の面の上下中央部よりも上方となる位置に配置され、仕切部材の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って水平状に延在している。
【0048】
本実施形態においては、図7に示すように、仕切部材の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って延在する上下一対の枠部材17Baを用意し、これら枠部材17Baの対向する端面にスリット17Bbを形成し、これら一対のスリット17Bbに薄板部材17Bcを嵌め込むことにより、把持部ユニットを構成している。そして、この把持部ユニットを上下一対の桟12の間に挟み込んで固定することにより、把持部17Bを形成している。本実施形態においては、枠部材17Baの端面側に外方突出部17Bdが形成されており、この外方突出部17Bdに板部材13の端部が当接して位置決めされている。また、枠部材17Baの外側面17Beと、枠部材17Baの上下に配置された桟12の外側面12aと、が面一になっており、これら外側面が板部材13で覆われている。補助把持部においても同様の構成が採用されている。
【0049】
薄板部材17Bcは、透明なガラス材料や合成樹脂材料で構成することができる。このようにすると、透明な薄板部材17Bcを介して、仕切部材で仕切られた一方の部屋から他方の部屋を視認することができる。また、薄板部材17Bcを開閉自在な構成とすることもできる。このようにすると、仕切部材で仕切られた一方の部屋から他方の部屋への通風が可能となる。
【0050】
以上説明した実施形態に係る間仕切構造においても、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
なお、以上の各実施形態においては、仕切部材に把持部及び補助把持部の双方を設けた例を示したが、補助把持部を省くこともできる。また、仕切部材の何れか一方の面に把持部(補助把持部)を設けてもよい。さらに、把持部(補助把持部)は必ずしも一本の直線状でなくてもよく、例えば一本の直線を所々分割したものを採用することもできる。また、以上の各実施形態においては、断面略コ字状の把持部(補助把持部)を採用した例を示したが、把持部(補助把持部)の断面形状はこれに限られるものではない。
【0052】
また、以上の各実施形態においては、最後に嵌め込む仕切部材にのみ把持部を設けた構成を例示したが、仕切部材のうちの複数枚又は全ての仕切部材に把持部や補助把持部を設けた構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1a…上の横枠体
1b…下の横枠体
2a…左の縦枠体
2b…右の縦枠体
3…開口部
3a・3b…線状溝(レール部)
4…線状溝(レール部)
10…仕切部材
14a…突条を有する上桟(スライド係合部)
14b…断面T字状の摺り桟(スライド係合部)
15…断面三角形状の下桟(スライド係合部)
16…嵌合部
17・17A・17B…把持部
18・18A…補助把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の横枠体及び左右の縦枠体により包囲される開口部に複数枚の仕切部材を隣接配置した状態で収容することで前記開口部を閉鎖可能な間仕切構造であって、
前記横枠体には、一方の縦枠体から他方の縦枠体まで延在するレール部が形成されており、
各仕切部材は、前記レール部に係合してスライドするスライド係合部を上下に備えており、
前記複数枚の仕切部材は、その幅寸法の総和が前記開口部の幅寸法以上に設定されるとともに、互いに隣接した状態で順次前記枠体間に収容されることにより前記開口部を塞ぐ間仕切壁を形成するものであり、
前記間仕切壁を形成するために最後に前記枠体内に収容される仕切部材の少なくとも一方の面には、前記仕切部材を持ち上げるための把持部が設けられている、
間仕切構造。
【請求項2】
前記把持部は、前記仕切部材の一方の側縁端部から他方の側縁端部に亘って水平状に設けられている、
請求項1に記載の間仕切構造。
【請求項3】
前記把持部は、前記一方の面に凹設されている、
請求項1又は2に記載の間仕切構造。
【請求項4】
前記把持部は、前記一方の面の表面側から奥側に向かうに従って上方空間が漸次広がるように形成されている、
請求項3に記載の間仕切構造。
【請求項5】
前記把持部は、前記一方の面の上下中央部よりも少なくとも下方となる位置に設けられており、
前記一方の面の上下中央部よりも上方となる位置には、補助把持部が別途設けられている、
請求項1から4の何れか一項に記載の間仕切構造。
【請求項6】
前記補助把持部は、前記一方の面に凹設されており、前記一方の面の表面側から奥側に向かうに従って下方空間が漸次広がるように形成されている、
請求項5に記載の間仕切構造。
【請求項7】
前記横枠体には、前記レール部が前記仕切部材の枚数分だけ形成されており、
各仕切部材は、少なくとも一方の側縁端部にその高さ方向全長に亘って、連設される他の仕切部材の側縁端部よりも幅方向内側にオーバーラップし得る嵌合部を有し、
前記複数枚の仕切部材の幅寸法の総和は、前記開口部の幅寸法よりも大きく設定されるとともに、全ての仕切部材のスライド係合部を一のレール部に係合して連設した際に隣接される一方の仕切部材の前記嵌合部を他方の仕切部材の側縁端部よりも幅方向内側にオーバーラップさせることにより連設状態の仕切部材の総幅員が前記開口部の幅寸法と略同一となるように構成される、
請求項1から6の何れかに記載の間仕切構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−225128(P2012−225128A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96394(P2011−96394)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)