説明

間接側方流動サンドイッチアッセイ

間接側方流動サンドイッチアッセイが本明細書に開示され、そこでは標的分析物がコンジュゲート対の第1メンバーを含む分析物特異的試薬を結合して複合体を形成し、それはコンジュゲート対の相補的メンバーを含む着色粒子ラベルと接触し、そしてそれを結合して第2複合体を形成する。固定化された分析物特異的捕捉試薬による、この分析物含有第2複合体の捕捉は、検出することができる固定化され、ラベルされたサンドイッチの形成に帰着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔0001〕本明細書に記載のアッセイ、デバイス(器具)および方法は、体液等の液体中の分析物の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
〔0002〕側方流動(lateral flow)デバイスでは、関心のある分析物を含む試料は、1以上の膜表面の1以上の領域を通って適用地点から検出ゾーンまで側方に流動することが可能である。適用された試料中の分析物の存在は、捕捉された分析物に結合した可視部分の直接可視化を含む、多様なプロトコルによって検出することができる。Deutsch et al.は米国特許第4,094,647号、4,235,601号および4,361,537号においてクロマトグラフィーテストストリップデバイスを記載する。該デバイスはキャピラリー作用、すなわちウィッキング(wicking)により溶液を輸送することが可能な材料を含む。ストリップにおける異なる部分またはゾーンは、分析物がそのようなゾーンに、またはゾーンを通って輸送されるに従って検出可能なシグナルを生み出すために必要な試薬を含む。
【0003】
〔0003〕その上、欧州特許公開第0 323 605 B1号は、分析物を検出するためのサンドイッチアッセイにおいてクロマトグラフィー材料を使用するアッセイデバイスを開示する。
【0004】
〔0004〕米国特許第6,368,876号は多孔性材料から作られる、別個の試料受容領域を含むイムノクロマトグラフィーアッセイデバイスを開示する。多孔性材料は液体試料の側方流動を導く。試料受容領域は離れた分析物検出部分と接触する。液体試料の側方流動は試料受容領域から分析物検出領域まで継続することになる。分析物検出領域は液体試料の側方流動を可能にする多孔性材料を含む。分析物検出領域は別個の位置に配置される移動可能なラベリング試薬を含む。それはまた、別個の位置に固定化捕捉試薬を含む。その上、それはまた、別個の対照位置に対照試薬を含む。米国特許第6,368,876号の開示では、分析物検出領域はまた、エンドフロー領域と側方流動により接触している。エンドフロー領域は、過剰な液体試料を吸収可能で、液体試料の側方流動を促進する多孔性材料を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,094,647号
【特許文献2】米国特許第4,235,601号
【特許文献3】米国特許第4,361,537号
【特許文献4】欧州特許公開第0 323 605 B1号
【特許文献5】米国特許第6,368,876号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
〔0005〕本明細書に記載のアッセイ、デバイスおよび方法は、着色粒子を含み、そして分析物に特異的でない、少なくとも1種のコンジュゲートを使用した液体溶液中の1以上の分析物の検出に関する。粒子ラベルの使用は、アッセイに極めて高い感度を提供し、そして分析物検出のための第2の試薬の必要性を回避する。本明細書に記載のアッセイ、デバイスおよび方法は、液体溶液中の分析物の存在の、感度の高い、迅速で、確かな測定を成し遂げるための手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔0006〕本明細書では、側方流動アッセイを使用して、液体試料、好ましくは水性溶液中の分析物の存在または不在を検出するためのイムノクロマトグラフィーアッセイデバイスおよびアッセイが記載される。一態様では、側方流動アッセイはテストストリップを含むデバイスの使用を含み、該テストストリップ上には、移動可能な分析物特異的抗体から離れた位置で、移動可能な着色粒子が配置され、該着色粒子は分析物を特異的に結合しない。また、本明細書ではこれらのデバイスを作り、使用する方法が記載される。
【0008】
〔0007〕本明細書に開示される一態様は、液体中の分析物の存在を検出するための間接サンドイッチ側方流動アッセイであり、該アッセイでは関心のある分析物が分析物特異的試薬(好ましくは分析物特異的抗体)を結合し、ここで試薬はコンジュゲート対の第1メンバーを構成し、第1複合体を形成する。この第1複合体は、コンジュゲート対の第2メンバー、すなわち相補的メンバーを含む着色粒子ラベルに接触し、それを結合して第2複合体を形成する。この第2複合体は、第1および第2コンジュゲートメンバーを介して着色粒子ラベルに結合した第1複合体を含む。特異的に分析物を結合し、アッセイストリップ/膜に固定化された捕捉試薬によるこの第2複合体の捕捉が、関心のある分析物を含む、固定化され、検出可能なサンドイッチ複合体の形成に帰着する。
【0009】
〔0008〕本明細書では、水性溶液中に存在する免疫反応性分析物を検出するためのデバイスが記載される。乾燥した、未使用の状態では、デバイスは分析物を特異的に結合可能な粒子ラベルされた試薬を含まない。しかし、液体試料を添加すると、抗原と特異的に反応可能な粒子ラベルされたコンジュゲートが形成される。この粒子ラベルされたコンジュゲートは移動することができ、そして分析物が存在するならば、固定化された分析物特異的抗体によって下流の検出ゾーンにおいて捕捉することができる。
【0010】
〔0009〕一態様では、デバイスは離れた膜表面またはストリップ上に第1パッド(コンジュゲートパッド)および検出ゾーンを含み、第1パッド(コンジュゲートパッド)および検出ゾーンは、第1パッド(コンジュゲートパッド)から離れたパッド上の検出ゾーンまで水性溶液のキャピラリーフローを可能にするように置かれる。第1パッド(コンジュゲートパッド)は多孔性構造を含み、それを通って水性溶液がキャピラリー作用により流動可能である。水性溶液は、アッセイ中の種々の時点で1以上の以下の化学種をその中に溶解していてもよい:1以上の関心のある分析物、1以上の抗体‐分析物複合体、および/または一つの抗体を含む1以上の複合体。
【0011】
〔0010〕第1パッド(コンジュゲートパッド)は第1ゾーンおよび第2ゾーンを有し、それらは好ましくはお互いに隣接するか、またはわずかに離れている。第1ゾーンは分析物に特異的な、乾燥した、可逆的に固定化された試薬、好ましくは分析物に特異的な抗体を含み、該試薬または抗体はさらに、コンジュゲート対の第1メンバーを含む。コンジュゲートパッドの第2ゾーンは、乾燥した、可逆的に固定化された着色粒子ラベルを含み、それはまたコンジュゲート対の相補的メンバーを含む。あるいは、第1および第2ゾーンは入れ換えることもでき、たとえば第1ゾーンは乾燥し、可逆的に固定化された着色粒子ラベルを含み、それはまたコンジュゲート対の相補的メンバーを含み、そして第2ゾーンが分析物に特異的な、乾燥し、可逆的に固定化された試薬、好ましくは分析物に特異的な抗体を含み、該試薬または抗体はさらに、コンジュゲート対の第1メンバーを含む。
【0012】
〔0011〕そのようなデバイスにおけるキャピラリーフローに対して第1パッド(コンジュゲートパッド)から下流に位置するのが、第2パッド上の検出ゾーンであり、そしてそれは分析物に特異的に結合可能な非可逆的に固定化された捕捉試薬、好ましくは分析物に特異的に結合可能な捕捉抗体、を含む捕捉ラインを有する。
【0013】
〔0012〕また本明細書では、本明細書に記載のデバイスの使用により水性溶液中の分析物を検出する方法が記載される。関心のある分析物を含むか、または含むと推測される水性試料をデバイスの第1パッド(コンジュゲートパッド)に適用すると、乾燥し、可逆的に固定化された分析物特異的試薬は溶解(再構成:reconstituted)され、可動化され、存在する場合、分析物を含む第1複合体を形成し、該複合体は分析物に結合した、分析物特異的試薬または抗体を含む。この第1複合体は、可動化された、非結合抗体と一緒に第1パッド(コンジュゲートパッド)の第2ゾーンにキャピラリー作用によって移動可能であり、そこでは第1複合体がコンジュゲート対の第1および第2メンバーの相互作用によって着色粒子ラベルに結合し、結果として第2の、3メンバーの複合体の形成に帰着する。粒子ラベルに結合した第1複合体を含む第2複合体はその後、キャピラリー作用により離れたパッドまたは基質上に位置する検出ゾーンに位置する捕捉ラインに移動する。
【0014】
〔0013〕第2複合体は捕捉ラインにおいて第4のサンドイッチ複合体として蓄積する捕捉抗体に特異的に結合する。当該サンドイッチ複合体の形成は水性試料における関心のある分析物の存在を表し、そして着色粒子成分の検出に適したいずれかの手段によって、好ましくは裸眼によって検出することができる。
【0015】
〔0014〕粒子ラベルされた、分析物特異的試薬の形成および十分な移動に関する対照は異なる形態を取ることができる。一態様では、非結合分析物特異的抗体はまた、第2ゾーンにおいて着色粒子ラベルに結合し、第3の複合体を形成する。第3複合体は着色粒子ラベルおよび、分析物が結合していない分析物特異的抗体を含む。この第3複合体はまた、キャピラリー作用により検出ゾーンに移動するが、分析物を欠如するため、捕捉ラインを通過し、そして複合体の抗体を結合する試薬によって検出ゾーンのコントロールラインで捕捉される。
【0016】
〔0015〕あるいは、コンジュゲートパッドは乾燥し、可逆的に固定化された非分析物試薬を含むことができる。非分析物試薬は粒子ラベル上のどんな物質、タンパク質、酵素または抗体であってもよく、そのような試薬は分析物特異的試薬システムと反応しない。典型的な非分析物試薬は、ウシ血清アルブミン、ヤギ血清アルブミン、マウス血清アルブミンなどである。非分析物試薬は、分析物特異的試薬と一緒にコンジュゲートパッド上で乾かされる。好ましい態様では、非分析物試薬と分析物特異的試薬の粒子ラベルは異なる色、たとえば青色と赤色である。試薬はこのステージにおいて均一である。水性試料を適用すると、分析物特異的および非分析物試薬は溶解され、可動化される。いったん混合物が検出ゾーンに移動すると、非分析物試薬は第2捕捉ライン(コントロールライン)に結合し、ここで相補的結合パートナー、たとえば非分析物試薬に対する抗体または他の特異的結合パートナーが非可逆的に固定化される。
【0017】
〔0016〕一側面では、その上、第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンの分析物特異的試薬は抗体であり、そしてコントロールラインは抗体を特異的に結合する試薬を含む。一側面では、コントロールラインは水性溶液のキャピラリーフローに対して捕捉ラインの下流に位置する。別の側面では、コントロールラインにおける試薬は最終捕捉抗体を含み、最終捕捉抗体は抗体分子に特異的に結合する。別の側面では、最終捕捉抗体はその特異性に関わらず、抗体に結合する。
【0018】
〔0017〕付加的な側面では、その上、非分析物、粒子ラベル試薬はコンジュゲートパッド上に含まれ、そして非分析物試薬に特異的な固定化された試薬を持つコントロールラインに捕捉される。
【0019】
〔0018〕関心のある複数の異なる分析物の1つに対してそれぞれ特異的な、複数の分析物特異的試薬がある態様では、複数のコントロールラインがあり、それぞれのラインは、粒子ラベル試薬の適切な溶解および移動に対する対照として役立つ、複数の試薬の少なくとも1つに対して特異的な1以上の試薬を含む。
【0020】
〔0019〕別のやや好ましい態様では、このデバイスは試料適用パッドをさらに含むことができ、試料パッドは試料適用を促進し、関心のある1以上の分析物を含む水性溶液がキャピラリー作用により流動可能である多孔性構造を有し、そして水性溶液が第1パッド(コンジュゲートパッド)に流動可能なように配置される。利用される場合、試料適用パッドは実質的に分析物特異的または粒子ラベル試薬を欠如する。
【0021】
〔0020〕このデバイスの一態様では第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンは,水性溶液のキャピラリーフローに対して第2ゾーンの上流に配置される。別の側面では、第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンは第1パッド(コンジュゲートパッド)の第2ゾーンに隣接する。
【0022】
〔0021〕デバイスは中空のケーシング(casing)またはハウジング(housing)に囲まれてもよいが、一態様では、アッセイデバイスは中空のケーシングまたはハウジングに囲まれていない。
【0023】
〔0022〕このデバイスの一態様では、第1コンジュゲート対の第1メンバーはビオチンであり、コンジュゲート対の第2メンバーはストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジンおよび抗ビオチン抗体からなる群から選択される。一側面では、第1メンバーがアビジンである場合、コンジュゲート対の第2メンバーは抗体ではない。別の側面では、第1メンバーがビオチンである場合、コンジュゲート対の第2メンバーはビオチンに対して特異的な抗体ではない。
【0024】
〔0023〕このデバイスの一態様では、着色粒子はラテックス粒子または金属ゾル、たとえばコロイド金粒子、あるいはカーボンゾルである。
【0025】
〔0024〕本明細書ではまた、水性溶液中の分析物を検出する方法が記載され、該方法は本明細書に記載のデバイスに水性試料溶液を適用するステップを含む。デバイスへの試料の適用は以下の一連の事象を含み、そしてそれらに帰着する:
〔0025〕 A)分析物特異的抗体の可動化、および分析物が分析物特異的抗体に特異的に結合する第1複合体の形成を可能にする条件下で、多孔性構造に可逆的に固定化され、コンジュゲート対の第1メンバーを含む分析物特異的抗体と試料溶液を接触させる、
〔0026〕 B)第1複合体がコンジュゲート対のメンバーの相互作用により着色粒子ラベルに特異的に結合する、第2複合体の形成を可能にする条件下で、第1複合体を運ぶ液体試料がキャピラリー作用により適用地点から構造を下方に移動するに従って、試料はその後、多孔性構造に可逆的に固定化され、そして分析物特異的試薬から離れて位置する、コンジュゲート対の相補的メンバーを含む着色粒子ラベルと接触し、それを動かす;
〔0027〕 C)第2複合体が形成されると、次に第2複合体はキャピラリー作用により第2多孔性構造または基質に移動し、そこで第2複合体と分析物特異的捕捉抗体を含む第3複合体の形成を可能にする条件下で、第2複合体は第2複合体の形成部位から離れた位置で構造に非可逆的に固定化される分析物特異的捕捉抗体と接触する;そして
〔0028〕 D)検出ゾーンに蓄積された着色粒子ラベル成分を粒子ラベルの性質に適切な検出手段により検出することによって第3複合体の形成を検出する、ここで第3複合体の検出は水性溶液における分析物の存在を示す。
【0026】
〔0029〕この態様の付加的な側面では、ステップ(B)において、分析物を結合していないパート(A)の分析物特異的抗体はまた、たとえば以下のステップ(E)および(F)に従って、分析物を結合していないパート(A)の分析物特異的抗体が着色粒子ラベルに特異的に結合する第4複合体の形成を可能にする条件下で、パート(B)の着色粒子ラベルと接触する:
〔0030〕 E)第4複合体が形成されると、第4複合体は、どんな特異性の抗体分子にも特異的に結合し、そして第2複合体および第3複合体の形成部位から離れた位置において多孔性構造に非可逆的に固定化される試薬と接触する。接触は第5複合体の形成を可能にする条件の下にある。この第5複合体は第4複合体および抗体分子に特異的に結合する非可逆的に固定化された試薬を含む;
〔0031〕 F)第5複合体の形成は、粒子ラベルの性質に適切な検出手段により、多孔性構造に蓄積された粒子ラベル成分によって検出される。第5複合体の検出はアッセイの機能性の対照としての役割を果たし、分析物特異的な、粒子ラベルされた複合体が形成され、少なくともコントロールラインまで移動したことを証明する。事象EおよびFに機能的に類似する内容が、粒子ラベルされた、非分析物試薬がコンジュゲートパッド上で乾燥され、試料の添加により可動性になり、そして非分析物試薬に特異的な固定化試薬の捕捉ラインまで移動する態様により達成される。
【0027】
〔0032〕本明細書に記載のいずれかの方法、アッセイ、およびデバイスの一側面では、分析物は抗体ではない。本明細書に記載の方法、アッセイ、およびデバイスの一態様では、コンジュゲート対の相補的メンバーはビオチンに特異的な抗体ではない。別の側面では、本明細書に記載の方法、アッセイおよびデバイスは関心のある複数の分析物を検出することができる。
【0028】
定義
〔0033〕本明細書に記載の用語“デバイス”は2つのパッドを含むテストストリップを包含し、それらは好ましくは水性試料だけを添加することにより分析物を検出するために必要な機能性要素を提供する。たとえば、テストストリップは以下を含む第1パッド(コンジュゲートパッド):a)コンジュゲート対の第1メンバーを持つ可逆的に固定化された分析物特異的試薬、およびb)第2の、コンジュゲート対の同族の(コグネイト:cognate)メンバーを伴う着色粒子ラベル、および、分析物を特異的に検出することが可能な検出ゾーンを含む第2パッドを包含する。検出ゾーンは1つまたは複数の分析物を検出することが可能であり得る。デバイスは、やや好ましくは、試料を受容する試料パッドを含むことができる。デバイスはまた、検出ゾーンの下流に吸収パッドを含み、継続したキャピラリー作用を促進し、そして過剰な流動体を吸収することができるシンクを提供する。
【0029】
〔0034〕本明細書で使用する、“多孔性材料”または“多孔性構造”という用語は、キャピラリー運動または側方流動を提供可能な材料を表す。これは、ニトロセルロース、ポリエステルまたはセルロースとのニトロセルロースブレンド、非処理紙、多孔性紙、レイヨン、グラスファイバー、アクリロニトリルコポリマーまたはナイロンまたは側方流動を可能にする他の多孔性材料を含むことになる。本明細書に記載のデバイスにおいて有用な多孔性材料は、これらのデバイスで使用される粒子ラベルの、多孔性マトリックスを通る、または材料の表面を渡る輸送を可能にする。
【0030】
〔0035〕本明細書に記載のデバイスは、流動経路に沿った試料溶液のキャピラリーフローを可能にする材料からなるテストストリップを含む。“キャピラリーフロー”という用語は、たとえば1以上の成分を吸着するか、または吸い込むことが可能な材料において起こるような、1以上の成分の好ましい保持とは対照的に、液体の溶解した、または分散した成分のすべてが実質的に等しい速度で、膜を通る比較的損なわれない側方流動により運ばれる液体流動を意味する。
【0031】
〔0036〕本明細書で使用する“側方流動”という用語は、水平方向において材料を通るキャピラリーフローを表すが、たとえばデバイスが垂直または直列に並んでいても、液体の適用地点から別の側方地点までの液体の流動に適用すると理解されるであろう。側方流動は液体/基質相互作用の特性(表面湿潤またはウィッキング作用)に依存し、外部力の適用、たとえばユーザーによる真空または圧適用を必要としないか、または含まない。
【0032】
〔0037〕本明細書で使用する“分析物”という用語は、本明細書に記載の方法、キットおよびデバイスによって試料中で判断されることになる、薬物、ホルモン、化学薬品、トキシン、化合物、受容体または他の分子およびそのフラグメントを表す。本明細書に記載のイムノアッセイデバイスおよび方法を使用して検出されることになる分析物は以下の分析物を含むが、それらに限定されない:有機および無機分子のような分子、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、アミノ酸、炭水化物、核酸、脂質、トキシン、低分子、ステロイド、ビタミン、抗体、ウイルス、ウイルス粒子など、およびその組み合わせが挙げられる。検出されることになる分析物はまた、神経伝達物質、ホルモン、成長因子、抗新生物薬、サイトカイン、モノカイン、リンホカイン、栄養素、酵素、受容体、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗真菌剤、ならびにその組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。“分析物”という用語はまた、構造要素、たとえば、すべての動物および植物細胞を含む細胞、ならびに真菌、ウイルス、すべてのグラム陽性およびグラム陰性細菌を含むがそれらに限定されない細菌、およびプロトゾアのような微生物の検出可能な成分を表す。一態様では、分析物は抗体ではない。分析物は少なくとも1つのエピトープを有し、抗体またはその免疫学的反応性のフラグメントがそれを認識することができる。本明細書で使用する“分析物”という用語は、いずれかの抗原性物質、ハプテン、天然または合成化学物質、汚染物質、治療目的で投与されるものおよび不法目的で投与されるものを含む薬物、ならびにその代謝産物および組み合わせを含むことができる。
【0033】
〔0038〕本明細書で使用する“試料”という用語は、検出のための分析物を含むことができる、いずれかの生物学的または有機物質を含む、いずれかの物質を表す。好ましくは、生物学的試料は、液体型の状態にあるか、または液体型に変化しうる。好ましくは、試料は、体液、たとえば血液、尿、唾液、糞便、分泌物、脳脊髄液またはスワブを基礎にしたアッセイのための材料などを含む。
【0034】
〔0039〕本明細書で使用する“適用ゾーン”または“試料パッド”という用語は、適用された試料を直接受容し、第1コンジュゲートパッドにそれを送達するためにデザインされた、付加的でやや好ましい多孔性構造を表す。“試料パッド”は、存在する場合、好ましくは分析物‐検出または結合試薬を含まない。液体試料はその後、適用ゾーンまたは試料パッドからエンドフロー領域へ側方流動により移動することができる。適用ゾーンは第1パッド(コンジュゲートパッド)と側方流動により接触することができる。これは好ましくは重複結合でありうる。すなわち、適用ゾーンは、存在する場合、部分的に、または完全に、のいずれかで第1パッド(コンジュゲートパッド)と重複することができる離れたパッド中に含まれる。
【0035】
〔0040〕本明細書で使用する“液体”という用語は、いずれかの流体溶液を包含する。本明細書で使用する“水性溶液”という用語は、水を含むいずれかの液体である。水性溶液は、塩有機分子、無機分子、合成分子、非合成分子、またはそのいずれかの組み合わせを含むことができる。一態様では、水性溶液は関心のある1以上の分析物を含む。関心のある分析物が固体の場合、分析物はアッセイされることになる前に水性溶液に溶解される。従って、一態様では、分析物を含む固体または半固体試料は水性溶液に分析物を抽出するために、初めに適切な抽出または希釈溶液で希釈されなければならない。水性溶液はまた、抗体‐分析物複合体、および/または抗体を含む1以上の複合体を含むことができる。水性溶液はアルコールのような非水性溶液を含むことができる。
【0036】
〔0041〕本明細書で使用する“コンジュゲート対のメンバー”という用語は、コンジュゲート対、すなわち2つの分子、通常2つの異なる分子の1つのメンバーを表し、ここでは分子の1つが(すなわち、コンジュゲート対の第1メンバー)が化学的または物理的手段により他の分子(すなわち、コンジュゲート対の第2メンバー)に特異的に結合する。コンジュゲート対のコグネイトまたは相補的メンバーには、リガンドとその受容体、受容体とカウンター‐受容体を挙げることができる。一側面では、コグネイト対の1メンバーは対の他のメンバーに特異的な抗体を含まない。
【0037】
〔0042〕本明細書で使用する“試薬”という用語は、懸濁または多孔性膜または基質上に固定化することができ、そして分析物を検出するための手段に貢献する物質を包含する。たとえば、“試薬”はラベルされた物質または複数の物質の肉眼的検出を可能にする、‐たとえば関心のある分析物に間接的に結合しているラテックス粒子を考慮されたい。ラベルはあるいは、分光光度計または蛍光検出器のような、当業者に公知の器具類を使用して検出されてもよい。多孔性膜または基質上の試薬は固定化されてもよく、または拡散性であってもよい。あるいは、試薬は拡散性で、試料と接触すると、試薬は可動性になり、テストストリップまたは膜の遠位末端に向かって試料とともに移動してもよい。
【0038】
〔0043〕本明細書で使用する“抗体”という用語は、分析物、抗原または抗体を特異的に結合し、そしてそれらを認識する、イムノグロブリン遺伝子または複数のイムノグロブリン遺伝子によって実質的にコードされるポリペプチド、IgG抗体、IgM抗体、またはその一部、またはそのフラグメントを含むがそれらに限定されない。“抗体”はまた、限定しないが、イムノグロブリン遺伝子または複数のイムノグロブリン遺伝子によって実質的にコードされるポリペプチド、またはそのフラグメントを含み、それらは分析物への暴露に反応して、宿主によって生み出される抗体の抗原‐特異的結合領域(イディオタイプ)に特異的に結合し、そして認識する。
【0039】
〔0044〕本明細書で使用する“抗体”という用語は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製物、ならびに、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ハイブリッド抗体、ファージディスプレイ、改変された抗体、F(ab′)フラグメント、F(ab)フラグメント、Fフラグメント、単一ドメイン抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、二機能抗体、1本鎖抗体など、ならびにその機能的フラグメントおよびマルチマーを含む調製物を包含し、それらは分析物または抗原に対する特異性を保持する。たとえば、抗体は可変領域、または可変領域のフラグメント、およびそのマルチマーを含むことができ、それらは分析物または抗原に対する特異性を保持する。抗体構造および専門用語に関しては、たとえば、Paul,FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY,3版,1993,Raven Press,New Tork,を参照されたい。抗体またはその一部は、いずれかの哺乳動物または鳥類種、たとえばマウス、ヤギ、ヒツジ、ラット、ヒト、ウサギ、ニワトリまたはウシ抗体に由来してもよい。抗体は、組換えDNA方法論を使用した全抗体の改変または合成を含む当該技術分野で公知の方法により、合成によって生み出されてもよい。
【0040】
〔0045〕本明細書で使用する“特異的に結合する”という句は、10−1またはそれより大きい、好ましくは10−1またはそれより大きい、より好ましくは10−1またはそれより大きい、そして最も好ましくは10−1またはそれより大きい結合親和性(K)による抗体、試薬または結合部分へのリガンドの結合を表す。抗体の結合親和性は当業者によって容易に(たとえば、Scatchard解析によって)測定することができる。多様なイムノアッセイフォーマットを使用して、特定の抗原と特異的に免疫反応性の抗体を選択することができる。たとえば、固相ELISAイムノアッセイを日常的に使用して分析物と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を選択することができる。特異的免疫反応性を測定するために使用することができるイムノアッセイフォーマットおよび条件の説明に関しては、Harlow and Lane,ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)を参照されたい。典型的には、特異的または選択的な反応は、ノイズに対する少なくとも2倍のバックグラウンドシグナルであり、より典型的にはバックグラウンドより10〜100倍より大きい。
【0041】
〔0046〕本明細書で使用する“可逆的に結合した”または“移動可能な”という句は、移動が可能であるが、アッセイストリップに遊離可能に結合するか、または染みこむ抗体を含む試薬を表す。可逆的に結合した試薬は水の添加により液体試料と共に分散し、可動性になる。液体試料により可動化されると、“可逆的に結合した”または“移動可能な”試薬は液体試料によって側方流動で運ばれる。たとえば、可逆的に結合した試薬は、分析物を認識するか、またはそれに結合し、そしてコンジュゲート対の第1メンバーとコンジュゲートするか、または接着するタンパク質または分子であってもよい。可逆的に結合した試薬の別の例としては、コンジュゲート対の第2メンバーにコンジュゲートするか、または接着する、検出可能にラベルされた着色粒子が挙げられる。
【0042】
〔0047〕本明細書で使用する“非可逆的に結合した”という句、および“固定化”または“固定化された”という用語は膜、基質または支持体に接着し、液体試料の側方流動またはキャピラリーフローが支持体中、または支持体上の固定化試薬の位置を変化させない試薬を表す。そのような接着は、たとえば、共有結合性、イオン性、または疎水性手段を介したものでありうる。当業者は種々の試薬を固定化するための接着に利用可能な方法を心得ているであろう。
【0043】
〔0048〕本明細書で使用する“ラベル”という用語は、可溶性もしくは粒子状、金属製、有機、または無機であるラベルを含むがそれらに限定されない、検出可能な指示物質を含み、そして緑色蛍光タンパク質、蛍光色素(たとえば、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミン)、ケミルミネセンス化合物(たとえば、ルシフェリンおよびルミノール)のようなスペクトルラベル、コロイド金、またはカーボン粒子、または着色ガラスまたはプラスチック(たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズのようなスペクトル比色ラベルを含んでいてもよい。必要であるか、または所望する場合、粒子ラベルは、たとえば粒子に色素を適用することにより着色することができる。
【0044】
〔0049〕本明細書で使用する“着色粒子ラベル”という用語は、着色ラテックス(ポリスチレン)粒子、金属(たとえば、金)ゾル、非金属元素(たとえばセレン、カーボン)ゾルおよび色素ゾルが挙げられるが、それらに限定されない。一態様では、着色粒子ラベルはコンジュゲート対のメンバーをさらに含む着色粒子である。使用されてもよい着色粒子の例としては、有機ポリマーラテックス粒子、たとえばポリスチレンラテックスビーズ、コロイド金粒子、コロイドイオウ粒子、コロイドセレン粒子、コロイド硫酸バリウム粒子、コロイド硫酸鉄粒子、金属ヨウ素酸粒子、銀ハライド粒子、シリカ粒子、コロイド金属(含水)オキシド粒子、コロイド金属スルフィド粒子、カーボンブラック粒子、コロイド鉛セレニド粒子、コロイドカドミウムセレニド粒子、コロイド金属リン酸粒子、コロイド金属フェライト粒子、有機または無機層でコートされた先に言及したコロイド粒子のいずれか、タンパク質もしくはペプチド分子、またはリポソームが挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
〔0050〕本明細書で使用する“捕捉試薬”という用語は、関心のある分析物を特異的に認識するか、またはそれを結合する固定化(すなわち、可逆的に固定化されない)結合部分を表す。好ましくは、捕捉試薬は分析物特異的抗体である。捕捉試薬は、試料中の分析物に結合しているラベリング試薬と結合複合体を形成可能である。捕捉試薬は、捕捉ラインにおける検出ゾーンへの非可逆的な固定化により液体試料の側方流動によって影響されない。いったん分析物特異的捕捉試薬が、着色粒子ラベルに結合する分析物特異的試薬に結合した分析物を含む複合体に結合すれば、複合体は液体試料の側方流動の継続を妨害される。
【0046】
〔0051〕本明細書で使用する“最終捕捉試薬”という用語は、コンジュゲートパッドに由来する分析物特異的試薬を結合することが可能であり、そして試料中の分析物を認識または結合しないいずれかの結合部分を表す。最終捕捉試薬は、たとえば、第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンの可動性試薬を特異的に結合する。好ましくは、最終捕捉試薬はタンパク質または抗体である。一側面では、最終捕捉試薬は抗体、たとえばヤギ、抗マウス抗体の特異性にかかわらず、特異的に抗体を結合することが可能である。最終捕捉試薬は、検出ゾーンのコントロールラインに固定化され、非可逆的に結合する。いったん最終捕捉試薬がコンジュゲートパッド由来の着色粒子が結合した分析物特異的試薬を含む複合体を結合すれば、複合体は液体試料との側方流動の継続を妨害される。“最終捕捉試薬”という用語はまた、液体試料の添加および移動によりコンジュゲートパッドから可動化されている、非分析物、粒子ラベル対照試薬を結合する、非可逆的に結合した試薬を包含しする。
【0047】
〔0052〕本明細書で使用する“検出ゾーンのコントロールライン”という句は、ストリップの検出ゾーンに場合により存在する試薬の第2の線を表し、コントロールラインは捕捉ラインの下流に位置し、対照として役立つ最終捕捉試薬、好ましくは、抗体を含む。最終捕捉試薬を使用して、たとえば、コンジュゲート対の第1メンバーを含む分析物特異的試薬が第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンにおいて溶解されることを確認し、そしてさらに試薬が(分析物と共に、または分析物を伴わずに)移動し、そして第1パッド(コンジュゲートパッド)の第2ゾーンにおいて着色粒子ラベルにラベルされた試薬に首尾よく結合し、分析物特異的抗体に結合したコンジュゲート対を含む複合体を形成して検出ゾーンに流動し、そして捕捉ライン(分析物を欠く複合体はそれに結合しない)を通過して固定化された最終捕捉試薬への経路を進むことを確認する。
【0048】
〔0053〕本明細書で使用する“検出ゾーン”という用語は、第1パッド(コンジュゲートパッド)と側方流動により接触する記載されたアッセイデバイスの一部を表す。“検出ゾーン”は第1パッド(コンジュゲートパッド)から離れたパッド上にある。第1パッドと検出ゾーン間の接触は好ましくは重複結合でありうる。第1パッドおよび検出ゾーンは異なる材料から作ることができる。いくつかの態様では、検出ゾーンは固定化対照と捕捉試薬だけを含む。
【0049】
〔0054〕本明細書で使用する“吸収パッド”または“エンドフロー領域”という用語は、検出ゾーンと側方流動により接触し、適用された液体試料のキャピラリー運動の方向に関して検出ゾーンの下流に位置する、記載されたアッセイデバイスの一部を表す。使用の前に、このパッドは分析物を検出することに関与する試薬を欠如する。適用された液体試料は、エンドフロー領域または吸収パッドに向かって移動する。エンドフロー領域または吸収パッドは過剰な液体試料を吸収することが可能である。エンドフロー領域は単に検出ゾーンと同じ多孔性材料の延長であり得、またはそれは別個の材料またはパッドでもあり得る。吸収パッドまたはエンドフロー領域が別個の材料またはパッドである場合、それは好ましくは検出ゾーンと重複することができるか、またはそれは検出ゾーンと隣接することができる。
【0050】
〔0055〕本明細書で使用する“ハウジング”という用語は、場合によりデバイスの多孔性材料をカバーすることができる、たとえばプラスチック材料を表す。好ましい態様では、ハウジングは無い。使用される場合、ハウジングは検出ゾーンの対照および捕捉位置が観察されることを可能にしなければならない。従って、ハウジングが透明な場合、結果は透明なカバーを通して観察することができる。ハウジングが透明でない場合、結果が観察できるように、ウィンドウ、ギャップ、または穴が使用されなければならない。その上、ハウジングは使用される場合、試料が受容領域に適用されうるように、試料受容領域を露出して残しておかなければならない。
【0051】
〔0056〕本明細書で使用する“溶解された(再構成した:reconstituted)”という用語は、可逆的に、または非可逆的にテストストリップに結合する抗体または着色粒子ラベルのような、乾燥した試薬を水で溶かすことを表す。
【0052】
〔0057〕本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を伴った以下の本発明の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】〔0058〕図1は、本明細書に記載の間接サンドイッチアッセイにおいて形成される、分析物を含む検出可能な複合体の態様を記載する。慣用のサンドイッチ複合体は左に示し、本明細書に開示される間接複合体は右に示す。複合体は、固定化された分析物特異的抗体、および可動化された分析物特異的抗体コンジュゲートの両方に結合した分析物を含み、抗体コンジュゲートはそのコンジュゲートメンバーを通して、相補的コンジュゲートメンバーを含む着色粒子ラベルに結合する。
【図2】〔0059〕図2は本明細書に記載のアッセイデバイスの一態様を記載する。デバイスは第1パッド(コンジュゲートパッド)(10)、検出ゾーン(20)、および付加的な吸収パッド(30)を含む。第1パッド(コンジュゲートパッド)(10)は少なくとも2つのゾーン:コンジュゲート対の第1メンバーにコンジュゲートした、可逆的に結合した、可動性、分析物特異的抗体を含むゾーン1(40)、およびコンジュゲート対の相補的メンバーにコンジュゲートした、乾燥し、可逆的に結合した、非分析物特異的、着色粒子を含むゾーン2(50)を含む。検出ゾーンは、非可逆的に結合し、固定化された分析物特異的試薬を含む捕捉ライン(60)、およびたとえばゾーン1の分析物特異的試薬に、特異的に結合可能な、非可逆的に結合した固定化試薬を含むコントロールライン(70)を含む。吸収パッド(30)はウィック(wick)として作用し、第1パッド(コンジュゲートパッド)のゾーン1(40)からゾーン2(50)、捕捉ライン(60)、およびコントロールライン(70)まで、順に液体試料のキャピラリーフローを維持することが可能な吸収材料を含む。
【発明を実施するための形態】
【0054】
〔0060〕本明細書には、液体試料中の分析物を検出するためのデバイスおよびアッセイが記載される。アッセイでは、標的分析物は分析物特異的試薬(コンジュゲート対の第1メンバーを含む)を結合して、第1複合体を形成し、次にそれは着色粒子ラベル(コンジュゲート対の相補的メンバーを含む)に接触し、そしてそれを結合し、第2の粒子ラベルされた第2複合体を形成する。固定化された分析物特異的捕捉試薬による、この分析物含有第2複合体の捕捉は、固定化され、ラベルされたサンドイッチ複合体の形成に帰着し、該複合体は検出されることができる。広範な分析物に特異的なアッセイデバイスがすべて同じ粒子コンジュゲートを使用できることは、開示されたデバイスの優れた利点である。アッセイの特異性は、粒子コンジュゲートと相互作用し、検出可能な複合体を提供することができる、粒子ラベルされない、分析物特異的試薬によって与えられる。
【0055】
分析物/試料
〔0061〕本明細書に記載のデバイスおよびアッセイが検出するようにデザインされる分析物は、液体型の状態の試料、または液体型に:すなわち水のような溶媒に溶解することにより変換されうる粒子または固体型の状態の試料中に存在する。試料は、いずれかの生物学的もしくは有機材料、天然物または合成物を含む、どんな材料も含むことができる。好ましくは、試料は血液、尿、唾液などのような体液を含む。
【0056】
〔0062〕本明細書に記載のアッセイおよびデバイスに包含される分析物は、本明細書に記載のアッセイ、デバイスおよびキットに適合した、流体中に溶解されうる広範な分子を含み、それらには、薬物、ホルモン、化学薬品、トキシン、化合物、受容体、核酸分子およびそのフラグメント、有機および無機分子のような分子、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、アミノ酸、炭水化物、核酸、脂質、トキシン、低分子、ステロイド、ビタミン、抗体、ならびにその組み合わせを含む組成物および化合物が挙げられるが、それらに限定されない。検出することが可能な分析物はまた、神経伝達物質、成長因子、抗新生物薬、サイトカイン、モノカイン、リンホカイン、栄養素、酵素、受容体、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗真菌剤、すべての動物および植物細胞を含む細胞のような組織化された要素の検出可能な成分、および微生物、たとえば真菌、ウイルス、すべてのグラム陽性およびグラム陰性細菌を含むがそれらに限定されない細菌、およびプロトゾア、任意の抗原性物質、ハプテン、抗体、天然または合成化学物質、汚染物質、治療目的で投与されるものおよび不法目的で投与されるものを含む薬物、ならびにその代謝産物およびフラグメント、または組み合わせを含むが、それらに限定されない。一態様では、分析物は抗体またはそのフラグメントではない。別の態様では、分析物は抗体または免疫学的に反応性のそのフラグメントが認識することができる少なくとも1つのエピトープを有することになる。あるいは、またはその上、分析物は特異的にリガンドを結合する部位を含む。1つより多い分析物の存在は、本明細書に記載のデバイスおよびアッセイを使用して検出することができる。複数の分析物の検出は同時に、または連続して実施することができる。
【0057】
テストストリップ
〔0063〕分析物を検出するためのアッセイにおける使用のためのデバイスは2以上のテストストリップからなることができ、テストストリップのそれぞれは液体試料のキャピラリーフローを提供する1以上の多孔性成分、膜またはフィルターを含むことができる。デバイスはコンジュゲートパッドとも呼ばれる第1パッド、および検出ゾーンを有する。このテストストリップはストリップ内のキャピラリー作用により、それに適用された流体を上流コンジュゲートパッドから下流検出ゾーンにウィッキングすることが可能である。ストリップは,膜の縦方向に沿ってゾーン中に置かれた試薬を有することができる。試料中の分析物は、試料がテストストリップの端から端まで横切るに従って、テストリップ内に位置する試薬と接触する。テストストリップ成分、たとえば多孔性支持体またはグラスファイバーフィルターおよびニトロセルロースのような膜は、製造業者から入手可能であるか、または当業者もしくは免疫診断薬製造業者によってカスタマイズされ、検出されることになる分析物に特異的な免疫試薬を含むことができる。ストリップ上で実施されるイムノアッセイ反応は、間接サンドイッチイムノアッセイ形式を含むことができる。
【0058】
〔0064〕デバイスのテストストリップは第1パッド(コンジュゲートパッド)、および第1パッド(コンジュゲートパッド)から検出ゾーンへの水性溶液のキャピラリーフローを可能にするように配置される検出ゾーンをふくむ。第1パッド(コンジュゲートパッド)は多孔性構造を含み、それを通って液体溶液は第1パッドから検出ゾーンまでキャピラリー作用による流動が可能である。液体は好ましくは水性溶液であり、その中にアッセイ中の種々の時点で1以上の以下の化学種:関心のある1以上の分析物、分析物特異的試薬を含む1以上の複合体、および着色粒子ラベルを含む1以上の複合体が溶解されてもよい。
【0059】
〔0065〕テストストリップの第1パッド(コンジュゲートパッド)は第1ゾーンおよび第2ゾーンを有し、それらはお互いに離れている。第1および第2ゾーンは好ましくはある程度離れているが、代わりにお互いに隣接することもできる。第1ゾーンは、乾燥し、可逆的に固定化された、分析物を特異的に結合可能な試薬を含む別個の部分を有する。一例では、分析物特異的試薬は分析物に特異的な抗体、またはそのフラグメントである。別の例では、分析物特異的試薬は分析物を特異的に結合するリガンドを含む。分析物特異的試薬はまた、コンジュゲート対の第1メンバーを含む。一例では、第1ゾーンは第1ゾーン中の別個の部分に位置する分析物特異的試薬の単一化学種を含む。
【0060】
〔0066〕別の例では、第1ゾーンは1種より多い分析物特異的試薬を含み、少なくともそのいくつかはお互いに同一ではない。場合によっては、それぞれの同一でない分析物特異的試薬は、別個の異なる分析物を特異的に結合する。あるいは、または付加的に、第1ゾーンは、単一分析物上の異なるエピトープ、またはリガンド結合部分を特異的に結合する、同一でない複数の分析物特異的試薬を含む。
【0061】
〔0067〕ある態様では、同一でない、分析物特異的試薬のすべてはゾーン1の単一の別個の部分に位置する。他の態様では、それぞれ別個の分析物特異的試薬は、ゾーン1におけるそれ自体の別個の部分に位置する。他の態様では、ゾーン1は同一の分析物特異的試薬を含む1以上の別個の部分、および同一でない分析物特異的試薬を含む1以上の別個の部分を含む。
【0062】
〔0068〕一側面では、それぞれの同一でない分析物特異的試薬は同じ第1コンジュゲートメンバーを含む。別の側面では、一定の分析物上の異なる領域を結合する、同一でない分析物特異的試薬だけが同じ第1コンジュゲートメンバーを含むが、別個の異なる分析物を結合する、同一でない分析物特異的試薬は、それぞれ異なる第1コンジュゲートメンバーを含む。別の側面では、それぞれの同一でない分析物特異的試薬は別個の異なる第1コンジュゲートメンバーを含む。
【0063】
〔0069〕第2ゾーンは、着色粒子ラベルおよびコンジュゲート対の相補的メンバーを含む移動可能な試薬を含む別個の部分を有する。
【0064】
〔0070〕第1パッド(コンジュゲートパッド)の第2ゾーンは、液体試料のキャピラリーフローに関して第1ゾーンから下流に位置し、そしてコンジュゲート対の相補的メンバーおよび着色粒子ラベルを含む、移動可能な試薬を含む別個の部分を有する。好ましい態様では、試料が適用される末端から順に、ビオチンラベルされた試薬が初めに、着色粒子が2番目に現れるが、アッセイは粒子ラベルされた試薬が初めでビオチンラベルされた試薬が2番目である場合も機能する。
【0065】
〔0071〕一例では、第1パッドの第2ゾーンはコンジュゲート対の相補的メンバーおよび着色粒子ラベルを含む単一化学種の試薬を含み、この単一種は第2ゾーンの別個の部分、または代わりに第2ゾーンの複数の別個の部分に位置する。別の例では、第1パッドの第2ゾーンは2番目のコンジュゲートメンバーおよび着色粒子ラベルを含むいくつかの同一でない試薬を含む。この例の一側面では、同一でない試薬のそれぞれは同じコンジュゲートと異なる着色粒子を含む。この例の別の側面では、同一でない試薬のそれぞれは同じ着色粒子と異なるコンジュゲート対を含む。さらに別の側面では、これらの同一でない試薬は先に言及した2つの側面の混合物を含む。
【0066】
〔0072〕さらに代わりの側面では、間接ラベリングは、たとえば、アッセイを実行する前に、コンジュゲートパッドの別個のゾーンで乾燥したコンジュゲート対の1メンバーと、液体懸濁液中の他のメンバーを含むことができる。たとえば、コンジュゲート対の粒子ラベルされたメンバーは液体懸濁液の状態であることができ、そしてコンジュゲート対の他のメンバーはコンジュゲートパッド上で、あるいは検出ゾーン上流の第2パッド上で乾燥することができる。コンジュゲート対メンバーの順番は入れ換えて、コンジュゲートの粒子ラベルされたメンバーはコンジュゲートパッド上または検出ゾーン上流の第2パッド上で乾燥し、コンジュゲート対の他のメンバーは液体懸濁液の状態であることもありうる。この代わりの側面では、デバイスおよびコンジュゲート対の1メンバーを含む液体懸濁液はキットとして供給することができる。たとえば、キットは、液体試料のキャピラリーフローを提供する多孔性材料を含むデバイスを含むことができ、デバイスは:(1)乾燥状態において:a)着色粒子およびコンジュゲート対の第1メンバー;またはb)分析物を特異的に結合可能でコンジュゲート対の相補的メンバーを含む試薬の1つを含む移動可能な試薬を含む第1パッド;および(2)分析物に特異的に結合可能な固定化捕捉試薬を含む捕捉ラインを含む検出ゾーンを含む。そのようなキットはまた、デバイスの第1パッド上に存在しない、先に記載の(a)または(b)のメンバーを含む液体を含むことになる。使用において、(a)または(b)の試薬を含む液体と液体試料は、デバイスの第1パッドと接触し、アッセイを行い、テスト結果を提供する。(a)または(b)の試薬を含む液体は第1パッドへの適用前に液体試料と混合することができる。
【0067】
〔0073〕検出ゾーンは本明細書では捕捉ラインと表される別個の部分を有し、それは分析物を特異的に結合可能な固定化捕捉試薬を含む。検出ゾーンは好ましくはまた、本明細書ではコントロールラインと表される別個の部分を有し、そしてそれはコンジュゲートパッドのゾーン1の1以上の可動性分析物特異的試薬を特異的に結合可能な固定化捕捉試薬を含む。
【0068】
〔0074〕デバイスは第1パッド(コンジュゲートパッド)から検出ゾーンへの液体試料のキャピラリーフローを提供する。多孔性キャリア材料を通る水性試料の流速は、分析物が存在する場合に検出可能なシグナルを生じるために必要な複合体を得るために十分な、分析物、分析物特異的試薬、およびコンジュゲート対メンバー間の相互作用を可能にすることが好ましい。ゾーン間の空間的分離、および多孔性キャリア材料の流速特性は、適切な反応時間中に必要な特異的結合が起こりうるように、そして液体試料中に第1ゾーンのラベルされた試薬が溶解または分散し、キャリアを通って移動するように選択することができる。これらのパラメータについてのそれ以上の制御は試料中、またはたとえば第1ゾーン上流の第1パッド上に粘性調節剤(たとえば、糖、マンニトール、改変セルロースなど)を含み、試薬移動を遅くすることによって達成することができる。
【0069】
〔0075〕本明細書に記載のデバイスは、2以上の別個の多孔性材料のシート、たとえば別個のストリップまたはシートを含み、1つ目は第1パッド(コンジュゲートパッド)を含み、2つ目は検出ゾーンを含む。あるいは、それぞれのシートがコンジュゲートパッドおよび検出ゾーンを含む別個のシートは、たとえば、デバイスへの液体試料の1回の適用が別個のシートの試料流動を同時に開始するように、並行して配列することができる。このようにして測定することができる別個の分析結果は、対照結果として使用することができ、または異なる試薬が異なるキャリア上に使用される場合、単一試料中の複数の分析物の同時測定を行うことができる。あるいは、複数の試料をストリップのアレイに別々に適用し、同時に分析することもできる。
【0070】
〔0076〕キャピラリー運動または側方流動を提供するデバイスの多孔性材料または多孔性構造には、ニトロセルロース、ポリエステルまたはセルロースとのニトロセルロースブレンド、未処理紙、多孔性紙、レイヨン、グラスファイバー、アクリロニトリルコポリマーもしくはナイロンのような材料、または側方流動を可能にする他の多孔性材料が挙げられる。
【0071】
〔0077〕一態様では、膜は試薬が固定化されるか、または置かれる不織基質であり、それは一般にテストストリップの縦方向に並行な流体の流動方向において試料を運ぶことが可能である。望ましいテストストリップは、ナイロン、ポリエチレン、グラスファイバー、ニトロセルロース、セルロース、および他の一般的な膜マトリックスまたは吸収性材料を含むがそれらに限定されない流体‐誘導材料からなる。一態様では、テストストリップはニトロセルロースからなる。一態様では、ニトロセルロースシートは少なくとも約1ミクロン、または約5ミクロンより大きい、または約8〜12ミクロンのポアサイズを有する。その上、天然および合成両方の多様な有機および無機ポリマーが固体表面の材料として利用されてもよい。例となるポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、レイヨン、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)、ポリビニリリデンジフルオリド(PVDF)、シリコン、ポリホルムアルデヒド、セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、グラスファイバー濾紙が挙げられる。
【0072】
〔0078〕非吸収性側方流動を使用して、たとえば着色したラテックスのような、可視部分、とりわけラベルされた粒子を誘導できることは当該技術分野で公知である。非吸収性流動は、当該技術分野で公知のように、ブロッキング剤による処理により、非吸収性にされた吸収性支持体を使用して達成することができる。粒子の側方流動を可能にする非吸収性膜は当業者に公知であり、ポリスルホン微小多孔性膜、ニトロセルロース、セルロースアセテート膜、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ビニルアセテートとビニルクロリドのコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ナイロン、オーロン、ポリエステル、ポリエステル、ポリスチレンなどのような材料が挙げられるが、それらに限定されない。好ましい特性および流動速度を持つ材料の選択は、一般に当業者の知識の範囲内である。
【0073】
〔0079〕一態様では、デバイスはテストストリップ材料のためのハウジングまたはケーシングを含まない。一態様では、テストストリップ材料は“裏を付ける”か、またはラミネートして、たとえば、プラスチックシートのような半剛体支持体とし、その取り扱い強度を増すことができる。材料は連続した1片、または別個の複数片でありうる。ラミネートは好ましくは、ポリエチレンまたはビニルであるが、当業者は非常に多数の材料を使用して、半剛体支持体を提供できることを認識するであろう。これは、たとえば裏張り材料のシート上にニトロセルロースの薄層を形成することにより、工業的に生産することができる。
【0074】
〔0080〕液体試料中の分析物の収集および分析において効果的に機能するデバイスのための適切な機械的強度または支持を生み出すために、アッセイデバイスはアッセイデバイスを支持するための適切な機械的強度を有することが必要である。適切な機械的強度は、裏張り材料の適切な厚さ、ならびに重みを付けた標準物を使用する場合の適切な曲げ特性、または水流動測定値を使用する場合の曲げ特性により提供される。一般に、最少の適切な機械的強度は半剛体材料によって提供される。もちろん、デバイスがディップスティック(dipstick)として利用される態様では、所望する場合、たとえば包装および輸送の要求に対して取り扱いが容易で耐久力がある支持体を提供する限り、堅さの劣る裏張りを使用することができる。
【0075】
分析物特異的試薬
〔0081〕分析物特異的試薬、好ましくは分析物特異的抗体はデバイスの第1ゾーンに可逆的に結合するが、分析物特異的試薬、好ましくは分析物特異的抗体はデバイスの検出ゾーンの捕捉ラインに非可逆的に結合する。可逆的に結合した試薬は材料が乾燥した状態である場合、コンジュゲートパッドのゾーン1に保持されるが、たとえば、測定されることになる分析物を潜在的に含む液体試料の適用により、材料が湿気を帯びると、キャリア材料を通って自由に移動する。
【0076】
〔0082〕試料がテストストリップに適用される場合、分析物特異的試薬および粒子ラベルの可動化を可能にするために、いくつかの異なる方法を利用することができる。たとえば、試薬の固い非特異的結合を妨げるためにブロッキング剤により前処理されている材料に試薬を置くことができ、あるいは試薬は比較的大きなポアを持つ多孔性構造、たとえば粒子の自由な移動を可能にするグラスファイバー濾紙に置くこともできる。多孔性構造は、アッセイ試薬の結合をさらに妨害するために遮断することができる。たとえば、適切な部分においてキャリア上に、たとえば、スクロースまたはラクトースからなる水性糖またはセルロース溶液を置くことにより、グレージングを達成することができる。ラベルされた試薬はその後グレージングされた部分に適用することができる。
【0077】
〔0083〕捕捉および対照試薬は、ニトロセルロース上にストライプ状に配置するか、または共有結合により結合するか、もしくは非特異的結合により非共有結合的に接着してもよい。非共有結合は典型的には表面への化合物の非特異的な吸収である。種々の表面に対して非常に多様な化合物を結合するか、または連結する様式は公知であり、文献に詳細に説明される。たとえば、IMMOBILIZED ENZYMES,Ichiro Chibata,Halsted Press,New York,1978およびCuatrecases,J Biol.Chem.1970 Jun;245(12):3059−65も参照されたい。それらの開示は参照として本明細書に援用される。
【0078】
〔0084〕試薬は当該技術分野で公知の多様なやり方で膜材料に適用することができる。種々の“プリンティング”技術、たとえば、マイクロシリンジ、計量ポンプを使用したペン、直接プリンティング、インクジェットプリンティング、エアブラシ、および接触(またはフィラメント)法は膜への液体試薬の適用に適切であり、現在の状況ではこれらのいずれの技術も使用できる。工業的製造を促進するために、膜は試薬により処理され、その後、より小さな部分(たとえば、必要な試薬含有ゾーンをそれぞれ包含する小さな幅の狭いストリップ)に細分化され、複数の同一キャリアユニットを提供することができる。
【0079】
抗体
〔0085〕一態様では、本発明の試薬はin vitroまたはin vivoで作られたポリクローナルおよびモノクローナル抗体でありうる。そのような抗体を作る方法は当該技術分野で公知である。
【0080】
〔0086〕標的分析物に対するポリクローナルは、適切な動物、たとえばマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、またはニワトリを関心のある分析物で免疫することにより生み出される。免疫原性を促進するために、ペプチドは免疫化前にキャリアに連結することができる。適切なキャリアは、典型的には大きく、ゆっくり代謝される高分子、たとえばタンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマー、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物(たとえば、油滴またはリポソーム)、および不活性ウイルス粒子である。そのようなキャリアは当業者には公知である。その上、ペプチドはその免疫原性を高めるために細菌トキソイド、たとえばジフテリア、破傷風、コレラなどに由来するトキソイドにコンジュゲートされてもよい。
【0081】
コンジュゲート対
〔0087〕コンジュゲート対の第1メンバーは、コンジュゲート対、すなわち2つの分子、通常2つの異なる分子の中の1メンバーであり、ここでは化学的または物理的手段により分子の1方(すなわち、コンジュゲート対の第1メンバー)が他の分子(すなわち、コンジュゲート対の第2メンバー)に特異的に結合する。コンジュゲート対のコグネイトまたは相補的メンバーには、たとえば、リガンドとその受容体;受容体とカウンター受容体を含むことができる。相補的コグネイト対には、たとえば炭水化物とレクチン、相補的ヌクレオチド配列;ペプチドリガンドと受容体;エフェクターと受容体分子;ホルモンとホルモン結合タンパク質;酵素補因子と酵素;酵素阻害剤と酵素などを挙げることができる。相補的コンジュゲート対には、元のコンジュゲートメンバーの1つまたは2つのメンバーの類似体、誘導体およびフラグメントを挙げてもよい。相補的コンジュゲート対はまた、抗体がアッセイの分析物を結合しない、抗体/抗原相互作用を挙げてもよい。ある側面では、しかし、コグネイト対のメンバーは抗体を含まない。たとえば、受容体およびリガンド対はペプチドフラグメント、化学的に合成されたペプチドミメティック、ラベルされたタンパク質、誘導体化タンパク質などを含んでいてもよい。本発明の目的にとって好ましいコンジュゲート対は、ビオチン/ストレプトアビジンである。ビオチン、アビジンまたはストレプトアビジン(またはその類似体、たとえばニュートラアビジン登録商標)は当該技術分野で公知の方法により、またはPiece(Cat#21338)またはSigma(Cat#B−TAG)のようなキットを使用して、着色粒子(以下を参照されたい)に、または分析物特異的抗体に連結することができる。
【0082】
着色粒子
〔0088〕本明細書に記載のデバイスおよびアッセイは、好ましくはラベルとして天然に着色された、または染色された粒子、ならびにラベルとして発色性および蛍光色素を利用する。提案される粒子には、染色されたラテックスビーズ、色素吸収リポソーム、金属ゾルなどが挙げられる。粒子上のコンジュゲート対のメンバーが対のコンジュゲートメンバーを持つ実体に結合することにより、粒子の分離、捕捉、または凝集が起こる場合に、そのような複合体における着色粒子は可視マーカーとして役立つ。特定のアッセイステップにおいてそのように分離されるラベルの量は、試料中に初めに存在する分析物の量に関連しうる。
【0083】
〔0089〕使用することができる着色粒子の例としては、有機ポリマーラテックス粒子、たとえばポリスチレンラテックスビーズ、コロイド金粒子;コロイドイオウ粒子;コロイドセレン粒子;コロイド硫酸バリウム粒子;コロイド硫酸鉄粒子;金属ヨウ素酸粒子;銀ハライド粒子;シリカ粒子;コロイド金属(含水)オキシド粒子;コロイド金属スルフィド粒子;カーボンブラック粒子;コロイド鉛セレニド粒子;コロイドカドミウムセレニド粒子:コロイド金属リン酸粒子;コロイド金属フェライト粒子;有機または無機層でコートされた先に言及したコロイド粒子のいずれか;タンパク質もしくはペプチド分子またはリポソームが挙げられるが、それらに限定されない。コロイド金粒子は、G.Frens,1973 Nature Physical Science,241:20(1973)に概説される方法のような、いずれかの慣用の方法により作られてもよい。代わりの方法は、米国特許第5,578,577号、5,141,850号;4,775,636号;4,853,335号;4,856,612号;5,079,172号;5,202,267号;5,514,602号;5,616,467号;5,681,775号に記載される。カーボンブラック粒子は、米国特許第5,252,496号、5,559,041号、5,529,901号、5,294,370号、5,348,891号および5,641,689号に記載される方法を含む、当業者に公知の方法により接着されてもよい。金属ゾルは、たとえば米国特許第4,313,734号に記載される。着色粒子コンジュゲートの合成に関与する詳細およびエンジニアリングの原理に関しては、Horisberger,Evaluation of Colloidal Gold as a Cytochromic Marker for Transmission and scanning Electron Microscopy,Biol.Cellulaire,36,253−258(1979);Leuvering et al,Sol Particle Immunoassay,J.Immunoassay 1(1),77−91(1980)、およびFrens,Controlled Nucleation for the Regulation of the Particle Size in Monodisperse Gold Suspensions,Nature,Physical Science,241,pp20−22(1973)を参照されたい。
【0084】
〔0090〕本明細書に記載のコグネイト対は第1メンバーおよび第2メンバーを含む。1メンバーは粒子ラベルにコンジュゲートされる。一側面では、粒子ラベルにコンジュゲートされるメンバーは対の第1メンバーに特異的な抗体ではない。この態様の別の側面では、粒子はビオチンを特異的に結合する抗体によりラベルされない。抗体にラベルされない粒子は、たとえば低いバックグラウンドのような、利点を与えてもよい。
【0085】
〔0091〕着色ラテックス粒子は、重合の前にエマルション中に、アントラキノンのような、適切な色素を含むこと、または前もって形成された粒子を着色することのいずれかにより生み出すことができる。後者の経路では、色素はクロロホルムのような、水と混和しない溶媒に溶解されるべきであり、それはその後ラテックス粒子の水性懸濁液に添加される。粒子は非水性溶媒および色素を溶解し、その後乾燥することができる。
【0086】
〔0092〕ラテックス粒子コンジュゲートの調製は、たとえば、アビジンのようなコンジュゲートを0.43μmミクロスフェア(Magsphereカルボキシル化PS)に固定化し、コンジュゲート対メンバー‐ラテックスコンジュゲートを生み出すことによって成し遂げることができる。たとえば、0.43μmカルボキシル化ミクロスフェアの1%懸濁液に、0.15mg/mLのN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC、Sigma E1769)および50mM ボレートバッファー、pH8.5中のコンジュゲート対、たとえばアビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンの1:40希釈物(wt/wt)を添加することになる。この反応物は、室温で3時間、攪拌または回転しながらインキュベーションされる。過剰なEDACおよびアビジンは12,000RPMで15分間遠心分離することにより除去され、その後タンパク質含有保存溶液(20mM Tris、0.1% NaN、2% カゼイン、10% スクロース)中に再懸濁される。ラテックスビーズは、Bio−Dot,Inc.,Irvine,Calif.のBioDot Biodoser machineのようなエアージェット技術を使用することにより材料上に適用することができる。そのような適用によりラベリング試薬を可動性にすることができる。
【0087】
〔0093〕粒子サイズの選択は、バルクゾル試薬およびそのコンジュゲートの安定性、(コンジュゲートパッド)からの粒子の放出の効率および完全性、反応のスピードおよび完全性のような因子によって影響を受けてもよい。また、粒子表面部分が結合部分間の立体障害に影響を与えてもよいという事実が考慮されてもよい。粒子サイズはまた、テストストリップおよび/または適用パッドの多孔性材料の多孔度を基礎にして選択されてもよい。粒子は好ましくは十分に小さく、試料液体のキャピラリー作用によって膜または支持体に沿って、またはそれを通って拡散する。好ましくは、直接ラベルは球形または球に近い形状で、約約0.5ミクロンより大きくない最大直径を有する着色ラテックス粒子である。好ましくは、そのような粒子のサイズ範囲は約0.05〜約0.5ミクロンである。着色粒子ラベルコンジュゲートを形成するためのコンジュゲートメンバーへの粒子ラベルのカップリングは共有結合によるか、または疎水性結合によるものでありうる。
【0088】
〔0094〕イムノアッセイに使用のためのラテックス(ポリマー)粒子は市販されている。これらはポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリスチレン‐アクリル酸およびポリアクロレインのようなある範囲の合成ポリマーを基礎にすることができる。使用されるモノマーは通常、水‐不溶性であり、水性界面活性剤中で乳化されてモノマーミセルが形成され、その後それらはイニシエーターの添加により重合してエマルションに誘導される。実質的に球形のポリマー粒子が生み出される。
【0089】
〔0095〕第1パッド(コンジュゲートパッド)および/または分析物検出膜支持体またはテストストリップのいずれかの多孔性材料に存在するラベルされた粒子の数は、粒子のサイズおよび組成、テストストリップおよび第1パッド(コンジュゲートパッド)または分析物検出膜もしくは支持体のいずれかの多孔性材料の組成、ならびにアッセイ感度のレベルに依存して変化してもよい。粒子は、着色されることに加えて、検出を促進するためにラベルすることができる。ラベルの例としては、ルミネスセンスラベル;色素のような、比色定量用ラベル;蛍光ラベル;または電気活性剤(たとえば、フェロシアニド)のような化学ラベルが挙げられるが、それらに限定されない。着色ポリスチレン粒子のような着色粒子ラベルは、コンジュゲートパッドのゾーン1の分析物特異的試薬を可逆的に結合するための、先に記載のプロセスと類似のプロセスによって、コンジュゲートパッドのゾーン2に置くことができる。
【0090】
〔0096〕開示された間接ラベリング法の利点は、複数の異なる分析物を検出するためのアッセイデバイスの調製のためのある種の“ユニバーサル試薬”として使用できることである。すなわち、複数の異なる分析物特異的試薬はコンジュゲート対の同じメンバー(たとえば、ビオチン)に別個にコンジュゲートすることができる。これらの別個の分析物特異的試薬のそれぞれはコンジュゲート対のコグネイトメンバー(この例では、ストレプトアビジン)を有する同じ粒子ラベルされたコンジュゲートによって間接的にラベルされることになる。これは、複数の異なる分析物を検出するために、複数の異なる(分析物特異的)粒子ラベルされた調製物を調製する必要性を排除する。
【0091】
検出ゾーン
〔0097〕検出ゾーンは液体試料のキャピラリー運動に関して第1パッド(コンジュゲートパッド)の下流に位置する。検出ゾーンは、別個の部分に非可逆的に結合した、固定化された捕捉試薬を含む、少なくとも1つの捕捉ラインを有する。固定化された捕捉試薬は分析物に特異的に結合することが可能である。捕捉試薬は分析物に特異的に結合することが可能である抗体またはそのフラグメントでありうる。捕捉試薬は、分析物に特異的に結合することがかのうである天然または合成のリガンドでもありうる。検出ゾーンの単一の捕捉ラインは、分析物の別個の部分を認識する捕捉試薬のような、同一でない固定化された捕捉試薬を含むことができる。検出ゾーンは、1つより多い捕捉ラインを含むことができる。検出ゾーンが1つより多い捕捉ラインを含む例では、それぞれの捕捉ラインは、別個の、同一でない、非可逆的に結合した、別個の分析物を特異的に結合する捕捉試薬を含むことができる。あるいは、検出ゾーンが1つより多い捕捉ラインを含む例では、それぞれの捕捉ラインは、別個の、同一でない、非可逆的に結合した、分析物の異なるエピトープまたは領域を特異的に結合する捕捉試薬を含むことができる。あるいは、検出ゾーンが1つより多い捕捉ラインを含む例では、それぞれの捕捉ラインは、同一でない捕捉試薬の混合物を含むことができる。
【0092】
〔0098〕デバイスの検出ゾーンは、液体試料のキャピラリー運動に関して、好ましくは捕捉ラインの下流に位置するコントロールラインを含む。コントロールラインは検出ゾーンの別個の部分であり、コントロールラインに非可逆的に固定化され、そして第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンの試薬に特異的に結合する試薬を含む。一側面では、第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンの分析物特異的試薬は抗体であり、そしてコントロールラインは抗体を特異的に結合する試薬を含む。別の側面では、試薬は最終捕捉抗体を含み、最終捕捉抗体はそれらの特異性に依存して抗体分子に特異的に結合する。別の側面では、最終捕捉抗体はその特異性にかかわらず、抗体を結合する。関心のある複数の異なる分析物の1つに対してそれぞれ特異的な、複数の分析物特異的試薬が存在する側面では、複数のコントロールラインが存在でき、それぞれの線は複数の分析物特異的試薬の少なくとも1つに対して特異的な1以上の試薬を含む。
【0093】
〔0099〕同じデバイスを使用して、2以上の異なる分析物をアッセイすることが望ましくてもよい。そのような例では、同じテストストリップ上に異なる検出可能なマーカーを用いることが望ましくてもよく、その場合それぞれの検出可能なマーカーは異なる分析物を検出する。たとえば、異なる分析物特異的試薬が異なる着色粒子ラベルに接着して、識別可能な複合体を形成してもよい。たとえば、複合体は、異なる波長において蛍光を発する異なる蛍光剤、または異なって着色された色素もしくは粒子のような、異なる検出可能なマーカーを含むことができる。同じデバイスを使用して2以上の異なる分析物を検出する場合、検出されることになるそれぞれの分析物に対するテストストリップ上の検出ゾーンにおいて、場合により別個の捕捉ラインおよび/またはコントロールラインが形成されうる。あるいは、同じ検出可能なマーカーはすべての分析物に対して使用することができる。あるいは、先に記載の異なる検出可能なマーカーを異なる分析物に対して使用して、1つの捕捉ゾーンが別のものと混同されることを防ぐ。
【0094】
〔0100〕可視ラベルの蓄積は視覚的に、または光学的検出デバイスにより査定することができる。捕捉ラインにおけるラベルの保持は試料における標的分析物の存在を示す。コントロールゾーンにおけるラベルの保持は、十分な流体が第1パッド(コンジュゲートパッド)および検出ゾーンを通過したこと、およびラベルされた試薬が貯蔵、バッファー組成および試料組成などにより変性または分解されないことを示す。
【0095】
〔0101〕その上、蓄積されたラベルの可視強度は親試料における分析物の濃度または力価(希釈物)と相関しうる。蓄積されたラベルの可視強度および分析物濃度間の相関は参照標準に対して可視強度を比較することによって生み出すことができる。従って、分析物ラベルは本明細書に記載のデバイスによって測定することができる。
【0096】
〔0102〕本明細書に記載のデバイスは場合により試料パッドをさらに含み、該パッドは関心のある1以上の分析物を含む液体試料をキャピラリー作用により流動させる多孔性構造を有する。試料パッドは一般的には必要でない。しかし、使用される場合、試料パッドは液体試料が第1パッド(コンジュゲートパッド)に流動するように配置される。試料パッドは部分的に、または完全に第1パッド(コンジュゲートパッド)と重複することができる。
【0097】
〔0103〕試薬シンクまたは吸収性パッドは場合によりテストストリップの遠位末端に含まれ、ストリップの縦方向に沿った、試薬および試料を含む流体の流動を高める。吸収ゾーンまたは試薬シンクはデバイスのマトリックスから過剰な流体を除去するための手段であり、そうして流動経路に沿った所望するキャピラリーフローを維持する。シンクは、ブロット紙、濾紙、グラスファイバー濾紙などのような吸収性材料から構成することができる。
【0098】
方法
〔0104〕一般に、本明細書に記載の側方流動デバイスを使用して、試料における分析物の存在または不在を測定するための方法は、以下を含む:
(a)必要な場合、試料を処理して水性溶液に分析物を抽出すること;
(b)デバイスに水性試料を適用すること;
(c)予め決めた期間待って、試料をテストストリップの検出ゾーンに到達させること;
(d)試料中の分析物の存在または不在を示す、テストストリップ上の結果を観察すること。
【0099】
〔0105〕ある好ましいアッセイフォーマットでは、接触ステップは、乾燥ストリップの第1パッド上に試料を並べることを含み、該ストリップは上流から下流方向において、関心のある分析物を特異的に結合し、そしてコンジュゲート対の第1メンバーを含む、可逆的に結合し、ラベルされた抗体を含む第1ゾーン、およびコンジュゲート対の第2メンバーを含み、第2メンバーはコンジュゲート対の第1メンバーに相補的である、乾燥し、可逆的に結合した着色粒子ラベルを含む第2ゾーン、ならびにコンジュゲートした粒子ラベルとコンジュゲートした分析物特異的抗体によって形成された複合体において分析物に特異的な、固定化され、非可逆的に結合した抗体を含む検出ゾーンを有する。
【0100】
〔0106〕稼働中に、(i)試料は第1ゾーンに向かってコンジュゲートパッド上の下流方向において移動し,(ii)水性溶液中の分析物は可逆的に結合した、分析物特異的なコンジュゲートした抗体と特異的に反応し、第2ゾーンに向かって移動する複合体を形成し、コンジュゲート対の相補的メンバーを含む着色粒子ラベルを特異的に結合して、分析物がコンジュゲートメンバーの対を通して粒子状着色ラベルに間接的に結合する複合体を形成する。この後者の複合体は検出ゾーンに移動し、ここでは複合体は捕捉ラインに非可逆的に結合した分析物特異的抗体と接触してそれに特異的に結合し、そうして捕捉ラインにおいて分析物および検出可能な着色粒子を含む複合体を捕捉する。1対のコンジュゲートメンバーを通して粒子状着色ラベルに結合した、分析物特異的抗体を含む分析物を持たない複合体は捕捉されず、捕捉ゾーン下流をコントロールラインまで移動し、コントロールラインはコントロールラインに非可逆的に結合する抗体を含み、抗体のイディオタイプにかかわらず抗体分子に特異的に結合する抗体分子を特異的に結合する。捕捉およびコントロールライン両方における検出ステップは、それぞれのゾーンにおける固定化され、ラベルされた複合体の存在または不在を含み、検出ゾーンの捕捉ラインにおける検出可能なラベルの存在は、デバイスに適用された水性溶液中の分析物の存在を示す。
【0101】
キット
〔0107〕本明細書に提供される試料中の分析物検出のためのキットは、本明細書に記載のデバイス、および場合により、分析物を含むと推測される試料と合わせて、水性溶液または液体懸濁液を形成することになるバッファーのような流体を含む。キットは、付加的な試薬またはバッファー、試料を得るまたは集めるための器具、試料および試薬を含むための容器、計時手段、および/または色変化が判断されてもよい標準物を付加的に含む。水性溶液中の分析物の存在または不在は検出ゾーンの捕捉ラインにおける検出可能なラベルの存在または不在によって測定される。
【実施例】
【0102】
グループAストレプトコッカスのためのワンステップアッセイの調製
材料の選択
〔0108〕 1.分析物検出領域:材料の重要な特徴はその流動体ウィッキングおよびタンパク質結合能力である。例となる材料には、ニトロセルロース、ナイロンなどが挙げられる。好ましい態様では、材料は、ポリエステルのようなラミネートされた固体支持体を持つ、または持たないニトロセルロースである。ニトロセルロースは非常に多くの製造業者から容易に入手可能である。
〔0109〕 2.コンジュゲートパッド:適切な材料には、綿、セルロース、混合ファイバー、グラスファイバーなどが挙げられる。たとえば、Schleicher and Schuell,Keene,N.H.の470および740−E、またはWhatman,Fairfield,N.J.,のD28のような紙は、その高い流体吸収およびウィッキングスピードに対して選択することができる。Gelman Sciences,Ann Arbor,Mich.のグラスファイバー#66078、Lydall Inc.,Manchester,Conn.のGrade 9818グラスファイバー、またはPorex Technologies,Fairburn,Ga.のPOREXのような、いっそう多孔性の材料は、コンジュゲートパッドゾーン2のコンジュゲートした着色ラベルされた粒子を染みこませるため、およびコンジュゲートパッドのゾーン1のコンジュゲートした分析物特異的試薬を染みこませるために適する。
〔0110〕 3.バッキング(裏張り)支持体:本明細書に記載のデバイスの場合、好ましい材料は、付加的な上部のカバーリングのための約0.001インチ〜0.0010インチの厚さの透明なマイラーおよび下部バッキングのための約0.005インチ〜0.030インチの厚さの白色ビニルである。マイラーおよびビニルシートは共に多孔性材料を接着するように片側に粘着性を有する。粘着性を持つマイラー、ポリエステル、およびビニルのような材料は容易に入手可能である。
〔0111〕 4.試薬:
〔0112〕 A)ラテックスのような発色性粒子は、コンジュゲートパッドのゾーン1に位置する分析物特異的試薬のコンジュゲート対の第1メンバーとの反応に適した、コンジュゲート対のコグネイトメンバー(アビジン)によりラベルされる。
〔0113〕 B)StrepAに向けられた抗体は、Fitzgerald Industries(Concord,MA)、Lampire Biological Lab(Pipersville,PA)のような製造業者から得ることができ、また好ましくは、ポリクローナル抗体は社内(in−house)で作製することができる。StrepAに指向したアフィニティー精製し、ペプシン消化した抗体はビオチンにコンジュゲートする。
〔0114〕 C)社内で生成された、アフィニティー精製された抗−StrepA抗体は検出ゾーンの捕捉ラインに非可逆的に結合する。
〔0115〕 D)関連のないタンパク質(たとえば、BSA、GSA、卵白アルブミン、マウスイムノグロブリン)に特異的なポリクローナル抗体はコントロールラインに非可逆的に結合する。
【0103】
ラテックスコンジュゲートの調製
〔0116〕単純な吸着によるか、または共有結合によるラテックスへのタンパク質のコンジュゲーションのための基礎的プロトコルは当該技術分野で公知であり、参照として本明細書に援用される。例としては、スクアレンで染色されたラテックスビーズへのアビジンの共有結合による接着はたとえば、米国特許第5,536,644号、5,076,950号、4,935,147号および5,370,993号に記載される。
〔0117〕ラテックス粒子コンジュゲートの調製は、たとえばアビジンのようなコンジュゲートを0.43μmミクロスフェア(Magsphereカルボキシル化PS)に固定化し、コンジュゲート対メンバー‐ラテックスコンジュゲートを生み出すことによって成し遂げることができる。たとえば、0.43μmカルボキシル化ミクロスフェアの1%懸濁液に、50mM ボレートバッファーpH8.5中の0.15mg/mLのN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC、Sigma E1769)およびコンジュゲート対、たとえばアビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンの1:40希釈物(wt/wt)が添加される。この反応物は、室温で3時間、攪拌または回転しながらインキュベーションされる。過剰なEDACおよびアビジンは12,000RPMで15分間遠心分離することにより除去され、その後タンパク質含有保存溶液(20mM Tris、0.1% NaN、2% カゼイン、10% スクロース)中に再懸濁される。ラテックスビーズは、Bio−Dot,Inc.,Irvine,Calif.のBioDot Biodoser machineのようなエアージェット技術を使用することにより材料上に適用することができる。そのような適用はラベリング試薬を可動性にすることができる。
【0104】
検出ゾーンの捕捉ライン上へのアフィニティー精製されたポリクローナル抗−StrepA抗体(捕捉試薬)、および検出ゾーンのコントロールライン上への抗−BSA抗体(最終捕捉試薬)の適用
〔0118〕抗体の細いラインは、平らな先端のピペットチップによる適用を含むピペッテイング技術を使用して材料上の捕捉ラインまたはコントロールラインにそれぞれ適用される。代わりの方法はエアブラシ技術(Iwata,model HP−BC2)による適用でありうる。ラインの幅はたとえば、0.2mm〜2mmであることができ;1mmの幅が好ましい。そのような材料は当該技術分野で公知の技術により固定化される。
【0105】
第1パッド(コンジュゲートパッド)のゾーン2およびゾーン1、それぞれに対するラテックス‐アビジンコンジュゲート粒子、BSAにコートされた粒子、およびビオチンとコンジュゲートした抗StrepA抗体の適用
〔0119〕アビジンおよびBSAコンジュゲートラテックス粒子、およびビオチンラベルされた抗‐StrepA抗体は、第1パッド(コンジュゲートパッド)のゾーン2およびゾーン1、それぞれに対して適用される。ラテックス溶液はピペッテイングまたはエアブラッシング技術により材料上に適用することができる。膜ストリップはその後,強制空気により、または凍結乾燥により乾燥される。そのような適用はラベリング試薬が可動性になることを可能にする。
〔0120〕安定化剤はまた、乾燥または凍結乾燥中に試薬、たとえば抗体を保護するために適用溶液中に含むことができる。安定化剤には、たとえば、スクロース、ラクトースなどのような糖、たとえばBSA、カゼインなどのようなタンパク質、ゼラチン、PVA、アミノ酸、またはたとえばTWEENおよびマンニトールのような界面活性剤を挙げることができる。
【0106】
第1パッド(コンジュゲートパッド)の付加的な調製
〔0121〕第1パッド(コンジュゲートパッド)はさらに界面活性剤、ブロッキングタンパク質などを含むバッファーで処理し、乾燥したラテックス粒子の運動を促進し、抽出試薬を中和するか、またはアッセイの非特異的結合を減らすことができる。StrepAアッセイの場合、適切な量のバッファー溶液は第1パッドに分配され、乾燥し、その後アッセイデバイスに集められる。たとえば、0.1M NaCl、0.1% アジ化ナトリウム、1.5% Zwittergent、および0.1%ウサギIgGを含む1.6M Trisは、第1パッドに適用することができる。第1パッド(コンジュゲートパッド)はその後強制空気オーブンで乾燥する。
【0107】
アッセイデバイスの組み立て
〔0122〕白色ビニルシート(98mmx254mm)は平らな表面に置く。白色ビニルシート上のカバー紙は除去し、接着剤を暴露させる。材料ストリップ(25mmx254mm)である、アビジンおよびBSAコンジュゲートラテックスならびに抗−StrepA抗体線を含む第1パッド(コンジュゲートパッド)は白色ビニルシートに接着する。分析物検出領域は液体試料のキャピラリーフローに関して第1パッド(コンジュゲートパッド)の下流に配置される。吸収性パッドは、分析物検出領域(捕捉およびコントロールラインの下流)の先端約3mmに重ねて、白色ビニルシートの右端(キャピラリーフローの下流)に接着する。透明マイラーシートのカバー紙(98mmx254mm)は除去し、接着剤を暴露させる。右端まで並べて、カバーはエンドフロー領域、分析物検出領域および試料受容領域の表面の粘着側を下にした透明なマイラーシートに接着する。シート全体はローラーでプレスし、ラミネートが安定したことを確実にする。その後、ラミネートシートは3.8mm幅のスティックに切断される。
【0108】
抽出された試料のStrepAの存在または不在をテストする手順
〔0123〕スワブ試料は、デバイスを浸すことができる、溶液を満たした容器の中にStrepA抗原を抽出させなければならない(ディップスティックフォーマット)。StrepAに対して陽性の場合、5分以内に、テスト結果は捕捉ライン上に1本の青色線およびコントロールライン上に1本の赤色線として現れることになる。赤色線だけがコントロールライン上に現れる場合、結果は陰性である。コントロールラインはアッセイ試薬が作動し、側方流動が発生していることを確かめるための対照として使用される。
【0109】
〔0124〕当業者は、本発明が目的を実行し、言及された目標および利点、ならびにその中の固有のものを得るために十分に適合することを容易に認識するであろう。本明細書に記載の生物学的試料中の分析物を検出するための免疫学的方法およびデバイスは現在好ましい態様を代表するものであり、例となるものであり、そして本発明の範囲の限定としては意図しない。当業者は、その中の変更および他の使用を思いつくことになり、それらは本発明の意図の中に包含されるか、または特許請求の範囲によって定義される。
【0110】
〔0125〕本発明の範囲および意図から逸脱せずに、本明細書に開示された発明に対して種々の置換および改変が行われてもよいことは当業者には容易に明らかであろう。本明細書に開示されたすべての参考文献および引用はそのまま参照として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料中の分析物を検出するためのデバイスであって、該デバイスは液体試料のキャピラリーフローを提供する多孔性材料を含み、該デバイスは以下:
(A)第1ゾーンまたは第2ゾーンの一方が乾燥状態において特異的に分析物を結合可能な移動可能な試薬を含み、該試薬がコンジュゲート対の第1メンバーをさらに含み、第1ゾーンまたは第2ゾーンの他方が着色粒子ラベルおよびコンジュゲート対の相補的メンバーを含む移動可能な試薬を含む、第1および第2ゾーンを含む第1パッド(コンジュゲートパッド);
(B)特異的に分析物を結合可能な固定化捕捉試薬を含む捕捉ラインを含む検出ゾーン
を含み、
前記デバイスは、第1パッド(コンジュゲートパッド)から検出ゾーンまでの液体試料のキャピラリーフローを提供する。
【請求項2】
第1ゾーンの移動可能な試薬が分析物を特異的に結合する抗体を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記固定化捕捉試薬が分析物を特異的に結合する抗体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
検出ゾーンが第2ゾーンの移動可能な試薬を結合することが可能な最終捕捉試薬を含むコントロールラインをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
抗体の抗原特異性にかかわらず、最終捕捉試薬が抗体を特異的に結合することが可能である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1コンジュゲート対の第1メンバーがビオチンであり、コンジュゲート対の相補的メンバーがストレプトアビジン、ニュートラアビジンおよびアビジンからなる群から選択される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
過剰な液体を吸収することが可能な材料をさらに含み、該材料がデバイスの1カ所に位置して適用部位から検出ゾーンまでの試料のキャピラリーフローを提供する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
第1パッド(コンジュゲートパッド)および検出ゾーンを含む、水性溶液に存在する免疫反応性分析物を検出するためのアッセイデバイスであって、第1パッド(コンジュゲートパッド)および検出ゾーンは、第1パッド(コンジュゲートパッド)から検出ゾーンまでの水性溶液のキャピラリーフローを可能にするように配置され、、
(1)第1パッド(コンジュゲートパッド)は水性溶液がキャピラリー作用によって流動することが可能な多孔性構造を含み、ここで第1パッド(コンジュゲートパッド)は第1ゾーンおよび第2ゾーンを含み、第1ゾーンは第2ゾーンから離れ、ここで乾燥した未使用の状態では、
(a)少なくとも第1ゾーンまたは第2ゾーンの一方は分析物に特異的な、乾燥し、可逆的に固定化された抗体を含み、該抗体はコンジュゲート対の第1メンバーを含み、
(b)そして第1ゾーンまたは第2ゾーンの他方は乾燥し、可逆的に固定化された着色粒子ラベルを含み、該着色ラベルはコンジュゲート対の相補的メンバーを含み、そして
(2)検出ゾーンは免疫反応性分析物に特異的に結合可能な、非可逆的に固定化された捕捉抗体を含む捕捉ラインを含む、アッセイデバイス。
【請求項9】
以下の機能的特徴を有する、請求項8に記載のデバイス:
(i)分析物を含む水性試料をデバイスの第1パッド(コンジュゲートパッド)に添加すると、分析物に特異的な、可逆的に固定化された抗体が可動化され、そして抗体と分析物を含む第1複合体が形成され、ここで、非結合抗体と一緒になった第1複合体はキャピラリー作用により第2ゾーンへの次の移動が可能であり、
(ii)先行する水性試料と接触すると、可逆的に固定化された着色粒子ラベルは可動化され、第2ゾーンにおける粒子ラベルへの第1複合体の結合を可能にして第1複合体と粒子ラベルを含む第2複合体を形成し、ここで第2複合体はキャピラリー作用により検出ゾーンの捕捉ラインへの次の移動が可能であり、および/または
(iii)パート(i)の非結合抗体が第2ゾーンの粒子ラベルに結合すると、第3複合体が形成され、該第3複合体はパート(i)の非結合抗体と粒子ラベルを含み、ここで第3複合体はキャピラリー作用により検出部分の最終捕捉ラインへの次の移動が可能であり、
ここで、パート(ii)で形成された第2複合体の分析物成分に水性溶液中の捕捉抗体が特異的に結合すると、最終捕捉ラインにおいて第2複合体と捕捉抗体を含む第4複合体が形成され、第4複合体の形成が水性試料における関心のある分析物の存在を表す。
【請求項10】
検出部分が、コントロールラインに非可逆的に固定化され、そして抗体分子に特異的に結合する試薬を含むコントロールラインをさらに含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
コントロールラインが水性溶液のキャピラリーフローに対して捕捉ラインの下流に位置する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンが水性溶液のキャピラリーフローに対して第2ゾーンの上流に配置される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
第1コンジュゲート対の第1メンバーがビオチンであり、そしてコンジュゲート対の第2メンバーがストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジンおよび抗ビオチンからなる群から選択される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項14】
着色粒子がラテックス粒子、コロイド金粒子およびカーボンゾル粒子からなる群から選択される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項15】
試薬が最終捕捉抗体を含み、最終捕捉抗体が抗体分子に特異的に結合する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項16】
最終捕捉抗体がその抗原特異性にかかわらず抗体に結合する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
以下を含む、水性溶液中の分析物を検出する方法:
A)分析物特異的抗体の可動化、および分析物が分析物特異的抗体に特異的に結合してなる第1複合体の形成を可能にする条件下で、多孔性構造に可逆的に固定化された分析物特異的抗体と水性溶液を接触させること、ここで分析物特異的抗体はコンジュゲート対の第1メンバーを含む、
B)ここで、前記溶液は第1複合体を運び、第1複合体が着色粒子ラベルに特異的に結合してなる第2複合体の形成を可能にする条件下で、多孔性構造に可逆的に固定化され、分析物特異的抗体の可逆的固定化部位から離れて位置する着色粒子ラベルの接触および可動化を可能にし、該着色粒子はコンジュゲート対の相補的メンバーを含み、
C)ここで、第2複合体が形成されると、第2複合体と捕捉抗体を含んでなる第3複合体の形成を可能にする条件下で、第2複合体はキャピラリー作用により移動し、第2複合体の形成部位から離れた位置で多孔性構造に非可逆的に固定化される分析物特異的捕捉抗体と接触する、
D)多孔性構造に蓄積された粒子ラベル成分を検出することによって第3複合体の形成を検出すること、ここで第3複合体の検出が水性溶液における分析物の存在を示す。
【請求項18】
分析物を結合していないパート(A)の分析物特異的抗体が着色粒子ラベルに特異的に結合してなる第4複合体の形成を可能にする条件下で、ステップ(B)がまた、分析物を結合していないパート(A)の分析物特異的抗体とパート(B)の着色粒子ラベルを接触させ、
E)ここで、第4複合体と抗体分子に特異的に結合する試薬を含んでなる第5複合体の形成を可能にする条件下で、第4複合体が形成されると、第2および第3複合体の形成部位から離れた場所で多孔性構造に非可逆的に固定化される抗体分子に特異的に結合する試薬と第4複合体を接触させること、
F)多孔性構造に蓄積された粒子ラベル成分を検出することによって第5複合体の形成を検出すること
をも含み、第5複合体の検出がアッセイの機能性の対照として役立つ、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
以下のステップを含む、試料中の関心のある分析物の存在を測定するための方法:
(A)請求項8に記載のデバイスを提供すること、
(B)試料を含む水性溶液をデバイスに適用してデバイスの第1パッド(コンジュゲートパッド)の第1ゾーンに接触させ、それによって、順に:
(1)コンジュゲート対の第1メンバーを含み、分析物を特異的に結合することが可能である、第1ゾーンに可逆的に結合した抗体の水への溶解および可動化、および
(2)抗体に特異的に分析物が結合した後の、抗体および分析物を含む第1複合体の形成、
(3)キャピラリー作用による第1複合体と、分析物に特異的に結合していないステップ(1)で溶解された抗体の両方の、デバイスの第1パッド(コンジュゲートパッド)の第2ゾーンへの移動、
(4)第2ゾーンに可逆的に結合し、コンジュゲート対の第1メンバーに相補的な第2メンバーを含む、着色粒子ラベルの水への溶解、
(5)第2および/または第3複合体の形成、ここで
a)第2複合体は、コンジュゲート対の第1および第2メンバーを介して第1複合体に粒子ラベルが結合すると形成され、ここで、第2複合体は第1複合体と粒子ラベルを含む、
b)第3複合体は、コンジュゲート対の第1および第2メンバーを介してステップ(3)の非結合抗体に粒子ラベルが結合すると形成され、ここで、第3複合体は、ステップ(3)の非結合抗体と粒子ラベルを含む、
(6)ステップ(5)で形成された第2および/または第3複合体のキャピラリー作用によるデバイスの検出部分の捕捉ラインへの移動、
(7)捕捉ラインに非可逆的に結合した捕捉抗体の水への溶解、ここで、捕捉抗体は分析物に特異的に結合可能である、
(8)ステップ5(a)で形成された第2複合体に捕捉抗体が特異的に結合したときの第4複合体の形成、ここで、第4複合体は第2複合体と検出部分の捕捉ラインに非可逆的に結合した捕捉抗体を含み、
ここで第4複合体の形成は試料中の関心のある分析物の存在を示す。
【請求項20】
ステップ(5)(b)で形成された第3複合体が、デバイスの検出ゾーンの捕捉ラインの下流にあるコントロールラインにキャピラリー作用により移動し、最終補足試薬を含む、請求項19に記載の方法であって、以下のステップをさらに含む方法:
(9)コントロールラインに非可逆的に結合した最終捕捉試薬のその後の溶解、ここで、最終捕捉試薬は如何なる特異性の抗体に対しても特異的に結合可能である、、
(10)ステップ(5)(b)で形成された複合体およびステップ(9)で溶解されたコントロール抗体を含む第5複合体のその後の形成、
ここで、第5複合体の形成が、試料パッドの第1ゾーンに可逆的に結合した乾燥試薬、および試料パッドの第2ゾーンに可逆的に結合した乾燥試薬の首尾よい溶解を示し、そして対を介したそれぞれのメンバーによる2種の試薬を含む複合体の形成が、試料の第1ゾーンにおける両抗体の首尾よい対形成および移動、、関心のある分析物に特異的に結合していない抗体の存在を示す。
【請求項21】
以下を含む、液体試料中の分析物を検出するためのキット:
A)以下を含む、液体試料のキャピラリーフローを提供する多孔性材料を含むデバイス:
(1)乾燥状態において:
a)着色粒子およびコンジュゲート対の第1メンバー;または
b)分析物を特異的に結合可能な試薬であって、コンジュゲート対の相補的メンバーをさらに含む分析物を特異的に結合可能な試薬:の1つを含む移動可能な試薬を含む第1パッド(コンジュゲートパッド);および
(2)分析物を特異的に結合可能な固定化捕捉試薬を含む捕捉ラインを含む検出ゾーン、ここでデバイスは第1パッド(コンジュゲートパッド)から検出ゾーンまでの液体試料のキャピラリーフローを提供する;ならびに
(B)デバイスの第1パッドに存在しない、先に挙げた(a)または(b)のメンバーを含む液体;ここで、使用時に、液体と液体試料がデバイスの第1パッドと接触する。
【請求項22】
第1パッドに含まれる移動可能な試薬が着色粒子およびコンジュゲート対の第1メンバーを含む、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
第1パッドに含まれる移動可能な試薬が分析物を特異的に結合可能な試薬を含み、分析物を特異的に結合可能な試薬がコンジュゲート対の相補的メンバーをさらに含む、請求項21に記載のキット。
【請求項24】
移動可能な試薬が着色粒子およびコンジュゲート対の第1メンバーを含み、(B)の液体が分析物を特異的に結合可能な試薬を含み、分析物を特異的に結合可能な試薬がコンジュゲート対の相補的メンバーをさらに含む、請求項21に記載のキット。
【請求項25】
移動可能な試薬が分析物に特異的に結合可能な試薬を含み、分析物を特異的に結合可能な試薬がコンジュゲート対の相補的メンバーをさらに含み、そして(B)の液体が着色粒子およびコンジュゲート対の第1メンバーを含む、請求項21に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−512537(P2010−512537A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541304(P2009−541304)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/024384
【国際公開番号】WO2008/073222
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(391018536)ジェンザイム・コーポレーション (13)
【氏名又は名称原語表記】GENZYME CORPORATION