説明

防暑用ヘルメット

【課題】 防暑性および/または防眩性が、実用に耐え得るほど充分に大きく、しかも、構造が単純で、かつ、防暑部材の製作が容易な防暑用ヘルメットを提供する。
【解決手段】 ヘルメット(1)の外面に鍔付き帽子(2)が固着具(3)により着脱自在に重合されていることを特徴とする防暑用ヘルメット。鍔付き帽子(2)としては麦藁帽子が好適である。固着具(3)は、ヘルメット(1)の外面に取り付けられた固着片と、鍔付き帽子(2)の内面に取り付けられた固着片とからなるものであってよく、また、ヘルメット(1)の内面に貼着されヘルメットの下方に垂下せしめられた垂下片の内面又は外面に取り付けられた固着片と、鍔付き帽子(2)の内面又は鍔の下面に取り付けられた固着片とからなるものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防暑用ヘルメットに関り、さらに詳細には、酷暑地または夏季において屋外で使用するに好適な防暑用ヘルメットに係る。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットは、外部衝撃に対して頭部を保護するために、工事現場用および防災用などに広く使用されている。しかしながら、ヘルメット自体は、通常は、金属製または合成樹脂製もしくは繊維強化合成樹脂製であるために断熱性に乏しく、酷暑地または夏季において炎天の屋外作業においては直射日光をまともに受けるため、ヘルメット内、特に、頭頂部において温度が極めて高くなり、そのために、作業能率が低下し、甚だしい場合には熱中症、日射病等の健康障害を惹起する危険性が大きく、さらに、直射日光の眩しさによりこの危険性はさらに増大され、しかも、緑内障など罹る危険性も大きい。
【0003】
断熱性に乏しいヘルメットを使用することによる前記のような危険性を回避するために種々の対策が講じられている。たとえば、実公昭45−18936号公報に記載されている基部にビニル製庇が嵌着されたヘルメット、実用新案登録第3032477号公報に記載されている日除け用ヒサシが取り付けられている室外作業用の保安用ヘルメット、実用新案登録第3052564号公報に記載されている少なくとも後頭部およびうなじを覆う布製の防暑、防寒具が取り外し自在に内部に装着された作業用ヘルメット、実用新案登録第3056835号公報に記載されているクラウンの下端縁全周にわたり、着脱可能で伸縮自在の日除けプレートを取り付けたヘルメット、実用新案登録第3062735号公報に記載されている後頭部側外周に遮蔽シートを吊設したサンバイザが取り付けられたヘルメット、特開2001−200419号公報に記載されているキャップ部とつば部とにより構成され、棉、毛、少なくとも何れか一方の面に防水性コーティング処理等の防水加工を施した布若しくは塩化ビニル等の耐水性を有する合成樹脂薄片等よりなるヘルメット用帽子を内側に重ねて装着し、人の首より上方部の日焼けを防止するヘルメットなどがある。
【0004】
【特許文献1】実公昭45−18936号公報
【特許文献2】実用新案登録第3032477号公報
【特許文献3】実用新案登録第3052564号公報
【特許文献4】実用新案登録第3056835号公報
【特許文献5】実用新案登録第3062735号公報
【特許文献6】特開2001−200419号公報
【0005】
しかしながら、これらのヘルメットはいずれも防暑性および/または防眩性が、実用上、満足できるほどに大きくはなく、しかも、構造が複雑で、かつ、防暑部材をわざわざ製作する必要があることから製造が容易でないなどの欠点を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、屋外において酷暑地または夏季に使用される防暑用ヘルメットにおける前記のような課題を解決し、防暑性および/または防眩性が、実用に耐え得るほど充分に大きく、しかも、構造が単純で、かつ、防暑部材の製作が容易な防暑用ヘルメットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の局面によれば、ヘルメットの外面に鍔付き帽子が固着具により着脱自在に重合されていることを特徴とする防暑用ヘルメットが提供される。
【0008】
本発明の第二の局面によれば、鍔付き帽子をヘルメットの外面に着脱自在に重合するための固着片が取り付けられていることを特徴とする防暑用ヘルメットが提供される。
【0009】
本発明の第三の局面によれば、上記固着片付きの防暑用ヘルメットの外面に着脱自在に重合する鍔付き帽子であって、該ヘルメットの上記固着片に固着される固着片を備えてなる鍔付き帽子が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の防暑用ヘルメットは、防暑部材として鍔付き帽子を用い、これをヘルメットの外面に着脱可能に構成し、該鍔付き帽子によってヘルメット全体が覆われるようにしたので、帽子とヘルメットとの間の空気の介在によって断熱効果が高まり、ヘルメット内の温度上昇が抑制され、しかも、鍔によって直射日光が遮られ、顔面の温度上昇及び防眩が達成され、また、雨天の際には、雨を遮ることができる。しかも、鍔付き帽子は、通常の帽子製作の手法によって作成でき、また、ヘルメットの寸法が規格で定められているため、種類が少ないので安価に得られる。かくして、本発明の防暑用ヘルメットは、構造が単純で、特別な技術を要することなく簡単に製造でき、安価に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において使用される鍔付き帽子は、クラウンおよび鍔を有し、クラウンをヘルメットの外面に重合し得るものであればよく、特に制限はない。たとえば、カウボーイハット(テンガロンハット)、ボーター(かんかん帽)、ダービー(堅いフェルト製でクラウンが丸い山高帽)、フェドーラ(フェルト製の中折れ帽)、ソンブレロ(山高で麦桿製またはフェルト製の広縁の帽子)および麦藁帽子などを挙げることができる。これらの鍔付き帽子として市販品を使用してもよい。このうち、防暑用としては、通風性および防眩性がともに大きいものが好適であり、麦藁帽子が最も好ましい。麦藁帽子としては麦桿製のもののみならず、麦桿に替えて合成樹脂製の細管を使用した麦藁帽子も包含される。
【0012】
鍔付き帽子は、ヘルメットに予め取り付けられた固着具によりヘルメットの外面に着脱自在に重合される。固着具としては、互いに係合する1対の固着片からなり、一方の固着片をヘルメットの所定箇所に取り付け、他方の固着片を鍔付き帽子の所定箇所に取り付け、鍔付き帽子をヘルメットに重合させた際、両固着片を互いに係合できるようにしたものが好ましい。このような固着具としては、たとえば、紐、先の曲がった針金製のかぎホック、留め金、ベルクロ(登録商標)およびマジックテープ(登録商標)などのような面ファスナーなどがある。固着力が大きく、しかも、鍔付き帽子の着脱およびヘルメットへの取り付けが容易であることなどから面ファスナーが特に好ましい。一般に、固着具は複数設けることが好ましい。
【0013】
固着片をヘルメットの外面に取り付ける場合には、ヘルメット表面の下部乃至は下端周縁に取り付けられることが好ましく、複数の固着具を設ける場合は、固着片はヘルメットの外周面に沿って等間隔で取り付けることが好ましい。この場合、鍔付き帽子の固着片は、鍔付き帽子の内面に設けられる。
【0014】
固着片は、鍔付き帽子を使用しない場合にヘルメットの内面に収容できるように、ヘルメットの内面から下方に垂下させることができる垂下片の内側又は外側にも取り付けてもよい。垂下片は織布および不織布のいずれであってもよく、また、合成樹脂製のフィルムであってもよい。垂下片の形状は、通常は、細長い長方形とされ、その幅は固着具の大きさよりも広くされることが好ましい。この垂下を用いた場合、鍔付き帽子の固着片は、該鍔付き帽子の内面又は鍔の下面に取り付けることができる。
【0015】
以下、本発明を図面に例示された防暑用ヘルメットにより、より詳細に、かつ、具体的に説明するが、本発明は図面に例示された防暑用ヘルメットに限定されないことは言うまでもない。なお、図面は本発明の原理を示す模式図であって、大きさなどは正確に表わされておらず、また肉厚などが省略されている箇所がある。
【0016】
図1は本発明の防暑用ヘルメットの縦断面図である。すなわち、ヘルメット1の外面に鍔付き帽子2である麦藁帽子が重合せしめられて防暑用ヘルメットとされている。しかして、麦藁帽子のクラウンはヘルメット1のクラウンの外面に重合せしめられている。この例では、固着具3として面ファスナーが使用されている。すなわち、面ファスナーの一方の片がヘルメット1の外側面の下方に左右各1個づつ取り付けられ、他方の片が麦藁帽子のクラウンの内側面の下方に左右各1個づつ取り付けられている(但し、図1では左右の一方の固着具のみが示されている)。かくして、図示のように麦藁帽子をヘルメット1に重合せしめられた状態では、面ファスナーの両片が相互に対向した位置に配置され、両片が当接して係合することにより、麦藁帽子がヘルメット1に固定されている。そして、麦藁帽子2を引っ張ることにより面ファスナーを分離して、ヘルメット1から外すことができる。
【0017】
図2は、図1の固着具3の固着片の取り付け位置を示すための本発明の防暑用ヘルメットの側面図である。図2から明らかなように、面ファスナー3はヘルメット1の外側面の下方に、直接、接着などの方法で取り付けられている。
【0018】
図3は固着具3の他の取り付け位置及び取り付け方法を示す本発明の防暑用ヘルメットの側面図である。図3の例では、垂下片4がヘルメットの内側面の左右にそれぞれ1個ずつ設けられている(但し、図3では左右の一方の垂下片4のみが示されている)。垂下片4の一端は、ヘルメットの内側面の下方に取り付けられ、ヘルメット1の下方から垂下できるようにされている。垂下片4は細長い長方形の織布である。そして、垂下片4の内側には面ファスナーの一方の片5が取り付けられている。垂下片4を外側(図面手前側)上方へ折り返して面ファスナーの片5を外側に露出せしめ、外側に露出せしめられた面ファスナーの片5によりヘルメット1の外面に重合せしめられた鍔付き帽子2を装着することができる。この場合、鍔付き帽子2の固着片(面ファスナーの他方の片)は、図1とほぼ同様に、その内側面の下方に設けられていればよい。
【0019】
また、図3の態様では、鍔付き帽子2の鍔の下方に固着片(面ファスナーの他方の片)を設けておいても良く、この場合、垂下片4の外側に面ファスナーの片5を取り付けておき、ヘルメット1の外面に重合せしめられた鍔付き帽子2の鍔に沿って水平に張り出させて、その面ファスナーの片5を、鍔の下方に設けられた固着片(面ファスナーの他方の片)に係合させることができる。
【0020】
本発明の防暑ヘルメットは、図2及び図3の固着片付きのヘルメットに対応する固着片を備えた鍔付き帽子2を複数用意しておき、好みに応じて取り替えて使用できるようにしてもよい。例えば、各種の色でカラーリングした異なる鍔付き帽子2を用意して、作業区分に応じて異なる色の鍔付き帽子2を装着させて、管理者が作業者の識別を容易に行えるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の防暑用ヘルメットは、工事現場用、防災用などで用いる用品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の防暑用ヘルメットの縦断面図である。
【図2】固着具の取り付け位置を示すための本発明の防暑用ヘルメットの側面図である。
【図3】固着具の他の取り付け位置及び取り付け方法を示すための本発明の防暑用ヘルメットの側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ヘルメット
2 鍔付き帽子
3 固着具
4 垂下片
5 面ファスナーの片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメット(1)の外面に鍔付き帽子(2)が固着具(3)により着脱自在に重合されていることを特徴とする防暑用ヘルメット。
【請求項2】
鍔付き帽子(2)が麦藁帽子である請求項1に記載の防暑用ヘルメット。
【請求項3】
固着具(3)が、ヘルメット(1)の外面に取り付けられた固着片と、鍔付き帽子(2)の内面に取り付けられた固着片とからなる、請求項1又は2に記載の防暑用ヘルメット。
【請求項4】
固着具(3)が、ヘルメット(1)の内面に貼着されヘルメットの下方に垂下せしめられた垂下片(4)の内面又は外面に取り付けられた固着片と、鍔付き帽子(2)の内面又は鍔の下面に取り付けられた固着片とからなる、請求項1または2に記載の防暑用ヘルメット。
【請求項5】
固着具が面ファスナーである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防暑用ヘルメット。
【請求項6】
鍔付き帽子(2)をヘルメット(1)の外面に着脱自在に重合するための固着片が取り付けられていることを特徴とする防暑用ヘルメット。
【請求項7】
請求項6の防暑用ヘルメットの外面に着脱自在に重合する鍔付き帽子(2)であって、該ヘルメットの固着片に固着される固着片を備えてなる鍔付き帽子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−249626(P2006−249626A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70783(P2005−70783)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】