説明

防曇鏡

【課題】湯水や高湿空気が電気ヒータと電気配線の接続部に付着するのを防止することができる防曇鏡を提供することである。
【解決手段】
裏面1aに電気ヒータ8を備えた防曇鏡1において、電気ヒータ8は発熱体2と配線7とを有しており、発熱体2は防曇鏡1の裏面1aに貼付されている。発熱体2と配線7は接続部15で接続されている。接続部15とその近傍の配線7の周囲は、第1パッキン3で気密を保ち周囲と遮断されている。第1パッキン3の周囲には間隔を置いて第2パッキン4が配置されている。そして、第1パッキン3と第2パッキン4の間に防水性樹脂5を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室や洗面所等に設置される防曇鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室や洗面所等の湿気が多い場所に設置される鏡は、湿気のために曇り易い。そして曇り対策として、特許文献1に開示されているような曇り防止用ヒータを具えた鏡が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−86627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている鏡では、鏡の裏面に発熱体を取り付け、鏡面が曇った際には発熱体に通電し、鏡面を加熱することによって曇りを解消している。よって、発熱体に電力を供給するために電気配線が設けられている。
【0005】
浴室や洗面所では湯水が使用され、何らかの拍子に鏡の裏面側に湯水が入り込むことがあり得る。例えば、湯水のしぶきが飛散したり、湯水が壁にかかった際に、湯水が鏡の裏面側に入り込むことがある。その結果、鏡の裏面を伝って流下する湯水が、発熱体と電気配線の接続部に至って故障の原因になる恐れがある。また、浴室のように特に湿度が高い場所では、湯水が飛散しなくても、鏡の裏面側に湿気が入り込むと、発熱体と電気配線の接続部に付着して様々な故障の原因になり得る。
【0006】
そこで本発明は、湯水や高湿空気が電気ヒータと電気配線の接続部に付着するのを防止することができる防曇鏡を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、鏡の裏面側に電気ヒータを備えた防曇鏡において、電気ヒータに設けられた電線取出口の周囲を囲む第1パッキンと、第1パッキンの外側に配置される第2パッキンとを設け、第2パッキンは、第1パッキンの少なくとも上方と両側方に第1パッキンから離間して配置されており、第1パッキンと第2パッキンの間に防水性樹脂を充填してなることを特徴とする防曇鏡である。
【0008】
請求項1の発明では、電気ヒータの電線取出口の周囲に第1パッキンを設け、第1パッキンの外側に第2パッキンを配置し、さらに第1パッキンと第2パッキンの間に防水性樹脂が充填されているので、鏡の裏面又は電気ヒータに沿って水滴が落下してきても、水滴は第2パッキンに衝突して電線取出口に達することができない。その結果、電線取出口に水滴が付着するのを阻止することができ、電線取出口の劣化を防止することができる。
【0009】
また、第2パッキンは、第1パッキンの少なくとも上方と両側方に配置されるので、第2パッキンに衝突した水滴が第2パッキンを伝って側方へ移動しても、水滴は第1パッキンに近づくことができない。
【0010】
さらに、防水性樹脂が第1パッキンと第2パッキンの間に充填されているので、水滴が第1パッキンと第2パッキンの間に浸入することを防止することができる。すなわち、電線取出口の近くに水滴が接近するのを良好に防止できる。
【0011】
仮に、水滴が防水性樹脂を超えたとしても、電線取出口は第1パッキンによって気密が保たれているので、電線取出口は水滴から保護される。同様に、高湿の空気も第1パッキンによって遮断され、電線取出口は保護される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の防曇鏡によれば、水滴が電気ヒータの電線取出口に付着するのを良好に阻止することができる。よって、電気ヒータ及び電線取出口の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による防曇鏡の裏面図である。
【図2】図1の防曇鏡のII−II断面図である。
【図3】図1とは別の本発明による防曇鏡の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の防曇鏡の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0015】
図1に示すように防曇鏡1の裏面には電気ヒータ8が装着されている。電気ヒータ8は、発熱体2と配線7とを有している。発熱体2は、電力が供給されると発熱する部材であり、防曇鏡1の裏面に貼着されており、露出面には防水処理が施されている。ここで発熱体2は、防曇鏡1の裏面全面に設けられていても良い。配線7は、一端が図示しない電力供給源(商用電源)に接続され、他端は被覆材6で被覆されていて接続部15(電線取出口)で発熱体2と接続されている。
【0016】
発熱体2と配線7の接続部15の周囲には、環状の第1パッキン3が設けてある。すなわち、発熱体2と第1パッキン3は接着等によって一体化されている。この第1パッキン3によって、接続部15及びその近傍の配線7の周囲が外部と遮断され、気密が保たれている。また、第1パッキン3の外側には、第2パッキン4が設けてある。第2パッキン4は環状であり、内周部分に複数の凹部4aが設けてある。
【0017】
第1パッキン3と第2パッキン4は、発熱体2に対して同心状に接着等によって一体化されている。よって、第1パッキン3と第2パッキン4の間には、環状のくぼみが形成される。この環状のくぼみには、防水性を有する樹脂5(例えばシリコン樹脂)が充填される。その結果、発熱体2と配線7の接続部15は、外側から順に第2パッキン4,防水性樹脂5,第1パッキン3によって3重に取り巻かれる。また、両パッキン3,4の間の隙間に防水性樹脂5が充填される際に、複数の凹部4aが樹脂溜まりとして機能する。第1パッキン3と第2パッキン4の間隔は、例えば7〜9mm(特に8mmが好ましい。)とし、防水性樹脂5が充填し易い寸法に設定する。
【0018】
このような構成を有する防曇鏡1が、浴室等の室内11の壁9に対して図示しない固定具によって固定される。壁9には段9aが設けてあり、図2では壁9と防曇鏡1とを離間させて描写しているが、実際には防曇鏡1は壁9に対して接近しており、発熱体2が段9aに収容された状態で防曇鏡1は壁9に固定されている。そして図2に示すように、配線7は壁9の孔10を介して室外12へ伸び、商用電源に接続される。この防曇鏡1は、図示しない電源スイッチのON・OFFにより、電力の投入と遮断とが可能になっている。
【0019】
防曇鏡1の鏡面1bが曇ると、図示しない電源スイッチをON状態にする。その結果、発熱体2が発熱し、防曇鏡1の鏡面1bに熱が伝達され、曇りが解消される。
【0020】
防曇鏡1の裏面1a側に湯水や高湿の空気が入り込むと、水分は電気ヒータ8にも付着する。仮に、上方から裏面1aに沿って水滴13が流下し、電気ヒータ8に達すると、水滴13は第2パッキン4に達し、第2パッキン4の円筒状の外周側壁に沿って下方へ流れる。その結果、水滴13は発熱体2と配線7の接続部15に近づくことができない。換言すると、接続部15は、水滴13から保護される。
【0021】
また、水滴が、仮に第2パッキン4を乗り越えた場合には、水滴は第1パッキン3と第2パッキン4の間に達する。しかし、この両パッキン3,4の間には防水性樹脂5が充填されているため、水滴は両パッキン3,4の間に入り込むことができず、防水性樹脂5又は第1パッキン3上を通過し、下方へ流れる。よって水滴は、接続部15に近づくことができない。
【0022】
室内11の湿気が高い場合には、電気ヒータ8の周囲の湿度も高くなるが、接続部15の周囲には第1パッキン3,防水性樹脂5,第2パッキン4が隙間なく配置されているので、接続部15に対して高湿度の空気は遮断される。その結果、接続部15の劣化が良好に阻止される。
【0023】
次に、図3を参照しながら防曇鏡の別の形態を説明する。
【0024】
図3に示すように防曇鏡21は、裏面21aに電気ヒータ28を備えている。電気ヒータ28は、発熱体22と配線27とを有している。発熱体22は、電力が供給されると発熱する部材であり、防曇鏡21の裏面21aに貼着されており、露出面には防水処理が施されている。この発熱体22の接続部25(電線取出口)に被覆材26を備えた配線27が接続されている。発熱体22には、配線27を介して図示しない商用電源から電力が供給可能である。
【0025】
接続部25の周囲には第1パッキン23が配置されている。第1パッキン23は、接続部(図示せず)及び被覆材26の周囲に密着しており、外形は四角形を呈している。この第1パッキン23の周囲には第2パッキン24が配置されている。第2パッキン24は、略コの字形状を呈しており、コの字の開口部分が下方を向くように第1パッキン23の周囲(上方,左右の側方)に配置されている。
【0026】
そして、第1パッキン23と第2パッキン24の間には、コの字形の隙間が形成される。この隙間には防水性樹脂25(例えばシリコン樹脂)が充填される。
【0027】
図3に示す形態の防曇鏡21も、図1の防曇鏡1と同様に、湯水や高湿空気が電気ヒータ28と配線27の接続部に付着するのを防止することができる
【符号の説明】
【0028】
1 防曇鏡
1a 防曇鏡の裏面
2 電気ヒータの発熱体
3 第1パッキン
4 第2パッキン
5 防水性樹脂
6 被覆材
7 電気ヒータの配線
8 電気ヒータ
15 接続部(電線取出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡の裏面側に電気ヒータを備えた防曇鏡において、電気ヒータに設けられた電線取出口の周囲を囲む第1パッキンと、第1パッキンの外側に配置される第2パッキンとを設け、第2パッキンは、第1パッキンの少なくとも上方と両側方に第1パッキンから離間して配置されており、第1パッキンと第2パッキンの間に防水性樹脂を充填してなることを特徴とする防曇鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−223455(P2012−223455A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95357(P2011−95357)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】