説明

防曇鏡

【課題】鏡の背部にバックプレートが配設された防曇鏡において、設置された状態で見栄えが損なわれるのを防ぎ、また外縁部の撓みを防ぐことのできる防曇鏡を提供する。
【解決手段】本発明の防曇鏡1は、鏡1と、この鏡1の背面に配置されたヒーター3と、このヒーター3を背面側から覆うバックプレート4とを備える。バックプレート4が、前記ヒーター3の背面を覆う後面部41と、この後面部41の外縁から前記鏡2側に突設された内側片42と、この内側片42の前記鏡側の端縁から外方に向けて突設されるフランジ片43と、このフランジ片43の外縁から前記鏡とは離れる方向に突設された外側片44と、前記内側片42と前記フランジ片43と前記外側片44との間に収容配置された補強材46とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防曇鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鏡の背面にヒーターが配設された防曇鏡が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の防曇鏡は、鏡と、この鏡の背面に装着されたヒータと、このヒータを背面側から覆うバックプレートとを備えている。
【0003】
このバックプレートは、ヒータの背面を覆う後面部と、この後面部の外縁から鏡側に向けて突設された側面部と、この側面部の鏡側の端部から外方に向けて突設されたフランジ片とを備えている。バックプレートは、フランジ片が鏡の背面に当接するよう装着され、鏡に装着されることで、内部にヒータを収容する空間部を形成する。
【0004】
この種の防曇鏡は、このような構成のバックプレートが鏡の背面に装着され、前記空間部にヒータを収容することで組み立てられる。防曇鏡は、組み立てられた状態で、壁面に沿って取り付けられる。このとき防曇鏡は、バックプレートの後面部が、壁に当接するよう配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−35539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところがこのような従来の防曇鏡は、壁面に沿って設置されると、フランジ片と壁面との間に隙間を形成してしまう。この壁面と鏡との間に形成される隙間は、見栄えを低下させるという問題だけでなく、施工時やユーザー使用時等において、鏡の外縁が押圧されると、この部分が撓んでしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鏡の背部にバックプレートが配設された防曇鏡において、設置された状態で見栄えが損なわれるのを防ぎ、また外縁部の撓みを防ぐことのできる防曇鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防曇鏡は、鏡と、この鏡の背面に配置されたヒーターと、このヒーターを背面側から覆うバックプレートとを備え、前記バックプレートが、前記ヒーターの背面を覆う後面部と、この後面部の外縁から前記鏡側に突設され且つ前記ヒーターの側面を覆う内側片と、この内側片の前記鏡側の端縁から外方に向けて突設され且つ当該鏡の背面に当接するフランジ片と、このフランジ片の外縁から前記鏡とは離れる方向に突設された外側片と、前記内側片と前記フランジ片と前記外側片との間に収容配置された補強材とを備えていることを特徴とする。
【0009】
またこの防曇鏡において、前記補強材の背面が、前記後面部の背面と略面一か又は当該後面部の背面よりも後方に位置にしていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の防曇鏡によれば、鏡の背部にバックプレートが配設された防曇鏡において、設置された状態で見栄えが損なわれるのを防ぎ、また外縁部の撓みを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の背面側から見た斜視図である。
【図2】本実施形態の図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本実施形態の図2における要部拡大図である。
【図4】本実施形態の防曇鏡の施工方法を説明するための側面図である。
【図5】本実施形態の防曇鏡の施工方法を説明するための図であり(a)は上支持具を装着する直前の斜視図であり(b)は上フレームを装着する直前の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態の防曇鏡1は、浴室の壁面7に沿って設置される浴室用防曇鏡である。この防曇鏡1は、鏡2の背面に面状のヒーター3が配設されており、このヒーター3により鏡2を加熱することで、鏡2表面に生じる結露を防ぎ、鏡2が曇るのを防止する。本実施形態の防曇鏡1は、図2に示されるように、平面視矩形形状をした薄板状の鏡2と、この鏡2の背面に配置されたヒーター3と、このヒーター3を背面から覆うバックプレート4とを備えている。
【0014】
ヒーター3は、面状発熱体により構成されている。本実施形態のヒーター3は、板状の基材上に、所定のピッチで何度も折り返されて蛇行した電熱線が積層一体化されており、面状に発熱することができる。ヒーター3は、図1に示されるように、裏面の下部に、電熱線に電力を供給するための電源線31を有しており、この電源線31を介して、ON/OFF操作部及び商用電源部に接続される。
【0015】
バックプレート4は、鏡2の背面に配置されたヒーター3を背面から覆うよう構成されており、ヒーター3を背面から覆うことで、当該ヒーター3を鏡2に固定する。バックプレート4は、図1,2に示されるように、ヒーター3の背面を覆う後面部41と、この後面部41の外縁から前側(鏡2側)に向けて突設された内側片42と、この内側片42の突出先端から外方に向けて突設されたフランジ片43とを備えている。さらにこのバックプレート4は、フランジ片43の外縁から後方(つまり、鏡2とは離れる方向)に向けて突設された外側片44と、内側片42とフランジ片43と外側片44とで形成された後方に開口する溝状部45内に収容配置された補強材46とを備えている。このバックプレート4は、例えば合成樹脂を射出成形や注型成形することにより、各部が一体成形されている。
【0016】
バックプレート4は、図1に示されるように、後面部41により主体が構成されている。この後面部41は、背面視矩形状をした平板状に形成されており、その下部にヒーター3の電源線31を挿通するための挿通孔(図示せず)が穿設されている。後面部41の上端には、ヒーター3の上面を覆う上側片47が前方に向けて突設されており、後面部41の下端部には、ヒーター3の下面を覆う下側片48が前方に向けて突設されている。
【0017】
バックプレート4は、後面部41の左右両端から内側片42が連設されている。内側片42は、図3に示されるように、後面部41に略直交しており、ヒーター3の側面を覆うよう構成されている。この内側片42の前端からは、左右方向の外側に向けてフランジ片43が連設されている。
【0018】
フランジ片43は、鏡2の背面に当接するよう構成されている。フランジ片43は、正面視において、その外縁が、鏡2の外縁と略同じ位置に位置している。フランジ片43は、その前面が鏡2の背面への接着面を構成する。本実施形態のフランジ片43は、その前面に両面テープ6が配設され、この両面テープ6を介して鏡2に接着固定される。なお、フランジ片43と鏡2との固定は、両面テープ6に限らず、接着剤であってもよいし、その他の固定手段で固定されてもよい。
【0019】
バックプレート4は、このフランジ片43の外側の端縁から、後方側に向けて外側片44が突設されている。この外側片44は、フランジ片43とは略直交しており、内側片42に一定寸法離間して並設されている。外側片44は、鏡2の上下方向の略全長に亘って形成されている。外側片44は、正面視において、鏡2の外縁と略同位置に配置されるよう構成されており、外側片44の外面と鏡2の端面とが、略面一となるよう形成される。外側片44は、その先端が、後面部41の背面よりも後方側に位置している。
【0020】
バックプレート4は、内側片42とフランジ片43と外側片44とで、後方側に開口する溝状部45を形成する。この溝状部45は、後方に開口する断面略C字状をしており、上下方向に長く形成されている。溝状部45は、鏡2の左右両端にそれぞれ形成されている。
【0021】
バックプレート4は、この溝状部45の内部に収容配置された補強材46を有している。この補強材46は、上下方向に長尺な棒形状となっている。本実施形態の補強材46は、断面矩形状となっていると共に、鏡2の上下方向の略全長に亘って設けられている。補強材46は、溝状部45の奥面(つまりフランジ片43の後面)に、接着される。なお本実施形態の補強材46は、溝状部45の奥面に、両面テープ6を介して接着されている。
【0022】
また補強材46の背面は、壁面7に対して、接着剤や両面テープ6を介して接着される接着面を構成する。この補強材46の背面は、後面部41の背面に対し、略面一となるか、又はそれよりも後方側に位置するよう構成されている。本実施形態の補強材46の背面には両面テープ6が配設されており、壁面7と補強材46の背面とが当該両面テープ6を介して接着されることで、バックプレート4と浴室壁面7との間における平面視中央側への浸水を防止する。
【0023】
補強材46は、例えば、繊維強化プラスチックや、曲げ強度を強化したエンジニアプラスチック等の高強度プラスチックにより構成されてもよいし、ステンレス等のような金属材により構成されてもよい。
【0024】
このような構成のバックプレート4は、ヒーター3を内部に収容した状態で、鏡2の背面に装着される。バックプレート4は、上述したように、フランジ片43の前面に両面テープ6が配設されており、この両面テープ6を介して鏡2の背面に固定される。このとき、バックプレート4の挿通孔からヒーター3の電源線31が挿通され、この状態で矩形板状のパッキン5が、当該挿通孔を覆うようにして配設される。
【0025】
上記構成の防曇鏡1は、例えば次のようにして設置される。
【0026】
まず施工者は、浴室の壁面7に、防曇鏡1を下方から支持する下支持具81と、防曇鏡1の上端を保持する上支持具82とを設置する(図4参照)。
【0027】
下支持具81は、上方に開口した断面J字状をしており、鏡2の左右方向の略全長に亘って形成されている。下支持具81は、浴室壁面7の所定の位置に固定的に取り付けられる。上支持具82は、下方に開口した断面逆J字状をしており、図5(b)に示されるように、左右方向の長さが、下支持具81よりも短くなっている。上支持具82は、鏡2の上端部の二箇所を保持するよう、一定寸法離して設置される。上支持具82は、上下方向にスライド移動自在に取り付けられている。
【0028】
施工者は、防曇鏡1を傾倒させながら持ち上げ、当該防曇鏡1の下端を下支持具81に載置する(図4参照)。この後、防曇鏡1の下端を支点にして上端側を回動し、防曇鏡1を壁面7に沿うよう配置する。施工者は、この状態で上支持具82を下方にスライド移動させ、当該上支持具82により防曇鏡1の上端を保持させる(図5(a)参照)。この後、上フレーム9を防曇鏡1の上端に装着する(図5(b)参照)。
【0029】
この上フレーム9は、前側に位置する前片91と、前片91の上端から後方に向けて連設された上片92と、上片92の後端から下方に向けて突設された後片93とにより構成されており、断面下向きC字状となっている。上フレーム9は、前片91及び上片92が、鏡2の左右方向の略全長に亘って形成されている。また上フレーム9は、後片93における上支持具82に対応する部分に切欠部94が形成されている。
【0030】
このように本実施形態の防曇鏡1は、フランジ片43の外縁に外側片44が設けられているため、鏡2の背面にヒーター3が配置されることで形成される鏡2と壁面7との間の鏡2の外縁部の隙間が、この外側片44により覆われる。これにより、鏡2の背面にヒーター3が配置される防曇鏡1が、壁面7に沿って配置された場合でも、壁面7との間に隙間を形成してしまうのを防ぎ、見栄えを損ねてしまうのを防ぐことができる。
【0031】
また本実施形態の防曇鏡1は、外側片44とこれに対向する内側片42とフランジ片43との間に補強材46が収容配置されているため、設置された状態で鏡2の外縁が壁面7側に押圧されたとしても、この部分が撓みにくい。また、壁面7に設置されていない状態でも、鏡2の外縁が補強材46により補強されているため、撓みにくく破損しにくい。
【0032】
また本実施形態の防曇鏡1は、補強材46の背面が、後面部41の背面と略同じ位置か又は後面部41の背面よりも後方に位置にしている。このため補強材46の背面を壁面7に接着しやすくすることができる。壁面7と補強材46の背面とが接着されると、この部分からの浸水を防ぐことができ、電源線31を通すため壁面7に設けられた貫通孔71から、水が漏れるのを防ぐことができる。
【0033】
なお、本実施形態の防曇鏡1は、フランジ片43や外側片44や補強材46等が左右方向の両側に設けられていたが、本発明の防曇鏡においては、上下方向に設けられていてもよいし、外周全周に亘って設けられていてもよい。
【0034】
また本実施形態の防曇鏡1は、浴室の壁面7に取り付けられたものであったが、本発明の防曇鏡は、例えば、脱衣所の壁面に取り付けられたものであってもよく、設置箇所は特に限定されない。
【符号の説明】
【0035】
1 防曇鏡
2 鏡
3 ヒータ
31 電源線
4 バックプレート
41 後面部
42 内側片
43 フランジ片
44 外側片
45 溝状部
46 補強材
47 上側片
48 下側片
5 パッキン
6 両面テープ
7 浴室の壁面
81 下支持具
82 上支持具
9 上フレーム
91 前片
92 上片
93 後片
94 切欠部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡と、
この鏡の背面に配置されたヒーターと、
このヒーターを背面側から覆うバックプレートと
を備え、
前記バックプレートが、
前記ヒーターの背面を覆う後面部と、
この後面部の外縁から前記鏡側に突設され且つ前記ヒーターの側面を覆う内側片と、
この内側片の前記鏡側の端縁から外方に向けて突設され且つ当該鏡の背面に当接するフランジ片と、
このフランジ片の外縁から前記鏡とは離れる方向に突設された外側片と、
前記内側片と前記フランジ片と前記外側片との間に収容配置された補強材と
を備えている
ことを特徴とする防曇鏡。
【請求項2】
前記補強材の背面が、前記後面部の背面と略面一か又は当該後面部の背面よりも後方に位置にしている
ことを特徴とする請求項1に記載の防曇鏡。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22261(P2013−22261A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160183(P2011−160183)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】