説明

防水キャップ

【課題】各種電気機器の動作を切り替えるレバースイッチに防水目的で配設する防水キャップに係り、該防水キャップの内部構造に特徴を持たせ、前記レバースイッチ操作時に前記防水キャップがナットから離脱するのを防ぐことができる防水キャップを提供することを目的とする。
【解決手段】防水キャップ1下部の凸部1cをスイッチ本体に配設されたナット3の凹部3aと嵌合させ、前記防水キャップ1の大円筒部1b内面に突起1dを設けることにより、レバー2を操作する際に前記防水キャップ1の上方に働く応力が前記大円筒部1bを内側上方に引き上げ、それに追随するように前記突起1dをも内側上方に引き上げ、前記レバー2外周に前記突起1dを圧接させて、前記ナット3の凹部3aから前記防水キャップ1の離脱を防ぎ、かつ操作力にも影響を及ぼすことがない構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電気機器の動作を切り替えるスイッチに配設する防水キャップに係り、該防水キャップの内部構造に特徴を持たせ、前記スイッチ操作時に前記防水キャップが離脱するのを防ぎ、操作力にも影響を及ぼさないことを特徴とした防水キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種電子機器の動作を切り替えるレバースイッチにおいて防水機能を要求する時、図11に示すようにブッシング103にナット108と座金106とを装着した状態で、レバー102と前記ブッシング103の先端とがパネル105の背面側から穴に挿通して前面側に突出され、次いで金属リング107と一体成形された防水キャップ101が前記ブッシング103に螺合して装着され、前記ナット108と前記座金106が締め付けられると、防水キャップ101の大円筒部101aの開口端面に設けたリング状の突片104がパネル105に押圧されて密着することで前記ブッシング103と前記パネル105との間を防水状態で保っていたが、このように前記金属リング107と一体成形された前記防水キャップ101を前記ブッシング103に螺合して装着する方法であると、前記防水キャップ101を交換する際にスイッチ本体がパネル105から接続された機器の内部へ脱落してしまい、再度パネル105へ取り付けるには該パネル105背面より前記ナット108で再び締め付ける必要があるため、交換に非常に手間がかかっていた。
これを解決する方法として、図12に示すようにレバー111の上面より防水キャップ112を被せ、該防水キャップ112をパネル115に取り付けるためのナット113に凹部113aを設け、該凹部113aに前記防水キャップ112下部に設けた凸部112bを凹凸嵌合させ、前記防水キャップ112を取り付け、さらに前記ナット113と前記パネル115の間にゴム座金114を配設して防水性を保つ方法があった。この方法により前記ナット113を前記パネル115前面より締め付けることができるようになり、前記防止キャップ112を交換するのが容易になった。
【特許文献1】実開平5−48146号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図12に示したような防水キャップ112下部の凸部112bとナット113の凹部113aを嵌合する方法であると、図13(a)、図13(b)、図13(c)に示すようにレバー111を操作する際、防水キャップ112の上方に応力がかかり、続いてその応力が大円筒部112aにかかり、さらに該応力が前記防水キャップ112の凸部112bにかかることで前記防水キャップ112が離脱してしまうことがあった。そこで、本発明は上記問題を解決するため、防水キャップの内面構造に特徴を持たせ、レバー操作時に防水キャップがナットから離脱しにくくなる防水キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記目的を達成するため、防水キャップ下部の凸部をスイッチ本体に配設されたナットの凹部と嵌合させ、さらに前記防水キャップの大円筒部内面に複数の突起を設けることにより、レバーを操作する際に前記防水キャップの上方に働く応力が前記大円筒部を内側上方に引き上げ、それに追随するように前記突起をも内側上方に引き上げ、前記レバーの外周に前記突起を圧接して、前記ナットから前記防水キャップの離脱を防ぐようにした。
【発明の効果】
【0005】
(1)スイッチ本体内に接触機構部を配備し、前記スイッチ本体より突出したレバーからなるスイッチであって、該スイッチをパネルに取り付けるナットを有し前記レバーの外径と略同一内径で一端を閉塞した小円筒部と該小円筒部に連通する大円筒部を有する防水キャップにおいて、前記ナットと前記防水キャップを凹凸嵌合するとともに、前記大円筒部の内面に複数の突起を設け、前記レバーを操作する際に前記レバーの外周に前記突起を圧接して前記ナットから前記防水キャップの離脱を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の防水キャップは、該防水キャップ下部の凸部をレバースイッチ本体に配設されたナットの凹部と嵌合させ、レバーの外径と略同一内径で一端を閉塞した小円筒部と該小円筒部に連通する大円筒部を有する防水キャップの内面に複数の突起を設け、前記レバーを操作する際に前記防水キャップの上方に働く応力が前記大円筒部を内側上方に引き上げ、それに追随するように前記突起をも内側上方に引き上げ、前記レバーを操作する際に前記レバーの外周に前記突起を圧接して、前記ナットから前記防水キャップの離脱を防ぐとともに操作力にも影響を及ぼすことがない。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1はレバースイッチに本発明の防水キャップを取り付けた断面図、図2は本発明の防水キャップを底面から示した図である。
図1に示すように、レバー2の上面より前記レバー2の外径と略同一内径で一端を閉塞した小円筒部1aと該小円筒部1aに連通する大円筒部1bを有する防水キャップ1を被せ、防水レバースイッチとし、該防水レバースイッチをパネル5に取り付けるためのナット3に凹部3aを設け、該凹部3aに前記防水キャップ1下部に設けた凸部1cを嵌合させ、前記防水キャップ1を取り付け、前記ナット3と前記パネル5の間には防水のためゴム座金4が配設される。また、前記大円筒部1b内面には一体成形により複数の突起1dが設けられており、該突起1dは図2に示すようにレバー2を囲うように4ヶ形成されている。
【0009】
図3はレバースイッチに本発明の防水キャップ1を被せ、レバー2を操作する様子を示した断面図である。図3(a)に示すように、レバー2を操作していない状態では防水キャップ1の複数の突起1dが鉛直下方を向いたままであるが、図3(b)に示すように、レバー2を操作し始めると、防水キャップ1の上方へ応力がかかり、該応力が前記防水キャップ1の大円筒部1bを内側上方へ引き上げ、それに追随するように前記大円筒部1b内面に設けた複数の突起1dにも前記応力がかかり、該突起1dが内側上方へ引き上げられ、前記防水キャップ1下部の凸部1cへかかる応力が軽減され、さらに図3(c)に示すように、前記レバー2をさらに操作することにより、前記防水キャップ1の突起1dが前記レバー2の外周を圧接して、前記ナット3から前記防水キャップ1の離脱を防ぐ。
【0010】
上述したような本発明の防水キャップの突起の効果について検討するため、様々な形状の防水キャップを用意して引き抜き強度と操作力の測定を行った。
図4(a)に突起なしで凹部8ありのサンプルAと図4(b)にその底面図を示す。図5(a)に小突起6ありで凹部8ありのサンプルBと図5(b)にその底面図を示す。図6(a)に大突起7ありで凹部8ありのサンプルCと図6(b)にその底面図を示す。図7(a)に小突起6ありで凹部8なしのサンプルDと図7(b)にその底面図を示す。これらのサンプルをそれぞれ3種類ずつ計12種類用意した。また、この測定に使用した防水キャップの材質はシリコンゴムである。
まず、各サンプルの引き抜き強度を測定するため、図8に示すように、荷重測定器9にビット10を螺合し、また、先端に穴11を開けた各サンプルには内部からネジ12を通し、前記ビット10と螺合する。また、レバースイッチ本体は万力(図示なし)により固定されている。このようにして各サンプルに前記荷重測定器9を取り付け、レバー13のポジションを中立とし、前記ビット10を引き上げ、前記荷重測定器9にて測定した。結果を表1に示す。
【0011】
【表1】

【0012】
次に、前述した測定方法と同じ方法で今度は図9に示すように、レバー13を傾倒した状態で前記荷重測定器9を鉛直上方に荷重をかけ各サンプルの引き抜き強度を測定した。結果を表2に示す。
【0013】

【0014】
表1、表2の結果から突起のないサンプルAよりも突起のあるサンプルB、サンプルC、サンプルDの方が引き抜き強度が大きいことが判明し、また、突起の大小による引き抜き強度の違いはあまり明確に表れなかった。
【0015】
次に、図10に示すように前記荷重測定器9に延長冶具14を取り付け、該延長冶具14の先端にはビット15を螺合し、各サンプルを取り付けたレバースイッチを万力(図示なし)により固定し、該レバースイッチの上方より前記ビット15を鉛直下方に荷重をかけレバー13が左から中立へ傾倒する時の操作力を測定した。結果を表3に示す。
【0016】

【0017】
表3より、突起のないサンプルAよりも突起のあるサンプルB、サンプルC、サンプルDの方が操作力平均値がわずかであるが小さくなったが、前記レバー13の操作力に影響を及ぼす程ではなかった。
以上の測定結果から、防水キャップの大円筒部内面に複数の突起を設けることにより、該防水キャップの離脱を防止する効果があり、かつ前記防水キャップの操作力に影響を及ぼさないことが確認された。
【0018】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。例えば、防水キャップの大円筒部内面の突起の長さを装着するスイッチによって変化させたり、前記突起の個数を変えたりする等である。これらの内容を本発明の方法の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、防水キャップ下部の凸部をレバースイッチ本体に配設されたナットの凹部と凹凸嵌合させ、前記防水キャップの大円筒部内面に複数の突起を設けることにより、レバーを操作する際に前記防水キャップの上方に働く応力が前記大円筒部を内側上方に引き上げ、それに追随するように前記突起をも内側上方に引き上げ、前記レバーを操作する際に前記レバーの外周に前記突起を圧接して、前記ナットから前記防水キャップの離脱を防ぐことができ、操作力にも影響を及ぼすこともない防水キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】レバースイッチに本発明の防水キャップを取り付けた断面図である。
【図2】本発明の防水キャップの底面図である。
【図3】レバースイッチに本発明の防水キャップを取り付け、レバーが傾倒する様子を示した断面図である。
【図4】突起なしで凹部ありの防水キャップとその底面図である。
【図5】小突起ありで凹部ありの防水キャップとその底面図である。
【図6】大突起ありで凹部ありの防水キャップとその底面図である。
【図7】小突起ありで凹部なしの防水キャップとその底面図である。
【図8】レバー中立時の防水キャップの引き抜き強度の測定方法を示した図である。
【図9】レバー傾倒時の防水キャップの引き抜き強度の測定方法を示した図である。
【図10】レバーを左から中立へ操作する時の操作力の測定方法を示した図である。
【図11】金属リングと一体成形された防水キャップを使用していた従来の方法の断面図である。
【図12】ナットと防水キャップ凹凸嵌合していた従来の方法の断面図である。
【図13】ナットと防水キャップを凹凸嵌合していた従来の方法でレバーが傾倒する様子を示した断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1、101、112 防水キャップ
1a 小円筒部
1b、101a、112a 大円筒部
1c、112b 凸部
1d 突起
2、13、102、111 レバー
3、108、113 ナット
3a、8、113a 凹部
4、114 ゴム座金
5、105、115 パネル
6 小突起
7 大突起
9 荷重測定器
10、15 ビット
11 穴
12 ネジ
14 延長冶具
103 ブッシング
104 突片
106 座金
107 金属リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ本体内に接触機構部を配備し、前記スイッチ本体より突出したレバーからなるスイッチであって、該スイッチをパネルに取り付けるナットを有し前記レバーの外径と略同一内径で一端を閉塞した小円筒部と該小円筒部に連通する大円筒部を有する防水キャップにおいて、前記ナットと前記防水キャップを凹凸嵌合するとともに、前記大円筒部の内面に複数の突起を設け、前記レバーを操作する際に前記レバーの外周に前記突起を圧接して、前記ナットから前記防水キャップの離脱を防ぐことを特徴とした防水キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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