説明

防水ケース

【課題】 安価で且つ水侵入による故障の可能性を低く抑えることができる防水ケースを提供すること。
【解決手段】 中央に窓部32が形成された枠体33及びこの枠体33に装着されて前記窓部32に張られる可撓性シート34を有する蓋体3を、増幅器及び防水スピーカを有する本体2に対して枢支すると共に、この本体2の前記蓋体3を閉じることによって水密となる部位Aに電池収納部19を設けたことで、この電池収納部19のための防水構造を前記本体2と蓋体3の防水構造と共通化することができ、従って、コストダウンを計ることができるばかりでなく、開閉可能な防水構造部が減ることで、水侵入による前記本体2又は携帯型音響機器Pの故障の可能性を低く抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂場や海など、水がかかる虞のある環境で携帯型音響機器を使用するための防水ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防水ケースとしては、スピーカを有する防水収納ケースに防水加工した扉を設け、防水収納ケースと扉で囲まれる収納部に携帯用カセットデッキ等を収容することができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、本体部と蓋体を有し、この蓋体の切り抜き部に柔軟なウレタン膜を装着し、本体部の開口部に機器を入れて蓋体を閉じることで、ウレタン膜を介して機器を外部から操作可能な状態で水密に収納することができるものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】実開平6−52538号公報
【特許文献2】特開2000−125916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前者のような防水ケースにおいては、収納部に携帯型音響機器を収納した状態で操作する手段及びスピーカを駆動するための電源について記載されていない。このため、このような防水ケースを実施する場合、携帯型音響機器を収納部に収納した状態で操作することができないということも考えられる。一方、後者のような防水ケースでは、前記ウレタン膜を介して携帯用音響機器を外部から操作することが可能であるが、イヤホンで聴くことが前提の携帯用音響機器の場合、このような防水ケースだけでは音楽を聴くことができないという問題がある。
【0004】
そこで、後者の構造を前者の防水ケースに適用することで、防水された状態で携帯型音響機器を操作することが可能となる。しかしながら、このような防水ケースでは、携帯型音響機器自体の増幅器を用いて前記スピーカを駆動すると、イヤホンで聴くことが前提で出力が小さい携帯用音響機器の場合、あまり大きな音が出せないので、防水ケースのスピーカを駆動するための電源が別途必要になる。この場合、乾電池や蓄電池(以下、単に電池と記載する)を用いることが一般的である。しかしながら、このような電池を収容する電池収容部を設けると、携帯型音響機器のための防水構造の他に、電池のための防水構造を設ける必要があるので、コストアップに繋がるばかりでなく、防水ケース内への水の侵入による防水ケース及び携帯用音響機器の故障の可能性が高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、安価で且つ水侵入による故障の可能性を低く抑えることができる防水ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の防水ケースは、増幅器及びスピーカを有する本体と、中央に窓部が形成された枠体及びこの枠体に装着されて前記窓部に張られる可撓性シートを有する蓋体とを有する防水ケースにおいて、前記本体の前記蓋体を閉じることによって水密となる部位に電池収納部を設けたものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の防水ケースは、請求項1において、前記本体の前記蓋体を閉じることによって水密となる部位に凹部を形成し、この凹部に電気的な接続手段を設けると共に、蓋部材によって前記電池収納部及び凹部を塞ぐように構成したものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の防水ケースは、請求項1乃至2において、前記蓋部材が、前記可撓性シートを通して前記窓部から視覚的に露出する部位のほぼ全体を覆うように、前記本体に取り付けられるものである。
【0009】
更に、本発明の請求項4に記載の防水ケースは、請求項1において、前記電池収納部が、前記枠体によって覆われるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の防水ケースは、以上のように構成することにより、前記本体の前記蓋体を閉じることによって水密となる部位に前記電池収納部が設けられるので、この電池収納部のための防水構造を個別に設ける必要がなく、従って、コストダウンを計ることができるばかりでなく、開閉可能な防水構造部が減ることで、水侵入による故障の可能性を低く抑えることができる。
【0011】
また、不使用時において電気的な前記接続手段を前記凹部に収容し、前記蓋部材によって前記電池収納部ごと前記接続手段を覆うことで、外観上見苦しくないようにすることができるばかりでなく、前記接続手段を覆うための蓋部材と前記電池収納部のための蓋部材を個別に設ける必要がなくなるので、部品点数を減らしてコストダウンを計ることができる。
【0012】
また、前記可撓性シートを通して前記窓部から視覚的に露出する部位のほぼ全体が単一の前記蓋部材で覆われるので、視覚的に露出する部品間の継ぎ目を少なくすることができ、外観上見苦しくないようにすることができる。
【0013】
更に、前記電池収納部が前記枠体によって隠されるので、視覚的に露出する部品間の継ぎ目を少なくすることができ、外観上見苦しくないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1〜図6及び図11に基づいて説明する。1は防水ケースである。この防水ケース1は、本体2と、この本体2に対して開閉可能に枢支された蓋体3とを有して構成されている。
【0015】
前記本体2は、外殻体4と、内殻体5とを有して構成されている。前記外殻体4の下部には切欠部6が形成されており、この切欠部6において前記蓋体3が枢支されている。また、前記外殻体の上部及び左右側部にも切欠部7,8,9が形成されており、これらの切欠部7,8,9において、前記蓋体3を閉じた状態で保持するためのバックル10,11,12が枢支されている。また、前記外殻体4と内殻体5との間には、図示しない増幅器が設けられていると共に、前記外殻体4の後部には、音量調節摘み13が設けられている。なお、前記外殻体4と音量調節摘み13との間は、前記本体2内に水が侵入しないように防水構造となっている。また、前記外殻体4の後部には、図示しない防水構造のスピーカーが左右対称に一対設けられていると共に、このスピーカーが発する音を反射するための音響反射板14が、前記外殻体4に摺動可能に取り付けられている。更に、前記外殻体4の内周縁近傍には、環状の防水リブ15が前方に突出して形成されており、前記蓋体3を閉じた際に、後述する可撓性シート34のシール部34Aが前記防水リブ15に密接することで、図3に示すように、この防水リブ15よりも内側が防水領域A(グレー部分)となる。そして、前記内殻体5が前記防水リブ15の内側に取り付けられているので、前記内殻体5は前記防水領域Aに配置されていることになる。
【0016】
前記内殻体5には、前記蓋体3の後述する窓部32とほぼ同形状で且つ外縁が窓部32よりもやや大きな凹部16が形成されている。そして、この凹部16の外周部には段部17が形成されていると共に、前記凹部16の外周部から内側に向かって突出した左右一対のリブ18が形成されている。また、前記内殻体5の凹部16の下部中央には電池収納部19が形成されており、この電池収納部19に電池Bが収納可能に構成されている。なお、この電池収納部19の前端縁は、前記段部17と面一に形成されている。また、前記凹部16のほぼ中央には貫通孔20が形成されており、この貫通孔20からケーブル21が引き出されている。なお、このケーブル21の先端には接続端子22が取り付けられていると共に、前記ケーブル21の基端は、前記本体2内の図示しない増幅器等に電気的に接続されている。また、前記凹部16には、不使用時に前記接続端子22を収納するための収納凹部23が形成されている。また、前記凹部16には、後述する蓋部材28を前記凹部16に取り付けるための係止凹部24,25が形成されていると共に、蓋部材28を取り外す際に使用者が指を入れるための小凹部26が形成されている。更に、前記凹部16には、通電状体を表示するための発光ダイオード等の表示素子27が設けられている。
【0017】
更に、前記凹部16には、蓋部材28が着脱自在に取り付けられている。この蓋部材28は、前記小凹部26及び表示素子27を除く前記凹部16のほぼ全体を閉塞するように形成されている。なお、この蓋部材28の厚さは、前記内殻体5の基準面F1と前記段部17との段差とほぼ等しく形成されている。一方、前記凹部16の底面F2と前記段部17との段差は、前記ケーブル21の太さ以上に形成されている。このため、前記蓋部材28と内殻体5は、前記蓋部材28を前記凹部16に取り付けた状態で、前記蓋部材28が前記段部17に当接することで、前記蓋部材28と前記内殻体5の基準面F1がほぼ面一となるように構成されている。なお、この際、前記電池収納部19は前記蓋部材28によって覆われることになる。また、前記蓋部材28には、前記リブ18に対応して切欠溝部29が形成されていると共に、この切欠溝部29の奥端に、この切欠溝部29の幅よりも径大な円状部30が前記切欠溝部29と連続して形成されている。なお、前記切欠溝部29及び円状部30は、前記ケーブル21の太さ以上の幅及び直径を有しており、これによって、前記ケーブル21を前記円状部30に通すことができるようになっている。また、前記蓋部材28には、前記表示素子27に対応して貫通孔31が形成されている。
【0018】
前記蓋体3は、窓部32が形成された枠体33と、この枠体33に取り付けられると共に前記窓部32を塞ぐように張られる可撓性シート34とを有して構成されている。前記蓋体3の枠体33の下部は、前述したように、前記外殻体4の切欠部6において枢支されている。また、前記枠体33の上部には、前記バックル10に対応してバックル受部35が形成されていると共に、前記枠体33の左右側部にも、前記バックル11,12に対応して図示しないバックル受部が形成されている。また、前記窓部32は、前述したように、前記蓋部材28とほぼ同形状で且つ内縁が前記蓋部材28の外縁よりもやや小さく形成されている。従って、図4に示すように、前記可撓性シート34を通して前記窓部32から視覚的に露出する部位V(グレー部分)には、前記蓋部材28の他は、前記リブ18及び表示素子27を除く前記内殻体5が殆ど露出せず、従って、前記蓋部材28と内殻体5との部品間の継ぎ目が前記部位Vに殆ど現れない。また、前記可撓性シート34は、シリコンゴム等、透光性、防水性、可撓性及び適度な弾性を有する材質で形成されている。また、前記可撓性シート34は、前記枠体33に対して着脱自在に取り付けられている。更に、前記可撓性シート34周縁部には、前記蓋体3を閉じた際に前記防水リブ15に密接するシール部34Aが設けられている。
【0019】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、使用者は携帯型音響機器Pを用意する。なお、この音響機器Pは、前記窓部32よりも充分小さくなければならない。そして、使用者は前記枠体33の上部に形成されたバックル受部35と前記バックル10との係合を解くと共に、前記枠体33の左右側部に形成された図示しないバックル受部と前記バックル11,12との係合を解いた後、前記蓋体3を開いて前記防水領域Aを露出させ、更に、前記蓋部材28を前記内殻体5の凹部16から取り外す。なお、この状態において、前記電池収納部19が露出しているので、電池Bの交換が必要な場合は、この段階で交換する。そして、前記接続端子22を前記収納凹部23から取り外し、前記ケーブル21を前記蓋部材28に形成された左右何れかの切欠溝部29を介して前記円状部30に通す。そして、このように前記ケーブル21が前記円状部30に通された状態の前記蓋部材28を、再び前記内殻体5の凹部16に取り付ける。この際、前記切欠溝部29が前記リブ18によって塞がれるので、前記ケーブル21は前記蓋部材28の外縁よりも内側で前記蓋部材28の後方から前方に引き出されることになる。更に、前記携帯型音響機器Pの図示しない出力端子に前記接続端子22を接続し、前記携帯型音響機器Pを前記防水領域Aに配置した後、前記蓋体3を閉じて、前記枠体33の上部に形成されたバックル受部35と前記バックル10とを係合させ、前記枠体33の左右側部に形成された図示しないバックル受部と前記バックル11,12とを係合させる。この状態において、前記可撓性シート34のシール部34Aと前記防水リブ15とが密接することで、前記防水リブ15よりも内側の防水領域Aが前記可撓性シート34によって密閉される。このため、前記携帯型音響機器Pが収納された防水領域Aへ水が侵入することが防止される。また、前記可撓性シート34は弾性変形し、前記携帯型音響機器Pの表面に密着する。
【0020】
なお、前述したように、前記電池収納部19が防水領域Aに形成されると共に、前記窓部32から視覚的に露出する部位Vと同じか、部位Vよりもやや大きく形成された前記蓋部材28によって前記凹部16ごと覆われているので、前記電池収納部19のための防水構造が特に必要なく、従ってコストダウンを計ることができると共に、前記電池収納部19を覆う前記蓋部材28の外縁が、前記可撓性シート34を通して前記窓部32から視覚的に露出する部位Vの外にあるので、この部位Vには、前記蓋部材28の他は、前記リブ18及び表示素子27を除く前記内殻体5が殆ど露出せず、従って、前記蓋部材28と内殻体5との部品間の継ぎ目が前記部位Vに殆ど現れない。また、前記ケーブル21が前記蓋部材28の外縁よりも内側で前記蓋部材28の後方から前方に引き出されるので、前記ケーブル21の引き出し位置と前記枠体33の内縁とが充分に離間することになる。これによって、前記枠体33の内縁近傍で前記可撓性シート34が局所的に大きなストレスが加わって大きく伸びるということが防止されるので、前記可撓性シート34が前記枠体33の内縁近傍で破損しにくくすることができる。
【0021】
そして、前記音響反射板14を摺動させて引き出し、前記音量調節摘み13を操作して任意の音量に設定した後、前記可撓性シート34を介して前記携帯型音響機器Pの図示しない操作部を操作する。この際、前記携帯型音響機器Pの図示しない操作部が押しボタン型のスイッチであった場合、前記可撓性シート34を介して押しボタン型スイッチを押すことで、前記操作部を操作可能である。また、前記操作部がスライド式のスイッチや回転型のスイッチであった場合、前記可撓性シート34の上から前記シート34の面に沿って指を動かすことでスイッチをスライドさせたり、前記シート34ごとスイッチを摘んでスイッチを回転させたりして操作することが可能である。このように前記携帯型音響機器Pの図示しない操作部を前記可撓性シート34を介して操作することで、前記携帯型音響機器Pの音声信号が図示しない出力端子から前記接続端子22、ケーブル21を経て図示しない増幅器に送られ、この増幅器によって増幅され、図示しない防水スピーカで音声に変換され、前記音響反射板14によって前方に放音される。
【0022】
以上のように、本発明の防水ケース1は、中央に窓部32が形成された枠体33及びこの枠体33に装着されて前記窓部32に張られる可撓性シート34を有する蓋体3を、増幅器及び防水スピーカを有する本体2に対して枢支すると共に、この本体2の前記蓋体3を閉じることによって水密となる部位Aに電池収納部19を設けたことで、この電池収納部19のための防水構造を前記本体2と蓋体3の防水構造と共通化することができ、従って、コストダウンを計ることができるばかりでなく、開閉可能な防水構造部が減ることで、水侵入による前記本体2又は携帯型音響機器Pの故障の可能性を低く抑えることができるものである。
【0023】
また、本発明の防水ケース1は、前記本体2の前記蓋体3を閉じることによって水密となる部位Aに凹部16を形成し、この凹部16に電気的な接続手段としてのケーブル21及び接続端子22を設けると共に、蓋部材28によって前記電池収納部19及び凹部16を塞ぐことで、不使用時において前記ケーブル21及び接続端子22を前記凹部16に収容し、前記蓋部材28によって前記電池収納部19ごと前記ケーブル21及び接続端子22を覆うことで、外観上見苦しくないようにすることができるばかりでなく、前記ケーブル21及び接続端子22を覆うための蓋部材と前記電池収納部19のための蓋部材を個別に設ける必要がなく、単一の蓋部材28のみを設ければよいので、部品点数を減らしてコストダウンを計ることができるものである。
【0024】
更に、本発明の防水ケース1は、前記蓋部材28が、前記可撓性シート34を通して前記窓部32から視覚的に露出する部位Vのほぼ全体を覆うように、前記本体2に取り付けられることで、前記部位Vのほぼ全体が単一の前記蓋部材28で覆われるので、視覚的に露出する部品間の継ぎ目を少なくすることができ、外観上見苦しくないようにすることができるものである。
【0025】
次に、本発明の第二の実施形態について、図7乃至図11に基づいて説明する。なお、上記第一の実施形態と共通する部分については、共通の符号を付し、その説明を省略する。
41は防水ケースである。この防水ケース41は、本体42と、この本体42に対して開閉可能に枢支された蓋体43とを有して構成されている。
【0026】
前記本体42は、外殻体4と、内殻体44とを有して構成されている。前記外殻体4の下部には切欠部6が形成されており、この切欠部6において前記蓋体43が枢支されている。また、前記外殻体の上部及び左右側部にも切欠部7,8,9が形成されており、これらの切欠部7,8,9において、前記蓋体43を閉じた状態で保持するためのバックル10,11,12が枢支されている。また、前記外殻体4と内殻体44との間には、図示しない増幅器が設けられていると共に、前記外殻体4の後部には、音量調節摘み13が設けられている。更に、前記外殻体4の内周縁近傍には、環状の防水リブ15が前方に突出して形成されており、前記蓋体43を閉じた際に、後述する可撓性シート34のシール部34Aが前記防水リブ15に密接することで、図8に示すように、この防水リブ15よりも内側が防水領域A´(グレー部分)となる。そして、前記内殻体44が前記防水リブ15の内側に取り付けられているので、前記内殻体44は前記防水領域A´に配置されていることになる。
【0027】
前記内殻体44には、前記蓋体43の後述する窓部62とほぼ同形状で且つ外縁が窓部62よりもやや大きな凹部45が形成されている。そして、この凹部45の外周部には段部46が形成されていると共に、前記凹部45の外周部から内側に向かって突出した左右一対のリブ47が形成されている。また、前記内殻体44の下部中央には電池収納部48が形成されており、この電池収納部48に電池Bが収納可能に構成されている。なお、この電池収納部48は、前記凹部45とは独立して設けられている。また、前記凹部45のほぼ中央には貫通孔49が形成されており、この貫通孔49からケーブル21が引き出されている。なお、このケーブル21の先端には接続端子22が取り付けられていると共に、前記ケーブル21の基端は、前記本体42内の図示しない増幅器等に電気的に接続されている。また、前記凹部45には、不使用時に前記接続端子22を収納するための収納凹部50が形成されている。また、前記凹部45には、後述する蓋部材58を前記凹部45に取り付けるための係止凹部51,52が形成されていると共に、蓋部材58を取り外す際に使用者が指を入れるための小凹部53が形成されている。また、前記電池収納部48には、電池蓋54を取り付けるための係止凹部55,56が形成されていると共に、電池蓋54を取り外す際に使用者が指を入れるための小凹部57が形成されている。更に、前記凹部45には、通電状体を表示するための発光ダイオード等の表示素子27が設けられている。
【0028】
更に、前記凹部45には、蓋部材58が着脱自在に取り付けられている。この蓋部材58は、前記小凹部53及び表示素子27を除く前記凹部45のほぼ全体を閉塞するように形成されている。なお、この蓋部材58の厚さは、前記内殻体44の基準面F1´と前記段部46との段差とほぼ等しく形成されている。一方、前記凹部45の底面F2´と前記段部46との段差は、前記ケーブル21の太さ以上に形成されている。このため、前記蓋部材58と内殻体44は、前記蓋部材58を前記凹部45に取り付けた状態で、前記蓋部材58が前記段部46に当接することで、前記蓋部材58と前記内殻体44の基準面F1´がほぼ面一となるように構成されている。また、前記蓋部材58には、前記リブ47に対応して切欠溝部59が形成されていると共に、この切欠溝部59の奥端に、この切欠溝部59の幅よりも径大な円状部60が前記切欠溝部59と連続して形成されている。なお、前記切欠溝部59及び円状部60は、前記ケーブル21の太さ以上の幅及び直径を有しており、これによって、前記ケーブル21を前記円状部60に通すことができるようになっている。また、前記蓋部材58には、前記表示素子27に対応して貫通孔61が形成されている。
【0029】
前記蓋体43は、窓部62が形成された枠体63と、この枠体63に取り付けられると共に前記窓部62を塞ぐように張られる可撓性シート34とを有して構成されている。前記蓋体43の枠体63の下部は、前述したように、前記外殻体4の切欠部6において枢支されている。また、前記枠体63の上部には、前記バックル10に対応してバックル受部64が形成されていると共に、前記枠体63の左右側部にも、前記バックル11,12に対応して図示しないバックル受部が形成されている。また、前記窓部62は、前述したように、前記蓋部材58とほぼ同形状で且つ内縁が前記蓋部材58の外縁よりもやや小さく形成されている。従って、図9に示すように、前記可撓性シート34を通して前記窓部62から視覚的に露出する部位V´(グレー部分)には、前記蓋部材58の他は、前記リブ47及び表示素子27を除く前記内殻体44が殆ど露出せず、従って、前記蓋部材58と内殻体44との部品間の継ぎ目が前記部位V´に殆ど現れない。また、前記枠体63のうち、下枠部63Aは前記電池収納部48及び電池蓋54を隠すことができるのに充分な太さを有している。また、前記可撓性シート34は、前記枠体63に対して着脱自在に取り付けられている。更に、前記可撓性シート34周縁部には、前記蓋体43を閉じた際に前記防水リブ15に密接するシール部34Aが設けられている。
【0030】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、使用者は携帯型音響機器Pを用意する。なお、この音響機器Pは、前記窓部62よりも充分小さくなければならない。そして、使用者は前記枠体63の上部に形成されたバックル受部64と前記バックル10との係合を解くと共に、前記枠体63の左右側部に形成された図示しないバックル受部と前記バックル11,12との係合を解いた後、前記蓋体43を開いて前記防水領域A´を露出させる。なお、この状態において、前記電池蓋54が露出しているので、電池Bの交換が必要な場合は、この段階で前記電池収納部48から前記電池蓋54を取り外し、電池Bを交換した後、再び前記電池蓋54を電池収納部48に取り付ける。そして、前記蓋部材58を前記内殻体44の凹部45から取り外し、前記接続端子22を前記収納凹部50から取り外し、前記ケーブル21を前記蓋部材58に形成された左右何れかの切欠溝部59を介して前記円状部60に通す。そして、このように前記ケーブル21が前記円状部60に通された状態の前記蓋部材58を、再び前記内殻体44の凹部45に取り付ける。この際、前記切欠溝部59が前記リブ47によって塞がれるので、前記ケーブル21は前記蓋部材58の外縁よりも内側で前記蓋部材58の後方から前方に引き出されることになる。更に、前記携帯型音響機器Pの図示しない出力端子に前記接続端子22を接続し、前記携帯型音響機器Pを前記防水領域A´に配置した後、前記蓋体43を閉じて、前記枠体63の上部に形成されたバックル受部64と前記バックル10とを係合させ、前記枠体63の左右側部に形成された図示しないバックル受部と前記バックル11,12とを係合させる。この状態において、前記可撓性シート34のシール部34Aと前記防水リブ15とが密接することで、前記防水リブ15よりも内側の防水領域A´が前記可撓性シート34によって密閉される。このため、前記携帯型音響機器Pが収納された防水領域A´へ水が侵入することが防止される。
【0031】
なお、前述したように、前記電池収納部48が防水領域A´に形成されると共に、前記窓部62から視覚的に露出する部位V´から外れた位置で前記枠体63の下枠部63Aによって隠されるので、前記電池収納部48のための防水構造が特に必要なく、従ってコストダウンを計ることができると共に、前記蓋部材58の外縁及び前記電池蓋54が、前記可撓性シート34を通して前記窓部62から視覚的に露出する部位V´の外にあるので、この部位V´には、前記蓋部材58の他は、前記リブ47及び表示素子27を除く前記内殻体44が殆ど露出せず、従って、前記蓋部材58と内殻体44との部品間の継ぎ目が前記部位V´に殆ど現れない。また、前記ケーブル21が前記蓋部材58の外縁よりも内側で前記蓋部材58の後方から前方に引き出されるので、前記ケーブル21の引き出し位置と前記枠体63の内縁とが充分に離間することになる。これによって、前記枠体63の内縁近傍で前記可撓性シート34が局所的に大きなストレスが加わって大きく伸びるということが防止されるので、前記可撓性シート34が前記枠体63の内縁近傍で破損しにくくすることができる。
【0032】
以上のように、本発明の防水ケース41は、中央に窓部62が形成された枠体63及びこの枠体63に装着されて前記窓部62に張られる可撓性シート34を有する蓋体43を、増幅器及び防水スピーカを有する本体42に対して枢支すると共に、この本体42の前記蓋体43を閉じることによって水密となる部位A´に電池収納部48を設けたことで、この電池収納部48のための防水構造を前記本体42と蓋体43の防水構造と共通化することができ、従って、コストダウンを計ることができるばかりでなく、開閉可能な防水構造部が減ることで、水侵入による前記本体42又は携帯型音響機器Pの故障の可能性を低く抑えることができるものである。
【0033】
また、本発明の防水ケース41は、前記電池収納部48が、前記枠体63の下枠部63Aによって覆われて隠されるので、視覚的に露出する部品間の継ぎ目を少なくすることができ、外観上見苦しくないようにすることができるものである。
【0034】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記第二の実施形態では、電池収納部を枠体の下部に設けた下枠部で覆うように構成したが、前記枠体の左右を太く形成し、この左右枠部で電池収納部を覆うように構成してもよい。また、上記各実施形態では、前記蓋部材が前記窓部から視覚的に露出する部位よりも大きく形成されているが、前記蓋部材と内殻体の継ぎ目が前記窓部の近傍で目立たなければ、前記蓋部材が前記窓部から視覚的に露出する部位よりも僅かに小さくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す防水ケースの正面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態を示す防水ケースの右側面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態を示す、蓋体を開いた状態における防水ケースの防水領域Aを示した正面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態を示す、蓋体を開いた状態における防水ケースの視覚的に露出する部位Vを示した正面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態を示す、蓋体を開き蓋部材を取り外した状態における防水ケースの正面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態を示す、使用状態における防水ケースの正面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態を示す防水ケースの正面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態を示す、蓋体を開いた状態における防水ケースの正面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態を示す、蓋体を開いた状態における防水ケースの視覚的に露出する部位Vを示した正面図である。
【図10】本発明の第二の実施形態を示す、蓋体を開き蓋部材及び電池蓋を取り外した状態における防水ケースの正面図である。
【図11】本発明の各実施形態における可撓性シートであり、(a)は正面図、(b)はX−X断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1,41 防水ケース
2,42 本体
3,43 蓋体
16,45 凹部
19,48 電池収納部
21 ケーブル(電気的な接続手段)
22 接続端子(電気的な接続手段)
28,58 蓋部材
32,62 窓部
33,63 枠体
34 可撓性シート
A,A´ 防水領域
B 電池
V,V´ 窓部から視覚的に露出する部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅器及びスピーカを有する本体と、中央に窓部が形成された枠体及びこの枠体に装着されて前記窓部に張られる可撓性シートを有する蓋体とを有する防水ケースにおいて、
前記本体の前記蓋体を閉じることによって水密となる部位に電池収納部を設けたことを特徴とする防水ケース。
【請求項2】
前記本体の前記蓋体を閉じることによって水密となる部位に凹部を形成し、この凹部に電気的な接続手段を設けると共に、蓋部材によって前記電池収納部及び凹部を塞ぐように構成したことを特徴とする請求項1記載の防水ケース。
【請求項3】
前記蓋部材が、前記可撓性シートを通して前記窓部から視覚的に露出する部位のほぼ全体を覆うように、前記本体に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至2記載の防水ケース。
【請求項4】
前記電池収納部が、前記枠体によって覆われることを特徴とする請求項1記載の防水ケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−313020(P2007−313020A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145834(P2006−145834)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】