説明

防水シート付きサドルカバー

【課題】 サドルに被着して、座り心地を改善すると共に、装飾的効果を発揮させる従来のサドルカバーと比較しても遜色ない美麗な外観が得られ、それでいて、必要な時にはサドルカバーの表面を防水シートで覆ってサドルカバーが濡れないようにし、運転時には防水シートを取り去ることにより、雨や夜露による水滴の拭き取りを不要にした不使用時の保管と携帯に便利な防水シート付きサドルカバーを提供する。
【解決手段】 サドル1に被着するサドルカバー2の後側面に、サドルカバー2の同一材質の収納部3を形成し、当該収納部3に、サドルカバー2と収納部3とを覆うことが可能な防水シート4を、その一部が収納部3の内面に取り付けられた状態に収納して、防水シート付きサドルカバーを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、オートバイ、スクーター、自転車等のサドルに被着して用いるサドルカバーの防水対策に関する。
【背景技術】
【0002】
オートバイ、スクーター、自転車等の二輪車のサドルに被着して、座り心地を改善すると共に、装飾的効果を発揮させるためのサドルカバーは、例えば、特許文献1〜3等によって知られている。この種のサドルカバーとしては、走行時の安全上、紐や金具で緊結する等してサドルにシッカリと固定することが要求され、材質としても、厚手の塩ビや引張強度の高い合成繊維等、耐候性、耐久性に富むものが使用される。
【0003】
しかしながら、従来では、たとえサドルカバーが防水性であっても、屋外駐車・駐輪の間に、雨や夜露でサドルカバーが濡れた場合、そのまま着座すると衣服が濡れて不快であるから、表面に付着した水滴をタオルやハンカチで拭き取ることが必要とされた。
【0004】
また、屋外に駐車・駐輪する際、サドルに被着しておき、運転時には取り外すことによって、雨や夜露による水滴の拭き取りを不要にしたサドルカバーやシートカバー装置も、特許文献4〜6等によって提案されているが、これらにおいては、次のような問題点があった。
【0005】
即ち、特許文献4に記載のサドルカバーは、薄いビニールシートによって作製された使い捨て式のサドルカバーであり、特許文献5に記載のサドルカバーは、アルミニウム薄層と断熱性フォームとからなる二層シートで、防水性と断熱性を併せ持つサドルカバーを構成したものであるが、いずれも、不使用時におけるサドルカバーの保管と携帯に不便である。この点、特許文献6に記載のシートカバー装置は、不使用時には、カバーをシートの後部に設けたケース内に巻き取られた状態に収納しておき、必要な時に、ケースから引き出してシートを覆うように構成されているので、不使用時の保管と携帯が容易である。しかしながら、これによる場合は、シートの後部に、横長で背の高いケースが取り付けられているため、ケースがシートへの乗り降りの障害物となり、外観も不体裁である。
【0006】
【特許文献1】特開2003−291709号公報
【特許文献2】特開2001−138971号公報
【特許文献3】特開平8−332980号公報
【特許文献4】特開2001−10569号公報
【特許文献5】特開2003−2269号公報
【特許文献6】特開平8−156858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した現状の問題点をふまえてなされたものであって、その目的とするところは、外観上は、サドルに被着して、座り心地を改善すると共に、装飾的効果を発揮させる従来のサドルカバーと比較しても遜色なく、それでいて、必要な時にはサドルカバーの表面を防水シートで覆ってサドルカバーが濡れないようにし、運転時には防水シートを取り去ることにより、雨や夜露による水滴の拭き取りを不要にした不使用時の保管と携帯に便利な防水シート付きサドルカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明では、サドルに被着するサドルカバーの一部に収納部を形成し、当該収納部に、サドルカバーと収納部とを覆うことが可能な防水シートを、その一部が収納部の内面に取り付けられた状態に収納して防水シート付きサドルカバーを構成している。
【0009】
具体的には、請求項2に記載のとおり、サドルに被着するサドルカバーの後側面に、サドルカバーの同一材質の収納部を形成し、当該収納部に、サドルカバーと収納部とを覆うことが可能な防水シートを、その一部が収納部の内面に取り付けられた状態に収納して、防水シート付きサドルカバーを構成したものである。
【0010】
尚、サドルカバーの材質としては、厚手の塩ビや引張強度の高い合成繊維等、耐候性、耐久性に富むものが使用されるが、防水シートは、運転時には収納部内に収納されるものであって、防水シートの上に着座しないことを前提としており、サドルカバーのような強度が要求されないので、防水シートの材質としては、例えば、ビニールシートやポリエチレンフィルム等が使用される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明の構成によれば、サドルカバーの一部に収納部を形成して防水シートを収納するため、防水シートを備えていない従来のサドルカバー(サドルに被着して、座り心地を改善すると共に、装飾的効果を発揮させるためのサドルカバー)と比較しても遜色ない外観が得られ、それでいて、屋外に駐車・駐輪する際には、収納部から引き出した防水シートをサドルカバーと収納部に被せておくことにより、サドルカバーや収納部が雨や夜露で濡れるのを防ぐことができ、防水シートの表面に水滴が付着しても、運転時には、防水シートを再び収納部に収納して、サドルカバー上に着座することになるので、水滴の拭き取りが不要であり、しかも、防水シートの一部が収納部の内面に取り付けられているので、防水シートを紛失することもなく、不使用時の保管と携帯に便利である。
【0012】
殊に、請求項2に記載の発明によれば、サドルカバーの後側面に、サドルカバーの同一材質の収納部を形成するので、収納部が目立たず、美麗な外観が得られることになり、体裁の良い防水シート付きサドルカバーを実現できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜図5は、本発明に係る防水シート付きサドルカバーの一例を示す。図において、1は、オートバイ、スクーター、自転車等の二輪車のサドルである。2は、サドル1に被着して、座り心地を改善すると共に、装飾的効果を発揮させるためのサドルカバーである。サドルカバー2は、走行時の安全上、紐や金具で緊結する等してサドルにシッカリと固定できるように構成されており、サドルカバー2の材質としては、厚手の塩ビや引張強度の高い合成繊維等、耐候性、耐久性に富むものが使用されている。
【0014】
サドルカバー2の後側面には、サドルカバー2の同一材質の開閉可能な収納部3が形成されている。図示の収納部3は、蓋部3aと本体部3bとから構成され、面ファスナー3cで閉状態を保持できるようになっており、本体部3bの底には水抜き孔3dが形成されている。4は、サドルカバー2と収納部3とを覆うことが可能な防水シートであり、その一部が収納部3の内面に接着、溶着、縫着等の手段によって取り付けられており、収納部3に収納された状態と、収納部3から引き出して、サドルカバー2と収納部3の全体を覆う状態とに切換自在に構成されている。防水シート4の材質としては、例えば、ビニールシートが使用され、周縁部にはゴム5が付設され、サドルカバー2の上からサドル1に被着できるように構成されている。防水シート4の一部を取り付ける収納部3の内面としては、本体部3bの内面でもよいが、図示の例では、蓋部3aの裏面で且つ面ファスナー3cよりも蓋部3aの付け根側(本体部3bの開口側)に防水シート4の一部を取り付けて
ある。
【0015】
上記の構成によれば、サドルカバー2の後側面にサドルカバー2の同一材質の収納部3を形成して防水シート4を収納するため、防水シートを備えていない従来のサドルカバー比較しても遜色ない美麗な外観が得られ、それでいて、屋外に駐車・駐輪する際には、収納部3から引き出した防水シート4をサドルカバー2と収納部3に被せておくことにより、サドルカバー2や収納部3が雨や夜露で濡れるのを防ぐことができ、防水シート4の表面に水滴が付着しても、運転時には、防水シート4を再び収納部3に収納して、サドルカバー2上に着座することになるので、水滴の拭き取りが不要であり、しかも、防水シート4の一部が収納部3の内面に取り付けられているので、防水シート4を紛失することもなく、不使用時の保管と携帯に便利である。
【0016】
図示しないが、防水シート4と収納部3の内面(例えば、蓋部3aの裏面)とをスナップファスナー等で取り付け、防水シート4が破損した場合、防水シート4を新品と交換できるように構成して実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る防水シート付きサドルカバーの一例を示す斜視図である。
【図2】上記防水シート付きサドルカバーをサドルに被着した状態を示す断面図である。
【図3】収納部から防水シートを引き出した状態を示す断面図である。
【図4】防水シートをサドルカバーと収納部に被せた状態を示す断面図である。
【図5】防水シートをサドルカバーと収納部に被せた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 サドル
2 サドルカバー
3 収納部
4 防水シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サドルに被着するサドルカバーの一部に収納部を形成し、当該収納部に、サドルカバーと収納部とを覆うことが可能な防水シートを、その一部が収納部の内面に取り付けられた状態に収納して成る防水シート付きサドルカバー。
【請求項2】
サドルに被着するサドルカバーの後側面に、サドルカバーの同一材質の開閉可能な収納部を形成し、当該収納部に、サドルカバーと収納部とを覆うことが可能な防水シートを、その一部が収納部の内面に取り付けられた状態に収納して成る防水シート付きサドルカバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−27333(P2006−27333A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205520(P2004−205520)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000101961)イズミ工業株式会社 (4)