説明

防水テレビ

【課題】防水テレビではケーシングを破壊することなく開けることができず、また外部端子を備えていない場合が多い。このような構成の防水テレビでは、内部のメモリに記録されているプログラムを書き換える必要が生じた場合であっても、メモリにアクセスすることができず、プログラムを書き換えることができなかった。
【解決手段】例えば赤外線を利用した無線式のリモコンで操作を行う防水テレビであれば、新たなプログラムを赤外線に重畳して発光部51から発光させ、受光部21で受光することによりメモリ24内のプログラムを書き換えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室などの湯水が掛かり、あるいは湿度が高い状態で使用される防水テレビに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ等の電子装置にはマイコンが内蔵されており、このマイコンによって電子装置の作動が制御されている。マイコンは予め設定されたプログラムにしたがって作動するが、このプログラムはROM等のメモリ内に記録され、マイコンと共に電子装置内にメモリが格納されている。
【0003】
このメモリに記録されているプログラムを、バージョンアップなどの理由により変更する必要が生じると、新たなプログラムが記録されたメモリと交換していたが、フラッシュメモリやEEPROMなどの、電気信号によって書換可能なメモリが使用され、メモリを交換することなく、記録されているプログラムを新たなプログラムに書き換えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載されたものでは、オーディオ信号入力や画像信号入力に使用するためテレビ装置に取り付けられているRCA端子を利用して、このRCA端子から新たなプログラムを入力してメモリに記録されているプログラムを書き換えている。
【特許文献1】特開平11−24915号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたものでは、RCA端子のほかに他の入力端子を用いることができると記載されているが、浴室などで使用される防水テレビには、防水性を確保するためRCA端子を含め入力端子が一切設けられていない。このように外部からの入力端子が設けられていない場合には、特許文献1の図6に従来例として記載されているように、ケーシングを開けて内部の基板に直接接続する必要がある。
【0006】
ところが、防水性を高めるためにケーシングを溶着により密閉している場合には、ケーシングを破壊しなければ内部の基板に接続することができず、実際には基板に直接接続することは不可能である。
【0007】
なお、防水テレビが画像表示部とチューナ部とに別れており、画像表示部は防水ケーシングに収納され、室内の内壁に固定されると共に、チューナ部は室外に設置される構成のものもある。この構成の防水テレビでは、室外に設置されているチューナ部にRCA端子やその他の外部入力端子を設けて、特許文献1記載の発明を適用することは可能である。
【0008】
しかしながら、チューナ部に対して直接操作をする必要がないため、一般にチューナ部は屋根裏などの目に付かない場所に設置される。そのため、プログラムを書き換えるためにはチューナ部が設置されている屋根裏などに入る必要があり、プログラムの書換作業がきわめて煩雑なものとなる。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、内蔵されているメモリのプログラムを容易に書き換えることできる防水テレビを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明による防水テレビは、防水性のケーシング内に、記録されたプログラムを電気的に書換可能なメモリを備えると共に、無線式のリモコンによって操作される防水テレビにおいて、上記リモコンからの信号を受信する受信部に所定の書換開始信号を受信すると、上記メモリを書換可能な状態にすると共に、受信部で受信される新たなプログラムをメモリに記録させる書換手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
防水テレビは防水性を担保するため外部入力用の端子を備えていないが、無線式のリモコンから発信される信号を受信することができる。そこで、リモコンからの信号を受信する受信部を利用して、受信部を介して新たなプログラムを受信させ、その受信された新たなプログラムをメモリに記録させるようにした。
【0012】
特に、上記ケーシングは融着により密閉され、ケーシングを破壊することなくケーシングを開放することができない構造の防水テレビについて、本発明は好適である。
【0013】
なお、防水テレビは画像表示部とチューナ部とに別れており、画像表示部は防水性のケーシングに収納され、室内の壁面に固定されると共に、チューナ部は室外に設置される構成の場合、チューナ部に外部入力端子を設けることは可能であるが、一般にチューナ部は屋根裏など作業が困難な場所に設置される場合が多く、このような構成の防水テレビに対しても本発明は好適である。
【0014】
なお、上記書換手段により上記メモリの記録内容を書き換えていることを表示する表示手段を設け、書換作業が正常に行われていることを作業者が視覚により容易に確認できるようにすることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明は、無線式のリモコンによって操作する防水テレビであれば、外部入力端子を備えていなくても、内蔵されているメモリの記録内容を、防水テレビのケーシングを開けることなく書き換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1を参照して、1は浴室であり、浴室1の壁面12には防水テレビである浴室テレビ2が固定されている。この浴室テレビ2は前後に2分されたケーシング内に液晶表示部および後述する制御部が内蔵されている。ケーシングは防水性を確保するため、ケーシングを構成する前後の2つの部材は相互に融着されており、一旦相互に融着されると破壊することなく再度2つの部材を引き離すことができない。また、防水性を確保するため、設けられていない。
【0017】
この浴室テレビ2にはチューナ部が内蔵されておらず、浴室1の天井11の上面に配設されたチューナ部3に接続されている。このチューナ部3にはアンテナ31が接続されており、アンテナ31で受信された画像信号および音声信号のうち、選局されたものが浴室テレビ2に送られて再生される。
【0018】
この選局操作や音量の増減などの操作はリモコン4によって行われる。本実施の形態では、赤外線式の無線通信を行うリモコン4を用いたが、電波による無線通信を行うものを用いてもよい。
【0019】
図2および図3を参照して、浴室テレビ2の前面にはリモコン4から送信される赤外線を受光するための受光部21が設けられている。赤外線には信号が重畳されており、重畳された信号は受光部21で分離され、制御部22のマイコン23に入力される。制御部22にはメモリ24が取り付けられている。なお、20は浴室テレビ2の動作状態を表示するための発光ダイオードである。
【0020】
このメモリ24内にはマイコンの動作に必要なプログラムやデータが予め記録されている。このメモリ24は通電が停止しても記録内容を保持することができる、ROMであるが、外部からの所定の電気信号を受けると、記録されている内容を書き換えることができる状態になるものである。具体的にはフラッシュメモリやEEPROMが用いられる。なお、25は各種のスイッチが搭載されたスイッチ基板であり、26は液晶表示部である。
【0021】
メモリ24内に記録されているプログラムは2種類あり、1対は基本プログラムであって、リモコン4から入力される信号の解析等を行う、浴室テレビ2の作動中の基本部分を担当するものである。そして、この基本プログラムは書換の対象にはならないように設定されている。
【0022】
他方は動作プログラムであり、浴室テレビ2やチューナ部3の機種に依存する制御を担当するものである。そして、書き換えの対象となる部分である。
【0023】
この動作プログラムのバーションアップなどによりメモリ24内の動作プログラムを書き換える際には、新しい動作プログラムおよび書換作業を行うためのプログラムが格納された書換装置5を用いる。この書換装置5には赤外線を発光する発光部51が接続されている。
【0024】
書換作業を開始すると、発光部51から書換作業開始信号が発信される。その信号を受光部21が受光すると、基本プログラムに含まれている書換ルーチンが作動する。この書換ルーチンが作動すると、上述のようにメモリ24が書換可能な状態になり、動作プログラムを書き換えることができる状態になる。また、このようにメモリ24が書換可能状態になると、発光ダイオード20が点滅灯の通常とは違うパターンで発光し、書換可能状態になったことを外部から確認することができる。
【0025】
次に書き換え用の新たなプログラムを発光部51から発信する。その新たなプログラムは受光部21で受光され、順次メモリ24内に記録されていく。そして、新たなプログラムをすべて発信すると、発光部51から書き換え終了信号を発信する。この書き換え終了信号を受光部21が受光すると、メモリ24を通常の書き換え不能状態に戻し、書き換え作業が終了する。
【0026】
ところで、新たなプログラムを送信するための要する時間が長時間となる場合など、作業者が書き換え作業中に浴室から出る場合がある。その際、発光部51から発光される赤外線が確実に受光部21に受光されるように、図4に示すように、吸盤52の中心部分に発光部51を設け、発光部51が受光部21に対向するように吸盤52を浴室テレビ2の前面に吸着させるように構成してもよい。
【0027】
このように構成すると、吸盤52で外光が遮光されるので、ノイズが受光部21に受光されることを防止できる。また、浴室テレビ2の構造上の理由から、吸盤52を受光部21に対向させて取り付けることができない場合には、第2の発光部51aを設けてもよい。すなわち、この発光部51aから発信される赤外線が受光部21に受光される位置に吸盤52を吸着させる。
【0028】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】プログラム書換時の状態を示す図
【図3】浴室テレビの構造を示すブロック図
【図4】発光部51の他の形態を示す図
【符号の説明】
【0030】
1 浴室
2 浴室テレビ
3 チューナ部
4 リモコン
5 書換装置
21 受光部
51 発光部
51a 発光部
52 吸盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性のケーシング内に、記録されたプログラムを電気的に書換可能なメモリを備えると共に、無線式のリモコンによって操作される防水テレビにおいて、上記リモコンからの信号を受信する受信部に所定の書換開始信号を受信すると、上記メモリを書換可能な状態にすると共に、受信部で受信される新たなプログラムをメモリに記録させる書換手段を備えたことを特徴とする防水テレビ。
【請求項2】
上記ケーシングは融着により密閉され、ケーシングを破壊することなくケーシングを開放することができない構造であることを特徴とする請求項1に記載の防水テレビ。
【請求項3】
防水テレビは画像表示部とチューナ部とに別れており、画像表示部は防水性のケーシングに収納され、室内の壁面に固定されると共に、チューナ部は室外に設置されることを特徴とする請求項1に記載の防水テレビ。
【請求項4】
上記書換手段により上記メモリの記録内容を書き換えていることを表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の防水テレビ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate