説明

防水性生体電極

【課題】良好な装着感と防水性を両立した生体電極を提供すること。
【解決手段】生体に装着する電極パッドと、電極パッドに接続されるリード線110とを有する。また、電極パッドが、粘着性を有する装着面を有し、略中央に穴を有する防水性基材106と、リード線110を、その先端に設けられた検出電極104が防水性基材106の穴1061から露出するよう、穴1061を覆いながら基材の装着面の裏面に固定する、防水性シール部材105と、検出電極104に接するように装着面に設けられた導電性ゲル103とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に生体信号取得用の電極(生体電極)に関し、特に、防水性を有する生体電極に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心電図を代表とする生体信号は、診断に有用な情報として広く用いられている。生体信号はその目的に応じて、安静時のみならず、運動中や日常生活中に取得することもある。例えば、ホルタ心電計による心電図取得は、日常生活中に長期間連続して生体信号を取得する代表的なものである。
【0003】
生体信号の取得には、体表面に装着する生体電極が必要である。そして、生体電極には、取得期間に渡って少ないノイズで安定した生体信号を取得することが求められる。そのため、生体電極には、取得する生体信号の種類や、取得環境、取得期間などに応じて様々な形態のものが存在する。
【0004】
上述したホルタ心電計による生体信号取得においては、長時間にわたり、被検者の日常生活に伴う体動に追随し、かつ発汗により剥がれることなく体表にしっかりと装着された状態を維持する必要がある。
【0005】
ホルタ心電計での生体信号取得は2日間に渡る場合もあるが、従来用いられている生体電極は、防水性を持たないものが一般的であること、電極の添付位置が生体信号の品質に影響を与えることなどから、測定中に被検者が入浴やシャワーを浴びたりすることは禁止されていることが多い。そして、やむを得ない場合には、入浴時に一旦電極を外し、入浴後に再装着していた。しかし、電極の取り外しや再装着は被検者にとって負担である。また、再装着時に装着位置がずれたり、きちんと密着するように装着されなかったりすることがあり、これらは取得される生体信号に影響を与え、正しい診断の妨げとなる場合もある。従って、入浴時等、電極部分が濡れる状態であっても取り外す必要のないことが望ましい。
【0006】
また、入浴時には心臓の負担が増すため、心電図に異常を来すことがあり、このような異常時の心電図を取得できないことは診断上の重要な情報を見逃すことにもなりかねない。従って、様々な状態における生体信号を取得可能とするという面からも、防水性のある電極が望まれる。そのため、防水性を持たせた生体電極も提案されてきている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−121360号公報
【特許文献2】特開2004−97809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1記載の生体電極は、電極パッド1つで心電図を取得する構成である。生体信号を得るには複数の電極が必要であり、電極間距離が近いことは品質の良い信号取得には望ましくない。そのため、パッドに設けられる2つの電極間の距離をある程度確保する必要があり、結果としてパッドが大型化しやすい。大型のシートを体表面に密着させて装着するのは容易でない上、体動に追従しにくいため隙間が出来やすく、防水性を維持するのが容易でない。
【0009】
また、信号をモニタ装置に無線送信する信号処理回路を電極パッドに直接接続して使用する構成であるため、電極に大きな凸部があり、装着感が良くない上、服や下着などにより信号処理回路部分が引張られたりする。また、信号処理回路が無線通信により生体信号を伝送する必要があるため、信号処理回路に電源が必要となり、電源管理が必要となる。
【0010】
また、特許文献2記載の生体電極では、コネクタを用いて電極にケーブルを接続する構成を有しているが、電極のすぐ脇にコネクタを接続する構成となっており、特許文献1の構成と同様、電極近傍に大きな凸部を有することになる。そのため、装着感が良くない、凸部が電極に当ると生体信号にノイズを重畳させるといった、特許文献1と同様の問題点を有している。
【0011】
さらに、特許文献1、2とも、電極パッドの材質として、ポリエチレン発泡体やポリウレタン発泡体によるシートを用いているため、外部からの水は透さないが、内部(被検者体表)からの発汗による水分もまた発散しない。そのため、長時間の使用で装着部位に蒸れが生じ、痒みなどの原因となる。
【0012】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、装着感に優れ、かつ防水性に優れた生体電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明の要旨は、生体に装着する電極パッドと、当電極パッドに接続されるリード線とを有する生体電極であって、電極パッドが、粘着性を有する装着面を有し、略中央に穴を有する防水性基材と、リード線を、その先端に設けられた検出電極が防水性基材の穴から露出するよう、穴を覆いながら基材の装着面の裏面に固定する、防水性シール部材と、検出電極に接するように装着面に設けられた導電性ゲルとを有することを特徴とする防水性生体電極に存する。
【発明の効果】
【0014】
このような構成により、本発明に係る防水性生体電極は、優れた装着感と防水性とを両立することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る生体電極の全体構成例を示す上面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る生体電極の全体構成例を示す下面図である。
【図3】本実施形態の生体電極における電極パッド部分の構成を説明するための図である。
【図4】本実施形態の生体電極におけるリード線及びコネクタの構成例を示す分解斜視図である。
【図5】本実施形態の生体電極におけるコネクタ部分の詳細な構成例を示す図である。
【図6】コネクタ120と図示しない生体信号取得装置とを接続する中間ケーブルの、コネクタ装着部の構成例を示す斜視図である。
【図7】コネクタ装着部130の内部構成及び機構を説明するとともに、生体電極100のコネクタ120の装着方法について説明する斜視図である。
【図8】ハウジング133に設けられる電極ピンの配置と、コネクタ120装着時の位置関係を説明する図である。
【図9】基材106の他の形状例について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明をその好適な実施形態に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る生体電極の全体構成例を示す上面図である。図において、生体電極100は、5つの電極パッド101a〜101eと、コネクタ120と、コネクタ120と各電極パッド101a〜101eとを接続するリード線110a〜110eとを有する。電極101a〜101e(基材106a〜106e)の裏面は粘着性を有するため、剥離紙としての第1のセパレータ109が設けられている。
【0017】
なお、本実施形態においては、セパレータ109を全電極101a〜101eに共通とし、切り離しのためのミシン目を設けた構成としているが、セパレータ109を電極パッド毎に設けても良い。また、電極数は5に限らず、3、7等他の任意の数であって良い。
【0018】
シール部材105a〜105eは、粘着性を有する透湿防水フィルムであり、リード線110a〜110eの先端部分の周囲を覆うように電極パッド101a〜101eの基材106に接着する。シール部材105a〜105eにより、リード線110a〜110eと電極パッド101a〜101eとが防水性を持って接続される。
【0019】
また、本実施形態では、シール部材105a〜105eを着色することにより、電極パッドの色分けを行なっている。なお、以下の説明において、電極パッド101a〜101eに共通な構成を説明する場合や、まとめて説明する場合には、単に電極パッド101と表現することがある。これは、シール部材105a〜105e等についても同様である。
【0020】
図2は、本実施形態の生体電極の構成例を示す下面図であり、図1と同じ構成要素には同じ参照数字を付してある。図2では、電極パッド101a〜101eの裏面(体表面に接する側の面。装着面とも言う)が第1のセパレータ109を透かして見えている。
【0021】
代表的に電極パッド101aについて説明すると、第2のセパレータ102aは装着面の外縁部に設けられた円弧状の剥離紙である。第2のセパレータは、透湿防水フィルムからなる基材106を第1のセパレータ109から剥がし易くすると共に、基材106をその形態を維持したまま支持するための支持剤としても機能する。
【0022】
導電性粘着ゲル103aは、検出電極104aとして機能するリード線110aの先端部分と、生体表面との間の電気的な接続を行なうための部材であり、従来用いられている導電性粘着性ゲルを利用することができる。
【0023】
図3は、本実施形態の生体電極における電極パッド部分の構成を説明するための図であり、図3(a)が分解斜視図、図3(b)が上面図である。
リード線110は、その先端部分が検出電極104として構成されており、検出電極104とその近傍には後述するフォーム材111及び118が設けられていない。シール部材105により固定される部分にはフォーム材111及び118を設けないので、非常に薄く、シール部材105により防水性を持たせながらリード線110を基材106に取り付けることができる。電極パッド101の大半を構成する基材106は透湿防水フィルムからなり、その略中央部には穴1061が設けられている。
【0024】
基材106の装着面には粘着剤が塗布されており、また、円弧状の第2のセパレータ102が装着面の外縁部に設けられている。第2のセパレータは剥離紙であり、第1のセパレータ109と対向する面は粘着性を有さない。従って基材106の装着面の第2のセパレータ102の存在する領域は第1のセパレータ109から容易に分離することが可能である。
【0025】
また、本実施形態の生体電極は防水性を実現するため、透湿防水フィルムを基材106として用いている。さらに、皮膚から発生する水分を発散させて皮膚に対する密着性を良好とし、かつ体動により生じる皮膚の皺などにも追従して変形可能とするため、柔軟性のある透湿防水フィルム部材を用いている。基材106として使用可能な透湿防水フィルムの厚さは、好ましくは20〜70μm、より好ましくは30〜60μm、特に好ましくは40〜60μm、最も好ましくは45〜55μmである。
【0026】
透湿防水フィルムが厚すぎると、皮膚からの水分を発散する効果が十分得られず、剥がれ易くなるほか、かぶれや蒸れなどの原因となり、装着感が悪化する。さらに、柔軟性(特に皮膚表面の皺に対する追従性)が低下するため、電極がごわごわして装着感が悪化するほか、防水性能が低下する虞があるほか、剥がれやすくなる。さらに、柔軟性が低下することにより、生体信号にノイズがのりやすくなるという問題もある。
【0027】
一方で、柔軟性を有する薄いフィルム状基材106を用いることで、装着しにくくなるという問題が生じる。これは、例えばガラスに保護フィルムを貼り付ける場合などを考えれば容易に想像できる。すなわち、基材106に腰がない(剛性が低い)ため、第1のセパレータ109から基材106を剥がした際、指で持っていない部分の装着面同士がくっついてしまったり、装着時に皺が出来やすくなるのである。
【0028】
このような問題を解決するため、本実施形態の生体電極は、基材106の装着面外縁部に円弧状の第2のセパレータ102を設けている。第2のセパレータ102により、まず基材106を第1のセパレータ109から剥がす際、薄い基材106を爪などで剥がすのに比べて容易に剥がすことが可能となる。また、第2のセパレータ102は外縁部に沿って円弧状に設けられているので、基材106の形態を大凡維持した状態で第1のセパレータ109から電極パッド101(基材106)を剥がすことができる。
【0029】
さらに、第2のセパレータ102は剥離紙等、比較的腰のある材料で形成されているため、第2のセパレータ102を摘んだ状態で、基材106が折れ曲がって装着面同士がくっつくことなく、拡がったままの状態を維持することができる。このように、第2のセパレータ102は電極パッド101を第1のセパレータ109から剥がしてから、体表に装着するまでの間、電極パッド101の支持部材としても機能する。
【0030】
第2のセパレータ102は、特に第1のセパレータ109から電極パッド101を分離した状態で基材106の拡がった状態を維持可能であれば、その材料や厚さ、形状に制限はない。しかし、第1のセパレータ109から電極パッド101を分離する際の使い勝手を考慮すると、機材106の外縁部を所定長に渡って支持する構成であることが好ましい。
【0031】
例えば、基材106の外縁部全周に渡って設けても良い。ただし、第2のセパレータは最終的には取り外す必要があるので、体表面に装着する際の使い勝手を考慮すれば、第2のセパレータは長すぎないがよい。そのため、外縁部全周に渡って設ける場合には、第2のセパレータを1つの連続したセパレータとして形成せずに、切れ目などを入れて複数の部分に分割して構成するなど、取り外しが容易な構成とすることが好ましい。この場合、リード線110の位置に切れ込みを入れておくと、取り外しが容易であり好ましい。
【0032】
このように、第2のセパレータは、基材106の大きさや材質、第2のセパレータの材質や幅などを考慮し、支持部材としての機能を果たす範囲で適宜長さを決定すればよい。ただし、柔軟性が非常に高い材料を基材106に用いる場合には、支持部材としての機能を果たすために外縁部の半周程度について第2のセパレータを設けることが好ましい。
【0033】
例えばPETフィルムからなる第1のセパレータ109には、導電性ゲル103が設けられている。本実施形態において、基材106の穴1061は導電性ゲル103よりも小さい。導電性ゲル103は、基材106の装着面に塗布される粘着剤により基材106に接着し、電極パッド101が第1のセパレータ109から分離される際には、基材106とともに第1のセパレータ109から分離される。
【0034】
シール部材105は、例えば基材106と同じ透湿防水フィルムから構成される。シール部材105は、リード線110の先端部分に設けられる検出電極104を、水の進入から保護するために設けられる。シール部材105は、検出電極104の防水性を高めるという観点からは大きい方が好ましいが、一方で基材106と重なる部分では柔軟性が低下すること、また皮膚から発生する水分を速やかに放散するという観点からは小さい方が好ましい。従って、防水性を維持できる範囲でシール部材105は小さくすることが望ましい。
【0035】
そのため、本実施形態では、穴1061の周囲は基材106との密着性を維持することが容易であるため穴1061より若干大きな形状とし、一方で厚みのあるリード線110部分に関しては十分な長さに渡ってをその周りをシールする形状としている。また、リード線の側面からの水の進入を防止するため、リード線110の断面形状に略対応した切り欠き1051を設けている。
【0036】
切り欠き1051をリード線110に対応させ、基材106の表面にシール部材105を貼り付けることで、リード線110とシール部材105との隙間を無くし、水の進入を効果的に防止できる。また、リード線110と電極パッド101との接続点には体動その他により負荷がかかりやすいが、ため、十分な接着力が得られるよう、リード線110の幅に対して大きな面積を有している。さらに、切り欠き1051によりシール部材105がリード線110の接続開始位置よりも手前に回り込んだ状態となっているため、斜線を付した領域の接着力により、リード線110を引張る力に対する対抗力が大きい。
【0037】
さらに、リード線110を基材106の外周からやや内側(図3(b)において、外周から距離dに入った場所)でシール部材105により固定しているので、リード線110が引張られた場合に基材の縁が引張られることがない。そのため、リード線110が引張られた場合に基材106の縁から剥がれることを防止できる。
【0038】
このように、シール部材105は、検出電極104を穴1061に対応する位置に固定する機能と、検出電極104(厳密にはリード線110先端部分の、導電性パターンが露出している部分全体)を水の進入から保護する機能と、リード線110に加わる張力などの負荷に対抗してリード線110を基材106に固定する機能を有する。
【0039】
電極パッド101を装着する場合、まず第2のセパレータ102を用いて電極パッド101を第1のセパレータ109から分離する。そして、第2のセパレータ102で電極パッド101を支持しながら、装着部位に移動し、第2のセパレータの無い外縁部から体表面に貼り付ける。そして、第2のセパレータ102を剥がしながら、基材106の全面を体表面に密着させる。
【0040】
図4は、本実施形態の生体電極におけるリード線及びコネクタの構成例を示す分解斜視図である。
本実施形態においては、リード線110とコネクタ120は共通の基材上に構成されている。図4において、基材114は例えばPETフィルムからなる。基材114の下面(電極装着時に体表面と対向する側の面)には、例えば印刷によりAgClからなる電極パターン115が形成される。電極パターン115の下面には、電極パターン115を絶縁するためのレジストパターン116がやはり印刷により設けられる。レジストパターン116の下面及び基材114の上面には、導電性材料からなる、静電気除去用の下シールドパターン117及び上シールドパターン113が、印刷により設けられる。上シールドパターン113の上面、装置側端部には、例えばPETフィルムからなる補強基材112が接着される。リード線110の最上面及び最下面には、水の浸みない、柔軟性を有する絶縁性材料(発泡材料シート)からなる上フォーム材111及び下フォーム材118が粘着剤により設けられる。フォーム材は、リード線110に対し、適度な柔軟性と剛性を与えるために設けられている。
【0041】
これらの部材のうち、検出電極104を構成する基材114及び電極パターン115以外は、図3に示すように、検出電極104のやや手前まで設けられている。また、上フォーム材111及び下フォーム材118は、装置側においてもコネクタ部分より手前までの長さを有する。図4において、補強基材112の手前側所定領域に対応する部分がコネクタ120として機能する。
【0042】
また、下シールドパターン117の一部として、小領域117a〜117eが設けられているが、これは後述するように電極パターン115の信号取り出し部分の保護を目的としたもので、本来の下シールドパターン117とはその目的及び機能が異なる。
図4に示すリード線及びコネクタ部分は、各層を順次形成した後、基材114の外周形状に打ち抜くことによって作成することができる。
【0043】
図5は、本実施形態の生体電極におけるコネクタ部分の詳細な構成例を示す図であり、(a)が上面図、(b)が下面図である。
上述のように、上フォーム材111及び下フォーム材118は端部手前まで設けられている。そして、上面から見た場合、上フォーム材111の無い部分は、補強基材112と、上シールドパターン113の先端部分及びその周囲の基材114が露出している。
【0044】
また、下面から見た場合、下フォーム材118の無い部分は、下シールドパターン117及び下レジストパターン116が露出している。下シールドパターン117のうち、117a〜117eで示す小領域は、電極パターン115の、生体信号を取り出す領域を保護するために設けられている。そのため、小領域117a〜117e部分には下レジストパターン116が形成されておらず、小領域117a〜117eは電極パターン115の端部と接している。従って、小領域117a〜117eを通じて個々の検出電極104からの信号を取り出すことが可能である。
【0045】
コネクタ120には切り欠き121が設けられる。これは、平板状のコネクタ120が、後述するコネクタ装着部に対して正しい向きでのみ装着できるようにするためのものである。
また、コネクタ120の少なくとも一側面にはくびれ部123が設けられる。くびれ部123は、後述するコネクタ装着部に装着した際に、コネクタ装着部側に設けられた凸部と嵌合し、コネクタ120が不用意に引き抜かれることを防止する。
【0046】
図6は、コネクタ120と図示しない生体信号取得装置とを接続する中間ケーブル(生体電極接続用ケーブル)の、コネクタ装着部の構成例を示す斜視図である。中間ケーブルの他端は、生体信号取得装置に直接接続される。あるいは中間ケーブルの他端には、生体信号取得装置が有するコネクタに対応する装置側コネクタ(図示せず)が設けられ、装置側コネクタを生体信号取得装置のコネクタと接続して用いる。
【0047】
コネクタ装着部130は、大きく分けてハウジング133と、押さえ板132と、レバー131とを有する。そして、ハウジング133内部に設けられた電極ピン(後述)とケーブル139が接続されて、生体信号が装置側に伝達される。
【0048】
図7は、コネクタ装着部130の内部構成及び機構を説明するとともに、生体電極100のコネクタ120の装着方法について説明する斜視図である。
図7において、コネクタ装着部130におけるレバー131と押さえ板132並びにハウジング133の相互関係と相互動作が理解し易いよう、コネクタ装着部130は分解斜視図を用いて図示している。
【0049】
ハウジング133の底面には、コネクタ120の下面に露出するシールドパターン117と接し、信号を取り出したり、設置するための電極ピンが設けられている。また、正しい方向でのみコネクタを挿入可能とするための突起134が設けられる。さらに、本実施形態の生体電極100は、コネクタ120をコネクタ装着部130に装着する際の向きの指標として、コネクタ装着部130のレバー131が上に来る状態で上面となる方の面に、マーク(ここでは矢印)を設けている。
【0050】
また、ハウジング133の入り口部分には凸部136が設けられる。凸部136は、正しい向きにコネクタが挿入され、コネクタ120に設けられた切り欠き121の最奥に突起134が達した状態で、コネクタ120のくびれ部123が嵌合する位置に設けられる。後述するように、この状態でレバー131が下げられ、押さえ板132を介してハウジング133へコネクタ120を押圧する力が加えられると、くびれ部123が凸部136に引っかかった状態となり、不用意なコネクタ120の引き抜きを防止することができる。
【0051】
押さえ板132は、その後端(ケーブル139が接続されている側)に設けられた軸1321を回転軸として、上方向(矢印A’)及び下方向(矢印B’)に回動可能に、ハウジング133の後端に設けられた穴1322a及び1322bに取り付けられている。
【0052】
一方、レバー131は、その前端に設けられた軸1311を回転軸として、上方向(矢印A)及び下方向(矢印B)に回動可能に、ハウジング133の前端に設けられた穴1321a及び1321bに取り付けられている。
【0053】
そして、レバー131は、その操作部1310を上方(矢印A方向)に引き上げると、押さえ板132の前端を開放し、押さえ板132の前端を上方(矢印A’方向)に移動させる。これにより、生体電極100のコネクタ120をハウジング133に挿入することが可能になる。コネクタ装着部130のこの状態を、コネクタ装着可能状態と呼ぶ。
【0054】
一方、レバー131の操作部1310を下方(矢印B方向)に押し下げ、図6に示す状態とすると、押さえ板132の前端を下方(矢印B’方向)に押圧する。この状態ではコネクタ120をハウジング133に挿入することは出来ず、また、すでにコネクタ120がハウジング133に挿入されていれば、押さえ板132によりコネクタ120をハウジング133内の電極ピン(後述)に押しつける。
そして、この時点でコネクタ120のくびれ部123がハウジング133の凸部136としっかりと嵌合し、コネクタ120の不用意な引き抜きを防止する。
【0055】
図8は、ハウジング133に設けられる電極ピンの配置と、コネクタ120装着時の位置関係を説明する図である。
図8(a)に示すように、本実施形態のコネクタ装着部130のハウジング133底面には、7対の電極ピン135a〜135gが設けられる。各電極ピン135a〜135gは、ハウジング内部の配線により、ケーブル139と接続されている。
【0056】
図8(b)は、コネクタ120がコネクタ装着部130に正しく装着された状態を上方から見た図である。図8(a)と図8(b)とを比較すると分るように、電極ピン135a〜135fは、コネクタ120の下面に露出する下シールドパターン117(電極パターン115の保護を目的とした小領域117a〜117e含む)と接する位置に配置されている。
【0057】
具体的には、電極ピン135a〜135eが小領域117a〜117e(すなわち、個々の電極パターン115)と接する位置にそれぞれ設けられている。また、電極ピン135fは下シールドパターン117の本体(小領域117a〜117eを除く部分)と接し、下シールドパターン117を接地させる。
【0058】
残った電極ピン135gは、上シールドパターン113を接地させるために設けられている。ただし、上シールドパターン113はコネクタ120の上面先端から露出しているため、押さえ板132の下面に導電性材料からなる導通板1323を設け、導通板1323により電極ピン135gとコネクタ120上面に露出する上シールドパターンとを電気的に接続している。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の生体電極は、その全体が使い捨て可能である。従って常に清潔な生体電極100を用いることが可能である。また、リード線110を用いて信号を伝達するため、無線通信等の複雑な処理を行なう信号処理回路を電極パッドに取り付ける必要が無く、電極パッド101がほぼ平面であり、装着感がよい。
【0060】
また、基材106及びシール部材105として、柔軟性のある透湿防水フィルムを用いているため、体表面によく密着し、高い防水性を実現できる。さらに、体表面から発生する水分を速やかに発散可能であり、蒸れやかぶれが起こりにくく、装着感がよい上、剥がれにくい。
【0061】
さらに、基材106の外縁部に第2のセパレータを設けているので、電極パッド101を第1のセパレータ109から分離しやすい。さらに、第2のセパレータにより基材106を支持することが出来るため、基材106の装着面同士が張り付いたり、装着時に皺が発生することを防止できる。これは、基材106として密着性の高いフィルム状部材を用いた際に特に有効である。
また、リード線110がフィルム形状を有し、薄いため、シール部材105により防水性を持たせて基材106へ取り付けることが容易である。
【0062】
なお、上述の実施形態では、説明及び理解を容易にするため、リード線110の長さが共通である場合についてのみ説明した。しかし、取得する生体信号が予め分っている場合には、その装着位置に合わせてリード線の長さを異ならせてもよい。
【0063】
また、防水性基材106の形状は、一般的に用いられる真円形状として説明したが、図9(a)に示すように、楕円形や卵形など、他の形状であっても良い。また、図9(b)に示すようい、四角形など、一部に直線を含む形状であっても良い。また、取り外しを容易にするため、基材106に角部201(図9(c))や凸部202(図9(d))を設けることも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に装着する電極パッドと、当該電極パッドに接続されるリード線とを有する生体電極であって、
前記電極パッドが、
粘着性を有する装着面を有し、略中央に穴を有する防水性基材と、
前記リード線を、その先端に設けられた検出電極が前記防水性基材の穴から露出するよう、前記穴を覆いながら前記基材の前記装着面の裏面に固定する、防水性シール部材と、
前記検出電極に接するように前記装着面に設けられた導電性ゲルとを有することを特徴とする防水性生体電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−63278(P2013−63278A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249626(P2012−249626)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【分割の表示】特願2005−231083(P2005−231083)の分割
【原出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)