説明

防水電子装置

【課題】ハウジングの最も外側の部位とパッキンとの間に滞留する水を排水しやすいハウジング構造を提供すること。
【解決手段】第1のハウジング100と第2のハウジング200とをパッキン300を間に介在させた状態で前後方向から組合せることによって内部に密閉された収容空間を形成し、収容空間に電子回路を収容する防水電子装置10であって、第1のハウジング100の上縁に沿って締結部材受け151と、締結部材受けの下方においてパッキン300に谷が形成されないようにパッキンを受入れるパッキン載置部152が設けられ、第2のハウジング200には、締結部材受け151に対応する位置に締結部材挿通穴251と、パッキン載置部に対応した形状のパッキン抑え260と、パッキン抑えと同一の高さに形成される排水口253と、を備え、パッキンの上方に浸入した液体を排水口253から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水電子装置に関するものであり、特に、電子装置の内部に電子回路をシール(パッキン)を用いて密閉した状態で収容する密閉容器の構造及びパッキンに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外や浴室のように、雨滴、水滴、散水にさらされる場所や、多湿環境において使用される電子装置の防水構造については、従来各種のものが知られている。下記特許文献1(特開2010−177616号公報)は、内部に電子機器を収容するハウジング本体とハウジング本体の開口部を覆う蓋より構成され、蓋の周縁部に沿ってパッキンが取付けられ、蓋をハウジング本体の開口部に対して蓋を完全に閉じた際に、パッキンがハウジング本体の周縁部と密着し、蓋とハウジング本体との間がシールされる電子装置のハウジング構造を開示している。
【0003】
下記特許文献1は、さらに、ハウジング本体内部に浸入した水を配水するために、ハウジングの下部に、ハウジングの内部と外部とを連通する連通路を形成し、ハウジング下部に溜まった水を毛細管現象によりハウジング外部へ排出させる構造を開示している。
【0004】
上記の排水構造は、電子装置のハウジング内部に浸入した水を排出するための構造である。しかし、電子装置を前側ハウジングと後側ハウジングによって構成し、これら二つのハウジングを組合せることで内部に電子回路を収容する収容空間を形成し、二つのハウジングが組合される部位にパッキンを介在させて内部を密閉する電子装置では、ハウジング相互を固定するために、パッキンの外側をネジで結合させる場合がある。その場合、パッキンとハウジングの最も外側の部位の間には空間が形成され、この空間内に水が溜まってしまうという恐れがある。そのため、この空間内の水を抜くために、一方のハウジングの最も外側の部位(上面)と、パッキンとの間に排水用の開口を設けるものが知られている。
【0005】
ところで、ハウジング相互を結合させるためのネジとネジの間にパッキンが入り込む状態で配置されているため、パッキンは凹凸を有する状態で配置され、この影響を受けてパッキンとハウジングの最も外側の部位との間の空間にも凹凸が存在していた。しかしながら、これらパッキンの周囲に形成された空間に凹凸が存在していると、排水用の開口を設けていても凹凸部分に水が滞留してしまい、水が排出しにくいという問題があった。
【0006】
また、下記特許文献2(特開2010−041086号公報)は、浴室等で使用する電気機器を壁に取付ける構造を開示している。この取付け構造においては、浴室用テレビ装置を、取付け金具を介して浴室の内壁に固定する。それを達成するため、取付け金具の上辺にはフック状の金具側係合部が設けられ、下辺には、L字状の金具側係合部が設けられる。これに対応して、浴室用テレビ装置の背面の上辺と下辺には機器側係合部が設けられる。浴室用テレビを壁に取付ける際、まず、取付け金具をネジで直接浴室内壁に固定し、次いで浴室用テレビ装置の背面の上辺に設けられた機器側係合部を取付け金具の上辺に設けられたフック状の金具側係合部に係止させる。さらに、浴室用テレビ装置の背面下部に設けられた機器側係合部を取付け金具の下辺に設けられたL字型の金具側に係止させ、これによって浴室テレビ装置を浴室壁面に固定する。
【0007】
上記に説明した排水用の開口や下記特許文献2のような機器側係合部を電子装置のハウジングに設けると、構造が複雑になり、製造工数も増加するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−177616号公報
【特許文献2】特開2010−041086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、電子装置を前側ハウジングと後側ハウジングによって構成し、これら二つのハウジングを組合せることで内部に電子回路を収容する収容空間を形成し、二つのハウジングが組合される部位にパッキンを介在させて内部を密閉する電子装置において、ハウジングの最も外側の部位とパッキンとの間に滞留する水を排水しやすいハウジング構造を提供することである。
【0010】
さらに、本発明の目的は、取付け金具を用いて壁面等に電子装置を取付ける際に、電子装置のハウジングに設けられる取付け用の穴を上記の排水用の開口と一体化させることによって、ハウジング構造を簡単化し、製造工数を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、第1のハウジングと第2のハウジングとをパッキンを間に介在させた状態で前後方向から組合せることによって内部に密閉された収容空間を形成し、前記収容空間に電子回路を収容する防水電子装置であって、前記第1のハウジングは、少なくとも前記第1のハウジングの上縁に沿って前記第1及び第2ハウジングを相互に固定する締結部材を受ける締結部材受けと、少なくとも前記締結部材受けの下方において前記パッキンに谷が形成されないようにパッキンを受入れるパッキン載置部と、を備え、前記第2のハウジングは、前記締結部材受けに対応する位置に、前記締結部材が挿通され、それによって前記第1のハウジングとの締結を達成する締結部材挿通穴と、前記パッキン載置部に対応した形状であり、前記第1及び第2のハウジングが前後方向から組合された際に前記パッキン載置部に載置されたパッキンを加圧することによって前記収容空間を密閉状態に維持するパッキン抑えと、前記パッキン抑えと同一の高さに形成される排水口と、を備え、前記パッキンの上方に浸入した液体を前記排水口から排出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、前記パッキン載置部が少なくとも前記締結部材受けの下方において直線状に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、前記パッキン載置部が少なくとも前記締結部材受けの下方において水平に設けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様は、前記排水口が下方に向かって開口することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様は、前記防水電子装置が前記第2のハウジングを建造物に固定するための取付金具を備え、前記取付金具は前記排水口に係止されることによって前記防水電子装置に取付けられることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の一態様において、前記第1のハウジングには、ディスプレイ装置が組込まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記の構成により、本発明は下記に説明する優れた効果を発揮する。すなわち、第1のハウジングと第2のハウジングとをパッキンを間に介在させた状態で前後方向から組合せ
ることによって、内部に電子回路を密閉して収容することが可能となる。さらに、第1のハウジングには少なくともハウジング上縁側のパッキンに谷が形成されないようにパッキンを受入れるパッキン載置部が設けられ、第2のハウジングにはパッキン載置部に対応した形状のパッキン抑えが設けられ、排水口がパッキン抑えと同一の高さに形成されているので、パッキンの上方に浸入した液体がパッキンの上方に滞留することなく排水口から容易に排出させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の防水電子装置の一態様によれば、パッキン載置部は直線状に形成される。これによって、パッキン載置部及びパッキンの上側に谷が形成されないから、パッキンの上方に浸入した液体を滞留させることなく排水口から容易に排出することが可能となる。
【0019】
また、本発明の防水電子装置の一態様によれば、パッキン載置部は水平に形成される。これによって、パッキン載置部及びパッキンの上側に谷が形成されないから、パッキンの上方に浸入した液体が偏って滞留することなく排水口から容易に排出することが可能となる。
【0020】
また、本発明の防水電子装置の一態様によれば、排水口は下方に向けて開口している。これにより、パッキン載置部及びパッキンの上側に浸入した液体は下方に向けて容易に排出されることが可能となる。
【0021】
また、本発明の防水電子装置の一態様によれば、取付金具を用いて電子装置を建造物に固定する。その際に、排水口に取付金具を係止する。これにより、ハウジング構造を簡単化し、製造工数を抑えることが可能となる。
【0022】
また、本発明の防水電子装置の一態様によれば、ハウジングにはディスプレイ装置が組込まれるので、この防水電子装置を、浴室テレビ装置や他の視聴用の装置として使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は浴室テレビ装置10を前方斜め上方から見た外観斜視図である。
【図2】図2は浴室テレビ装置10の正面図及び右側面図である。
【図3】図3は浴室テレビ装置10の背面図である。
【図4】図4は浴室テレビ装置10を分解した状態で後方から見た分解斜視図である。
【図5】図5は図4のV部分の拡大図である。
【図6】図6は図2におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図7は図6におけるVII部分の拡大図であって取付け金具を排水口から取外した状態を示す図である。
【図8】図8は図6におけるVII部分の拡大図であって取付け金具を排水口に取付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願発明を実施するための最良の形態を実施例と共に図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための防水電子装置として浴室テレビ装置を例示して説明するものであって、本発明をこの浴室テレビ装置に特定することを意図するものではなく特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなくその他の防水電子装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0025】
実施例の浴室テレビ装置10について、図1〜図8を参照して説明する。なお、図1は浴室テレビ装置10を前方斜め上方から見た外観斜視図、図2は浴室テレビ装置10の正面図及び右側面図、図3は浴室テレビ装置10の背面図、図4は浴室テレビ装置10を分解した状態で後方から見た分解斜視図、図5は図4のV部分の拡大図、図6は図2におけるVI−VI線断面図、図7は図6におけるVII部分の拡大図であって取付け金具を排水口から取外した状態を示す図、図8は図6におけるVII部分の拡大図であって取付け金具を排水口に取付けた状態を示す図である。
【0026】
浴室テレビ装置10は、第1のハウジング100と第2のハウジング200より構成される。第1のハウジング100は、上板110、下板120、左側板130、右側板140、及び矩形状の正面板150を備え、これらの5つの面によって囲まれる収容空間内に電子回路を収容可能に構成される。また、正面板150は前側表面にカバーガラス150Aが貼付けられ、カバーガラス150Aの内面側中央には液晶ディスプレイ160が組込まれる。
【0027】
なお、図1では、カバーガラス150Aの両側下部に内蔵されたスピーカの音声を外部に放出するためのスピーカ用穴160が設けられる。
【0028】
なお、本明細書では、「右」とは浴室テレビ装置10を正面、つまり正面板150から見た場合の右方向のことをいい、「左」とは浴室テレビ装置10を正面から見た場合に左方向のことをいう。また「幅」とは、浴室テレビ装置10を正面から見た場合の左右方向のことをいい、「長さ」とは、浴室テレビ装置10を正面から見た場合の前後方向のことをいう。
【0029】
第2のハウジング200は、上板210、下板220、左側板230、右側板240、矩形状の背板250を備え、これら5つの面によって囲まれる収容空間に電子回路を収容する。第1のハウジング100の幅と高さは第2のハウジング200の幅と高さにほぼ対応した寸法であるが、第2のハウジング200のほうがわずかに小さくなっており、第1のハウジング100は第2のハウジング200を受入れる仕方で互いに組合される。つまり、第1のハウジング100の正面板150と第2のハウジング200の背板250は互いに平行になるように相対し、第1のハウジング100の上板110、下板120、左側板130、右側板140の内側にそれぞれ第2のハウジング200の上板210、下板220、左側板230、右側板240が重なるような仕方で第1のハウジング100と第2のハウジング200は組合わされ、内部に電子回路を収容する収容空間を構成する。
【0030】
なお、本実施例では、第1のハウジング100、第2のハウジング200は矩形状の場合を説明したが、本発明はこれに限られず、多角形、円形、楕円形、他の形状を採用することができる。
【0031】
第1のハウジング100には、正面板150の内面150Bに、上板110、下板120、左側板130、右側板140に沿って複数のネジ受け部151が等間隔で配置される。実施例では、ネジ受け部151は、上板110に沿った部分においては、7つ設けられる。すなわち、左右両端近くと中央部に一つずつ形成され、右端と中央部の間に2つのネジ受け部151、及び中央部と左端の間に2つのネジ受け部151が形成されている。ネジ受け部151は内面150Bから後方に向けて突出した円筒部151Aと円筒部151Aの頂部から前方に向けて形成された有底のネジ受け穴151Bから構成される。
【0032】
上板110に沿って形成されたネジ受け部151の下方、下板120に沿って形成されたネジ受け部151の上方、左側板130に沿って形成されたネジ受け部151の右側(内側)、右側板140に沿って形成されたネジ受け部151の左側(内側)には、パッキ
ン載置部152が設けられる。パッキン載置部152はネジ受け部151の内側をぐるりと一周取り囲むように形成される。パッキン載置部152は外周側の側壁152Aと内周側の側壁152B、及び外周側の側壁152Aと内周側の側壁152Bの間に形成されるパッキン載置溝152Cより構成される。パッキン載置部152は右側方から見た場合にC字断面形状である。
【0033】
パッキン載置部152は、上板110に沿ったネジ受け部151の下方において谷が形成されないように設けられる。本実施例では、パッキン載置部152は直線状かつ平行に形成されている。なお、本実施例では、パッキン載置部152は第1のハウジング100の上縁に沿った部分において直線状かつ平行に形成された場合を説明しているが、本発明は上記に限定されず、他の形状、例えば、パッキン載置部152の左右の一方の側が高くなり他方の側が低くなった傾斜状の直線状又は曲線状、或いは、中央部分又は他の部位が高くなり左右両端が低くなった山形状の折れ線状又は曲線状、或いは、中央部分又は他の部位が低くなり左右両端が高くなった谷形状の折れ線又は曲線状であって、最も低くなった部位に対応して後述する排水口が設けられるようにした形状であってもよい。なお、この場合はネジ受け部151の直下に谷が形成されないようにする。
【0034】
パッキン載置部152のうち、下板120、左側板130、右側板140に沿った位置に設けられるものは、必ずしも直線状ではなく、収容空間内部に収容される電子回路の基板形状や他の構造物によって曲線状の部位等が含まれてもよい。
【0035】
第2のハウジング200の背板250には、第1のハウジング100に設けられたネジ受け部151に対応する位置にネジ挿通穴251が設けられる。実施例では、ネジ挿通穴251は、上板210に沿った部分においては、7つ設けられる。すなわち、左右両端近くと中央部に一つずつ、右端と中央部の間に2つのネジ挿通穴251、中央部と左端の間に2つのネジ挿通穴251が形成される。
【0036】
ネジ挿通穴251は背板250の外面250Bの上述した位置に設けられた有底の窪み251A、背板250の内面250Aから前方に向けて突出した突出部251B、窪み251Aの底部から突出部251Bの頂部までを貫通し、ネジ400を受入れる貫通穴251Cから構成される。
【0037】
第2のハウジング200には、背板250の内面250Aに、第1のハウジング100の内面150Bに設けられたパッキン載置部152のパッキン載置溝152Cに対応する位置にパッキン抑え260が設けられる。パッキン抑え260はパッキン載置部152に対応して背板250の上板210、下板220、左側板230、右側板240の内周をぐるりと1周にわたって取り囲むように、背板250の内面250Aから前方に向かって突出する。
【0038】
このパッキン抑え260は、上板210に沿った位置においては、パッキン載置部152に対応して直線状かつ平行に形成されている。なお、本発明において、パッキン抑え260は上記に限定されず、パッキン載置部152に対応して他の位置形状に設けられてもよい。例えば、パッキン抑え260の左右の一方の側が高くなり他方の側が低くなった傾斜状の直線状又は曲線状、或いは、中央部分又は他の部位が高くなり左右両端が低くなった山形状の折れ線状又は曲線状、或いは、中央部分又は他の部位が低くなり左右両端が高くなった谷形状の折れ線又は曲線状であって、最も低くなった部位に後述する排水口が設けられるようにした形状であってもよい。
【0039】
第2のハウジング200の背板250の上部には、パッキン抑え260の上面と同一の高さに排水口253が設けられる。実施例では、排水口253は、上板210に沿った位
置の左右両端のネジ挿通穴251とその内側に位置するネジ挿通穴251の間、及び、中央のネジ挿通穴251とその左右両側のネジ挿通穴251との間に形成される。それらの位置には、背板250の上縁部254を除き、前方に向かって窪んだ多角形状の窪み252が形成される。この窪み252の上端部の内側にはパッキン抑え260が形成されている。この窪み252の上端部分と上縁部254の間に排水口253が形成される。従って排水口253はパッキン抑え260の後方において、下方を向くように形成される。パッキン抑え260の上面と排水口253の開口縁部が成す面は同一の高さに位置する。
【0040】
第2のハウジング200の背板250の外側面250Bの中央にはケーブル接続部270が設けられる。ケーブル接続部270は円形の開口として形成される。ケーブル接続部270には、防水コネクタ610等を使用してケーブル600が接続される。ケーブル600は、液晶ディスプレイ160に映像を表示するための映像信号や、液晶ディスプレイ160を制御する電子回路を駆動するための制御信号の送受信を行うためのものであり、浴室壁面を貫通する孔(図示せず)等を通して浴室とは別の箇所に設置されたチューナー等に接続される。
【0041】
さらに、第2のハウジング200の背板250の下部には、窪み280が設けられ、背板250の下端部には係止穴290が設けられる。係止穴290は、後述する取付け金具500の係止爪520を受入れる。
【0042】
パッキン300は、天然ゴム或いは合成ゴム等で形成されたリング形状の部材であり、その断面形状は長方形或いは楕円形である。或いは、必要に応じて、L字型、U字型等他の幾何学的断面形状のものを採用してもよい。
【0043】
ネジ400は一般的に使用されている雄ネジであり、第2のハウジング200の背板250に設けられたネジ挿通穴251を通してネジ受け部151に螺合されることにより、第1のハウジング100と第2のハウジング200をしっかりと固定する。
【0044】
取付け金具500は、第2のハウジング200の背板250よりも若干小さい幅と高さを有する金属製の平板部510を備える。平板部510を背板250よりも小さな寸法とすることによって、この浴室テレビ装置10を浴室壁面等に取付け金具500で固定した際に取付け金具500が上下左右において浴室テレビ装置10から外側にはみ出すことがなく、美観を向上させることができる。
【0045】
取付け金具500の下端部には係止爪520が形成される。係止爪520は平板部510から前方に向かって折曲がった突出部521とその先端において「く」の字形に折曲がった係止部522から構成され、第2のハウジング200の係止穴290に差込まれて係止される。
【0046】
取付け金具500の上端部には上述した窪み252及び排水口253の位置に対応する部分に係止部530が設けられる。係止部530は、平板部510の上端から前方に向かって屈曲した第1屈曲部531、第1屈曲部531から前方に延出した第1延出部532、第1延出部532から上方に向かって屈曲した第2屈曲部533、第2屈曲部533からさらに上方に延出した第2延出部534から構成される。
【0047】
取付け金具500の中央には開口540が設けられ、ケーブル600、防水コネクタ610を貫通させることができる。
【0048】
取付け金具500の四隅には取付け穴550が設けられ、ネジ700等の固定手段によって、取付け金具500を浴室の壁面等に固定することができる。なお、この取付け穴5
50は、取付け金具500の上側においては第2のハウジング200の背板250に設けられた窪み252に対応する位置に形成され、取付け金具500下側においては第2のハウジング200の背板250の下部に設けられた窪み280に対応する位置に設けられる。取付け穴550を窪み252及び窪み280に対応する位置に形成することによって、ネジ700の頭部710を第2のハウジング200の背板250の窪み252、280内に収めることができ、背板250の外側面250Bと取付け金具500、及び浴室の壁面とを密接させた状態で固定することが可能となる。
【0049】
次に、上記に説明した浴室テレビ装置10の組立てと浴室壁面への取付けについて説明する。第1のハウジング100の正面板150の内面150Bに設けられたパッキン載置部152にパッキン300を挿入する。すると、パッキン300はパッキン載置部152の外周側の側壁152Aと内周側の側壁152Bの間のパッキン載置溝152Cに収容される。
【0050】
次いで、第1のハウジング100と第2のハウジング200を組合せる。すなわち、第2のハウジング200の上板210が第1のハウジング100の上板110の直下に嵌め込まれ、第2のハウジング200の下板220が第1のハウジング100の下板120の直上に嵌め込まれ、第2のハウジング200の左側板230、右側板240がそれぞれ第1のハウジング100の左側板130、右側板140の内側に嵌め込まれるように、ハウジング相互を組合せる。このとき、第1のハウジング100の内面150Bに設けられたネジ受け部151の頂部と第2のハウジング200の内面250Aに設けられた突出部251Bの頂部とが当接し、ネジ受け穴151Bと貫通穴251Cの中心軸が一致する。
【0051】
また、このとき、背板250の内面250Aに設けられたパッキン抑え260がパッキン載置部152のパッキン載置溝152Cに挿入され、パッキン載置溝152Cに載置されたパッキン300の後部に接触する。
【0052】
次いで、ネジ400を後方からネジ挿通穴251の貫通穴251Cを通してネジ受け部151のネジ受け穴151Bに挿入し、螺合させる。すると、ネジ400の座面がネジ挿通穴251の窪み251Aの底部に当接し、第2のハウジング200を第1のハウジング100に結合させる付勢力を生じさせる。これにより、パッキン抑え260がパッキン300の後部を前方に向けて圧縮し、パッキン300はパッキン載置部152のパッキン載置溝152Cとパッキン抑え260に囲まれる空間内で圧縮され、パッキン載置部152及びパッキン抑え260よりも内側の収容空間に水分等が浸入しないように密閉される。
【0053】
次いで、浴室壁面(図示せず)に、取付け金具500を固定する。これは、取付け穴550を浴室壁面にあてがい、取付け金具500の前方側からネジ700を浴室壁面に対して螺合させることにより行う。さらに、浴室壁面を貫通させるようにケーブル600を配線し、防水コネクタ610をケーブル接続部270に接続する。
【0054】
さらに、取付け金具500の係止部530を排水口253に係止する。つまり、係止部530の第2延出部534を排水口253に挿入し、第2のハウジング200の背板250の上縁部254の内面側に係止させる。すると、取付け金具500の取付け穴550に取付けられたネジ700の頭部710は窪み252内に収容される。取付け金具500の下端に設けられた係止爪520を第2のハウジング200の背板250下端に設けられた係止穴290に差込んで係止する。これによって、浴室テレビ装置10は浴室壁面に固定される。
【0055】
以上、説明したように、本実施例の浴室テレビ装置10においては、第1のハウジング100と第2のハウジング200を互いに固定するためのネジ400を受入れるネジ受け
部151及びネジ挿通穴251の下方においてパッキン載置部152が、第1のハウジング100と第2のハウジング200の上部付近においては水平且つ直線状に配置されている。また、これに合わせてパッキン300、パッキン抑え260も水平且つ直線状に配置されている。従って、第1のハウジング100と第2のハウジング200の境界付近から、パッキン300までの部位に浸入した水分や液体はパッキン載置部152上方及びパッキン抑え260上方の何れの箇所にも滞留することなく排水口253から容易に排出されることが可能となる。
【0056】
なお、本実施例では、上記に説明したように、パッキン載置部152、パッキン抑え260が水平且つ直線状に配置された場合について説明したが本発明はこれに限られず、左右の一方が高くて他方が低い傾斜状の直線、或いは曲線であってもよいし、左右の両方が低くて中央のいずれかの部位が高くなっている折れ線状、或いは曲線であってもよい。その場合、パッキン抑え260の最も低くなった部位に排水口253を設けることにより、パッキン載置部152及びパッキン抑え260の上方に浸入した水分や液体はパッキン載置部152上方及びパッキン抑え260上方の何れの箇所にも滞留することなく排水口253から容易に排出されることが可能となる。
【0057】
さらに、パッキン載置部152、パッキン抑え260の形状は、左右の両側が高くなっており、中央の何れかの箇所が低くなった折れ線状、又は曲線状であってもよい。その場合、パッキン抑え260の最も低くなった部位に排水口253を設けることにより、パッキン載置部152及びパッキン抑え260の上方に侵入した水分や液体はパッキン載置部152及びパッキン抑え260上方の何れの箇所にも滞留することなく排水口253から容易に排出されることが可能となる。その場合、パッキン載置部152やパッキン抑え260の最も低くなる場所がネジ受け部151、ネジ挿通穴251の直下に位置することがないようにする。
【符号の説明】
【0058】
10 浴室テレビ装置
100 第1のハウジング
110 上板
120 下板
130 左側板
140 右側板
150 正面板
151 ネジ受け部
151A 円筒部
151B ネジ受け穴
152 パッキン載置部
152A 外周側の側壁
152B 内周側の側壁
152C パッキン載置溝
160 液晶ディスプレイ
200 第2のハウジング
210 上板
220 下板
230 左側板
240 右側板
250 背板
251 ネジ挿通穴
252 窪み
253 排水口
254 上縁部
260 パッキン抑え
270 ケーブル接続部
280 窪み
290 係止穴
300 パッキン
400 ネジ
500 取付け金具
510 平板部
520 係止爪
521 突出部
522 係止部
530 係止部
531 第1屈曲部
532 第1延出部
533 第2屈曲部
534 第2延出部
540 開口
550 取付け穴
600 ケーブル
610 防水コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハウジングと第2のハウジングとをパッキンを間に介在させた状態で前後方向から組合せることによって内部に密閉された収容空間を形成し、前記収容空間に電子回路を収容する防水電子装置であって、
前記第1のハウジングは、少なくとも前記第1のハウジングの上縁に沿って前記第1及び第2ハウジングを相互に固定する締結部材を受ける締結部材受けと、少なくとも前記締結部材受けの下方において前記パッキンに谷が形成されないようにパッキンを受入れるパッキン載置部と、を備え、
前記第2のハウジングは、前記締結部材受けに対応する位置に、前記締結部材が挿通され、それによって前記第1のハウジングとの締結を達成する締結部材挿通穴と、前記パッキン載置部に対応した形状であり、前記第1及び第2のハウジングが前後方向から組合された際に前記パッキン載置部に載置されたパッキンを加圧することによって前記収容空間を密閉状態に維持するパッキン抑えと、前記パッキン抑えと同一の高さに形成される排水口と、を備え、
前記パッキンの上方に浸入した液体を前記排水口から排出することを特徴とする防水電子装置。
【請求項2】
前記パッキン載置部が少なくとも前記締結部材受けの下方において直線状に設けられることを特徴とする請求項1に記載の防水電子装置。
【請求項3】
前記パッキン載置部が少なくとも前記締結部材受けの下方において水平に設けられることを特徴とする請求項2に記載の防水電子装置。
【請求項4】
前記排水口は、下方に向かって開口することを特徴とする請求項1〜3に記載の防水電子装置。
【請求項5】
前記防水電子装置は、前記第2のハウジングを建造物に固定するための取付金具を備え、前記取付金具は前記排水口に係止されることによって前記防水電子装置に取付けられることを特徴とする請求項1〜4に記載の防水電子装置。
【請求項6】
前記第1のハウジングには、ディスプレイ装置が組込まれることを特徴とする請求項1〜5に記載の防水電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110721(P2013−110721A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256678(P2011−256678)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】