説明

防滑性板状基材、その製造方法およびその用途

【課題】特に湿潤時に防滑性を発揮する防滑性板状基材、その製造方法およびその用途を提供する。
【解決手段】羽毛粉末を5〜30重量%含む塗工液を板状基材の表面に塗布、乾燥することにより形成される防滑層を有することを特徴とする防滑性板状基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿潤時に特に優れた防滑性を発揮する防滑性板状基材、その製造方法およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
天然および合成皮革、ゴムならびに合成樹脂などの有機材料、ガラスなどの無機材料、金属材料などからなる板状基材を用いて製造される製品には、湿潤時、特に水で濡れたときに滑り易いというが問題がある。
雨天や使用環境による水濡れの他に、ヒトの皮膚に接触する製品では発汗による水濡れが起こる。このような製品表面の水濡れは、スリップ性を増進させ、場合によっては事故につながることもある。
【0003】
例えば、踵の高い靴やサンダルなどでは、足裏の発汗によって足裏と靴底(中敷)との間の摩擦係数が低下してスリップが起こり、歩き難くなるだけでなく、転倒したりして、けがの原因になることもある。
ウレタン樹脂によりノンスリップ加工した靴やサンダルが上市されているが、湿潤時のスリップ性まで防止できていないのが現状である。
したがって、このような様々な場面において、板状基材を用いて製造される製品表面の防滑性、特に湿潤時における防滑性が強く求められている。
【0004】
他方、羽毛粉末を用いて吸油性や断熱性を付与する表面改質剤およびその処理方法が提案されている。
例えば、特開平6−345976号公報(特許文献1)には、羽毛微細粉末の表面をイソシアネート類およびポリオールでウレタン化(ウレタン修飾)した、すなわち羽毛微細粉末の表面にウレタン層を形成した羽毛微細粉末からなる表面改質剤、その表面改質剤を樹脂に配合してシート成形したシート状表面改質材、そのシート状表面改質材を基材の表面に張り合わせて被覆する被覆方法、および羽毛微細粉末からなる表面改質剤を溶剤に懸濁させて、それを基材に分散塗布する被覆方法が記載されている。
【0005】
そして、特許文献1には、ウレタン層が形成された羽毛微細粉末は、吸油性を有し、ヒトの皮膚が直接触れる部分をこの羽毛微細粉末で被覆すると、汗分や皮脂分などを吸収して、サラッとした感触を保持できることが記載されている。
しかしながら、この先行技術は、羽毛微細粉末の吸油性をより一層向上させて活用するために、羽毛のタンパク質分子自体を化学的にウレタン修飾するものであり、滑り感を提供するためのものであり、水濡れ時におけるノンスリップ性を提供するための技術ではない。
【0006】
また、特開2001−26752号公報(特許文献2)には、樹脂および溶剤を主体とした塗料に羽毛粉末を所要量配合してなる保温性・防滑性を有する断熱性塗工液、ポリウレタン樹脂および溶剤を主体とした塗料に羽毛粉末を5〜50%配合してなる保温性防滑性を有する断熱性塗工液、それを基材の表面に塗工し乾燥した保温性・防滑性を有する断熱性容器(例えば、紙製容器)が記載されている。
【0007】
そして、特許文献2には、上記の断熱性塗工液により形成された塗工層が天然羽毛ケラチンの特性により優れた保温性(断熱性)を基材に付与できると共に、塗工層が非平滑面になるために手滑りを未然に防止できることが記載されている。
しかしながら、この先行技術では、具体的かつ科学的な検証が全くなされないまま、非平滑面であるというだけで滑り止め効果を主張しているが、本発明者が後述する科学的検証結果が示すように、通常の生活環境における湿度条件下では、逆に滑り易い状況を与えてしまう。例えば、上記の塗工層を有する容器の中に熱い液体を入れた状態で、断熱性があるために安心して手で持ったときに手滑りを起こして火傷などの事故を起こす危険性が高いなど、本来の断熱用途であっても汎用性には問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−345976号公報
【特許文献2】特開2001−26752号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】丸山仁司編,理学療法科学学会監修「ザ・シリーズ ザ・歩行」,第1版,有限会社アイペック,平成15年4月10日、p.89−93
【非特許文献2】大西範和、外5名,「筋電図解析による流行靴ミュールを着用した歩行時の生体負担度の評価」,人間工学,日本人間工学会,2005年,第41巻,第2号,p.51−56
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の先行技術では、防滑性、特に湿潤時の防滑性については全く言及されていない。
そこで、本発明は、特に湿潤時に防滑性を発揮する防滑性板状基材、その製造方法およびその用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、板状基材の表面に羽毛粉末を含む塗工液を塗布、乾燥して得られる被膜が、防滑性、特に湿潤時の防滑性を有することを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
かくして、本発明によれば、羽毛粉末を5〜30重量%含む塗工液を板状基材の表面に塗布、乾燥することにより形成される防滑層を有することを特徴とする防滑性板状基材が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、羽毛粉末、樹脂および有機溶剤を混合して羽毛粉末を5〜30重量%含む塗工液を調製し、得られた塗工液を板状基材の表面に塗布、乾燥して防滑層を形成することを特徴とする防滑性板状基材の製造方法が提供される。
【0014】
さらに、本発明によれば、上記の防滑性板状基材で製造された靴の中敷が提供される。
また、本発明によれば、靴の中敷に上記の塗工液を塗布、乾燥して、湿潤時に足裏と中敷との間の滑り易さを抑制する方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特に湿潤時に防滑性を発揮する防滑性板状基材、その製造方法およびその用途を提供することができる。
本発明の板状基材に形成された防滑層は、羽毛粉末、樹脂および有機溶剤を混合した塗工液を板状基材の表面に塗布、乾燥して得られる被膜であり、特許文献1に記載されているような、羽毛微細粉末のウレタン修飾物からなる表面改質剤を用いて形成された被膜とは、タンパク質分子自体をウレタン修飾して親油性を高めていないため、水分の吸着特性が良好であり、その結果として湿潤時の表面物性が異なっている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試験例1におけるPETフィルムの相対湿度と平均摩擦係数(MIU)との関係を示す図である。
【図2】試験例2におけるPETフィルムの相対湿度と最大変形量(μm)との関係を示す図である。
【図3】試験例2におけるPETフィルムの相対湿度と圧縮仕事量(kN/m2)との関係を示す図である。
【図4】試験例3において用いた履物(ミュール)の(a)外観を示す図、(b)そのピンヒール部を示す図および(c)ビニール袋を被せた外観を示す図である。
【図5】試験例3における歩行解析の1歩行周期分を示す図である。
【図6】試験例3における歩行解析の足関節角度および膝関節角度を示す図である。
【図7】試験例3における歩行解析の足関節角度の(a)平均値および(b)最大値を示す図である。
【図8】試験例3における歩行解析の膝関節角度の(a)平均値および(b)最大値を示す図である。
【図9】試験例3における筋電位測定の測定筋群を示す図(a)および(b)である。
【図10】試験例3において皮膚表面双極誘導法を適用した電極の貼付方法を示す図である。
【図11】試験例3における(a)縫工筋、(b)前脛骨筋、(c)腓腹筋および(d)拇趾外転筋の筋放電量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の防滑性板状基材は、羽毛粉末を5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%含む塗工液を板状基材の表面に塗布、乾燥することにより形成される防滑層を有することを特徴とする。
羽毛粉末の含有量が5重量%未満では、湿潤時に本発明の優れた防滑性が発揮されないおそれがある。一方、羽毛粉末の含有量が30重量%を超えると、基材表面に有効に羽毛粉末が配列しないおそれがある。
【0018】
本発明において用いられる羽毛粉末は、鳥類の羽毛を機械粉砕したものであればよく、特に限定されない。鳥類としては、水鳥、特にガチョウ(グース)の羽毛が湿潤時の防滑性および原料としての入手し易さの点で好ましい。
【0019】
羽毛粉末は、3〜100μm、好ましくは5〜20μmの平均粒子径を有しているのが好ましい。
羽毛粉末の平均粒子径が3μm未満では、湿潤時に本発明の優れた防滑性が発揮されないおそれがある。一方、羽毛粉末の平均粒子径が100μmを超えると、板状基材の表面状態(感触)が低下するおそれがある。
羽毛粉末の平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。
【0020】
羽毛粉末は、クラッシャーやミルを用いた公知の乾式または湿式粉砕方法により、羽毛を処理することにより得ることができる。
例えば、ボールミルによる乾式粉砕では、羽毛とボールとをボールミルポットに入れ、回転ボールミル粉砕機によりボールミルポットを回転させることにより、羽毛が粉砕される。後記の実施例の製造例1(羽毛粉末の調製)では、この粉砕方法が採用されている。
【0021】
また、石臼式回転磨砕機による湿式粉砕では、羽毛と有機溶剤とを石臼式回転磨砕機に入れ、循環磨砕処理を数回繰り返すことにより、羽毛が粉砕される。
例えば、羽毛(約100g)を、イソプロピルアルコール(1L)と共に、石臼式回転磨砕機(増幸産業株式会社製、型式:マスコロイダーMKZA6−3)に入れ、回転数12,000rpm前後で石臼を通過させて磨砕処理し、これを数回(2〜3回程度)繰り返す。次いで、例えば、目開き500μmの金網ふるいを用いて得られた羽毛粉砕物のスラリーをふるい分け、乾燥させて羽毛粉末として回収する。
しかしながら、前記の羽毛の粉砕方法としては、ボールミルによる乾式粉砕が工業的であり好ましい。
【0022】
粉砕処理する羽毛は、予め公知の方法で洗浄するのが好ましい。例えば、洗濯用洗剤を溶解した水溶液を用いて羽毛を洗浄し、乾燥する。
粉砕処理後には、所定寸法の目開きを有する金網ふるいを用いて粉砕物をふるい分けるのが好ましい。
【0023】
本発明において用いられる塗工液は、羽毛以外に樹脂と樹脂を溶解し得る有機溶剤を含む。
塗工液に含まれる樹脂は、羽毛粉末および有機溶剤と混合して板状基材の表面に塗布でき、本発明の効果を発現し得るものであれば特に限定されず、塗布対象となる板状基材の材質などによって選択される。
塗工液に含まれる樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、日常的に風合や触感のよさを期待して多くの日用品に用いられることが他と比べても多い点でウレタン樹脂が特に好ましい。
【0024】
ウレタン樹脂は、イソシアネートとポリオールの組み合わせからなる。
イソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネートなどが挙げられる。
【0025】
ポリオールとしては、酸化エチレン、酸化ポリプロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体などのポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1、3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコールなどの飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール類又はn−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステルなどのモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの二塩基酸又はこれらに対応する酸無水物やダイマー酸などとを脱水縮合せしめて得られるポリエステルポリオール類;環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類;その他ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、ビスフェノールAに酸化プロピレンを付加して得られたグリコール類などの一般にポリウレタンの製造に用いられる各種公知の高分子ポリオールなどが挙げられる。
【0026】
樹脂として、市販の樹脂バインダー、例えば、包装フィルム用裏刷りインキとして市販されているウレタン樹脂バインダー(大日精化工業株式会社製、製品名:NT−ハイラミック)、皮革用素材や産業資材として市販されているウレタン樹脂バインダー(大日精化工業株式会社製、製品名:レザミンME−44ELP)なども用いることができる。
このような市販の樹脂バインダーは、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールなどの溶剤、場合によっては着色剤を含み得る。
【0027】
塗工液に含まれる有機溶剤は、上記の樹脂を溶解することができ、羽毛粉末および樹脂と混合して板状基材の表面に塗布でき、本発明の効果を発現し得るものであれば特に限定されず、塗布対象となる板状基材の材質などによって選択される。
そのような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤などが挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。これらの中でも、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールの等量混合溶剤が塗布後の基材表面に羽毛粉末を効果的に露出させる点で好ましい。
【0028】
本発明の塗工液は、樹脂および有機溶剤を好ましくは重量比5:95〜25:75、より好ましくは重量比10:90〜20:80で含む。
【0029】
本発明の塗工液は、上記の羽毛粉末、樹脂および有機溶剤を公知の方法により混合することにより得られる。例えば、樹脂バインダーおよび有機溶剤を混合したベースバインダー液に、所定量の羽毛粉末を添加混合することにより、塗工液が得られる。
得られた塗工液を、所定寸法の目開きを有する金網ふるいを用いてふるい分け、塗布に供するのが好ましい。
また、得られた塗工液は、上記の有機溶剤で適宜さらに希釈して塗布に供してもよい。
本発明の塗工液は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、例えば着色剤、防菌・防カビ剤などを含んでいてもよい。
【0030】
本発明において、上記の塗工液の塗布対象となる板状基材は、塗工液の塗布・乾燥により形成された被膜により、本発明の効果を発現し得るものであればよく、特に限定されない。
板状基材を構成する材料としては、天然および合成皮革、ゴム(例えば、天然ゴム、二トリルゴム)および合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂)などの有機材料、ガラスなどの無機材料、金属材料(例えば、アルミニウム、ステンレス、真鍮)などが挙げられる。
【0031】
上記の塗工液を板状基材に塗布する方法は、塗工液を板状基材の表面に均一に塗布し得る方法であればよく、特に限定されない。
例えば、ベーカーアプリケーター法、バーコーター法、キャスティング法、スピンコート法、ロール法、ブレード法などの塗布法、グラビア印刷などの印刷法などが挙げられる。
塗工液の塗布後、公知の方法により塗膜を乾燥させて、塗工液中の有機溶剤を除去する。
【0032】
得られる塗膜の膜厚は、塗工液の構成、板状基材の種類やその用途により適宜設定すればよく、通常5〜500μm程度、好ましくは20〜250μm程度である。
【0033】
また、本発明によれば、羽毛粉末、樹脂および有機溶剤を混合して羽毛粉末を5〜25重量%含む塗工液を調製し、得られた塗工液を板状基材の表面に塗布、乾燥して防滑層を形成することを特徴とする防滑性板状基材の製造方法が提供される。
【0034】
本発明の防滑性板状基材は、防滑性、特に湿潤時の防滑性が要求される製品に適用することができる。
そのような製品としては、例えば、履物(サンダル、ミュール、パンプスなど)の中敷、スポーツ用品(ゴルフのクラブ、テニスのラケットなど)のグリップ部、ソファー座面、野球などのグラブの内側、便座カバー、杖グリップ部、食器用などの各種トレイ、各種手摺、各種取っ手、ブラジャーなどの女性下着、水着、紙おむつの太股・腰部などが挙げられる。
【0035】
これらの中でも、実施例に示されるような履物の中敷の製造に好適に用いられる。
靴の中敷は、例えば、ウレタン樹脂からなる板状基材の少なくとも足裏が接触する表面に、上記のように防滑層を形成し、得られた板状基材を靴の足型に加工することにより得ることができる。
したがって、本発明によれば、本発明の防滑性板状基材で製造された靴の中敷が提供される。
また、本発明によれば、上記の塗工液を塗布、乾燥して、湿潤時に足裏と中敷との間の滑り易さを抑制する方法が提供される。
【実施例】
【0036】
本発明を製造例および試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの製造例および試験例により限定されるものではない。
【0037】
製造例1(羽毛粉末の調製)
洗濯用洗剤を溶解した水溶液を用いて洗浄・乾燥したガチョウ(グース)の羽毛の約50gを、粉砕用アルミナボール(直径10mmおよび20mmの等量混合、全容量1000mL)と共に、ボールミルポット(株式会社アサヒ理化製作所製、材質:アルミナ、外径150mm、容量1600mL)に入れ、回転ボールミル粉砕機(株式会社アサヒ理化製作所製、型式:AV−2)を用いて回転数500rpmで5時間、磨砕処理した。
次いで、目開き5mmの金網ふるいを用いてボールミルポットの内容物をふるい分け、ふるい上の粉砕用アルミナボールを取り除き、ふるい下の羽毛の粉砕物を回収した。さらに、目開き500μmの金網ふるいを用いて得られた羽毛の粉砕物をふるい分け、ふるい下の羽毛の粉砕物を羽毛粉末として回収した。
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、型式:LA−950型)を用いて、得られた羽毛粉末の平均粒子径を測定したところ、約20数μmであった。
【0038】
製造例2(表面改質加工剤Aの調製)
市販のウレタン樹脂バインダー(大日精化工業株式会社製、製品名:NT−ハイラミック)と、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールの等量混合溶剤とを、重量比2:1で混合して、ベースバインダー液を得た。
得られたベースバインダー液に対して、製造例1で得た羽毛粉末をそれぞれ10重量%、20重量%および30重量%になるように添加し、ほぼ均一に攪拌混合した後、目開き500μmの金網ふるいを用いてろ過し(ふるい分け)、羽毛粉末が均一分散した塗工液(表面改質加工剤A)を得た。
【0039】
製造例3(PETフィルムの表面改質加工)
多目的塗工試験機(株式会社ヒラノテクノシード製)を用いて、市販のPETフィルム(厚さ12μm×幅400mm×長さ1000m)の表面に、製造例2で得た表面改質加工剤Aをグラビアロール版(175線/インチ×深度27μm)を介してグラビア印刷(版深27μm程度)して、羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工PETフィルムを得た。
表面改質加工剤A中の羽毛粉末の濃度および塗布量から羽毛の付着量を算出したところ、羽毛粉末の濃度が10重量%、20重量%および30重量%である場合で、それぞれ0.27g/m2、0.54g/m2および0.81g/m2であった。
ブランクとして、製造例2で得た表面改質加工剤Aの代わりにベースバインダー液を用いてグラビア印刷(版深27μm程度)して、ウレタン樹脂加工PETフィルム(通常の滑り止め加工品)を得た。
【0040】
製造例4(表面改質加工剤Bの調製)
市販のウレタン樹脂バインダー(大日精化工業株式会社製、製品名:レザミンME−44ELP)と、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールの等量混合溶剤とを、重量比2:1で混合して、ベースバインダー液を得た。
得られたベースバインダー液に対して、製造例1で得た羽毛粉末を20重量%になるように添加し、ほぼ均一に攪拌混合した後、目開き500μmの金網ふるいを用いてろ過し(ふるい分け)、羽毛粉末が均一分散した塗工液(表面改質加工剤B)を得た。
【0041】
製造例5(合成皮革の表面改質加工)
多目的塗工試験機(株式会社ヒラノテクノシード製)を用いて、市販の合成皮革(厚さ1mm×幅400mm×長さ30m、株式会社フットテクノ製)の表面に、製造例4で得た表面改質加工剤Bをグラビアロール版(50線/インチ×深度200μm)を介してグラビア印刷(版深210μm程度)して、羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工合成皮革を得た。
表面改質加工剤B中の羽毛粉末の濃度および塗布量から羽毛の付着量を算出したところ、約2.5g/m2であった。
ブランクとして、製造例4で得た表面改質加工剤Bの代わりにベースバインダー液を用いてグラビア印刷(版深210μm程度)して、ウレタン樹脂加工合成皮革を得た。
【0042】
試験例1(PETフィルムの表面摩擦特性)
製造例3で得た羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工PETフィルムおよびブランクとしてのウレタン樹脂加工PETフィルムと、これもブランクとしてのウレタン樹脂加工をしていないPETフィルム(未加工PETフィルム)とについて、表面摩擦および表面粗さを測定し、表面摩耗特性を評価した。
表面試験機(カトーテック株式会社製、型式:KES−SE摩擦感テスター)の試料台に、試験用に切断加工した各PETフィルム(幅30mm×長さ60mm)を水平に載置し、その表面に摩擦子(直径0.5mm、接触長さ5mmのU字型のピアノ線)を固定し、かつ鉛直方向にPETフィルムに0.1Nの荷重を加えつつ、試料台を水平方向に速度1mm/秒で距離30mm移動させ、摩擦抵抗を示す平均摩擦係数(MIU、無次元)を測定した。同一試料につき5回測定し、それらの平均値をその試料の測定値とした。
なお、測定環境は、温度23±2℃で、相対湿度20%RH、40%RH、60%RH、80%RHおよび100%RHの平衡状態とした。
得られた結果を、図1に示す。
表中、羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工PETフィルムを羽毛の粉末配合量により「10%」、「20%」および「30%」、ウレタン樹脂加工PETフィルムを「polyurethane」、未加工PETフィルムを「PET」として示す。
【0043】
図1の結果から次のことがわかる。
・羽毛粉末を含むすべてのウレタン樹脂加工PETフィルムでは、相対湿度の上昇に伴って平均摩擦係数(MIU)が増加すること
・相対湿度100%の条件では、10重量%羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工PETフィルムの平均摩擦係数(MIU)が最も高いこと
・一方、ブランクとしてのウレタン樹脂加工PETフィルム(通常の滑り止め加工品)では、相対湿度の上昇に伴って平均摩擦係数(MIU)が低下すること
以上のことから、羽毛粉末で表面改質加工されたPETフィルムの表面は、湿潤時にノンスリップ性(防滑性)が発揮されることが裏付けられる。
【0044】
試験例2(PETフィルムの圧縮特性)
製造例3で得た羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工PETフィルムおよびブランクとしてのウレタン樹脂加工PETフィルムと、これもブランクとしてのウレタン樹脂加工をしていないPETフィルム(未加工PETフィルム)について、最大変形量および圧縮仕事量(圧縮エネルギー)を測定し、圧縮特性を評価した。
圧力試験機(カトーテック株式会社製、型式:KES−G5ハンディー圧縮試験機)の平坦な試料板(鋼製、140mm×150mm)に、試験用に切断加工した各PETフィルム(幅30mm×長さ60mm)を水平に載置し、その鉛直方向から加圧子(鋼製、断面積0.25cm2)で圧縮速度20μm/秒で最大圧力20kPaまでPETフィルムを圧縮し、このときの最大変形量(μm)および圧縮仕事量(kN/m2)を測定した。同一試料につき5回測定し、それらの平均値をその試料の測定値とした。
なお、測定環境は、試験例1と同様に、温度23±2℃で、相対湿度20%RH、40%RH、60%RH、80%RHおよび100%RHの平衡状態とした。
得られた結果を、図2および図3に示す。
表中、羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工PETフィルムを羽毛の粉末配合量により「10%」、「20%」および「30%」、ウレタン樹脂加工PETフィルムを「polyurethane」、未加工PETフィルムを「PET」として示す。
【0045】
図2の結果から、羽毛粉末を含むすべてのウレタン樹脂加工PETフィルムでは、相対湿度の上昇に伴って圧縮方向の最大変形量が増加することがわかる。
このことから、羽毛粉末で表面改質加工されたPETフィルムの表面は、湿潤時にノンスリップ性(防滑性)が発揮されることが裏付けられる。
【0046】
図3の結果から、羽毛粉末を含むすべてのウレタン樹脂加工PETフィルムでは、相対湿度の上昇に伴って圧縮仕事量が増加することがわかる。すなわち、羽毛粉末を含むすべてのウレタン樹脂加工PETフィルムは、ブランクとしてのウレタン樹脂加工PETフィルムおよび未加工PETフィルムに比べて、同じ荷重に達するまでに多くの圧縮エネルギーを必要とすることがわかる。また、この圧縮エネルギーの増加は、平均摩擦係数(MIU)の増加を裏付ける結果になっていることがわかる。
【0047】
試験例3(履物中敷の湿潤時における滑り止め効果の確認試験)
(中敷の加工と性状)
製造例5で得た羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工合成皮革、市販のノンスリップ加工合成皮革(株式会社フットテクノ製、ポリウレタンによる表面改質加工品)およびブランクとして表面改質加工をしていない合成皮革(株式会社フットテクノ製、未加工合成皮革)を履物中敷に加工し、得られた履物中敷を備えた履物を用いて被験者10名による歩行試験を行い、湿潤時における滑り止め効果を評価した。
なお、ノンスリップ加工合成皮革は、市販品の中で販売実績があり、かつ最もノンスリップ性を発揮するとされているものを用いた。
以下の説明において、羽毛粉末配合ウレタン樹脂加工合成皮革、市販のノンスリップ加工合成皮革および未加工合成皮革をそれぞれ本発明品、ノンスリップ加工品および未加工品という。
まず、上記の合成皮革を履物(直径10mmのピンヒールを有する高さ90mmのミュール、図4(a)および(b)参照)の足裏接触部位に合わせて切断加工し、履物の足裏接触部位に接着した。
なお、被験者10名の足に合うように、MおよびLサイズの履物を用意した。
【0048】
各合成皮革の外観を観察し、それらの表面の触感を調べた。
本発明品は、少し黄色がかった全く光沢のないマット調の素材で、カサカサした触感であった。
ノンスリップ加工品は、白く光沢のある素材で、ツルツルしているように見えるが、触るとベタツキ感があり、指で触れても簡単に滑らなかった。
未加工品は、ポリウレタン製の素材で、滑らかな触感であった。
【0049】
(歩行試験)
丸山仁司編,理学療法科学学会監修「ザ・シリーズ ザ・歩行」,第1版,有限会社アイペック,平成15年4月10日、p.89−93に記載の「歩行の評価」に基づいて、歩行試験を行なった。
歩行試験ではビデオ撮影した被験者の歩行動作を画像解析するために、被験者は伸縮性のあるセパレートのレオタード(ポリエステル80%、ポリウレタン20%)を下着の上に着用した。
また、水分が蒸発し難い夏の着用を想定した環境を作るために、被験者は素足に履物を履き、足底を除き全体にビニール袋を被せ、足首にゴムを取り付けた(図4(c)参照)。
温度27.5〜28.0℃、相対湿度50%RHに設定した人工気候室で歩行試験を行った。
【0050】
上記の条件下で、時速2.5kmに設定したトレッドミル上を、第1の履物を履いた被験者が自然歩行し、その動作を被験者の側面から固定したビデオカメラで録画した。被験者の歩行開始と同時に録画と計時をスタートさせた。
被験者の歩行が安定する歩行開始から5分後からさらに1分間録画した被験者の歩行動作の動画を画像解析に供した。
次いで、録画と計時を継続しつつ、被験者が歩行動作を止め、第2の履物に履き替えて自然歩行し、被験者の歩行が安定する歩行開始から3分後からさらに1分間録画した被験者の歩行動作の動画を画像解析に供した。
次いで、録画と計時を継続しつつ、被験者が歩行動作を止め、第3の履物に履き替えて自然歩行し、被験者の歩行が安定する歩行開始から3分後からさらに1分間録画した被験者の歩行動作の動画を画像解析に供した。
以上の歩行試験を被験者10名について行なった。
【0051】
(歩行解析)
被験者の歩行動作において一方の足のかかとが地面に接地してから次にその足のかかとが地面に接地するまでの1歩行周期分、すなわち図5における左足接地から次の左足接地までの1歩行周期分の動画をコンピュータに取り込み、動作解析ソフト(株式会社アクティ製、製品名:Actim-2Dd-s)を用いて、測定ポイントのデジタイズ処理を行った。得られたデータからスティックピクチャを作成し、各被験者について図6に示す足関節角度および膝関節角度のそれぞれの平均値および最大値を求め、被験者10名の平均値を求めた。
足関節角度の平均値および最大値を図7(a)および(b)に、膝関節角度の平均値および最大値図8(a)および(b)に示す。
【0052】
図7の結果から、本発明品の足関節角度が最も大きく、歩行において足を蹴り出す際に本発明品の履物が滑り難い状態であること、すなわち湿潤時に防滑性を有することわかる。
また、図8の結果から、ノンスリップ加工品および未加工品の膝関節角度が本発明品に比べて大きく、足を比較的伸ばした姿勢であり、これらの履物が滑り易く、被験者の姿勢が不安定な状態であることがわかる。これらに対して、本発明品の履物が滑り難い状態であること、すなわち湿潤時に防滑性を有することわかる。
【0053】
(筋電位測定)
大西範和、外5名,「筋電図解析による流行靴ミュールを着用した歩行時の生体負担度の評価」,人間工学,日本人間工学会,2005年,第41巻,第2号,p.51−56に記載の方法に基づいて、歩行時の筋電位を測定し、履物の滑り難さを判定した。
ポリグラフシステム(日本光電工業株式会社製、型式:DC−101H)を用いて、歩行時の筋電位(筋放電量)を測定した。
まず、予備実験により、条件の違いや歩行によって、筋電位に違いが生じると思われる測定筋群をあらかじめピックアップした。その結果、図9(a)および(b)に示す体幹1ヶ所(広背筋)と下肢5ヶ所(大腿直筋、前脛骨筋、腓腹筋、縫工筋、拇趾外転筋)の合計6ヶ所を測定筋群とした。
皮膚表面双極誘導法を適用し、被験者の左半身における測定筋の皮膚表面に2個の電極を筋肉の走方向に沿って約3cmの間隔をあけて貼付した(図10参照)。広背筋、大腿直筋、前脛骨筋、腓腹筋にはディスポ電極を、縫工筋、拇指外転筋には歩行の妨げにならないように小型生体電極を使用した。電極ペーストを付けた小型生体電極をサージカルテープで被験者の皮膚に固定した。さらに、ディスポ電極を右肩峰点に貼付して人体アースとした。
その他の条件は、歩行試験と同様とした。
【0054】
歩行試験と同様にして、時速2.5kmに設定したランニングマシン上を、第1の履物を履いた被験者が自然歩行し、その時の筋電位を測定した。被験者の歩行開始と同時に筋電位の測定と計時をスタートさせた。
被験者の歩行が安定する歩行開始から5分後からさらに1分間筋電位を測定し、得られた筋電図の積分波形から1分間の筋放電量を算出した。
次いで、被験者が歩行動作を止め、第2の履物に履き替えて自然歩行し、被験者の歩行が安定する歩行開始から3分後からさらに1分間筋電位を測定し、得られた筋電図の積分波形から1分間の筋放電量を算出した。
次いで、被験者が歩行動作を止め、第3の履物に履き替えて自然歩行し、被験者の歩行が安定する歩行開始から3分後からさらに1分間筋電位を測定し、得られた筋電図の積分波形から1分間の筋放電量(μV-s)を算出した。
以上の歩行試験を被験者10名について行なった。
得られた結果を図11(a)〜(f)に示す。
【0055】
縫工筋の筋放電量を示す図11(a)の結果から、滑りやすい状況における足の吊り上げと下ろしを繰り返す歩行において、未加工品、ノンスリップ加工品、本発明品の順で縫工筋を使っていないことがわかる。このことから、本発明品が滑り止め効果に最も優れていることがわかる。
前脛骨筋の筋放電量を示す図11(b)の結果から、本発明品が未加工品、ノンスリップ加工品と比べて、足首の関節を反らしたり曲げたりする前脛骨筋をよく使い、足首のスナップを利かせた歩行をしていることがわかる。このことから、本発明品が滑り止め効果に最も優れていることがわかる。
【0056】
腓腹筋の筋放電量を示す図11(c)の結果から、本発明品が未加工品、ノンスリップ加工品と比べて、かかとを離地させて前進するためにつま先部で接地面を蹴るときに働く腓腹筋をよく使い、勢いよく蹴り出す歩行していることがわかる。このことから、本発明品が滑り止め効果に最も優れていることがわかる。
拇指外転筋の筋放電量を示す図11(d)の結果から、足裏の拇指外転筋を使って転ばないように踏ん張る力が働くような滑り易い状況では、未加工品、ノンスリップ加工品、本発明品の順で拇指外転筋を使っていないことがわかる。このことから、本発明品が滑り止め効果に最も優れていることがわかる。
なお、拇指外転筋については、被験者4名について異常発汗のため信頼性のある計測が不可能であったため、被験者6名のデータを示した。
また、広背筋および大腿直筋については、本発明品、未加工品およびノンスリップ加工品において有意差がみられなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽毛粉末を5〜30重量%含む塗工液を板状基材の表面に塗布、乾燥することにより形成される防滑層を有することを特徴とする防滑性板状基材。
【請求項2】
前記羽毛粉末が、機械粉砕されたガチョウの羽毛粉末である請求項1に記載の防滑性板状基材。
【請求項3】
前記羽毛粉末が、3〜100μmの平均粒子径を有する請求項1または2に記載の防滑性板状基材。
【請求項4】
前記塗工液が、羽毛粉末を10〜25重量%含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の防滑性板状基材。
【請求項5】
前記塗工液が、樹脂および前記樹脂を溶解し得る有機溶剤を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の防滑性板状基材。
【請求項6】
前記樹脂が、ウレタン樹脂である請求項5に記載の防滑性板状基材。
【請求項7】
前記有機溶剤が、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールの等量混合溶剤である請求項5または6に記載の防滑性板状基材。
【請求項8】
前記塗工液が、前記樹脂および前記有機溶剤を重量比5:95〜25:75で含む請求項5〜7のいずれか1つに記載の防滑性板状基材。
【請求項9】
羽毛粉末、樹脂および有機溶剤を混合して羽毛粉末を5〜30重量%含む塗工液を調製し、得られた塗工液を板状基材の表面に塗布、乾燥して防滑層を形成することを特徴とする防滑性板状基材の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の防滑性板状基材で製造された靴の中敷。
【請求項11】
靴の中敷に請求項1〜8のいずれか1つに記載の塗工液を塗布、乾燥して、湿潤時に足裏と中敷との間の滑り易さを抑制する方法。

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−285502(P2010−285502A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139201(P2009−139201)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000154727)株式会社片山化学工業研究所 (82)
【Fターム(参考)】