説明

除菌ロッカー

【課題】 二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物により常温、常圧での二酸化塩素のガス化促進を図り、且つガス成分の活性化を図ることにより除菌・消臭効果を高め、よってロッカー等の内部を常に衛生的に保持できるようにする。
【解決手段】 表面が開閉できるロッカー本体1内上部に、二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物の殺菌・防臭剤11を収容する除菌・消臭ガス発生容器10を設置し、除菌・消臭ガス発生容器10の上部に紫外線ランプ12を対向配置したロッカーを構成する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、ロッカーの内部を容易に除菌・消臭して衛生面の向上が図れるようにした除菌ロッカーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ロッカーや収納ボックス等において作業着や衣服及び作業靴等を除菌する場合には、紫外線ランプをロッカー等の内側上部又は上下部に設置し、紫外線ランプによる紫外線を衣服等に直接照射することにより除菌している。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、これは紫外線の特定波長による殺菌効果を利用したものであって紫外線そのものを直接照射することにより除菌する方式であり、このように紫外線そのものにより除菌する方式では、紫外線が直接当たる照射表面での効果は期待できても、紫外線が照射されない裏面までは除菌ができないという問題がある。しかも、汗が染み込んだり濡れたりして水分を含んだ作業着や作業靴等では、密閉されたロッカー内では黴が生え易いという問題があるが、紫外線はこの黴に対して効果が極めて弱いという欠点がある。
【0004】
又、従来の消臭剤の一部には、ガス化することにより消臭・嬌臭効果を持たせたものが知られている。しかし、このような消臭剤は紫外線ランプと組合せてもガス成分を活性化させる機能はなく、よって上記消臭剤と紫外線ランプとを組み合わせた構成のロッカー等も提案されていない。
【0005】
更に、オゾンガスによる殺菌・除菌用ロッカーは知られている。しかしこの方式においても、紫外線ランプや空気の流動によってオゾン発生を促進したりガス成分を活性化するようなことは行われていない。一方、紫外線ランプを大きくすると空気中の酸素の一部がオゾン化するが、オゾン発生器を使用して尚且つ紫外線ランプでのオゾン化はほとんど意味がない。
【0006】
本考案は、二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物により常温、常圧での二酸化塩素のガス化促進を図り、且つガス成分の活性化を図ることにより除菌・消臭効果を高め、よってロッカー内部を常に衛生的に保持できるようにした除菌ロッカーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案は以上の目的を達成するためになしたもので、請求項1記載の考案は、表面が開閉できるロッカー本体内上部に、二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物の殺菌・防臭剤を収容する除菌・消臭ガス発生容器を設置し、該除菌・消臭ガス発生容器の上部に紫外線ランプを対向配置したことを特徴とする除菌ロッカー、に係るものである。
【0008】
請求項2記載の考案は、前記除菌・消臭ガス発生容器と紫外線ランプとの間に気流を形成するためのガス化促進ファンを設置したことを特徴とする請求項1記載の除菌ロッカー、に係るものである。
【0009】
請求項3記載の考案は、前記ロッカー本体の下部位置に開閉可能な排気口を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の除菌ロッカー、に係るものである。
【0010】
上記手段によれば、以下のように作用する。
【0011】
請求項1記載の考案では、ロッカー本体内上部に、内部に二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物の殺菌・防臭剤を収容した除菌・消臭ガス発生容器を設置し、該除菌・消臭ガス発生容器の上部に対向するように紫外線ランプを設置したので、紫外線ランプにより除菌・消臭ガス発生容器に収容した殺菌・防臭剤のガス化を促進させてロッカー本体内の二酸化塩素ガスの濃度を高めることができ、よって二酸化塩素ガスが微生物に汚染された作業着等の衣服及び作業靴等の対象物の表面、裏面等にまんべんなく行き渡って効果的な除菌・消臭を行うことができる。
【0012】
更に、紫外線ランプによってガス化した成分中の酸素が活性化されることにより、汗や汚染によって作業着等の衣服及び作業靴に付着した微生物の細胞壁と酸化反応し変質させて増殖を抑制し、結果として微生物を除菌することができる。
【0013】
請求項2記載の考案では、除菌・消臭ガス発生容器と紫外線ランプとの間に気流を形成するようにしたガス化促進ファンを備えているので、殺菌・防臭剤のガス化を更に促進することができ、よってロッカー本体内の二酸化塩素ガスの濃度を容易に高めて、作業着等の衣服及び作業靴等の除菌・消臭効果を更に高めることができる。
【0014】
請求項3記載の考案では、ロッカーの背面下部に開閉自在な排気口を備えたので、ロッカー本体内で除菌・消臭した作業着や衣服等を扉を開けてロッカー本体内から取り出す前に、排気口を開けロッカー本体内の二酸化塩素ガスを排気口から排出することができる。
【0015】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図3は従来から用いられており本考案が適用されるロッカーの一例を示す斜視図であり、図3中、1は箱形を有するロッカー本体、2はロッカー本体1の表面(前面)を開閉する扉であり、該扉2には、開閉取手3、鍵穴4が設けられている。
【0017】
図1は本考案の除菌ロッカーの形態例を表わすもので図3のロッカー本体1の扉2を開放して内部を示した正面図であり、図1中、5は上部に左右に亘って設けられたハンガー等を吊るすための丸棒、6は丸棒5の上部においてロッカー本体1の天井板7の下面と所要の間隔を有して設けられたプラスチック製あるいはステンレス製等の網状又は棒材を隙間を持たせて配列した通気性を有する上部棚、8は下部の靴棚9の上部に、前記上部棚6と同様の構成を有して設けられた下部棚である。
【0018】
上記図1の構成において、上部棚6上に除菌・消臭ガス発生容器10を設置する。除菌・消臭ガス発生容器10の内部には、二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物の殺菌・防臭剤11を収容するようにしている。
【0019】
除菌・消臭ガス発生容器10の数センチメートルないし10数センチメートル上部には、二酸化塩素溶液又は二酸化塩素が溶存したゲル状固形物の殺菌・防臭剤11のガス化を促進させ、ガス成分を活性化させるための紫外線ランプ12を、前記除菌・消臭ガス発生容器10に対向するように天井板7の下面に取り付ける。この時、紫外線ランプ12はタイマー等の制御器13を備えて電源線14に接続されており、制御器13にて設定した任意の時間間隔ごとに通電を行って紫外線ランプ12を点灯できるようにしている。
【0020】
前記下部棚8の下側位置におけるロッカー本体1の背面には、開閉が可能な排気口15を形成している。
【0021】
図1の構成によれば、次のように作用する。
【0022】
図1に示すようにロッカー本体1内上部に設けられる上部棚6上に、内部に二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物の殺菌・防臭剤11が収容されるようにした除菌・消臭ガス発生容器10を設置し、該除菌・消臭ガス発生容器10の上部に対向するように紫外線ランプ12を設置したので、紫外線ランプ12を点灯すると、紫外線により除菌・消臭ガス発生容器10に収容された殺菌・防臭剤11はガス化が促進され、これによってロッカー本体1内の二酸化塩素ガスの濃度が高められ、更に紫外線ランプ12によりガス成分が活性化される。この時、気化した二酸化塩素ガスは空気より重いために下方に向かって流動するが、除菌・消臭ガス発生容器10をロッカー本体1内の上部に設けるようにしているので、気化した二酸化塩素ガスはロッカー本体1内に略均一に充満されるようになる。
【0023】
このようにロッカー本体1内に所定の濃度で充満した二酸化塩素ガスは、微生物に汚染された作業着等の衣服A及び作業靴B等の対象物を洗浄等で濡らすことなく除菌・消臭対象物の表面、裏面等にまんべんなく行き渡って効果的な除菌・消臭を行うことができる。
【0024】
更に、ガス化した成分中の酸素が紫外線ランプ12の紫外線によって活性化されることにより、汗や汚染によって作業着等の衣服A及び作業靴Bに付着した微生物の細胞壁と酸化反応し、変質させることによって微生物の増殖を制御し、結果として微生物を除菌することができる。又、この時、有機物と反応して、次亜塩素酸ナトリウムの塩素剤にみられる人体に有害なトリハロメタンを発生することがなく、しかも異臭物質を変化固定化して消臭する効果があるので、消臭効果が発揮できて実用上大変有益なものとなる。
【0025】
尚、前記紫外線ランプ12をタイマー等の制御器13にて点灯する時間間隔を制御することによって、ロッカー本体1内に充満させる二酸化塩素ガスの濃度を任意に調整することができる。
【0026】
又、上記本考案においてより安全性を高めるために、ロッカー本体1内に収容して除菌・消臭した作業着等の衣服A及び作業靴B等を、扉2を開けてロッカー本体1内から取り出す前に、ロッカー本体1の背面下部に設けた開閉自在な排気口15を開けてロッカー本体1内の二酸化塩素ガスを排気口15から排出することができる。
【0027】
図2は本考案の除菌ロッカーの他の形態例を表わすもので、ロッカー本体1の内部に、前記除菌・消臭ガス発生容器10と紫外線ランプ12との間に気流を形成するようにしたガス化促進ファン16を設置している。このガス化促進ファン16は、除菌・消臭ガス発生容器10と紫外線ランプ12との間に気流を形成することによって殺菌・防臭剤11のガス化を更に促進させることができる。この時、ガス化促進ファン16はロッカー本体1内の気体を循環させるようにしてもよく、又、ガス化促進ファン16を取り付けた位置のロッカー本体1に開口17を形成してロッカー本体1外部の空気を吸引して循環させるようにしてもよい。
図2の構成では、前記紫外線ランプ12及びガス化促進ファン16の駆動を制御するようにしたタイマー等の制御器13を備えている。
【0028】
上記したように、除菌・消臭ガス発生容器10と紫外線ランプ12との間に気流を形成するようにしたガス化促進ファン16を設置すると、殺菌・防臭剤11のガス化が更に促進でき、よってロッカー本体1内の二酸化塩素ガスの濃度を容易に高めて、作業着等の衣服A及び作業靴B等の除菌・消臭を更に効果的に行うことができる。
【0029】
尚、本考案は上記形態例にのみ限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0030】
【考案の効果】
本考案によれば、以下のような優れた効果を奏し得る。
【0031】
請求項1記載の考案によれば、表面が開閉できるロッカー本体内上部に、二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物の殺菌・防臭剤を収容する除菌・消臭ガス発生容器を設置し、該除菌・消臭ガス発生容器の上部に紫外線ランプを対向配置したので、紫外線ランプにより除菌・消臭ガス発生容器に収容された殺菌・防臭剤のガス化を促進してロッカー本体内の二酸化塩素ガスの濃度を高めることができ、よって二酸化塩素ガスが微生物に汚染された作業着等の衣服及び作業靴等の対象物の表面、裏面等にまんべんなく行き渡って効果的な除菌・消臭を行得る効果がある。
【0032】
更に、紫外線ランプによってガス化した成分中の酸素が活性化されることにより、汗や汚染によって作業着等の衣服及び作業靴に付着した微生物の細胞壁に酸化反応し変質させて増殖を抑制し、結果として微生物を除菌できる効果がある。
【0033】
請求項2記載の考案によれば、除菌・消臭ガス発生容器と紫外線ランプとの間に気流を形成するようにしたガス化促進ファンを備えているので、殺菌・防臭剤のガス化を更に促進することができ、よってロッカー本体内の二酸化塩素ガスの濃度を容易に高めて、作業着等の衣服及び作業靴等の除菌・消臭効果を更に高められる効果がある。
【0034】
請求項3記載の考案によれば、ロッカーの背面下部に開閉自在な排気口を備えたので、ロッカー本体内で除菌・消臭した作業着や衣服等を扉を開けてロッカー本体内から取り出す前に、排気口を開けてロッカー本体内の二酸化塩素ガスを排気口から排出することにより安全性が高められる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の除菌ロッカーの形態例を表わすもので、扉を開いた状態を示す正面図である。
【図2】本考案の除菌ロッカーの他の形態例を表わす正面図である。
【図3】本考案を適用するロッカーの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ロッカー本体
2 扉
10 除菌・消臭ガス発生容器
11 殺菌・防臭剤
12 紫外線ランプ
15 排気口
16 ガス化促進ファン

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 表面が開閉できるロッカー本体内上部に、二酸化塩素溶液又は二酸化塩素を溶存させたゲル状固形物の殺菌・防臭剤を収容する除菌・消臭ガス発生容器を設置し、該除菌・消臭ガス発生容器の上部に紫外線ランプを対向配置したことを特徴とする除菌ロッカー。
【請求項2】 前記除菌・消臭ガス発生容器と紫外線ランプとの間に気流を形成するためのガス化促進ファンを設置したことを特徴とする請求項1記載の除菌ロッカー。
【請求項3】 前記ロッカー本体の下部位置に開閉可能な排気口を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の除菌ロッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】実用新案登録第3091374号(U3091374)
【登録日】平成14年10月30日(2002.10.30)
【発行日】平成15年1月24日(2003.1.24)
【考案の名称】除菌ロッカー
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−4281(U2002−4281)
【出願日】平成14年7月11日(2002.7.11)
【出願人】(502251120)株式会社ノックスラボラトリーズ (3)