説明

陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体の製造方法

【目的】 キトサン超微小粒状体を構成するキトサン分子内に、少なくとも2個の第四級アンモニウム塩基型の窒素と、少なくとも2個の反応性基を持つ化合物を、架橋結合させることにより優れた陰イオン交換能を具備した不溶性の陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体の製造方法を提供する。
【構成】 低分子量キトサンを酸性水溶液中に溶解して得た溶解液を塩基性溶液中で凝固再生し、生成した多孔質粒状キトサンに、一般式
【化1】


で表される分子中に少なくとも2個の第四級アンモニウム塩型の窒素と、少なくとも2個の反応性基を有する化合物を反応させた後,清浄後粉砕分散せしめ、該分散液を高温雰囲気中に加圧空気と共に吐出乾燥する。更に、多孔質粒状キトサンの嵩密度が35〜65g/lとする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体の製造方法に関し、本発明による陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体は、クロマトグラフィー用充填剤,生理活性物質固定化担体,重金属吸着用担体,化粧用素材,繊維改質材び農薬用助材等多くの用途に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、酵素・細胞利用工業に於いて触媒的作用を利用した反応工程の連続自動化が進展している。かかる工程においては、使用される陰イオン交換能を有する担体が完全に効率良く作用されることが重要であり、化粧用素材,繊維改質材等に利用されるためには用いる担体を微小化することにより表面積を大きくすることが有効な方法である。しかし未だこれを満たす充分はものは得られていないのが実状である。
【0003】キチン・キトサンを担体として陰イオン交換体を製造する方法として、本発明者等は先に特公平5−11492号公報に陰イオン交換能を有するキトサン成形物の製造方法を提案している。この方法は低分子量キトサンを用いたキトサン成形物に、一般式
【化2】


で表わされる、分子中に少なくとも2個の第四級アンモニウム塩型の窒素と少なくとも2個の反応性基を有する化合物を反応させるキトサン系陰イオン交換体の製造方法である。
【0004】当該発明は、キトサン成形物を構成するキトサン分子内に複数の第四級アンモニウム塩基を架橋結合させることにより、イオン交換能を著しく向上させるとともに、水,酸及びアルカリに不溶とし、広範囲のイオン交換域で使用可能としたものである。しかしながら当該発明の陰イオン交換能を有するキトサン粒状体は、低分子量キトサンを酸性水溶液中に溶解して得た溶解液を塩基性溶液中に滴下し凝固再生したもので、微小化は困難で、粒子径が1m/mφの多孔質粒状体であって超微小粒状体ではない。
【0005】一方、本発明者等は、超微小粒球状キトサンの製造方法を、先に特公平4−55610号公報で提案している。該発明は、低分子量キトサンを酸性溶液中に溶解して得た溶解液を塩基性溶液中で凝固再生し、生成した凝固物を洗浄後粉砕分散せしめ、該分散液を高温雰囲気中に加圧空気と共に吐出乾燥する超微小粒球状キトサンの製造方法である。
【0006】したがって、この方法で得られる超微小球状キトサンは、キトサン分子内にある第1級アミノ基により陰イオン交換能を有しているが、これは極めて交換容量の小さい物であり又、単にキトサンを超微小球状体に成形したものであるので、水に膨潤すると共に酸に溶解する欠点を有する。更に、該超微小球状キトサンに第四級アンモニウム塩基を導入することは、粒子径が非常に小さいため導入やその後の洗浄等の操作が煩雑で困難である欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、キトサン超微小粒状体を構成するキトサン分子内に、少なくとも2個の第四級アンモニウム塩型の窒素と、少なくとも2個の反応性基を持つ化合物を、架橋結合させることにより優れた陰イオン交換能を具備した不溶性の陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、低分子量キトサンを酸性水溶液中に溶解して得た溶解液を塩基性溶液中で凝固再生し、生成した多孔性凝固物に、一般式
【化3】


で表される分子中に少なくとも2個の第四級アンモニウム塩型の窒素と、少なくとも2個の反応性基を有する化合物を反応させた後、洗浄後粉砕分散せしめ、該分散液を高温雰囲気中に加圧空気と共に吐出乾燥させて陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体を得るものである。本発明において、キトサン超微小粒状体とは、粒子径が20μm以下の粒状体をいう。
【0009】本発明におけるキトサン多孔性凝固物の製造には、脱アセチル化度80%以上、平均分子量10000〜80000の低分子量キトサンが用いられる。該低分子量キトサンは酢酸,ジクロル酢酸,蟻酸の単独または混合物の水溶液に溶解し、キトサン酸性溶液として、その濃度は取扱いの容易な範囲即ち4〜7%の範囲で自由に選択できる。該キトサン酸性溶液からキトサンを再生して凝固物を得るには、該酸性溶液を例えば0.1〜0.25m/mφ孔径のノズルより圧力下で塩基性凝固浴中に一定量づつ落下させ多孔質粒状キトサンが得られる。そして、多孔質粒状キトサン以外の棒状,繊維状,板状,フィルム状等のいかなる形状のものでも使用することができるが、水洗等取扱いやすさの点で特に多孔質粒状体が好ましい。該多孔質粒状キトサンは、充分に水洗を行う。凝固浴の塩基性物質としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,アンモニア,エチレンジアミン等のアルカリ性物質が用いられ、塩基性溶液には水又はメタノール,エタノール等の極性を有するアルコール類又は水とアルコールとの混合物に前記塩基性物質を加えて使用してもよい。
【0010】上記のようにして得られた多孔質粒状キトサンは、上述の一般式で示される分子中に少なくとも2個の第四級アンモニウム塩型の窒素と、少なくとも2個の反応性基を有する化合物と反応させる。多孔質粒状キトサンの内部まで、第四級アンモニウム塩基導入剤を充分拡散させ均一にキトサン分子と反応させるためには、多孔質状キトサンの粒子径は1m/mφ前後が好ましい。又、湿潤状態で多孔質粒状キトサンをメスシリンダー100mlで正確に量り取り、これを絶乾した時の重量を測定し、この絶乾重量(g)を湿潤状態の液量(1)で除した値を嵩密度と定義すれば、このときの嵩密度は反応及び水洗工程等で行う攪拌により形状が壊れない強度を考慮して35g以上が好ましく、又、多孔質粒状キトサンの内部まで第四級アンモニウム塩基導入剤を充分拡散させ均一にキトサン分子と反応させるためには、65g/l以下が好ましい。
【0011】上述の一般式で示されるアルキルビス−(2,3−エポキシプロピルジアルキルアンモニウムハライド)としては、特にクロライドが好ましく、例えばヘキサメチレンビス−(2,3−エポキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド),ヘキサメチレンビス−(2,3−エポキシプロピルジエチルアンモニウムクロライド),プロピレンビス−(2,3−エポキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド),プロピレンビス−(2,3−エポキシプロピルジエチルアンモニウムクロライド)等が挙げられる。
【0012】第四級アンモニウム塩基導入剤としては、アルキレンビス−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジアルキルアンモニウムハライド)があり、これもクロライドが好ましく、例えば、ヘキサメチレンビス−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド),ヘキサメチレンビス−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジエチルアンモニウムクロライド),プロピレンビス−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド),プロピレンビス−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジエチルアンモニウムクロライド)等が挙げられる。しかし、これらを直接多孔質粒状キトサンに反応させることは難しく、予め当量以上の水酸化ナトリウム或いは水酸化カリウムで上述の一般式で示される化合物にして反応させることが好ましい。
【0013】前述の多孔質粒状キトサンと上述の一般式で示される化合物との反応は、粒状体内部まで化合物を充分拡散させ均一に反応させるために、水溶液中で20〜100℃、好ましくは25〜90℃で、12〜24時間緩やかに攪拌しながら行わせる。又、該一般式で示される化合物が水に対して溶解性が小さい時には、アルコールを添加することも可能である。アルコールとしては、メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロピルアルコール等が使用される。
【0014】該一般式で示される化合物の使用量は、導入すべき陰イオン交換能に応じて適宜選択することができる。次いで、該第四級アンモニウム塩基を導入した多孔質粒状キトサンは、充分水洗し未反応化合物を除去した後、水中で粉砕分散せしめて乳状の分散液とする。粉砕にはホモジナイザー等一般に使用されている粉砕機を使用することが出来る。粉砕後の分散液は、ノズル周辺から吐出される加圧空気と共に高温雰囲気中に吐出乾燥される。高温雰囲気の温度は、四級化キトサン超微小粒状体が乾燥されるに充分な温度で150〜200℃の範囲で自由に選択できる。
【0015】吐出は、分散液の分散性を保持しながら行うことが必要で、例えば、ハイミキサーで分散を行いながら吐出する。吐出された四級化キトサン分散液は、分散媒である水の表面張力等に依って高温雰囲気中で乾燥される際に、超微小な粒状体に成形される。得られる粒状体の粒子径は、高温雰囲気中に吐出される際の吐出量と加えた空気圧力とを適宜調節することによって任意に選択することが出来るが、粒子径を20μm以下にするには、水中で粉砕せしめる際に、ホモジナイザー等粉砕機で粒子径を予め50μm以下にしておくことが好ましい。
【0016】
【実施例】次に本発明の方法を実施例を挙げて説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。尚、陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体の交換容量及び膨潤度は下記のように求めた。
【0017】1)陰イオン交換能試料5gを正確に秤量し遠沈管にとり、1N−NaOH 50mlを加えて緩やかに攪拌しながら、1時間処理し、脱イオン水で中性になるまで3000rpm、10分間の遠心操作を繰り返し充分洗浄し、空気中の炭酸ガスを吸収させない様に注意しながら脱水し、迅速にN/5−HC1 250ml中に投入し、緩やかに攪拌しながら5時間放置する。この上澄み液20mlを遠沈管に取り、3000rpmで10分間の遠心操作を行い試料を完全に沈澱させた後、上澄み液を試験液とする。これを10ml採取し、フェノールフタレイン溶液を指示薬として、N/10−NaOHで中和滴定し、次式より求めた。
【0018】
【数1】


【0019】2)膨潤度次式より求めた。
【0020】
【数2】


【0021】(実施例1)脱アセチル化度95%,平均分子量80000のキトサン100gを酢酸50gを含む水1900gに加えて溶解し、キトサン酸性溶液を得た。この溶液の20℃における粘度は、回転粘度計で測定したところ3200cpsであった。このキトサン酸性溶液を6%の苛性ソーダ水溶液中に0.25m/mφの孔径のノズルから落下せしめて粒状にキトサンを凝固再生させた。次いで中性に成るまで充分水で洗浄して、平均粒径約1m/mφの多孔質粒状キトサン2リットルを得た。得られた多孔質粒状キトサンをメスシリンダーで100ml(湿潤状態)正確に量り取り、アスピレーターで予め水を除いた後、真空乾燥器で絶乾にして、重量を測定したところ4.8gであった。即ち、この多孔質粒状キトサンの嵩密度は48g/lであった。
【0022】この多孔質粒状キトサン1000ml(湿潤状態)に、水500mlと四級アンモニウム塩基導入剤であるヘキサメチレンビス−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド)の40%水溶液200gに水酸化ナトリウム14.8gを加えて充分撹拌混合した水溶液を加え、60℃で14時間緩やかに撹拌させながら反応させた。反応終了後充分水洗し四級アンモニウム塩基導入多孔質粒状キトサンを得た。
【0023】該四級化多孔質粒状キトサンを、水中でホモジナイザー(日本精機(株)製,AH−3型)を用いて15000rpmの回転数で8分間粉砕して分散させ、乳状の分散液とし、120メッシュのフルイで粗大片を濾別した後、濾液を4.0kg/cm 2の加圧空気とともに毎分17.0mlの液量で180〜190℃の高温雰囲気中に吐出して乾燥し、四級化キトサン超微小粒状体をサイクロンコレクターに68g補集した。この四級化キトサン超微小粒状体の粒子径を走査型電子顕微鏡で測定したところ、平均粒子径4μm,粒子径分布1〜18μmであった。
【0024】又、陰イオン交換能は8.2meq/gであった。次にこの四級化キトサン超微小粒状体の室温で72時間放置後の水,酸,アルカリ及び溶媒に対する膨潤度を測定した結果、水に対して1.00,1N−HC1に対して1.083,1N−NaOHに対して1.00,メチルアルコールに対して1.00,アセトニトリルに対して1.04及び1,4−ジオキサンに対して1.015の膨潤度で水,酸,アルカリ及び溶媒に対し不溶性であることが確認された。
【0025】(実施例2)脱アセチル化度80%,平均分子量32000のキトサン140gを3.5%の酢酸水溶液1860gに溶解した。この溶液の20℃における粘度は、回転粘度計で測定したところ4600cpsであった。このキトサン酸性溶液を6%の苛性ソーダ水溶液中に0.25m/mφの孔径のノズルから落下せしめて粒状にキトサンを凝固再生させた。次いで中性に成るまで充分水で洗浄して、平均粒径約1.2m/mφの多孔質粒状キトサン2リットルを得た。得られた多孔質粒状キトサンをメスシリンダーで100ml(湿潤状態)正確に秤り取り、アスピレーターで予め水を除いた後、真空乾燥器で絶乾にして、重量を測定したところ6.5gであった。即ち、この多孔質粒状キトサンの嵩密度は65g/lであった。
【0026】この多孔質粒状キトサン1000ml(湿潤状態)に、水500mlと四級アンモニウム塩基導入剤であるヘキサメチレンビス−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド)40%の水溶液465gに34.41gの水酸化ナトリウムを加えて充分撹拌混合した水溶液を加え、80℃で緩やかに撹拌しながら12時間反応させた。反応終了後充分水洗し、四級アンモニウム塩基導入多孔質粒状キトサンを得た。
【0027】該四級化多孔質粒状キトサンを、水中でホモジナイザー(日本精機(株)製,AH−3型)を用いて15000rpmの回転数で8分間粉砕して分散させ乳状の分散液とし、120メッシュのフルイで粗大片を濾別し、濾液を4.0kg/cm 2の加圧空気とともに毎分16.0mlの液量で170〜180℃の高温雰囲気中に吐出して乾燥し、四級化キトサン超微小粒状体をサイクロンコレクターに90g補集した。捕集した四級化キトサン超微小粒状体の粒子径を走査型電子顕微鏡で測定したところ、平均粒子径3μm,粒子径分布1〜18μmであった。
【0028】又、陰イオン交換能は7.9meq/gであった。次にこの四級化キトサン超微小粒状体の室温で72時間放置後の水,酸,アルカリ及び溶媒に対する膨潤度を測定した結果、水に対して1.00,1N−HC1に対して1.043,1N−NaOHに対して1.00,メチルアルコールに対して1.00,アセトニトリルに対して1.05及び1,4−ジオキサンに対して1.02の膨潤度を夫々示し水,酸,アルカリ及び溶媒に対し不溶性であることが確認された。
【0029】(比較例)脱アセチル化度95%,平均分子量42000のキトサン160gを酢酸80gを含む水1840gに加えて溶解し、キトサン酸性溶液を得た。この溶液の20℃における粘度は、回転粘度計で測定したところ48000cpsであった。このキトサン酸性溶液を6%の苛性ソーダ水溶液中に0.25m/mφの孔径のノズルから落下せしめて粒状にキトサンを凝固再生させた。次いで中性に成るまで充分水で洗浄して、平均粒径約1m/mφの多孔質粒状キトサン2リットルを得た。得られた多孔質粒状キトサン凝固物をメスシリンダーで100ml(湿潤状態)正確に量り取り、アスピレーターで予め水を除いた後、真空乾燥器で絶乾にして、重量を測定したところ7.8gであった。即ち、この多孔質粒状キトサンの嵩密度は78g/lであった。
【0030】この多孔質粒状キトサン1000ml(湿潤状態)に、水500mlと四級アンモニウム塩基導入剤であるヘキサメチレンビス−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド)325gに21.18gの水酸化ナトリウムを加えて充分撹拌混合した水溶液を加え、60℃で緩やかに撹拌させながら14時間反応させた。反応終了後充分水洗し、四級アンモニウム塩基導入多孔質粒状キトサンを得た。
【0031】該四級化多孔質粒状キトサンを、水中でホモジナイザー(日本精機(株)製,AH−3型)を用いて15000rpmの回転数で8分間粉砕して分散させ、乳状の分散液とし、120メッシュのフルイで粗大片を濾別した後、濾液を4.0kg/cm 2の加圧空気とともに毎分17.0mlの液量で180〜190℃の高温雰囲気中に吐出して乾燥し、四級化キトサン超微小粒状体をサイクロンコレクターに103g補集した。この四級化キトサン超微小粒状体の粒子径を走査型電子顕微鏡で測定したところ、平均粒子径5μm,粒子径分布1〜18μmであった。
【0032】又、陰イオン交換能は6.2meq/gと低いものであった。次にこの四級化キトサン超微小粒状体の室温で72時間放置後の水,酸,アルカリ及び溶媒に対する膨潤度を測定した結果、水に対して1.15,1N−HC1に対して1.23,1N−NaOHに対して1.03,メチルアルコールに対して1.00,アセトニトリルに対して1.14及び1,4−ジオキサンに対して1.05の膨潤度を夫々示し水,酸,アルカリ及び溶媒に対する膨潤度が大きく性能的に劣るものであった。即ち嵩密度が大きいために四級化アンモニウム塩基の導入に欠点があることが明らかである。
【0033】
【発明の効果】本発明の陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体の製造方法は、上記構成をとるものであり、キトサン成形物を構成するキトサンに少なくとも2個の第四級アンモニウム塩型の窒素と、少なくとも2個の反応性基を有する化合物を反応させ、キトサン分子内に少なくとも2個の第四級アンモニウム塩基を持つ化合物を架橋結合させ、しかも粒子径を20μm以下の超微粒子に成形してあるため、不溶性で優れた陰イオン交換能を具備している。したがって、クロマトグラフィー用充填剤,生理活性物質固定化担体,重金属吸着用担体,化粧用素材,繊維改質材及び農薬用助材等多くの用途に好適なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 低分子量キトサンを酸性水溶液中に溶解して得た溶解液を塩基性溶液中で凝固再生し、生成した多孔質粒状キトサンに、一般式
【化1】


で表される分子中に少なくとも2個の第四級アンモニウム塩型の窒素と、少なくとも2個の反応性基を有する化合物を反応させた後,洗浄後粉砕分散せしめ、該分散液を高温雰囲気中に加圧空気と共に吐出乾燥することを特徴とする陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体の製造方法。
【請求項2】 多孔質粒状キトサンの嵩密度が35〜65g/lである請求項1記載の陰イオン交換能を有するキトサン超微小粒状体の製造方法。