説明

陰極蛍光ランプ及びその陰極蛍光管の保持部材

【課題】外部からの衝撃に対する強度が向上し、低温に対する耐久性を有する冷陰極蛍光ランプ及び陰極蛍光管の保持部材を提供する。
【解決手段】複数の冷陰極蛍光管31、32を透明なランプカパー2内に収容して構成された冷陰極蛍光ランプであって、冷陰極蛍光管31、32の略全長部分は、ランプカバー2内に収納された保持部材4の蛍光管保持部422、432によって保持され、保持部材4は、ランプカバー2内壁に接触する接触部41a、41bを介して、冷陰極蛍光管31、32を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、陰極蛍光ランプ及びその陰極蛍光管の保持部材に係り、詳しくは、陰極蛍光管をランプカバー内に保持する構造を備えた陰極蛍光ランプ及びその陰極蛍光管の保持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイのバックライト用光源等として、冷陰極蛍光管が広く用いられている。冷陰極蛍光管は、内部にHgとAr,Ne等の不活性ガスとが封入されるとともに内壁面に蛍光体が塗着された細径のガラス管と、該ガラス管内の両端に管軸方向に互いに対向させて取り付けられた1対の冷陰極蛍光管用電極とを備える。冷陰極蛍光管では、1対の冷陰極蛍光管用電極間に高電圧を印加することにより電界が発生し、非加熱状態の陰極(冷陰極)から電子が放出される。次いで、この電子がHg原子に衝突することによりHg原子が励起され、該Hg原子が励起状態から基底状態に遷移するときに放出された紫外線が蛍光体に照射することにより該蛍光体から可視光が放出される。
【0003】
このような構成の冷陰極蛍光管を照明としての使用される蛍光灯(熱陰極蛍光灯)に代わる照明として使用する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006−210804号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の冷陰極蛍光管を用いたランプは(以下「冷陰極蛍光ランプ」という)、その特性から低温では輝度や寿命が低下するといった性質を備えており、低温下での使用には適さないといった問題があった。
【0006】
また、冷陰極蛍光管は、細径のガラス管よりなっており、折れやすく、長尺になるほど扱いが難しい。特に長尺構造のランプに使用した場合には、冷陰極蛍光管自体の重さによって折れる恐れがあった。このため、ランプカバーによる保護構造を採った場合にも、外部からの軽い衝撃で内部の冷陰極蛍光管が破損する恐れがあるといった問題があった。従って、取り扱いには細心の注意が必要となり、一般家庭で脱着使用される従来の蛍光灯の代用品としてそぐわないとものなっていた。
【0007】
この発明は、外部からの衝撃に対する強度が向上し、低温に対する耐久性を有する冷陰極蛍光ランプ及び陰極蛍光管の保持部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1) 冷陰極蛍光管と、該冷陰極蛍光管を収納する透光可能な筒状のランプカバーとを備えた冷陰極蛍光ランプであって、
前記冷陰極蛍光管を保持する蛍光管保持部と、
前記ランプカバーの内壁に少なくとも二か所で接触し、ランプカバー内で蛍光管保持部を支持する支持部と、を有する保持部材とを備えたことを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【0009】
(2) 前記蛍光管保持部は複数設けられ、ランプカバーの内周方向に沿って等間隔で配置されている上記(1)に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【0010】
(3) 前記支持部は、前記ランプカバーの内周に接触する接触部を複数有し、
該接触部は、ランプカバーの内周方向に沿って等間隔で配置されている上記(1)又は(2)に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【0011】
(4) 前記保持部材は透光可能である上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【0012】
(5) 前記保持部材はランプカバーの全長に渡って配置されている上記(1)〜(4)のいずれか1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【0013】
(6) ランプカバーの内壁には、周方向における一部分を覆う反射面が設けられている上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【0014】
(7) ランプカバーの全長は、10ミリメートル以上である上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【0015】
(8)透光可能な筒状のランプカバー内に収容され、
冷陰極蛍光管を保持する保持部と、
前記ランプカバーの内壁に少なくとも二か所で接触し、ランプカバー内で蛍光管保持部を支持する支持部とを有する冷陰極蛍光管の保持部材。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、保持部材の蛍光管保持部によって冷陰極蛍光管が保持され、また保持された冷陰極蛍光管は保持部材の支持部によってランプカバー内で位置決めされるため、ランプカバーの外側からの衝撃に対して冷陰極蛍光管が撓む余地がなく、冷陰極管の破損が抑制される。また、保持部によって冷陰極蛍光管が保持されているので、保持部が保温作用を発揮することとなり、冷陰極蛍光管の温度低下を抑制でき、冷陰極蛍光ランプの寿命を延ばすことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、複数の冷陰極蛍光管を等間隔で保持することができ、均一に発光する冷陰極蛍光ランプを得ることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、支持部の接触部は内周方向において等間隔に配置されているので、ランプカバー全体の強度を均一に補強させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、保持部材自体が透光可能であるので、冷陰極蛍光管から発せられる光がランプカバーの外側に透過する割合が、一層増加する。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、保持部材はランプカバーの全長に渡って配置されているので、確実に冷陰極蛍光管の保持効果を発揮でき、冷陰極蛍光管の破損を抑制することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、ランプカバーの内壁には、周方向における一部分を覆う反射面が設けられているので、照明光に一定の指向性を持たせることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、ランプカバーの全長が10ミリメートル以上であると、軽い衝撃によって、内部の冷陰極蛍光管が自重により破損する可能性が、更に高くなるので、該長さ以上である場合に、特に有用であり、長尺になる程、有用性が増す。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、保持部材の蛍光管保持部によって冷陰極蛍光管が保持され、また保持された冷陰極蛍光管は保持部材の支持部によってランプカバー内で位置決めされるため、ランプカバーの外側からの衝撃に対して冷陰極蛍光管が撓む余地がなく、冷陰極管の破損が抑制される。また、保持部によって冷陰極蛍光管が保持されているので、保持部が保温作用を発揮することとなり、冷陰極蛍光管の温度低下を抑制でき、冷陰極蛍光ランプの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の冷陰極蛍光ランプの分解斜視図である。
【図2】本発明の冷陰極蛍光ランプの横断面図である。
【図3】U字型の冷陰極蛍光管を用いる場合の冷陰極蛍光ランプの分解斜視図である。
【図4】保持部材の他の構成を示す横断面図である。
【図5】保持部材の他の構成を示す横断面図である。
【図6】保持部材の他の構成を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の冷陰極蛍光ランプの好適実施形態について詳細に説明する。図1は、冷陰極蛍光ランプ1の分解斜視図、図2は冷陰極蛍光ランプ1の横断面図である。冷陰極蛍光ランプ1は、ランプカバー2と、2つの冷陰極蛍光管31、32と、保持部材4と、端部保持部材51、52とを備えている。ランプカバー2は、横断面形状が円形の筒状に形成されており、透明又は半透明の透光可能な樹脂材で構成される。構成材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂などが挙げられるが、ガラスなど、他の材料を用いることもできる。ランプの照度を上げるためには、これらの構成材料の透光率が100%近いことが好ましい。
【0026】
従来の蛍光灯との互換性を考慮するランプとするならば、ランプカバー2の横断面径は、例えば15.5〜32.5mm程度であるとよい。なお、横断面形状は、円形に限定されるものではなく、多角形であってもよい。ランプカバー2の内周面には、対向する内壁面に、凸条が軸方向に形成されて、係合部21a、21bが設けられている。この係合部21a、21bには、後述する保持部材4の支持部の接触部が係合する。係合部21aを挟んで反射面22、22が、ランプカバー2の内周面に設けられている。この反射面22、22が、冷陰極蛍光管31、32からの光を反射し、冷陰極蛍光ランプ1からの照射される光の方向を、所望方向に向けることができる。このような反射面22、22は、反射面を有する膜や板材をランプカバー2の内周面に設け、或いは内周面に金属を蒸着させるなどによって形成することができる。
【0027】
この実施形態において、冷陰極蛍光管31、32は、例えば、外径3.0〜6.0mm、全長400〜1200mm、ランプ電流8.0〜15.0mAのものが用いられているが、他の仕様の冷陰極蛍光管を用いてもよい。例えば、全長は10mm以上から利用可能であり、長尺になる程、本発明の作用効果が発揮される。また、本実施形態では、冷陰極蛍光管を2本用いられているが、1本、又は3本以上であってもよい。冷陰極蛍光管は、両端に電極31a、31a、32a、32aを備えている。
【0028】
保持部材4は、両端部がランプカバー2の内壁に接触する支持部41と、支持部41に支持され、冷陰極蛍光管31、32を保持する保持部42、43とを備えている。支持部41及び保持部42、43は一体形成されており、ランプカバー2の内側に挿入され、ランプカバー2の略全長に渡って配置される長さに形成されている。支持部41は長尺の板状であって対向する長辺には、端部にそれぞれ溝が形成されて接触部41a、41bが形成されている。この接触部41a、41bの溝には、ランプカバー2の内壁に形成された係合部21a、21bが嵌まり込む構成となっている。このような構成とすることによって、保持部材4は、ランプカバー2内で周方向に回転することが阻止され、周方向における位置が決められる。
【0029】
保持部42、43は、支持部41の中央部に基端部421、431がそれぞれ接続され、支持部41の両側面に設けられている。基端部421、431の先端には、冷陰極蛍光管31、32を収容する蛍光管保持部422、432が設けられている。この蛍光管保持部422、432は、内側に冷陰極蛍光管31、32を収容する筒形状であり、外側部分(ランプカバー2の内壁に対向する側)に切り欠き部423、433を有している。保持部材4の構成材料が透明である場合には、切り欠き部を設けなくてもよいが、切り欠き部423、433を設けることで、本発明の冷陰極管蛍光ランプ1の照度を上げることができる。切り欠き部423、433は、広い程、冷陰極蛍光管31、32からの光を遮る部分が少なくなり、好ましいが、冷陰極蛍光管31、32の保持作用を確実にするためには、蛍光管保持部422、432の外周の45%以下であることが好ましい。
【0030】
保持部材4の構成材料は、透光可能な材料であることが好ましく、透明または半透明であってよいが、冷陰極蛍光ランプ1の照度を上げるには、透光率が100%に近い程好ましい。構成材料としては、例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料が挙げられる。
以上のような構成の他、ランプカバー2の係合部21a、21bと保持部材4の接触部41a、41bの溝は設けられていなくても良く、接触部41a、41bが単にランプカバー2の内壁に当接している構成であってもよい。
【0031】
端部保持部材51、52は、ランプガバー2の両端開口部にそれぞれ装着される。端部保持部材51、52は、それぞれランプカバー2内に対向する面に、冷陰極蛍光管の端部が挿入される穴を備え、該穴内で電極31a、31a、32a、32aは、外側に突出するランプピン51a、51a、52a、52aと電気的に接続される。ランプピン51a、51a、52a、52aは、それぞれソケット(図示せず)に接続されて、該ソケットから給電が行われる。
以上のように構成された本発明の構成の他、図3に示されているように、U字状に湾曲した1本の蛍光管を上記保持部材4の保持部42、43で保持する構成であってもよい。
【0032】
更に、ランプカバー2内に保持される冷陰極蛍光管は、2以上の複数であってもよい。保持部材4の他の構成を図4〜図6に示す。図4に示されているように、支持部41の両側面に2つの保持部42、44と保持部43、45がそれぞれ配置された構成とすることにより、4本の冷陰極蛍光管を保持する構成とすることができる。同様に、図5に示されているように、板状の支持部411と、支持部412を直角に交差させた構成とし、各支持部411、412で分割された4つの空間にそれぞれ保持部42、43、44、45を配置した構成としてもよい。図中では、各保持部の基端部は、支持部411、412の交差部分としているが、この構成に限られず、各支持部411、412の片側面に基端部が接続されていてもよい。2つの板材を交差させて支持部を構成することにより、保持部材や冷陰極蛍光ランプの強度を上げることができる。図2、図4、図5に示されている保持部材4では、支持部に適宜孔を形成し、支持部によって区分けされた空間の間で、ガスが流通できる構成とすることもできる。このようにすることで、ランプカバー2内での熱の偏在を、さらに抑制し熱分布を、さらに均一に近づけることができる。
【0033】
図6は他の支持部材4の構成を示すものである。支持部40は円筒形であって、その外周に、軸方向に溝を複数形成し、この溝によって、保持部42、43、44、45が形成される支持部40の対向する外周面には接触部41a、41bが連結部401、401を介して接続されている。
【符号の説明】
【0034】
1 冷陰極蛍光ランプ
2 ランプカバー
31、32 冷陰極蛍光管
4 保持部材
51、52 端部保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷陰極蛍光管と、該冷陰極蛍光管を収納する透光可能な筒状のランプカバーとを備えた冷陰極蛍光ランプであって、
前記冷陰極蛍光管を保持する蛍光管保持部と、
前記ランプカバーの内壁に少なくとも二か所で接触し、ランプカバー内で蛍光管保持部を支持する支持部と、を有する保持部材とを備えたことを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
前記蛍光管保持部は複数設けられ、ランプカバーの内周方向に沿って等間隔で配置されている請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項3】
前記支持部は、前記ランプカバーの内周に接触する接触部を複数有し、
該接触部は、ランプカバーの内周方向に沿って等間隔で配置されている請求項1又は2に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項4】
前記保持部材は透光可能である請求項1〜3のいずれか1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項5】
前記保持部材はランプカバーの全長に渡って配置されている請求項1〜4のいずれか1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項6】
ランプカバーの内壁には、周方向における一部分を覆う反射面が設けられている請求項1〜5のいずれか1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項7】
ランプカバーの全長は、???ミリメートル以上である請求項1〜6のいずれか1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項8】
透光可能な筒状のランプカバー内に収容され、
冷陰極蛍光管を保持する保持部と、
前記ランプカバーの内壁に少なくとも二か所で接触し、ランプカバー内で蛍光管保持部を支持する支持部とを有する冷陰極蛍光管の保持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−54075(P2012−54075A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195168(P2010−195168)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(510235305)横浜バーテック株式会社 (1)
【出願人】(510235486)セイキ工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】