説明

陳列用中皿

【課題】非常に軽く、安価で、盗難防止機能についても簡単に付加することのできる陳列用中皿を提供する。
【解決手段】レフィル嵌入保持用の凹部21と、上記凹部21の開口縁から側方に延びて凹部21の開口を囲う陳列面部22と、上記陳列面部22の周端縁から垂下する側周面部23と、上記側周面部23の下端縁の少なくとも一個所から延設され、これを上向きに折り返した状態でその先端が上記陳列面部22より高く突出するよう設定された突出片24と、上記凹部21の底面に形成された穴25、26とを備え、全体が一枚のシートからなるシート成形品によって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料が充填されたレフィルを陳列するために用いられる陳列用中皿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、口紅、ファンデーション等の各種の化粧料は、店頭で実際に顧客が自分の唇や肌に塗ってその感触や色調を試してみてから購入することが多いため、完全に包装された商品とは別に、いわゆるテスター用化粧料を用意して店頭に陳列することがよく行われている。
【0003】
このようなテスターの陳列は、例えば図9に示すように、ファンデーション等のテスター用化粧料1を、金皿等の簡易容器2に充填してレフィル3とし、このレフィル3を陳列用中皿4に嵌入保持して、パレット等の陳列台5に並べて行うようになっている。
【0004】
上記陳列用中皿4は、一般に、射出成形等による樹脂成形品からなり、陳列台(パレット、陳列什器の棚板等を含む。以下同じ)5の上に、前後左右隙間なく並べることができるように、平面視が正方形もしくは長方形の略板状の外形を有し、その断面図である図10に示すように、レフィル3を嵌入保持するための凹部6と、その周囲を囲う枠状部7とを備えている。そして、上記枠状部7上面の、前後の幅広部に、凹部6内に保持されているテスター用化粧料1の品番や商品説明等が表示されるようになっている(図9参照)。なお、陳列用中皿4の四隅のうち、その一角は斜めに切り欠かれており、この切欠き部7aを利用して、隙間なく並ぶ陳列用中皿4のうちの一つを、簡単に取り出すことができるようになっている。また、8(図10に戻る)はレフィル取り出し用の穴で、この穴8に下方から筆記具等の棒状体を差し込んでレフィル3の下面を押し上げることにより、簡単にレフィル3を取り出せるようになっている。
【0005】
ところで、最近、上記テスター用化粧料1が、実際の商品と実質的に同じものであることから、人気のあるものが店頭から勝手に持ち去られてしまうという事態が頻発して問題となっている。
【0006】
そこで、盗難防止のために、本出願人は、例えば図11に示すように、上記陳列用中皿4において、レフィル取り出し用の穴8とは別に、その凹部6の底面に、中央で水平方向に仕切られた長穴9を設けるとともに、上記陳列用中皿4を並べて陳列するための陳列台5側にも穴10を設け、この長穴9と陳列台5側の穴10とを利用して、両者の間に紐11をかけることにより、陳列用中皿4を陳列台5に固定することができるようにしたものを開発し、すでに出願している(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−110154公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、射出成形によって、このような長穴9付の陳列用中皿4を得るには、複雑な金型が必要となり、コストが高くなるという問題がある。また、陳列什器の棚板等に多数の陳列用中皿4を並べると、全体重量が重くなるため、棚板の取り付け部に大きな荷重がかかって損傷を招きやすいという問題もある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、非常に軽く、安価で、盗難防止機能についても簡単に付加することのできる陳列用中皿の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、化粧料が充填されたレフィルを嵌入保持して陳列するための凹部と、上記凹部の開口縁から側方に延びて凹部開口を囲う陳列面部と、上記陳列面部の周端縁から垂下する側周面部と、上記側周面部の下端縁の少なくとも一個所から延設され、これを上向きに折り返した状態でその先端が上記陳列面部より高く突出するよう設定された突出片と、上記凹部底面に形成された少なくとも一つの穴とを備え、全体が一枚のシートからなるシート成形品によって構成されている陳列用中皿を第1の要旨とする。
【0011】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記凹部底面のうち、少なくとも一つの穴が設けられた部分を含む所定領域Pが、それ以外の部分より深くなるよう段落としされている陳列用中皿を第2の要旨とし、それらのなかでも、特に、上記凹部底面に形成される穴が少なくとも二つであり、それらの穴を利用して、盗難防止用の紐がかけられるようになっている陳列用中皿を第3の要旨とする。
【0012】
さらに、本発明は、上記陳列用中皿が、中皿との係合用凹凸が形成された陳列台上に陳列されるものであって、上記陳列用中皿の凹部底面のうち、所定領域Qが、それ以外の部分より深くなるよう段落としされており、その段落とし部分が、上記陳列台の、中皿との係合用凹凸に係合するようになっている陳列用中皿を第4の要旨とし、そのなかでも、特に、上記シート成形品のシートとして、透明シートに半透明もしくは非透明の着色を施したものが用いられており、段落としされた所定領域Qにおけるシートの透明度が、陳列面部におけるシートの透明度に比べて高くなっている陳列用中皿を第5の要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明の陳列用中皿は、全体が一枚のシートからなるシート成形品によって構成されているため、非常に軽量で、コスト的にも安価である。しかも、これを陳列台の上面に隙間なく並べても、そのうちの一個を簡単に取り出すための突出片が、一体的に設けられているため、従来の、一角が切り欠かれた射出成形品と同様、簡単に取り出すことができ、不便さを感じることがない。また、レフィル嵌入保持用凹部の底面に、少なくとも一つの穴が形成されているため、この穴の下から、筆記具等の棒状体を差し込んで凹部内からレフィルを取り出すことができるため、従来の射出成形品と同様、使い勝手がよい。しかも、非常に安価であるため、レフィルを嵌入保持した凹部周囲の陳列面が汚れたり、その部分の表示を変える必要が生じた場合には、即座に新しい陳列用中皿と交換することができ、陳列面の清掃や、シール等による表示の貼り替え作業等の負担を大幅に軽減することができるという利点を有する。
【0014】
なお、本発明において、特に、上記凹部底面のうち、少なくとも一つの穴が設けられた部分を含む所定領域Pが、それ以外の部分より深くなるよう段落としされている陳列用中皿は、段落としによって、穴の周辺領域における強度が高まるため、穴の開口縁やその周囲が歪んだり亀裂が入ったりしにくくなり、耐久性が高まるという利点を有する。
【0015】
また、本発明において、特に、上記凹部底面に形成される穴が少なくとも二つであり、それらの穴を利用して、盗難防止用の紐がかけられるようになっている陳列用中皿は、全体が軽量で安価である上に、優れた盗難防止機能を発揮するため、より効果的である。しかも、それらの穴に盗難防止用の紐をかけても、紐の厚みが、凹部内に嵌入保持されたレフィルの位置に影響しないため、凹部のレフィル上面がその周囲の陳列面から浮き上がることなく、美麗に陳列することができるという利点を有する。
【0016】
さらに、本発明において、特に、上記陳列用中皿が、中皿との係合用凹凸が形成された陳列台上に陳列されるものであって、上記陳列用中皿の凹部底面のうち、所定領域Qが、それ以外の部分より深くなるよう段落としされており、その段落とし部分が、上記陳列台の、中皿との係合用凹凸に係合するようになっている陳列用中皿は、上記段落とし部分によって、全体形状が崩れにくく、耐久性が向上するだけでなく、陳列台上で陳列用中皿の配置を、陳列台との係合によって固定することができるため、陳列用中皿の陳列作業や入れ替え作業がしやすいという利点を有する。
【0017】
そして、特に、上記シート成形品のシートとして、透明シートに半透明もしくは非透明の着色を施したものが用いられており、段落としされた所定領域Qにおけるシートの透明度が、陳列面部におけるシートの透明度に比べて高くなっているものは、デザイン性やアイキャッチ効果の観点から、上記陳列面部は濃い着色で透明性が低くなっていても、上記所定領域Qの透明度が高くなっているため、陳列台上に陳列用中皿を配置する場合、上記透明度の高い段落とし部分(Q)を透かして、上記陳列台に設けられた係合用凹凸の位置をみながら陳列用中皿を配置することができるため、その作業がしやすいという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】(a)は上記実施例の平面図、(b)はそのA−A′断面図、(c)はそのB−B′断面図、(d)はそのC−C′断面を部分的に示す説明図である。
【図3】上記実施例を裏返した状態を示す斜視図である。
【図4】上記実施例の陳列形態の説明図である。
【図5】(a)、(b)は、ともに上記実施例の変形例を示す説明図である。
【図6】上記変形例の陳列形態の説明図である。
【図7】上記実施例の他の変形例を示す説明図である。
【図8】(a)、(b)は、ともに上記実施例のさらなる変形例を示す説明図である。
【図9】従来の陳列用中皿とその陳列形態の一例を示す説明図である。
【図10】上記従来例の縦断面図である。
【図11】従来の、盗難防止機能付き陳列用中皿の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限るものではない。
【0020】
図1は、本発明の陳列用中皿の一実施の形態を示している。また、図2(a)は、その平面図、図2(b)は、そのA−A′断面図、図2(c)はそのB−B′断面図、図2(d)はそのC−C′断面を部分的に示す説明図である。これらの図において、20は、半透明の銀色光沢を有する樹脂シート(厚み0.5mmの透明ポリエステルシートの表面にアルミニウム蒸着層を形成したもの)を、シート成形によって一体的に賦形してなる陳列用中皿である。この陳列用中皿20は、賦形された外形が、平面視正方形状の略板状で、従来の陳列用中皿と同様、レフィルを嵌入保持するための凹部21と、その凹部21の開口縁から側方に延びてその開口を囲う陳列面部22と、上記陳列面部22の周端縁から垂下する側周面部23とを備えている。そして、上記側周面部23のうち、一つの角部が、平面視45°の角度で斜めに面取りされた形状になっており、その面取り部23aの下端縁からべろ状の突出片24が延設されている。なお、この突出片24の長さは、これを上向きに折り返したとき、その先端が上記陳列面部22より高く突出する長さに設定されている。
【0021】
また、上記陳列用中皿20の凹部21の開口縁部には、レフィル(図9参照)の入り勝手を考慮して、その全周にわたって、約45°のテーパ30がつけられている。そして、上記凹部21の底面のうち中央部31は、側周面部23の途中までの深さになっており、同じく凹部21の底面のうち周縁部32(図2〔a〕において斜線で示す領域Q)は、段落としされて、側周面部23の下端まで到達する深さになっている。
【0022】
さらに、上記陳列用中皿20の凹部21において、段落としされていない中央部31に、大小二つの穴25、26が形成されており、これらの形成部分(図2〔a〕において斜線で示す領域P)が、浅く段落としされている。この段落とし部分の段差の幅は、通常、0.5〜1.5mm程度である。この段落としによって、穴25、26の周囲が補強され、穴25、26の開口縁部が反って歪んだり割れたりすることを防止することができる。
【0023】
上記2つの穴25、26のうち、大きい方の穴25は、陳列用中皿20の裏面側から筆記具等の棒状体を差し込んで、凹部21内に嵌入保持されるレフィル(図示せず)の下面を押し上げてレフィルを取り出すのに用いられる穴である。また、小さい方の穴26は、穴25とともに、盗難防止用の紐をかけるのに用いられる穴で、例えば図2(d)に鎖線で示すように、盗難防止用の紐11をかけるための2個一対の穴10が設けられた陳列台5に、この陳列用中皿20を並べて陳列する際、その穴10と、陳列用中皿20の穴25、26との間に、紐11をかけることによって、盗難防止機能をもたせることができる。
【0024】
ちなみに、上記大きい方の穴25は、筆記具の先端等、棒状の部分を差し込む必要があることから、その穴径は、例えば2〜15mm、なかでも5〜10mm程度に設定することが好適である。また、小さい方の穴26は、盗難防止用の紐11を通すことができればよいのであり、その穴径は、例えば1〜10mm、なかでも2〜5mm程度に設定することが好適である。すなわち、二つの穴25、26が大きすぎると、凹部21の底面強度が弱くなるおそれがあり、逆に、二つの穴25、26が小さすぎると、筆記具等や紐11を通しにくくなり、好ましくない。
【0025】
また、上記陳列用中皿20の凹部21において、深く段落としされた周縁部32(領域Q)は、陳列用中皿20を裏返して見た図3に示すように、この部分が四角枠状に突出しており、この突出部を利用して、陳列台の上面に、陳列用中皿20を位置決め固定することができるようになっている。
【0026】
より具体的に説明すると、例えば図4に示すように、その陳列面に、上記陳列用中皿20を係止するための中皿係合用凹凸として、円柱状の小突起41が所定間隔で上向きに突出形成された陳列台5′を用意する。そして、この陳列台5′の小突起41に、上記陳列用中皿20の、段落としされた四角枠状の周縁部32を係合させることによって、鎖線で示すように、陳列用中皿20を位置決め固定しながら並べることができる。
【0027】
なお、陳列台によっては、その陳列面に、前後左右に所定間隔で延びる格子状の突条からなる中皿係合用凹凸が設けられているものがある。その場合は、例えば図5(a)に示すように、上記突条を跨いで陳列用中皿20を位置決め固定することができるように、上記陳列用中皿20の四角枠状の周縁部32の下面に、部分的に細幅の突条32aをさらに突出形成し、この突条32aの立ち上がり端面42と、陳列台側の格子状突条とを係合させることによって、陳列用中皿20を陳列台に位置決め固定することができる。
【0028】
また、図5(b)に示すように、周縁部32の下面に、陳列台側の格子状の突条と個別に係合する溝部43を賦形して、この溝部43を、図6に示すように、陳列台5″側の格子状突条44と係合させることによって、陳列用中皿20を陳列台5″に位置決め固定するようにしてもよい。
【0029】
上記構成の陳列用中皿20によれば、全体が一枚のシートからなるシート成形品によって構成されているため、非常に軽量で、コスト的にも安価である。しかも、これを陳列台の上面に隙間なく並べても、そのうちの一個を簡単に取り出すための突出片24が、その角部に一体的に設けられているため、従来の、一角が切り欠かれた射出成形品と同様、これを簡単に取り出すことができ、不便さを感じることがない。
【0030】
また、凹部21の底面に、穴25、26が形成されているため、穴25に筆記具等の棒状体を差し込むことによって凹部21内に嵌入保持されたレフィルを取り出すことができ、穴25、26を利用して、盗難防止用の紐11をかけることができるようになっている。したがって、従来の射出成形品と同様、使い勝手がよい。しかも、非常に安価であるため、凹部21を囲う陳列面部22が汚れたり、その部分の表示を変える必要が生じた場合には、即座に新しい陳列用中皿と交換することができ、陳列面の清掃や、シール等による表示の貼り替え作業等の負担を大幅に軽減することができるという利点を有する。
【0031】
そして、上記穴25、26が設けられた部分を含む所定領域Pが、それ以外の部分より深くなるよう段落としされているため、この段落としによって、穴25、26の周囲が補強されることになり、穴25、26の開口縁やその周囲が歪んだり割れたりしにくくなり、耐久性が高まるという利点を有する。また、上記穴25、26に紐11をかけても、この段落としによって、紐11の厚みが凹部21内のレフィルに影響しないため、陳列面の平面性が保たれるという利点を有する。
【0032】
さらに、上記陳列用中皿20の凹部21の底面のうち、周縁部32が、中央部30より深くなるよう段落としされているため、全体形状が崩れにくく、耐久性が向上する。しかも、その段落とし部分が、陳列用中皿20を陳列する陳列台の、中皿係合用凹凸と係合するようになっているため、陳列台上における陳列用中皿20の配置を、陳列台との係合によって固定することができ、陳列用中皿20の陳列作業や入れ替え作業がしやすいという利点を有する。
【0033】
また、この陳列用中皿20は、透明ポリエステルシートの表面にアルミニウム蒸着層を形成してなるシートを、一体的に賦形してなるものであり、陳列時に、最も顧客の目につく陳列面部22が、銀色の光沢色に輝き、見栄えがよい。そして、シート成形によって賦形されているため、凹凸の変形が大きい部分ほど、シートの厚みが薄くなって、シートの色も薄くなり、凹部21底面の周縁部32の、段落としされた部分が、最も薄く殆ど透明色になっている。したがって、この段落とし部分を、前記陳列台5′等の、中皿係合用凹凸(図4における小突起41や図6における突条44等)に係合させる場合、この段落とし部分から、その下の中皿係合用凹凸を透かしてみながら係合させることができ、陳列用中皿20を配置する作業を効率よく行うことができる。
【0034】
なお、上記の例では、陳列用中皿20を形成するために、アルミニウム蒸着層を有するポリエステルシートを用いたが、シートの材質は、加熱により軟化して加工することができるものであれば、ポリエステル以外にも、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等を好適に用いることができる。そして、その着色も、アルミニウム蒸着によって銀色光沢を付与する以外に、各種着色シートの転写や塗装、印刷等による着色が可能である。もちろん、樹脂シートとして、予め着色剤によって着色された樹脂シートを用いても差し支えない。そして、上記の例のように、金属光沢を付与したものは、全体がシート成形品であるにもかかわらず、その光沢によって、一見、射出成形品のような質感が得られるため、好適である。
【0035】
また、上記の例では、材料である樹脂シート全体が単一色であり、シート成形による賦形時に、シートの変形に応じて色が薄くなって透明度が高くなることを特徴としているが、全体がマーブル調の色彩のものや、部分的に透明度が異なるもの等を材料として用い、シート成形時の色調や透明度の変化によって、より複雑な色模様を得るようにしても差し支えない。
【0036】
なお、本発明において、材料である樹脂シートを賦形するためのシート成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等があげられ、シートの種類に応じて、適宜の成形法を選択することができる。そして、用いる樹脂シートの厚みも、上記の例では、0.5mmのものを用いたが、陳列用中皿20の大きさや付与する形状、成形法に応じて、適宜の厚みを選択することができる。
【0037】
そして、上記の例では、陳列用中皿20を取り出すための突出片24を、側周面部23(図1参照)の一つの角部に設けられた面取り部23aの下端縁から上向きに延設したが、上記突出片24は、側周面部23の下端縁のどの部分から延設しても差し支えない。例えば、図7に示すように、上記の例のように面取り部23aを設けることなく、側周縁部23の、角と角の間の一個所から延設してもよい。また、この突出片24の数は、一つに限らず、二つ以上設けてもよい。
【0038】
この突出片24の長さは、すでに述べたように、これを上向きに折り返した状態において、その先端が、陳列用中皿20の陳列面部22より高く上方に突出する長さであることが必要である。その突出部を指先で把持してつまみ上げることができなければならないからである。したがって、上記突出片24の、陳列面部22より高く突出する部分の長さは、例えば3〜20mm、なかでも5〜10mm程度であることが好適である。そして、突出片24の左右方向の幅は、5〜15mm、なかでも8〜12mm程度であることが好適である。上記の範囲内であれば、突出部をつまみやすく、かつ陳列時に陳列の邪魔になりにくいからである。
【0039】
さらに、陳列用中皿20の凹部21底面における穴25、26は、中央に設けるより、隅に寄っている方が、強度的に好ましい。ただし、必ずしも、上記の例のように、穴を2個設ける必要はなく、盗難防止機能をもたせない場合は、例えば図8(a)に示すように、レフィル取り出し用の穴25を1個設けるだけでも差し支えない。また、図8(b)に示すように、盗難防止用の穴26′を、底面の片隅に2個一対で設け、その反対側の隅に、レフィル取り出し用の穴25を設けるようにしても差し支えない。そして、これらの場合も、穴25等の周囲を、段落とししておくことが、穴25等の開口縁の歪みや割れを防止する上で好ましい。上記段落としする領域を、斜線Pで示す。
【0040】
また、本発明において、陳列用中皿20の外形や、凹部21の形状は、その中に嵌入保持するレフィルの形状に応じて、適宜に設定することができる。例えば、上記の例では、この陳列用中皿20は、平面視が正方形状の略板状であるが、平面視が正方形以外の多角形状や、円形、楕円形等であっても差し支えない。
【0041】
そして、上記陳列用中皿20の凹部21に嵌入保持させるレフィルとしては、金皿や樹脂皿にファンデーション等の化粧料を充填したテスター品に限らず、実際の商品であるレフィルであっても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、口紅、ファンデーション等の化粧料が充填されたレフィルを、テスターとして陳列する際に用いられる陳列用中皿として利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
20 陳列用中皿
21 凹部
22 陳列面部
23 側周面部
24 突出片
25,26 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料が充填されたレフィルを嵌入保持して陳列するための凹部と、上記凹部の開口縁から側方に延びて凹部開口を囲う陳列面部と、上記陳列面部の周端縁から垂下する側周面部と、上記側周面部の下端縁の少なくとも一個所から延設され、これを上向きに折り返した状態でその先端が上記陳列面部より高く突出するよう設定された突出片と、上記凹部底面に形成された少なくとも一つの穴とを備え、全体が一枚のシートからなるシート成形品によって構成されていることを特徴とする陳列用中皿。
【請求項2】
上記凹部底面のうち、少なくとも一つの穴が設けられた部分を含む所定領域Pが、それ以外の部分より深くなるよう段落としされている請求項1記載の陳列用中皿。
【請求項3】
上記凹部底面に形成される穴が少なくとも二つであり、それらの穴を利用して、盗難防止用の紐がかけられるようになっている請求項1または2記載の陳列用中皿。
【請求項4】
上記陳列用中皿が、中皿との係合用凹凸が形成された陳列台上に陳列されるものであって、上記陳列用中皿の凹部底面のうち、所定領域Qが、それ以外の部分より深くなるよう段落としされており、その段落とし部分が、上記陳列台の、中皿との係合用凹凸に係合するようになっている請求項1〜3のいずれか一項に記載の陳列用中皿。
【請求項5】
上記シート成形品のシートとして、透明シートに半透明もしくは非透明の着色を施したものが用いられており、段落としされた所定領域Qにおけるシートの透明度が、陳列面部におけるシートの透明度に比べて高くなっている請求項4記載の陳列用中皿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−125492(P2011−125492A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286630(P2009−286630)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)