説明

陳列用台座

【課題】特に直に商品を置いた際に、従来にない視覚効果が得られ、他の部材を用いて飾ることなく人目を惹くようなディスプレー効果が得られる陳列用台座を得る。
【解決手段】一方の面に反射層を有した厚さが2mm以上の反射基板と、一方の面に半透明状で形成した模様を有した透明部材とを、該透明部材を反射基板の他方の面上に積み重ねる。または、前記透明部材を、模様が形成された一方の面と反対側の他方の面が反射基板と対向するように積み重ねる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を陳列するための陳列スタンドや陳列ケースの下に敷く、又は直に商品を置いたりするための陳列用台座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、商品(例えば筆記具等)を陳列するための陳列スタンドや陳列ケースの下に敷く、又は直に商品を置いたりするための陳列用台座については知られているが、特に直に商品を陳列用台座に置いてのディスプレーとなると、いかに商品に目を向けさせるかということで、陳列用台座の形状を特異形状にしたり、又はカラフルな布や花等を添えるなど様々な工夫がなされている。
【0003】
しかし、こうした陳列用台座に布や花等を添えるディスプレーは、陳列用台座上に置かれた商品を実際に手に取ってみることが可能な展示場所では、添えた布や花が移動して当初のディスプレーとしてのイメージと変わってしまうので不向きである。他のディスプレーの手法として、陳列用台座と商品のみとで人目を惹くディスプレーとするために、硝子板の表面に模様を施してなる陳列用台座があるが、最近では、そうした陳列用台座も珍しくなく、人目を惹くディスプレーと言うことではその効果は薄らいできている。
【0004】
本発明者は前記事実に鑑み、商品を陳列するための陳列スタンドや陳列ケースの下に敷く、又は直に商品を置いたりするための陳列用台座において、人目を惹くディスプレー効果が得られるような新たな陳列用台座を得ることを思い立ち検討した。その結果、陳列用台座に反射面を設けることで、陳列用台座に置いた商品と該表品が陳列用台座にて反射して形成される虚像と、陳列用台座に施された模様とが絡み合って従来にないディスプレー効果が得られることが判り、本発明に至った。
【0005】
従来、コップ敷として用いるコースター或いは花瓶を乗せる花瓶敷等に用いる敷物材として、透明な硝子板の一面に模様を設け、この上に更に銀引き層を設け、これに裏止め層及び緩衝層を順次設けたものが実公昭48−32741号公報により提案されている。この技術の目的とするところは、公報の明細書中に記載されてあるように、硝子板がもつ冷たい感覚を排除し、模様層を浮彫りした状態で表示することができる敷物材を提供するものである。しかし、こうした模様層と反射面(銀引き層)を同一面上とした構造では、現実に商品をこの敷物材に乗せた際には、硝子板に設けた模様と敷物材に乗せた商品と敷物材で反射した商品の一部の虚像とが絡み合って形成されるディスプレー効果であって、反射面における視覚は、商品により寸断された模様と模様により寸断された商品の虚像との絡み合いからなるディスプレー効果で、本願発明者が期待しているところのディスプレー効果として満足のいくものではなかった。
【特許文献1】実公昭48−32741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に直に商品を置いた際に、従来にない視覚効果が得られ、他の部材を用いて飾ることなく人目を惹くようなディスプレー効果が得られる陳列用台座を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
「1.一方の面に反射層を有した厚さが2mm以上の反射基板と、一方の面に半透明状で形成した模様を有した透明部材とを、該透明部材を反射基板の他方の面上に積み重ねてなる陳列用台座。
2.前記透明部材を、模様が形成された一方の面と反対側の他方の面が反射基板と対向するように積み重ねてなる、前記1項に記載の陳列用台座。
3.一方の面に反射層を有した厚さが2mm以上の反射基板と、一方の面に半透明状で形成した模様を有した透明部材とを、該透明部材を反射基板の他方の面上に積み重ねてなるブロックを複数並列してなる陳列用台座であって、前記複数のブロックが、透明部材の模様が形成された一方の面と反射基板の他方の面とが対向するように積み重ねてなるブロックと、透明部材の他方の面と反射基板の他方の面とが対向するように積み重ねてなるブロックとで構成されたことを特徴とする、陳列用台座。」
である。
【0008】
前記反射基板は、鏡であっても良いし、硝子板や透明の合成樹脂材で形成した平板状の基板の一方の面に、銀引き層等の反射層を設けることで反射基板としたものでも良い。反射基板の厚みについて2mm以上と特定しているが、それは次の様な理由からである。
本願発明においては、反射基板上に一方の面に模様を有した透明部材を積み重ねるが、該透明部材を反射基板上にどのように(模様を有した一方の面が外側に向くように、あるいは前記一方の面が反射基板に対向するように)積み重ねても、反射基板の反射層と模様を施した透明部材の一方の面とは2mm以上の間隙があるので、模様層が浮き上がった状態に見え、かつ反射層に生じる模様の虚像により上下に模様が2つ存在するような視覚効果が得られるからである。2mm未満の間隙では、模様が2つ存在するような視覚になり難い。
【0009】
また、透明部材の一方の面に施す模様は、着色又は表面を微細な凹凸状に形成することで半透明状とする必要がある。不透明状で形成すると、前述したように、反射面における視覚が、商品が模様により寸断された状態ではなく、半透明部から商品の形状がぼんやりと見え、従来とは違った視覚効果を得ることができ、人目を惹くディスプレー効果を得ることが可能となる。なお、模様は文字などで構成されたものであっても良い。
【0010】
本願発明の陳列用台座では、透明部材を反射基板の他方の面上に積み重ねるが、透明部材と反射基板は接着剤層を介して固着しても良いし、離脱自在に透明部材を反射基板上に単に積み重ねるだけでも良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明の陳列用台座は、前述したような構造なので、ディスプレーとしての視覚が、透明部材の一方の面に形成した模様と反射基板における反射層にできた前記模様の虚像による上下に重なった模様の視覚と、反射面に写る商品の透明部分に写る輪郭がハッキリした虚像部分と、半透明部分に写る輪郭がぼやけた虚像部分とで形成される視覚により、従来にない視覚効果が得られ、人目を惹くようなディスプレー効果を得ることができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明の陳列用台座は、前述したような構造なので、透明部材の一方の面に形成した模様と反射基板における反射面に写った前記模様の虚像による上下に重なった模様がある程度の距離が離れて存在するのが視覚できるので、より従来とは違った視覚効果が得られ、人目を惹くようなディスプレー効果を得ることができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明の陳列用台座は、請求項1に係る発明の陳列用台座および請求項2に係る発明の陳列用台座を視覚効果が相違した陳列用台座を構成するブロックとし、そうした各々のブロックを複数並列して陳列用台座とするので、より一層、従来とは違った視覚効果が得られ、人目を惹くようなディスプレー効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の陳列用台座は、一方の面に半透明状で形成した模様を有した透明部材を、一方の面に反射層を有した反射基板上に積み重ねてなるものであるが、陳列用台座上に、商品を直に又は商品を陳列するための陳列スタンドや陳列ケースを乗せるので、取り扱い上、前記記透明部材は割れやすい硝子版よりは合成樹脂材製のものが良く、反射基板も硝子状の鏡より合成樹脂材で反射面を設けたものが良い。
【実施例】
【0015】
本発明の陳列用台座の実施例について、以下、図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、同じ部材、同じ箇所を示すものには同じ符号を付してある
図1〜図3に示す請求項1に係る発明の実施例の陳列用台座1は、厚さが2mmの透明なアクリル板の一方の面2aを銀引き層による反射層3を有した反射基板2と、厚さが10mmの透明なアクリル板からなる透明部材4とで構成されている。透明部材4の一方の面4aには、表面を8個に等分した方形状の升目模様で、隣り合わない4つの升目を微細な凹凸状とすることで半透明状とした模様5を施してある。この模様5を施した透明部材4を、図2に示すように一方の面4aを前記反射基板2の反射層3と反対側の他方の面2bに対向させて前記反射基板2上に積み重ねて、透明な接着剤(図示せず)により固着してある。この陳列用台座を斜め上方向から見ると、図1に示すように、反射基板2に形成された模様5の虚像6を見ることができ、透明部材4の模様5と反射基板2にできた虚像6とが上下に離間した状態で2つ重ねった視覚となる。
【0016】
こうした作用により、図3に示すように、本実施例の陳列用台座1に商品(例えば筆記具)7を置くと、反射基板2にできる商品7の虚像8が、透明部分に写る輪郭がハッキリした虚像部分8aと半透明部分に写る輪郭がぼやけた虚像部分8bとなり、こうした商品7の実像と虚像8とで形成される視覚により、人目を惹くようなディスプレー効果を得ることができる。
【0017】
図4〜図6に示す請求項2に係る発明の実施例の陳列用台座11は、前記実施例の陳列用台座1と同様の反射基板2と透明部材4とで構成されている。透明部材4の一方の面4aには、前記実施例の陳列用台座1と同様の模様12を施してあり、透明部材4を、図5に示すように模様を施した一方の面4aが外側に向くように(模様を施していない他方の面4bが反射基板2の反射層3と反対側の他方の面2bと対向するように)反射基板2上に積み重ねて、透明な接着剤(図示せず)により固着してある。この陳列用台座を斜め方向から見ると、図4に示すように、反射基板2の反射層3上に模様12の虚像13を見ることができ、透明部材4の模様5と反射基板2にできた虚像13とが上下に離間した状態で2つ重ねった視覚となる。
【0018】
こうした作用により、図6に示すように、前記実施例の陳列用台座1と同様に本実施例の陳列用台座11に商品7を置くと、反射基板2にできる商品7の虚像14が、透明部分に写る輪郭がハッキリした虚像部分14aと半透明部分に写る輪郭がぼやけた虚像部分14bとなり、こうした商品7の実像と虚像14とで形成される視覚により、人目を惹くようなディスプレー効果を得ることができる。前記請求項1に係る発明の実施例の陳列用台座1より模様11と虚像12との離間距離が長いので、前記陳列用台座1よりディスプレー効果は大きいものとなる。
【0019】
図7に示す請求項3に係る発明の実施例の陳列用台座21は、前記実施例の陳列用台座1と同様に形成した、透明部材4を、他方の面4bが外側に向くように(模様5を施した一方の面4aを反射基板に対向させて)反射基板(図示せず)上に積み重ねてなるブロック22が2つと、前記実施例の陳列用台座11と同様に形成した、透明部材4を、模様12を施した一方の面4aが外側に向くように反射基板(図示せず)上に積み重ねてなるブロック23が2つとで構成される。
【0020】
本実施例の陳列用台座21は、図7に示すように、前記互いのブロック22、23を同じブロックが斜めに位置するように配設して、四角形状に並列してなるものである。個々のブロック22、23どうしは固定されていない。本実施例で同じブロックが斜めに位置するように配設したが、各々のブロックを一列状に配列しても良く、配列の仕方は特に特定されない。また、各ブロックにおける透明部材にに施される模様も同一である必要がなく、各々のブロックの模様が異なっていても良い。
【0021】
図示していないが、本実施例の陳列用台座21に商品を置くと、請求項1及び2に係る発明の陳列用台座1、11と同様に、各ブロックにおける反射層に写る商品が、透明部分に写る輪郭がハッキリした虚像部分と、半透明部分に写る輪郭がぼやけた虚像部分とで形成される視覚により、人目を惹くようなディスプレー効果を得ることができ、さらに、各々のブロックの配列の仕方により、模様のアレンジもいろいろ可能となり、よりディスプレー効果は大きいものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本願発明の陳列用台座は、その上に商品を陳列スタンドや陳列ケースを介して、あるいは直に置くことで、陳列用台座の透明部材に施された模様と、反射基板にできる虚像により、布や花等で装飾することなくディスプレー効果を得ることができ、他の部材を用いてディスプレーする必要がないので、陳列スペースが小さな場所に有効である。また、花瓶敷きやコップ等を乗せるコースターにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】請求項1に係る発明の実施例の陳列用台座の斜視図である。
【図2】図1における、A−A線部分の断面を示す、拡大概略図である。
【図3】請求項1に係る発明の実施例の陳列用台座の、使用状態を示した図である。
【図4】請求項2に係る発明の実施例の陳列用台座の斜視図である。
【図5】図4における、B−B線部分の断面を示す、拡大概略図である。
【図6】請求項2に係る発明の実施例の陳列用台座の、使用状態を示した図である。
【図7】請求項3に係る発明の実施例の陳列用台座の平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1、11、21 陳列用台座
2 反射基板
3 反射層
4 透明部材
5、12 模様
6、13 虚像
22、23 ブロック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に反射層を有した厚さが2mm以上の反射基板と、一方の面に半透明状で形成した模様を有した透明部材とを、該透明部材を反射基板の他方の面上に積み重ねてなる陳列用台座。
【請求項2】
前記透明部材を、模様が形成された一方の面と反対側の他方の面が反射基板と対向するように積み重ねてなる、請求項1に記載の陳列用台座。
【請求項3】
一方のに反射層を有した厚さが2mm以上の反射基板と、一方の面に半透明状で形成した模様を有した透明部材とを、該透明部材を反射基板の他方の面上に積み重ねてなるブロックを複数並列してなる陳列用台座であって、前記複数のブロックが、透明部材の模様が形成された一方の面と反射基板の他方の面とが対向するように積み重ねてなるブロックと、透明部材の他方の面と反射基板の他方の面とが対向するように積み重ねてなるブロックとで構成されたことを特徴とする、陳列用台座。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−61215(P2007−61215A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248316(P2005−248316)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】