説明

陳列用棚台

【課題】複数の棚箱がひな壇状に配置される形態と、上下に一列に配置される形態との間で変形自在な陳列用棚台を提供する。
【解決手段】本発明に係る陳列用棚台は、上部棚箱13と、上部棚箱13を前面に保持する上部背板11とを有する上部棚台10と、下部棚箱23と、下部棚箱23を前面に保持する下部背板21とを有する下部棚台20と、上部棚箱13の下部及び下部棚箱23の上部において上部棚台10と下部棚台20とを連結する連結部材30を備える。連結部材30は、上部棚台10及び下部棚台20に対する取り付け部を支点として上下に回動可能に構成され、連結部材30を回動させて上部背板11及び下部背板21に垂直な状態又は平行な状態にすることにより、上部棚箱13と下部棚箱23がひな壇状に配置される第1形態と、両棚箱13、23が上下に一列に配置される第2形態とに容易に変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の棚箱を備える陳列用棚台に関し、特に棚箱の配置を変えることの可能な陳列用棚台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品等を陳列する陳列用棚台には、各棚箱が上下に配置されるものと、ひな壇状に配置されるものがある。陳列用棚台を吊して使用する場合には、各棚箱が上下に配置されるものが用いられ、床などに置いて使用する場合には、その安定性からひな壇状に配置されたものが用いられることが多い。
【0003】
様々な商品が陳列される店頭においては、店内の空きスペースに応じて、棚箱が上下に配置された棚台、又はひな壇状に配置された棚台のいずれかが選択して使用されている。従って、店内の状況に応じて商品陳列方法を変更したい場合、各店はそれぞれの形態の棚台を用意しておかなければならず、不便であった。
【0004】
この点、特許文献1に記載の置き吊り兼用連結陳列棚では、一つの棚台で、棚箱が上下に配置された形態と、ひな壇状に配置された形態のいずれにも変化できるため、各店はそれぞれの形態の棚台を別個に用意する必要がなくなる。この置き吊り兼用連結陳列棚は、各棚箱の側枠を連結する連結板と、縦の平行な折れ線によって中央面とその両側の折側面に区分された支柱板を有する。連結板は、傾斜させることにより各棚箱をひな壇状に配置するために、また、支柱板は、両折側面を中央面に対して折り曲げることで、各棚箱がひな壇状に配置される際に支柱として機能させるために、それぞれ設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-140521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の構成において、各棚箱が上下に配置された形態からひな壇状に配置された形態に変化させるには、支柱板を折り曲げ、支柱板と背板にそれぞれ設けられた係止溝同士を噛み合わせなければならず、手間がかかる。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みて成されたものであり、一つの棚台で、上記の両方の形態に容易に変化し得る棚台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る陳列用棚台は、
複数の棚箱がひな壇状に配置される第1形態と、
複数の棚箱が上下に一列に配置される第2形態との間で変形自在な陳列用棚台であって、
上部棚箱と、前記上部棚箱を前面に保持する上部背板とを有する上部棚台と、
下部棚箱と、前記下部棚箱を前面に保持する下部背板とを有する下部棚台と、
前記上部背板の前面のうち前記上部棚箱よりも下の部分及び前記下部背板の背面のうち前記下部棚箱よりも上の部分に上下方向に回動可能に軸支された、前記上部棚台と前記下部棚台とを連結する連結部材とを備え、
前記連結部材を回動させることにより、前記第1形態と前記第2形態とに変形することを特徴とする。
【0009】
上記陳列用棚台においては、
前記上部背板の左右両側に設けられた一対の支柱であって、その下端部が前記上部背板の下端部よりも上方又は下方に位置するように伸縮可能な一対の上部支柱と、
前記下部背板の左右両側に設けられた一対の支柱であって、前記第2形態に変形させたときに前記上部支柱の伸長部分が上方から進入する孔部を有する一対の下部支柱と
をさらに備えることが好ましい。
【0010】
また、前記上部支柱が外枠とその内部に収納されたスライド芯からなり、該外枠の一側面には窓が設けられ、該スライド芯の一側面には前記窓を通して前記スライド芯を上下にスライドさせるためのスライド操作部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る陳列用棚台では、連結部材を回動連結部材を回動させて上部背板と下部背板を前後に離れた状態にすると、上部棚台の上部棚箱と下部棚台の下部棚箱がひな壇状に配置される第1形態になり、連結部材を回動させて上部背板と下部背板が上下に一列に並んだ状態にすると、上部棚台の棚箱と下部棚台の棚箱が上下に配置される第2形態になる。このように本発明では、連結部材を上下に回動させるだけで、第1形態と第2形態とに容易に変形させることができる。
【0012】
また、上部背板の左右両側に、下部において伸縮可能な上部支柱を設けると共に、下部背板の左右両側に、前記上部支柱の伸長部分が進入する孔部を有する下部支柱を設けることにより、第2形態において、上部支柱の下端の伸長部分を下部支柱の孔部に進入させることができ、これにより、より安定的に上部棚台を支えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例に係る陳列用棚台の形態変化を示す説明図であり、(a)棚箱が上下に配置された形態、(b)(a)の形態から連結板を回動させている途中の形態、(c)棚箱がひな壇状に配置された形態、を示す図。
【図2】本実施例に係る棚台において、棚箱が上下に配置された形態の斜視図。
【図3】本実施例に係る棚台において、棚箱がひな壇状に配置された形態の斜視図。
【図4】本実施例に係る上部支柱を構成する(a)外枠と(b)スライド芯の斜視図。
【図5】本発明の変形例に係る棚台の斜視図。
【図6】本発明の変形例に係る棚台の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図1〜図6を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本実施例に係る棚台が(a)棚箱が上下に配置された形態から(c)棚箱がひな壇状に配置された形態へ変形する様子を示す説明図であり、図2は棚箱が上下に配置された形態の斜視図、図3は棚箱がひな壇状に配置された形態の斜視図である。上部棚台10は、上部背板11、上部背板11の背面両側に設けられた上部支柱12、及び上部棚箱13から成る。上部棚箱13は上部背板11の前面に水平に取り付けられている。上部棚箱13は、上部支柱12の下端から、下部支柱22の高さ分だけ上方に上部棚箱13の下端が位置するように取り付けられている。また、上部背板11の上部には、紐を通すための紐孔14が2つ設けられ、紐15が通されている。下部棚台20は、下部背板21、下部背板21の背面両側に設けられた下部支柱22、及び下部棚箱23から成る。下部棚箱23は下部背板21の前面下端に取り付けられている。下部支柱22は内側が空洞になっている。
【0016】
連結板30は、上部背板接着部31、下部背板接着部32、及び連結部33から成る。上部背板接着部31と連結部33との境界、及び下部背板接着部32と連結部33との境界はそれぞれ直線状であり、連結板30は各境界線において折り曲げ可能である。上部背板接着部31は、上部背板11正面の上部棚箱13の取付部の下方に、下部背板接着部32は下部背板の背面に、それぞれ接着されている。連結部33と上部背板接着部31との境界線は上部棚箱13の取り付け位置下端に沿うように、水平に配置されている。連結部33の長さは上部棚箱13の底面の奥行きと同じである。なお、本実施例における上部背板11、上部支柱12、上部棚箱13、下部背板21、下部支柱22、下部棚箱23、及び連結板30は全て厚紙から成る。
【0017】
まず、図1(a)、及び図2を参照しつつ、棚箱が上下に配置された形態について説明する。連結板30を、連結部33と下部背板接着部32との境界線では折り曲げず、連結部33と上部背板接着部31との境界線で180゜折り曲げる。これにより、上部背板11と下部背板21は、連結板30を介し、上下に一列に配置されることになる。上部支柱12は下部支柱22の上部に配置されるため、上部支柱12を下方に延長し、その延長部分16(図1(a)の斜線部分)を下部支柱22の内部に収納することで、上部棚台10を下部棚台20と安定的に連結することができる。従って、紐孔14に通した紐15により、棚台全体をつり下げることができる。
【0018】
もっとも、棚箱が上下に配置された形態の棚台を床などの水平面上に配置したとしても、下部棚台20は下部支柱22、及び下部棚箱23の底面により支えられるため、安定性を保つことは可能である。
【0019】
次に、棚箱が上下に配置された形態(図1(a))から、ひな壇状に配置された形態(図1(c))に変形させる手順(図1(b)参照)を説明する。
連結板30の、連結部33と上部背板接着部31との間の境界線の折れ曲げ角度を180°から小さくしていく。その際、上部支柱12の延長部分16は元に戻しておく。同時に、連結部33と下部背板接着部32との境界線を折り曲げ、下部棚台20が上部棚台10の前方に突き出るようにする。
【0020】
連結部33と上部背板接着部31との境界線、及び連結部33と下部背板接着部32との境界線における折り曲げ角度がいずれも90°になると、連結部33は上部背板11、及び下部背板21のいずれに対しても垂直になる(図1(c)、及び図3参照)。上述のように、連結部33と上部背板接着部31との境界線は、上部支柱12の下端から、下部支柱22の高さ分だけ上方に配置されているため、下部支柱22の下端と上部支柱12の下端の高さは同一になる。従って、下部支柱22を床などの水平面上に置くと、上部支柱12の下端も同一水平面上に安定的に載置されることになり、ひな壇状の棚台を水平面上で安定的に置くことができる。さらに、本実施例では、連結部33と上部背板接着部31との境界線が上部棚箱13の取り付け位置下端に沿うように配置されているため、連結部33と上部背板接着部31との境界線における折り曲げ角度が90゜になると、上部棚箱13の底面が連結部33上に載置されることになる。
【0021】
次に、本実施例に係る棚台において、上部支柱12が延長される仕組みについて、図4を用いて説明する。上部支柱12は、外枠121とスライド芯122から成る。外枠121の内部は空洞であり、側面には細長い窓123が設けられている。スライド芯122の外寸は外枠121の内寸より僅かに小さく、指を差し込む孔124が側面の上部に設けられている。スライド芯122は外枠121の内部に、窓123と孔124が同一方向を向くように収納されている。棚箱をひな壇状に配置する構成では、スライド芯122は完全に外枠121内部に収納されている。棚箱を上下に配置する構成に変化させる際には、使用者は指を窓123を介して孔124に挿入し、孔124を窓に沿って下方にスライドさせる。これにより、スライド芯122が外枠121下端から下方に露出して、上部支柱12の長さが延長される。このようにして外枠121下端から露出したスライド芯122は、下部支柱22内部に収納され、上部支柱12と下部支柱22が連結される。
【0022】
本発明は上記実施例に限定されず、発明の趣旨の範囲内で変更が許容される。例えば、上記実施例では棚台は上下の2個であるが、3個以上にすることもできる。棚箱が3個の場合、真ん中の棚台は一番上の棚台との関係では下部棚台といえ、一番下の棚台との関係では上部棚台といえる。
【0023】
本実施例では、連結板30を、上部背板接着部31、下部背板接着部32、および連結部33から成る構成としたが、連結部33のみとすることもできる。その場合、連結部33を上部背板11や下部背板21に対し、ヒンジなどを用いて回動可能に取り付けるとよい。
【0024】
また、例えば、本実施例では上部棚台10の上部棚箱13は、連結部33と上部背板接着部31との境界線に沿う位置で取り付けられているが、連結部33と上部背板接着部31との境界線より上方に上部棚箱13を取り付けてもよい(図5参照)。この場合、棚箱をひな壇状に配置した形態では、上部棚箱13は連結板30の連結部33上に載置されることなく、連結部33から少し浮いた状態で配置されることになる。また、下部背板接着部32に下部背板21の役割を兼用させて、下部棚箱23を下部背板接着部32に直接取り付けることも可能である。さらに、棚箱は直方体である必要はなく、側面を台形にすることも可能である(図6参照)し、上部支柱12、下部支柱22の形状も、図2、図3では直方体として示したが、三角柱や円柱など、様々な形態が考えられる(図6参照)。上記実施例に係る棚台は厚紙でできているが、素材が紙に限定されるものでもなく、プラスチックなどを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0025】
10…上部棚台
11…上部背板
12…上部支柱
13…上部棚箱
14…紐孔
15…紐
16…支柱延長部分
20…下部棚台
21…下部背板
22…下部支柱
23…下部棚箱
30…連結板
31…上部背板接着部
32…下部背板接着部
33…連結部
121…外枠
122…スライド芯
123…窓
124…孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棚箱がひな壇状に配置される第1形態と、
複数の棚箱が上下に一列に配置される第2形態との間で変形自在な陳列用棚台であって、
上部棚箱と、前記上部棚箱を前面に保持する上部背板とを有する上部棚台と、
下部棚箱と、前記下部棚箱を前面に保持する下部背板とを有する下部棚台と、
前記上部背板の前面のうち前記上部棚箱よりも下の部分及び前記下部背板の背面のうち前記下部棚箱よりも上の部分に上下方向に回動可能に軸支された、前記上部棚台と前記下部棚台とを連結する連結部材とを備え、
前記連結部材を回動させることにより、前記第1形態と前記第2形態とに変形することを特徴とする陳列用棚台。
【請求項2】
請求項1に記載の陳列用棚台において、
前記上部背板の左右両側に設けられた一対の支柱であって、その下端部が前記上部背板の下端部よりも上方又は下方に位置するように伸縮可能な一対の上部支柱と、
前記下部背板の左右両側に設けられた一対の支柱であって、前記第2形態に変形させたときに前記上部支柱の伸長部分が上方から進入する孔部を有する一対の下部支柱と
をさらに備えることを特徴とする陳列用棚台。
【請求項3】
請求項2に記載の陳列用棚台において、
前記上部支柱は外枠とその内部に収納されたスライド芯からなり、該外枠の一側面には窓が設けられ、該スライド芯の一側面には前記窓を通して前記スライド芯を上下にスライドさせるためのスライド操作部が設けられていることを特徴とする陳列用棚台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46865(P2013−46865A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266859(P2012−266859)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2012−515855(P2012−515855)の分割
【原出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000133157)株式会社TANAーX (28)
【Fターム(参考)】