説明

陽性選択に基づくヒマワリおよび脂肪種子の新規で効果的な形質転換法

本発明は高度に改良された、再現性および一貫性のある、12〜15%の遺伝子組み換え植物を得られる、形質転換および再生の方法を記述している。本発明は遺伝学的に形質転換されたヒマワリ外植片が唯一の炭素源としてキシロースを利用する能力に基づいて、それらを選択する方法に関する。さらにキシロースイソメラーゼ遺伝子の核酸配列、選択マーカー遺伝子を取り込むためのベクター構築および非相同的調節配列との機能的連結下にある酵素キシロースイソメラーゼをコードした遺伝子を含むベクターを用いた目的宿主植物へのアグロバクテリウム媒介形質転換法の過程を開示する。また唯一の炭素源としてキシロースを利用する代謝的優位性を有する前記ベクターによる形質転換後に推定形質転換体を選択する方法も開示している。記述の陽性選択法に従属して、再生効率の増加、良い成長と生存が観察された。従属的な発明は、形質転換細胞の望まれない排除および、抗生物質および除草剤耐性遺伝子の分散に起因する潜在的な環境害などの陰性選択法の不利点を軽減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
ヘリアンサス・アヌウス(Helianthus annuus)、またはヒマワリ(sunflower)は扱いにくい種であり、形質転換が非常に難しい。本発明者らは高度に改良された形質転換法を報告し、それは従来の技術に対して2〜3倍の形質転換体数の増加が得られる結果となる。本発明は、遺伝子的に形質転換されたヒマワリの外植片がキシロースを唯一の炭化水素源として利用する能力に基づいて、それらを選択する方法に関する。さらに、キシロースイソメラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列、選択マーカー遺伝子を取り込ませるためのベクター作成、および非相同的調節配列のコントロール下にあるキシロースイソメラーゼ酵素をコードした遺伝子を含むベクターを有する、対象宿主植物に対するアグロバクテリウム媒介形質転換の工程が開示されている。キシロースを唯一の炭素源として利用することに対して代謝的な優位性を有する前記のベクターで形質転換後の推定形質転換体を選択する方法も開示されている。記述の陽性選択法に従属して、再生効率の増加、良好な成長と生存が観察される。従属的な発明は、抗生物質または除草剤耐性遺伝子の利用など、陰性選択法の不利な点を軽減する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
植物形質転換は現在植物生物学の中心的な研究技術であり、品種改良の実用的技術でもあり、いくつかの植物種に対するアグロバクテリウム媒介形質転換を通じた形質転換はありふれた技術になっている。ヒマワリは食用油の産生のために世界中で利用されている主要な農作物であり、数十年にわたって種を形質転換する試みがなされてきた。しかしながらヒマワリは今まで行われてきた形質転換法に対して抵抗性のある、扱いにくい種である。アグロバクテリウムやバイオリスティック法を用いたり、異なる選択マーカーを用いた種の形質転換への試みは、0.6〜6%程度のとても低い形質転換効率という結果となっている。
【0003】
植物細胞集団が形質転換された場合、形質転換された細胞の選択は通常選択マーカーを用いて行われる。植物の形質転換における主要な技術的挑戦は、形質転換が成功した細胞のスクリーニングと選択のための選択マーカーの開発である。この選択の工程はとても重要であり、形質転換体をスクリーニングするためにかかる経費は時として形質転換そのものにかかる費用を上回る。選択マーカー遺伝子の選択、選択剤、その濃度、および投与のタイミングは、形質転換された細胞の厳密な選択に非常に重要である。一方、再生は阻止されるべきではない。故に厳密な選択体制が要望されているにもかかわらず、これは形質転換体の成長能力を阻害すべきではない。二つの要求を正しく調整するような条件の選択それ自体が当該技術分野の構成要素である。
【0004】
今日特定されている、遺伝子組み換え植物または細胞を形質転換後に特定できる選択マーカーは2タイプに分別することができる。それらはそれぞれ選択的優位性または不利性を授与する、陽性および陰性マーカーに区別することができる。陰性選択マーカーは、抗生物質や除草剤の存在下でも成長することができる、形質転換後の細胞、外植片組織の能力によって、それらを選択することができるものである。形質転換体の選択に加えて、そのようなマーカーは、植物の隔離集団中の、外来遺伝子の継承の追跡にも利用可能である。
【0005】
このような陰性選択法には考慮されうる不利点がある。中でも最も重要なものは、形質転換されなかった細胞は植物毒性物質の存在下で死滅するので、密着した組織を利用していた場合、非形質転換細胞の死が形質転換細胞への栄養供給を断絶することがあったり、傷ついたまたは死に至る非形質転換細胞が毒性物質を分泌することがあるという事実によって、形質転換した細胞もまた死んでしまう危険があるということである。さらに、接種した植物中の抗生物質耐性遺伝子の存在はゆゆしき問題である。加えて、陰性選択による細胞や組織の選択は、選択工程に連動して導入遺伝子が正確に発現することが求められる。遺伝子組み換え細胞が、解毒遺伝子が発現する前または毒性化合物の作用を改善するのに十分な遺伝子産物が産生される前に毒性化合物で処理された場合、形質転換細胞も非形質転換細胞も死滅する。選択が遅れた場合、遺伝子組み換え細胞または組織の選択は、例えば非遺伝子組み換え細胞または組織からのシュートやカルスの形成によって、遺伝子組み換え細胞を選択するために使用した化合物の進入に対して障害を形成し、妨害されるだろう。
【0006】
上述した不利点はかなりの範囲で、陰性選択と反対の原理を用いる陽性選択法によって克服される。陰性または毒性物質に対する抵抗性を授与するというよりはむしろ、陽性選択は形質転換細胞に、非形質転換細胞と比較して代謝的なまたは他の比較可能な優位性を授与することで行う。遺伝子的に形質転換された細胞の同定と選択は集団内の非形質転換細胞を傷つけるまたは殺すことなく行われる。
【0007】
ヒマワリは重要な脂肪種子作物であり、形質転換および再生を扱いづらいことが報告されている(Schrammeijer et al., Plant Cell Reports, 1990 9:55〜60)。Schrammeijerらは、ヒマワリの多様な外植片からの再生において、形質転換体が陰性選択由来剤中で成長する能力によって選択されることに根本的な問題を判定した。カナマイシンとハイグロマイシンは、器官形成能力にとって有害であることが知られているにもかかわらず、ヒマワリ形質転換の選択剤として広く用いられている(Everett et al., 1987; Mullar et al., 2001)。
【0008】
本発明は、ヘリアンサス・アヌウス種に属する形質転換体の新規な選択法、特に形質転換組織外植片に特定の化合物、好ましくはキシロース、の代謝能力を授与することで、形質転換された外植片を単に前述の選択剤を含む培地で培養することで選択される陽性選択法の実証について開示している。
【0009】
本明細書で開示されている選択法は、再生に適した形質転換外植片をスクリーニングおよび選択する方法に関するものである。安定した、正確な、高い形質転換および再生効率が本発明者らの方法を通じて得られた。記述されている本技術の利点は、既存の技術と区別するのに十分明確である。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
ヒマワリは食用油の産生に世界的に利用されている主要な作物である。アグロバクテリウム法やバイオリスティック法を利用した種の形質転換への試みは、異なる選択マーカーを利用することでも0.6〜6%に分布する非常に低い形質転換効率という結果になっている。本発明は、12〜15%の形質転換植物が得られる結果となる、高度に改良された、再現性の高い、および安定した形質転換法および再生法について記述する。
【0011】
本発明は、ヘリアンサス・アヌウス種の形質転換外植片にキシロースの代謝能力を授与する陽性選択法に関する。発明の一面は、選択マーカー遺伝子を含むベクターコンストラクトを構築することに関連する。特定の一面は、感染に適した条件下で宿主植物外植片に選択マーカー遺伝子を含むコンストラクトベクターを形質転換するアグロバクテリウム媒介法に関連する。目的の遺伝子を含む形質転換に成功した細胞は、それらの細胞に選択剤を含む適正な培地上で共に培養した場合、非形質転換細胞以上の選択的代謝優位性を与える陽性効果を生じる。この選択的優位性はマーカー化合物の存在下におけるマーカー遺伝子の発現に成功することに起因する。
【0012】
さらなる一面によると、形質転換された組織集団に供給される選択的マーカー化合物は、形質転換された外植片の中でマーカー遺伝子の発現を誘発するキシロースである。
【0013】
さらに、従属的な発明の付加的な一面は、キシロースイソメラーゼの生物学的活性を有するタンパク質をコードしたポリヌクレオチド分子に関連する。とくに、その一面は配列番号3に記述されたポリヌクレオチドに関連する。
【0014】
さらに、開示された方法で獲得される形質転換効率は12〜15%であり、再生効率は抗生物質(ハイグロマイシン)に基づく陰性選択法の2〜3倍であることが判明した。
【0015】
従来の技術
「マンノースまたはキシロース陽性選択(Mannose or Xylose positive selection)」と題された米国特許出願5,767,378は少なくとも1つの化合物を含む培地上または培地中で培養された真核細胞の集団から、形質転換された結果として代謝優位性を有する細胞を特定または選択する方法に関する。そこで細胞は、発現がマンノースまたはキシロースなどの化合物の代謝の結果となるヌクレオチド配列を形質転換され、またはヌクレオチド配列を共導入される。
【0016】
Haldrup et al.(1998)は、ジャガイモ、トマトおよびタバコ種に対してD‐キシロースを選択剤とするとThermoanaerobacterium thermosulfurogenes由来のキシロースイソメラーゼ遺伝子が形質転換植物に効果的な選択をもたらすことを立証した(Plant Molecular Biology(1998),37(2), 287〜296)。キシロースイソメラーゼ遺伝子はアグロバクテリウム媒介形質転換法によって目的植物まで輸送された。選択研究は、ジャガイモおよびトマトにおいて、キシロースイソメラーゼ選択はカナマイシン抵抗性選択と比較してより効果的であるのに対して、タバコ植物においては逆の効果が観察されたことを示していた。
【0017】
「所定の植物への形質転換のための陽性選択マーカー遺伝子(Positive selection marker genes for routine plant transformation)」と題された最近の概説は、これまで使われてきた選択可能なマーカー遺伝子は抗生物質抵抗性遺伝子または除草剤耐性遺伝子であると述べている。また、遺伝子組み換え細胞に非形質転換細胞以上の代謝優位性を授与するマーカー遺伝子の新しい一団についても記述している。
【0018】
Haldrup et al.(2001)はキシロースイソメラーゼの選択マーカーとしての利用に基づいた形質転換植物の選別について記述している(In Vitro Cellular & Developmental Biology: Plant(2001), 37(2), 114〜119)。
【0019】
米国特許出願5,767,378の継続部分はさらに、所望のヌクレオチド配列が、細胞集団に形質転換細胞に不活性化合物を供与した場合に、競合優位性を与えることによる陽性効果を誘発し、その結果非形質転換細胞の集団から形質転換細胞を特定できるような所望のヌクレオチド配列を導入した、またはヌクレオチド配列を細胞の遺伝子の中に共導入されたものを含む、遺伝子的に形質転換された細胞を細胞の集団から選択する方法に利用する、サイトカイニングルクロニド化合物を含む新規のグルクロニド化合物に関する。
【0020】
Hou et al.は選択可能なマーカー遺伝子の遺伝子組み換え植物への利用およびその除去について記述している。概説は、イソペンテニルトランスフェラーゼ遺伝子、キシロースイソメラーゼ遺伝子、ホスフォマンノースイソメラーゼ遺伝子およびβ‐グルクロニダーゼ遺伝子を利用した、遺伝子組み換え植物内の陽性選択マーカーに重点を置いた、選択マーカー遺伝子の遺伝子組み換え植物への利用およびその除去に焦点を当てている。また同時形質転換を利用したマーカー遺伝子の除去法、サイト特異性組み換えシステム、トランスポゾン媒介再配置および相同組み換えについても記述している。
【0021】
本明細書で開示されている選択の方法は前述の先行技術文献と区別するのに十分なほど明確である。本発明は、ヘリアンサス・アヌウス種に属する、形質転換された植物の外植片の陽性選択法に、明確に狙いを定めている。さらに、キシロースイソメラーゼタンパク質をコードした選択可能なマーカー遺伝子は生物シゾキトリウムから単離され、宿主植物種での発現に適合するように変化されたものである。明記しなければならないことは、ヒマワリ植物における高形質転換効率はほとんど報告されていないことである。さらに、様々なタイプのヒマワリの外植片からの再生におけるいくつかの問題点について明記しておく(Schrammeijer et al., Plant Cell Reports, 1990 9:55〜60)。
【0022】
本発明者らは12〜15%の形質転換効率および再生効率‐これまで達成されたものの2〜3倍の効率‐を報告する。
【0023】
発明の詳細な説明
「選択可能なマーカー遺伝子」なる用語は、好ましくは目的遺伝子と共導入された任意のヌクレオチド配列のことを指し、前記選択可能なマーカー遺伝子によって形質転換細胞に選択的な優位性を授与するものである。
【0024】
「選択剤」なる用語は、例えば問題の細胞に対して実質的に生物学的に不活性な形状で存在する選択可能なマーカー遺伝子の発現がない状態の場合は不活性であるが、選択可能なマーカーが発現または転写された場合、目的遺伝子を含む遺伝子的に形質転換された細胞に選択的優位性を与えるように加水分解を受けるまたはそのほかの方法で活性化または代謝され、その結果細胞を選択できるようになる、化合物または栄養物の不活性体または前駆体のことである、
【0025】
本明細書で使用されている「選択的優位性」なる用語は、選択的、代謝的および生理学的優位性を含み、形質転換細胞が劣等(非形質転換)細胞より迅速に発育できる、または劣等細胞が利用できないような(栄養物の前駆体などの)基質を優位に利用可能である、という意味である。
【0026】
例:1
スラウストキトリウム菌株SC‐1からのキシロースイソメラーゼの複製
全RNAは、ゴア(Goa)の入り江から単離されたスラウストキトリウムである、シゾキトリウムSC‐1の3日培養体から単離した。CDNAはmRNAからsuperscript Rnase (GibcoBRL)を用いて合成した。cDNAはpSPORT1ベクターのNotI‐SalIサイトに複製され、大腸菌DH10Bに形質転換された。
【0027】
初代のcDNAライブラリーは2×106クローンからなり、一方増幅ライブラリーは2×1010クローン/mlの力価を有する。ESTクローンを無作為に選び、挿入部位をSP6およびT7プライマーで増幅した。2000cDNAクローンの5’末端を無作為に選択し、T7プライマーを利用してシークエンシングした。SC‐1のcDNAライブラリーからのクローンの5’末端シークエンシングは158bpの5’UTRと30bpの3’UTRを含むキシロースイソメラーゼ(xylA)の全長をコードした1511bpのcDNAである1.5kbのcDNAクローンの同定に導いた。これは1481bpのORFを有していた。
【0028】
CDSの配列は配列番号1に提供されている。これはSC‐1のキシロースイソメラーゼ転写物の全長配列である。配列は440アミノ酸からなるタンパク質に翻訳される。翻訳タンパク質のアミノ酸配列は配列番号2に記述されている。配列はArabidopsis thalianaのキシロースイソメラーゼと74%の相同性を示している。これは完全なキシロースイソメラーゼ領域を含み、SC‐1のキシロースイソメラーゼとして設計されている。SC‐1デサチュラーゼの1.5kb配列中の完全なキシロースイソメラーゼ領域の存在は図1に記述されている。
【0029】
図2は、キシロースイソメラーゼ領域とSC‐1由来のモチーフとの相同性を記述している。
【0030】
例2
キシロースイソメラーゼのコドン最適化
SC‐1のキシロースイソメラーゼ(xylA)配列は、植物としては比較的まれなコドンを利用している。SC‐1がアルギニンのコードに大部分はCGCを利用しているのに対し、アルギニンコドンがCGCである植物はたった9%である。したがってCGCコドンを、アルギニンとして頻繁に利用されているコドンに置き換えた。クローンは植物への導入に先立って、9つのヌクレオチドを置換するために、多重部位特異的突然変異誘発(multi-site directed mutagenesis)が2回行われた。最適化された配列は配列番号3に記述されている。
【0031】
例3
キシロースイソメラーゼのpGEX発現ベクターへのクローニング
コドン最適化遺伝子が転写および翻訳をするかどうかを確認するために、pSPORT1由来のコドン最適化SC‐1xylA遺伝子を、BamHI部位を含む順方向プライマー(5’GCGCGGATCCATGGGTGAATTCTTTC3’)およびXhoI部位を含む逆方向プライマー(5’GAAACTCGAGCTTGTCGATTAAGAAATGTATTGGTT3’)で増幅した。増幅されたPCR産物(1323)はBamHIおよびXhoIで消化した。pGEX‐4T‐3はタンパク質をタックプロモーターの制御下にある26kDaグルタチオンS‐トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させるときに利用する発現ベクターである。pGEX‐4T‐3をBamHIおよびXhoIで消化し、PCR産物(BamHIおよびXhoIで制限酵素処理されたもの)を2つの部位の間に指向的にクローニングした‐結果物のクローンはpGEX‐XIと呼ばれている。pGEX‐XIのマップは図3に記述されている。
【0032】
キシロースイソメラーゼ融合タンパク質の大腸菌での発現
キシロースイソメラーゼ遺伝子を有するpGEX‐XIを大腸菌BL21株に形質転換した。形質転換細胞を100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地上で選択した。コロニーを無作為に選び、100μg/mlのアンピシリンを含むLBの中で一晩育成した。1%の一晩培養物はスターターカルチャーとして、100μgのアンピシリンを含むLB培養液に植菌した。培養物はO.D.600の数値が約0.6〜0.7に近づくまでインキュベートした。それぞれ2mlの培養物に1mMのIPTGで誘導して3時間おいた。同時に、2mlの培養物をコントロールとして誘導なしに沈下させた。細胞沈殿物は100μlのサンプルバッファで再懸濁され、50μlを10%SDS‐PAGEゲル上に充填した。誘導は図4に示されている。
【0033】
GST‐キシロースイソメラーゼ融合タンパク質の期待される大きさである、76KDaのタンパク質が誘導細胞クローン1および2で観察され、非誘導細胞には不在であった。したがってコドン最適化キシロースイソメラーゼは正しいリーディングフレームにあり、転写および翻訳可能である。
【0034】
大腸菌におけるキシロースイソメラーゼ遺伝子の機能の証明
大腸菌菌株AB477(proA2、his‐4、aroC1、thi‐1、lacY1、galK2、xyl‐5、mtl‐1、lambda、supE44)はキシロースイソメラーゼ(xylA)欠損である(Haldrup et al., 1998 & 2001)。突然変異体中でのキシロースイソメラーゼ遺伝子の相補性は、この菌株を利用および育成可能にし、その結果その機能が証明される。大腸菌菌株AB477はE.Coli Genetic Stock Center, USAから獲得した。pGEX‐4T‐3中のキシロースイソメラーゼ遺伝子を大腸菌菌株AB477のコンピテントセルに形質転換し、1%(w/v)D‐キシロースおよびアンピシリン(100μg/ml)を含むMacConkeyアガープレートに配置した。XylA遺伝子を取り込んだ形質転換体はD‐キシロースを発酵可能になり、キシロースを含むMacConkeyアガープレート上で赤くなった。
【0035】
AB477宿主細胞、pGEX‐4T‐3で形質転換した細胞およびpGEX‐XIで形質転換した細胞を、アンピシリン(100μg/ml)を含むMacConkey培地と同様にキシロース(1%w/v)およびアンピシリン(100μg/ml)を含む培地にそれぞれ配置した。赤いコロニーが、pGEX‐XIと共にキシロースを含む培地に入れたものから得られたが、宿主細胞とpGEX‐4T‐3キャリアのAB477は培地中では育成しなかった。したがって、SC‐1から単離したコドン最適化キシロースイソメラーゼ遺伝子は翻訳され、機能している。
【0036】
例4
キシロースイソメラーゼのpCAMBIAへのクローニング
pCAMBIA 1301はpPZPベクター由来のベクターである。ベクターはハイグロマイシンホスフォトランスフェラーゼ(hpt)をCaMV35Sプロモーターの下流に含み、CaMV35SポリAシグナルで終了する。この遺伝子はハイグロマイシンへの抵抗性を与えるので、形質転換された細胞はハイグロマイシンを含む培地で選択される。
【0037】
pSPORT内のコドン最適化キシロースイソメラーゼ(xylA)遺伝子のORFを、XhoI部位をそれぞれ含む順方向プライマー(5’CTCTCTCGAGCAACCATGGGTGAATTCTTTCC3’)および逆方向プライマー(5’GAAACTCGAGCTTGTCGATTAAGAAATGTATTGGTT3’)で増幅した。増幅断片をXhoIで制限酵素処理した。hpt遺伝子を放出するためにpCAMBIA 1301も同時にXhoIで処理し、アガロースゲルから精製したベクターを増幅断片とライゲーションした。キシロースイソメラーゼクローン由来のORFの増幅とpCAMBIA‐XIをXhoIで制限酵素処理したものは図5に記述してある。
【0038】
ライゲーション混合物をDH10Bに形質転換した。形質転換されたコロニーを選出し、これらのコロニーから単離したプラスミドをXIプライマーで増幅し、同じものでシークエンシングした。このように正しい位置付けおよび正しいフレームにXI遺伝子を有するものが同定された。正しいフレームでクローニングされた遺伝子の配列は配列番号4に提供されている。
【0039】
図6は、pCAMBIAベクターのフレーム内にあるコドン最適化キシロースイソメラーゼのSC−1転写物の全長配列および、pCAMBIA‐CO‐XI内のhptをXIで置換したものの配列である。pCAMBIA 1301ベクターのXhoI部位の間にクローニングされたハイグロマイシンホスフォトランスフェラーゼをコードしたhpt遺伝子がハイグロマイシンに代わってコドン最適化キシロースイソメラーゼに置き換えられたものをpCAMBIA‐XIと名付けた。
【0040】
例5
キシロースイソメラーゼを陽性選択マーカーとして利用するヒマワリの形質転換
遺伝的な物質が形質転換によって細胞集団に導入された場合、ある数の細胞だけが形質転換に成功するということが知られている。形質転換された細胞の同定および選択は伝統的に、形質転換細胞は悪化させる能力を有する剤を含む培地上で生き残れるが、非形質転換細胞は培地上で死んでしまうことによる、陰性選択を利用して遂行されてきた。ハイグロマイシンは最も一般的に利用されている抗生物質であり、形質転換に利用するコンストラクト中のハイグロマイシンホスフォトランスフェラーゼ遺伝子(hpt)が形質転換細胞に抵抗性を与え、その抗生物質を含む培地中で育成する。
【0041】
これらの陰性選択法にはある不利点がある。育成培地中の抗生物質の存在によって、非形質転換細胞が死ぬことがあると、それらは毒素を培地中に放出し、それは形質転換細胞にとっても阻害性および毒性を有する。さらに、接種した植物および微生物中の抗生物質抵抗性遺伝子の存在は、環境団体および政治的権威にとってはゆゆしき問題である。加えて、陰性選択を用いた細胞または組織の選択には、選択過程において導入遺伝子の発現の正確な時間調節が求められる。無毒化遺伝子が発現する前または毒性化合物の反応を改善するのに十分な遺伝子産生物が産生される前に形質転換細胞が毒性化合物で処理された場合、形質転換細胞および非形質転換細胞の両方が死ぬ。選択が遅れた場合、形質転換細胞または組織の選抜は、例えば非形質転換細胞または組織からのシュートやカルス形成によって、それが形質転換細胞を選択するために使用された化合物の進入に対して障害を形成し、妨害されるだろう。
【0042】
上記の不利点はかなりの範囲で、陽性選択法によって克服され、それは集団中の非形質転換細胞を傷つけたり殺したりすることなく、および抗生物質または除草剤耐性遺伝子を導入することなく選択的に形質転換細胞を育成することができる。
【0043】
多くの植物種は先天的にキシロースの代謝能力を有しておらず、したがってキシロースを唯一の炭素源とする培地の上では繁栄することができない。選択マーカーとしてキシロースイソメラーゼを有するコンストラクトを用いたこれらの種の形質転換は、形質転換細胞にキシロースを炭素源として利用する能力を与える。
【0044】
ヒマワリの形質転換と選択:
植物素材:
本発明者らの研究のため、本発明者らはヘリアンサス・アヌウスCMS234B−インドで交配種のヒマワリを産生するための雌親として広く使われている近交系である234Aの維持系統−を用いた。これは、ナショナルチェックであり、42%の油脂含有量を有する、全ての交配種産生の維持系統として利用される短期存続期間品種(90〜100日)KBSH1 Hybridの親系統である。
【0045】
ヘリアンサス・アヌウスCMS 234Bの種子の外皮を除去し、70%アルコールで2分間、0.1%塩化第二水銀で4分間滅菌した。滅菌された種子は滅菌水で4〜5回精力的に洗浄し、生物学的酸素要求量(BOD)で25℃で2時間水中で吸水膨潤させた。3つの異なる外植片、つまり、茎頂端分裂組織(shoot apical meristem)、分裂胚芽中軸(Split embryonic axis)、および子葉の再生効率を試行した。これらの中で、分裂胚芽中軸(SEA)外植片が再生の最大潜在能力を持つことが見出された。
【0046】
分裂胚芽中軸(Split embryonic axis)外植片の単離
種子の滅菌の後、薄い半透明の種子外被および内部の薄い透明な内胚乳層を注意深く剥離した。最初に茎分裂組織を切り裂くため、子葉を2つの子葉が連結されている線に平行に切断した。茎頂端分裂組織の先端からの原始葉が存在する場合は、それを注意深く切り取った。根分裂組織を含む組織を取り除き、最後に茎頂端分裂組織の中心を通る方向に切断した。外植片は湿らせた濾紙の上に集められた。
【0047】
キシロースを炭素源として利用する能力によるスクリーニング
ヒマワリがキシロースを炭素源として利用可能かを究明するため、外植片を、スクロースおよびキシロースをそれぞれ含む再生培地の上で培養した。100のSEA外植片が単離され、炭素源がa)3.5%スクロース、b)3%キシロース、c)炭素源なしである0.5mg/lのBAPを含むMurashige and Skoog Medium(MS培地)上で3週間培養された。外植片に対する炭素源の効果は3週間後に観察された。
【0048】
図7はA)スクロース(35gm/l)上で培養した、B)D‐キシロース(30gm/l)上で培養した、C)炭素源無しの培地上で培養したヒマワリSEA外植片を表したものである。外植片は3週間後に撮影された。
【0049】
キシロースを含む培地で培養された外植片は2〜3週間以内に茶色くなり死んだ。これらの外植片は炭素源の存在しない培地で育てられた外植片と似たように見えた。したがってヒマワリCMS234BのSEA外植片はキシロースを炭素源として利用できないように思われる。
【0050】
pCAMBIA‐XIを利用したヒマワリの形質転換
アグロバクテリウムによるトランスフェクション
種子を滅菌し、分裂胚芽中軸を前述したように単離した。バイナリーベクターpCAMBIA 1301(hpt遺伝子を所持するもの)を擁するAgrobacterium tumefaciens菌株GV3101とpCAMBIA‐XIベクターを所持する菌株を比較のために利用した。
【0051】
グリセロールストックからのアグロバクテリウム細胞をリファンピシン(10μg/ml)、ゲンタマイシン(10μg/ml)およびカナマイシン(50μg/ml)を含むLuria-Bertani(LB)培地で1晩育成し、O.D.600=1.0に近づくまで4〜6時間の間指数関数的に増加させた。細胞を6000rpmで5分間、4℃で遠心分離し、MSリキッドでO.D600が1.0に近づくように洗浄、再懸濁した。摘出された外植片をただちに25mlの再懸濁培養物を含む真空浸透フラスコに移した。200mbarで15分間吸引し、すばやく解放した。培養物は完全に吸引除去され、外植片を吸い取り紙の上に集めた。外植片を0.5mg/lのBAPと2gm/lのスクロースを含むMS培地に移し、2日間26℃、暗黒下に置いた。
【0052】
例:6
選択および再生:
陽性選択および再生
2日間の共培養の後、外植片を250mg/lのセフォタキシムを含むMurashige and Skoog(1972)液体培地で徹底的に洗浄した。そして外植片を、0.5mg/lのBAP、15gmD‐キシロース、5gm/lのスクロース、250mg/lのセフォタキシム、8gm/lの寒天を含むMS培地に移し、pH5.6に保って、16時間の照光状態と8時間の消光状態という光周期で3週間、2回の継代培養をした。選択期間の終了後、シュートを1/2強度のMS培地を含むElongation Mediumの上で継代培養した。2週間後、伸長したシュートをRooting Medium(0.01mg/lのIBAを含む1/2MS培地)に移した。根の生えた植物は、土壌とバーミキュライトの混合物に移す前に2日間水中で馴化させた。
【0053】
陰性選択および再生
2日間の共培養の後、外植片を250mg/lのセフォタキシムを含むMS培地で徹底的に洗浄した。外植片はSelection and regeneration medium(0.5mg/lのBAP、15mg/lのハイグロマイシン、250mg/lのセフォタキシム、30gm/lのスクロース、8gm/lの寒天を含むMS培地、pH5.6)選択期間の後、シュートを伸長培地(Elongation medium)上で2週間継代培養した(1/2強度のMS培地)。伸長したシュートを根付け培地(Rooting medium)(0.01mg/lのIBAを含む1/2強度のMS培地)に移し、根の生えた植物は続いて土壌に移された。
【0054】
陽性および陰性選択の比較
外植片をpCAMBIA 1301(hptあり)およびpCAMBIA‐XI(hptに代わってキシロースイソメラーゼがあるもの)で形質転換され、異なる濃度のハイグロマイシンとキシロースをそれぞれ含む、それぞれの選択培地で選択された。最初の選択を生き残った外植片は、2番目の選択のために同じ培地に21日間移された。外植片は続いてそれぞれの伸長培地に移された。健康な小シュートはそれぞれの根付け培地に移された。
【0055】
行われた観察は下に表にしてある。
A)pCAMBIA 1301で形質転換した外植片:ハイグロマイシンを含む培地上での選択
【表1】

【0056】
B)pCAMBIA‐XIで形質転換した外植片:キシロースを含む培地上での選択
【表2】

【0057】
図8は、A)ハイグロマイシン(25mg/l)およびB)キシロース(15g/l)+スクロース(5gm/l)上で培養された形質転換SEA外植片の2週間の選択後に観察された発芽を表している。ハイグロマイシンは外植片にとってキシロースよりも強い毒性効果を有するように思われる。ハイグロマイシン培地上で育成した外植片から出芽した芽は萎縮で水分過多(hydric)に見える。それらは良く成長せず、伸長培地上ではほとんど生き残らない。最低濃度のハイグロマイシンにおいてであっても再生効率はとても低い。
【0058】
キシロースで選択した外植片では良い発芽効率が観察された。多くの外植片が正常なシュート芽を出芽していて、これらの芽は2回目の選択にも良く生き残っている。ハイグロマイシン培地では1〜2の群がって発育不良のシュートであったのと比較して、陽性選択では外植片ごとに2〜3の健康なシュートが検察された。D‐キシロース培地上で育成された小植片は、ハイグロマイシン上で育成された小植片と比較して、90%の緑色の組織を含んでいた。外植片はまた、伸長培地上でも良い生存と成長が見られた。芽は健康的で、伸長培地中で小シュートへと発達した。
【0059】
本発明者らは、選択にhptを用いるものに対して2〜3倍の数の小植片の再生数を、XIを利用したもので観察した。トランスフェクション後の選択培地で5gのスクロースと15gのキシロースを用いることでさらなる再生効率の改良が観察された。後述するのは、陽性選択を用いたヒマワリの形質転換および再生の規格化された手順である。
【0060】
・ヘリアンサス・アヌウスCMS 234Bの種子の外皮を除去し、70%のアルコール中で2分間滅菌し、0.1%の塩化第2水銀で4分間処理する。
・滅菌した種子を滅菌水で4〜5回精力的に洗浄し、BODで25℃で2時間水中で吸水豊潤させる。
・子葉、小根、原始葉を取り除き、分裂胚芽中軸(SEA)を露出させる。
・SEA外傷片にAGT‐D15‐XIを所持するアグロバクテリウムカルチャーGV3101を感染させる。(OD600=1.0)
・200mbarで15分間真空浸透させる。
・100mg/lミオイノシトール、0.5mg/lのBAP、2g/lのスクロース、8g/lの寒天を含むpH5.6のMS培地で2日間共培養する。
・外植片を15分間、35g/lのスクロース、100mg/lのミオイノシトール、250mg/lのセフォタキシムを含むpH5.6のMS培地中で洗浄し、吸い取り乾燥する。
・100mg/lのミオイノシトール、15g/lのキシロース、2gm/lのスクロース、0.5mg/lのBAP、250mg/lのセフォタキシム、8g/lの寒天を含むpH5.6のMS培地で3週間継代培養する。
・50mg/lのミオイノシトール、15g/lのスクロース、250mg/lのセフォタキシム、8g/lの寒天を含むpH5.6の1/2MS培地で1週間継代培養する。
・50mg/lのミオイノシトール、0.01mg/lのIBA、250mg/lのセフォタキシム、8g/lの寒天を含むpH5.6の1/2MS培地で共培養する。
・小植片を最終的に赤土(10%)とバーミキュライト(90%)の混合物を含む植木鉢の上に移す。
【0061】
図9はA)第一選択培地上のSEA外植片を表している。B)&C)伸長培地、D)根付け培地、E)&F)硬化段階にある小植片。
【0062】
pCAMBIA 1301による形質転換では、100個の外植片から出発して、hpt遺伝子を所持する形質転換植物が2〜3個得られる。しかしながら、pCAMBIA‐XIを用いた形質転換では、同じ数の外植片から出発して、XI遺伝子を所持する形質転換植物が12〜15個得られる。ハイグロマイシン選択を通して得られた小植片はほとんどなかった上に、これらの小植片は非常に弱く、完全な植物には成長しない。
【0063】
例:7
分子分析
形質転換後に得られた小植片を、XIプライマーで増幅することによって、選択マーカー遺伝子でスクリーニングした。
【表3】

【0064】
形質転換した小植片から単離されたゲノムDNAを上記プライマーで増幅した。利用した増幅条件は下記のとおりである。
【表4】

【0065】
利用した周期条件は以下のとおりである。
増幅条件は以下
【表5】

【0066】
図10は形質転換したSEA外植片をXIプライマーで増幅したものである。選択された小植片、pCAMBIA1301‐XIが所持していた、100ngのゲノムDNAをXIプライマーで増幅した。レーン1〜10:異なる外植片からのDNAサンプル、+:アグロバクテリウムDNA、M:1kbラダー
【0067】
注記:9つの外植片におけるXIプライマーでの増幅は、これらのサンプルがそのゲノム内に融合したXIを有していることを示唆している。
およそ90%の選択された外植片が、形質転換された外植片中でのXI遺伝子の増幅に見られるように、それらのゲノム中にXI遺伝子の融合を見せた。
したがって本発明者らは、今まで世界中で他の選択マーカーを用いて報告されてきた0.2〜6.2%という形質転換効率と比較してキシロースイソメラーゼによる選択を利用して12〜15%という安定した形質転換効率を報告する。
【0068】
したがって本発明者らは、SC1のキシロースイソメラーゼの陽性選択への利用はヒマワリ外植片の形質転換に対して効果的な方法であるとわかった。この選択システムは、伝統的なカナマイシンおよびハイグロマイシンに基づいたシステムより効果的で多くの数の遺伝子組み換え植物を得られる結果となる。これはまたヒマワリのような扱いにくい作物から遺伝子組み換え物を調達するという問題を、遺伝子組み換えヒマワリを産生することに成功することによって解決した。最後に、これはまた代替的選択マーカーの要求を満たし、抗生物質耐性遺伝子を遺伝子改変植物の開発に利用することを回避した。
【0069】
[配列リストの簡単な説明]
[配列番号1]SC1のキシロースイソメラーゼ転写物の全長配列。
[配列番号2]SC1のキシロースイソメラーゼの翻訳タンパク質のアミノ酸配列。
[配列番号3]植物での発現に最適化された後のキシロースイソメラーゼの配列。
[配列番号4]pCAMBIAベクター中のフレーム内におけるコドン最適化キシロースイソメラーゼ転写物の全長配列。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】SC‐1デサチュラーゼの1.5kb配列中の完全なキシロースイソメラーゼ領域の存在。
【図2】キシロースイソメラーゼ領域とSC‐1由来のモチーフとの相同性。
【図3】pGEX‐XIのマップ。大腸菌での発現を研究するため、キシロースイソメラーゼ遺伝子はBamHI部位とXhoI部位の間をクローニングした。
【図4】大腸菌へのキシロースイソメラーゼの誘導。形質転換されたSEA外植片のXIプライマーを用いた増幅。レーンI:誘導されたもの、U:誘導されていないもの、1,2,3:キシロースイソメラーゼ遺伝子を所持する異なるクローン、M:MWマーカー。
【図5】A.キシロースイソメラーゼクローン由来のORFの増幅。B.pCAMBIA‐XIをXhoIで制限酵素処理。hpt遺伝子のXhoI部位からの放出を注記する。
【図6】pCAMBIA‐CO‐XI内のhptをXIで置換したもの。
【図7】A)スクロース(35gm/l)上で培養した、B)D‐キシロース(30gm/l)上で培養した、C)炭素源無しの培地上で培養した未形質転換ヒマワリSEA外植片。外植片は3週間後に撮影された。
【図8】A)ハイグロマイシン(25mg/l)およびB)キシロース(15g/l)+スクロース(5gm/l)上で培養された形質転換SEA外植片の、2週間の選択後に観察された発芽。
【図9】A)第一選択培地上のSEA外植片。B)&C)伸長培地、D)根付け培地、E)&F)硬化段階にある小植片。
【図10】形質転換したSEA外植片のXIプライマーによる増幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子的に形質転換された脂肪種子植物、より詳細にはヘリアンサス・アヌウス(Helianthus annuus)の外植片を選択および再生する方法であって、
a)選択剤キシロースの代謝のために要求される酵素キシロースイソメラーゼをコードする調節配列と作動可能に結合した核酸配列を組み込んだ組み換えベクターの構築、
b)前記ベクターの、感染に最適な条件下での植物外植片へのアグロバクテリウム媒介法による形質転換、
c)ステップa)の選択剤を含むMS培地上での、推定形質転換体の選択ステップ、
d)選択された植物外植片の再生ステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
使用する種が、ヘリアンサス・アヌウスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酵素キシロースイソメラーゼをコードする核酸配列が、生物シゾキトリウムから単離された、配列番号1に記述されているものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのヌクレオチド配列が、改変され、そうして改変されたDNAの発現が宿主植物外植片において起こる、請求項3に記載の核酸配列。
【請求項5】
配列が、配列番号3に記述されている、請求項4に記載の核酸配列。
【請求項6】
配列番号2に記述されている、請求項3に記載の発現タンパク質に対応するアミノ酸配列。
【請求項7】
調節配列がプロモーター配列である、請求項2に記載の核酸。
【請求項8】
選択剤がキシロースである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
遺伝子的に形質転換された植物外植片が請求項5に記載のヌクレオチド配列を含むベクターを保持し、発現が形質転換された外植片に非形質転換細胞を超える代謝優位性を授与するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
形質転換外植片および非形質転換外植片双方を、請求項5に記載の核酸による酵素の発現に起因する炭化水素源としての選択剤を利用する代謝優位性に基づいて選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
得られた形質転換効率が10%またはそれ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
得られた形質転換効率が15%またはそれ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
再生効率が、表1の説明に記述されているハイグロマイシンに基づく陰性選択の方法に対して2〜3倍である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−523021(P2009−523021A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549938(P2008−549938)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000491
【国際公開番号】WO2007/080440
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508180806)アヴェスタゲン リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】AVESTHAGEN LIMITED
【住所又は居所原語表記】‘Discoverer’9th Floor,Unit 3,International Tech Park,Whitefield Road,Bangalore−560 066,Karnataka(IN)
【Fターム(参考)】