説明

階段照明装置、及びそれを備える階段

【課題】利用者が安全に階段を利用できる環境を提供する。
【解決手段】複数の段板9を備える階段5の利用者を検知する検知部2と、複数の段板9に夫々配設される光源部3と、検知部2での検知に基づき光源部3の点灯制御を行う制御部4と、を備え、制御部4は、光源部3を消灯させている際に、検知部2が、階段5の上段6端又は下段7端の何れかにて利用者を検知した場合において、該利用者が検知された階段5の端の段板9に配設されている光源部3から、階段5の他端の段板9に配設されている光源部3まで順次点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段の照明に用いられる階段照明装置に関し、特に、安全に該階段を利用できる環境を提供する階段照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の階段において、その利用者が足をのせる段板を踏み外した場合には、該利用者が怪我をしてしまうことがある。特に、前記階段の明るさが不足する場合には、前記利用者が前記段板を視認することが困難となり、該利用者が段板を踏み外すリスクが高まる。
【0003】
前記階段における明るさ不足を解消するためには、該階段に階段照明装置を設けることが一般的である。前記階段照明装置としては、種々のタイプがある。その中で、前記利用者が前記階段照明装置のスイッチを入れて点灯させる煩わしさを解消するため、センサを設けて前記利用者を検知し、自動的に該階段照明装置の点灯を開始させるものがある。例えば、前記特許文献1に開示される階段照明装置(照明つき階段)は、前記段板や、前記階段の手すりに前記利用者の存在する位置を検知するセンサを設け、該センサによる該利用者の存在する位置に対応した該段板の踏面に配設された発光ダイオード(以下、「LED」と記載する。)を点灯させる。これにより、前記利用者は、前記LEDが点灯することにより、前記階段の明るさが不足する場合であっても、前記段板の踏面を視認できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−146747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示される階段照明装置おいては、前記階段の利用者の進行方向、即ち該利用者が階段を上ろうとしているのか、下りようとしているのかを検知する構成は設けられていない。よって、前記階段照明装置では、前記利用者が存在する位置に対応した前記段板の踏面に配設された前記LEDは点灯されるものの、該利用者の進行方向の前記段板の踏面に配設された前記LEDが点灯されていないケースも発生するものと考えられる。このような場合、前記利用者は、進行方向の前記段板を視認することが困難となってしまう。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決することを目的としてなされたものであり、利用者が安全に階段を利用できる環境を提供する階段照明装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の階段照明装置は、複数の段板を備える階段の利用者を検知する検知部と、複数の前記段板に夫々配設される光源部と、前記検知部での検知に基づき前記光源部の点灯制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記光源部を消灯させている際に、前記検知部が、前記階段の上段端又は下段端の何れかにて前記利用者を検知した場合において、該利用者が検知された該階段の端の前記段板に配設されている前記光源部から、該階段の他端の該段板に配設されている該光源部まで順次点灯させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の階段照明装置は、前記検知部が、タッチセンサにより構成され、前記階段に沿って配設された手すりに配設されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の階段照明装置は、前記光源部が、ライン状に並べられた複数のLEDにより構成されると共に、前記段板の段鼻の裏面に、該段板の幅方向に沿って設けられた溝内に配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の階段照明装置は、前記光源部が、前記段板の幅方向全域に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の階段照明装置は、検知部が利用者を階段の上段端又は下段端の何れかにて検知することで、制御部が、前記利用者が検知された該階段の端に配設されている段板の光源部から、該階段の他端に配設されている段板の光源部まで順次点灯させる。これにより、本階段照明装置は、前記利用者の進行方向を光源部により照明するので、該利用者が前記段板などを視認しやすい環境を提供できる。また、本階段照明装置は、前記光源部が順次点灯されることにより、徐々に前記階段を明るくするので、深夜等該階段の周囲が真っ暗な状況であっても、前記利用者が明るさに順応しやすい環境を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の階段照明装置は、前記利用者が、前記検知部が備えられる手すりを掴まなければ、前記光源部の点灯が開始しない。従って、本階段照明装置は、該利用者に該手すりを掴んで前記階段を利用することを動機付けることができ、もって前記階段をより安全なものとすることができる。
【0013】
請求項3に記載の階段照明装置は、前記光源部をライン状に並べたLEDにより構成しているので、ムラの無い照明を実現することができる。また、本階段照明装置は、前記光源部が前記段板の段鼻の裏面に設けた溝内に配設されることで、一段下の前記段板の踏面、及び段鼻を照明する。このため、本階段照明装置では、前記LEDより発せられた光が前記利用者の目に直接入ることを防止できる。以上により、本階段照明装置は、利用者が感じるグレアを低減することができる。
【0014】
請求項4に記載の階段照明装置は、前記光源部が、前記段板の裏面の幅方向全域に配設されているので、該光源部から発せられる光により、一段下の前記段板の踏面、及び段鼻を、その幅方向全域に渡り照明することができる。これにより、本階段照明装置は、前記利用者が該段板の踏面の大きさや、前記段板の段鼻の位置を視認しやすい環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の階段照明装置を適用した階段の斜視図。
【図2】図1に示す階段の側面図。
【図3】(a)光源部の側面図、(b)光源部の正面図。
【図4】階段照明装置のブロック図。
【図5】階段照明装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。本発明の階段照明装置1は、検知部2、光源部3、制御部4を有し構成される。本階段照明装置1は、階段5の照明用途として使用される照明装置であり、階段5の利用者が安全に該階段5を利用できる環境を提供できるものである。
【0017】
本階段照明装置1を適用した階段5を、図1及び図2に示す。階段5は、図外の利用者が上階6と下階7との間を移動するために設けられるものである。階段5には、複数の台板8に夫々支持される段板9が、該利用者が足をのせる踏面10と、台板8より突出する部分である段鼻11とを有して備えられる。また、階段5は、前記利用者が段板9から転落することを防止するための手すり14が、壁面12に支持部13により支持されて取付けられている。
【0018】
前記検知部2は、階段5の上階6側端、及び下階7側端において、前記利用者を検知する。検知部2は、手すり14、或いは前記段板9等に配設することができるが、図1及び図2には、該検知部2をタッチセンサにより構成し、前記手すり14に配設した場合を示している。この場合において、検知部2は2つ設けられ、一方の検知部2は、手すり14の上階側端部15に配設され、前記利用者が、該手すり14の上階側端部15を掴んだことを検知し、もって階段5の上階6側端において該利用者を検知する。他方の検知部2は、手すり14の下階側端部16に配設されており、前記利用者が、該手すり14の下階側端部16を掴んだことを検知し、もって階段5の下階7側端において該利用者を検知する。検知部2で検知した情報は、制御部4に送られる。
【0019】
なお、前記検知部2を段板9に配設する場合は、段板9下に配設され、前記利用者が段板9の踏面10に足をのせた際の重みを検知する圧力センサにより検知部2を構成する。この場合においても、検知部2は2つ設けられ、一方の検知部2は、最も上階6側の段板9下に配設され、前記利用者が、当該段板9の踏面10に足をのせたことを検知し、もって階段5の上階6側端において該利用者を検知する。他方の検知部2は、階段5下の下階7の床面9b下に配設され、前記利用者が、当該床面9bに足をのせたことを検知し、もって階段5の下階7側端において該利用者を検知する。なお、前記検知部2は、上記のほか、赤外線センサ等の人感センサにより構成し、台板8、段板9の踏面10、或いは、壁面12等に配置して、前記利用者を検知してもよい。
【0020】
前記光源部3は、複数の前記段板9に夫々配置される。光源部3は、段板9等を照明する目的で設けられ、記段板9の段鼻11の裏面17に配置される。光源部3は、前記配置を行うことにより、自身が配設されている段板9より一段下の段板9の踏面10、及び段鼻11、或いは床面9bを照明し、また当該段板9の踏面10、段鼻11、或いは床面9bに反射された光により、その周囲の前記手すり14や、台板8等を照明する。
【0021】
ここで、前記光源部3は、図3(b)に示すように、段板9の段鼻11の裏面17において、該段板9の幅方向に沿って設けられる溝18内に、該段板9の幅方向の全域に渡り配設されている。これにより、光源部3は、上記説明した踏面10、及び段鼻11の幅方向全域を照明することができる。このことは、前記利用者が、前記段板9の踏面10の大きさや、段鼻11の位置等を的確に視認できることにつながる。
【0022】
また、前記光源部3は、図3に示すように、LED19を用いて構成されている。LED19は点光源であるため、グレアが強くなってしまうという問題があり、上記のように、自身が配設されている段板9より一段下の段板9の踏面10、及び段鼻11を照明するように構成している。また、光源部3は、図3(a)に示すように、溝18内に完全に収納され、段板9の段鼻11の裏面17から突出しないように配置される。これらのことにより、LED19から発せられた光が直接前記利用者の目に入ることは、防止される。さらに、光源部3は、前記LED19より発せられる光の集中を避け、その均一化を図るため、該LED19をライン状に複数個並べることにより構成している。これにより、光源部3は、段板9の踏面10、及び段鼻11等をムラ無く照明することができる。以上のことにより、光源部3は、グレアを低減している。
【0023】
さらに、前記光源部3には、LED19を囲うように、該LED19を保護することを目的とした、透光性を有したガラス、プラスティック等により構成されるカバー20が設けられている。カバー20は、乳白色等に着色した材料、或いは、光拡散物質等を添加した材料等により構成することで、LED19から発せられる光の更なる均一化を図る目的にも使用できる。なお、図3においては、前記カバー20を断面略台形形状としているが、これに限定されるものではなく任意の形状であってよい。
【0024】
前記制御部4は、前記検知部2からの情報に基づき、前記光源部3の点灯制御を行うものであり、図4に示すように、全ての検知部2、及び光源部3と接続されている。制御部4は、例えば、図外のマイクロコンピュータ、メモリ等により構成される。更に、制御部4は、図外の電源ラインにより商用電源に接続されており、該商用電源から供給される交流電力より、前記光源部3に電源供給するため直流電力を生成する直流電源を備えている。なお、前記制御部4は、図1、及び図2において、段板9下部に配置しているが、その配置場所は限定されず、例えば壁面12内に配置してもよい。
【0025】
前記制御部4による光源部3の点灯制御は、図5に示すフローチャートに従い行われる。S1において、制御部4は、光源部3が全て消灯している状態、即ち現在階段5を利用中の前記利用者がいない状態にて、上階6側の検知部2が、階段5の上階6側端において該利用者を検知しているか否かを判断する。制御部4は、光源部3が全て消灯している状態にて、上階6側の検知部2が、階段5の上階6側端において前記利用者を検知していれば、該利用者が階段5に侵入し、上階6から下階7に下りようとしていると判断して(S1でYES)、S2に進む。一方、前記制御部4は、光源部3が全て消灯していない、或いは上階6側の検知部2が、階段5の上階6側端において前記利用者を検知していなければ(S1でNO)、S8に進む。
【0026】
図5のS2において、前記制御部4は、最も上階6側の段板9に配設される光源部3を点灯させる。これにより、前記利用者は、上階6から、下階7へ下りようとする際に、まず、上階6から2段目の段板9の踏面10、及び段鼻11を視認することができる。
【0027】
なお、前記制御部4は、最も上階6側の段板9に配設される光源部3を点灯させる際、上階6から所定段数下段までの範囲にある段板9に配設される光源部3も併せて点灯させてもよい。このようにすることより、前記利用者は、進行方向側(下階7方向側)の複数の段板9の踏面10、及び段鼻11を同時に視認することができるようになる。
【0028】
図5のS3において、前記制御部4は、同図S2、又はS4において新たに光源部3を点灯させてから、前記利用者が段板9から一段下の段板9に移動するに要する時間に相当する時間を経過したか否か判断する。制御部4は、前記時間を経過したと判断した場合(S3でYES)、S4に進む。また、制御部4は、前記時間を経過していないと判断した場合(S3でNO)、待機する。なお、前記時間は、平均的な前記利用者の移動速度により決定してよく、或いは、実際に階段5を利用する前記利用者の移動速度を実測すること等により決定してもよい。また、前記時間は、制御部4に接続される図外の端末等より、前記利用者が設定できるようにしてもよい。
【0029】
図5のS4において、前記制御部4は、従前点灯させていた最も下階7側の光源部3が配設されている段板9より、更に一段下の段板9に配設されている光源部3を点灯させる。これにより、前記制御部4は、前記利用者の移動速度にあわせて、最も上階6側の段板9に配設されている光源部3から、最も下階7側の段板9に配設されている光源部3まで順次点灯して行くことになる。
【0030】
図5のS5において、前記制御部4は、最も下階7側の段板9の光源部3が点灯しているか、否か確認する。当該光源部3が点灯している場合において、制御部4は、最も上階6側の段板9に配設されている光源部3から、最も下階7側の段板9に配設されている光源部3までの順次点灯が終了したと判断し(S5でYES)、S6へ進む。一方、制御部4は、最も下階7側の段板9に配設されている光源部3が点灯していない場合において、上記順次点灯が終了していないと判断し(S5でNO)、S3に戻る。
【0031】
図5のS6において、前記制御部4は、下階7側の検知部2が、階段5の下階7側端において前記利用者を検知しているか否かを判断する。制御部4は、下階7の検知部2が、階段5の下階7側端において前記利用者を検知していたならば(S6でYES)、該利用者が階段5の利用を終了したと判断して、S15に進む。一方、制御部4は、下階7の検知部2が、階段5の下階7側端において前記利用者を検知していなければ(S6でNO)、S7に進む。
【0032】
図5のS7において、制御部4は、S1において光源部3が全て消灯している状態にて、上階6側の検知部2が、階段5の上階6側端において前記利用者を検知していると判断してから、該利用者が階段5より離れるために必要な時間を経過したか否か判断する。これは、検知部2をタッチセンサにより構成し、前記手すり14に配設した場合において、前記利用者が下階7側の検知部2を触れずに階段5から離れた時、或いは、該利用者が階段5の途中で上階6に引き返した時等に、光源部3が点灯したままとなることを避けるためである。制御部4は、前記時間を経過したと判断した場合には(S7でYES)、S15に進む。一方、前記時間を経過していないと判断した場合には(S7でNO)、S6に戻る。なお、前記時間は、階段5の段板9の数量等にもよるが、例えば5分としてよい。また、前記時間は、制御部4に接続される前記端末等より、前記利用者が設定できるようにしてもよい。
【0033】
図5のS8において、制御部4は、光源部3が全て消灯している状態、即ち現在階段5を利用中の前記利用者がいない状態にて、下階7側の検知部2が、階段5の下階7側端において該利用者を検知しているか否かを判断する。制御部4は、光源部3が全て消灯している状態にて、下階7側の検知部2が、階段5の下階7側端において前記利用者を検知していれば、該利用者が階段5に侵入し、該利用者が階段5を下階7から上階6に上ろうとしていると判断して(S8でYES)、S9に進む。一方、前記制御部4は、光源部3が全て消灯していない、或いは下階7側の検知部2が、階段5の下階7側端において前記利用者を検知していなければ(S8でNO)、S1に戻る。
【0034】
図5のS9において、前記制御部4は、最も下階7側の段板9に配設される光源部3を点灯させる。これにより、前記利用者は、下階7から、上階6へ上ろうとする際に、まず、床面9bを視認することができる。
【0035】
なお、前記制御部4は、最も下階7側の段板9に配設される光源部3を点灯させる際、下階7から所定段数上段までの範囲にある段板9に配設される光源部3も併せて点灯させてもよい。このようにすることより、前記利用者は、床面9bに加え、進行方向側(上階6方向側)の複数の段板9の踏面10、及び段鼻11を同時に視認することができるようになる。
【0036】
図5のS10において、前記制御部4は、同図S9、又はS11において、新たに光源部3を点灯させてから、前記利用者が段板9から一段上の段板9に移動するに要する時間に相当する時間を経過したか否か判断する。制御部4は、前記時間を経過したと判断した場合(S10でYES)、S11に進む。また、制御部4は、前記時間を経過していないと判断した場合(S10でNO)、待機する。なお、前記時間は、S3にて説明した方法と同様に定める。
【0037】
図5のS11おいて、前記制御部4は、従前点灯させていた最も上階6側の光源部3が配設されている段板9より、更に一段上の段板9に配設されている光源部3を点灯させる。これにより、前記制御部4は、前記利用者の移動速度にあわせて、最も下階7側の段板9に配設されている光源部3から、最も上階6側の段板9に配設されている光源部3まで順次点灯して行くことになる。
【0038】
図5のS12において、前記制御部4は、最も上階6側の段板9の光源部3が点灯しているか、否か確認する。当該光源部3が点灯している場合において、制御部4は、最も下階7側の段板9に配設されている光源部3から、最も上階6側の段板9に配設されている光源部3までの順次点灯が終了したと判断し(S12でYES)、S13へ進む。一方、制御部4は、最も上階6側の段板9に配設されている光源部3が点灯していない場合において、上記順次点灯が終了していないと判断し(S12でNO)、S10に戻る。
【0039】
図5のS13において、前記制御部4は、上階6側の検知部2が、階段5の上階6側端において前記利用者を検知しているか否かを判断する。制御部4は、上階6の検知部2が、階段5の上階6側端において前記利用者を検知していたならば(S13でYES)、該利用者が階段5の利用を終了したと判断して、S15に進む。一方、制御部4は、上階6の検知部2が、階段5の上階6側端において前記利用者を検知していなければ(S13でNO)、S14に進む。
【0040】
図5のS14において、制御部4は、S8において光源部3が全て消灯している状態にて、下階7側の検知部2が、階段5の下階7側端において前記利用者を検知していると判断してから、該利用者が階段5より離れるために必要な時間を経過したか否か判断する。これは、検知部2をタッチセンサにより構成し、前記手すり14に配設した場合において、前記利用者が上階6側の検知部2を触れずに階段5から離れた時、或いは、該利用者が階段5の途中で下階7に引き返した時等に、光源部3が点灯したままとなることを避けるためである。制御部4は、前記時間を経過したと判断した場合には(S14でYES)、S15に進む。一方、前記時間を経過していないと判断した場合には(S14でNO)、S13に戻る。なお、前記時間は、S7にて説明した方法と同様に定める。
【0041】
図5のS15において、前記制御部4は、すべての光源部3を消灯させる。これにより、本階段照明装置1は、前記利用者が階段5に存在しないのにも関わらず光源部3が点灯し続けるという無駄を省くことができる。また、本階段照明装置1では、上記説明した図5のS6、及びS13において、制御部4が前記利用者の階段5の利用が終了したことを判断し、またS7、及びS14において、前記利用者が階段5より離れるために必要な時間を経過したことを判断しているので、該利用者が階段5を利用中にもかかわらず、光源部3が消灯すること防ぐこともできる。
【0042】
以上説明したように、本階段照明装置1では、階段5の上階6側端又は下階7側端において、前記利用者を検知部2により検知する。制御部4は、光源部3が消灯されている際に、検知部2が上記検知を行うことで、前記利用者が階段5に侵入して、該階段5を利用していると判断する。そして、制御部4は、前記利用者の進行方向が常に照明されるよう、段板9に配設される光源部3を順次点灯させる点灯制御を行う。これにより、該利用者は、段板9の踏面10、及び段鼻11等を視認しやすい環境となる。また、光源部3は、上記のように制御部4により、順次点灯されることにより、徐々に階段5付近を明るくするので、前記利用者は、深夜等前記階段の周囲が真っ暗な状況であっても、光源部3の点灯による明るさに順応し易くなる。
【0043】
また、本階段照明装置1では、光源部3が、前記段板9の段鼻11の裏面17の幅方向全域に渡って配置されていることにより、自身が配設される前記段板9より1段下の段板9の踏面10、及び段鼻11の幅方向全域等を照明するので、前記利用者は、該段板9の踏面10の大きさ、段鼻11の位置等を把握することができる。
【0044】
また、本階段照明装置1では、光源部3が、LED19をライン状に複数並べて構成されることで、段板9の踏面10、及び段鼻11をムラなく照明し、また、段板9の裏面17の幅方向に沿って設けられた溝18内に配設されることで、LED19から発せられた光が直接前記利用者の目に入ることを防止する。これらにより、前記利用者が感じるグレアは低減される。
【0045】
また、本階段照明装置1は、検知部2を手すり14に配設した場合、前記利用者が手すり14を掴んだことを該検知部2により検知し、前記光源部3を点灯させる。即ち、この場合において、前記利用者は、光源部3を点灯させるために、手すり14を掴む必要が生じる。これにより、本階段照明装置1は、前記利用者に、手すり14を掴んで階段5を利用することを動機付けることができる。更に、前記光源部3を構成するLED19は、技術水準の向上により、照明として十分な光量を得ることができるため、段板9の踏面10、及び段鼻11は、深夜等真っ暗な状況の時だけでなく夕刻等階段5の周囲がある程度明るい状況の時おいても、光源部3により、前記利用者が視認できるレベルで照明される。即ち、前記利用者は、本階段照明装置1により、常に、かつ、的確に、段板9の踏面10、及び段鼻11等を視認することができる。以上により、本階段照明装置1は、該利用者が安全に階段5を利用できる環境を提供することができる。
【0046】
さらに、前記LED19は、一般的な蛍光ランプのような球切れがほとんど無く、また、点灯、及び消灯を繰り返しても寿命が短くならないという特徴を有する。このことより、本階段照明装置1は、メンテナンスフリーの照明装置として使用することができる。更に、LED19は、近年、発光効率についても蛍光ランプと肩を並べるほど向上している。従って、本階段照明装置1は、制御部4による光源部3を点灯制御により、該光源部3の無駄な点灯を防ぐことができることも相俟って、省エネルギー効果も発揮する。
【0047】
なお、本実施の形態で示した階段照明装置1は、本発明に係る階段照明装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る階段照明装置は、階段用の照明装置として、屋内用階段、屋外用階段を問わず適用することができる。更に、また、本階段照明装置は、手すりを有さない階段、途中に踊場が設けられる階段や、家屋におけるロフトへの移動用の階段等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 階段照明装置
2 検知部
3 光源部
4 制御部
5 階段
9 段板
10 踏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の段板を備える階段の利用者を検知する検知部と、
複数の前記段板に夫々配設される光源部と、
前記検知部での検知に基づき前記光源部の点灯制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記光源部を消灯させている際に、前記検知部が、前記階段の上段端又は下段端の何れかにて前記利用者を検知した場合において、該利用者が検知された該階段の端の前記段板に配設されている前記光源部から、該階段の他端の該段板に配設されている該光源部まで順次点灯させることを特徴とする階段照明装置。
【請求項2】
前記検知部が、タッチセンサにより構成され、前記階段に沿って配設された手すりに配設されることを特徴とする請求項1記載の階段照明装置。
【請求項3】
前記光源部が、ライン状に並べられた複数のLEDにより構成されると共に、前記段板の段鼻の裏面に、該段板の幅方向に沿って設けられた溝内に配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の階段照明装置。
【請求項4】
前記光源部が、前記段板の幅方向全域に配設されていることを特徴とする請求項3記載の階段照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−111749(P2011−111749A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267157(P2009−267157)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)