説明

雄豚臭を低減することにより食肉の品質を改善する方法

【課題】雄豚臭を低減する方法を提供する。
【解決手段】豚の雄豚臭を低減する方法が開示されている。この方法は、好ましくは豚が生後1週間未満の時に雄豚の各睾丸の頭部/背部部分内に薬学的に許容される亜鉛塩の溶液を注射することを有する。この溶液は、溶液1ml当たり20mgの亜鉛イオンを含むと共に睾丸に入る量で睾丸内に注射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スカトール及び/又はアンドロステノンが原因の雄豚臭(boar taint)を低減することにより食肉の品質を向上させる方法に関する。本方法は、注射の有効性を促進するように亜鉛塩を睾丸内注射することを伴う。
【背景技術】
【0002】
豚肉の香り及び風味は、スカトール及び/又はアンドロステノンが一定水準を超えて存在すると悪影響を受ける。香り及び風味は、人間が食べられない程度まで影響を受けることがある。
【0003】
スカトール及びアンドロステノンは、無関係に生成する。アンドロステノン、及び雄豚の脂肪内で結合しているのが見出される他の16のアンドロステンは、先駆体としてのプレグネノロンと共に睾丸で生成される(Brooks及びPearson、1989年)。これらの化合物は、精巣静脈を介して血中に放出され、脂肪内に蓄積される(Bonneau及びTerqui、1982年)。5−α−アンドロスト−16−エン−3−オン構造が主な蓄積形態である。それは、5−α−アンドロスト−16−エン−3−オンが、最も油溶性であるため雄豚臭の主な原因成分であるためである(Claus、1979年)。性的に刺激を受ける間に、これらのステロイドは、血流に再放出され顎下腺まで運ばれ唾液中の重要なフェロモンとして用いられる(Gower、1972年;Claus、1979年)。年をとった雄を去勢した後に脂肪組織中のステロイド濃度が減少するため、この蓄積過程が時間について可逆的でもあることは明らかである(Claus、1976年)。
【0004】
雄豚の脂肪中で見出されるアンドロステノンの水準はばらつきが大きく、年齢、体重、遺伝的特徴、及び性的成熟度により影響を受ける(Jonsson及びAndresen、1979年;Bonneau、1981年;Willeke、1980年;Walstra、1984年)。加えて、アンドロステノンの水準は、文献に幾分食違いがあるが飼育環境又は性器の露出等の外的刺激に敏感な可能性がある。豚が約70kgに達するか又は年齢が約4ヶ月になると、一般的には、アンドロステノンの生成量はゆっくりと増加し始める(Bonneau、1981年)。脂肪の匂いが最も受入れがたくなるのは、95kgを超え5ヶ月よりも年をとった雄豚であることも知られている(Walstra、1984年)。
【0005】
雄豚臭の他の成分は、スカトールである。スカトールは、豚の後腸で乳酸菌により生成されこれらの微生物がトリプトファンを分解する際に生成される(Yokoyama及びCarlson、1979年)。スカトール濃度は、食餌により幾分変化しうる。通常雄豚では閾値の水準(.20ppm)を超えて見出される。しかしながら、腸内の微生物叢は性別間でわずかにしか異ならないが、去勢豚又は雌豚の脂肪ではこれらの水準にはめったに達しない(Mortensenら、1986年)。このことは、スカトールの吸収速度又は一旦吸収された場合の蓄積及び分解の速度にホルモンが影響しうることを示している可能性がある(Lundstromら、1988年)。
【0006】
歴史的には、雄豚臭に対処するためには、大半の養豚業者は外科去勢を選択した。外科去勢は、通常、農業従事者により雄豚が生まれて最初の1週間のうちに沈静状態にすることなく又は麻酔薬を使わずに行われる。豚の睾丸は神経が多く、動物保護の理由で、子豚の麻酔剤を使わない外科去勢は近い将来に少なくともEU地域では禁止されるだろう。ノルウェーではそのような去勢は2009年から禁止される。暫定的な期間では、許可を受けた獣医師が、産業的な規模の養豚にとっては極めて費用が高い去勢を行うことだけができる。
【0007】
外科去勢に関連する問題を克服するために、他の複数の方法が試されてきた。例えば、去勢していない雄を、インプラントを介して又は食餌により黄体ホルモン薬で処置する(Bergerら、1981年;Kluberら、1988年)。雄豚臭の原因化合物の1つに対して雄豚に免疫を付与することも試みられてきた(Williamsonら、1985年;Brooksら、1986年)。これらの方法の両方に重大な問題がある。ホルモン治療を複数回繰返さなければならず文化によっては人間が消費するための豚としては受入れがたいのである。免疫付与は、全ての動物にとって一様な効果はなく、交差反応する抗体が作り出され望ましくない副作用を引起す危険がある。
【0008】
外科的な、ホルモンによる、及び免疫による去勢に伴う諸問題を考えると、引続き雄豚臭を抑制する改良された去勢方法は必要である。本発明は、化学的去勢の方法に関連しており、この目標を達成する。
【0009】
まとめると、化学的去勢には2つのアプローチがある。第1のアプローチは、非去勢雄の輸精管内に硬化剤を注射し管を閉鎖して精子の輸送を阻止すると共に豚を生殖不能にする。このタイプの化学的去勢は生殖不能を引起すが、雄豚臭及び雄の攻撃性の原因となるテストステロン又は他の睾丸ステロイドの生成を減少させない。多くの化合物がこの目的に効果があることが示されてきた。例えば、10パーセントの硝酸銀又は3パーセントのホルマリン(Pinedaら、1976年)、95パーセントのエタノール(Freeman及びCoffeey、1973年)、ドンドレン(Bierschwal 及びEbert、1961年)、キナクリン(Malaviyaら、1974年)である。
【0010】
第2のタイプの化学的去勢及び本発明で用いられるタイプは、組織の変異とそれによる睾丸機能の低下に効果のある化学物質を用いる。観察される具体的な効果は、注射される化学物質及び濃度、種、動物の成熟度等による。背景となる研究は、タンニン酸亜鉛を用いることが記載されたFahimに付与された特許文献1及び特許文献2、そしてグルコン酸塩鉱物(mineral gluconate)及びアミノ酸の中性溶液を用いることが記載されたFahimに付与された特許文献3に記載されている。Fahimに付与された特許文献4は、酢酸亜鉛を用いて雄豚臭を抑制することを記載している。
【0011】
睾丸が閉じた組織であるため、睾丸内に注射できる化学的な殺精子剤(sterilant)の量は限られている。上述のFahimへの特許では、化学的殺精子剤が、睾丸の正中線すなわち底部に注射される。上述したとおり、注射された物質の化学的な特性及びその濃度に応じて睾丸機能に与える影響は決まるため、雄豚臭を抑制する効果的な投与量が睾丸内に入る量で投与できるような注射がより有効となる方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,156,427号明細書
【特許文献2】米国特許第4,339,438号明細書
【特許文献3】米国特許第5,070,080号明細書
【特許文献4】米国特許第5,372,822号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記を鑑みて、本発明の目的は、外科的、ホルモン的、及び免疫付与による去勢に伴う問題を防止する、豚の雄豚臭を低減するための方法を提供することである。他の目的は、雄豚臭を減少させるように睾丸内に亜鉛塩を注射する方法を提供することである。本発明の他の目的及び態様は、一部は明らかであり、他の目的及び態様を以下で指摘する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、豚の雄豚臭を低減する方法は、雄豚の各睾丸の頭部/背部部分(dorsal cranial portion)内に可溶性で薬学的に許容される亜鉛塩の溶液を注射することを有する。前記溶液は、溶液の1mlあたり少なくとも亜鉛イオン20mgを含み、前記溶液は、睾丸内に入る体積で睾丸中に注射される。雄豚に生後1日以内に麻酔無しで注射することができる。
【0015】
上で要約された本発明は、以下で記載される方法を有し、本発明の範囲は、添付された請求項により示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】陰嚢内精巣(睾丸)を断面で概略的に示す。
【図2】対照犬から取られた精巣網の組織学的部位を示す光学顕微鏡写真である。
【図3】Fahimに付与された米国特許第4,937,234号明細書及び第5,070,080号明細書に記載された化学的殺精子剤を睾丸の頭部/背部部分内に注射した場合の処置後の犬から取られた精巣網の組織学的部位を示す光学顕微鏡写真である。
【図4】睾丸の正中線内に亜鉛塩を注射した後で不均一な萎縮(すなわち、睾丸が砂時計のような形状である)を示す豚の睾丸の写真である。
【図5】睾丸の頭部/背部部分内に亜鉛塩を注射した後で均一な萎縮を示す豚の睾丸の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で引用される全ての特許文献及び非特許文献は、その全体を参照することにより本願明細書に組込まれる。
睾丸の構造及び機能
【0018】
図1に示すように、睾丸10は、精巣上体に沿って後方で厚くなっておりそこで縦隔を形成する外皮すなわち、繊維質の白膜12を伴った卵型の構造を有する。繊維状の隔膜が縦隔と白膜との間で延び、各睾丸を1本以上の細精管14を包む複数の区画に分けている。精子は、細精管14内で生成される。
【0019】
各細精管14は、内側を精上皮により覆われ、精上皮は2種類の細胞、雄生殖細胞及びセルトリ細胞を含む。精子は、細精管14内で未成熟な種類の細胞から発達する。最も未成熟な胚芽細胞すなわち精原細胞は、分割し精母細胞を形成する。精母細胞は減数分裂し第2精母細胞を形成し、第2精母細胞は続いて減数分裂し精子細胞を形成する。精子細胞は、さらに分裂はしないが、精子を形成する過程で複雑な変態を経る。セルトリ細胞は、精子細胞に栄養供給し精子を細精管14に沿って流す液体を分泌する。細精管14は、断面が円形であり小管の外側に複数の領域が存在する。これらの間質腔は、血管、及びテストステロンを合成し分泌するライディッヒ細胞を含んでいる。
【0020】
細精管14は、複数のループを形成し、2つの端部は直精細管(tubuli recti)16とつながっている。精巣液中を浮遊する精子は、細精管を出て直精細管16に入る。これらの細管は、続いて精巣10内の細管からなる網目構造である精巣網18につながる。精巣網18の血管は、縦隔の上端で白膜12を通過し精液を精巣から精巣上体22に輸送する精巣輸出管20で終了する。細精管14、直精細管16、精巣網18、及び精巣輸出管20を介しての精子の輸送は受動的である。これらの導管内側の細胞は繊毛を有し、これらの毛状の構造が脈動することにより液体及び浮遊する精子が導管を介して精巣上体頭部24内に移動する。
【0021】
細精管14内で生成された精子は卵子に受精する前に一連の変化を経なければならない。直精細管16、精巣網18、及び精巣輸出管20を介して精巣上体頭部24内に至る安全な通路で移動が始まる。直精細管16の上皮組織及び精巣網18が液体を追加し、この液体は続いて精巣輸出管20の上皮組織により再吸収される。直精細管16、精巣網18、及び精巣輸出管20内の液体の組成は調整され、精巣上体22に生存可能な細胞を提供し成熟した精子へとさらに変化させるのに必要なものとなっている。
化学的殺精子剤
【0022】
本発明に従って使用するための化学的殺精子剤は、亜鉛塩又はそのような塩の混合物であり、薬学的に許容され、1ml当たり20mgの亜鉛イオンを含む水溶液とすることができる。調製時に中性でない場合には、溶液を睾丸内注射できるようにpH6.0乃至7.5の範囲に中和することができる。
【0023】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される亜鉛塩」は望ましくない毒性効果を及ぼさない塩を意味する。「望ましくない毒性効果」は、ラットで500mg/kgより大きいLD50を意味する。そのような塩は有機酸で調製された塩を含むが、それに限定されない。そのような塩は、酢酸亜鉛及びプロピオン酸亜鉛を含む。幾分溶解及び解離の程度が低い有機塩の他の例として酪酸亜鉛、蟻酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、及び乳酸亜鉛が含まれる。グルコン酸亜鉛の溶解度を、Fahimに付与された米国特許第4,937,234号明細書に記載されているように、グリシン又は他の何らかのアミノ酸を加えることにより増加させることができる。例えば、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、タンニン酸等の有機酸で調製された亜鉛塩も、水に十分に溶け無毒であれば可能性がある。例えば、もし上述したような溶解度及び望ましくない毒性効果がないことの要件を満たせば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸で調製された亜鉛塩も可能である。
【0024】
好ましい溶媒は水であるが、溶液は、注射可能な組成に通常含まれるアルコール及び影響が出ない量の薬学的に許容され生理学的に許容される殺菌剤、安定剤等を含んでいてよい。
投与方法
【0025】
スカトール及び/又はアンドロステノンの生成に影響を与えるように、睾丸10内に可能な限り少ない効果的な量の化学的殺精子剤を注入することが望ましい。わずか生後7日の子豚の場合には、必要な用量は、睾丸当たり亜鉛イオン約10乃至30mgである。豚の睾丸は、発達の初期段階でサイズが急速に大きくなり、4ヶ月乃至4ヶ月半までに睾丸当たり亜鉛イオン50乃至150mgの用量が必要でありうる。より年をとった豚又は比較的大きな睾丸を持った豚の場合、屠殺数週間前に行われる注射で雄豚臭を肉から消すために、睾丸当たり亜鉛イオン250乃至800mgもの用量が必要となりうる。
【0026】
睾丸が閉じた形であるために睾丸内に注射することができる化学的殺精子剤の量は限られているので、亜鉛イオンの溶解度が重要であることは明らかである。注射可能な最大分量は睾丸のサイズと関連し経験的に決定することが可能である。生後わずか7日の子豚の場合には、上述の量の亜鉛イオンを、各睾丸内に注射される体積約0.2mlに入れなければならない。4ヶ月乃至4ヶ月半の豚は0.5mlの注射を受けることができ、より年を取った豚又は比較的大きな睾丸を持った豚はさらに多い量が可能である。
【0027】
睾丸への注射位置が重要である。亜鉛イオンが睾丸の側部又は底部から注射されると、場合によっては睾丸の一部が処置後に影響を受けないままになる。睾丸の正中線すなわち底部へ注射するよりも精巣上体22そばの睾丸の頭部/背部(dorsal cranial)部分に亜鉛イオン溶液を注射26する方がより効果が高いことが見出されてきた。
【0028】
以下の例で、本発明を説明する。例2及び例4乃至7は豚以外の動物での例であるが豚でも同様の結果が期待される。
例1
【0029】
生後1乃至3日の生まれたばかりの非去勢子豚で研究を行った。1乃至3日目に、子豚の1グループは従来の外科全去勢を受ける。処置は局所麻酔をして行われる。
【0030】
第2グループは、各睾丸の頭部/背部部分に酢酸亜鉛水溶液0.2mlの注射を受け各睾丸に亜鉛イオン0.20mgが投与されるようにする。子豚の第3グループは、酢酸亜鉛水溶液0.5mlの注射を受け、各睾丸に亜鉛イオン約0.20mgが投与されるようにする。第2及び第3グループの子豚には注射前に鎮静剤を投与しない。陰嚢付近は完全に消毒され、注射は、消毒済みの注射器を用いて頭部/背部に深く睾丸内注射することにより行われた。第4グループは、非去勢の雄である。処置後に、子豚は母豚と離乳するまで一緒にされる。これらのグループの豚は、仕上げられ、屠殺され、肉質が比較される。
例2
【0031】
生後6ヶ月で19ポンド(約8.62kg)の重さのビーグルの子犬が、グルコン酸亜鉛として亜鉛13.1mg/mlを含む化学的殺精子剤0.25mlを各睾丸に注射された。このグルコン酸亜鉛は、塩酸でpHが7.0に調整されたl−アルギニン34.8mg/mlにより中和されていた。注射は、外部から最も観察できるように睾丸の頭部/背部内に行われた。
【0032】
処置された犬は、重さが31ポンド(約14.06kg)になった生後30ヶ月で殺処分された。睾丸が調査され、重さは各々が3.5gであった。精巣網の組織学的部位が取出された。断面の10倍の光学顕微鏡写真が図3に示されている。
【0033】
生後6ヶ月で重さが18ポンド(約8.16kg)の対照ビーグルが処置された犬と共に飼育された。この犬も生後30ヶ月で殺処分された。対照犬は重さが30ポンド(約13.61kg)であり各睾丸は、6.8gであった。対照動物の精巣網の組織学的部位が取出された。断面の10倍の光学顕微鏡写真が図2に示されている。
例3
【0034】
図4に、10重量%のアルギニン亜鉛(zinc arginine)1mlを雄豚の各睾丸に注射した後の不均一な萎縮を示す。図4に、雄豚の各睾丸内に同量で同一の化学的殺精子剤を注射した後の均一な萎縮を示す。図4及び図5を比較すると、睾丸正中線への注射(図4)と比べると、睾丸頭部/背部側領域への注射(図5)の場合に生じる睾丸の萎縮のパターンが異なることがわかる。
例4
【0035】
雄のSprague-Dawleyラット20匹が1グループ10匹ずつの2つのグループに分けられた。グループ1のラットには、睾丸ごとにアルギニンにより中和した10%グルコン酸亜鉛0.1mlを睾丸の頭部側領域に注射した。グループ2のラットには、睾丸ごとにアルギニンにより中和した10%グルコン酸亜鉛0.1mlを睾丸の正中線に注射した。注射後2ヶ月で、両グループを殺処分し全ての精巣上体及び睾丸を組織病理学的に評価した。
【0036】
結果して以下のことが明らかになった。
【0037】
1.グループ1のラット(頭部/背部注射)の100%が生殖不能/不妊となった。精巣上体で精子は全く見つからず、睾丸は完全に機能不全であった。
【0038】
2.グループ2のラット(正中線注射)の70%のみが生殖不能/不妊となった。精巣上体の30%で精子が見つかり、睾丸のいくつかの部位は機能していた。
例5
【0039】
生後6ヶ月の40匹の健康な雄のビーグルの子犬を睾丸の幅に従って次の4グループに分けた。4グループ全てに睾丸の頭部/背部側領域で注射した。
【0040】
グループ1:防腐剤、メチルパラベン(0.18%)及びプロピルパラベン(0.02%)注射のため静菌性の水と共に睾丸中に対照薬を注射した。
【0041】
グループ2:アルギニンで中和したグルコン酸亜鉛25mgを睾丸ごとに睾丸内注射した。
【0042】
グループ3:アルギニンで中和したグルコン酸亜鉛30mgを睾丸ごとに睾丸内注射した。
【0043】
グループ4:アルギニンで中和したグルコン酸亜鉛35mgを睾丸ごとに睾丸内注射した。
【0044】
どの処置も身体の恒常性に影響を及ぼさなかった。全ての犬の体重が増加した。直腸温、全血球数(赤血球、白血球、血中血球容積、ヘモグロビン、好中球、リンパ球、単核白血球、好酸球、好塩基球、棹状核好中球)、又は血液化学(ブドウ糖、尿素、窒素、ナトリウム、カリウム、アルブミン、総タンパク量、カルシウム、リン、アラニン・アミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、アルブミン/グロブリン比、クレアチニン)に臨床的な効果はなかった。
【0045】
注射後1週間は処置した犬で一時的な睾丸の膨らみがあった。その後、処置した犬の睾丸の測定値は著しく減少した(p<0.0001)。一方、対照薬で処置した犬の睾丸の測定値は増加した。対照薬のグループと比べると、注射後12ヶ月での血清テストステロンの水準は、(1)25mgで処置したグループでは43%減少し(2)30mgで処置したグループでは55%減少し(3)35mgで処置したグループでは52%減少した。
【0046】
精液分析を21ヶ月間1月ごとに行った。注射後24ヶ月での精液分析によると以下が示された。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0047】
10匹の対照薬で処置した犬のうち、7匹が雌と交尾しそれらの全ての雌で妊娠が起こった(100%の妊娠率)。処置された犬の各々が発情期にある3匹の異なる雌に近づけられた。25mgで処置した10匹の犬のうち2匹、30mgで処置した10匹の犬のうち5匹、35mgで処置した10匹の犬のうち4匹が雌と交尾したが妊娠は起こらなかった。
【0048】
定量的な情報により、対象組織及び処置した組織は類似しているか異なるという非常に強い証拠が得られた。頭部/背部注射後の睾丸についての非常に詳細な情報を得るために、注射後の40匹の犬について睾丸の組織病理学的な定量評価が行われた。結果を次の表に示す。
【表5】

【0049】
対照薬と比較して、細精管の径及び精上皮の高さは減少し、基底膜の厚さは増加した。相違は大きかった(p=0.0001)。
【0050】
結論として、アルギニンにより中和したグルコン酸亜鉛を雄子犬睾丸の頭部/背部領域へ1回睾丸内注射することにより雄犬の長期的な生殖不能が生じた。
例6
【0051】
225匹の雄子犬の睾丸の頭部/背部領域に睾丸内注射を5つの調査箇所で450回行った(睾丸ごとに1回の注射;犬1匹に2つの睾丸)。225匹の子犬は、2ヶ月半から10ヶ月の範囲の年齢で品種は様々である。必要な訓練後、全ての調査者が睾丸の測定と睾丸内注射(頭部/背部)を身に付けた。これらの調査官の臨床試験経験に基づいて全ての獣医師が頭部/背部への注射技術を容易に用いることができる。
【0052】
少なくとも6ヶ月の追跡調査の後、臨床試験の効果の主たる指針として精液分析及び身体検査が行われた。結果として、6種の異なる用量で睾丸の頭部/背部領域に睾丸内注射することにより225匹の子犬うち224匹が生殖不能/不妊になることが示された。99.6%の効果を示している。
【0053】
精液分析を次の表で示す。
【表6】

例7
【0054】
1歳から12歳の年齢範囲の53匹の性的に成熟した雄犬(睾丸ごとに1回の注射;犬1匹に2つの睾丸)の睾丸の頭部/背部領域に、アルギニンで中和したグルコン酸亜鉛を106回睾丸内注射した。用量は以下の表により睾丸の幅に基づいて決められた。
【表7】

【0055】
注射に先立って全ての犬で行われた精液分析では、通常の受精パラメータ(fertility parameter)が示された。全ての犬が注射後6ヶ月追跡調査され、精液分析は2ヶ月間隔で全3回行われた。次の表に結果を示す。
【表8】

【0056】
生殖不能/不妊は、53匹の犬のうち52匹で生じた。
【0057】
上記を考慮すると、本発明の複数の目的が達成され他の有利な結果が得られた。本発明の範囲から逸脱せずに上記の方法に様々な変更を行うことができるため、上の記載に含まれ又は添付された図面に示された全ての事項は説明目的であり限定する意図ではないと解釈される。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄の豚の各睾丸における精巣上体の頭部を特定することと、1ml当たり少なくとも20mgの亜鉛イオンを含む水溶性で薬学的に許容できる亜鉛塩の溶液を注射することとを具備し、前記注射は、前記精巣上体の頭部に近い前記睾丸の頭部/背部への注射であり、前記溶液のpHは、6.0から7.5の範囲であり、前記溶液は、スカトール及びアンドロステノンの生成を抑制するために十分な亜鉛イオンを含む前記睾丸内に受容しうる量で注射され、前記注射は、前記雄の豚を屠殺する少なくとも1日前に行われる、雄豚臭を低減することにより食肉の品質を改善する方法。
【請求項2】
前記豚は、生後7日未満であり、各睾丸に注射される前記溶液は、体積約0.1乃至0.5mlに亜鉛イオン約10乃至30mgを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記豚は、生後わずか3日であり、各睾丸に注射される前記溶液は、体積約0.2乃至0.4mlに亜鉛イオン約20mgを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記亜鉛塩は、ラットで500mg/kgを超えるLD50である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記亜鉛塩は、カルボン酸塩である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記亜鉛塩は、酢酸亜鉛又はプロピオン酸亜鉛である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記亜鉛塩は、酢酸亜鉛である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記豚が生後約4週間である場合に、各睾丸に注射される亜鉛イオンの量は、約50乃至150mgの間である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記豚が成熟した雄豚である場合に、各睾丸に注射される亜鉛イオンの量は、約250乃至800mgの間である請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−524464(P2010−524464A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504029(P2010−504029)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/066830
【国際公開番号】WO2008/130399
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509287452)ファヒム テクノロジー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】