説明

集塵システム

【課題】 不燃粉体(不燃剤)の消費量を少なくすることができると共にコンパクトな構造の集塵システムを提供する。
【解決手段】 粉塵発生源包囲フードと、該粉塵発生源包囲フードに連通連結された不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードと、該不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードに接続ダクトを介して連通連結された集塵機と、を具備する集塵システムであって、前記不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードが、粉塵を鉛直方向に搬送する集塵フードと、該集塵フードの側面に連通連結され、粉塵を水平方向に搬送する集塵ダクトと、該集塵ダクトの側面に連通連結される共に不燃剤を貯留し、該不燃剤を噴霧させる不燃剤噴霧ユニットと、を具備し、前記不燃剤噴霧ユニットが、圧縮空気を噴射すると共に可撓性材料からなるチューブを有する不燃剤撹拌手段を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵機内やダクト内で火災が発生するのを防止するために不燃剤を噴霧させてダクト内に供給するものであって、集塵機の上流に不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードを設置した集塵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集塵配管内でマグネシウム等の可燃性粉塵を搬送気体とともに搬送して集塵する際、粉塵爆発発生の可能性を低くするために、第1工程で前記集塵配管内に不燃粉体含有気体を流通させ、その後、第2工程で前記集塵配管内に前記可燃性粉塵を含有する搬送気体を流通させる粉塵の集塵方法及び集塵装置が公知にされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−17815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のものは、前記第1工程1回あたりに流通させる不燃粉体含有気体中の不燃粉体の量が、体積比で、前記第2工程1回あたりに流通させる可燃性粉塵含有搬送気体中の可燃性粉塵の量の3〜15倍であり、該不燃粉体の消費量が多いという問題がある。また集塵配管を含め、装置が大掛かりになってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みて成されたもので、不燃粉体(不燃剤)の消費量を少なくすることができると共にコンパクトな構造の集塵システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明の集塵システムは、粉塵発生源を包囲する粉塵発生源包囲フードと、該粉塵発生源包囲フードに連通連結された不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードと、該不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードに接続ダクトを介して連通連結された集塵機と、を具備する集塵システムであって、前記不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードが、前記粉塵発生源で発生する粉塵を搬送気体とともに鉛直方向に搬送する集塵フードと、該集塵フードの側面に連通連結され、前記粉塵を搬送気体とともに水平方向に搬送する集塵ダクトと、該集塵ダクトの側面に連通連結される共に不燃剤を貯留し、該不燃剤を噴霧させる不燃剤噴霧ユニットと、を具備し、前記不燃剤噴霧ユニットが、圧縮空気を噴射すると共に可撓性材料からなるチューブを有する不燃剤撹拌手段を具備することを特徴とする。
【0007】
また本発明の集塵システムは、プリコート剤が貯留されたプリコート剤供給装置が前記集塵機に連通されると共に、該プリコート剤供給装置と前記不燃剤撹拌手段が同じ開閉弁を介して圧縮空気源に連通され、前記開閉弁を開くことにより、前記プリコート剤供給装置から前記集塵機への前記プリコート剤の供給と前記不燃剤の噴霧を同時に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、粉塵発生源を包囲する粉塵発生源包囲フードと、該粉塵発生源包囲フードに連通連結された不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードと、該不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードに接続ダクトを介して連通連結された集塵機と、を具備する集塵システムであって、前記不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードが、前記粉塵発生源で発生する粉塵を搬送気体とともに鉛直方向に搬送する集塵フードと、該集塵フードの側面に連通連結され、前記粉塵を搬送気体とともに水平方向に搬送する集塵ダクトと、該集塵ダクトの側面に連通連結される共に不燃剤を貯留し、該不燃剤を噴霧させる不燃剤噴霧ユニットと、を具備し、前記不燃剤噴霧ユニットが、圧縮空気を噴射すると共に可撓性材料からなるチューブを有する不燃剤撹拌手段を具備するようにしたから、不燃剤の消費量を少なくすることができると共にコンパクトな構造の集塵システムにすることができる等種々の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態を示す概要構成図である。
【図2】不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードの拡大斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に本発明の第1実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1において、加工機(本実施形態では自動溶接機)、即ち、粉塵発生源101は粉塵発生源包囲フード102によって包囲されており、該粉塵発生源包囲フード102の天井上面には不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードAが設置されている。そして、該不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードAには接続ダクト103を介して集塵機104(本実施形態では乾式集塵機)が連通連結されている。
【0011】
次に、前記不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードAについて、図2に基づき詳しく説明する。図2は不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードAの拡大斜視図である。図2において、前記粉塵発生源包囲フード102の天井上面には、前記粉塵発生源101で発生する粉塵を搬送気体とともに鉛直方向に搬送する集塵フード1が連結されており、該集塵フード1は下端開口部1aを介して前記粉塵発生源包囲フード102に連通されている。
【0012】
そして、該集塵フード1の一方の側面には、前記粉塵を搬送気体とともに水平方向に搬送する集塵ダクト2が連結されており、該集塵ダクト2は一端開口部2aを介して前記集塵フード1に連通されている。また該集塵ダクト2の他端開口部2bは前記接続ダクト103を介して前記集塵機104に連通されている。このことから分かるように、該不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードAは該集塵機104の上流に設置されている。
【0013】
また前記集塵ダクト2の一端開口部2aと直交する側面には、不燃剤F(本実施形態では炭酸カルシウム)を貯留し、該不燃剤Fを噴霧させる不燃剤噴霧ユニット3が連結されており、該不燃剤噴霧ユニット3の一端側面は前記集塵フード1の一方の側面に連結されている。なお、該不燃剤噴霧ユニット3の一端側面と直交する側面には、側面開口部3aが設けられており、該不燃剤噴霧ユニット3は側面開口部3aを介して前記集塵ダクト2に連通されている。
【0014】
また不燃剤噴霧ユニット3内の天井下面には不燃剤撹拌手段4が吊設されており、該不燃剤撹拌手段4は先端に可撓性材料からなる複数のチューブ4aを備えている。なお該チューブ4aは一端が固定されており、他端(最先端側)が自由に動けるようになっている。そして、該不燃剤撹拌手段4は開閉弁105(図2には図示せず。図1参照)を介して図示されない圧縮空気源に連通されており、該不燃剤撹拌手段4に圧縮空気が供給されると、前記チューブ4aから圧縮空気が噴射されると共に前記チューブ4aの他端が不規則に動く(暴れる)。これにより、前記不燃剤噴霧ユニット3内に貯留されている不燃剤Fを噴霧させるようになっている。
【0015】
なお本発明における不燃剤Fとしては、上述した炭酸カルシウムのほかに、例えば、ゼオライト、パーライト、ガラス粉、石英砂、乾燥コンクリート粉、石灰石粉、軽石粉、ホウ砂、珪藻土、セライト、セメント、消石灰、乾燥粘土、長石、乾燥塩、ベントナイト、ケイ石などが挙げられる。
【0016】
このように構成されたものの作動について説明する。まず、粉塵発生源101、即ち、加工機が作動されると、粉塵が発生するため、集塵機104が作動される。そうすると、該集塵機104の吸引力により、粉塵発生源包囲フード102内の粉塵は、集塵フード1の下端開口部1aを介して該集塵フード1内に吸引され、該集塵フード1内において搬送気体とともに鉛直方向に搬送される。
【0017】
その後、集塵フード1内の粉塵は、集塵ダクト2の一端開口部2aを介して該集塵ダクト2に吸引され、該集塵ダクト2内において搬送気体とともに水平方向に搬送される。なお不燃剤撹拌手段4においては、該不燃剤撹拌手段4に連通された開閉弁105が一定時間毎(本実施形態では28分毎)に数秒間(本実施形態では5秒間)開くようになっており、該開閉弁105が開いている間は不燃剤撹拌手段4に圧縮空気が供給され、チューブ4aから圧縮空気が噴射されると共にチューブ4aの他端が不規則に動く(暴れる)。これにより、不燃剤噴霧ユニット3内に貯留されている不燃剤Fを噴霧させる。
【0018】
そして、噴霧された不燃剤Fは、不燃剤噴霧ユニット3の側面開口部3aを介して集塵ダクト2に吸引され、該集塵ダクト2内の粉塵と混合される。その後、該混合された粉塵と不燃剤Fは、集塵ダクト2の他端開口部2b及び接続ダクト103を介して搬送気体とともに集塵機104に吸引される。
【0019】
次に本発明の第2実施形態を図3に基づいて説明する。第2実施形態では、プリコート剤P(本実施形態では炭酸カルシウム)が貯留されたプリコート剤供給装置106が備えられている。そして、該プリコート剤供給装置106は、供給管107を介して接続ダクト103に連通され、該接続ダクト103を介して集塵機104に連通されている。また該プリコート剤供給装置106は、不燃剤撹拌手段4に連通された開閉弁105に連通され、該開閉弁105を介して図示されない圧縮空気源に連通されている。
【0020】
以上の点が第1実施形態との構成の相違点である。これ以外は第1実施形態と同じ構成である。なお第1実施形態と同じ構成要素については、同一の符号で示してその説明を省略することとする。
【0021】
このように構成された第2実施形態の作動は基本的に第1実施形態と同じである。しかし、開閉弁105を開くと、不燃剤撹拌手段4に圧縮空気が供給されて不燃剤噴霧ユニット3内に貯留されている不燃剤Fが噴霧され、これと同時に、プリコート剤供給装置106に圧縮空気が供給されて該プリコート剤供給装置106から集塵機104へプリコート剤Pが供給される。この点が第1実施形態とは異なる。
【0022】
なお本発明におけるプリコート剤Pとしては、上述した炭酸カルシウムのほかに、例えば、ゼオライト、パーライト、ガラス粉、石英砂、乾燥コンクリート粉、石灰石粉、軽石粉、ホウ砂、珪藻土、セライト、セメント、消石灰、乾燥粘土、長石、乾燥塩、ベントナイト、ケイ石などが挙げられる。
【0023】
なお本発明では、不燃剤噴霧ユニット3が、圧縮空気を噴射すると共に可撓性材料からなるチューブ4aを有する不燃剤撹拌手段4を具備している。このため、不燃剤撹拌手段4に圧縮空気が供給されると、チューブ4aから圧縮空気が噴射されると共にチューブ4aの他端が不規則に動き、不燃剤噴霧ユニット3内に貯留されている不燃剤Fを攪拌して噴霧させるようになっている。その結果、撹拌されて噴霧された不燃剤Fは気流の流れに沿って万遍なく集塵ダクト2内及び接続ダクト103内に該不燃剤Fの層を形成するから、従来に比べ、不燃剤Fの消費量が少なくてすむという効果がある。
【0024】
また本発明では、集塵フード1の側面に集塵ダクト2が連通連結され、且つ、該集塵ダクト2の側面に不燃剤噴霧ユニット3が連通連結されており、これによりコンパクトな構造の集塵システムになっている。
【0025】
さらに本発明では、プリコート剤Pが貯留されたプリコート剤供給装置106が前記集塵機104に連通されると共に、該プリコート剤供給装置106と前記不燃剤撹拌手段4が同じ開閉弁105を介して圧縮空気源に連通され、前記開閉弁105を開くことにより、前記プリコート剤供給装置106から前記集塵機104への前記プリコート剤Pの供給と前記不燃剤Fの噴霧を同時に行うようにしたから、使用する開閉弁の数を減らすことができると共にエアー配管もシンプルにすることができるという効果がある。
【0026】
なお本発明の第1及び第2実施形態では、図2に示すように、集塵ダクト2が連通連結される集塵フード1の側面と該集塵ダクト2の底面が直角をなしている。この構成にすると、粉塵発生源で発生する火種(例えば、スパッタ)が直接、集塵ダクト2内へ進入することを防止することができ、集塵機内やダクト内での火災発生の確率を、より低減させることができるため、好ましい。
【0027】
また本発明の第1及び第2実施形態では、不燃剤噴霧ユニット3内への不燃剤Fの供給は、該不燃剤噴霧ユニット3に設けられた点検扉3b(図2参照)を開けて、そこから供給するようにしている。しかし、これに限定されるものではなく、不燃剤噴霧ユニット3に供給管(図示せず)を介して不燃剤圧送手段(図示せず)を連通させ、該不燃剤圧送手段により不燃剤Fを圧送して不燃剤噴霧ユニット3内に供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 集塵フード
2 集塵ダクト
3 不燃剤噴霧ユニット
4 不燃剤撹拌手段
4a チューブ
101 粉塵発生源
102 粉塵発生源包囲フード
103 接続ダクト
104 集塵機
105 開閉弁
106 プリコート剤供給装置
A 不燃剤噴霧ユニット付き集塵フード
F 不燃剤
P プリコート剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉塵発生源を包囲する粉塵発生源包囲フードと、該粉塵発生源包囲フードに連通連結された不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードと、該不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードに接続ダクトを介して連通連結された集塵機と、を具備する集塵システムであって、
前記不燃剤噴霧ユニット付き集塵フードが、前記粉塵発生源で発生する粉塵を搬送気体とともに鉛直方向に搬送する集塵フードと、該集塵フードの側面に連通連結され、前記粉塵を搬送気体とともに水平方向に搬送する集塵ダクトと、該集塵ダクトの側面に連通連結される共に不燃剤を貯留し、該不燃剤を噴霧させる不燃剤噴霧ユニットと、を具備し、
前記不燃剤噴霧ユニットが、圧縮空気を噴射すると共に可撓性材料からなるチューブを有する不燃剤撹拌手段を具備することを特徴とする集塵システム。
【請求項2】
プリコート剤が貯留されたプリコート剤供給装置が前記集塵機に連通されると共に、該プリコート剤供給装置と前記不燃剤撹拌手段が同じ開閉弁を介して圧縮空気源に連通され、前記開閉弁を開くことにより、前記プリコート剤供給装置から前記集塵機への前記プリコート剤の供給と前記不燃剤の噴霧を同時に行うことを特徴とする請求項1記載の集塵システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−96184(P2012−96184A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246933(P2010−246933)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】