説明

集塵機

【課題】用途に適した捕集性能に容易に変更可能な集塵機を提供すること。
【解決手段】集塵機1は、遠心ファン34が駆動されることにより吸込口7からハウジング2内に吸い込まれたオイルミスト混入気体をメインフィルタ10でろ過し、メインフィルタを通過した気体をドラムフィルタ38でろ過して吐出口61から排出する。メインフィルタは、メインフィルタ室3から取り出し可能なボックス状のカートリッジボックス(フィルタケース)11に、同一の又は異なる性能の複数のフィルタ(標準デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20、メタルファイバー式デミスター64、金網式デミスター65)から選択された2以上のフィルタ(例えば標準デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20)を層状に組み込んで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルミストおよびダストを含んだオイルミスト混入気体をろ過する集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、メインフィルタ(ルーバーユニット)、ドラムフィルタ、アフターフィルタ(ファイナルフィルター)を備え、ファンを回転させると、オイルミスト(油煙を含む)およびダストを含んだオイルミスト混入気体を吸込口から吸い込んで、各フィルタで順次ろ過し、ろ過された吸入気体を吐出口から排出するよう構成された集塵機が記載されている。この集塵機では、メインフィルタ及びドラムフィルタを通過した吸引気体に含まれる微細粒子やダストを、アフターフィルタによって捕集することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−166117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の集塵機では、その集塵機における捕集性能やメンテナンス頻度を変更することはできなかった。そのため、集塵機の導入後に切削油剤を変更するなどして、捕集性能を落としてもいいからメンテナンス頻度を少なくしたいと考えたり、メンテナンス頻度が多くなってもいいから捕集性能を向上させたいと考えたりした場合には、性能の異なる別の集塵機を導入する必要があった。また、ある工作機械に取り付けて使用している集塵機を別の工作機械に取り付けて使用したい場合には、その集塵機の捕集性能と、付け替えたい工作機械に要求される捕集性能とが合わなければ、集塵機を付け替えて使用することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、用途に適した捕集性能に容易に変更可能な集塵機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の集塵機は、吸込口および吐出口が設けられたハウジングと、前記ハウジング内に設置され、モータ駆動されるファンと、前記ファンが設置されたファン室と前記吸込口との間の空気吸引室に配されるメインフィルタと、前記ファンの外周を囲むように前記ファン室に設けられたドラム部材の外周面に取り付けられるドラムフィルタと、を備え、前記ファンが駆動されることにより前記吸込口から前記ハウジング内に吸い込まれたオイルミスト混入気体を前記メインフィルタでろ過し、前記メインフィルタを通過した気体を前記ドラムフィルタでろ過して前記吐出口から排出する集塵機において、前記メインフィルタは、前記空気吸引室から取り出し可能なボックス状のフィルタケースに、同一の又は異なる性能の複数のフィルタから選択された2以上のフィルタを層状に組み込んで構成されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、フィルタケースを空気吸引室から出してメインフィルタを構成するフィルタの選択を変更するだけで、捕集性能およびメンテナンス頻度の異なる集塵機に容易に変更することができる。よって、集塵機導入後に切削油材を変更するなどして捕集性能を変更したくなった場合や、異なる捕集性能が要請される他の工作機械に対して集塵機を取り付けたい場合に、他の集塵機を用いることなく、本発明に係る集塵機ひとつで対応することができる。
【0008】
ここで、本発明の集塵機では、前記ドラムフィルタを、略帯形状に形成し、前記ファン室に対して長さ方向に沿って出し入れされて、前記ドラム部材の外周面に巻き付けられる構成とし、さらに、異なる性能の複数のフィルタから選択された一つのフィルタにより構成することができる。
【0009】
これによれば、ドラムフィルタをファン室から長さ方向に沿って引き出して、異なる性能のドラムフィルタをドラム部材に巻き付けるだけで、容易に集塵機の性能を変えることができる。また、メインフィルタを構成するフィルタの選択の変更だけでなく、ドラムフィルタの選択も変更できるため、フィルタの組み合わせによって実現できる集塵機の性能が多様化する。
【0010】
また、本発明の集塵機では、前記ファン室と前記吐出口との間の空気排出室に出し入れ可能に配されるアフターフィルタケースと、前記アフターフィルタケースに配置され、前記ドラムフィルタを通過した気体をろ過するアフターフィルタとを備える構成とし、前記アフターフィルタを、異なる性能の複数のフィルタから選択された一つのフィルタにより構成することができる。
【0011】
これによれば、アフターフィルタケースを空気排出室から出して、アフターフィルタを異なる性能のアフターフィルタに換えるだけで、容易に集塵機の性能を変えることができる。また、メインフィルタを構成するフィルタの選択の変更、ドラムフィルタの選択の変更だけでなく、アフターフィルタの選択の変更もできるため、フィルタの組み合わせによって実現できる集塵機の性能がさらに多様化する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フィルタケースを空気吸引室から出してメインフィルタを構成するフィルタの選択を変更するだけで、捕集性能およびメンテナンス頻度の異なる集塵機に容易に変更することができる。よって、集塵機導入後に切削油材を変更するなどして捕集性能を変更したくなった場合や、異なる捕集性能が要請される他の工作機械に対して集塵機を取り付けたい場合に、他の集塵機を用いることなく、本発明に係る集塵機ひとつで対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る集塵機を正面側から見た斜視図である。
【図2】同実施形態の集塵機の分解斜視図である。
【図3】(a)(b)(c)は実施形態の集塵機に利用可能なデミスターを示す正面図である。
【図4】(a)は実施形態の集塵機に利用可能なエアフィルタの斜視図であり、(b)は実施形態の集塵機に利用可能なオイルブロッタの斜視図である。
【図5】集塵機の吸入方向に沿った縦断面図である。
【図6】(a)は集塵機から右側サイドカバーを取り外した状態を示す斜視図であり、(b)はさらにカートリッジボックス(メインフィルタ)を引き出した状態を示す斜視図である。
【図7】カートリッジボックスからメインフィルタを構成する各フィルタ(デミスター、エアフィルタ、オイルブロッタ)およびルーバーを取り出した状態を示す斜視図である。
【図8】ドラムフィルタの取り外しを説明するための図であり、(a)はフィルタ押さえ部材を取り外した状態を示し、(b)はドラムフィルタを引き出している状態を示している。
【図9】ドラムフィルタの取り付けを説明するための図であり、(a)はドラムフィルタをドラム部材に対して巻き付けている状態を示し、(b)はドラムフィルタの取り付けが完了した状態を示している。
【図10】集塵機の左側面側を示す斜視図である。
【図11】集塵機からアフターフィルタを取り出した状態を示す斜視図である。
【図12】(a)は実施形態の集塵機に利用可能な金属製のドラムフィルタを示す斜視図であり、(b)は実施形態の集塵機に利用可能な高性能アフターフィルタを示す斜視図である。
【図13】集塵機に搭載するフィルタの組み合わせを変更することにより構成される各モデルの性能を示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態の集塵機1を示す斜視図であり、図2は、実施形態の集塵機1を示す分解斜視図である。実施形態の集塵機1は、マシニングセンター、NC旋盤などの工作機械を使用する際に生じるオイルミストやダストを含む気体(以下「オイルミスト混入気体」という)を吸入し、ろ過するものである。なお、本明細書中、オイルミストには、工作機械に用いられる切削油剤が、加工物や工具に当たって微粒子となって空気中に飛び散ることにより発生するミストと、切削油剤が切削点で高温にさらされて蒸発もしくは分解されることにより発生する油煙とが含まれる。また、ダストとは、切削加工や研削加工により発生する切削粉や塵などをいう。また、本明細書中、前後方向、左右方向、及び上下方向は、それぞれ図2に示す方向をいうものとする。
【0015】
図1,2に示すように、集塵機1は、略直方体形状のハウジング(ケーシング)2に各種部品が組み付けられて構成されている。ハウジング2は、メインフィルタ10を収納するメインフィルタ室(空気吸引室に相当する)3、ドラムフィルタ38を収納するドラムフィルタ室(ファン室に相当する)4、アフターフィルタ52を収納するアフターフィルタ室(空気排出室に相当する)5を備えている。メインフィルタ室3とドラムフィルタ室4、及び、ドラムフィルタ室4とアフターフィルタ室5は、集塵機1内に吸入したオイルミスト混入気体が移動できるよう連通されている。
【0016】
ハウジング2の前面には、前側カバー6が取り付けられる。前側カバー6は、略円形状の開口部6aを備えており、開口部6aには、略円筒形状の吸込口7がフランジ部7aを利用して取り付けられる。また、前側カバー6の裏面側には、鉛直方向に沿ってスリットが形成された第1ルーバー(衝突板)8が取り付けられる。後述する遠心ファン34が回転されることにより吸込口7から吸い込まれたオイルミスト混入気体は、まず第1ルーバー8に当たることにより左右方向に拡散されるとともに、粗塵を除去される。また、第1ルーバー8により、オイルミスト混入気体に含まれる微粒子の凝集がなされる。
【0017】
ハウジング2において、第1ルーバー8の後方にはメインフィルタ室3が形成されている。メインフィルタ室3には、カートリッジ式のメインフィルタ10が収納される。カートリッジ式のメインフィルタ10は、上部が開口された略籠型のカートリッジボックス(フィルタケースに相当する)11に、第2ルーバー12、デミスター13、エアフィルタ(合成樹脂製一次フィルタ)17、オイルブロッタ(合成樹脂製二次フィルタ)20を前方から順に重ねて収納した構成となっている。カートリッジボックス11の前壁および後壁は、集塵機1内に吸入した気体(以下「吸入気体」という)が通過可能な格子形状とされている。また、カートリッジボックス11の左側壁および右側壁の上端には、ハウジング2内(メインフィルタ室3)からメインフィルタ10を取り出す際に作業者が把持することのできる把持片11aが設けられている。
【0018】
第2ルーバー12は、水平方向に沿うスリットが形成されたもので、第1ルーバー8を通過した吸入気体を上下方向に拡散させるとともに、吸入気体に含有される切削粉および粉塵を除去するものである。
【0019】
デミスター13は、図3(a)に示すもので、金属フィルタ14を複数枚重ねて、前方および後方から金網15で挟み、前枠部材16と後枠部材(図示せず)とで挟持したものである。デミスター13を構成する金属フィルタ14は、多数のアルミ線を上下方向及び左右方向に沿って並べて編み合わせたものである。デミスター13は、第2ルーバー12を通過した吸入気体に含まれる切削粉、粉塵およびオイルミストを捕集するものである。
【0020】
エアフィルタ(合成樹脂製一次フィルタ)17は、例えばポリウレタンフォームからなるスポンジ質フィルタから構成されている。具体的には、エアフィルタ17は、図4(a)に示すように、正面からみてデミスター13と略同じ大きさの面形状のスポンジ質フィルタ18を2枚重ねて、四隅を点(スポット)状に熱溶着することによりユニット化されている(図4(a)に示す熱溶着部分19参照)。エアフィルタ17は、デミスター13を通過した吸入気体に含まれるオイルミスト(デミスター13で捕集されるオイルミストよりも粒子径の小さいオイルミスト)を捕集するものである。2枚のスポンジ質フィルタ18,18をユニット化するのに熱溶着を用いているのは、縫製を用いてユニット化するよりもフィルタの性能が落ちないからである。すなわち、スポンジ質フィルタ18を重ねて周縁を縫い合わせることによりユニット化した場合には、縫合部分の周囲が押し付けられてしまい、スポンジ質フィルタ18の捕集性能が落ちてしまうので、これを避けるために、熱溶着を用いているのである。
【0021】
オイルブロッタ(合成樹脂製二次フィルタ)20は、エアフィルタ17と同質のスポンジ質フィルタと、例えばポリエステルの不織布からなる繊維質フィルタとを合わせて構成されている。具体的には、オイルブロッタ20は、図4(b)に示すように、正面からみてデミスター13と略同じ大きさの面形状のスポンジ質フィルタ21の前後に、同形状の繊維質フィルタ22を1枚ずつ重ねて、四隅を点(スポット)状に熱溶着することによりユニット化されている(図4(b)に示す熱溶着部分23参照)。オイルブロッタ20は、エアフィルタ17を通過した吸入気体に含まれるオイルミストを吸着するものである。3枚のフィルタをユニット化するのに熱溶着を用いている理由は、エアフィルタ17の場合と同様である。
【0022】
ここでハウジング2は、図2に示すように、上記のように構成されるメインフィルタ10(カートリッジボックス11)をハウジング2内(メインフィルタ室3)から取り出すためのメインフィルタ取出口26を、右側部2aおよび左側部2bに備えている。言い換えれば、ハウジング2において、右側メインフィルタ取出口(第1メインフィルタ取出口に相当する)26aと左側メインフィルタ取出口(第2メインフィルタ取出口に相当する)26bとは、メインフィルタ室3を挟んで対向して設けられており、メインフィルタ10は、ハウジング2の右側部2aからでも左側部2bからでも左右方向に沿って引き出すことが可能となっている。
【0023】
さらにハウジング2の底壁30には、ドレン孔31が形成されている。ドレン孔31は、油滴を集塵機1外へ排出するためのものである。油滴は、吸入気体に含まれるオイルミストがメインフィルタ10により凝集されることにより生じる。例えば、デミスター13によって捕捉された油滴は、アルミ線を伝って下方へ流下する。なお、ドレン孔31には、図示しないドレン配管が取り付けられる。
【0024】
ハウジング2の後面には、モータベース32が取り付けられる。ハウジング2の後面はこのモータベース32により覆われる。モータベース32には、後方から電動モータ33が取り付けられる。電動モータ33の出力軸33aには、遠心ファン34がモータベース32の前方から取り付けられる。遠心ファン34は、メインフィルタ室3の後方に形成されたドラムフィルタ室4内に配される。メインフィルタ室3とドラムフィルタ室4とを区画する区画壁35の後面には、ドラムフィルタ室4内に配される遠心ファン34の周囲を囲む円環状のドラム部材36が取り付けられ固定される。ドラム部材36には、外周面36aに沿ってドラムフィルタ38が巻き付けられる。
【0025】
ドラムフィルタ38は、図2に示すように、例えばポリウレタンフォームからなるスポンジ質フィルタ40と、例えばポリエステルの不織布からなる繊維質フィルタ39とを合わせて構成されている。具体的には、ドラムフィルタ38は、ドラム部材36の幅方向(前後方向)と略同じ幅の帯形状に形成されたスポンジ質フィルタ40に、同じ帯形状の繊維質フィルタ39を重ねて、周縁をシームすることによりユニット化されている。ドラムフィルタ38の短手方向の両端部38a,38bには、それぞれ2つの孔41が形成されている。ドラムフィルタ38をドラム部材36に固定するには、この孔41が一致するようにドラムフィルタ38をドラム部材36に巻き付け、重ね合わせた両端部38a,38bの孔41にフィルタ押さえ部材42を介して蝶ボルト43を挿通させて、蝶ボルト43をドラム部材36に設けられた雌ねじ部37aに対して締め付ける。なお、蝶ボルト43を締め付け可能な雌ねじ部37は、ドラム部材36の左右両側に設けられており、後述するように、左側部2bからドラムフィルタ38を交換する場合には、反対側の雌ねじ部37bが用いられる(図10参照)。ドラムフィルタ38は、メインフィルタ10を通過し遠心ファン34により遠心分離された吸入気体に含まれるオイルミストを吸着するものである。
【0026】
ここでハウジング2は、図2に示すように、上記のように構成されるドラムフィルタ38をハウジング2内(ドラムフィルタ室4)から取り出すためのドラムフィルタ取出口46を、右側部2aおよび左側部2bに備えている。言い換えれば、右側ドラムフィルタ取出口(第1ドラムフィルタ取出口に相当する)46aと左側ドラムフィルタ取出口(第2ドラムフィルタ取出口に相当する)46bとは、ドラムフィルタ室4を挟んで対向して設けられており、ドラムフィルタ38は、ハウジング2の右側部2aからでも左側部2bからでも取り付けたり取り外したりすることが可能となっている。
【0027】
そして、ハウジング2の右側部2a(右側面)および左側部2b(左側面)には、それぞれ、サイドカバー48が取り付けられる。各サイドカバー48は、四隅に設けられたロックノブ(ボルト)49によりハウジング2の側面に締め付けられ固定される。右側サイドカバー(第1カバー部材に相当する)48aは、ハウジング2の右側部2aに並設された右側メインフィルタ取出口26aと右側ドラムフィルタ取出口46aをともに塞ぐものである。また、左側サイドカバー(第2カバー部材に相当する)48bは、ハウジング2の左側部2bに並設された左側メインフィルタ取出口26bと左側ドラムフィルタ取出口46bをともに塞ぐものである。左側サイドカバー48bの内側面48baには、右側ドラムフィルタ取出口46aから挿入したドラムフィルタ38のドラム部材36への巻き付けを案内するための案内板(第1案内部に相当する)50aが設けられている。また、右側サイドカバー48aの内側面48aaには、左側ドラムフィルタ取出口46bから挿入したドラムフィルタ38のドラム部材36への巻き付けを案内するための案内板(第2案内部に相当する)50bが設けられている。両案内板50a,50bは、ドラム部材36の下部の外周面36aに沿うように傾斜しており、ハウジング2にサイドカバー48が取り付けられた状態では、ドラムフィルタ取出口46からドラムフィルタ室4内へ入り込む。
【0028】
ハウジング2の上部には、ドラムフィルタ室4と連通したアフターフィルタ室5が形成されている。アフターフィルタ室5には、受け皿部材(アフターフィルタケース)56に載置されたアフターフィルタ52が、後方側の開口(アフターフィルタ取出口)57から収納される。アフターフィルタ取出口57は、ハウジング2に後方から取り付けられる後方側カバー58によって塞がれる。後方側カバー58は、上述したサイドカバー48と同様、ロックノブ(ボルト)59によりハウジング2に締結される。ロックノブ59を緩めて後方側カバー58を外せば、受け皿部材56とともにアフターフィルタ52を、アフターフィルタ取出口57から水平方向に沿って後方へ引き出すことができる。なお、受け皿部材56におけるアフターフィルタ52の載置部分は、上下方向に沿って上向きに吸引気体が通過できるように格子状とされている。
【0029】
アフターフィルタ52は、図2に示すように、前後左右を囲う木製の枠型53の内側に、不織布からなる繊維質フィルタ54を取り付けて構成されている。アフターフィルタ52は、ドラムフィルタ38を通過した吸入気体に含まれる0.3〜2μmの微細粒子を捕集するものである。
【0030】
ハウジング2の上面には、吐出口61が設けられた上側カバー60が取り付けられる。吐出口61は、集塵機1内部に吸引され各フィルタ(メインフィルタ10、ドラムフィルタ38、及アフターフィルタ52)を通過して清浄化された気体(以下「清浄エアー」という)を集塵機1外へ排出するものである。
【0031】
次に、図5に基づいて、以上のように構成される集塵機1の動作について説明する。図5に示すように、まず電動モータ33が作動されると、遠心ファン34が回転する。これにより、集塵機1内部が減圧され、吸込口7に接続された図示しないダクトから集塵機1内部へオイルミスト混入気体が吸入される。集塵機1内部へ吸入されたオイルミスト混入気体は、第1ルーバー8により拡散されたのち、メインフィルタ10でろ過される(図5図示矢印a参照)。メインフィルタ10でろ過された気体は、続いてドラムフィルタ38でろ過され(図5図示矢印b参照)、さらにアフターフィルタ52でろ過されて、吐出口61から排出される(図5図示矢印c参照)。
【0032】
次に、図6〜10に基づいて、集塵機1のメンテナンスについて説明する。メインフィルタ10及びドラムフィルタ38のメンテナンスの際には、まず図6(a)に示すように、ロックノブ49を緩めて右側サイドカバー48aを取り外す。実施形態の集塵機1では、右側サイドカバー48aを取り外すだけで、右側メインフィルタ取出口26aおよび右側ドラムフィルタ取出口46aを露出させることができる。したがって、図6(a)に示すように、ドラムフィルタ38の汚れを確認することができるとともに、図6(b)に示すように、カートリッジボックス11を引き出して、メインフィルタ10を構成する各フィルタ(デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20)の汚れを確認することができる。
【0033】
そしてメインフィルタ10を構成するデミスター13やエアフィルタ17の汚れがひどく、洗浄が必要な場合には、図7に示すようにカートリッジボックス11からデミスター13やエアフィルタ17を引き出して洗浄する。また、オイルブロッタ20の汚れがひどい場合には、図7に示すようにカートリッジボックス11からオイルミストを吸着したことにより汚れたオイルブロッタ20を引き出して、新しいオイルブロッタに交換する。
【0034】
またドラムフィルタ38の汚れがひどく、交換が必要な場合には、まず図8(a)に示すように、蝶ボルト43,43を緩めてフィルタ押さえ部材42を外し、図8(b)に示すように、オイルミストを吸着したことにより汚れたドラムフィルタ38を引き出す。そして、図9(a)に示すように、新しいドラムフィルタ38をドラム部材36の上方からドラム部材36に対して巻き付けるようにドラムフィルタ室4へ挿入させていけば、案内板50aによりドラムフィルタ38の端部38bがドラム部材36の外周面36aに沿って案内されて右側ドラムフィルタ取出口46a側へ出るので、図9(b)に示すように、ドラムフィルタ38の両端部38a,38bを重ねて、フィルタ押さえ部材42を介して蝶ボルト43で締結する。
【0035】
ここで、図10に示すように、メインフィルタ10及びドラムフィルタ38は、ハウジング2の反対側(左側部2b側)からでもメンテナンスできるように構成されている。すなわち、実施形態の集塵機1では、左側サイドカバー48bを外せば、左側メインフィルタ取出口26b及び左側ドラムフィルタ取出口46bが露出するよう構成されている。したがって、左側メインフィルタ取出口26bからメインフィルタ10(カートリッジボックス11)を引き出して点検及び交換等することもできるし、左側ドラムフィルタ取出口46bからドラムフィルタ38を取り外して交換することもできる。なお、ドラムフィルタ38の取り付け・取り外しに左側ドラムフィルタ取出口46bを使う場合には、ドラム部材36の左側に設けられた雌ねじ部37b,37bを利用して、ドラムフィルタ38を取り付けるようにする。この場合、ドラムフィルタ38の取り付け時には、ドラムフィルタ38は、右側サイドカバー48aの内側面48aa(図9(b)参照)に設けられた案内板50bによりドラム部材36の外周面36aに沿うように案内されることとなる。
【0036】
アフターフィルタ52をメンテナンスする際には、図11に示すように、ロックノブ59を緩めて後方側カバー58を取り外して、アフターフィルタ52を受け皿部材56とともに後方へ引き出して、アフターフィルタ52の汚れを点検する。アフターフィルタ52の汚れがひどく、交換が必要な場合には、オイルミストの捕集により汚れたアフターフィルタ52を外し、新しいアフターフィルタを受け皿部材56に載置してアフターフィルタ室5に収納する。
【0037】
ここで、以上のように構成される実施形態の集塵機1において、メインフィルタ10は、オイルミスト捕集性能の異なる又は同一の複数のフィルタの中から2以上のフィルタを選択して組み合わせて構成されたものとなっている。実施形態の集塵機1におけるメインフィルタ10に採用した3つのフィルタ(デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20)の他にメインフィルタ10を構成可能なフィルタとしては、例えば、図3(b)に示すメタルファイバー式デミスター63や、図3(c)に示す金網式デミスター64がある。図3(b)に示すメタルファイバー式デミスター63は、メタルファイバーからなる金属フィルタ65を複数枚重ねて、前方および後方から金網66で挟み、前枠部材67と後枠部材(図示せず)とで挟持したものであり、図3(a)に示すデミスター13(以下「標準デミスター13」ともいう)に比べて、網目が細かく、微細な粒子を捕集できるものである。図3(c)に示す金網式デミスター64は、金網状の金属フィルタ68を複数枚重ねて、前枠部材69と後枠部材(図示せず)とで挟持したものであり、図3(a)に示す標準デミスター13に比べて、網目が粗く、微細な粒子の捕集ができないものである。
【0038】
また、実施形態の集塵機1におけるドラムフィルタ38も、オイルミスト捕集性能の異なる複数のフィルタから選択されたフィルタである。実施形態の集塵機1におけるドラムフィルタ38に採用した合成樹脂製のドラムフィルタ(以下「合成樹脂ドラムフィルタ38」ともいう)の他にドラムフィルタを構成可能なフィルタとしては、例えば、図12(a)に示す金属ドラムフィルタ70がある。図12(a)に示す金属ドラムフィルタ70は、1平方インチあたり30〜150個の孔が設けられた金属多孔体からなるフィルタであり、図2に示す合成樹脂ドラムフィルタ38と比べて捕集性能は劣るが、洗浄可能な金属製であるため新しいフィルタに交換する必要がなく、メンテナンス頻度を少なくすることができる。
【0039】
また、実施形態の集塵機1におけるアフターフィルタ52も、オイルミスト捕集性能の異なる複数のフィルタから選択されたものである。実施形態の集塵機1におけるアフターフィルタ52に採用したフィルタの他にアフターフィルタを構成可能なフィルタとしては、例えば、図12(b)に示す高性能アフターフィルタ73がある。図12(b)に示す高性能アフターフィルタ73は、前後左右を覆う枠型71の内側に、吸入気体の流れ方向に沿う状態で所謂HEPAフィルタ72を多数配設して構成したものであり、図2に示すアフターフィルタ52と比べてメンテナンス頻度(フィルタの交換頻度)が増すものの、捕集性能を向上させることができる。なお、HEPAフィルタ72とは、直径1μm程度のきわめて微細な繊維で作られた布状のフィルタである。
【0040】
図13は、実施形態の集塵機1において、採用するフィルタを変更した各モデルと、そのモデルの特徴を示している。実施形態の集塵機1において採用するフィルタを変更することにより構成可能なモデルとしては、例えば、「標準フィルタ(アフターフィルタあり)モデル」、「標準フィルタ(アフターフィルタなし)モデル」、「省エネモデル」、「ECOモデル」の4つがある。
【0041】
「標準フィルタ(アフターフィルタあり)モデル」は、図2に示す集塵機1のモデルであり、図13に示すように、メインフィルタ10として、標準デミスター13、エアフィルタ17、及びオイルブロッタ20を重ねて使用し、ドラムフィルタ38として、合成樹脂ドラムフィルタ38を使用し、アフターフィルタ52を搭載したモデルである。なお、搭載するアフターフィルタ52としては、通常、図2に示すアフターフィルタ52を使用するが、より細かい粒子を捕捉したいときには、図12(b)に示す高性能アフターフィルタ73を使用する。
【0042】
これに対して、「標準フィルタ(アフターフィルタなし)モデル」は、「標準フィルタ(アフターフィルタあり)モデル」からアフターフィルタ52を除いたモデルであり、図13に示すように、メインフィルタ10として、標準デミスター13、エアフィルタ17、及びオイルブロッタ20を重ねて使用し、ドラムフィルタとして、合成樹脂ドラムフィルタ38を使用したモデルである。なお、「標準フィルタ(アフターフィルタなし)モデル」においては、アフターフィルタ52をまったく使用しないのではなく、受け皿部材56に吐出フィルタ(図示せず)を配して構成することができる。吐出フィルタは、主に、吐出口61から集塵機1内へダストが進入するのを防いだりドラムフィルタ38を通過した吸入気体に含まれるダストを捕集したりするための補助フィルタである。
【0043】
また、「省エネモデル」は、図13に示すように、メインフィルタ10として、オイルブロッタ20を使用せずに標準デミスター13とエアフィルタ17とを重ねて使用し、ドラムフィルタとして、合成樹脂ドラムフィルタ38に換えて金属ドラムフィルタ70を使用し、アフターフィルタ52は使用しないモデルである。「省エネモデル」では、洗浄することができないオイルブロッタ20、合成樹脂ドラムフィルタ38、アフターフィルタ52を使用せず、洗浄可能なデミスター13、エアフィルタ17、金属ドラムフィルタ70を使用するため、標準フィルタモデルと比べて、メンテナンス周期を長期化させ、ランニングコストを低減させることができる。
【0044】
さらに、「ECOモデル」は、図13に示すように、メインフィルタ10として、オイルブロッタ20及びエアフィルタ17を使用せずに標準デミスター13を2つ重ねて使用し、ドラムフィルタとして、金属ドラムフィルタ70を使用し、アフターフィルタ52は使用しないモデルである。すなわち、「ECOモデル」は、交換し廃棄する必要のあるエアフィルタ17、オイルブロッタ20、合成樹脂ドラムフィルタ38、アフターフィルタ52を使用しないことにより、点検・洗浄のみで長期間利用できるように構成したモデルである。特に、アルミダイカストマシーンを使用する際に生じるミスト(離型剤と水蒸気が混合したミスト)に含まれる径の大きな粒子を捕集する必要がある場合には、他のモデルに使用されている目の細かいフィルタを使用すると、短期間のうちに目詰まりが生じてメンテナンス頻度が増加し、ランニングコストが上がってしまうので、デミスター13及び金属ドラムフィルタ70から構成される「ECOモデル」が適している。なお、「ECOモデル」においては、標準デミスター13を2つ重ねて使用するのに換えて、標準デミスター13の後ろに、より細かな粒子を捕集できるメタルファイバー式デミスター63(図3(b)参照)を重ねて構成したり、標準デミスター13の前に、目の粗い金網式デミスター64(図3(c)参照)を重ねて構成したりしてもよい。ただし、メタルファイバー式デミスター63を標準デミスター13に組み合わせて使用すると、捕集性能が向上する代わりにメタルファイバー式デミスター63に合わせてメンテナンスが必要となるため、標準デミスター13を2つ組み合わせて構成したほうがメンテナンス頻度は低くなる。この点、集塵機1を用いて捕集したいミストおよびダストの種類に応じて、使用者が適宜、使用するデミスターを選択することが望ましい。
【0045】
以上4つのモデルの性能(捕集効率、メンテナンス周期、ランニングコスト、イニシャルコスト)の比較をまとめると、図13に示す通りとなる。すなわち、捕集効率は、「標準フィルタ(アフターフィルタあり)モデル」、「標準フィルタ(アフターフィルタなし)モデル」、「省エネモデル」、「ECOモデル」の順に優れているが、メンテナンス周期は、その逆で、「ECOモデル」、「省エネモデル」、「標準フィルタ(アフターフィルタなし)モデル」・「標準フィルタ(アフターフィルタあり)モデル」の順に優れていることとなる。
【0046】
以上説明したように、実施形態の集塵機1は、吸込口7および吐出口61が設けられたハウジング2と、ハウジング2内に設置され、電動モータ36により駆動される遠心ファン34と、遠心ファン34が設置されたドラムフィルタ室(ファン室)4と吸込口7との間のメインフィルタ室(空気吸引室)3に配されるメインフィルタ10と、遠心ファン34の外周を囲むようにドラムフィルタ室4に設けられたドラム部材36の外周面36aに取り付けられるドラムフィルタ38とを備え、遠心ファン34が駆動されることにより吸込口7からハウジング2内に吸い込まれたオイルミスト混入気体をメインフィルタ10でろ過し、メインフィルタ10を通過した気体をドラムフィルタ38でろ過して吐出口61から排出する。そしてメインフィルタ10は、メインフィルタ室3から取り出し可能なボックス状のカートリッジボックス(フィルタケース)11に、同一の又は異なる性能の複数のフィルタ(標準デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20、メタルファイバー式デミスター64、金網式デミスター65)から選択された2以上のフィルタ(例えば標準デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20)を層状に組み込んで構成されている。
【0047】
よって実施形態の集塵機1によれば、カートリッジボックス(フィルタケース)11をメインフィルタ室(空気吸引室)3から出してメインフィルタ10を構成するフィルタ(標準デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20、メタルファイバー式デミスター64、金網式デミスター65)の選択を変更するだけで、捕集性能およびメンテナンス頻度の異なる集塵機1(図13参照)に容易に変更することができる。よって、集塵機1を工場に導入した後で切削油材を変更するなどして捕集性能を変更したくなった場合や、異なる捕集性能が要請される他の工作機械に対して集塵機1を取り付けたくなった場合に、他の集塵機を用いることなく、実施形態の集塵機1ひとつで対応することができる。
【0048】
また、実施形態の集塵機1では、ドラムフィルタ38は、略帯形状に形成され、ドラムフィルタ室(ファン室)4に対して長さ方向に沿って出し入れされて、ドラム部材36の外周面36aに巻き付けられる構成とされ、さらに、異なる性能の複数のフィルタ(合成樹脂ドラムフィルタ38、金属ドラムフィルタ70)から選択された一つのフィルタにより構成されている。
【0049】
よって実施形態の集塵機1によれば、ドラムフィルタ38をドラムフィルタ室(ファン室)4から長さ方向に沿って引き出して、異なる性能のドラムフィルタ(金属ドラムフィルタ70)をドラム部材36に巻き付けるだけで、容易に集塵機1の性能を変えることができる。また、メインフィルタ10を構成するフィルタの選択の変更だけでなく、ドラムフィルタを構成するフィルタ(合成樹脂ドラムフィルタ38、金属ドラムフィルタ70)の選択も変更できるため、フィルタの組み合わせによって実現できる集塵機1の性能が多様化する。
【0050】
また、実施形態の集塵機1は、ドラムフィルタ室(ファン室)4と吐出口61との間のアフターフィルタ室(空気排出室)55に出し入れ可能に配される受け皿部材(アフターフィルタケース)56と、受け皿部材56に配置され、ドラムフィルタ38を通過した気体をろ過するアフターフィルタ52とを備え、アフターフィルタ52は、異なる性能の複数のフィルタ(アフターフィルタ52、高性能アフターフィルタ73)から選択された一つのフィルタにより構成されている。
【0051】
よって実施形態の集塵機1によれば、受け皿部材(アフターフィルタケース)56をアフターフィルタ室(空気排出室)55から出して、アフターフィルタ52を異なる性能のアフターフィルタ(高性能アフターフィルタ73)に換えるだけで、容易に集塵機1の性能を変えることができる。また、メインフィルタ10を構成するフィルタの選択の変更、ドラムフィルタを構成するフィルタの選択の変更だけでなく、アフターフィルタを構成するフィルタ(アフターフィルタ52、高性能アフターフィルタ73)の選択の変更もできるため、フィルタの組み合わせによって実現できる集塵機1の性能がさらに多様化する。
【0052】
また、実施形態の集塵機1では、メインフィルタ10を構成するフィルタのうち少なくとも一つのフィルタ(エアフィルタ17及びオイルブロッタ20)は、合成樹脂製のスポンジ質フィルタ又は繊維質フィルタから2枚以上のフィルタを重ねてスポット状に熱溶着させたものである。
【0053】
よって、実施形態の集塵機1によれば、フィルタの性能を低下させることなく、2枚のフィルタをユニット化することができる。なお、縫製により2枚のフィルタをユニット化した場合には、縫製した部分が圧接されてしまい、フィルタとして機能する部分が少なくなってしまう。
【0054】
また、実施形態の集塵機1では、メインフィルタ10は、メインフィルタ室(空気吸引室)3から取り出し可能なボックス状のカートリッジボックス(フィルタケース)11にフィルタ(標準デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20)を収納した構成とされており、メインフィルタ室3に対してメインフィルタ10を出し入れするための右側メインフィルタ取出口(第1メインフィルタ取出口)26aと、ドラムフィルタ室(ファン室)4に対してドラムフィルタ38を出し入れするための右側ドラムフィルタ取出口(第1ドラムフィルタ取出口)46aとが、ハウジング2の右側部(一側部)2aに並設され、右側メインフィルタ取出口26aと右側ドラムフィルタ取出口46aをともに塞ぐ右側サイドカバー(第1カバー部材)48aを備えている。
【0055】
よって実施形態の集塵機1によれば、右側サイドカバー(第1カバー部材)48aを取り外すだけで、ハウジング2の右側部(一側部)2a側から、メインフィルタ10が収納されたメインフィルタ室(空気吸引室)3およびドラムフィルタ38が収納されたドラムフィルタ室(ファン室)4の両方を確認することができ、さらにメインフィルタ室3からカートリッジボックス(フィルタケース)11を出せばメインフィルタ10を構成するフィルタ(標準デミスター13、エアフィルタ17、オイルブロッタ20)を確認することができるので、フィルタの点検や交換等の作業(メンテナンス)が容易である。
【0056】
また、実施形態の集塵機1では、ドラムフィルタ38は、略帯形状に形成されて、右側ドラムフィルタ取出口46aに対して長さ方向に沿って出し入れされ、ドラム部材36の外周面36aに巻き付けられるよう構成されている。そして集塵機1は、右側ドラムフィルタ取出口46aから入れられたドラムフィルタ38の挿入側の端部38bをドラム部材36の周方向に沿って右側ドラムフィルタ取出口46a側へと案内可能な案内板(第1案内部)50aを備えている(図9a参照)。
【0057】
よって実施形態の集塵機1によれば、ドラムフィルタ38を右側ドラムフィルタ取出口46aから長さ方向に沿って入れるだけで、案内板(第1案内部)50aにより、ドラムフィルタ38の挿入側の端部38bがドラム部材36の周方向に沿って右側ドラムフィルタ取出口46a側へと案内されるので、ドラム部材36を略一周して右側ドラムフィルタ取出口46aまで戻ってきたドラムフィルタ38の挿入側の端部38bと、挿入側の端部とは反対側の端部38aとを重ねてドラムフィルタ38に固定するだけで、ドラムフィルタ38をドラム部材36に対して容易に巻き付けることができる(図9参照)。また、ドラムフィルタ38を円環状のままでドラム部材36の軸方向に沿って出し入れする場合と比べて、ドラムフィルタ取出口46を小さく形成することができる。
【0058】
また、実施形態の集塵機1では、右側メインフィルタ取出口26aと同形状の左側メインフィルタ取出口(第2メインフィルタ取出口)26bと、右側ドラムフィルタ取出口46aと同形状の左側ドラムフィルタ取出口(第2ドラムフィルタ取出口)46bとが、ハウジング2の左側部(一側部とは反対側の側部)2bに並設され、左側メインフィルタ取出口26bと左側ドラムフィルタ取出口46bをともに塞ぐ左側サイドカバー(第2カバー部材)48bを備え、右側メインフィルタ取出口26aおよび左側メインフィルタ取出口26bからメインフィルタ室(空気吸引室)3に対してメインフィルタ10を出し入れ可能とされ、右側ドラムフィルタ取出口46aおよび左側ドラムフィルタ取出口46bからドラムフィルタ室(ファン室)4に対してドラムフィルタ38を出し入れ可能とされている。
【0059】
よって実施形態の集塵機1によれば、右側サイドカバー(第1カバー部材)48aを取り外すことができないような環境に集塵機1を設置した場合でも、左側サイドカバー(第2カバー部材)48bを取り外すことにより、右側サイドカバー48aを取り外したのと同様にフィルタの点検や交換等の作業(メンテナンス)を行うことができる。なお、右側サイドカバー48aを取り外すことができないような環境とは、右側サイドカバー48aと工場内の壁や設備が接している場合などである。
【0060】
また、実施形態の集塵機1では、左側ドラムフィルタ取出口(第2ドラムフィルタ取出口)46bからドラムフィルタ38を長さ方向に沿って入れてドラム部材36に対して巻き付ける際に、ドラムフィルタ38の挿入側の端部38aをドラム部材36の周方向に沿って左側ドラムフィルタ取出口46b側へと案内可能な案内板(第2案内部)50bが、右側サイドカバー(第1カバー部材)48aの内側面48aaに設けられ、右側ドラムフィルタ取出口(第1ドラムフィルタ取出口)46aからドラムフィルタ38を長さ方向に沿って入れてドラム部材36に対して巻き付ける際に、ドラムフィルタ38の挿入側の端部38bをドラム部材36の周方向に沿って右側ドラムフィルタ取出口46a側へと案内可能な案内板(第1案内部)50aが、左側サイドカバー(第2カバー部材)48bの内側面48baに設けられている。
【0061】
よって実施形態の集塵機1によれば、左側サイドカバー(第2カバー部材)48bを外してドラムフィルタ38を交換する場合においても、右側サイドカバー(第1カバー部材)48aの内側面48aaに設けられた案内板(第2案内部)50bにより、ドラムフィルタ38の巻き付けがガイドされるので、左側ドラムフィルタ取出口46bからでもドラムフィルタ38を容易に巻き付けることができる。
【0062】
なお、実施形態では、集塵機1の右側部2aおよび左側部2bにメインフィルタ取出口26及びドラムフィルタ取出口46を設け、サイドカバー48で覆う構成としたが、メインフィルタ取出口26及びドラムフィルタ取出口46をハウジング2の片側のみに設けて構成してもよい。この場合、メインフィルタ取出口26及びドラムフィルタ取出口46を設けていない側部の内側に、案内板50(図9(b)参照)を設ける。
【0063】
また、実施形態では、標準デミスター13は、多数のアルミ線を上下方向及び左右方向に沿って並べて編み合わせた金属フィルタ14を用いて構成したが、多数のステンレス鋼(SUS)を編み合わせた金属フィルタを用いて構成してもよい。この場合、デミスターによって捕捉された油滴は、SUSを伝って下方へ流下する。
【0064】
また、実施形態では、エアフィルタ(合成樹脂製一次フィルタ)17は、スポンジ質フィルタ18を2枚重ねて熱溶着する構成としたが、3枚以上重ねて熱溶着する構成としてもよい。
【0065】
また、実施形態では、アフターフィルタ52は、木製の枠型53の内側に繊維質フィルタ54を取り付けて構成したが、アルミなどの金属製の枠型や紙製の枠型にフィルタを取り付けて構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…集塵機
2…ハウジング
2a…右側部(一側部)
2b…左側部(一側部とは反対側の側部)
3…メインフィルタ室(空気吸引室)
4…ドラムフィルタ室(ファン室)
5…アフターフィルタ室(空気排出室)
7…吸込口
10…メインフィルタ
11…カートリッジボックス(フィルタケース)
13…デミスター
17…エアフィルタ
20…オイルブロッタ
26a…右側メインフィルタ取出口(第1メインフィルタ取出口)
26b…左側メインフィルタ取出口(第2メインフィルタ取出口)
33…電動モータ
34…遠心ファン
36…ドラム部材
36a…外周面
38…ドラムフィルタ
46a…右側ドラムフィルタ取出口(第1ドラムフィルタ取出口)
46b…左側ドラムフィルタ取出口(第2ドラムフィルタ取出口)
48a…右側サイドカバー(第1カバー部材)
48b…左側サイドカバー(第2カバー部材)
48aa…右側サイドカバーの内側面
48ba…左側サイドカバーの内側面
50a…案内板(第1案内部)
50b…案内板(第2案内部)
52…アフターフィルタ
56…受け皿部材(アフターフィルタケース)
61…吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口および吐出口が設けられたハウジングと、
前記ハウジング内に設置され、モータ駆動されるファンと、
前記ファンが設置されたファン室と前記吸込口との間の空気吸引室に配されるメインフィルタと、
前記ファンの外周を囲むように前記ファン室に設けられたドラム部材の外周面に取り付けられるドラムフィルタと、を備え、
前記ファンが駆動されることにより前記吸込口から前記ハウジング内に吸い込まれたオイルミスト混入気体を前記メインフィルタでろ過し、前記メインフィルタを通過した気体を前記ドラムフィルタでろ過して前記吐出口から排出する集塵機において、
前記メインフィルタは、前記空気吸引室から取り出し可能なボックス状のフィルタケースに、同一の又は異なる性能の複数のフィルタから選択された2以上のフィルタを層状に組み込んで構成されていることを特徴とする集塵機。
【請求項2】
前記ドラムフィルタは、
略帯形状に形成され、前記ファン室に対して長さ方向に沿って出し入れされて、前記ドラム部材の外周面に巻き付けられる構成とされ、さらに、
異なる性能の複数のフィルタから選択された一つのフィルタにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の集塵機。
【請求項3】
前記ファン室と前記吐出口との間の空気排出室に出し入れ可能に配されるアフターフィルタケースと、
前記アフターフィルタケースに配置され、前記ドラムフィルタを通過した気体をろ過するアフターフィルタと、を備え、
前記アフターフィルタは、異なる性能の複数のフィルタから選択された一つのフィルタにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の集塵機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−71020(P2013−71020A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209532(P2011−209532)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(503184902)株式会社葵精工 (5)
【Fターム(参考)】