説明

集塵袋

【課題】
電気掃除機のホース先端に集塵性能の高い集塵袋を装着する場合において、集塵率を下げることなく、2分以上の連続運転できることを目的とする。
【解決手段】
電気掃除機のホース先端に集塵性能の高い集塵袋を装着して集塵を行なう場合において、微細塵及び細塵を捕集するための集塵率が80%以上の袋状不織布と粗塵を捕集するための開口率10%以上の袋状フィルターを用いることで集塵性能を下げることなく、2分間以上の連続運転を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機を用いた集塵法において、高い集塵率と掃除機本体への負荷低減により、集塵作業を向上せしめた集塵袋に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、室内塵中の昆虫やダニ、アレルゲンの検査を行なう際、電気掃除機に内装されている紙パックフィルターを新しいものに交換して集塵を行なう方法が一般的であった。しかし、ある一定の範囲に存在する室内塵はごく微量であり、新しい紙パックフィルターを使用するため経済的な負担が生じ、また紙パックフィルターの容積、面積が大きすぎるために室内塵の回収検査の操作が繁雑であった。このため、簡易に室内塵を回収する技術が提案されてきた。例えば、特許文献1では微細塵捕集分離用フィルター及びそれを用いる微細塵の捕集分離方法などが提案されている。しかし、この方法では電気掃除機のホース繋ぎ手のサイズにあったプラスチック製ジョイントのサイズのバリエーション化が必要とされる問題があった。特許文献2、特許文献3ではダニ抗原をきわめて容易にかつ簡易に詐取するダニ抗原採取装置が提案されている。しかし、これらの採取装置では、電気掃除機に装着する採取装置の高い採取性能が原因で2分以上の連続運転すると、電気掃除機の運転停止や電気掃除機の吸引力低下、電気掃除機本体からの異常音の発生などの電気掃除機への不具合が発生することが問題であった。これらの問題を解決しようとすると採取装置の採取性能が下がってしまう問題もあった。
【0003】
【特許文献1】特開2000−140533
【特許文献2】特開2000−121510
【特許文献3】特開2001−27586
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は鋭意研究した結果、二重構造の集塵袋において集塵効率80%以上の微細塵及び細塵を捕集するための袋状不織布と開口率が10%以上の粗塵を捕集するための袋状フィルターを用いることで電気掃除機のホース先端に集塵性能の高い集塵袋を装着して2分以上の連続運転を行なうと不具合が発生するという問題を解決する事ができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は電気掃除機のホース先端に集塵性能の高い集塵袋を装着する場合において、集塵性能を下げることなく、2分以上の連続運転ができる集塵袋である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の集塵袋を用いることにより、電気掃除機のホース先端に集塵性能の高い集塵袋を装着して室内塵を集める場合において、集塵性能を下げることなく、2分以上の連続運転を行なっても掃除機の運転に不具合が発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の集塵袋は微細塵及び細塵を捕集する素材の袋状不織布と粗塵を捕集する素材の袋状フィルターから構成され、袋状不織布と袋状フィルターは同じ開口径であり一体となっている事が好ましい。
【0007】
本発明の微細塵及び細塵を捕集するための袋状不織布は室内塵の集塵率が80%以上で通気のよい不織布に限られる。
【0008】
本発明の粗塵を捕集するための袋状フィルターは開口率10%以上のフィルターに限られる。
【0009】
このような素材を用いた集塵袋は、電気掃除機のホース先端に集塵袋を装着した状態で2分以上の連続運転を行なうことができる。
【0010】
ここで、集塵率、開口率の測定方法と定義を記載する。
【0011】
0.5gの標準ゴミに対して集塵袋を装着した電気掃除機で回収できるゴミ重量の比率を集塵率とした。測定方法は、次のようにして行なった。一般家庭で使用中の電気掃除機内装の紙パックフィルターから回収したゴミを約30メッシュの標準ふるいに通したものを標準ゴミとし、この標準ゴミ0.5gを30×30cmのアルミ板に出来るだけ均一になるように撒き、集塵袋をホース先端に装着した電気掃除機(SANYO製 SC−KC4)を用いて撒いたゴミを2分間以上吸引し、吸引前後の集塵袋の重量及び撒いた標準ゴミの重量から下記の式を用いて算出した値を集塵率とする。


【0012】
単位面積(7mm×4.5mm)に対する開口部分の総面積の比率を開口率とする。測定方法は次のようにして行なった。光学顕微鏡を用いて一つの開口部分の開口面積と単位面積(7mm×4.5mm)に存在する開口部分の個数を確認し、下記の式を用いて算出した値を開口率とする。


【実施例】
【0013】
次に本発明の実施例及び比較例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0014】
(実施例1)
不織布A(旭化成せんい社製)を用いて袋状の集塵装置を作成したものを実施例1とした。
【0015】
(実施例2)
不織布B(クラレ社製)を用いて袋状の集塵装置を作成したものを実施例2とした。
【0016】
(実施例3)
不織布A(旭化成せんい社製)を微細塵及び細塵を捕集するための素材と開口率64.0%の粗塵を捕集するための素材を用いて集塵袋としたものを実施例3とした。
【0017】
(実施例4)
不織布B(クラレ社製)を微細塵及び細塵を捕集するための素材と開口率15.0%の粗塵を捕集するための素材を用いて集塵袋としたものを実施例4とした。
【0018】
(比較例1)
不織布C(ユニチカ社製)を用いて袋状の集塵装置を作成いたものを比較例1とした。
【0019】
(比較例2)
不織布D(ユニチカ社製)を用いて袋状の集塵装置を作成いたものを比較例2とした。
【0020】
(比較例3)
不織布E(ユニチカ社製)を用いて袋状の集塵装置を作成いたものを比較例3とした。
【0021】
(比較例4)
不織布A(旭化成せんい社製)を微細塵及び細塵を捕集するための不織布と開口率4.5%の粗塵を捕集するための素材を用いて集塵袋としたものを比較例4とした。
【0022】
(比較例5)
不織布C(ユニチカ社製)を微細塵及び細塵を捕集するための不織布と開口率15.0%の粗塵を捕集するための素材を用いて集塵袋としたものを比較例5とした。
【0023】
(比較例6)
不織布D(ユニチカ社製)を微細塵及び細塵を捕集するための不織布と開口率15.0%粗塵を捕集するための素材を用いて集塵袋としたものを比較例6とした。
【0024】
(比較例7)
不織布E(ユニチカ社製)を微細塵及び細塵を捕集するための不織布と開口率15.0%の粗塵を捕集するための素材を用いて集塵袋としたものを比較例7とした。
【0025】
(試験例1)
一般家庭で使用中の電気掃除機内装の紙パックフィルターから回収したゴミを約30メッシュの標準ふるいに通したものを標準ゴミとした。この標準ゴミ0.5gを30×30cmのアルミ板に出来るだけ均一になるように撒いた。撒いたゴミを実施例1及び2、比較例1〜3をホース先端に装着した電気掃除機(SANYO製 SC−KC4)を用いて2分間以上吸引し、吸引前後の集塵袋の重量及び撒いた標準ゴミの重量から下記の式を用いて集塵率を算出した。試験の結果を表1に示す。

【0026】
【表1】

【0027】
(試験例2)
一般家庭で使用中の電気掃除機内装の紙パックフィルターから回収したゴミを約30メッシュの標準ふるいに通したものを標準ゴミとした。この標準ゴミ0.5gを30×30cmのアルミ板に出来るだけ均一になるように撒いた。撒いたゴミを実施例3及び4、比較例4〜7をホース先端に装着した電気掃除機(HITACHI製 POWERSTAR CV−PJX9E2)を用いて2分間以上吸引し、2分間以上の連続運転可否を確認し、吸引前後の集塵袋の重量及び撒いた標準ゴミの重量から下記の式を用いて集塵率を算出した。試験の結果を表2に示す。

【0028】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の集塵袋は、高い集塵性能を保持したまま2分以上の電気掃除機の連続運転を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による集塵袋の解体図
【符号の説明】
【0031】
1 袋状フィルター
2 袋状不織布
3、4 開口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機のホース先端に装着する微細塵及び細塵を捕集するための袋状不織布と粗塵を捕集するための袋状フィルターからなることを特徴とする集塵袋において、粗塵を捕集するための袋状フィルターの開口率が10%以上であり、かつ微細塵及び細塵を捕集するための袋状不織布の集塵効率が80%以上であることを特徴とする集塵袋
【請求項2】
請求項1に記載の集塵袋を用いたアレルゲンを含む細塵及び微細塵の集塵方法
【請求項3】
請求項2に記載のアレルゲンが塵性ダニ及び/又はダニアレルゲンである細塵及び微細塵を集塵することを特徴とする集塵袋


【図1】
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