説明

集塵装置等用フィルターとその製造方法及び集塵装置

【課題】全体を略袋状に形成し、且つ、外側部をヒダ状に形成したフィルターにおいて、フィルターの濾過面積を有効に利用でき、不使用時(保管時)には、省スペース化も可能な集塵装置等用フィルターとその製造方法及びこのフィルターを使用した集塵装置を提供する。
【解決手段】連設した各フィルター単体1の通気穴1Aが開口されている内側面同士の間に、内側面同士の間隔を一定の間隔に保持するための内側紐体2を取付けたフィルタFTにより集塵装置10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場等の作業現場から発生する粉塵(ダスト)やヒュームを捕集する集塵機や、その他クリーナーや脱臭装置といった各種の集塵装置等に使用して好適なフィルターとその製造方法及びこのフィルターを備えた集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりフィルターの濾過面積を広くするために、フィルター面を多数のヒダがフィルターの長手方向に幾重にも重なるように断面略蛇腹形状(ジグザグ形状・アコーディオン形状等)に形成したものが存在する。
【0003】
図11は上記断面略蛇腹形状に形成した従来のフィルターの一例を示したものであって、図中、100は当該フィルターの全体を示し、101…は上下両面に含塵空気の通気穴103…を開口形成した全体が略袋形状を成すフィルター単体で、フィルター100は、複数のフィルター単体101…を各通気穴103…同士が連通し、且つ、ヒダ状に形成したフィルター単体101…の外端部が幾重にも重なるように連設することによって構成されていて、最上部のフィルター単体101の上面には含塵空気の吹込口102が開口形成されると共に、最下部のフィルター単体101の底面は閉塞面104に構成されている。
【0004】
しかし、上記図11に示した構造の従来のフィルター100は、これを集塵室の内部に縦型に取付けて使用した場合に、上層のフィルター単体101…は、自重或いは含塵空気の吹込みによって上下方向に伸張して濾過面積を有効に利用可能な状態に成っているが、下層のフィルター単体101…は図示の如くヒダが上下に重なり合って密着するため、濾過面積を有効に利用できない問題があった。
【0005】
そこで本出願人は、特許文献1に記載の「集塵機等用フィルター」に見られるように、各フィルター単体101…の外端部の間に、各フィルター単体101…がフィルター100の長手方向に伸張する間隔を一定に保持する紐体を取付けることにより、使用時(集塵時)には各フィルター単体101…の間隔が保たれて、相互に干渉し合うことが無く、フィルターの濾過面積を有効利用することができるようにしたものを開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-14891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、フィルター単体101…の外端部に紐体を取り付けて成る上記特許文献1に記載のフィルターは、外端部は紐体により一定間隔を保持することができるが、含塵空気が流入する各フィルター単体101…の内側面同士の間隔、具体的には、前記通気穴103…同士の上下の間隔は、製作上のバラツキや、フィルター100の濾材自体にコシがない為に、各間隔を一定に保つことが難しく、どうしても不均一になってしまい、その結果、フィルター単体101…の内端部において間隔の狭い箇所が発生してしまい、使用時(集塵時)に含塵空気中の粉塵が付着捕集されると、その箇所(内側面同士の間隔の狭い箇所)に粉塵が次第に堆積し始めて、最終的には閉塞状態が発生してしまう問題があった。
【0008】
加えて、各フィルター単体101…の内側部において閉塞状態が発生してしまった状態では、内側部から外端部にかけてのフィルター濾過面積を有効に利用する事ができなくなってしまい、結果的には早期にフィルター100が目詰まりしてしまう問題があった。
【0009】
その為の対策として、各フィルター単体101…の内部に、内側面同士の間隔を一定にする為のヒダ密着防止板や保持部材等の道具類を介在させて、含塵空気が流入する経路を確保する方法等が考えられたが、ヒダ密着防止板や保持部材を各フィルター単体101…内部に取り付けると、不使用時(保管時)には全体を小さく畳むことができなくなり、更に、ヒダ密着防止板や保持部材等の道具類の使用により、フィルターのコストアップといった問題も生じる可能性があった。
【0010】
本発明は、上記の各問題点を解決するために成されたものであって、その技術的課題は、全体を略袋状に形成し、且つ、外側部をヒダ状に形成したフィルターにおいて、フィルター内部にヒダ密着防止板や保持部材等の道具類を使用せずに、各ヒダの内側面同士を所定間隔に維持してフィルターの濾過面積を有効的に利用できるように工夫し、加えて、不使用時(保管時)には、全体を小さく畳むことができることで省スペース化も実現可能にした、集塵装置等用フィルターとその製造方法及びこのフィルターを使用した集塵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の技術的課題を解決する為に本発明で講じた手段は以下の如くである。
(1)上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1に係る集塵装置等用フィルターは、全体が袋形状を成し、外端部をヒダのように細く形成すると共に、上下両面には含塵空気の通気穴を開口して成る複数のフィルター単体を、上記の各通気穴同士が連通し、且つ、フィルターの長手方向にヒダを幾重にも重なるように連設することにより、全体が伸縮自在に構成された集塵装置等用フィルターであって、上記複数連設した各フィルター単体のうち、少なくとも含塵空気の流れ方向に対して最初のフィルター単体の中央部に開口されている通気穴を含塵空気の吹込口とし、最後のフィルター単体の底面を通気穴が開口されていない閉塞面、若しくは開口されている開口面とすると共に、上記連設した各フィルター単体の前記通気穴が開口されている内側面同士の間に、内側面同士の間隔を一定の間隔に保持するための内側紐体を取付けたことを特徴としている。
【0012】
(2)
また、本発明の請求項2に係る集塵装置等用フィルターは、前記各フィルター単体の少なくとも内側面同士の間に取付ける内側紐体が、各フィルター単体の複数箇所の内側面同士の間に夫々設けられていることを特徴としている。
【0013】
(3)
また、本発明の請求項3に係る集塵装置等用フィルターは、前記各フィルター単体の内側面同士の間に設けられる各内側紐体の長さ寸法が、全て同一寸法に造られていることを特徴としている。
【0014】
(4)また、本発明の請求項4に係る集塵装置等用フィルターは、前記連設した各フィルター単体の外端部の間に、各フィルター単体がフィルターの長手方向に伸張する間隔を一定の間隔に保持するための外側紐体を設けたことを特徴としている。
【0015】
(5)
また、本発明の請求項5に係る集塵装置等用フィルターは、前記複数連設されたフィルター単体のうち、前記最初のフィルター単体の上面部に、フィルターの全体を縦型集塵装置のフィルター室内部に対して吊下げ状態に、且つ、前記含塵空気の吹込口に含塵空気の供給口を連通した状態に取付けることができる装着部材を設けたことを特徴としている。
【0016】
(6)
また、本発明の請求項6に係る集塵装置等用フィルターは、前記フィルターの全体を前記縦型集塵装置に設けたフィルター室の内部に取付けるための装着部材が、フィルター室の天井部に対して着脱自在に構成した取付具と、前記最初のフィルター単体の上面部に設けられていて、当該取付具の被保持部を嵌合して装着することができる保持部材とによって構成されていることを特徴としている。
【0017】
(7)
更にまた、本発明の請求項7に係る集塵装置等用フィルターは、前記取付具が、永久磁石を用いて前記フィルター室の天井部に対して着脱自在に構成されていることを特徴としている。
【0018】
(8)また、本発明の請求項8に係る集塵装置用フィルターの製造方法は、複数のフィルター単体をフィルターの長手方向にヒダを幾重にも重なるように連設することにより、全体が伸縮自在に構成された集塵装置等用フィルターを製造するための方法であって、
中央に通気穴を設けた平面視形状が角型形状または円型形状を成す表裏2枚の濾布体を背中合わせに重ねて、これ等両濾布体同士を重ねた通気穴の外周縁部分で接合し、且つ、この接合と同時に、または、接合後に、接合された表裏の濾布体の各通気穴の左右両側縁部分に、夫々同一寸法に形成した表裏及び左右の少なくとも計4枚の内側紐体の根端部を各々接合する工程と、
上記2枚合わせの濾布体を上下方向または左右横方向に2組対向させて、相対向する内側の濾布体の夫々に取付けられている上記各内側紐体の先端部同士を接合する工程と、
上記相対向する内側の濾布体の全外周部を接合して、全体が断面略袋状を成し、且つ、相対向する内側面の間に内側紐体を連結状態に架設して成るフィルター単体を造る工程、及び、
上記の工程によって造られた複数のフィルター単体同士を上下方向または左右横方向に相対向させて、各フィルター単体の外側に設けられている上記内側紐体の先端部同士を接合すると共に、相対向する表裏の濾布体の全外周部を接合すると共に、相対向する表裏の濾布体の全外周部を接合する工程を繰り返すことにより、必要とする数のフィルター単体を長手方向に連設する工程、
とから成ることを特徴としている。
【0019】
(9) また、本発明の請求項9に係る集塵装置等用フィルターの製造方法は、前記表裏2枚の濾布体の各通気穴の外周縁部分に接合される内側紐体の本数が少なくとも片側3本または片側3本以上の奇数本であることを特徴としている。
【0020】
(10) 更に、本発明の請求項10に係る集塵装置等用フィルタの製造方法は、前記内側紐体の根端部を濾布体側に接合する手段と、表裏の濾布体の外周縁部分を接合する手段、及び、内側紐体の先端部同士を接合する手段として、接着、縫い着、或いは、超音波溶着のいずれかの接合手段が使用され、縫い着に当たっては、縫い目からの漏れ出し防止のために、シリコン等による目止め処理が行われることを特徴としている。
【0021】
(11) 更にまた、本発明の請求項11に係る集塵装置は、全体が袋形状を成し、外端部をヒダのように細く形成して、上下両面には含塵空気の通気穴を開口して成る複数のフィルター単体を、上記の各通気穴同士が連通し、且つ、フィルターの長手方向にヒダが幾重にも重なるように連設することにより、全体が伸縮自在に構成されると共に、上記幾重にも重ねられた各フィルター単体の少なくとも内側同士の各間と、外端部同士の各間の夫々に、同一寸法に造られた内側と外側の各紐体を取付けることにより、各フィルター単体がフィルターの長手方向に伸張する間隔を一定の間隔に保持するように構成したフィルターを、上面部に設けた装着部材を用いて縦型集塵機に設けたフィルター室内の天井部に対して、吊り下げ状態に取付けて成ることを特徴としている。
【0022】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、長手方向に各フィルター単体をそのヒダが幾重にも重なるように連設したフィルターを、集塵装置等のフィルター室(集塵室)内部に吊下げ状態に取付けると、自重或いはファンの吸引作用による含塵空気の吹き込みによって、連設した各フィルター単体が各ヒダの間隔を広げるように下方に伸張する。この伸張状態において、各フィルター単体の内側面同士の間に内側紐体が取付けられている関係上、各フィルター単体の間隔が各フィルター単体の内側面同士の間に取付けた各内側紐体の長さに規制されて所定の間隔を維持することになる。その結果、フィルター内部にヒダ密着防止板や保持部材等の道具類を介在させなくても、使用時(集塵時)には各フィルター単体の内端部の間隔、即ち、各フィルター単体の伸張状態(脹らみ具合)が一定に保たれて、相互に干渉し合うことが無く、更に含塵空気が流入する経路を確実に保つことができるので、フィルターの濾過面積を有効利用することを可能にすると共に、不使用時(保管時)には全体を小さく畳むことを可能にすることで、省スペース化も実現する事ができる。
【0023】
上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、連設された各フィルター単体が下方に伸張する時に、複数本の内側紐体の夫々が前後(上下)の各フィルター単体の間隔、即ち、平行状態を一定に保ちながら伸張して、各ヒダの間隔を開くため、フィルターの伸張時に前後(上下)のフィルター単体同士が重なって接触し合うことがなく、各フィルター単体の濾過面積を有効的に利用することが可能と成る。
【0024】
上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、連設された複数のフィルター単体における各ヒダの間隔を、各内側紐体の夫々が全て同一寸法の間隔で保持して、濾過面積の有効利用をより高めることを可能にする。
【0025】
上記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、各フィルター単体がフィルターの長手方向に伸張する間隔を一定の間隔に保持するための外側紐体を取付けることにより、外端における各フィルター単体の間隔が一定に保たれて、相互に干渉し合うことが無くなり、フィルターの濾過面積を更に有効利用することが可能となる。
【0026】
上記(5)で述べた請求項5に係る手段によれば、上記(1)乃至(4)に記載の集塵装置等用フィルターを、縦型集塵装置のフィルター室内に装着部材を用いて吊下げた状態に、且つ、内部に含塵空気を吹き込み自在な状態に取付けて、集塵に使用することを可能にする。
【0027】
上記(6)と(7)で述べた手段によれば、上記(1)乃至(5)に記載の集塵装置等用フィルターを、取付具と保持部材から成る装着部材と、永久磁石を用いて前記フィルター室の天井部に吊下げ状態に取付けることができると共に、取り外し作業や交換作業を極めて簡単に行うことを可能にする。
【0028】
上記(8)で述べた請求項8に係る手段によれば、上記(1)〜(7)に記載のフィルターを、使用可能な状態に製造することを可能にする。
【0029】
上記(9)で述べた請求項9に係る手段によれば、内端部の内側紐体を3本に分離する(2本ではなく)構成にしたことにより、汎用の溶着機(据え置き型やハンディ型)を使用して製造する事が可能となる。
【0030】
上記(10)で述べた請求項10に係る手段によれば、濾布体に対する内側紐体の取付けと、表裏の濾布体の外周縁部分の取付け、及び、内側紐体同士の取付けを、各種接合手段によって全て確実に行うことができると共に、縫い着の場合も、表裏の濾布体の接合部からのエアー漏れも確実に防止することができる。
【0031】
上記(11)で述べた請求項11に係る手段によれば、上記(8)〜(10)に記載の製造方法に従って、上記(1)〜(7)に記載の如く構成された集塵装置等用フィルターを、縦型集塵機のフィルター室内部に取付けることにより、連設した各フィルター単体の濾過面積を有効利用して、集塵効果を高めることを可能にする。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る集塵装置等用フィルターとその製造方法及び集塵装置は以上述べた如くであって、フィルター内部にヒダ密着防止板や保持具といった各種道具類を介在させなくても、各フィルター単体の内側面同士の間に内側紐体が取付けられていることにより、各フィルター単体のヒダ同士の密着を防止し、含塵空気が流入する経路を確実に保することができる。
【0033】
また、フィルター内部にヒダ密着防止板や保持具といった各種道具類を使用しないため、フィルター全体の重量を軽くして、集塵装置等へのフィルターの
取付けや交換といった各作業の扱いを簡単にすると共に、フィルターのコストアップを防止できる利点を発揮できるものであって、連設した各フィルター単体の濾過面積を有効利用して、集塵装置等の集塵効果を高めることができる点と相俟って、各種の集塵装置や掃除機等に実施してまことに好適なものであると共に、斯る構成のフィルターを用いることにより、優れた集塵効果を発揮することができる集塵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例に係る縦型集塵装置の一例を示した正断面図。
【図2】本発明の実施例に係るフィルターの平面図。
【図3】本発明の実施例に係るフィルターの側面図。
【図4】本発明の実施例に係るフィルターの側断面図。
【図5】図3と図4に示したフィルターを畳んだ時の状態を示した側面図。
【図6】本発明の実施例に係るフィルター及び2つのフィルター装着部材の構成を説明した平面図。
【図7】図6に示した一方のフィルター装着部材の構成を説明した平面図。
【図8】図6に示した他方のフィルター装着部材の構成を説明した平面図。
【図9】本発明に係るフィルターの製造方法の一例を工程順に説明した第1工程説明図。
【図10】本発明に係るフィルターの製造方法の他の例を工程順に説明した第2工程説明図。
【図11】従来のフィルターを説明した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、上述した本発明に係る集塵装置等用フィルターとその製造方法及び集塵装置の実施の形態を図面と共に説明すると、添付した各図において夫々符号FTで全体的に示したのは、複数のフィルター単体1…を上下縦方向に連設することによって構成された本発明に係るフィルターである。即ち、上述した図1と図4に示した断面図のように、各フィルター単体1…は濾材を切断加工することによって、平面視形状が略四角形状又は円形状を成す中空形状(袋形状)に形成されていて、その中央部には含塵空気の通気穴1Aを開口形成した構成に造られている。
【0036】
本発明に係るフィルターFTは、以上の如く全体を袋状に構成した複数のフィルター単体1…を、図示の如く中央の通気穴1A…同士が連通し、且つ、フィルターFTの長手方向(図面では上下方向)に各フィルター単体1…のヒダ(外端部1X)が幾重にも重なるように、接着又は縫着等の接合手段によって連設することによって構成されるものであって、以上の如く構成したフィルターFTの全体は、上下方向に伸縮自在に構成されている。
【0037】
更に図中、2…は上記上下方向に連設した各フィルター単体1…の上下の内側面1H、1H(図1、図4参照)同士の間、具体的には、上記各通気穴1Aの各内端縁1Z…の部分同士を縦方向に連結した内側紐体(例えば糸、リボンのような幅広の紐、ワイヤー等)であって、これ等の内側紐体2…は上記フィルターFTの全体を図1のように吊下げ状態(上下伸張状態)にした時には、各フィルター単体1…が上下に等間隔に伸張して、重なっていた各フィルター単体1…の内側面1H,1Hの間を上下に開いて、各フィルター単体1…のフィルター面を夫々有効利用できるように構成されている。
【0038】
更に図中、3…は上記上下方向に連設した各フィルター単体1…の外端部1X…同士の間を縦方向に連結した外側紐体(例えば糸、リボンのような幅広の紐、ワイヤー等)である。実施例では、上記各通気穴1A…の形状が略円型をしており、その通気穴1Aの内端縁1Z部分に、上記の内側紐体2が取付けられている。尚、上記の通気穴1Aの形状は多角形状であっても良く、また、上記内側紐体2の取付け場所は、内端縁1Zの部分であればいずれの部位であってもよく、図示の実施例に限定されることはない。
【0039】
図5は、本発明に係るフィルターFTを畳んだ時の状態を示した側面図であって、図示の如く内外の各紐体2…と3…は夫々屈曲して各フィルター単体1…を薄く折り重ねることを可能と成し、その結果、フィルターFTの全体をコンパクトにして保管や運搬、或いは、集塵装置への取付作業等の取り扱いを容易にすることができる。
【0040】
次に、以上の如く構成した本発明に係るフィルターFTを取付ける符号10で全体的に示した集塵装置の構成を、図1に示した実施例と共に説明する。
【0041】
図1において、符号10で全体的に示した縦型集塵装置は、その内部を複数の穴11A…が開口されている仕切板11によって、フィルター室10Aと清浄室10Bの上下2室に区画形成されている。上記仕切板11の上部には、含塵空気に含まれる臭気を除去する為の活性炭(図示省略)が収納されている脱臭ボックス12が載置されている。
【0042】
脱臭ボックス12の上部には、上蓋10Xの下面に取り付けられている本発明に係るフィルターFTが収納されていて、上蓋10Xの上面中央部には、含塵空気の供給口40が設けられている。また、上記の上蓋10Xは本体10Tの側面に設けたクランプ14,14により、本体10T側に固定されている。
【0043】
更に図1において、本体10T内の下部には、取付台15が固定されていて、その取付台15には、カバー体16及びファン用モータ17が搭載されている。このモータ17の回転軸(図示省略)とファン(図示省略)は上記カバー体16の内部に取付けられていて、ファン用モータ17によってファンが回転すると、含塵空気をダクト(図示せず)を通して前記供給口40よりフィルターFTの内部に吸引する仕組みに成っている。
【0044】
そして、以上の如く吸引された含塵空気は、フィルターFTを通過した後、脱臭ボックス12内の活性炭(図示省略)により脱臭されて、本体10Tの下方側面の排気口10Wを通って外気に排出される仕組みに成っている。
【0045】
次に、上述した集塵装置10のフィルター室10Aの内部に本発明に係るフィルターFTを取付けるための構成を、図面と共に説明する。
【0046】
本発明に係るフィルターFTの上面、即ち、最上段のフィルター単体1の上面1Fには、図2及び図6、図7に示すように、取付具20に設けた各脚体20A…の先端部を挿入して取付けることができる装着部材としての複数個の保持部材(保持帯体)1S…が設けられている。また、当該最上位のフィルター単体1の上面板1Tには、材質がゴム製の吸込口13が縫着などの手段により取り付けられており、吸込口13用のパッキン13Pの外周面には、上記の取付具20が嵌め込まれる溝部13Vが設けられている。
【0047】
そして、以上の如く構成したフィルターFTを集塵装置10の本体10T内に装着して供給口40を差し込む時には、図1に示すように供給口40の先端部が吸込口13の内部に嵌り込む様に形成されている。更に図面の実施例では、上記フィルターFTの底面、即ち、最下位のフィルター単体1の底面には、通気穴1Aを開口することなく、これを閉塞面1W(図1、図3参照)にして、エアー洩れを防止している。
【0048】
図6は、フィルターFTに第1と第2の取付具20と30…を装着した平面図であり、図7は第1取付具20の形状を示した平面図であり、図8は第2取付具30…の形状を示した平面図である。取付具は、図7及び図8の様に、20と30夫々に分割されており、取付具20は、全体を略長方形状に形成し、複数本の脚体20A…が連設され、フィルターFTに装着する際には、夫々の脚体20A…がフィルター上面1Fの保持部材1S…に挿入され、更に取付具20の中央には、瓢箪(ひょうたん)型の嵌込口21が開口形成されており、その嵌込口21の周端部の一部21Kが上述した吸込口13の溝部13Vに嵌り込む構造となっている。
【0049】
上記の取付具20をフィルター上面1Fに装着させた後、第2取付具30を第1取付具20と最上位のフィルター上面1Fの間から差し込み、その先端縁30Rをフィルターパッキン13Pの溝部13Vに嵌め込んだ後、第2取付具30のボス30Tが第1取付具20の嵌込口21に勘合することで、第2取付具30は、第1取付具20の中央の瓢箪型の嵌込口21内に収納される。この様に吸込口13の溝部13Vの周面に第1、第2の各取付具20,30を取り付けることにより、供給口40を吸込口13に差し込んだ際、夫々が密着するため、粉塵漏れなどが発生しない構造となっている。
【0050】
上記第1、第2の取付具20,30の上面部には夫々永久磁石20G…、30Gが設けられており、更に、上記集塵装置10のフィルター室10Aの天井面には、上蓋10Xがクランプ14…により本体に取付けられていて、上蓋10Xの材質が金属製(磁性体)であることから、第1、第2取付具20,30は、これ等永久磁石20G…、30Gによりフィルター室10Aの天井面である上蓋10Xに吸着して取付けられ、吸込口40と連通接続される仕組みとなっている。また、フィルターFTの取り外し時には、第1取付具20を持って上蓋10Xと引き離せば、取り外しが可能となっている。
【0051】
次に、本発明に係る内側の紐体が連結したフィルターの製造方法の第1実施例を、図9と共に説明する。
【0052】
工程1.平面視形状が略四角形状であり、中央部に円形の通気穴1Aが開口形成されている濾布体1Jを必要数製作する。
工程2.2枚の濾布体1J,1Jを重ね合わせた後、2本の内側紐体2,2を夫々濾布体1J,1Jの上下及び円形通気穴1Aの端面1Zの対角線上(180度間隔)に合わせた後、濾布体1J,1Jと共に通気穴1A,1Aの端面1Z,1Zを縫い付ける。
工程3.工程2で製作したセットZKを2セット重ねる。
工程4.内側紐体2,2同士を縫い合わせ2Wする。
工程5.同様に反対側の内側紐体2,2同士も縫い合わせ2Wする。
工程6.内側の濾布体1J,1Jの外周を縫い合わせ1Wする。
工程7.場所を変えながら、濾布体1J,1Jの外周を全周縫い合わせ1Wする。
工程8.この状態の濾布のセットXZを複数用意する。
工程9.この状態の濾布のセットXZ…同士を重ね、内側紐体2,2同士を超音波溶着2Xする。尚、この例では、ハンディタイプの溶着機(図示省略)を使用している。
工程10.場所を変えながら、内側の濾布体1J,1Jの外周を全周縫い合わせ1Wする。
以上の工程を複数繰り返すと、内側紐体2が連結して成る多数のフィルター単体1…が連設されたフィルターFTが完成する。
【0053】
尚、上記の工程4,5において内側紐体2,2の接合方法は、最初から超音波溶着2Xでも構わない。また、縫い合わせた箇所には、縫い目より捕集した微粉塵が漏れ出す危険性が生じる為、シリコン等で目止め処理を施して粉塵漏れを防止している。更に、内側紐体2が連結したフィルター単体1…において、連設した各フィルター単体1…の外端部1X…の間に外側紐体3を取り付ける場合にも、外端部1X…同士を縫い合わせれば良い。
【0054】
次に、本発明に係る内側紐体2が連結したフィルターFTの製造方法の第2実施例を、図10と共に説明する。
工程1.平面視形状が略四角形状であり、中央部に円形の通気穴1Aが開口形成されている濾布体1Jを必要数製作する。
工程2.2枚の濾布体1J,1Jを重ね合わせた後、3本の内側紐体2…を夫々濾布体1J,1Jの上下及び円形通気穴1Aの端面1Zの約3等分(120度間隔)に合わせた後、濾布体1J,1Jと共に通気穴1A,1Aの端面1Z,1Zを縫い付け1Sする。
工程3.工程2で製作したセットZKを2セット重ねる。
工程4.内側紐体2,2同士を縫い合わせZWする。若しくは、超音波溶着にて接合する。
工程5.同様に3箇所の内側紐体2…を縫い合わせ2Wする。
工程6.内側の濾布体1J,1Jの外周を縫い合わせ1Wする。
工程7.場所を変えながら、濾布体1J,1Jの外周を全周縫い合わせ1Wする。
工程8.この状態の濾布のセットXZを複数用意する。
工程9.この状態の濾布のセットXZ…同士を重ね、内側紐体2…同士を超音波溶着ZXする。この例では、定置式の溶着機を使用している。
工程10.120度づつ場所を変えながら、内側紐体2…を3箇所とも超音波溶着2Xし、その後濾布体1J,1Jの外周を縫い合わせ1Wする。
この作業を複数回繰り返すと、内側紐体2…同士が連結て成る多数のフィルター単体1…が連設されたフィルターFTが完成する。
【0055】
尚、工程9において、内側紐体2…の接合時の超音波溶着のホーン50の操作方向は、水平に可動する様にしてもよい。また、縫い合わせた箇所には、縫い目より捕集した微粉塵が漏れ出す危険性が生じる為、シリコン等で目止め処理を施して粉塵漏れを防止している。
【0056】
以上の如く構成した本発明に係るフィルターFTを、取付具20と30を用いて図1の如く集塵装置10内に吊下げ状態に取付けて、集塵用のファンを回転すると、供給口13から各フィルター単体1…の通気穴1A…を通って含塵空気がフィルターFTの内部、具体的には、上下方向に伸張されて開いた各フィルター単体1…の内部に吸引され、次いで、各フィルター単体1…の濾過面積を有効利用して濾過された清浄空気が、脱臭ボックスを通って、排気口から外気に排出される。
【0057】
また、上記各フィルター単体1…による濾過作用は、連設された各フィルター単体1…が内外の紐体2と3によって全て等間隔に伸張されて、各フィルター単体1…のヒダ同士が重なって干渉し合うことがないため、各フィルター単体1…のフィルター面を有効利用して、優れた濾過作用(集塵効果)を発揮できることは、前述した通りである。
【符号の説明】
【0058】
FT フィルター
1 フィルター単体
1J 濾布体
1A 通気穴
1Z 内端縁
2 内側紐体
3 外側紐体
10 集塵装置
20,30 取付具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が袋形状を成し、外端部をヒダのように細く形成すると共に、上下両面には含塵空気の通気穴を開口して成る複数のフィルター単体を、上記の各通気穴同士が連通し、且つ、フィルターの長手方向にヒダを幾重にも重なるように連設することにより、全体が伸縮自在に構成された集塵装置等用フィルターであって、上記複数連設した各フィルター単体のうち、少なくとも含塵空気の流れ方向に対して最初のフィルター単体の中央部に開口されている通気穴を含塵空気の吹込口とし、最後のフィルター単体の底面を通気穴が開口されていない閉塞面、若しくは開口されている開口面とすると共に、上記連設した各フィルター単体の前記通気穴が開口されている内側面同士の間に、内側面同士の間隔を一定の間隔に保持するための内側紐体を取付けたことを特徴とする集塵装置等用フィルター。
【請求項2】
前記各フィルター単体の少なくとも内側面同士の間に取付ける内側紐体が、各フィルター単体の複数箇所の内側面同士の間に夫々設けられていることを特徴とする請求項1に記載の集塵装置等用フィルター。
【請求項3】
前記各フィルター単体の内側面同士の間に設けられる各内側紐体の長さ寸法が、全て同一寸法に造られていることを特徴とする請求項1又は2に記載の集塵装置等用フィルター。
【請求項4】
前記連設した各フィルター単体の外端部の間に、各フィルター単体がフィルターの長手方向に伸張する間隔を一定の間隔に保持するための外側紐体を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の集塵装置等用フィルター。
【請求項5】
前記複数連設されたフィルター単体のうち、前記最初のフィルター単体の上面部に、フィルターの全体を縦型集塵装置のフィルター室内部に対して吊下げ状態に、且つ、前記含塵空気の吹込口に含塵空気の供給口を連通した状態に取付けることができる装着部材を設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の集塵装置等用フィルター。
【請求項6】
前記フィルターの全体を前記縦型集塵装置に設けたフィルター室の内部に取付けるための装着部材が、フィルター室の天井部に対して着脱自在に構成した取付具と、前記最初のフィルター単体の上面部に設けられていて、当該取付具の被保持部を嵌合して装着することができる保持部材とによって構成されていることを特徴とする請求項5に記載の集塵装置等用フィルター。
【請求項7】
前記取付具が、永久磁石を用いて前記フィルター室の天井部に対して着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の集塵装置等用フィルター。
【請求項8】
複数のフィルター単体をフィルターの長手方向にヒダを幾重にも重なるように連設することにより、全体が伸縮自在に構成された集塵装置等用フィルターを製造するための方法であって、中央に通気穴を設けた平面視形状が角型形状または円型形状を成す表裏2枚の濾布体を背中合わせに重ねて、これ等両濾布体同士を重ねた通気穴の外周縁部分で接合し、且つ、この接合と同時に、または、接合後に、接合された表裏の濾布体の各通気穴の左右両側縁部分に、夫々同一寸法に形成した表裏及び左右の少なくとも計4枚の内側紐体の根端部を各々接合する工程と、上記2枚合わせの濾布体を上下方向または左右横方向に2組対向させて、相対向する内側の濾布体の夫々に取付けられている上記各内側紐体の先端部同士を接合する工程と、上記相対向する内側の濾布体の全外周部を接合して、全体が断面略袋状を成し、且つ、相対向する内側面の間に内側紐体を連結状態に架設して成るフィルター単体を造る工程、及び、上記の工程によって造られた複数のフィルター単体同士を上下方向または左右横方向に相対向させて、各フィルター単体の外側に設けられている上記内側紐体の先端部同士を接合すると共に、相対向する表裏の濾布体の全外周部を接合すると共に、相対向する表裏の濾布体の全外周部を接合する工程を繰り返すことにより、必要とする数のフィルター単体を長手方向に連設する工程、とから成ることを特徴とする集塵装置等用フィルターの製造方法。
【請求項9】
前記表裏2枚の濾布体の各通気穴の外周縁部分に接合される内側紐体の本数が少なくとも片側3本または片側3本以上の奇数本であることを特徴とする請求項8に記載の集塵装置等用フィルターの製造方法。
【請求項10】
前記内側紐体の根端部を濾布体側に接合する手段と、表裏の濾布体の外周縁部分を接合する手段、及び、内側紐体の先端部同士を接合する手段として、接着、縫い着、或いは、超音波溶着のいずれかの接合手段が使用され、縫い着に当たっては、縫い目からの漏れ出し防止のために、シリコン等による目止め処理が行われることを特徴とする請求項8又は9に記載の集塵装置等用フィルターの製造方法。
【請求項11】
全体が袋形状を成し、外端部をヒダのように細く形成して、上下両面には含塵空気の通気穴を開口して成る複数のフィルター単体を、上記の各通気穴同士が連通し、且つ、フィルターの長手方向にヒダが幾重にも重なるように連設することにより、全体が伸縮自在に構成されると共に、上記幾重にも重ねられた各フィルター単体の少なくとも内側同士の各間と、外端部同士の各間の夫々に、同一寸法に造られた内側と外側の各紐体を取付けることにより、各フィルター単体がフィルターの長手方向に伸張する間隔を一定の間隔に保持するように構成したフィルターを、上面部に設けた装着部材を用いて縦型集塵機に設けたフィルター室内の天井部に対して、吊り下げ状態に取付けて成ることを特徴とする集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−78887(P2011−78887A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232112(P2009−232112)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】