説明

集積装置

【課題】袋体が上部から落下することによって集積される場合に落下の衝撃によって袋体が破損してしまう可能性を低減する。
【解決手段】搭載台11のうち規制板12a,12b及び規制バー13a〜13dによって囲まれる集積部15に封緘された袋体を集積する集積装置であって、搭載台11の、集積部15の中心からずれた領域に一方向に延びた緩衝台16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送付物等がフィルム封筒等の袋に封入、封緘された袋体を集積する集積装置に関し、特に、封緘された袋体を集積する際の衝撃による袋体の破損防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダイレクトメール等といった郵送等によって送付される送付物においては、差出人が受取人に通知したい情報が文字や画像として所定の用紙に印字されており、そのほとんどが、封筒等の袋に封入、封緘され、袋体として受取人に送付されている。このような袋体は、送付物の種類や送付先に応じて決められた組み合わせの印刷物が丁合され、封筒等の袋に封入されて構成される。送付物が袋に封入されて構成された袋体は、集積装置に集積され、その後、送付先毎に区分けられる等といった次の工程に送られることになる。
【0003】
近年、上述したような送付物を封入、封緘する封筒としてフィルムを用い、このフィルムから作成された封筒に封入物が封入、封緘された袋体が流通している。このフィルムから作成された封筒においては、紙から作成された封筒と比べて、耐水性に優れ、また、透明のフィルムを用いれば、封入されている封入物を視認可能に構成することもでき、さらに、フィルムの色によっては、外観上も優れたものとすることができる。
【0004】
ところが、フィルムから作成された封筒に封入物が封入、封緘された袋体は、集積装置に上部から落下することによって集積される場合、落下の衝撃によって、フィルムから作成された封筒が破裂し、袋体が破損してしまう虞れがある。特に、袋に封入された封入物がカタログ等の重量があるものの場合、その衝撃が大きくなり、袋体が破損してしまう可能性が高くなってしまう。
【0005】
そこで、袋体が集積装置の上部から落下した際の衝撃を緩和する緩衝台を有する集積装置を用いることが考えられる。
【0006】
図5は、緩衝台を設けた集積装置の一構成例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図である。
【0007】
本構成例は図5に示すように、袋体が搭載される搭載台111上に、2枚の規制板112a,112bが互いに対向するように立てられるとともに、4本の規制バー113a〜113dが立てられて構成されている。この2枚の規制板112a,112bと4本の規制バー113a〜113dとによって囲まれた領域が集積部115となり、袋体が集積される領域となる。搭載台111の集積部115には、中央部分にて一方向に延びるように溝111aが形成されている。この溝111aの一端には、集積部115に集積された袋体を押し出すための押し出し部材114が配置されており、この押し出し部材114が溝111aに沿って移動することにより、集積部115に集積された袋体が押し出されることになる。また、搭載台111の集積部115には、溝111aを挟んで対向するように2本の緩衝台116a,116bが設けられている。
【0008】
以下に、上記のように構成された集積装置110に袋体が集積される際に生じる作用について説明する。
【0009】
図6は、図5に示した集積装置110に袋体が集積される際に生じる作用を説明するための図である。
【0010】
図5に示した集積装置110においては、図6(a)に示すように、集積部115に集積される袋体101が上部から供給されてくる。
【0011】
集積部115に集積される袋体101が上部から供給されて落下してくると、まず、図6(b)に示すように、落下してきた袋体101は緩衝台116a,116bに当接し、その後、図6(c)に示すように、緩衝台116a,116bに当接した部分の外側となる領域が緩衝台116a,116bよりも下側に垂れ下がる。
【0012】
ここで、袋体101内部の空気においては、袋体101が緩衝台116a,116bに当接した際にその衝撃によって緩衝台116a,116bに当接した領域の空気が他の領域に移動しようとする。袋体101においては、緩衝台116a,116bによって外圧が加わっているものの、緩衝台116a,116bに当接していない部分においては外圧が加わっていない。そのため、緩衝台116a,116bに当接した領域の空気が、外圧が加わっていない垂れ下がる領域に順次移動することとなり、それにより、袋体101が破損してしまう可能性が低減する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図7は、図5に示した集積装置110に袋体101が集積されていった状態を示す図である。
【0014】
図5に示した集積装置110に袋体101が集積されていくと、図7に示すように、集積された袋体101のうち集積部115における下部の方に集積された袋体101においては、上述したものと同様に、緩衝台116a,116bに当接した部分の外側となる領域が緩衝台116a,116bよりも下側に垂れ下がるが、集積部115の上部になればなるほど、その垂れ下がり量は小さくなり、上述したような緩衝台116a,116bによる効果を得ることができなくなってしまうという問題点がある。
【0015】
また、袋に封入された封入物がカタログ等の硬いものである場合、その封入物によって、その袋体の上に積み重ねられた袋体が上述したように垂れ下がることがなくなってしまい、集積部115の下部の方に集積された袋体101においても、上述したような緩衝台116a,116bによる効果を得ることができなくなってしまうという問題点がある。
【0016】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、封緘された袋体が上部から落下することによって集積される場合に落下の衝撃によって袋体が破損してしまう可能性を低減することができる集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、
搭載台に設けられた集積部に封緘された袋体を集積する集積装置であって、
前記搭載台は、前記集積部の中心からずれた領域に一方向に延びた緩衝台を有する。
【0018】
上記のように構成された本発明においては、集積部の上部から封緘された袋体が供給されると、搭載台に搭載された袋体は、搭載台に設けられた緩衝台に当接した部分が持ち上がるような状態で集積される。ここで、緩衝台は、搭載台のうち、袋体が集積される集積部の中心からずれた領域に一方向に延びた形状で設けられているため、袋体は片側が持ち上がる傾斜した状態となり、袋体に封入された封入物が硬いものである場合や、集積部に多くの袋体が集積された場合においても、全ての袋体が片側が持ち上がる傾斜した状態で集積されることになる。この状態で袋体が上部から落下してくると、落下してきた袋体は、集積部に既に集積された最上段の袋体のうち傾斜した上側となる部分とその一部がまず当接し、その後、集積部に既に集積された最上段の袋体に沿って傾斜した状態で集積されることになる。落下してきた袋体の一部が、集積部に既に集積された袋体に当接すると、袋体の内部の空気は、集積部に既に集積された袋体に当接していない部分から順次抜けようとするため、袋体が破損してしまう可能性が低減する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明においては、搭載台の、封緘された袋体が集積される集積部の中心からずれた領域に一方向に延びた緩衝台を有する構成としたため、集積部に集積された袋体は全て片側が持ち上がる傾斜した状態となり、この状態で封緘された袋体が上部から落下してくると、落下してきた袋体が集積部に既に集積された最上段の袋体とその一部がまず当接し、その後、傾斜した状態で集積されることになり、上部から落下してきた袋体の内部の空気が、傾斜した片側から順次抜けようとし、それにより、封緘された袋体が上部から落下することによって集積される場合に落下の衝撃によって袋体が破損してしまう可能性を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の集積装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は(a)に示した緩衝台16の構成を示す図である。
【0022】
本形態は図1に示すように、袋体が搭載される搭載台11上に、2枚の規制板12a,12bが互いに対向するように立てられるとともに、4本の規制バー13a〜13dが立てられて構成されている。この2枚の規制板12a,12bと4本の規制バー13a〜13dとによって囲まれた領域が集積部15となり、袋体が集積される領域となる。搭載台11の集積部15には、中央部分にて一方向に延びるように溝11aが形成されている。この溝11aの一端には、集積部15に集積された袋体を押し出すための押し出し部材14が配置されており、この押し出し部材14が溝11aに沿って移動することにより、集積部15に集積された袋体が押し出されることになる。また、搭載台11の集積部15には、溝11aと規制板12aとの間に溝11aと同一方向に延びた1本の緩衝台16が設けられている。すなわち、緩衝台16は、集積部15の中心からずれた領域に設けられている。この緩衝台16は、その上面に緩衝台16が延びる方向に回転する複数のコロ17が設けられている。また、緩衝台16の高さは、調節可能であってもよいし、固定であってもよい。固定の場合は、3〜5cm程度とすることが好ましい。
【0023】
以下に、上記のように構成された集積装置10による作用について説明する。
【0024】
図2は、図1に示した集積装置10の使用方法を説明するための図であり、(a)は集積装置10の上方から見た図、(b)は集積装置10の正面から見た図である。
【0025】
図1に示した集積装置10は図2に示すように、例えば、2つの搬送ライン20a,20bが交差する領域に配置される。搬送ライン20aは、例えばコンベヤー等からなり、少なくとも1種類の印刷物がフィルム封筒等に封入、封緘され、袋体としてこの搬送ライン20a上を搬送されてくる。搬送ライン20aは、集積装置10の上部にて終端しており、それにより、搬送ライン20aを搬送されてきた袋体は、集積装置10の上部から落下し、搭載台11上に搭載されることになる。
【0026】
図3は、図1に示した集積装置10に袋体が集積される際に生じる作用を説明するための図である。
【0027】
図2に示した搬送ライン20aを搬送されてきた袋体1は、搬送ライン20aから離脱すると、図3(a)に示すように集積装置10の上部から落下してくる。この際、搬送ライン20aから離脱した袋体1は、規制板12a,12b及び規制バー13a〜13dによって集積部15に集積されるようにその落下位置が規制される。
【0028】
集積部15に集積される袋体1が規制板12a,12b及び規制バー13a〜13dによってその位置が規制されて上部から落下してくると、まず、図3(b)に示すように、落下してきた袋体1は緩衝台16に当接し、その後、袋体1は図3(c)に示すように、その中央部分を挟んで緩衝台16に当接した部分とは反対側が搭載台11に当接する。
【0029】
ここで、袋体1内部の空気においては、袋体1が緩衝台16に当接した際にその衝撃によって緩衝台16に当接した領域の空気が他の領域に移動しようとする。袋体1においては、緩衝台16によって外圧が加わっているものの、緩衝台16に当接していない部分においては外圧が加わっていない。そのため、緩衝台16に当接した領域の空気が、外圧が加わっていない部分となる袋体1の中央部分を挟んで反対側に順次移動することとなり、それにより、袋体1が破損してしまう可能性が低減する。
【0030】
そして、搭載台11上に搭載された袋体1は、緩衝台16によって片側が持ち上がる傾斜した状態となる。そのため、袋体1に封入された封入物が硬いものである場合や、集積部15に多くの袋体が集積された場合においても、図3(d)に示すように、集積部15に集積された全ての袋体1が、その片側が持ち上がる傾斜した状態となる。
【0031】
この状態で袋体1が上部から落下してくると、落下してきた袋体1は、集積部15に既に集積された最上段の袋体1のうち、傾斜した上側となる部分とその一部にてまず当接し、その後、集積部15に集積された最上段の袋体1に沿って傾斜した状態で集積される。そのため、集積部15の上部から落下してきた袋体1には、集積部15に集積される際、集積部15の最下段に集積された袋体1と同様の作用が生じ、袋体1が破損してしまう可能性が低減する。
【0032】
その後、集積部15に集積された袋体1は、集積部15から押し出され、図2に示した搬送ライン20bにて次の工程に搬送されることになる。
【0033】
図4は、図1に示した集積装置10に集積された袋体1が集積部15から押し出される際の動作を説明するための図である。
【0034】
図4(a)に示すように集積部15にて所定の数の袋体1が集積されると、押し出し部材14が溝11aに沿って移動しはじめ、図4(b)に示すように、集積部15に集積された袋体1が集積部15から押し出されていく。この際、集積部15の最下段に集積された袋体1は、緩衝台16に当接しながら集積部15から押し出されていくが、緩衝台16の上面には、緩衝台16が延びる方向、すなわち袋体1が押し出される方向に回転する複数のコロ17が設けられているため、袋体1を集積部15から容易に押し出すことができ、また、集積部15の最下段に集積された袋体1が緩衝台16との間の摩擦によって破れてしまったり、傷ついてしまったりすることがない。また、袋体1の集積位置を規制するための規制バー13a〜13dのうち、袋体1が集積部15から押し出される方向に設けられた規制バー13a,13cは、袋体1が集積部15から押し出される際、袋体1に当接しない領域に待避する。
【0035】
押し出し部材14によって集積部15から押し出された袋体1は、図4(c)に示すように搬送ライン20b上に載置され、搬送ライン20bによって、送付先毎に区分けられる等といった次の工程に送られていく。搬送ライン20bは、例えば、複数のコロが傾斜して配置されたものからなり、このコロの回転によって袋体1が搬送されていくことになる。
【0036】
なお、本形態においては、搭載台11に押し出し部材14が移動するための溝11aが設けられ、この溝11aと同一方向に延びるように緩衝台16が設けられているが、搭載台11に溝11aが設けられていないものにおいても、集積部15の中心からずれた領域に一方向に延びた緩衝台16を有する構成とすればよい。
【0037】
また、集積部15に集積される袋体1が、集積部15の上部から1つずつ落下していくものに限らず、複数の袋体1が集積部15の上部から互いに重なり合って同時に落下していくものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の集積装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は(a)に示した緩衝台の構成を示す図である。
【図2】図1に示した集積装置の使用方法を説明するための図であり、(a)は集積装置の上方から見た図、(b)は集積装置の正面から見た図である。
【図3】図1に示した集積装置に袋体が集積される際に生じる作用を説明するための図である。
【図4】図1に示した集積装置に集積された袋体が集積部から押し出される際の動作を説明するための図である。
【図5】緩衝台を設けた集積装置の一構成例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図である。
【図6】図5に示した集積装置に袋体が集積される際に生じる作用を説明するための図である。
【図7】図5に示した集積装置に袋体が集積されていった状態を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 袋体
10 集積装置
11 搭載台
11a 溝
12a,12b 規制板
13a〜13d 規制バー
14 押し出し部材
15 集積部
16 緩衝台
17 コロ
20a,20b 搬送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載台に設けられた集積部に封緘された袋体を集積する集積装置であって、
前記搭載台は、前記集積部の中心からずれた領域に一方向に延びた緩衝台を有する集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−1477(P2008−1477A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172756(P2006−172756)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)