説明

難燃性組成物

【目的】 耐酸性を向上せしめた難燃性組成物を提供する。
【構成】 水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物を粉砕し、脂肪酸、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤より選ばれた少くとも1種を主成分とする表面処理剤で表面処理を施した後、プラスチック又はゴムに添加し、難燃性を付与すると共に耐酸性を向上せしめた難燃性組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はノンハロゲン難燃電線、ケーブルの被覆材として使用される難燃性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】電線ケーブルの燃焼時の発煙、毒性、腐食等の二次災害を防止する目的から、例えば特開平1-141929号公報に示されるように、被覆材に難燃性を付与する難燃剤の一つとして水酸化マグネシウムが使用されている。
【0003】従来より使用されている水酸化マグネシウムは、海水中のマグネシウムを原料とするものであり、これを難燃性として使用した難燃性組成物は、高湿度空気中に放置すると、材料表面に空気中の炭酸ガスと水酸化マグネシウムが反応した炭酸マグネシウムが析出したり、酸性溶液中に浸漬すると水酸化マグネシウムが溶出して耐酸性に劣るという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題点を解消し耐酸性を向上せしめた難燃性組成物を提供するもので、その特徴は、水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物を粉砕し、脂肪酸、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤より選ばれた少くとも1種を主成分とする表面処理剤で表面処理を施した後、プラスチック又はゴムに添加し、難燃性を付与すると共に、耐酸性を向上せしめた難燃性組成物にある。
【0005】
【作用】上述の問題を解決するため、種々の水酸化マグネシウムを用い検討を行なったところ、水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物を原料とした水酸化マグネシウムが耐酸性にすぐれていることを見出した。このメカニズムに関しては不明であるが、結晶構造等が従来品と異なっているためではないかと思われる。
【0006】
【実施例】表1に示す各種材料を6インチオープンロールで15分混練した後、約1mm厚×13cm幅×17cm長さのシートに約 160℃×10分加圧成形してシートを作成した。このシートを用いて耐炭酸ガス性及び耐塩酸性を評価した。結果は表1の通りである。
【0007】
【表1】


【0008】耐炭酸ガス性:試料として厚1mm×幅2cm×長さ13mmの短冊状試料を上述のシートより打ち抜き、湿度90%以上のデシケーター中に炭酸ガスを200cc/分の割合で流し込み、48時間の重量変化を測定した。比較例1,2に示す従来の水酸化マグネシウムを使用したものは、重量増加が1.5〜2wt%と大きく、表面に炭酸マグネシウムの白色結晶が多量析出しているのに対し、天然鉱物の水酸化マグネシウムを使用した実施例1〜3は、重量増加が 1.0〜1.2wt %と小さく、表面への白色物析出割合も少量であった。
【0009】耐塩酸性:厚1mm×幅3cm×長さ6cmの試料をpH2の塩酸水溶液中に6時間浸漬し、重量変化を測定した。
比較例1,2は 0.7〜1.0wt %の重量減が認められ、相当量の水酸化マグネシウムが試料から塩酸中に溶出しているのに対し、実施例1〜3は重量減が0.2wt%と極めて少くなく、耐塩酸性にすぐれていることが認められた。
【0010】以上は材料としてEEAを使用した場合を示したが、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、エチレンメタアクリレート、エチレンメチルメタアクリレート等のゴム、プラスチック材料においても、又これらの混合物に対しても同様の効果が認められ、天然鉱物を原料とした水酸化マグネシウムが耐炭酸ガス性、耐塩酸性等の耐酸性にすぐれていることが確認された。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の難燃性組成物によれば、耐酸性にすぐれており、特に高湿度雰囲気に使用されるノンハロゲン難燃電線ケーブルに適用すると効果的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物を粉砕し、脂肪酸、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤より選ばれた少くとも1種を主成分とする表面処理剤で表面処理を施した後、プラスチック又はゴムに添加し、難燃性を付与すると共に耐酸性を向上せしめたことを特徴とする難燃性組成物。